国土交通省
運輸審議会答申書(国運審第5号)

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 主  文 

多摩都市モノレール株式会社の申請に係る軌道の旅客運賃の変更については、次の額を上限として認可することが適当である。

普通旅客運賃
 3キロメートルまで                          
 3キロメートルを超え7キロメートルまでの部分             
                   2キロメートルまでを増すごとに50円加算
 7キロメートルを超え10キロメートルまで          
10キロメートルを超え16キロメートルまで         
200円


350円
400円

定期旅客運賃(1か月)
   前記の普通旅客運賃を基礎に次の割引率を適用して算定した額
(1)通勤定期         35パーセント
(2)通学定期         50パーセント

 理  由 

 申請者は、現在、多摩センター〜上北台間16.0キロメートルの軌道を経営(平成10年11月27日から上北台〜立川北間5.4キロメートルについて、平成12年1月10日から立川北〜多摩センター間10.6キロメートルについて運輸営業を開始)しており、旅客運賃の上限はいずれもそれぞれの運輸営業の開始の日から現行のものとなっている。しかし、モノレール建設の巨額の初期投資額とそれによる固定資産の減価償却費や支払利息などの資本費の負担が大きく、平成15年度決算では債務超過が避けられない状況となっていることに加え、今後本格化する借入金の元本償還や輸送力増強、安全対策などに必要となる設備投資資金を確保しなければならない状況にあることから、旅客運賃を改定することにより、軌道事業の経営の安定化及び健全化を図り、より安全で快適な輸送サービスを提供したいとして、この申請に及んだものである。

 当審議会に提出された資料、所管局から聴取した説明等に基づいて検討した結果、平年度である平成16年度から18年度までの3年間の運賃算定の基礎となるべき適正な総括原価(能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの)及びこれに基づく収支状況の見通しは、次のとおりである。

 適正な総括原価は、人件費4,476百万円、修繕費2,432百万円、経費2,727百万円、諸税738百万円、減価償却費10,538百万円、支払利息4,006百万円、雑支出1百万円、配当所要額12,927百万円、合計37,845百万円と推定され、現行運賃による総収入は、旅客運輸収入22,359百万円、運輸雑収561百万円、雑収入133百万円、合計23,053百万円と推定されるので、差引き14,792百万円の不足を生ずるものと見込まれる。

 これに対して、旅客運賃を主文のとおり改定すれば、適正な総括原価は、支払利息が3,968百万円に減少し合計37,806百万円と推定され、総収入は、旅客運輸収入が23,542百万円に増加し合計24,236百万円と推定されるので、運賃改定後において、なお、差引き13,570百万円の不足を生ずるものと見込まれるが、関係地方公共団体等の申請者に対する支援措置を含む経営健全化計画が策定されており、長期的には収支が均衡するものとされている。

 以上のように、総収入が適正な総括原価を超えるものではないので、この申請を主文のとおり認可することは、やむを得ないものと認める。


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