港湾審議会、新たな「港湾の開発等に関する基本方針」を答申
  港湾審議会会長の交代




平成8年10月31日
港湾局
問い合わせ先
管理課 市村、渡辺(内7214)
直通 03-3580-6753
開発課 塩崎、上原(内7302)
直通 03-3580-6811


 本日開催された第39回港湾審議会(竹内良夫会長((財)日本海洋レジャー安全・振興協会会長))総会において、別添の「港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針」(案)について、「原案のとおり適当である。」との答申が出された。また、港湾審議会会長が交代した。

I 港湾の開発等に関する基本方針

1 基本方針は、運輸大臣が、全国の港湾の今後のあり方について、港湾法に基づき、港湾審議会の意見を聴いて定めるもので、9年ぶりの改正となる。港湾管理者が港湾計画を策定する際の指針となるもの。

2 新たな基本方針は、平成7年の長期港湾政策「大交流時代を支える港湾」及び新たな港湾整備の目的や投資の重点化を盛り込んだ港湾整備緊急措置法の改正(平成8年5月施行)を踏まえ、全国の港湾の配置や機能の今後のあり方などをとりまとめたもの。
 今回の改正の主要なポイントは以下のとおり。
(1) 世界の海運ネットワークに対応した国際港湾等の拠点的配置
 我が国港湾の国際競争力を強化するため、欧米等と結ぶ長距離基幹航路の拠点港として、大水深で高規格なコンテナターミナル群を有する中枢国際港湾を三大湾と北部九州に集約、配置し、これを補完する中核国際港湾を、全国の8地域に配置する。
 また、我が国の各地域とアジア諸国が直接交流するための港湾を拠点的に配置する。

(2) 港湾の効率的・効果的な開発と利用の促進
 港湾相互の機能分担や投資効果の早期発現、他の計画や事業との連携など港湾の効果的な開発の考え方や、入出港手続の簡素化、情報化への対応など港湾利用サービスの向上による港湾の効率的な利用の考え方を示した。

(3) 環境と共生する港湾や災害に強い港湾の形成
 海水浄化能力の向上や緑の創出など港湾の良好な自然環境の保全や新たな環境の創造の考え方を明らかにした。また、阪神・淡路大震災を踏まえ、耐震強化岸壁や防災拠点の整備に関する考え方を示した。

3 審議経過及び今後の予定

 6月28日第38回港湾審議会総会で諮問、その後計画部会(須田 X 計画部会長)において3回審議。
今後、関係行政機関との協議等所定の手続きを経た後、11月6日に告示する予定。


II 港湾審議会会長の交代

 1 港湾審議会新会長

      くまがい なおひこ

    熊谷 直彦 (社)経済団体連合会副会長(三井物産椛纒\取締役会長)

 2 港湾審議会新会長職務代理

      す だ ひろし

    須田 X 東北大学大学院教授(工学系)




港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針(案)

 港湾法(昭和25年法律第218号) 第3条の2の規定に基づき、港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針を次のとおり変更する。
 なお、この基本方針は、今後の経済社会情勢の推移等を勘案しつつ、必要に応じて見直しを行うものとする。

 港湾は、四方を海に囲まれた我が国において、陸域と水域を一体とした貴重な空間を形成しつつ、人や物の交流を支える交通基盤として、また、国民生活や産業活動を支える基盤として大きな役割を果たしている。
 人、物、情報の交流が国、地域、個人の間で重層的に行われる大交流時代を迎え、我が国の国民生活や生産活動は、成長著しいアジア諸国をはじめ世界の国々と連携を深めている。また、地球規模での環境問題が顕在化するとともに、我が国社会の成熟化が着実に進む中、より安定的で活力があり、豊かさを実感できる社会の実現が望まれている。
 こうした内外の経済社会情勢の変化に伴い、港湾に寄せられる要請は、国際的な社会資本としての機能の充実と競争力の強化、地域相互の連携による地域の自立の促進、海洋・沿岸域の利用と良好な環境の保全・創造、防災対策の推進等ますます多様化、高度化してきている。
 このため、我が国の港湾は、海外諸国との連携を一段と強めつつある国民生活や生産活動に不可欠な国際海上輸送の拠点として、また、環境への負荷の小さい海運の特性を活かし海陸空の連携のとれた国内輸送の結節点として、国土の骨格となる交通体系を形成し、我が国の安定した発展を支える責務を果たしていく。
 また、国土を形成する各地域が、その資質を活かしつつ互いに連携することによって自立的に発展する社会を実現するため、港湾においては、臨海部の特性や歴史と文化を活かし、良好な環境の保全・創造や災害に対する安全の向上に努めつつ、多様な機能が展開し人々が交流する活気に溢れた潤いのある空間を形成し、個性豊かで魅力ある地域づくりに貢献していく。
 本基本方針は、このような認識のもと、交通体系の整備、国土の適正な利用及び均衡ある発展並びに国民の福祉の向上のため、港湾の開発、利用及び保全等にかかわる基本的な事項を定めるものである。


