国土交通省

運輸審議会答申書(国運審第15号)
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 主  文 

 神戸新交通株式会社の申請に係る鉄道及び軌道の旅客運賃の設定及び変更認可については、次の額を上限として認可することが適当である。

普通旅客運賃
  2キロメートルまで                    200円
  2キロメートルを超え5キロメートルまで       240円
  5キロメートルを超え8キロメートルまで       280円
  8キロメートルを超え9キロメートルまで       320円

定期旅客運賃(1か月)
前記の普通旅客運賃を基礎に次の割引率を適用して算定した額
(1) 通勤定期    36.1パーセント(変更なし)
(2) 通学定期    60.0パーセント(現行52.8パーセント)



 理  由 
 申請者は、現在、ポートアイランド線(三宮駅〜中公園駅間)6.4キロメートル及び六甲アイランド線(住吉駅〜マリンパーク駅間)4.5キロメートルについて、平成6年4月1日より、240円の均一制運賃による旅客運賃を実施しているものである。
 ポートアイランド線は、営業キロが比較的短く、ポートアイランド内と神戸市市街地の2点間の旅客流動が中心であったため、開業当初より均一制運賃を採用してきた。申請者は、神戸空港の設置により同線を平成18年2月2日に神戸空港島まで4.4キロメートル延伸することに伴い、旅客流動パターンが多様化し、従来の均一制運賃では乗車キロによって旅客の負担に差が生じることとなるため、ポートアイランド線の既存部分と延伸部分とを一体化し、乗車キロに応じた鉄道及び軌道の普通旅客運賃の設定及び変更を行うことが適当であるとの考えから、この申請に及んだものである。
 六甲アイランド線についても、ポートアイランド線と類似した路線の性格から均一制運賃を採用してきたが、近距離区間を乗車する旅客の負担軽減を図るため、ポートアイランド線の運賃制度の変更にあわせて乗車キロに応じた普通旅客運賃の変更を行うことが適当であるとの考えから、同時に申請に及んだものである。
 また、ポートアイランド及び六甲アイランドには教育機関が設置されており、今後さらにポートアイランド内において大学の開設が予定されていることから、申請者は、ポートアイランド線及び六甲アイランド線における通学定期の割引率を現在の52.8%から60.0%として神戸市営地下鉄の割引率と同水準とする変更申請を行っており、既存線部分で比較すると普通旅客運賃の変更とあわせれば運輸収入としては2.9%の減となる。
 当審議会において、本事案の審議に当たり当審議会に提出された資料、所管局からの説明等に基づいて検討した結果、平年度である平成18年度から平成20年度までの3年間の運賃設定の基礎となるべき適正な総括原価(能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの)及びこれに基づく収支状況の見通しは、次のとおりである。
 適正な総括原価は、人件費4,220百万円、修繕費2,812百万円、経費1,954百万円、諸税918百万円、減価償却費6,665百万円、支払利息1,176百万円、雑支出115百万円、配当所要額12,544百万円、合計30,403百万円と推定され、これに対し、現行運賃(全線240円均一)による総収入は、旅客運輸収入17,026百万円、運輸雑収506百万円、雑収入190百万円、合計17,722百万円と推計されるので、差引き12,681百万円の不足を生ずるものと見込まれる。
 これに対して、旅客運賃を主文のとおり設定及び変更すれば、総収入は、旅客運輸収入が395百万円増加し合計18,116百万円と推定され、運賃設定及び変更後において、なお、差引き12,286百万円の不足が生じるものと見込まれるが、申請者はこの収支不足分を神戸空港開港後の輸送需要の増大及び沿線開発の推進並びに適正な要員配置の実施等の企業努力により吸収したいとしており、長期的には収支が均衡すると見込まれる。
 以上の諸点を考慮すれば、この申請について、鉄道事業法及び軌道法の規定に基づき、主文のとおり認可することが適当である。




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