第3回水資源開発審議会 調査企画部会(第3回)

議事録

 


 

 

 

 

 

  日時: 平成12年10月26日(木)

  14:00〜16:00

  場所 KKR HOTEL TOKYO丹頂の間(11階)

 

   

  

出席委員:  網野委員、海野委員、小野委員、折坂委員、川北委員、志水委員、田上委員、萩原委員、藤田委員、丸山委員、虫明委員、八木橋委員、山本委員、中川会長

 

1.開  会 

 

○事務局 定刻前ではございますが、委員の先生方おそろいでございますので、ただいまから水資源開発審議会の調査企画部会を開催させていただきます。

  本日は第3回の部会でございますので、御出席の委員及び専門委員の方々の御紹介は省略させていただきたいと思います

○事務局  

 また、本日は、水資源開発審議会会長にも御出席をいただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 それでは、議事に入ります前に、事務局からごあいさつを申し上げます。

○事務局 簡単に申し上げます。 

 早いものでこの調査企画部会を設置させていただきましたのは去年5月でございました。各水系の基本計画に関連する基本的な重要事項について調査、御審議をいただくということで設置させていただきました。2月2日には第1回、4月4日に第2回と、これまでに大変貴重な御意見を数々いただきました。今回は部会長とも御相談させていただきながらさらに議論を深めていただきたいということで、新しい水資源基本計画に反映すべき論点をまとめまして、部会報告の骨子をちょっと分厚くなっておりますが、つくらせていただいております。それについて十分な御審議をよろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、これからの議事進行は部会長によろしくお願いいたします。 

 

2.議  事

 

1)各水系の水資源開発基本計画に共通する事項について

 

○部会長 本日は、皆様大変お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。 

 審議に入ります前に議事の取り扱いについて確認させていただきます。議事につきましては、前回までと同様に平成11年1月の第65回水資源開発審議会で決められたやり方を踏襲したいと存じます。すなわち議事については非公開、議事録は発言者名を伏せて取りまとめて公開することといたします。

 前回の部会開催に先立ちまして、私と事務局の方で主要な論点について例をお示しし、前回の部会で御議論いただいたところでございます。本日は、それをもとに事務局の方で資料とともに報告の骨子案を準備していただいておりますので、それを説明していただくとともに御義論いただく。また、前回の部会でいろいろな議論をいただきましたが、それについても資料の中で事務局の方で用意してございます。そうした議論をこれから事務局から御説明いただいた後で議論に入りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、事務局の方で資料の説明をよろしくお願いいたします。

○事務局  

 まず説明の前に資料の確認でございますが、資料1としまして、横長で分厚い資料をお配りしております。それから、資料2ということでこの部会の報告骨子(案)というものがございます。資料3はこの部会の名簿でございます。そのほか御参考までということで、前回の第2回の調査企画部会に先立ちまして部会長が配付されました論点メモということで1枚紙をお配りしております。それと、参考図ということで、水資源開発水系の流域の簡単な図面でございますが、こちらをお配りしております。以上でございますが、不足の方おられますでしょうか、よろしいでしょうか。

 それでは、資料の御説明に入らせていただきます。

 まず資料1でございます。この分厚い方でございますが、この資料につきましては、部会で御審議をいただきます各水系に共通する事項につきまして、その議論の材料となります資料を取りまとめたものでございます。前回の部会までに既に御説明した資料もこの中にございますし、また新たに作成したものもございます。今回は、時間の関係もございまして、新しいものを中心といたしまして御説明したいと思っております。

 まず一番最初に「目次」でございますが、全体の構成を少し御紹介したいと思います。1.から5.までございます。

 1.が「各水資源開発水系の概要」ということで、水系ごとの面積、人口等主要な指標につきまして整理をしてございます。また、現行の水資源開発基本計画の概要等でございます。

 2.の部分が「水需要の動向の把握」というところで、昨年、国土庁としまして作成しました「ウォータープラン21」の御紹介をしておりますのと、水利用の特徴ということで、水道用水、工業用水、農業用水につきましてのそれぞれの特徴等を書き、また3)では、フルプラン、水資源開発基本計画におきましての需要予測の考え方を整理をしてございます。あと4)は地下水の関係でございます。

 3.は、「水利用の安定性」ということでございまして、基本的な考え方、また木曽川水系を事例に取りまして降雨及び渇水の状況を整理したのが3の2)でございます。また、3の3)としまして、近年の降雨状況を踏まえました供給施設の実力の点検事例ということで、シミュレーションに基づきますものを今回新たにつけてございます。また、4)といたしまして、「水利用の安定性向上に資する多様な施策の展開」ということで、過去の実績も含めた形での整理をしてございます。

 4.のところは、「水の需給に関する多様な施策の展開」ということで、計画的な水資源開発施設の整備から始まりまして、水源の複数化による水の安定供給、また改築・更新に関するさまざまな課題、4)としまして施設の効果的・弾力的な運用、5)としまして用途間の転用、6)としまして下水処理水の有効利用、7)としまして節水への対応等を整理をしてございます。

 5.としまして、「その他」でございますが、浄化用水等の新たなニーズへの対応の必要性、水源地域の整備、水資源施設の計画的な整備と環境保全政策への配慮ということが述べてございます。また、水質の問題、最後には政策評価の項目を挙げてございます。

 以上が全体の構成でございます。先ほど申し上げましたように、前回までにお示ししたものもございますが、新しいものを中心といたしまして、この資料とOHPを使いながら御説明をさせていただきたいと思います。

 それでは、資料1の1ページからでございますが、こちらの方は「各水資源開発水系の概要」ということでございまして、これは前回既にお示ししたものでございまして、都府県単位でのデータを中心といたしまして資料を整理してございます。

 今回新たに整理をしたものとしましては、5ページでございますが、これも都府県単位でのデータでございますが、全世帯に占めます単独世帯の割合ということで、これは水利用の原単位にも関係してくる指標でございますが、この単独世帯の割合というものがだんだんとふえてきているということでのデータを整理してございます。将来についての推計値もあわせてこの表の中に入ってございます。

 6ページは工業出荷額の伸び率の推移でございます。それから7ページはこれも前回にお示ししたものでございますが、雨の状況のばらつきの大きさの程度ということでございます。

 9ページからは、既にできてございます貯水池の容量につきまして、幾つかの指標で見たものということで、例えば1人当たりですとか、流域面積当たり、あるいはこの有効貯水容量が平均降雨日数としましてどれぐらいに相当するかというふうな形での指標の整理をしてございます。この部分は以前に御説明をした部分でございます。

 今回新しく整理をしたものとしましては13ページでございます。これは利水容量と計画供給総量、これは年間での供給総量の関係をその比をとってみたものということでございます。ちょっとわかりにくいかもわかりませんが、利水容量といいますのは、例えばその水系で上水、工水、ここでは都市用水だけを整理してございますが、上水、工水のために設置をされておりますダムの貯水容量の全体をとってございます。計画供給総量といいますのは、そのダムで供給される水があるわけでございますが、これを年間全部トータルしました量ということでございます。日本での水資源開発の場合は、ダムによる水資源開発といいましても全部の水をダムから補給しているということではなくて、河川に水が足りないときだけ補給するという形でやっておりますので、ダムの貯留容量といいますのはまず補給する量にほぼ等しいといいますか、そういう量になるわけでございます。

 これを各水系で整理したのが今OHPで映しておりますこの図でございます。各水系ごとにかなり違いがございまして、淀川水系では利水容量÷計画供給総量、年間の総量が約50%ということでございます。これは琵琶湖の容量があるということで、大変大きな容量が準備をされているということでございます。また、一番小さいものとしましては木曽川水系で、6%ということでございます。これは6のダムの貯水容量を持つことによりまして、年間100の水を利用が可能なようにしているということでございます。この数字が小さいということは、ある意味では非常に効率的な水資源開発ということになるわけでございますが、逆にお天気次第という側面もあるわけでございまして、日照りが続きまして川の水が少なくなりますと安定的な供給が難しくなりやすいのではないかということを考えております。そういう意味での指標、効率性とその裏腹のものも含めた指標ではないかと思っております。これは今回新しく整理をしました指標でございます。

 また資料1の分厚い資料の方に戻りますが、14ページは渇水の発生状況ということで、これも以前の資料でございます。

 15ページは、現行のフルプランの概要ということで1枚紙で整理をしてございます。 16ページ、これが新しい資料でございます。OHPの方で説明したいと思いますが、これは現行の水資源開発基本計画で、需要と供給のバランスを見ているわけでございますが、その考え方の御説明をしたものでございます。現行の計画では基準年、足下年と呼んでおりますが、これをとりまして、10年なり少し先の目標年での需要を求めるということをやっております。この絵では模式的に書いてございますが、例えばこういうふうな需要が出たというときに、フルプランとしまして記載をする需要といいますのは、この将来の需要から足下年におきます手当済みの水量を差し引きしましたこの部分を新たな需要ということでカウントをしてございます。これに対しまして供給施設を張りつけていくということで、供給施設の方も足下年での手当済みのものから、それからさらにどれだけのものが必要かというふうなことで書いているわけでございます。

 この絵では供給目標といいますのはこの需要の増分でございますが、これに対しまして決定供給量が届かないというふうな絵になっておりますが、計画年度以降も需要の伸びが予想されるという場合には、これに対応した施設計画を行うという、そういう水系もございます。これは現行のフルプランでの需要の供給の考え方を整理したものでございます。 次のページでございますが、計画策定に当たりまして配慮すべき事項の例ということでございまして、こちらもOHPで今示しておりますが、「事情の変化」ということで、社会状況、また経済状況でさまざまな変化がございます。こういったものを受けまして、今回のフルプランの改定につきましては、水系ごとにそれぞれの実情に応じたことで考えていったらどうかということで資料を書いてございます。例えば、次期計画における目標年度、地下水の適正利用量の把握、水利用の安定性、さまざまな施策を組み合わせたものということ等々でございます。また、新たなニーズへの対応、経済性を踏まえた水需給のバランス、事業の事後評価・再評価といった側面もございます。

 続きまして18ページからは「ウォータープラン21」、これは全国レベルでのマクロ的な水需要の見通しを示したものでございます。これは既に御説明しております資料でございますので、この部分は説明を省略させていただきます。

 21ページまで飛びます。21ページからは生活用水、工業用水、農業用水につきまして、それぞれの水利用の特徴ということで整理をしたものでございます。21ページは生活用水につきまして、その推移を載せております。これは以前に御説明した資料かと思います。また22ページにつきましては、これは1人当たりの平均給水量の分布を示したものでございます。水系ごとに山を書いております。こういった形で水系ごとに違ってきているということでございます。

