○移動等円滑化の促進に関する基本方針  令和二年六月十八日 国家公安委員会、総務省、文部科学省、国土交通省告示第一号   改正 令和二年十二月二十五日国家公安委員会、総務省、文部科学省、国土交通省告示第二号    令和七年十二月二十六日国家公安委員会、総務省、文部科学省、国土交通省告示第一号    高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年法律第九十一号。以下「法」という。)第三条第一項の規定に基づき、高齢者、障害者等の移動又は施設の利用に係る身体の負担を軽減することにより、その移動上又は施設の利用上の利便性及び安全性を向上すること(以下「移動等円滑化」という。)の促進に関する基本方針について、国、地方公共団体、高齢者、障害者等、施設設置管理者その他の関係者が互いに連携協力しつつ移動等円滑化を総合的かつ計画的に推進していくため、以下のとおり定める。 一 移動等円滑化の意義及び目標に関する事項  1 移動等円滑化の意義   我が国においては、世界のどの国もこれまで経験したことのない本格的な高齢社会を迎え、今後更なる高齢化が進展すると見込まれており、高齢者の自立と社会参加による、健全で活力ある社会の実現が求められている。また、今日、障害者が障害のない者と同等に生活し活動する社会を目指す、ノーマライゼーションの理念の社会への浸透が進み、自立と共生の理念の下、障害の有無にかかわらず国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の実現が求められている。さらに、障害者の権利に関する条約(平成二十六年条約第一号)の締結、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)等の関連法制の整備、東京オリンピック競技大会及び東京パラリンピック競技大会の開催等を契機として、共生社会の実現を目指し、全国において更にバリアフリー化を推進するとともに、高齢者、障害者等も含めて誰もが包摂され活躍できる社会の実現に向けた取組を進めることが必要となっている。   このような社会の実現のためには、高齢者、障害者等が自立した日常生活及び社会生活を営むことができる社会を構築することが重要であり、そのための環境の整備を一刻も早く推進していくことが求められている。移動及び施設の利用は、高齢者、障害者等が社会参加をするための重要な手段であることから、移動等円滑化を促進することは、このような社会の実現のために大きな意義を持つものである。   また、移動等円滑化の促進は、高齢者、障害者等の社会参加を促進するのみでなく、「どこでも、誰でも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方に基づき、全ての利用者に利用しやすい施設及び車両等の整備を通じて、国民が生き生きと安全に暮らせる活力ある社会の維持に寄与するものである。   さらに、法第一条の二の基本理念の規定に定めるように、この法律に基づく措置は、高齢者、障害者等にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの(いわゆる「社会的障壁」)の除去及び共生社会の実現に資するものであり、移動等円滑化の促進の意義はますます大きくなっている。   なお、法にいう「高齢者、障害者等」には、高齢者、全ての障害者(身体障害者のみならず知的障害者、精神障害者及び発達障害者を含む。)、妊産婦等その他の日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者は全て含まれる。   また、障害特性は様々であり、例えば視覚障害についても、障害の程度によって期待される移動等円滑化の内容が異なることもあり得ること並びに身体の機能上の制限には、知的障害者、精神障害者、発達障害者等の知覚面又は心理面の働きが原因で発現する疲れやすさ、喉の渇き、照明への反応、表示の分かりにくさ等の負担の原因となる様々な制約が含まれることから、法が促進することとしている移動等円滑化には、このような負担を軽減することによる移動上又は施設の利用上の利便性及び安全性を向上することも含まれることに留意する必要がある。   また、移動等円滑化を進めるに当たっては、完成度を高めるために、高齢者、障害者等の意見を十分に聴き、それを反映させることが重要である。 さらに、参加者それぞれの視点及び意見を確認して論点を整理する役割を担う第三者の立場での進行役として、ファシリテーター等を設置することも有効である。当事者参画を実施することで、障害のある人もない人も、互いに支え合い、地域で生き生きと明るく豊かに暮らしていける共生社会を推進していくために、障害当事者又はその家族等の支援者等がまちづくり及び施設整備に参画することにより、障害当事者等だけではなく、その他の利用者にとってもより快適な共生社会の環境を整備することができる。 加えて、昨今の情報通信技術(ICT)の進歩・普及に鑑みて、バリアフリー分野においてもICTを活用することが求められている。