II 計画内容

1.国際競争力を有する物流ネットワークの形成
(1)国際海運ネットワークにおける拠点形成
i.国際海上コンテナターミナルの整備
物流コストを削減するため、コンテナ貨物量の増加、コンテナ船の大型化に対応し、国際海上コンテナターミナルの拠点的配置を推進する。
このため、東京湾、伊勢湾、大阪湾及び北部九州の4地域の中枢国際港湾(いわゆる国際ハブ港湾)において、世界に巡らされた航路網と高頻度の寄港サービスが提供されるとともに、国内各地と世界とを結ぶハブとしての機能を強化するため、大水深で高規格な国際海上コンテナターミナルの整備を推進し、相対的に地位の低下しつつある我が国港湾の国際競争力を強化する。また、北海道、日本海中部、東東北、北関東、駿河湾沿岸、中国、南九州及び沖縄の全国8地域の中核国際港湾において、地域のコンテナ輸送に対応し、中枢国際港湾を補完しつつ、成長著しい東アジア等との海運ネットワークの形成等を図るため、国際海上コンテナターミナルの整備を推進する。
上記の整備を東京港、常陸那珂港等18港において推進する。
これに要する事業費は、約6,020億円である。
ii. 多目的国際ターミナルの整備
アジアの急速な発展と産業の国際分業化の進展を背景に、アジアとの間の輸送量は急激に増加するものと見込まれる。このため、近隣諸国と連携した地域の消費や生産活動を支える役割を有する地域国際流通港湾等において、地域の需要に応じつつ、多様な荷姿の貨物を取り扱う多目的国際ターミナルの整備を伏木富山港、八代港等93港において推進する。
これに要する事業費は、約6,280億円である。
iii. 幹線臨港道路の整備
効率的な物流体系の構築を図るため、背後の幹線道路網等との有機的な接続を行うとともに、ふ頭相互間を円滑に連絡する幹線臨港道路の整備を新潟港等16港において推進する。
これに要する事業費は、約3,390億円である。
(2)複合一貫輸送等に対応した国内物流基盤の充実
i.複合一貫輸送ターミナルの整備
長距離・大量輸送に優れ、環境への負荷の少ない海運の利用を促進し、効率的な国内海上交通網を構築するため、テクノスーパーライナーの実用化の動向も踏まえつつ、長距離フェリー等の複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルの整備を堺泉北港等24港において推進する。
これに要する事業費は、約540億円である。
ii.国内物流ターミナルの整備
海運の利用を促進するとともに、産業活動の拠点やエネルギー基盤となる国内物流ターミナルの整備を姫路港等255港において推進する。
これに要する事業費は、約3,950億円である。

2.信頼性の高い空間の創造
(1)災害に強い港湾システムの構築
i.耐震強化岸壁等の整備
災害発生時において、避難者や緊急物資等の輸送を確保するため、背後の防災ネットワークと連携をとりつつ、耐震強化岸壁の整備を尼崎西宮芦屋港等78港において推進する。また、内外の基幹航路の運航を確保し、被災地内外の経済社会活動への影響を最小限に抑えるため、国際海上コンテナターミナル等について、耐震強化岸壁の整備を名古屋港等19港において推進する。
これに併せ、臨港道路等既存施設の耐震性の強化や既存岸壁の液状化対策を秋田港、三河港等37港において推進する。
これに要する事業費は、約830億円である。
ii.臨海部防災拠点等の整備
多目的に利用可能なオープンスペース、耐震強化岸壁等に緊急物資の保管施設、情報通信施設等を備えた被災地の復旧・復興の支援拠点として、背後の人口規模や都市構造等を勘案し、臨海部防災拠点の整備を神戸港等41港において推進する。
また、背後市街地内の避難地と連携した避難緑地の整備を函館港等51港において推進する。
これに要する事業費は、約1,220億円である。
(2)海上交通の安定性の向上
i.防波堤等の整備
海上交通の安定性の向上を図るため、所要の防波堤、航路、泊地の整備を常陸那珂港等65港において推進するとともに、狭水道や船舶航行の輻輳する開発保全航路の開発及び保全を関門航路等16航路において推進する。
これに要する事業費は、約5,420億円である。
ii.避難港の整備
航海中の船舶の緊急時避難に対応するため、避難港の整備を下田港等12港において推進する。
これに要する事業費は、約470億円である。

