[はじめに] [はじめに]

 これまで、自動車の安全・公害防止の基準及び認証等の制度は、道路交通環境や社会環境等をもとに世界各国が独自に制定し、運用してきているところである。
 一方、最近において、経済の地球的一体化(グローバリゼーション)や各産業分野における国際流通が拡大していく中で、自動車産業の多国籍化の進展やアジア地域における自動車産業の台頭等、自動車及び自動車部品の流通が世界的な広がりを見せている。国連欧州経済委員会(ECE)においては、日欧米の基準調和活動が新たな局面を迎えるとともに、アジア太平洋経済協力(APEC)等で自動車基準の国際調和や相互承認制度の導入に向けた議論が開始されるなど、自動車を取り巻く国際情勢は変化しつつある。
 このような状況において、自動車の基準及び認証等の制度に関し、日本の市場アクセスを改善するとともに、欧州及び米国はもとより、アジアも含めた世界各国と一層円滑な国際流通の推進を図るための対策が必要との認識がより高まりつつある。
 このような状況及び認識を踏まえ、平成8年11月に運輸大臣から諮問された「自動車の基準及び認証等の制度に係る国際化対応方策について」を受けて、運輸技術審議会は、自動車部会を3回、同小委員会を3回開催して審議を行い、検討の結果を取りまとめた。
 本答申の第1章では自動車の基準及び認証等の制度の現状を示すとともに、第2章では今後の安全・公害防止基準の国際的な統一化を含めた国際基準調和への取組み、第3章では自動車と装置に関する認証制度及び日本と諸外国との間で認証結果等を受け入れ合うこととなる相互承認制度の導入、第4章では開発途上国等における安全・公害防止問題に対する自動車技術分野での国際協力についてそれぞれ基本的考え方及び講ずべき諸施策を示した。また、第5章では分解整備検査等に関して国際化に有効な対応方策についてまとめた。


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