より簡単にコミュニケーションを取れること及び人手不足等の課題を解消できる一方で、様々な障害特性を前提とし、障害特性又は程度に応じて選択できるなど、誰もが取り残されないように努める必要がある。  2 移動等円滑化の目標   移動等円滑化を実現するためには、高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する施設についてハード・ソフト両面の移動等円滑化のための措置が講じられ、移動等円滑化に携わる様々な者が連携することにより、移動の連続性を確保することが重要である。   したがって、法では、これらの施設を設置し、又は管理する者に対して移動等円滑化のために必要な措置を講ずるよう努める一般的な責務を課すとともに、これらの施設の中で、特に日常生活及び社会生活において通常移動手段として用いられ、又は通常利用される旅客施設及び車両等、一定の道路及び旅客特定車両停留施設、路外駐車場、公園施設並びに建築物の各々について、新設等に際し各々に対応した移動等円滑化基準への適合を義務付けることとしている。さらに、公共交通事業者等については、既存施設を含む更なるハード対策及び旅客支援等のソフト対策の一体的な取組を推進するための計画制度が設けられている。   また、市町村が定める移動等円滑化促進地区において、法第二十四条の二第一項の移動等円滑化の促進に関する方針(以下「移動等円滑化促進方針」という。)に即して、届出制度等により交通結節点における移動の連続性を確保することとしている。   さらに、市町村が定める重点整備地区において、移動等円滑化に係る特定事業その他の事業が法第二十五条第一項の移動等円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本的な構想(以下「基本構想」という。)に即して重点的かつ一体的に実施されることとしている。   移動等円滑化の促進に当たっては、国、地方公共団体、施設設置管理者、都道府県公安委員会等の関係者が必要に応じて緊密に連携しながら、法に基づく枠組みの活用等により、次に掲げる事項を達成することを目標とする。   (1) 旅客施設    個々の旅客施設における一日当たりの平均的な利用者数については、新型コロナウイルス感染症のような特殊な外的要因により、年度によっては前年度に比べ著しく増減する可能性があることから、例えば、過去三年度における一日当たりの平均的な利用者数の平均値を用いるなど、適切に補正した結果も考慮することとする。    @ 鉄道駅及び軌道停留場     一日当たりの平均的な利用者数が三千人以上である鉄道駅及び軌道停留場(以下「鉄軌道駅」という。)並びに一日当たりの平均的な利用者数が二千人以上三千人未満であって重点整備地区内の生活関連施設(高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設その他の施設をいう。以下同じ。)である鉄軌道駅については、令和十二年度までに、原則として全てについて、エレベーター又はスロープを設置することを始めとした段差の解消、ホームドア、可動式ホーム柵、点状ブロックその他の視覚障害者の転落を防止するための設備の整備、視覚障害者誘導用ブロックの整備、運行情報提供設備その他の案内設備の設置、便所がある場合には高齢者障害者等用便房の設置、券売機がある場合には障害者対応型券売機の設置、移動等円滑化された経路に改札口がある場合には拡幅改札口の設置等の移動等円滑化を実施する。この場合、地域の要請及び支援の下、鉄軌道駅の構造等の制約条件を踏まえ、可能な限りの整備を行うこととする。また、これ以外の鉄軌道駅についても、利用者数のみならず、高齢者、障害者等の利用の実態等に鑑み、基本構想及び移動等円滑化促進方針(以下「基本構想等」という。)の作成状況その他の地域の実情を踏まえて、移動等円滑化を可能な限り実施する。     ホームドア又は可動式ホーム柵については、転落及び接触事故の発生状況、プラットホームをはじめとする鉄軌道駅の構造及び利用実態、地域の実情等を勘案し、優先度が高いプラットホームでの整備の加速化を目指し、地域の支援の下、令和十二年度までに四千番線を整備する。そのうち、一日当たりの平均的な利用者数が十万人以上の鉄軌道駅において、九百番線を整備する。 また、高齢者、障害者等に迂回による過度な負担が生じないよう、鉄軌道駅及び周辺施設の状況、鉄軌道駅の利用状況、鉄軌道駅の構造等の制約条件等を踏まえ、地域の支援の下、可能な限り移動等円滑化された経路を二以上設ける。     さらに、車椅子使用者が単独で列車に乗降しやすい鉄軌道駅の整備を進めるため、駅施設、車両の構造等に応じて、十分に列車の走行の安全確保が図れることを確認しつつ、令和十二年度までに四千番線において、プラットホームと車両乗降口の段差及び隙間の縮小を進める。    A バスターミナル     一日当たりの平均的な利用者数が二千人以上であるバスターミナルについては、令和十二年度までに、原則として全てについて、段差の解消、視覚障害者誘導用ブロックの整備、運行情報提供設備その他の案内設備の設置、便所がある場合には高齢者障害者等用便房の設置等の移動等円滑化を実施する。