I 港湾の開発、利用及び保全の方向に関する事項

 港湾の開発、利用及び保全に当たっては、国土及び地域に関する諸計画との整合を図るとともに、交通体系上の位置づけ、周辺港湾の機能、地域の特色、港湾利用者や地域の要請、漁業との調整等を十分勘案し、各港湾の特色と機能を踏まえ、以下の諸点を総合的に判断して行うものとする。

1 国民生活の向上等への寄与
(1) 国民生活に直結する機能の充実
 港湾においては、日常生活に不可欠な消費物資の輸入の増加や、海の自然や文化とふれあう機会の充実など、国民生活に直結する役割の増大に対応した施策を推進する。また、港湾施設の整備のみならず、効率的な利用の推進等ソフト面における取組みを進め、物流コストの低減による我が国経済の高コスト構造の是正に資するとともに、豊かで潤いのある港湾環境の形成を通じて周辺の生活環境の保全に資することにより、国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与する。

(2) 魅力ある地域づくりと国土及び海洋の適正な利用
 港湾は、地域の自立的な発展のための基盤として、また海洋利用のための拠点として、個性豊かで魅力ある地域づくり並びに国土及び海洋の適正な利用に資する。

2 国民生活の安定を支える輸送基盤の強化
(1) 国際海上コンテナ輸送等の拠点の形成
 世界の国々との連携が深まる我が国の国民生活や生産活動を支えるため、港湾の国際物流機能の充実を図る。特に、長距離基幹航路における船舶の大型化など世界の海運ネットワークの変化に対応するため、国際海上コンテナ輸送の拠点となる国際的な水準の機能を備えた港湾を整備するとともに、増加するアジア域内の物流等に対応するため、地域が近隣諸国と直接交流する港湾を整備する。

(2) 国内海上輸送の活用
 環境への負荷が小さくエネルギー効率等が優れた海上輸送の特性を活用して、国内の効率的な輸送システムを構築するため、複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルを整備するとともに、国際海上コンテナ輸送網や幹線道路網等との連携を図る。また、船舶の高速化など技術革新への対応も適切に行う。

(3) 離島及び地方の日常生活や地場産業を支える機能の確保
 離島及び地方における日常生活や地場産業を支える港湾については、他の港湾と相互に連携、依存しながら有機的な海上交通ネットワークを形成し、地域の発展を効果的に図る観点から、地域の特性に配慮し整備する。

3 活力と潤いのある港湾空間の創造
(1) 多様な機能が調和し連携する質の高い港湾空間の形成
 ウォーターフロントの特性を活かし、交通、国民生活、産業活動を支える機能が調和して導入され、全体として高度な機能が発揮できる美しく使いやすい空間の形成を図る。 また、新たな空間の創出に加え、港湾とその背後地域の土地利用等との関連についても十分配慮しつつ、既存空間の有効利用や機能転換等による空間の再編を推進する。
 さらに、港湾内や背後地域との円滑な交通を確保するため、幹線道路網等他の交通施設と一体として機能するよう調整を図りつつ、臨港交通施設を整備する。

(2) 地域の活力を支える物流、産業空間の形成
 海上交通と陸上交通の結節点である港湾の特性を活かし、流通、加工、展示等の機能の導入を促進する環境の整備や総合的な物流ターミナル等の整備を行うとともに、港湾関係の行政機関や企業が円滑に業務を行えるようその集積に配慮し、多様で高度な物流空間の形成を図る。
 また、産業構造が転換する中で、地域経済を支える新たな産業の展開を促進するため、情報通信機能や国際交流機能等が整い立地環境の優れた産業空間の形成を図る。