 それから、23ページ、24ページ、24ページの方に絵にしてございますが、こちらは1日平均給水量で見ました季節的な変動というものを書いてございます。

 25ページは工業用水でございまして、工業用水の推移、これも以前に御説明した資料かと思います。

 26ページは、工業出荷額の変化でございます。

 27ページは農業用水でございまして、農業用水の使用量の推算値でございますが、これの変化、推移ということで書いてございます。

 28ページからは農業用水につきまして少し資料を追加してございます。これは農業用水につきまして季節的な需要の変動要因が非常にあるということを御説明した資料でございます。28ページの左側の方は、水田での水管理ということで絵をかいてございますが、この中で湛水という、水田に水を張るということで水が必要になるというところでございます。また、右手の方は各種作物の生育時期別蒸発散量ということで、ムギですとかトウモロコシ等で季節的にかなり蒸発散量、これは需要量とつながってくるわけでございますが、これがかなり違ってくるという絵でございます。

 また、29ページは実際の計画としての事例ということでございまして、左側の方がこれは中部地方でございますが、豊川水系での事例ということで、4月から9月、特に6月中ごろから9月までの水の利用が非常に多いという絵でございます。また香川用水が右側の方にございますが、こちらも7月、8月、9月、夏場の水利用が多いという絵でございます。

 30ページでございますが、こちらの方は今後水資源開発基本計画の中で需要の予測をどういうふうな形で考えていくかということでございます。水道用水、工業用水につきましては、統計処理を行いまして、またこの統計処理に反映されていない要因、例えば時代の変化に対応しました地域開発計画ですとか水源転換のあり方を加味するという方法で予測を行うということで、基本的な考え方としてございます。

 なお、フルプランにつきましては、需要の想定につきまして基本的に水道事業あるいは工業用水道事業という単位での推計をしてございます。そういう意味で、水道の場合には普通の水道から工業用途の水として使われているものもあるわけでございますが、そういうものも含めた形で水道事業の用水量を算定するという形のやり方をとってございます。 31ページにつきましては工業用水の需要の推計のフローということでございます。こちらも同じく統計的なもの、またそれでは反映できないものを加味して行うということで、最終的に淡水補給量を経まして工業用水道としての水量を出すということで考えてございます。

 また、32ページにつきましては農業用水の需要量でございます。こちらにつきましては基本的に作物に必要な水量というものを単位用水量×面積という形で求めるわけでございますが、その水量といいますのは、この上の囲みの部分でございますが、作物に必要な水量から降雨量を引く。実際に降りました雨を有効に使った後で必要なものを出すということでございます。また、地区内利用で利用できる量というものも差し引いた形で農業用水の量を出しているということでございます。これを事業地区ごとに積み上げるということでございまして、32ページの右下の方に図がございますが、地域の中での水の使い方としまして反復利用というものもあるわけでございますが、こういったものも考慮しながら水量を算定するという形でございます。

 その次に33ページからは地下水のことを書いております。地下水につきましては、安定した水源、あるいは温度としましても年間通して安定しているというふうなことで、水資源としましても非常に貴重なものでございます。ただ、汲み上げをし過ぎますとさまざまな障害が起きるということでございます。

 OHPの方でございますが、地下水を過剰に汲み上げた場合にさまざまな問題ということでございますが、粘土層の圧密収縮と書いてございます。これはいわゆる地盤沈下ということでございます。それから、湧水や自噴域の縮小ということで、これは水環境にも影響してくるということでございます。また、塩水化ということで、地下水の中に塩分が混じってしまう、結果的に非常に使いづらくなる、あるいは最終的には使えなくなるというふうなことがございます。

 地盤沈下の方は、皆さん御承知のとおり地下水を汲み上げ過ぎますと粘土層が圧密収縮をしまして、結果的に地層そのものが下がってしまうということでございます。また、塩水化につきましては、地下水を汲み上げますと海の方に出てまいります地下水流出が減少しまして、海の方からの塩分が上がってくるということで、海岸沿いの地域でこの塩水まじりの地下水が問題になるということでございます。

 少し具体の事例を御紹介をしております。34ページ、これは白黒では見づらいのでOHPで見ていただきたいのですが、地盤沈下の事例でございます。関東平野の北部でございます。昭和63年から平成9年までの10年間の累積の地盤沈下例を書いてございます。黄色い部分が累計で5cm以上沈下をしたところでございます。場所としましては、栃木県、群馬県、埼玉県北部を中心としました地域でございます。少し赤い色で見えるかどうかですが、この部分が地盤沈下の中心的なところになってございます。この累計の沈下量が30cm以上という地域でございます。

 次のページから4ヵ所の観測地点でのデータを図化したものを書いてございます。それぞれ黒い太い線が累積の地盤沈下量でございます。現在でもまだ地盤沈下が進行している地域であるということでございます。ただ地下水そのものについてはかなり安定している、あるいは場所によっては回復をしているところもございますが、それでも地盤沈下が進行していっているというところがございます。こういう事例の御紹介でございます。

 36ページ、37ページはその地下水の利用水量のデータを図化したものでございます。 38ページからは地盤沈下対策要綱ということで、政府としまして対策を決定してございます。関係閣僚会議によりましての対策ということでございます。対象地域としましては、濃尾平野、筑後・佐賀平野、関東平野北部ということで、三つの地域を対象としまして、地盤沈下の問題のある地域でございますが、これを対象としまして目標水量等を決めてやってございます。こういった状況でございます。

 それから、40ページに参りますが、こちらは地下水の障害の事例ということでございまして、湧水や自噴水の減少ということでございます。ここではフルプランの対象水系ではございませんが、熊本の白川の事例を御紹介しております。OHPですがちょっと見づらいですが、青く書きましたのが白川でございまして、阿蘇山の方から流れてくる川でございます。この水系は非常に地下水利用が盛んでございまして、ほとんどの水を地下水に依存しているというところでございます。これは熊本市内の湧水量のデータでございますが、年ごとにかなり変動がございますが、経年的に見ますとだんだんと減少が見てとれるというふうな状況でございます。

 また、41ページには地下水の塩水化の問題ということで、資料をつけてございます。全国で見まして問題が出ているというところを41ページの左の方の図に載せてございます。

 この中でもう一つ事例としまして、42ページでございますが、これは四国の吉野川の事例でございます。これもちょっと白黒でわかりにくいのでOHPで見ていただければと思いますが、吉野川の河口部でございます。この色の線でございますけれども、塩素イオン濃度にしまして200ppmの線を書いてございます。昭和48年にはこの線よりも海側が200ppm以上だったということでございますが、昭和56年にはこういう線になっております。また61年にはもっと上流に上がってきたということでございます。こういう形で河口部での地下水の塩害化の事例ということで御紹介をしてございます。

 飛びまして44ページでございますが、「水資源開発基本計画における地下水の適正利用量の把握手法」ということで書いてございます。44ページのところは現行のフルプランでの地下水採取量、どの程度にしたらいいか、その考え方を書いてございます。基本的には地盤沈下の量がなくなるようなものということで、かなりマクロ的な評価、相関関係をベースにしましたものでやっているということでございます。

 45ページには、今後どういうふうにしていったらいいかということで、まだ案の段階でございますが書いてございます。基本的な考え方、地盤沈下を防ぐということは変わっておりませんが、その後かなり地下水や地盤沈下につきまして記録が蓄積されてきておりますので、ここでは地下水の適正利用量を検討するに当たりまして三つのパターンで検討するというのも一つの案ではないかということで書いてございます。これは地下水が上昇傾向にある地区、また地下水が低下傾向から上昇傾向に転じている地区、現状でも地下水は低下傾向にある地区、こういったことで区分しまして検討したらどうかということでございます。

 それから、46ページでございますが、湧水、自噴水、先ほど吉野川での事例を御紹介しました塩水化のところにつきましても、減少を見ながら適正利用量を算定するということで考え方を書いてございます。47ページでございますが、「水利用の安定性」というところで資料を整理してございます。

 47ページの図は以前にも御説明した図かと思いますが、もう一度OHPの方で恐縮ですが、我が国の水資源開発といいますのは、ダムをつくりまして貯水池をつくるということが量的には一番の多くを占めてございます。そういった場合に、ダムから補給しますのは下流の取水地点で、この青い線は河川流量ですが、河川流量が少なくなったときに不足する量を補給するということでございまして、川の水があるという場合にはその川の水を取るという形での計画をしているという、これは模式的な御説明でございます。こういう形で水資源開発を進めてきているということでございます。

 このあたりはかなり海外の、例えば乾燥圏の水資源開発とは違うところでございまして、アメリカのカリフォルニアの場合乾燥圏でございますが、そういった場合ですと巨大な貯水池をつくりましてそこに何年分かの水をためまして、都市に対して全量を補給するというふうな形の計画が主体でございますが、日本の場合には川の水と組み合わせた形で使うということでございます。これはダム貯水池の規模は小さくて済むわけでございますが、一方で川の水の状況が変わってくる。この量が減ってまいりますと安定的に供給できる量が少なくなってしまうという問題があるということでございます。

 48ページには、計画上の基準を書いてございます。これも以前に御説明したかと思いますが、原則としまして10年で第1位相当の渇水を対象としまして計画をするということでの御説明でございます。

 50ページからは木曽川水系を事例といたしまして渇水時の状況等の御説明をしてございます。50ページが木曽川水系でのでき上がってきております水資源開発施設の表でございます。

 また、51ページでございますが、こちらの方は年間の降雨量を整理してございます。これもOHPで見ていただきますと、木曽川水系での年間の総降水量を昭和23年から最近までを並べたものでございます。かなり変動しておりますが、最近では雨量の小さい年が多くなってきている、またばらつきが多くなってきているということが見てとれるかと思います。ダムの貯水池を計画いたします際に、過去の流量資料をもとにいたしまして基準となる年を決めまして、これが計画基準年、あるいはここでは対象年と書いてございますが、これをもちましてダムの容量を決めているわけでございます。例えば現在できております岩屋ダム、阿木川ダムの計画対象年は昭和26年、年間ではこういうレベルだと。味噌川ダムにつきましては24年ということでこういうレベルの年間雨量でございます。最近ではこういったものをかなり下回る年が頻発してきているという状況の御説明でございます。