また、これ以外のバスターミナルについても、利用者数のみならず、高齢者、障害者等の利用の実態等に鑑み、基本構想等の作成状況その他の地域の実情を踏まえて、移動等円滑化を可能な限り実施する。    B 旅客船ターミナル     一日当たりの平均的な利用者数が二千人以上である旅客船ターミナルについては、令和十二年度までに、原則として全てについて、段差の解消、視覚障害者誘導用ブロックの整備、運航情報提供設備その他の案内設備の設置、便所がある場合には高齢者障害者等用便房の設置等の移動等円滑化を実施する。また、高齢化の進む離島との間の航路等に利用する公共旅客船ターミナルについては、地域の実情を踏まえて順次、移動等円滑化を実施する。また、これ以外の旅客船ターミナルについても、利用者数のみならず、高齢者、障害者等の利用の実態等に鑑み、基本構想等の作成状況その他の地域の実情を踏まえて、移動等円滑化を可能な限り実施する。    C 航空旅客ターミナル施設     一日当たりの平均的な利用者数が二千人以上である航空旅客ターミナル施設については、令和十二年度までに、原則として全てについて、段差の解消、視覚障害者誘導用ブロックの整備、運航情報提供設備その他の案内設備の設置、便所がある場合には高齢者障害者等用便房の設置等の移動等円滑化を実施する。また、これ以外の航空旅客ターミナル施設についても、利用者数のみならず、高齢者、障害者等の利用の実態等に鑑み、基本構想等の作成状況その他の地域の実情を踏まえて、移動等円滑化を可能な限り実施する。   (2) 車両等    車両等においては、段差の解消、運行情報提供設備(福祉タクシー車両にあっては、音等による情報提供設備及び文字により意思疎通を図るための設備)の設置等の移動等円滑化を以下のとおり実施する。    @ 鉄道車両及び軌道車両     総車両数約五万二千両のうち約八十パーセントに当たる約四万千六百両について、令和十二年度までに、移動等円滑化を実施する。また、特別急行料金等を適用する車両について、車椅子用フリースペースの整備を可能な限り速やかに進める。    A 乗合バス車両     総車両数約五万五千台から乗合バス車両の構造及び設備に関する移動等円滑化基準の適用除外認定車両(以下「適用除外認定車両」という。)約一万台を除いた約四万五千台のうち、約九十パーセントに当たる約四万台について、令和十二年度までに、ノンステップバスを導入して移動等円滑化を実施する。 適用除外認定車両については、令和十二年度までに、その約二十五パーセントに当たる約二千五百台をリフト付きバス又はスロープ付きバスとするなど、高齢者、障害者等の利用の実態を踏まえて、可能な限りの移動等円滑化を実施することとしながら、運行系統別の導入状況についても、進捗状況を確認していく。また、令和十二年度までに、一日当たりの平均的な利用者数が二千人以上である航空旅客ターミナルのうち鉄軌道アクセスがない施設へのバス路線を運行する乗合バス車両については、当該施設へアクセスするバス路線の運行系統の総数の約六十パーセントについて、バリアフリー化した車両を含む運行として移動等円滑化を実施する。    B 貸切バス車両     令和十二年度までに、約二千百台のノンステップバス、リフト付きバス又はスロープ付きバスを導入して移動等円滑化を実施する。    C タクシー車両      令和十二年度までに、約九万台の福祉タクシー(ユニバーサルデザインタクシー(流し営業にも活用されることを想定し、身体障害者のほか、高齢者、妊産婦、子供連れの人等、様々な人が利用できる構造となっている福祉タクシー車両をいう。)を含む。)を導入して移動等円滑化を実施する。また、令和十二年度までに、各都道府県における総車両数の約二十五パーセントについて、ユニバーサルデザインタクシーとし、移動等円滑化を実施する。    D 船舶     一般旅客定期航路事業及び旅客不定期航路事業の用に供する総隻数約七百隻のうち約七十パーセントに当たる約四百九十隻について、令和十二年度までに、移動等円滑化を実施する。また、一日当たりの平均的な利用者数が二千人以上である旅客船ターミナルに就航する船舶については、令和十二年度までに、船舶の構造等の制約条件を踏まえて、可能な限りの移動等円滑化を実施する。     さらに、これ以外の船舶についても、高齢者、障害者等の利用の実態等を踏まえて、可能な限りの移動等円滑化を実施する。    E 航空機     現在、全ての航空機について、移動等円滑化基準に適合しているところ、引き続き、移動等円滑化基準に適合した航空機の導入を推進し、原則として全て移動等円滑化を実施する。   (3) 道路    重点整備地区内の主要な生活関連経路(生活関連施設相互間の経路をいう。以下同じ。)を構成する道路等で国土交通大臣が指定する特定道路の約七十七パーセントについて、令和十二年度までに、移動等円滑化を実施する。   (4)都市公園    @ 園路及び広場      園路及び広場(特定公園施設であるものに限る。以下同じ。)の設置された規模の大きい概ね二ヘクタール以上の都市公園の約七十パーセントについて、令和十二年度までに、園路及び広場の移動等円滑化を実施する。