(3) 親しまれるウォーターフロントの形成
 港湾の持つ歴史的、文化的資質の活用、美しい港湾景観の形成、交流機能の向上等に配慮し、親しみやすく利用しやすいウォーターフロントの形成を図る。このため、海の自然や港の魅力にふれあい快適に利用できる緑地、広場、海浜等を整備する。また、人々の交流活動や海洋性レクリエーション活動を支える核として、港湾における交流施設やクルージングの要請にも配慮した旅客ターミナル施設、マリーナ等を整備する。

4 良好な港湾環境の形成
(1) 環境と共生する港湾の形成
 将来の世代においても豊かな環境を享受できるよう、港湾においては、生態系との共生に配慮しつつ、良好な自然環境の保全や新たな環境の創造を図る。このため、重要な動植物の生息環境等の保全について十分配慮するとともに、海水浄化能力の向上や海水交換に資する施設整備、緑の創出等を図る。

(2) 港湾環境への配慮
 港湾の開発及び利用に当たっては、港湾及びその周辺の環境に与える影響を計画の策定に際し事前に評価するとともに、その実施に当たっても広域的かつ長期的観点に立って環境の保全のための措置を講ずる。

(3) 廃棄物問題への対応と環境の改善
 都市活動に伴い発生する一般廃棄物等の受入れのため、廃棄物の減量・減容化、再利用等の努力を前提に、港湾の他の機能との整合を図りつつ、廃棄物海面処分場を確保し、周辺の生活環境の保全に寄与する。特に、背後に大都市圏を抱える港湾においては、効率的な廃棄物処分を行うため、広域的な観点から対応する。
 また、堆積汚でいのしゅんせつ等による公害防除及び水質環境の改善並びにごみ、油の回収等による海洋汚染防止のための措置等を行い、港湾及び周辺海域の環境の改善を図る。

5 地域の安全と安心を支える防災対策の充実及び船舶航行の安全確保
(1) 臨海部における防災拠点の整備と災害に強い港湾システムの構築
 港湾施設の整備に当たっては、地震、津波、高潮等の災害から国土、人命及び財産を防護する観点から海岸保全施設との有機的な連携に配慮するとともに、国土保全上の見地から周辺海域及び沿岸への影響についても十分配慮する。
 大規模な地震等の災害時に避難者や緊急物資の輸送を確保するため、背後地域の人口や地域特性を勘案し、緊急物資等の輸送ネットワークとの連携に配慮しつつ、耐震性を強化した岸壁(耐震強化岸壁)等を整備する。また、被災地の復旧・復興の支援拠点として、耐震強化岸壁に加え、避難等のための広場と必要に応じて緊急物資の保管施設、通信施設等が配置され一体的に機能する防災拠点を整備する。
 さらに、被災地港湾において一定の国際物流機能及び国内幹線物流機能を確保し、我が国の経済活動等への影響を軽減するよう、被災地外の港湾の代替・補完機能を考慮しつつ、国際海上コンテナターミナル、複合一貫輸送に対応した内貿ターミナル等において耐震強化岸壁を整備する。

(2) 船舶航行等の安全確保
 港湾及び関連航路における船舶の安全で円滑な航行並びに港湾における諸活動の安全の確保が図られるよう、船舶の大型化や高速化を勘案しつつ、防波堤、航路の整備等所要の措置を講ずる。特に、船舶の航行の著しくふくそうしている海域については、所要の施設整備によりその安全の確保について十分配慮する。
 また、プレジャーボート等の小型船の収容施設の整備により水域利用の適正化を図るとともに、異常気象時における小型船等の港内避泊が可能となるよう配慮する。

(3) 危険物取扱区域の防災上の配慮
 港湾における危険物の取扱区域を他の区域から極力分離するなど防災上の配慮を行い、万一の事故発生に際してもその被害が他に及ばないよう措置する。

6 港湾の効率的・効果的な開発
(1) 投資の効率化
 港湾の開発に当たっては、貨物需要などの要請を的確に把握し、港湾相互の機能分担や施設の拠点化など、港湾の適切な配置と効率的な施設整備を進める。また、段階的供用等による投資効果の早期発現及び建設コストの縮減に努める。さらに、老朽化し、あるいは機能が陳腐化した港湾施設については、その有効活用を図るため、適切な改良・再整備の実施、他用途への利用転換を進める。

(2) 総合的な施策の推進
 港湾背後の土地利用や交通ネットワークと連携し共同して機能するよう、他の計画や事業等と調整を図りつつ、総合的に施策を推進する。また、多様なサービスの提供が図られるよう、公共事業と民間事業を適切に組み合わせた事業や、民間の投資が円滑に行われる環境づくりについても推進する。