 52ページからは、実際の渇水の状況ということで、特に平成6年は大変厳しい渇水でございました。この木曽川水系でも断水あるいは工場に対しての操業の影響ということがあったわけでございますし、また農業でのさまざまな支障、影響ということ、また河川の流量が大幅に減る、河川によりましては川が完全に干上がってしまうというようなことで、環境面の影響ということもあったわけでございますが、こういった状況を整理してございます。

 53ページからは水道用水、54ページは工業用水等々ということで整理をしてございます。これは以前にも御説明をしましたのでこの部分は省略させていただきます。

 60ページは昭和62年の状況ということでございます。これも整理をしてございます。説明は省略させていただきます。

 66ページでございますが、これは今回新しい資料でございます。近年、少雨化傾向ということが問題になっておりますが、これがダムによります水の供給ということに対しましてどういう影響を及ぼすかということを66ページは模式的に示した図でございます。 まず左側の図でございますが、これはダムの計画時の流況を書いてございます。OHPの方で見ますと、模式的に書いてございますが、この青い線が河川の流況でございます。この分の水を供給しようということで計画をいたしますと、この黒く塗りました部分が不足をする量でございますので、この部分をダムから補給することによりまして年間を通じて安定的に供給できるようにするという計画になってございます。ダムの貯留量ということで見ますと、補給が始まりまして、このダムを使い切るというふうな形で必要な容量が決まってくるということでございます。

 一方、実際にこの流量が、雨が少ないということで落ち込んでくるという場合にはどういうことが起きるかと申しますと、もとどおりの供給水量でダムから補給をしました場合には、流況が落ち込んできておりますので早くから補給が始まるということと、補給すべき量もふえるということでございますので、ダムの貯水容量が枯渇をしてしまうということでございます。この間、給水制限あるいは断水といったような問題が生じるということでございます。

 そうしますと、低下しました流量に対しまして年間を通じて安定供給できるようにしようとしますと、それはこちらの線でございますが、当初の計画よりは低い量で供給をするということになります。補給をしまして、ちょうど使い切るような形でございますが、もとの計画よりは小さい量での供給ということでございます。これを模式的に示したのでございます。

 67ページは、実際にこれを計算をしてみたものでございます。左の方は岩屋ダムというダムが既に木曽川でできておりますが、それのシミュレーションの結果でございます。計画どおりの補給水量で補給した場合、最近の20年間での第2位といいますか、近年の10年で1回程度の渇水ということで、昭和62年のダムの貯水池の状況でございます。こういう形でダムの貯留量が空になってしまうということで、年間で不足日数が80日ということになります。またこの不足する水量といたしましては、1億6,000万mという数字でございます。 

 また、長良川の河口堰、これも施設としましては完成をしてございますが、この流量の低いところだけ書いております。このガタガタとしました線が流量で実際はもっと大きな流量もあるわけでございますが、低いところだけを書いてございます。昭和59年が近年での10年に一遍の渇水に相当する年ということでございますが、それでいきますと不足がやはり10日ほど出てくると。ただダムと違いまして、川の流れとしてございますので、不足量というのは比較的小さいという形でございます。

 これがシミュレーションの結果の御紹介でございますが、そのほかの施設につきましてまとめをしましたのが68ページでございます。牧尾ダム、岩屋ダム、阿木川ダム、味噌川ダム、長良川河口堰、徳山ダム、こちらはまだ工事中のものでございますが、これらにつきまして近年での10年一遍程度の渇水でどうなるかということを書いてございます。不足の総量と不足日数を整理をしてございます。

 例えば一番上の牧尾ダムですと、不足総量が6,000万m、年間で供給する量の約5分の1ほどが不足するということでございます。また、平成6年の渇水でいきますと、こちらの方がもっと厳しい渇水でございますのでもっと不足量はふえるということでございます。平成6年のような大変厳しい渇水につきましては、危機管理的な対応も含めましてやっていく必要があるのではないかと思っております。これが先ほど模式図でお示ししました、当初の計画どおりに補給をしますと早目にダムが空になってしまうという、その部分のシミュレーションでございます。

 次に年間を通じて安定的に供給できる量というのはどの程度かということをシミュレーションをしましたのが、69ページ、70ページで、69ページにはその計算の前提条件ということを書いてございます。基本的には木曽川でやっております利水計画をベースにしまして計算をしているということでございます。

 それからその結果が70ページということでございます。70ページの左の方にグラフがございます。三つ縦棒が出てまいります。この一番左の棒がダムの計画での開発水量ということでございます。これは全体を合計いたしますと、毎秒約93mという数字でございます。その数字が70ページの右の方に載せてございます。これを最近の20年間の流量データを用いまして実際にシミュレーションしてみますと、10年に一遍の渇水相当で見ますと、約53m/毎秒になるということでございます。当初の計画の3分の2より下回るような安定的な供給量であるということでございます。また、平成6年のような渇水でも年間を通じて安定的に供給できるようにしようとしたらどうかということで試算をしてみますと、一番右の縦棒でございますが、毎秒約29mという数字になるわけでございます。こんな形での試算をしてみたということでございますが、実際の流量データをもとにやってみますと、近年1/10ということでいきますと、相当供給の実力が落ちてきているということの一つのあらわれでございます。

 71ページでございますが、こういった水利用の安定性が落ちてきている、これを向上させる、あるいは回復するということにつきまして、どういう考え方でやろうかということでございますが、ここで供給側の対策に、水資源開発施設による水源の確保、複数化、既存施設の有効活用等、需要側の対策を全体として考えた上でこの対策を考えていく必要があるということで資料を整理してございます。また水利用の安定性の向上についての施策を選択するに当たりましては、水系や地域の状況を踏まえまして、利水者、行政機関等の関係者の合意をもとにすることが必要だということで整理をしてございます。

 72ページからは少し別の切り口でございます。「水の需給に関する多様な施策の展開」ということで、まず1番目に書いてございますのが「計画的な水資源開発施設の整備」ということでございますが、これは事例ということで、利根川の事例、それから木曽川の事例を御紹介してあります。

 OHPの方でございますが、平成6年、これは関東から西の地域にとりましては大変厳しい渇水でございました。関東の利根川水系も相当厳しい状況まで追い込まれましたが、幸い余り大混乱というところまでは行かなかったということでございます。これはそのとき、平成6年までに奈良俣ダム、渡良瀬遊水池の施設ができておりました。これはいずれも平成2年度には完成いたしまして効用を発揮していたものでございますが、このダムができていたということで、この上の方の線が全体の、利根川水系の8ダムの貯留量の実績のグラフでございます。ダムが結果としては枯渇をせずにこの渇水を乗り切ったということでございます。仮に奈良俣ダム、渡良瀬遊水池がないという場合でございますと、こういうふうに貯留量が落ちてきまして、8月の中ごろにはダムの容量が完全になくなってしまったということで、大きな被害が出たことが想定をされます。この取水制限の期間も実績の60日に対しまして、100日ほどになっていたであろうということで、計画的に進めております水資源開発施設、こういう形での効果を発揮しているということの御説明でございます。

 それから73ページでございます。こちらの方はことしの渇水のときの状況でございます。「平成12年夏渇水」と書いてございますが、ことし名古屋で大変大きな水害がございました。その水害の直前までは木曽川水系は大変厳しい渇水に悩まされておりました。73ページの右の方に模式図がございます。OHPの方でちょっと書いてございますが、これはその模式図の上半分の方でございますが、木曽川の上流の方に牧尾ダムというダムができております。また、飛騨川筋には岩屋ダム、牧尾ダムの川筋には味噌川ダム、阿木川ダムというのができておりますが、こういったダムの効果、あるいは長良川の方でできております長良川河口堰の効果ということでの御説明でございます。

 ことしの夏の渇水ということでまいりますと、牧尾ダムがほとんど空になりかけたというところまで追い込まれたわけでございますが、まず長良川河口堰につきましては、長良川河口堰は現在運用しておりますけれども、三重県の方に工業用水と上水道が行っております。この長良川河口堰からの水によりまして、三重県の北西地域につきましては―この水道については中勢地域でございますが、中勢地域につきましては断水を免れたということでございます。もしこの水が来ておりませんと、3時間ないし8時間の断水の影響が出る市、町が相当あったと想定をされてございます。

 また工業用水の方も、これは以前からの取水ですが、渇水の際には塩分が入りまして使えなかったものが、今回この長良川河口堰の運用によりまして常時使えるということで、支障は全くなかったという状況でございます。

 また長良川河口堰の方から、愛知県の知多半島に水道用水が行っております。この知多半島につきましては、平成6年の渇水のときに断水をしたということで、大変影響があった地域でございますが、今回はこの水によりまして、そういう問題は全然なかったということでございます。また、先ほど牧尾ダムがほとんど貯留量がなくなりかけたという話をいたしましたが、これにつきましては味噌川ダム、それから阿木川ダムというダムが既に完成をしておりましたので、こういったダムからの全体としての効果もございました。空にならなくて済んだということでございます。もしこの二つのダムがないとしますと、牧尾ダムは8月の上旬には枯渇をしていたということでございました。相当深刻な事態が出たということでございますが、幸いそういったことはなくて乗り切れたという事例でございます。

 74ページにつきましては、水の安定供給のための水源の複数化の取り組みということで、利根川水系と多摩川の事例、それから淀川と紀ノ川ということでこれは以前に御説明したものでございます。こういった事例がございます。

 75ページからは、「既存施設の計画的かつ機動的な改築・更新」というところでございます。この75ページの図でいきますと、これは水資源開発公団が建設いたしました水路等の施設につきまして、事業費ベースで不足量を計算してみますと、平成12年までに約1兆3,000億円のストックがあるということでございます。また、管理費もこういう形でございますが、増えてはきているということでございます。こういった施設につきましては、常時水を供給しているわけでございますので、施設の機能が停止することは許されないということでございまして、適宜の更新・改築といったものが必要になってまいります。

 76ページには、これは一つの試算ということでございますが、絵をかいてございます。OHPの方で参りますと、縦軸が箇所数ということで、水路事業での箇所数を書いてございます。昭和38年から横軸時間を取ってございますが、こういう水路施設を建設していたということでございます。ここでは大変割り切った条件で、30年という年月が経過すると更新をしないといけないということで、仮にそういうことで見るとどうかということで書いてございますが、この色塗りをしたところが第1回の改築が出てくるということでございます。平成17年から20年前後になりますと、ほとんど改築オンリーという形のものが出てくるということでございます。さらにそこから先になりますと、この斜めの線で書いておりますのが二次改築、さらにそこの二次改築ということでございます。こういったものも出てくるということでございます。