また、これ以外の都市公園についても、高齢者、障害者等の利用の実態等に鑑み、基本構想等の作成状況その他の地域の実情を踏まえて、園路及び広場の移動等円滑化を可能な限り実施する。    A 駐車場     駐車場の設置された規模の大きい概ね二ヘクタール以上の都市公園の約六十パーセントについて、令和十二年度までに、駐車場の移動等円滑化を実施する。また、これ以外の都市公園についても、高齢者、障害者等の利用の実態等に鑑み、基本構想等の作成状況その他の地域の実情を踏まえて、駐車場の移動等円滑化を可能な限り実施する。    B 便所     便所の設置された規模の大きい概ね二ヘクタール以上の都市公園の約七十パーセントについて、令和十二年度までに、便所の移動等円滑化を実施する。また、これ以外の都市公園についても、高齢者、障害者等の利用の実態等に鑑み、基本構想等の作成状況その他の地域の実情を踏まえて、便所の移動等円滑化を可能な限り実施する。   (5) 路外駐車場    特定路外駐車場の約三十五パーセントについて、令和十二年度までに、移動等円滑化を実施する。   (6) 建築物    床面積の合計が二千平方メートル以上の特別特定建築物(小学校、中学校、義務教育学校又は中等教育学校(前期課程に係るものに限る。)で公立のもの(以下「公立小学校等」という。)を除く。以下同じ。)においては、総ストックの約七十パーセントについて、令和十二年度までに、移動等円滑化を実施する。 また、国、都道府県又は指定都市が行う特別特定建築物の建築工事のうち、原則として当該工事に係る部分の床面積の合計が二千平方メートル以上の全ての工事について、令和十二年度までに、設計等の段階における当事者参画を実施する。 さらに、床面積の合計が二千平方メートル未満の特別特定建築物等についても、地方公共団体における条例制定の促進並びにガイドラインの作成及び周知により、移動等円滑化を実施する。    公立小学校等については、別に定めるところにより、学校設置者における高齢者障害者等用便房、スロープ、エレベーター等の設置等の移動等円滑化及び当該移動等円滑化に係る整備計画等の策定を実施するとともに、当事者参画を実施する。   (7) 信号機等    重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路に設置されている信号機等については、令和十二年度までに、原則として全ての当該道路において、音響信号機、高齢者等感応信号機等の信号機の設置、歩行者用道路であることを表示する道路標識の設置、横断歩道であることを表示する道路標示(以下「横断歩道標示」という。)の設置等の移動等円滑化を実施する。    特に、当該道路のうち、道路又は交通の状況に応じ、視覚障害者の移動上の安全性を確保することが特に必要であると認められる部分に設置されている信号機等の移動等円滑化については、令和十二年度までに、原則として全ての当該部分において、音響信号機の設置及び視覚障害者の誘導を行うための線状又は点状の突起が設けられた横断歩道標示の設置を行う。    また、当該道路以外の道路についても、高齢者、障害者等の通行の実態等に鑑み、基本構想等の作成状況その他の地域の実情を踏まえて、信号機等の移動等円滑化を可能な限り実施する。   (8) 基本構想等    移動等円滑化促進方針の作成市町村数について、令和十二年度までに、約三百五十とする。また、基本構想の作成市町村数について、令和十二年度までに、約四百五十とする。    また、基本構想等を作成した市町村のうち、当事者参画の下、継続的にスパイラルアップに取り組んでいる市町村(直近五年以内に法第二十四条の四又は第二十六条に規定する協議会等を活用して、基本構想等の事後評価又は見直し等(既存の基本構想等と別の地区における基本構想等の作成、基本構想作成後の移動等円滑化促進方針の作成、移動等円滑化促進方針作成後の基本構想の作成を含む。)を実施している市町村)の割合について、令和十二年度までに、約六十パーセントとする。   (9) 移動等円滑化に関する国民の理解と協力(心のバリアフリー)    移動等円滑化に関する国民の理解と協力を得ることが当たり前の社会となるような環境整備を推進する。また、「障害の社会モデル」の理解度について、令和十二年度までに、約六十パーセントとする。さらに、障害のある人へ支援をしようとする人の割合及び多様な他者とコミュニケーションをとって行動しようとする人の割合について、令和十二年度までに、原則として約百パーセントとする。 二 移動等円滑化のために施設設置管理者が講ずべき措置に関する基本的な事項  施設設置管理者は、利用者の利便性及び安全性の向上を図る観点から、施設及び車両等の整備、適切な役務の提供、利用者支援、適切な情報の提供、職員等関係者に対する適切な教育訓練並びに高齢者障害者等用施設等の適正な利用の推進について関係者と連携しながら、1から6までに掲げる各々の措置を適切に講ずることにより、移動等円滑化を進めることが必要である。特に、法第九条の四の計画の作成が求められる公共交通事業者等においては、法第九条の二第一項の公共交通事業者等の判断の基準となるべき事項(以下「判断基準」という。)