(3) 将来の諸要請への対応
 将来の情勢変化に柔軟に対応できるよう、港湾計画の策定に当たって適切な配慮を行うとともに、港湾機能上必要な用地については可能な限り公的保有に努める。また、港湾における適正な空間利用が図られるよう、土地の効率的かつ弾力的利用に配慮する。
 また、港湾に寄せられる多様な要請に対応し得るよう、適正な海域利用に配慮しつつ、人工島の構築、静穏海域の創出などにより自然環境と調和した新たな利用空間を形成する。

7 港湾の効率的な利用
(1) 港湾の適切な管理と運営
 港湾の健全な発展と効率的な運営が図られるよう、適正な空間利用や良好な維持管理を行う。その際、利用者ニーズ、貨物取扱いの態様等を勘案しつつ、必要に応じ港湾施設等の管理運営について第3セクター等の活用を図る。
 また、ポートセールスの活動等を促進し、港湾の一層の振興を図る。
 さらに、港湾管理者に係る入出港手続の簡素化、港湾の管理運営における情報化への対応を促進すること等を通じて港湾の管理運営費の抑制を図る。

(2) 港湾利用サービスの向上
 入出港手続の簡素化、港湾における情報化及び関連情報システムとの広範なネットワークの形成、港湾管理者と民間事業者の連携による海上輸送と陸上輸送との円滑な接続への対応等により、港湾利用者のニーズを踏まえた質の高いサービスの提供の促進や低廉な利用コストの実現に努める。
 また、港湾利用者のニーズに即して港湾施設の効率的な利用や十分な稼働時間を確保できるよう港湾関係者と連携しつつ適切な対応を図るとともに、港湾における良好な労働環境の整備に配慮する。
 さらに、時代の変化の中で港湾の効率的な利用を図る上での課題に迅速かつ的確に対応できるよう、関係行政機関、ユーザーである船社等との連絡調整に努める。

(3) 港湾相互間の連絡調整
 広域的な観点から港湾相互間の合理的な機能分担等を促進するため、港湾が相互に近接して存在する地域において、各港間の連絡調整を十分行い得る体制を拡充する。

8 港湾の開発、利用及び保全のための技術の開発と活用
(1) 技術開発の推進と成果の活用
 質の高い港湾の効率的、経済的な整備、施設の効率的な利用や維持管理、環境の改善・創造や資源の再利用、地震、津波等の防災対策等の多様な要請に対応し得るよう、技術開発を推進し、広くその成果を活用する。

(2) 幅広い分野と連携した技術開発の推進
 幅広い分野の技術との連携、国際的な技術交流・支援及び民間事業者が行う技術開発への支援を推進し、それらの成果を活用する。


II 港湾の配置、機能及び能力に関する基本的な事項

 港湾の配置、機能及び能力については、「T 港湾の開発、利用及び保全の方向に関する事項」を踏まえ、以下の基本的な考え方に基づき、港湾が多種多様の機能をあわせもつことを勘案し、各機能の有する特性及び自然的、地理的条件、その周辺地域の経済的、社会的条件、需要の動向等を考慮して、適切なものとなるように定めるものとする。

1 世界の海運ネットワークに対応した国際港湾
(1) コンテナ輸送の拠点となる国際港湾
 欧米等と結ぶ長距離基幹航路等世界に巡らされた航路網を有し、高頻度の寄港サービスが提供されるとともに、国内各地と世界とを結ぶ、国際海上コンテナ輸送の拠点となる中枢国際港湾を整備する。中枢国際港湾は、大型コンテナ船が利用できる大水深で高規格な国際海上コンテナターミナル群を有するものとし、既に国際物流の諸機能が集積している東京湾、伊勢湾、大阪湾及び北部九州に配置する。

(2) 各地域の中核となる国際港湾
 中枢国際港湾を補完するとともに、地域のコンテナ輸送に対応するため中核国際港湾を整備する。中核国際港湾は、高規格幹線道路網等との連携を考慮するとともに、欧米等と結ぶ長距離基幹航路への就航も視野に入れ、北海道、日本海中部、東東北、北関東、駿河湾沿岸、中国、南九州、沖縄の各地域に配置する。

