自動車検査証の有効期間等の見直しについて
−運輸技術審議会答申−
平成10年12月10日 |
<連絡先> |
自動車交通局技術安全部整備課、技術企画課 |
佐竹(内線 6562)、江角(内線 6522) |
TEL 03-3580-4806(直通) |
TEL 03-3580-5691(直通) |
TEL 03-3580-3111(代表) |
自動車の点検整備及び検査制度については、最近では、昭和58年及び平成7年に、自動車検査証の有効期間の延長、点検項目の簡素化等を行ってきたところであるが、昨今の技術の進歩等を踏まえるとともに、自動車ユーザーの負担軽減の観点から、平成10年6月に、自動車検査証の有効期間(いわゆる車検期間)及び点検整備の項目等の見直しについて、運輸大臣から運輸技術審議会に諮問を行い、同審議会において検討が進められてきたところである。
今般、8トン未満のトラックの初回の検査について、有効期間を現行の1年から2年に延長等の自動車検査証の有効期間の延長、事業用トラック等、バス、タクシーの1か月点検の廃止等の定期点検の簡素化等を内容とする答申がとりまとめられ、本日(12月10日)運輸大臣に提出された。
今後、この答申の早期実施を図るため、道路運送車両法の改正を含め、所要の準備を進めることとしたい。
- 1.諮問に至る経緯
- (1) 自動車検査証の有効期間等の見直しの基礎的なデータについて、平成9年度、「自動車の検査・点検整備に関する基礎調査検討会」において、約41万台の自動車を対象に調査を実施した。
- (2) 規制緩和推進3か年計画(平成10年3月閣議決定)において、平成9年度に実施した調査結果を踏まえ、平成10年度に具体的な結論を得て、所要の措置を講ずるよう定められた。
- (3) こうした状況を踏まえ、運輸省は、自動車検査証の有効期間等の見直しについて、平成10年6月、運輸技術審議会に諮問した。
- 2.運輸技術審議会における検討経緯
- (1) 運輸技術審議会では、運輸大臣からの諮問を受け、自動車部会に検査・整備小委員会を設け、8回にわたり小委員会を開催し、検討を行った。
- (2) 検討に当たっては、自動車の点検整備及び検査制度について、関係団体から広く意見・要望を聴取し、また、自動車の使用状況、交通事故・交通渋滞・環境問題の現状、技術進歩の状況、諸外国の状況等の自動車を取り巻く状況を踏まえ、点検整備及び検査の基本的考え方を整理した。
- これらを基本として、自動車の安全確保及び環境保全を前提に、自動車ユーザーの負担軽減にも配慮しつつ、所要の見直しについて検討した。
- 3.答申の主な内容
- (1) 自動車検査証の有効期間の見直し
- (i) 見直しの考え方
- 走行距離等の使用条件により、自動車の各部位の摩耗・劣化が進み、自動車の不具合が増加することを踏まえ、自動車の不具合の状況、自動車の使用実態、諸外国の有効期間の状況等の視点を総合的に考慮した。
- (ii)審議結果
-
・トラック | 1年 |
⇒ | 車両総重量 8トン以上:変更なし 車両総重量 8トン未満:初回のみ2年
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・バス・タクシー | 1年 |
⇒ | 変更なし |
・レンタカー乗用車 | 1年 |
⇒ | 初回のみ2年 |
・自家用乗用車 | 初回3年 以降2年
|
⇒ | 変更なし |
- (2) 定期点検等の時期及び項目の見直し
- (i) 見直しの考え方
- 自動車を点検した際に何らかの整備作業が必要とされた割合が小さい項目については、基本的に廃止又は点検時期の延長が可能であり、安全確保及び環境保全の観点から重要な項目については、現行どおりとする等の考え方に基づき、検討した。
- (ii)審議結果
-
(ア) 事業用トラック等、バス、タクシー |
・1か月点検 | 現行 25項目 |
⇒ | 廃 止(100%減) |
・3か月点検 | 現行 65項目 |
⇒ | 約 50項目(約25%減) |
・12か月点検 | 現行127項目 |
⇒ | 約100項目(約20%減) |
(イ) その他の車種についても、点検項目の簡素化を図る。 |
- (3) 定期点検等の弾力的運用
- トラック、バス等について、走行距離が短い場合は点検の一部を省略できるなど定期点検の弾力的運用を行うことができるようにする。
- (4) 今回の見直しに際しての関係者の取組
- (i) 確実な点検整備が実施されるよう、国、自動車ユーザー等の関係者は、次の施策に積極的に取り組む。
- ・検査等の機会をとらえた点検整備実施のためのユーザー啓発
- ・街頭検査の充実強化
- ・点検整備実施による経済的インセンティブの可能性の検討
- ・点検整備推進運動等の充実による点検整備実施のためのユーザー啓発
- (ii)整備事業者はユーザーニーズに対応した適切な整備サービスを提供することにより、また、自動車ユーザーは新しい整備サービスを活用することにより、点検整備及び検査に関する相互理解が得られるよう努める。
- (5) 今回の見直し後における継続的調査
- 今後とも、引き続き不具合の状況等について調査を行い、今回の見直しの状況も見極めつつ、今後、必要に応じ、点検整備の方法、有効期間等について検討する。
安全と環境に配慮した今後の自動車交通政策のあり方について
−自動車検査証の有効期間及び点検整備の項目等の見直しを中心とした今後の自動車の点検整備及び検査のあり方について−
第一次答申(平成10年12月10日)
第二次答申(平成11年 6月14日)
第二次答申・英語版(要約版)