を踏まえ、当該計画を作成し、着実にこれらの措置を講ずることが必要である。また、それ以外の公共交通事業者等においても、判断基準を踏まえ、計画的に、これらの措置を進めていくことが望ましい。  施設設置管理者が1から6までに掲げる措置を実施するに当たっては、その措置が効果的に実施されるよう、地域の実情を把握している市町村等の関係者と連携することにより、可能な限り利便性の高い動線の確保等他の施設との連続性に配慮した措置を実施し、かつ、自らが設置し、又は管理する施設に設置される設備について、施設の特性に応じて可能な限り時間的な制約がなく利用できる等移動等円滑化のために必要な措置を講ずるよう努めることが重要である。また、公共交通事業者等及び道路管理者にあっては、複数の事業者間又は鉄道及びバス等複数の交通機関間の継ぎ目となる交通結節点における移動等円滑化にも十分配慮することが重要である。特に、公共交通事業者等及び旅客特定車両停留施設を管理する道路管理者については、法第八条第八項及び第十条第九項により関係者と相互に協力して移動等円滑化に係る措置を講ずる努力義務が課されていることから、ハード・ソフト両面の乗継円滑化を実現するため、関係者との連絡調整を積極的に実施することが重要である。さらに、他の公共交通事業者等又は旅客特定車両停留施設を管理する道路管理者から移動等円滑化に係る措置に関する協議を求められた際は、法第八条第九項及び法第十条第十項により応諾義務が課されていることを踏まえ、当該協議に誠実に応じるとともに、建設的な議論を行うことが重要である。  また、施設設置管理者は、施設及び車両等の整備に当たっては、移動等円滑化のために講ずる措置について具体的な実施計画を策定すること等により順次計画的に移動等円滑化を進めていくこと、高齢者、障害者等が障害のない者と共に利用できる形での施設整備を図るユニバーサルデザインの考え方に十分留意すること、高齢者、障害者等の意見を反映させるために可能な限り計画策定等への参画を得ること等必要な措置を講ずるよう努めることが重要である。  1 施設及び車両等の整備   移動等円滑化を図るためには、まず、施設及び車両等についてのハード面の整備が必要である。したがって、法では、施設設置管理者が、自らが設置し、又は管理する旅客施設及び車両等、一定の道路及び旅客特定車両停留施設、路外駐車場、公園施設並びに建築物を新設等するときは、当該施設及び車両等の移動等円滑化基準への適合及びその維持が義務付けられており、また、既存の施設及び車両等については、施設設置管理者は、当該施設及び車両等を移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めることとされている。   施設設置管理者が、施設及び車両等について移動等円滑化のために必要な措置を講ずる際には、次に掲げる観点が重要である。    イ 高齢者、障害者等が施設内外の移動及び施設の利用を円滑に行うために必要な施設及び設備を整備し、連続した移動経路を一以上確保すること。また、経路確保に当たっては、高齢者、障害者等の移動上の利便性及び安全性の確保に配慮すること。    ロ 便所等附属する設備を設置する場合は、一以上は高齢者障害者等用にするなど、高齢者、障害者等の利用に配慮したものにすること。また、高齢者障害者等用の設備についてはその旨を示す案内用図記号を表示し、一般の利用者による高齢者、障害者等への配慮を促すこと。    ハ 新設等した施設及び車両等はもとより、既存の施設及び車両等を移動等円滑化基準に適合させた場合についても、その機能を適切に維持すること。    ニ 車両等にあっては、高齢者、障害者等の乗降及び車内での移動が容易にできるように必要な措置を講ずること。    ホ 旅客施設及び車両等並びに旅客特定車両停留施設にあっては、運行情報等公共交通機関を利用する上で必要な情報を提供するために必要な設備を整備すること。    ヘ 道路にあっては、二以上の特定旅客施設等を相互に接続する道路で高齢者、障害者等の移動が通常徒歩で行われるものがある場合は、関係道路管理者間で調整し、一以上の経路を、特定道路に指定すべき道路として国に情報提供すること。   なお、移動等円滑化基準に定められていない内容であっても、上記の観点等から移動等円滑化に資すると考えられる措置については、施設設置管理者はこれを積極的に実施していくよう努力することが望ましい。   特に、旅客施設及び旅客特定車両施設の移動等円滑化に関しては、当該施設のみでは構造上その他の理由により移動等円滑化基準への適合が困難な場合であっても、協定の締結により当該施設に必要な高齢者、障害者等の利用に配慮した便所等を隣接又は近接する建築物に設置すること及び当該建築物について容積率特例を措置している認定制度を活用すること等により、積極的に移動等円滑化を図ることが望ましい。   また、建築物の移動等円滑化に関しては、移動等円滑化が義務化されていない特定建築物の移動等円滑化にも積極的に取り組むことが望ましい。特定建築物の新築時等における移動等円滑化に当たっては、ユニバーサルデザインの考え方に配慮した整備が求められているとともに、建築物ストックの長寿命化等その有効活用が求められていることから、誘導的な建築物移動等円滑化基準に適合する特定建築物について容積率の特例及び表示制度等を措置している認定特定建築物制度を積極的に活用することが望ましい。  