臨時大深度地下利用調査会(第6回)
議事概要
日時:平成9年6月6日(金)10時
場所:東條會舘 青柳の間 |
- 開会
- 技術・安全・環境部会の中間報告について
以下のような内容の技術・安全・環境部会中間報告について報告された。
- (1)技術分野
- 現行の施工方法を適切に用いることで、深さ100m程度までの空間を掘削することが可能であると考えられる。
- (2)安全分野
- 火災が最も懸念される災害であるが、これまでの長大トンネルや超高層ビルの安全対策の考え方を応用することで対応は可能となると考えられる。
- 地震対策については、構造的な耐震性の確保は地表に比べて容易と考えられる。
- (3)環境分野
- 地下水、地盤変位、水質等に関する対策を確実に実施することで、環境影響を低減させていくことが重要である。
- (4)大深度地下の定義
- ア)建築物の地下室が存する深さに、干渉を避けるための離隔距離を加えた深さ、または、イ)高層ビルに相当する荷重を支持できる地層上面の深さに離隔距離を加えた深さのうち深い方より下の空間を大深度地下と考えることが妥当とされた。
- 法制部会の中間報告について
以下のような内容の法制部会中間報告について報告された。
- (1)大深度地下利用制度のあり方
- 大深度地下は、土地所有権が及んでいないとは言えない。
- また、大深度地下を私権に優先して使用することができる権利の性格としては、特定の事業のために行政庁が事業者に設定する使用権(公法上の使用権)が適当である。
- (2)適用地域
- 当面、東京、大阪、名古屋をはじめとする大都市及び周辺地域とすることが妥当との考えと、基本的には全国適用が妥当との考えがある。
- (3)適用事業
- 鉄道、道路、河川、電気、ガス、通信、水道等の公共公益性のある事業とするべきである。
- (4)補償
- 公法上の使用権を取得した場合には、大深度地下の掘削の制限及び上載荷重制限(建築制限)を行う必要があるが、これについては補償は不要とする考えと、補償を要する場合もありうるとする考えがある。
- (5)手続き
- 必要性・公共公益性の審査を行う必要があるが、補償の手続きは不要とする考えと、事後的であっても必要とする考えがある。
- 調査会の中間取りまとめ(案)について
調査会の中間取りまとめ(案)の内容、すなわち、大深度地下の定義、技術・安全・環境面の課題、法制面の課題について、審議が行われた。
<意見>
- 安全性については、最も危険と考えられる条件を想定して調査審議されているが、用途によって必要な設備は異なる。
- しかしながら、経済性によって安全性がおろそかにされるかのような誤解を与える表現は、適当でない。
- 「快適な内部環境の維持」というよりも、「快適で安心な内部環境の維持」とする方が国民は理解しやすい。
- 防災用井戸は、大都市地域で増加する可能性もあるが、これについては、第1に、大深度地下に施設が設置されていないところで井戸が掘れなくなるわけではなく、第2に、個人用の井戸であれば、掘れなくともさほどの経済的損失を被らないものと考えられ、また、公共のための井戸であれば、公共的な施設相互間の利用の調整の問題として捉えることができ、手続きの問題として、今後検討することとなる。
- 大深度地下使用権を設定する際には、地下構造物を設置する位置についての審査手続きについて、今後検討する必要がある。
- 大深度地下利用制度が構築できると、様々なメリットがある反面、施設の建設コストは上昇することも考えられる。
- 大深度地下について、公共的利用の円滑化を図るべきという意見がある一方、適正かつ計画的な利用を図るべきという意見もあるので、そのような趣旨を明確にするべき。
- その他
次回は、6月13日10時より開催し、引き続き臨時大深度地下利用調査会中間取りまとめの内容について審議する。
- 閉会
問合わせ先:国土庁大都市圏整備局計画課大深度地下利用企画室
(室長)真鍋、(課長補佐)岩月
(電話)03-5510-8046 (fax)03-3501-6534