大深度地下利用に関する座談会(技術・安全・環境分野)
日時: 平成9年7月29日(火)10:00〜
場所: 東条会館 青柳の間
1 開会
2 出席者紹介
<出席者>
(有識者)
足立 紀尚 京都大学大学院 工学研究科 教授
後藤多美子 ?住友海上リスク総合研究所 副主任研究員
小林 重敬 横浜国立大学 工学部 教授
今野 修平 大阪産業大学 経済学部 教授
佐藤 邦明 埼玉大学 工学部 教授
高橋 良文 (社)日本トンネル技術協会 大深度地下利用技術調査幹事会副幹事長
西 淳二 名古屋大学大学院 工学研究科 教授
濱田 信義 日建設計? 東京本社 防災計画室長
(調査会委員)
植下 協 中部大学 工学部 教授
黒川 洸 東京工業大学 総合理工学研究科 教授
今田 徹 東京都立大学 工学部 教授
菅原 進一 東京大学 工学部 教授
松本 嘉司 東京理科大学 理工学部 教授
3 議 事 調査会中間とりまとめの概要について説明が行われ、これをもとに審議が行われた。
<主な意見>
(1)大深度地下利用のあり方について
○大深度地下の位置づけ
・大深度地下空間は、社会基盤の整備が進まないまま高度な土地利用が進められてきた既成市街地の再構築のための空間として重要な役割を果たすことが期待される。
・三次元的な土地利用の中で大深度地下空間を位置づけることや、国土空間の視点から考えることが必要。
・大深度地下には、都市再開発のための空間としての役割のほかに、もっと長い時間にわたり社会資本として求められる施設のための空間として位置づけることが重要。
・地表を人間の自由な活動空間として生かすために地下利用を考えるべきであり、その中で大深度地下の位置づけを考えることが重要。
・阪神大震災の被災状況からも明らかなように、大深度地下は高い耐震性を持つ空間であるという特性が大きなメリットとしてあげられる。
○大深度地下の定義
・社会資本に関する考え方が変化した場合や技術が進展した場合に柔軟に対応できるように、大深度地下を定義をするべき。
・近接して施工する技術は現在でもかなり高い水準にあることを考慮し、過大な余裕を取ることは避けて、空間を合理的に使える定義とするべき。
・大深度地下利用による影響について、土地利用の制約というデメリットと施設の地下化が周辺地域にあたえるメリットのバランスを考え、定義等の議論をすべき。
(2)大深度地下利用に伴う技術、安全、環境上の課題
○技術面について
・長期間の供用を考えた場合には、劣化対策の他、災害発生等に対応した診断、補修等のシステムを考えておくべき。
○安全面について
・予測しない事態が重なった場合に安全が脅かされ被害が生じていることがあるため、施設機能がある程度低下することを想定した場合にも安全性が確保されるようにすることが重要。
・災害対策を考える際に、施設単独の被害ではなく、阪神大震災の際に鉄道等が不通となったときのように、施設の持つ機能が失われることによる社会的な影響も考慮して、復旧計画等も視野に入れた安全性の確保を検討すべき。
○環境面について
・環境への影響のうち、特に地下水については、現在の状況を絶対視すると極めてコスト高になることは明らか。大深度地下を利用すると、地表、浅深度地下の環境影響を改善できる面も考慮し、環境への影響を抑えつつ、全体として最も合理的な利用を模索することが必要ではないか。
・浅深度地下利用に対しても、環境に関する周辺住民の関心が極めて高いため、慎重に対応することが必要。
(3)その他
○大深度地下の円滑な利用に向けた課題
・地下施設は用途によって縦断・横断の線形の制約(自由度)が異なるため、貴重な空間を有効に利用できるように共同化のルール等を作ることが望ましい。
・地下空間の効率的な利用が図られるよう、施設配置等の情報や地盤情報等を集積し、一元的な情報管理をする必要性は極めて高い。
・大深度地下を使用する場合の経済性についても検討を深めるべき。
4.閉 会
問合せ先:国土庁大都市圏整備局計画課大深度地下利用企画室
(室長)真鍋、(課長補佐)大槻
(電話)03-5510-8046 (FAX)03-3501-6534