2 適切な役務の提供   公共交通機関の移動等円滑化を図るためには、ハード面の整備のみならず、ソフト面の適切な役務の提供が必要である。したがって、法では、公共交通事業者等及び旅客特定車両停留施設を管理する道路管理者に対し、新設等した施設及び車両等(「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(平成十二年法律第六十八号)の施行の日(平成十四年五月十五日)以後に新設等され、法附則第五条第二項の規定により、法第八条第一項に基づき新設等したものとみなされる旅客施設及び車両等を含む。)について、法第八条第二項及び第十条第三項に規定する役務の提供の方法に関する基準の遵守を義務付けている。また、既存の施設及び車両等については、移動等円滑化基準への適合状況等に応じ、法第八条第三項及び第十条第四項に規定する役務の提供の方法に関する基準を遵守するよう努めることとされている。   役務の提供の方法に関する基準の遵守にあたっては、公共交通事業者等及び旅客特定車両停留施設を管理する道路管理者は、マニュアルの作成や教育訓練を通じ、その職員等関係者に対し当該基準を遵守するための対応方法を習得させることが求められる。また、移動等円滑化基準において人的対応を行うことを前提にハード面の措置を講ずることが免除されている場合を含め、役務の提供の方法に関する基準の遵守にあたっては、適切な対応を行うために必要な体制を整備することが求められる。  3 利用者支援   移動等円滑化を図るためには、施設及び車両等についてのハード面の整備のみならず、職員等関係者によるソフト面の利用者支援が必要である。特に、公共交通事業者等及び旅客特定車両停留施設を管理する道路管理者については、法に基づき利用者支援の努力義務が定められていることから、積極的に取組を行う必要がある。   利用者支援を行う際には、利用者の意思を尊重し、敬意を持った対応を行うことが重要である。   このため、適切にコミュニケーションを取りながら、高齢者、障害者等の特性だけでなく、個人差や状況等によって異なる多様なニーズを把握することが必要である。その際、筆談やコミュニケーション支援ツールを活用するなど特性に応じたコミュニケーションをとることに留意する必要がある。また、利用者から支援を求められていないものの、困っている様子に気付いた場合には、声かけを行うとともに、支援を断られた場合であっても、安全性の確保等の観点から、見守ることが重要である。  4 適切な情報の提供   移動等円滑化を図るためには、施設及び車両等についてのハード面の整備のみならず、施設設置管理者が利用者に対して必要な情報を適切に提供することが必要である。   その際には、利用する高齢者、障害者等のニーズ、施設及び設備の用途等に応じて、例えば、移動等円滑化基準への適合状況、高齢者、障害者等が円滑に利用できる便所や駐車施設の有無、旅客施設及び旅客特定車両停留施設における路線案内、運賃案内及び運行情報等利用に当たって必要となる情報並びに緊急時の情報について、視覚情報として大きな文字又は適切な色の組合せを用いて見やすく表示すること、また、聴覚情報としてはっきりした音声により聞き取りやすく放送すること、図記号又は平仮名による表示の併記等を行うこと、必要に応じて施設外からも見やすく表示すること等、分かりやすく提供することに留意する必要がある。さらに、必要な情報について事前に把握できるよう、施設及び設備等に関する情報についてインターネットやパンフレット等により提供することが望ましい。なお、各施設及び設備等に関する情報は、施設設置管理者が個別に提供するにとどまらず、一元化することにより、より利用しやすい形で提供できることから、必要に応じて施設設置管理者間で適切に連携し、共同して提供することが望ましい。   5 職員等関係者に対する適切な教育訓練   移動等円滑化を図るためには、施設及び車両等についてのハード面の整備のみならず、職員等関係者によるソフト面の適切な対応が必要であることに鑑み、施設設置管理者は、その職員等関係者が高齢者、障害者等の多様なニーズ及び特性を理解した上で、正当な理由なくこれらの者による施設及び車両等の利用を拒むことなく、円滑なコミュニケーションを確保する等適切な対応を行うよう継続的な教育訓練を実施する必要がある。特に、公共交通事業者等及び旅客特定車両停留施設を管理する道路管理者については、法に基づき教育訓練の努力義務が定められていることから、積極的に取組を行う必要がある。   そのため、施設設置管理者は、高齢者、障害者等の意見を反映した対応マニュアルの整備及び計画的な研修の実施等をPDCAサイクルとして実施することにより、職員等関係者の教育訓練を更に充実させるよう努めるべきである。なお、その過程において、高齢者、障害者等の参画を得ることが望ましい。  6 高齢者障害者等用施設等の適正な利用の推進   移動等円滑化を図るためには、法第二条第四号に規定する高齢者障害者等用施設等について、高齢者、障害者等の円滑な利用が確保されるよう、適正な配慮が行われることが必要である。 