 その次のページには、77ページでございますが、水路の老朽化での施設事故の事例ということで書いてございます。こういった問題も起きてきておりますので、大事に至らないうちに計画的な対応が必要だということでございます。

 また78ページは、その水路が受け持っています農業用水、水道用水、あるいは工業用水の行き先といいますか、どれだけ広範なところに行っているかということを整理をしてございます。

 また79ページにつきましては、こういった水路系の施設を含めまして管理しております農水省・厚生省と、あるいはこれは調査としましては国土庁のお名前も掲げておりますけれども、改築・更新というものを適切にやっていくという考え方を示してございます。 また80ページには、改築整備を適時にやっていくことによりまして、トータルコストも低減ということをねらうことができるという御説明でございます。

 81ページにつきましては、農業用の水路につきまして、機動的な改築整備が可能になるように、かんがい排水事業では受益農家からの同意徴収を簡素化する手続も準備しているということでございます。

 82ページでは、実際にどういうことをやっているかということの事例でございまして、水路の複数化ということで愛知用水の2期事業での事例を書いてございます。これは水路が1本しかございませんと、そこで何か事故が起こったときに全面停止ということに至りますので、そういうことがないようにということでの対応でございます。

 83ページには、別の対応の仕方としまして調整池をつくりまして安定性を向上させるということで、その事例といたしまして左側の方では愛知県の豊川総合用水の事例。右の方では香川用水、吉野川から讃岐平野の方に水を持っていっております。その事業の緊急改築事業の事例ということで、いずれも調整池を含めた事業としております。

 85ページには、「施設の効果的・弾力的運用」ということで、ダム群連携ということで二つのダムを水路で結びまして、効率的な運用をするという事例。これも以前に御説明いたしました事例でございます。

 また86ページには、「ダム運用の弾力化等」ということで、(2)では洪水調節容量の一部活用ということで、洪水期にダムの水位を下げまして洪水調節のための容量を確保するわけでございますが、その部分の一部の容量を使いまして、河川浄化や下流の河道での減水区間解消といった目的で使っているということの御紹介でございます。

 87ページでは、「ダムの再開発」ということで貯水池内に当初の見通し以上に砂がたまってしまったというダムがございますが、こういったところで貯水池にたまった土砂を取り除く、あるいは今後たまりにくくする、あるいは下流に円滑に出すという意味での事業をやっておりますということでの事例でございます。

 88ページには、「用途間の転用」ということで、水資源開発基本計画の中で転用を行いました主な事例ということで、埼玉合口二期等の事業を御紹介をしてございます。

 89ページにつきましては、「下水処理水の有効利用」ということで、図面が小さくて恐縮でございますが、左の方の図が東京都の下水処理場、多摩川上流下水処理場から玉川上水、あるいは野火止用水といったところに水を持っていっているという事例、真ん中が新宿副都心でやはり下水処理水を活用しているという事例でございます。

 また90ページには、「節水への対応」ということで、節水機器のことにつきまして書いてございます。この左の方には節水コマのことを書いてございます。その下には節水型の洗濯機ということで書いてございます。節水型の洗濯機ということでいきますと、昭和48年ごろから最近までの洗濯物1kg当たりの使用水量の推移というものを書いてございますが、平成6年では1kgを洗うのに23Lほどでございますが、これが48年では78L、50年では45Lということで、過去よりは相当少ない量で洗うという形の機器がふえてきているということでございます。またその右の方には、節水式のトイレということで書いてございますが、ここでも節水型の機器というものが登場してきているということでございます。

 91ページには、大規模なビルあるいは公共施設につきまして、水の有効利用ということで中水道、これは雑用水利用ということでございますが、トイレの水等に下水処理をしました水を使うということで、こういったやり方をしておりますし、また雨水をためまして利用するということも行っておりますという事例でございます。

 92ページには、海水の淡水化ということでの事例を書いてございます。

 93ページからは、「その他」という項目でございます。その最初に「浄化用水等の新たなニーズへの対応の必要性」ということでございまして、新たに生じている浄化用水等のニーズに対応ということで、佐賀導水、北千葉導水路での既に事業としてやっております例を書いてございます。

 94ページでございますが、健全な水循環系の構築に関する水源地域の整備ということで、従来から実施をしております水源地域対策、これはダムの影響緩和、あるいはダムの建設を円滑に行うという意味での水源地域対策ですが、これに加えまして、健全な水循環系の構築という視点も加えていくことが重要ではないかという観点でございます。

 95ページにつきましては、環境の問題でございます。水資源開発施設の建設ということでまいりますと、環境に影響を及ぼす場合も当然あるわけでございますが、環境保全という面で、この事業の中でのさまざまな対応、努力をしているということの紹介、これは下の方でございます。また河川の事業の中でも、魚が上流に上がりやすくするという意味での魚道の整備といったようなこともやってございます。事業の中での事例としまして、ここでは四つほど写真を載せてございますが、琵琶湖でのアユ増殖用の人工河川の例、霞ヶ浦開発での湖岸のヨシ、マコモ等の保全、また右上では長良川河口堰の魚道、右下では布目ダムでのばっ気対策ということでございます。

 96ページは希少猛禽類の対策ということで、こういったものも大事な要素になってきてございますが、事業者としての水資源開発公団としまして、保全対策の指針をつくりまして、この保全対策に努めているということでございます。

 97ページにつきましては、用途や役割に応じた水質の確保ということで、水源の水質保全、また取排水系統の適正化等々ということで、量が確保されるとともに適切な水質を確保するということが大事だということで書いてございます。

 98ページでございますけれども、こちらでは政策評価に関する標準的ガイドラインや公共事業の再評価システムの導入の動きがあるということで御紹介をしてございます。左の方では政策評価に関する標準的ガイドラインの案ということで、ことしの7月に中央省庁の改革推進本部、また総務庁の行政監察局から出ましたガイドラインでございまして、政府全体としまして、こういう形での取り組みをやろうということでございます。また右の方は、平成10年3月のときの資料でございますが、公共事業の再評価システムについてということでございます。こういった形で行政全体としましても政策評価また事業評価をやっていこうということでございますので、水資源開発研究機関につきましても、このような面で検討していくことが必要だということでございます。

 以上、時間をとって恐縮でございますが、資料1の説明とさせていただきます。あと続きまして、骨子(案)の方の御説明をさせていただきます。

 資料2でございます。縦長の資料でございますが、調査企画部会の報告の骨子(案)ということで御説明をさせていただきます。

 まず全体の構成についてでございますが、1.から4.までございます。1.の「はじめに」の部分は、この資料の趣旨を書いたものでございます。審議会からの要請に基づきましての検討ということで、その趣旨を書いてございます。2.が、全体でいきますと結論的な部分を先にまとめたという形の構成になってございます。3.が少し各論的な部分ということになります。最後の4.では、水資源施策に関するその他の議論ということで、フルプランの見直し作業に直接反映させることは困難であるが、全般的な課題ということでの議論を御紹介をするという構成になってございます。

 1ページに参りまして、2.の「新しい水資源開発基本計画のあるべき姿」ということで書いてございます。先ほど申しましたように、全体のまとめといいますか、その部分を先に取り出したような形になってございます。ここで@からCまでございますが、いずれも現状認識と提案という形での整理をいたしてございます。 

 まず@としまして、「水系ごとの実状に応じた計画」というところでございますが、これにつきましては、ある意味では当たり前ということになるのかもわかりませんが、水系ごとにかなり状況が違っているということで、こういった重要な施設の整備状況等の実績の把握を行った上で、実情に応じた形での計画をつくっていくことが大事ではないかということで書いてございます。

 Aとしまして、「需要と供給の全体像を見通した計画」ということでございますが、先ほど資料1で御説明しましたように、現行の水資源開発基本計画は需要の増分に対しての計画ということになっているわけでございますが、その現状認識のところで書いてございますが、水需要は依然として増加しているものの、増加している以上に供給が追いつかない状況を脱しつつあると。課題として「水利用の安定性」という課題があるわけでございますが、こういう認識でございます。こういった状況から、増分ということではなくて、需要と供給の全体像を把握するということで、既存施設も含めました需給の状況について点検を行う。また水利用の安定性、多様な既存施設の有効利用方策を検討する上でも全体像をつかむことが必要だということでございます。また全体の水の利用の中での地下水の適正利用の方向、こういったものもやっていく必要があるということでございます。

 2ページに参りまして、「水利用の安定性確保の観点からの水需給の検討」のところでございます。これは先ほど事例をとりまして御説明いたしましたが、近年の少雨化傾向によりまして水利用の安定性が損なわれている地域があるということでございました。これに対しまして、きちんと供給施設の能力の点検、いわゆる実力の点検をした上で水需給の計画・検討をしていくということでございます。また、需要と供給の両面から水利用の安定性を確保するための施策を検討するべきではないかということで書いてございます。

 Cといたしましては、「既存施設の有効活用などを含めました多様な施策の展開」ということで、この施設のストックが相当ふえてきております。ただこういった施設につきましては、1日でも水を送ることが途絶えるということがあってはならないといいますか、そういう性格の施設でございますので、適切な維持・管理・更新が大事でございます。また用途間転用といったことでも、施設の有効活用が重要な課題になってございます。こういったことで、さまざまな施策を展開していく必要があるという趣旨でございます。ここまでが先ほど申しましたように骨子全体の方向といったようなことでの書き方になってございます。

3.では、「新しい水資源開発基本計画策定上の留意点」というところでございますが、各論的な話を書いてございます。

 まず1番目が、「水需要の的確な把握」ということでございまして、基本的には基礎資料としてどういう形であったのかをきちんと明らかにしていくということでございます。また、各用水の特徴をとらえまして、可能な限り需要の全体像を把握していくということでございます。こういった形での考え方を書いてございます。「各用水の特徴についての認識」ということは先ほど資料1で御説明をしたところでございます。農業用水につきましてもなかなか実態把握が困難だという性格がございますが、極力基幹的な施設につきまして実態把握を行うということで書いてございます。またその際には目的を明確にして作業を行うという考え方でございます。

 「地下水の適正利用量の把握」ということで、地盤沈下、塩水化等の実態を把握しまして、適正な利用量を決めるということでございます。その上で、地下水から地表水への転換量を算定していく必要があるということでございます。