3.活力に満ちた地域づくりの推進
(1)地域の活力を支える豊かな港湾空間の創造
i.地域生活基盤の整備
離島や地方における生活物資の安定供給や地場産業の振興を促進するため、地域の生活を支える基盤となる港湾の整備を姫川港等428港において推進する。
これに要する事業費は、約4,210億円である。
ii.軌道系アクセスの整備
港湾へのアクセス、港湾における地区間相互の交通手段として、臨港鉄道等の整備を大阪港等3港において推進する。
これに要する事業費は、約80億円である。
iii.旅客ターミナルの整備
クルージング需要の増大、旅客交通の高速化への要請等に対応するため、旅客ターミナルの整備を横浜港等54港において推進する。
これに要する事業費は、約710億円である。
iv.地域交通拠点の整備
離島や地方における日常生活の足の確保を図るため、離島連絡ターミナルの整備を福江港等97港において推進する。
これに要する事業費は、約1,590億円である。
v.マリーナ等の整備
プレジャーボート等の増大に適切に対応し、海洋性レクリエーションの振興を図るため、マリーナ等の整備を新潟港、東播磨港等53港において推進する。
これに要する事業費は、約560億円である。
vi.緑地等の整備
臨海部の特性を活かし、親しみやすく利用しやすいウォーターフロントを形成するため、緑地等の整備を伏木富山港等208港において推進する。
これに要する事業費は、約770億円である。
vii.港湾再開発の推進
老朽化・陳腐化した施設については、港湾内各地区の諸機能の再配置も図りつつ、荷役形態の変化等に応じた施設の更新、改良や他用途への利用転換、市民への開放等の港湾再開発を高松港等60港において推進する。
これに要する事業費は、約1,960億円である。
viii.調査・技術開発の推進
大水深、高波浪、超軟弱地盤といった過酷な自然条件下での港湾施設の建設、良好な自然環境の創造、効率的なターミナルの整備・運営のための情報化や自動化への対応、建設コストの縮減等の要請に応えるとともに、質の高い港湾を効率的・効果的に整備するための技術開発及び調査研究を推進する。
これに要する事業費は、約280億円である。
(2)良好な港湾環境の形成
i.廃棄物海面処分場の整備
切迫する廃棄物問題に対応し、生活環境の保全に寄与するため、廃棄物海面処分場を計画的に確保する。特に、背後に大都市圏を抱える港湾においては、効率的な廃棄物処分を行うため、広域的な観点からの処分場の整備等を推進する。
上記の整備を東京港、大阪湾等61港1湾において推進する。
これに要する事業費は、約4,280億円である。
ii.海域環境の改善等
環境と共生する港湾(エコポート)の実現を図るため、生態系との共生に配慮しつつ良好な自然環境を保全するとともに、海底の堆積汚泥の除去、良質土砂による覆砂、内湾、内海におけるゴミ、油の回収、海水浄化能力の向上を図る海浜・干潟の造成、自然と生物にやさしい緑の創出等を博多港等52港3海域において推進する。
これに要する事業費は、約540億円である。


要請事業費(億円)事業予定港
1.国際競争力を有する物流ネットワークの形成 20,180  
(1)国際海運ネットワークにおける拠点形成
  国際海上コンテナターミナルの整備
  多目的国際ターミナルの整備
  幹線臨港道路の整備
15,690
6,020
6,280
3,390
 
東京港、常陸那珂湊港等18港
伏木富山港、八代港等93港
新潟港等16港
(2)複合一環輸送等に対応した国内物流基盤の充実
  複合一環輸送ターミナルの整備
  国内物流ターミナルの整備
4,490
540
3,950
 
堺泉北港等24港
姫路港等255港
2.信頼性の高い空間の創造 7,940  
(1)災害に強い港湾システムの構築
  耐震強化岸壁等の整備
  臨海部防災拠点等の整備
2,050
830
1,220
 
尼崎西芦屋港、名古屋港、秋田港、三河港等101港
神戸港、函館等88港
(2)海上交通の安全性の向上
  防波堤等の整備
  避難港の整備
5,890
5,420
470
 
常陸那珂湊等65港、関門航路等101港
下田港等12港
3.活力に満ちた地域づくりの推進 14,980  
(1)地域の活力を支える豊かな港湾空間の創造
  地域基盤の整備
  軌道系アクセスの整備
  旅客ターミナルターミナルの整備
  地域交通拠点の整備
  マリーナ等の整備
  緑地等の整備
  港湾再開発の推進
  調査・技術開発の推進
10,160
4,210
80
710
1,590
560
770
1,960
280
 
姫川港等428港
大阪等3港
横浜港等54港
福江港等54港
新潟港、東播磨港等53港
伏木富山港等208港
高松港等60港
 
(2)良好な港湾環境の形成
  廃棄物海面処分場の整備
  海域環境の改善等の整備
4,820
4,280
540
 
東京港、大阪港等61港1湾
博多港等52港3海域
合計 43,100  


III 附表

(表−1)全国港湾取扱貨物量の推定
区分平成6年
実績
(百万トン)
平成12年
推定
(百万トン)
年平均伸率
(H6〜H12)
(%)
備考
合計
外貨
(輸出)
(輸入)
<うち外貿コンテナ>
内貿
<うち内貿フェリー>
3,399
1,054
191
863
147
2,345
1,064
3,703
1,199
218
981
228
2,504
1,163
1.4
2.2
2.2
2.2
7.6
1.1
1.5
実績値は港湾統計による



実績値は港湾局調べによる
実績値は港湾統計による

(表−2)新港湾整備五箇年計画と前五箇年計画の対比表
区分前五箇年計画
(H3〜7)
新五箇年計画
(H8〜12)
投資額
(億円)
シェア
(%)
投資額
(億円)
シェア
(%)
港湾整備事業費35,90063.04,10057.5
災害関連事業・地方単独事業5,4009.56,800 9.1
港湾機能施設整備事業等9,40016.514,00018.7
小計50,70063,000
調整費6,30011.011,00014.7
合計57,000100.074,900100.0


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