そのため、施設設置管理者は、五2?に示す高齢者障害者等用施設等の適正な利用に係る基本的な考え方(以下「基本的な考え方」という。)を適確に理解し、職員等関係者に周知するとともに、高齢者障害者等用施設等が設置された施設及び車両等の利用者に対し、これらの施設等を当該「基本的な考え方」に即して適正に利用するよう、ポスターの掲示や車内放送による呼びかけ等の広報活動及び啓発活動を行うことが重要である。また、高齢者障害者等用施設等について、主として高齢者、障害者等の利用のために設けられたものである旨を表示し、一般の利用者が識別できるようにする必要がある。 三 移動等円滑化促進方針の指針となるべき事項  市町村は、移動等円滑化促進方針を作成する場合には、次に掲げる事項に基づいて作成する必要があり、施設設置管理者、都道府県公安委員会等の関係者は、これらの事項に留意する必要がある。  1 移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進の意義に関する事項   (1) 移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進の意義    地域における高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保するためには、高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する旅客施設、建築物等の生活関連施設及びこれらの間の経路を構成する道路、駅前広場、通路その他の施設について、一体的に移動等円滑化が図られていることが重要である。そのため、移動等円滑化促進方針において、生活関連施設が集積し、その間の移動が通常徒歩で行われる地区を移動等円滑化促進地区として定め、生活関連施設及び生活関連経路の移動等円滑化に係る方針を示すことが必要であり、できる限り多くの市町村が移動等円滑化促進方針の作成に取り組むことが重要である。   (2) 移動等円滑化促進方針作成に当たっての留意事項    市町村は、効果的に移動等円滑化を推進するため、次に掲げる事項に留意して移動等円滑化促進方針を作成する必要がある。    @ 目標の明確化     当該移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の方針について、市町村をはじめ、施設設置管理者、都道府県公安委員会等の関係者間で共通認識が醸成されることが重要である。したがって、移動等円滑化促進方針には、地域の実情に応じ、可能な限り明確な目標を設定する。    A 都市計画との調和     移動等円滑化促進方針の作成に当たっては、都市計画及び都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第十八条の二第一項に規定する市町村の都市計画に関する基本的な方針(以下「市町村マスタープラン」という。)との調和が保たれている必要がある。    B 地域公共交通計画との調和     移動等円滑化促進方針の作成に当たっては、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成十九年法律第五十九号)第五条第一項に規定する地域公共交通計画との調和が保たれている必要がある。    C 地方公共団体の移動等円滑化に関する条例、計画、構想等との調和     地方公共団体において、移動等円滑化に関する条例、計画、構想等を有している場合は、移動等円滑化促進方針はこれらとの調和が保たれている必要がある。特に、障害者基本法第十一条第三項に規定する市町村障害者計画、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第八十八条第一項に規定する市町村障害福祉計画、老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第二十条の八第一項に規定する市町村老人福祉計画等の市町村が定める高齢者、障害者等の福祉に関する計画及び中心市街地の活性化に関する法律(平成十年法律第九十二号)第九条に規定する基本計画等都市機能の増進に関する計画との調和が保たれていることに留意する必要がある。    D 関係者の意見の反映及び移動等円滑化促進方針の作成等の提案     住民、生活関連施設を利用する高齢者、障害者等その他利害関係者、関係する施設設置管理者及び都道府県公安委員会の参画により、関係者の意見が移動等円滑化促進方針に十分に反映されるよう努める。このため、移動等円滑化促進方針の作成に当たっては、法第二十四条の四に規定する協議会(以下「移動等円滑化促進方針協議会」という。)を積極的に活用し、関係者の参画を得ることが求められる。この際、既に同条第二項各号に掲げる構成員からなる協議体制度を運用している場合又は他の法令に基づいて同項各号に掲げる構成員からなる協議体制度を運用しようとする場合は、当該協議体制度を移動等円滑化促進方針協議会と位置付けることも可能である。