 またその次の括弧としましては、「需要想定を行う上での留意点」ということで、各水利用の特徴を踏まえた想定と、また都市用水、水道用水及び工業用水につきましては、統計処理に加えまして、それに反映されない要因を加味するということで予測を行うということでございます。そのほか必要な点ということで三つほどの点を書いてございます。

 2)は「水利用の安定性の点検」というところでございますが、若干これは繰り返しになりますが、少雨化傾向によりまして水利用の安定性が損なわれている地域があるということでございますので、供給する能力の点検をきちんと行うということが大事だということでございます。また、シミュレーションを行う際には前提条件を明確にするとともに、被害の状況、実態との比較検討が大事だということでございます。また、安定性を向上させるための施策につきましては、さまざまな施策を検討していく必要があるという考え方を書いてございます。4ページの上の方でございますが、水利用の安定性をどの程度考慮するかということにつきましてのさまざまな要素を考えに入れていくという必要があるということでございますし、施策の選択に当たっては水系や地域の状況を踏まえまして、利水者、行政機関等の関係者の合意をもとに行っていくことが必要だということでございます。

 また、3)は、「水需給に関する多様な施策の展開」というところで、@からCまで書いてございます。「計画的な水資源開発施設の整備」ということで、先ほど資料1で事例で御紹介しましたが、こういった基幹的な施設ということで効果を発揮しているということでございます。また、Aの「既存施設の有効活用」につきましては、計画的かつ機動的な改築・更新、また施設の弾力的な活用、あるいは効果的な活用・運用といったものが大事だということでございますし、用途間の転用につきましても水の需給バランスを再確認した上で用途間の転用を行っていくという考え方を書いてございます。また、Bの「水源の多様化」につきましては、例えば下水処理水の有効活用という観点も検討したところでございます。その次はC「節水への対応」ということで、需要の抑制という観点から節水についても考えていくということでございますが、ただ、節水等による需要の抑制が進んでいる場合に、ある意味での弾力性といいますか、渇水時、いざというときの節水の余地が少なくなるということについても留意が必要だということでございます。

 4)「その他重要事項」ということで浄化用水等新たなニーズへの対応、また水源地の整備、環境保全の問題、用途や役割に応じた水質の確保、それから政策評価につきましての問題をここで書いてございます。

 また、最後の4.につきましては、「水資源施策に関するその他の議論」ということで、いろいろこの部会で御議論いただきましたものの中で、フルプランに直接反映するものにつきましては上の方で整理をしていくということでございますが、必ずしもそういう性格のものでないもので、今後の水資源施策について重要なものにつきましてこちらの方で整理をさせていただいたらということで書いてございます。

 以上資料1と2の御説明とさせていただきます。

○部会長 どうもありがとうございました。 

 最初に申し上げればよかったのですが、会長から7水系の基本計画を立てるに当たって、共通な点を議論しろというのがこの部会の役割でありまして、前回その論点の整理をいたしましたが、それに沿って資料1では事例を含めながら共通事項について整理されていて、その事例を含めながら御説明いただいたものを、骨子の方でさらに論点をまとめたというのがただいまの御説明であったわけです。それでは、この骨子(案)の順序に沿った方が多少議論しやすいと思いますので、頭の方から御質問なり御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 13ページで各水系ごとに都市用水を分母にして利水容量が書いてあって、御説明では二つの視点があると。効率的に運用されているというのと同時に、ある意味では安定性に欠けるようなところだと。そうだと思うのですがね、恐らくぎりぎりの操作をしていて、ダムの依存度が低いところは、総体的には安全度が低いというような感じを持つのですが、それを実際の取水制限の頻度とか、そういうものと対応づけてそういうことがはっきり言えるのでしょうか。余り言えないでしょうか。

○事務局 一般的に言いまして、そういう側面があるのではないかと想定しておりますが、取水制限の頻度等はまた実際のダムの運用なり需要の発現の程度によってもやはり変わってきますので。

○部会長 必ずしもはっきりはそう対応していないですか。 

○事務局 ただきょうの資料で木曽川水系でのシミュレーションの事例を御説明しましたが、ああいうものが各水系でだんだんできてきますと、もう少しそれぞれの河川の性格がはっきりしてくるのではないかと思っております。

○部会長 わかりました。そういう視点で恐らく整理された方がこの意味がはっきりすると思いますので。

○委員 用語の問題なのですけれど、この骨子のBの「水利用の安定性」というのは、確かに水利用の安定性なのでしょうけれども、どちらかというと「水供給の安定性」みたいなイメージで私はとらえたのですが、そういう言葉の方がわかりやすくないでしょうか。ほとんどこの内容は水供給の安定性が書いてあって、水供給が安定しない、需要と供給のアンバランスが生じるので水利用が不安定になると、そういうことだと思うのですけれども、単純な用語だけの問題なのです。「供給」という言葉の方が一般にわかりやすくないかと思ったということです。

○事務局 これにつきましては、水利用あるいは水供給の安定性が落ちているという実態があるのではないかと思っているのですが、それの対応といたしましては、供給側だけでの対応ということではなくて、需要側の方もいろいろ検討した上で全体としての対策の検討をやっていきましょうという考え方を持っておりますので、そういう意味で「水利用」という言葉をあえて使ったという形でございます。

 この資料1の71ページでございますけれども、「水利用の安定性向上に資する多様な施策の展開」ということで、いろいろなメニューを書いてございます。御指摘のように、ほとんどの部分は供給側の問題でございますが、節水意識の向上とか機器の普及といったことにつきましては、需要側といいますか、そういう側面もございます。そういう意識で水利用という形で書いてございますが、また検討させていただきたいと思います。

○部会長 そうですね、使い分けができるところはした方が恐らくよろしいのでしょうね、概念が違うわけですから。今のような御趣旨で供給の議論をしているところには「水供給」という用語を使うし、需要も含めた水利用というところは「水利用」でよろしいのでしょうけれども、その辺の整理はよろしくお願いいたします。

○委員 資料1の52ページに木曽川が例なのですけれどもね、平成6年には近年20年で1番目の少雨に見舞われて渇水が発生と書いてあるのですけれども、だからといってこれは近年10年でいいのだということではなくて、対応は、だから10年に1回というのは非常にわかりにくいので、こういうようなのは当然入ってくる、やらなければいけない、実際に起こった渇水に対してはいずれにしても対応しなければいけないと思いますので、この辺をもうちょっとうまく、10年に1回というのか、うまく表現をしないと、何か誤解されて一般の人にはよくわからないのですよね。

 それからこれは木曽川のことも書いてありますけれども、利根川なども平成6年は随分厳しい渇水だったと聞いておりますし、取水制限が30%ぐらいが2ヵ月ぐらい続いたとなっているのですけれども、一般的にどう困ったのか。新聞などの論調を見ましても、渇水渇水と言いながらも、結果的にはそのままさっと終わってしまって、もう終わったらだれも何も言わない、実際にどこがどう困ったのかということがどうもはっきりしない点に一般の人の理解を得られない点が私はあると思うのですよね。地盤沈下の話などもあるのだし、その辺をもう少し具体的にしながら、それから困り方をもう少し具体的に調べる方法はないのですか。工業用水にしても、工場だって操業停止も多少あったのではないかと思いますしね。飲み水の方だって随分制限もあって、生活に不自由がどのぐらいあったのかということをもう少し具体的に言って、皆さん方の理解を得られるようにしないと、それ以上水は要らないという議論がなかなか消えないと思うのでね。それらに対してどうやって対応していくかということが、ちょっと問題が残るような気がするのですよね。

○事務局 平成6年の渇水につきましては、52ページの上の囲みの表現で、近年20年で1番目というふうにされてございます。これは確かに20年でとりますとそういうことでございます。ただもう少し長いレンジで取りましても非常に厳しい渇水でございます。そういうことで、基本的には10年に一遍程度の渇水を目標にするということで、それに対してのさまざまな節水を含めた対応ということになるわけでございますが、こういった平成6年のように非常に厳しい渇水が実績としてあるものでございますので、こういったものにつきましては危機管理的な対応を含めまして、ユーザーの方からのさまざまな御協力もいただきながら実際やったわけでございますので、そういった目でまた見ていくということが必要ではないかと思っております。

 あと被害の実態につきましては、53ページから木曽川水系での事例ということで整理をしたつもりでございますが、ただまだ具体的なイメージにちょっと欠けるという御指摘ではないかと思いますので、もう少しデータを当たってみたいと思っていますが、過去のデータをもう少し整理をしてみたいと思います。

○部会長 各水系のことでやるときにはぜひ充実させていただきたいと思います。 

○委員 今のお話と関連するのかもしれませんけれども、10年に1回という感覚が、各用水通じて10年に1回というのが本当にいいのかなという、例えば農業用水とか工業用水など経済行為の場合には、100年に1回とか200年に1回とかいっても、利用者の方がそんな金を負担しないよということがあるかと思うのです。例えば上水道などの場合、たまたま私は福岡で節水のときに出会ったら、駅のお手洗いに入っても「小便のときには手を洗うな」と書いてあった。そんな節水をさせるようなことはひどいのではないかと。だから上水道みたいなものをもう少し、何年に一回というものをもっと高くしていってもいいのではないかという、そんな感じがしたのですけれどね。

○事務局 今のお話は用途間での安全度の違いをつけるということも考えられるのではないかという御指摘ではないかと思いますが、これは国によっていろいろ対応が違う事例もございますが、我が国につきましては、基本的にその各用水とも10年に一遍程度のものを対象にしまして計画をしているという実態でございます。といいますのは、一つには同じ川筋から水を取るわけでございますので、ある部分の用水だけが安全度が変わるということになりましても、実際の管理が非常に難しいという側面もありまして、まずは安全度、基本的にはその川筋でそろえた上で水利用をする。具体的には河川管理者の水利処分等の際にもそういう意味でレベルを合わせた形でやっているという実態がございます。

 ただ、本当に大渇水のときに社会全体の機能が麻痺するようなことになっては、これはまずいと思いますので、そういった異常時につきましても最低限社会が大混乱しないような形での対応というのも当然念頭に置いてうまく対応していくということが大事ではないかと思っています。

○委員 そうすると逆に節水しやすい方へしわが寄ってしまうのではないかという、そんな感じもするのですけれどもね。

○部会長 恐らく今のお話は、計画論で10年だと言っていますが、運用ではまさに渇水調整のようなメカニズムが入っていて、そこでは今おっしゃったようなことは、実際にはむしろ農業用水の方が我慢して都市用水に回すというようなことが行われていて、つまりここでは余り運用論が書かれていない。どこまで書くかとそれがまたよくわからないのだけれども、渇水調整というのは建設省河川局がやっているというのを、ちょっと国土庁の範囲を超えるとかいう議論になるかわかりませんが、運用論の記述がどこかにあるのでしたか。実際の渇水の、先ほどの木曽川水系における状況のようなところで、渇水調整のようなことにも触れていいのではないでしょうか、いかがですか。