2 近隣諸国と交流する国際港湾
 地域と近隣諸国との直接交流に対応し、地域の消費や生産活動を支えるため、アジア域内の物流等に対応した多目的国際ターミナルを有する地域国際流通港湾を整備する。地域国際流通港湾は、中枢及び中核国際港湾とあわせ、幹線道路網等との連携により港湾と半日で往復できる圏域の割合を高めるよう、国際物流関連施設の配置の状況や近隣諸国との貿易の動向を踏まえ拠点的に配置する。

3 国内流通や産業活動の拠点となる港湾
(1) 国内流通の拠点となる港湾
 地域相互間の物流に対応するための複合一貫輸送による国内流通ネットワークの形成を図るため、フェリー、内航コンテナ船等が利用できる内貿ターミナルを有する国内流通の拠点となる港湾を整備する。これらの港湾は、国際港湾の配置を考慮し、また、幹線道路網等との連携により、各地域が可能な限り港湾と半日で往復できる圏域となるよう、地方の中核都市など地域の流通の中心となるべき地点に全国的に配置する。

(2) 産業活動の拠点となる港湾
 産業活動の拠点となる港湾は、産業の発展及び地域振興の方向、産業立地条件等を勘案し、木材、穀物、機械等の輸出入や輸送形態の実態、動向等を的確に踏まえ配置する。また、エネルギー基盤としての港湾は、石油、石炭、LNG等の備蓄配分機能を備えるものとし、消費、流通等の動向を勘案して配置する。

4 地域の活動や海洋性レクリエーションを支える港湾
(1) 地域の流通や日常生活などの諸活動を支える港湾
 地域の流通を支える港湾は、内航の一般貨物船が利用できる施設を有するものとし、地域の特性や輸送の実態、動向等を踏まえ配置するとともに、必要に応じ、旅客ターミナルとしての機能を整備する。
 また、日常生活や地場産業の基盤となる港湾は、小型船等が利用できる施設を有するものとし、地域の特性や発展を勘案するとともに、地域の交流拠点としての利用や周辺港湾との連携・機能分担に配慮しつつ配置する。

(2) 海洋性レクリエーションの拠点となる港湾
 海洋性レクリエーションの拠点となる港湾は、自然条件、漁業をはじめとする海域利用の実態、地域振興の方向等を勘案し、海洋性レクリエーションの種類、性格に応じ、水際線及び水域の適正な利用に配慮しつつ配置する。特に、観光船やプレジャーボートの寄港ネットワークの形成に配慮する。

(3) 離島の生活を支える港湾
 離島においては、港湾が本土等との連絡を確保する生活に不可欠な交通基盤となっており、また交流拠点としての役割も果たしている。このため、離島航路における就航率の向上等利便性を高めるよう配慮しつつ、船舶が安全に入出港できる港湾を各島に配置するとともに、各離島の特色を踏まえつつ、旅客ターミナル施設等を整備する。

5 船舶の安全な避難機能を担う港湾
 船舶が安全に避難できる機能を担う港湾は、小型船等が異常気象を察知してから速やかに避難できる距離を目標として、自然条件及び避難船の船型等を勘案して全国的に配置するとともに、機能の向上を図る。


III 開発保全航路の配置その他開発に関する基本的な事項

 開発保全航路の開発及び保全に当たっては、航路が国際海上輸送を担う船舶、地域の生活や産業活動に係る船舶等の航行の安全性、安定性を支える重要な機能を果たしていることにかんがみ、以下の諸点を踏まえ行うものとする。

1 開発保全航路の開発及び保全の方向
 船舶の安全かつ円滑な航行の確保を図るため、良好な自然環境の保全、周辺の水域利用や漁業との調整、船舶の航行規制の状況等に配慮しつつ、必要に応じ、新規航路の開削、既存航路の拡幅・増深又は水深の維持、航路法線の改良、浮遊物除去等を行う。特に、大型船や危険物船が航行したり、航行隻数の多い湾口部や海峡部においては、船舶の大型化や高速化を勘案しつつ、小型船と大型船の分離、往復航路の分離等に配慮する。

2 開発保全航路の配置
 開発保全航路は、おおむね次のような区域を含むものとし、漁業権漁場を尊重した最小限の航路として配置する。
(1) 航行船舶の増大、大型化及び高速化により改良を必要とする区域

(2) 船舶交通の要衝の区域で、障害物の除去等により航行の安全性が増大する区域

(3) 地形、気象、海象等の自然条件により、航行の危険が多発する箇所を避けるための航路又は経路を短絡するための航路として必要な区域

(4) 航路としての機能を維持するため保全を必要とする区域

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