○事務局 さまざまな事例といたしまして渇水調整の運用がなされておりますので、そういったものをいろいろ御紹介し、あるいは……。

○部会長 水系で渇水調整のやり方は違いますよね。それなども非常に興味深いのですが、こういうところで書くべきであるのかないのかというあたりは判断が……。

○事務局 計画論としましては、なかなかそこの運用の違いのところまで全部書き切るというのは難しいところがあるなというのが正直なところでございます。ただ、実際の運用の中では、先ほどの用途間での水の融通なども関係者の御努力によりましてやっているわけでございますので、そこは先ほど申し上げました危機管理のメニューといいますか、そういったものをいろいろ準備しておく。それが水系によりましてかなり特徴があるというのですか、運用のやり方で過去のさまざまな歴史などを含めて違いが出てくるのではないかと思っております。

○部会長 特に何らかのポイントの記述はあった方がいいような気がしますのでぜひ御検討ください。

○事務局 フルプランでも一番最後の「その他重要事項」というところで節水について努力目標的に触れているのですね。どの程度節水できるとか、そういう厳密なデータがございますれば、このフルプランの中でも、単にダムをつくるとかそういうハードだけではなくて、ソフトも含めて計画の中にきちっと盛り込んでいくというのが将来的にそういう方向であるべきだと思っているのです。私たちもそういうふうにいずれは持っていきたいと思っていますが、今の私どもが持っているありとあらゆるデータを駆使しても、今の段階で節水みたいなものをこの計画の中に量的に位置づけることはちょっと無理かなと思っております。そういう意味で、そういう将来を見据えた調査なども始めておりますけれども、まだ時間がかかるのかなと。

 ただ感じとしてはもう既に、この間出したウォータープラン21の中にもそういう方向といいますか、物の考え方としてはそういう方向を出していますので、今度のフルプランの中に直接書き込むか、あるいは別のところで書き込むかどうかするかは別問題としまして、そういう大きな方向性は少し進めていきたいなと思っているわけです。

○委員 確かに計画的にそういうのを最初から決めるというのはなかなか、違う時期もあるし、ケースケースで違うと思うのでね。ただ、今までの大渇水のときに供給の方もどういう配分をしていったのかというのは、それぞれ検討しながらやっているわけですから、主立った渇水のときのそういう供給の内訳などは少し詰めた方がいいのではないですか。どういう使われ方をしたか、供給にこれだけ苦労したのだけれども、受ける方も、その結果ここまでしか満足できなかったとかいうような話にしないと、ちょっとわかりにくいと思うのですね。

○事務局 過去の事例で整理できるところはまた整理してみたいと思います。 

○委員 骨子の1ページで、「既存施設の有効利用方策を検討する」ということを触れておりますけれども、これは前回も申し上げたのですが、水資源開発というのは20年、30年と長くかかっていく間に、こういう変わり目の早い世の中では需要が変わってくる。特に工業用水というのはギャップがいろいろなところで取り上げられておりますが、これをいろいろ時に触れて見直すということのようでございますが、この辺をもう少し具体的に計画の中に織り込んでおいて見直していくという、その時代時代に合った内容で運用できるようにできないかということ。フルプランそのものが内閣総理大臣が閣議決定を経て決めるという極めて重々しい計画ですので、これまでフルプランが追いつかないという状況があちこちで出ていると思うのですが、具体的な計画は、できるだけ下位計画の方に移したらどうだという提案を前回申し上げたのですが、それは一朝一夕にできないまでも、そういうフルプランが追いつかない状態を解消するような方策をフルプランの中で、あるいはどこかで弾力的に一定期間で見直すというようなことをもう少し具体的に触れていただけないかなということが一つでございます。もう一つは、工業用水というのは、私は長いこと工業用水をやってきたものですから、この需要の見込み方で申し上げますけれども、全国マクロ的で見る場合には工業用水の需要というのはかなり近いところで当たるのですが、地域計画というのは、その地域に立脚してその地域に立地する企業でまるっきりがらりと変わってくるものですから、これまでも予定した業種が立地しなかったとか、そういったことで乖離が生じてダムに依存した水が生かされないというケースがたびたび起こっています。企業の方は非常に経済合理性で動きますから、ダムができているからそこに義理立てして工場をつくろうという気はとてもありませんで、もうからなければどこかへ行ってしまうというようなことがたびたび起こっていますので、そういう状況も踏まえた上で計画というものをもう少し弾力的に動かせるようなシステムをこの中に織り込んでいただけないか、お願いでございますが。

○事務局 その点につきましては、この骨子でいきますと最後の方の政策評価というところで全般的な表現をしてございます。先ほど資料1の一番最後の方のところでも行政全体としましての動きということを御紹介したわけでございますが、フルプランとしましても今後この政策評価、また事業評価ということもございます。こういったものをまた考えていく中で、先ほど御指摘の点も含めて検討していきたいと思っております。

○委員 今、工業用水を主体にお話しくださったことをほかの用水にも敷衍して政策評価をするというような形で、各水系にこれから多分おりて、このやり方で政策評価などをやっていかなければならないと思うのですが、その際に工業用水のみならず生活用水、水道も同じようなことが起きている地方がございますので、かつては非常に計画にぴったり合った用水供給計画だったかもしれないけれども、現在になってみると、ちょっとおくれているというところがあると。需要と供給とが合っていないところがあるというので、政策評価の仕方みたいなものを、もう少し具体的に書いていただければなと思っております。先ほどの御説明では、政策評価のところはさっと政策評価をするという程度で終わりましたけれども。

○事務局 その点につきましては、政策評価ということで方向性を書いたわけでございますが、どういう手法で具体的にやるかというところにつきましては、正直言いまして私どもまだ勉強中のところでございます。そういう意味で、もちろん対象としましては全体的な計画が対象になるということでございますが、この部会としていろいろ御議論といいますか、まとめる段階でその方法の中身にまでなかなか、まだ難しいところがあるのではないかと思っています。ただ方向としましてそういう政策評価なりをこのフルプランということについても十分考えていくということかと思っております。

○委員 本当に小さなことですけれども、きょうの資料1の5ページですけれども、「各水系に関連のある都府県の全世帯に占める単独世帯の割合」という図があるのですが、これは何のためなのか余りよくわからないのですが、多分単独世帯がふえれば水の使用量がふえるというふうに持っていかれるお考えではないかと思いますけれども、必ずしも今はそうでなくなっておりますね。単独世帯は老人世帯というふうにシフトしていますから。かつてのように若い人が出ていって単独世帯をつくったときには水使用量がふえたのですけれども、今は必ずしもふえませんね。

○事務局 この中で若年層と老年層の分析をしておりませんので、またその点は御指導いただきたいと思います。

○委員 余りふえておらないので、そういう資料に使うのだったらやめた方がいいと思います。

○事務局 この内容について、また少し検討させていただきたいと思います。 

○委員 骨子(案)をあらかじめいただいて読ませていただく中で大変関心を持ったのは、水系ごとの計画をつくろうという話が一つあります。先般の地方分権の話で四百何ぼもの法律が改正されたこととの関連で、水の話がどう変わっていくのかなということも見ていましたが、基本的には水資源の部分については変わらないという御説明を実は受けているのですが、それはそれとして、水資源の基本計画で、例えば7水系それぞれについてこういうふうな枠組みでもって、こういう要素でもって計画をつくっていけよ、あるいは共通の問題についていろいろお示しがあるということは、この部会としてぜひ必要なことだと思っておりますけれども、ただ、私が思っていますのは、7水系の一つ一つそれぞれ地域の抱えている事情が違う。だから、全体としてはこういう考え方で物事は進めておるのだよと。例えば今後10年なり20年先を見通しながらこれからもダムをどんどんつくっていく、それが難しいから今度は改築や何かに重点を置いていく、いろいろなことがありましょうけれども、そういうことをやっていくのだとすればあなたの地域はこういうことがあるのだよと、お示しは全部あると思いますけれども、ただそれを各地域が受けとめて、例えば木曽川なら木曽川部会として受けとめていった場合に、そこの議論ではもう一つユーザーのいろいろな考え方によって違いが出てきてもいいのではないいか。その違いなるものが皆さん方の理解と―私の考え方がちょっとおかしいのかもしれませんけれども。

 先般申し上げた、例えばアメリカではもうがダムは要らないという話が一方にあります。ダムが要らないわけではない。あれば便利なのだけれども、自然保護の問題とかいろいろなことを含めてそういう話がある。となってくると、木曽川の流域の話で言えば、徳山なんていうのはまだほとんどできておりませんけれども、ただあそこまで村を一つなくすぐらいスタンバイしたものについては、今後進めていくについて、今全体の需要としてはそこまで必要ないとしても、それは未来永劫この地域にとっては重要でありますし、この仕事はやはりいつかやっていかなければならんだろうと。ただそれがここ5年なり10年なりのうちにやっていかなければならんものかどうかということについては、それはその地域の判断で、中止ではなくて凍結みたいなものですよ、そういうふうなものの扱いをしてもいいだろうし、もう一つ言いたいことは、住民といいましょうか、あるいは工水の利用者でもみんなそうですけれども、それらに対するPRなのか、理解を求める情報公開というのか、こういうふうな格好のものがあって、つまり極端なことを言えば、例えば需要は100あると、しかし供給としては50までできればそれで我慢をするというふうなことを、例えばいろいろなことを地域として含めて―というのは高度成長期と違って、全国的にどんどんやろうと思っても、整備新幹線もああいうふうなことでガチャガチャしていますし、水についてはたくさんのそういうダムなどをつくっていかなければならない需要があるとしても、その全部のお金なりそういったことはすぐ近々に進んでいける話ではないものですから、そこら辺を頭に置いてしまうとなかなかできないわけでありますけれども、絵としてはしっかりやっていく。それをどのペースでもってやっていくのかということをちゃんとPRをし、住民の理解を求めながら―個々の住民はなかなかあれでしょうけれども、それぞれ上水、工水、農水、いろいろな方たちの意見、お声、必要性、つまり需要と負担のバランスというものを考えながら、これがあれば便利だけれども、だけど渇水があってもこのときは我慢をするということを含めて、それは上水、工水それぞれ違うでしようけれども、そういうものを水系ごとにかなりフリーハンドでといいましょうか、こういったところでお決めになったそういうものは横目でながめながらですけれども、なるほどここまでやればこういうことになる、だけどこれにはこれだけ金がかかるよと。それは全部人様のお金でなくて自分たちのもちろん負担が入ってくるのだよということになると、ここまではどうしてもあってほしいけれども、この部分については少し先送りというか、我慢していこうかというふうなものも含めての議論があってもいいだろう。全国的にそれをやってしまうとてんやわんやになるかもしれないけれども、水系ごとぐらいは何かそういう議論の余裕というか、ゆとりというか、そういうものもあってもいいのではなかろうかなという思いが一つあります。

 それから、別の話でついでですから言わせていただきますけれども、地盤沈下の話をどこまで扱われるのかちょっとあれですけれども、随分表に項目としていっぱい出てきていますから思っておったのですけれども、先ほどの御説明では、一つは量的に汲み上げ規制するとかいろいろな量の話、もう一つは、塩水化の話などがありました。おしまいの方にトリハロメタンとかああいったことも多少、これは地下水ばかりじゃないかもしれませんけれども、そういうふうな話がありました。こういった問題が、私どもの地域で言いますと、例えば御承知の御嵩町の産廃の話なんていうのは、詳しくは知りませんけれども、要するに水源地域の上流にこういうものがつくられることについては、直ちにそれで水が汚れる原因になるとは思わぬけれども、下流に対して不安になる。もしくはこういう問題があれこれ出てくるのだとすれば、その問題はこの水資源とは別かもしれませんけれども、ある意味では関心の深い問題でもあるので、それにつながりというのでしょうか、せめて窓口というか、そういうふうなものについてもっと関心を持って、1行でもいいですけれども、そういうものがどこかに欲しいなという気持ちを持ちました。

○部会長 全体の水系で共通に考えていく考え方と、それから各水系ごとでの計画立案プロセスのようなことを御説明いただければと思います

○事務局 各個別の水系の計画につきましては水系の部会がございますので、そちらの方で具体にまた御検討いただくという形になるのではないかと思っております。今回のこの調査企画部会につきましては、各水系に共通する課題、論点を検討するということでございますので、先ほど御説明しました骨子の案でいきますと、1ページのところでございますけれども、基本的に従来どちらかといいますと一つの考え方で整理して計画をつくっておりましたものを、水系ごとの実情が違うので、それに応じた計画をつくったらどうかということで書いているわけでございます。そういう意味で、各水系ごとに従来よりはかなり自由度のある議論を展開するという趣旨で書いているわけでございます。

 具体の各水系ごとにつきましては、こういったことを受けまして今後それぞれの水系の中での議論になるのではないかと思っております。

 また、先ほど地域の関係者の考えでいろいろなオプションもあり得るのではないかというお話でございますが、これにつきましては例えば4ページのところで、上から二つ目の「・」のところでございますけれども、ここでは「水利用の安定性の向上についての施策」というふうなことで書いておりますが、水系や地域の状況を踏まえまして利水者、行政機関等の関係者の合意をもとにするということで、こういった地域での考え方を練り上げる、あるいは合意をするということは当然これは前提になると思っております。

 ただ、フルプランといいますのは国としての計画でございますので、当然国のつくる計画としてのある程度の数字というのは必要だろうと思っておりますが、具体にどういうふうな形でというのはそれぞれの部会での個別の水系の計画の段階で議論するのではないかと思っております。

○委員 大体わかりましたけれども、さっきの16ページの需要と供給のバランスの表ですけれども、恐らく国で全国的にいろいろなことをお考えになって、あるいは7水系共通でもいいですけれども、こういうふうな物の考え方に変わっていった。あるいは増分だけについて新しくダムをつくるとかいろいろなことでつくっていかなければならんという考え方を多少変えて、既存部分についてメスを入れてもう一回見直すよと。例えば愛知用水でも水路が古くなって大分老朽化しているからやり直さなければならん話とか、牧尾ダムの話が出ましたけれども、牧尾ダムでも御岳の噴火でもって底がうんと浅くなってしまって、すぐ渇水とかいろいろなことも出てくるかもしれませんけれども、いろいろなそういう別な問題が出てくる。そこら辺もみんな検討を加えながら、どういうふうに地域の水がめなりそういったものがあるのかということの見直しをされることは大いに結構だと思うのですが、この全体の考え方が変わったということをお示しになって、今までの行政の流れだと例えばそれが7水系、木曽川も豊川もそれぞれにこういうふうなものを頭に置いてもう一回見直してみるとどうなのかということをよくまず踏まえて、そこから議論を始めろよというお話に進んでいくのではなかろうかなと思ったのです。そういうことの中で、なるほどやってみるとここまでうちは足りなくなるとか、こういうものが必要だという話が出てきた場合に、これを全部一度につくるのは難しい。よそのことは考えなくてもいいのかもしれませんけれども、全国的に考えてそんなに方々にダムがバンバンできるような御時世ではないものですから、我が地域についてはこれだけのものをどういう順番にやっていくのかと。老朽改築とかそちらに重点を置いていくのか、ダムはこことここはやるけれども新規のものについてはいろいろ条件が難しいこともあって先送りするとか、そういうことの判断を水系ごとにできるゆとりというか、余裕というのか、議論がそこまでみんなたがをはめられてしまうと、機械的にこの7水系が同じように足並みそろえてつくっていくような計画になりますよね。そうじゃないとすると、部会ごとに多少は横目で皆さんと共通のデータというものをにらみながらも自分のところは具体的にどうあればいい、だから部分的にはさっき我慢するのかという話も申し上げたのですけれども、そういうこともあってもいいのではなかろうかなという思いがちょっとしたものですから。質問なのか意見なのかわかりませんけれども、そんなことを思いました。

○事務局 だぶるかもわかりませんが、16ページのこの図はあくまで現行のフルプランはこういう考え方で需要の増分に対しての計画をとっております。これは各水系共通でそういう考え方でやっておりますということでございまして、今後のものにつきましては、基本的には骨子の1ページのAのところでございますが、需要と供給の全体像を見通した計画ということで、既存の部分も含めましたことで需要と供給の関係をきちんと見ていこうということで、そういうことが大事ではないかという趣旨でございます。各地域の中での、水系の中での個別の計画につきましては、やはり地域の関係者を含めた合意の上で計画はでき上がるということでございますので、その部分は委員のお考えと基本的には各水系でいろいろ議論していくことは、こちらの骨子の趣旨と同じではないかと思っております。

○部会長 言い方を変えれば、水資源計画そのものはまさに地域の要望を調整して、その調整するときに重要水系でもあるしそれぞれの地域間、部門間でいろいろな要望があると。それを国が調整するという役割を果たしているのが、私はこのフルプランだというふうに理解しているのですがね。そういう意味で言うと、まさに地域の要望から出たものをいかに調整するかというところですから、それは地域の特性とか要望が当然出るような、今でもそういう仕組みになっていると理解しています。ですから、決して上意下達のような計画では―水資源プランそのものがそうではない。ただ調整が必要だというところで国の役割があるということで、その調整というか、全体の考え方を、今度はかなり新しい視点を入れたというのがこの骨子の共通事項であって、地域ごとには当然さっきおっしゃったようなこと、俺は我慢するのだというような要望が出れば、当然そういう要望が調整項目の中に入ると思うのです。そうではないのでしょうか。

○事務局 もちろん地域の要望といいますか、考えに基づきましてそれを調整していくという側面も当然ございますし、またこれは国としての計画でございますので、国全体の考えを、水関係の省庁を含めまして、その計画の中であらわしていくということで、そこは国としての考え方と地域のそれぞれの実情を考えて全体として計画をつくっていくということではないかと思っております。

○事務局 需要一つにしましても、国が調べてこういうところにまとめていますけれども、もともとデータは全部県からいただいているのです。県は県でもってまた市町村とかいろいろな事情を調べて、その結果がこうまとまってきているというものなのですね。ですから、目次を見ていただければわかりますけれども、全くの共通事項、例えば3のところの「水利用の安定性」なんていうところは非常に重視して考えているのですけれども、今までは需要というものを固定的にとらえて、需要が10mありますと。ではそれを開発するために10mの供給を賄うだけのダムをつくりましょうということで、需要と供給というものをぴたっと合わせることでやっていたのですね。それはそれでもって非常に水需要が急激に伸びてきましたから、それをキャッチアップするという意味では必死になって追いかけてきたということですから、それなりに供給施設をそういうふうにつくってきたということの裏づけとして意味はあったのですけれども、今ではここの中の資料でも出てきましたけれども、中部地方などは一番いい例だと思いますけれども、形式的には供給の方が需要を上回っているということがもう既に起こってしまっている。全部ではありませんけれども、用地別に違いはあるのですけれども、既に起こってしまっている。ところが、現実に渇水が起こっている。いろいろなところで渇水が起こっている。この現実というのをどういうふうに考えていったらいいのかということを考えていくと、どうしても、今までは実はダムの実力が小さいということですね。中部ではたった6%の実力でもって、年間でいえば20日間ぐらい供給できるだけのダムしかなくて365日分供給している。川にほとんど依存している。そういうことなものですから、おてんとうさま次第と言うと、この間どこかで怒られたことがあるのですけれども、要は天気に依存して非常に水利用の安定性が低いということなのですね。

 今まではそういうことを役所側から言いにくかったということなのです。つまり10mでしたのが実は3分の1でございましたとか、半分でしたとか言いにくかった。ただ、そういうことは言わなくてもどんどんとにかく需要に対して追いかけていこうということで走ってきましたから、そういうことを全部説明しなくても頑張れるだけ頑張ってきたという状況なのですけれども、今の状況になってくると、形式的には需要の方が供給を上回っているということになっていながら、渇水が起こっているということになってまいりますと、正直にそういったことを説明して、その問題にどういうふうに取り組んでいったらいいのかということをまさに地域の中で相談していただいて、こういうデータを載せること自体、これは全部各県に諮っているわけです。いずれ調整して、こういう実態を議論の素材に載せて私たちとしては議論しなければいけないと思いますよということを、各県に粘り強くお話をして、各県の御了解を得てこういうことをやっているわけです。

 4の「多様な施策の展開」というところにしましても、単にダムをつくっているだけではなくて、施設の効果的・弾力的運用、ダムの連携、再開発、下水の再利用云々といろいろ書いていますけれども、全国ベースとしてはこういうことを考えましょうということをここでは議論していただいて、そういうものを今度は部会で議論されることになりますが、各フルプラン、個別的なものを実際につくるのは部会になりますから、その中でもってこういう共通的なものを念頭に置きながら議論していただく。もちろんその部会の中でさらに特別な部会固有の事情があれば、当然その中で反映されてくるわけで、それを妨げるものは何もないわけです。

○委員 誤解がないように言っておきますけれども、決して木曽川とか豊川に需要がないわけではない。そこは地域によって新しくダムをつくる地域もあるだろうし、過去の既存のものの改修とかいろいろなことでカバーしていく、いろいろなことがそれはあるでしょう。そうしたことの議論をやっていくことが一つです。

 私が、マスコミ等の報道で一番気にしているのは、議会あたりで出ることですけれども、いつもつつかれるのは例えば徳山だとかああいうふうなものについてですけれども、目に見えないものですから、すぐでき上がっていないものですから、何でこんなものにたくさんの、過去からのいきさつ、借金とか利息の負担とかいろいろなことばかりでもってやられることについて、水の関係者が一生懸命努力していることについて、その辺が県民なり地域住民なり、関係機関に、あるいは関係の工水の利用者あたりに伝わっていっておるのかということが、甚だ残念な気がするわけです。

 だからこういう計画をつくって、こういう需要と供給のギャップを埋めていくということはもちろん進めていただかなくてはいけませんし、するけれども、そのことのPRということも一言どこか、しっぽの方でもいいですけれども、書き起こしていただきたいということが一つと、それから地域のそれぞれの個性というものをかなり自由に議論ができるように、そこのところは残しておいていただきたい。

○事務局 全くそのとおりだと思います。そういうところのPRみたいな部分が私たちが非常に苦手としあるいは怠ってきたところのツケがいろいろなところで出てきているということも言えると思っております。

○部会長 2番目の方の産廃を含めて質のような問題、省庁連合で今、全体的な水管理というのを議論しております。恐らく今の国土庁の水資源の立場ではそこまで踏み込んで……、今調整をやっていまして、恐らくそういうことを全体の調整のフレームワークの中で今後、全体の水管理というような話、マネージメントの中で入ってくると思うのですが、どうも、もろもろのものを全部ここに入れるような枠組みにまだ他の行政がなっていないというのが現状で、水問題はいろいろありますけれども、本当は全部が統合化されればいいのでしょうけれども、そちらの方向に今動きつつあるということで理解しておりますが。

○事務局 先ほど我慢という言葉を言われましたけれども、私どもも実は全くそのとおりだと思っているのですね。公共事業というのはある意味で国民一人一人がいろいろな形で我慢すればなくて済むというものがたくさんありますね。およそほとんどの公共事業は、そういう性格を持っているのですね。道路でもそうですし、河川の改修でもそうですし、下水道もそうですし、電気のことを考えれば発電もそうですし、クーラーを我慢するとか、我慢すれば少なくできるというもの、そういう要素を公共事業というのは持っているのですね。そういう視点に立ってありとあらゆる、健全な水循環系の構築という考え方に立ちますと、まさに国民一人一人がそういったことを理解して―自分自身の行動が公共事業を大きくしているのだ。その結果いろいろな意味で税金も負担しなければならないし、結果的に環境を悪くしてしまっている面もあるのだ。そういうことを国民一人一人が気がついていただいて、それぞれの行動の中で、あるいは各省庁のいろいろな行動の中で、各県の行動の中でそういうことをみんなが気がついて、少しずつ直していこうというのが各省と連携を調整して健全な水循環系を構築していこうということ。直ちに我慢の部分を計画の中に取り入れられるほど私たちの力はありませんし、国民的な理解がまだ得られていないというところだと思うのですね。ただ、そういうことへ向かってベクトルの向きをそろえていくということが、私たちとして大事なのだろうと思っているということでございます。

○部会長 恐らく骨子の最後の「水資源施策に関するその他の議論」というあたりで、先ほどおっしゃっていただいたことも含めていろいろな多様な議論が整理されるということなのでしょうね。

 時間もありませんが、ほかにいかがでしょうか。

○委員 骨子案の中に水のコスト、あるいは利用の経済性というような点については盛り込まれておらないわけです。フルプランのねらうところからすれば、当然直接的な課題でないのは十分わかるのですけれども、本審議会はもっと幅広く議論するというような観点からいたしますと、これは非常に重要な問題であるというように私は考えています。特に日本の今の社会の現状からすると、いろいろな分野におきまして環境問題と同様に一番大きな問題になっておるのではないかというように考えているわけです。そういう意味で、ぜひひとつ、そういった重要事項の中の1点に入ってもいいのではないかというようにも考えるわけです。具体的には、効率的な設備、あるいはこれらのコストダウンを通して水コストの安定的な供給に努めるというような項目が入っていいのではないかという気がするのですけれども。

 もう1点は、政策評価というのを新たに入れていただいているわけで、先ほども御指摘がありましたように、これは現実的な問題なのですね。例えば10年も20年もかかったものはやめろという具体的なケースが出てきている。さらには、これも現実問題なのですけれども、10年20年たつと社会情勢も変わる。要するに水の需要がなくなってしまったとか、あるいは需要者の経済性が完全になくなったという状況が現実に起きている。そういう議論がされているわけですから、幅広くこの審議会で議論するという立場からすると、そういうものも当面の課題として、あるいは水源施設に関するその他の議論かもしれませんけれども、そういうところでも指摘しておくべきだろうというように考えておりますけれども。よろしくお願いします。

○事務局 その辺を含めまして今後、関係省庁も含めまして検討させていただきたいと思います。

○委員 この7水系に関する限り発電の需要というのはもう全くないのでしょうか。たまたま59ページを見ていて、みんなが我慢するときに、水道を我慢するよりは電気を我慢する方が楽だなと思いながらひょっと思ったのですが。

○事務局 水資源開発に伴いまして、あるいは一緒に発電をするというケースはございますが、ただこの基本計画そのものは水資源開発基本計画という形でございますので、計画の全体の中ではちょっと触れていないという形でございます。ただ個別の事業の中で発電目的が入る場合には、事業の部分を記述する際に発電もあるというようなことは記載をしてございますけれども、全体の主たる対象ではないということでございます。

○委員 骨子の5ページの4番、「その他の議論」とありますけれども、ここらあたりには今論議されたような皆さんの思いですね、例えばそれから水道等で言えば、先ほど委員がおっしゃられましたけれども、どうしても確保しなければいけないというのはあるのですね。ですからそういうのは必ず確保すべきだとか、国民の正しい理解を何だとかというのは思いを入れてもいいのでしょうか。先ほど部長さんがおっしゃったようなこともですね。

○事務局 幅広い議論としましてこの部会でいろいろ御議論されましたもので、そういったものの中から整理し、またお諮りしたいと思っておりますので。

○委員 もう一つ、フルプランは、手続的には各都府県の意見を最後には聞いて、そしして決定されるものだったですね。

○事務局 その点につきましては、水促法そのものは今回の省庁再編に際しまして部分的な改正をされておりますけれども、骨組みの手続としましては従来どおりでございます。この審議会で審議をいただくということと、それと関係都府県の知事の御意見をいただいた上で閣議決定をすると、そういう手順になっております。

○委員 特に需要と供給の全体像を見直してということで、非常に今回の計画は特に需要面からのアプローチというのが大切だと思うのですね。ですから、もうここに文章的には書いてありますから問題ないのですが、特にユーザーの意向をよく把握していただきたい。各県から需要のデータが出てくると思うのですが、それが一番問題だと思うのですね。今までのダムに何トン乗っていますよというだけではなくて、その辺の見直しといいますか、はっきりしていただきたいということ。文章にありますから別に問題はないと思うのですが、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、小さい点なのですけれども、2ページのCのところで、「提案」のところに、「新計画では一層の水の需給に関する多様な施策の展開を検討すべき」とあるのですが、これは文章化するときに「多様な施策」というのはもう少し具体的な例示とか、最後の文章化のときで結構なのですが、お願いしたいと思います。

○事務局 御趣旨はわかりました。検討させていただきます。 

○部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。 

 それでは、熱心な御討議をありがとうございました。時間もちょっと過ぎていますけれども、本日の議論を整理いたしまして改めて事務局でこの骨子(案)に肉づけしたものをこの企画部会からの報告書(案)として次回にお諮りしたいと思います。できれば次回で企画部会としての諮問に対する答申をまとめて本審議会にかけたいというのが予定でございます。そういうことで、きょうはいろいろ御熱心な御意見ありがとうございました。

 それでは、国土庁の方にお返しいたします。

 

2)そ の 他

 

○事務局 貴重な意見をいただきましてありがとうございました。私どもの説明が十分でなかった点多々あろうかと存じますけれども、ぜひいろいろまたございましたら、個別におっしゃっていただければ、私どもまた各委員のところに参りまして御説明することにやぶさかではございませんので、ぜひよろしくまた御指導をお願いしたいと思います。

 私どもの基本的なスタンスとして、これは部会長からも常日ごろ言われていることでございますけれども、フルプランの中に盛り込むべき事項については、今までのフルプランより以上にと申しましょうか、できるだけ幅広く各省からも、あるいは皆様方からも出ているわけでございまして、そういうものをできるだけ柔軟に取り込んでいきたいと考えておりますが、フルプランの中身そのものについては法律で書くべきことが要請されているというか、書かれておりますので、その範囲をできるだけ柔軟に解釈するというスタンスでいきたいと思いますが、どうしてもはみ出てしまう御意見がたくさん実は各省からもいただいております。その部分についてはそのフルプランに書くことだけが私たちはすべてだとは考えておりません。この部会の中でいろいろまた議論していただき、そういった部会報告を出すということ自体も重要な、まさに国民に対するスタンスを示すことになります。ということで、いろいろな意味で仕上がりまでにはまだ時間がございますけれども、そういうことでかなり柔軟に考えていきたいということでございますので、さらに次回、何かと御指導いただければと思っております。

 事務的には、希望といたしましては、これは言ってはいけないのかもしれませんけれども、できれば次回ぐらいで一定の結論みたいなものをいただければありがたいなということでございますので、私ども事務局、大いに汗をかきますので、よろしくまたそれまでの間も含めて御指導いただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

○事務局 本日の議事につきましては、前回までの部会と同様、簡単な議事概要を国土庁の方で公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

3.閉  会 

 

○事務局 それでは、これをもちまして本日の調査企画部会は閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。