なお、意見を求めるべき障害者には、視覚障害、聴覚障害、内部障害等の身体障害者のみならず、知的障害者、精神障害者及び発達障害者も含まれることに留意する必要がある。     また、法第二十四条の五に規定する移動等円滑化促進方針の作成等に係る提案制度が積極的に活用されるよう環境の整備に努めるとともに、当該提案を受けた際には、移動等円滑化促進方針の作成等の必要性を判断する機会と捉え、移動等円滑化促進方針の作成等について積極的な検討を行うことが求められる。なお、提案を受け検討した結果、移動等円滑化促進方針の作成等を行わない場合でも、地域のニーズに対して必要な説明責任を果たすため、同条第二項に基づきその理由を公表する必要がある。    E 都道府県による市町村に対する援助     都道府県は、市町村による移動等円滑化促進方針の作成を促進するため、市町村の境界を越えた面的バリアフリー化の調整の仲介等や、他の市町村の作成事例等の提供を行うなど、広域的な見地から支援することが重要である。    F 段階的かつ継続的な発展(スパイラルアップ)     移動等円滑化の内容については、移動等円滑化促進方針作成に係る事前の検討段階から事後の評価の段階に至るまで、高齢者、障害者等の利用者及び住民が積極的に参加し、この参加プロセスを経て得られた知見を共有化し、スパイラルアップを図ることが重要である。     そのため、市町村は、移動等円滑化促進方針が作成された後も、おおむね五年ごとに、施設を利用する高齢者、障害者等の利用の状況並びに移動等円滑化促進地区における移動等円滑化のための施設及び車両等の整備状況等を把握するとともに、移動等円滑化促進方針協議会の積極的な活用等により移動等円滑化促進方針に基づく移動等円滑化に関する措置の実施状況について評価を行い、それに基づき、必要があると認めるときは、移動等円滑化促進方針の見直し及び新たな移動等円滑化促進方針又は基本構想の作成を行うことが重要である。その際、住民、生活関連施設を利用する高齢者、障害者等その他利害関係者、関係する施設設置管理者及び都道府県公安委員会の参画により、関係者の意見が移動等円滑化促進方針に十分に反映されるよう努めることが必要である。    G 施設間の連携     交通結節点における移動の連続性を確保するため、施設設置管理者間で連携を図ることが必要である。このため、法では、旅客施設の建設、道路の新設等であって、移動等円滑化に支障を及ぼすおそれのあるものをしようとする公共交通事業者等又は道路管理者は、当該行為に着手する三十日前までに市町村に届け出ることとされている。     市町村は届出対象について、施設設置管理者が容易に判断できるように移動等円滑化促進方針に定めるものとし、当該届出対象を定めるに当たっては関係者と十分な調整を図って共通認識を確保することが必要である。また、届出があった場合において、届出に係る行為が移動等円滑化の促進を図る上で支障があると認めるときは、その届出をした者に対し必要な措置の実施を要請することができることとしており、要請に当たっては、移動等円滑化促進方針の内容との整合を図る観点から行うことが重要である。    H バリアフリーマップ等の作成     移動等円滑化を図るためには、高齢者、障害者等が利用可能な施設や経路を選択できるよう、これらの施設や経路が所在する場所を示したバリアフリーマップ等を作成することが効果的である。このため、市町村は積極的に施設等のバリアフリー情報を収集の上、バリアフリーマップ等を作成し、一元的に提供することが重要である。     また、公共交通事業者等及び道路管理者は、市町村の求めに応じて必要な情報を当該市町村に提供しなければならないこととされており、路外駐車場管理者等、公園管理者等及び建築主等は、市町村の求めに応じて必要な情報を当該市町村に提供するよう努めなければならないとされているところである。なお、市町村は、施設設置管理者に求める情報提供の内容を定めるに当たっては、移動等円滑化促進方針協議会を活用するなどにより障害者、高齢者等及び施設設置管理者等の意見を十分に反映するよう努めるとともに、施設設置管理者に過度な負担が生じないよう配慮しつつ、高齢者、障害者等にとって必要な情報が得られるよう留意することが必要である。    I 移動等円滑化に関する住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保     移動等円滑化を図るためには、単に施設や経路のハード整備のみならず、五に詳述する「心のバリアフリー」などのソフト対策についても一体的に実施することが効果的であることから、移動等円滑化促進方針を定める上では、移動等円滑化に関する住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保を図ることが重要である。  2 移動等円滑化促進地区の位置及び区域に関する基本的な事項   (1) 移動等円滑化促進地区の要件    法では、市町村は、法第二条第二十三号イからハまでに掲げる要件に該当するものを、移動等円滑化を促進すべき移動等円滑化促進地区として設定するよう努めることとされている。また、移動等円滑化促進地区の区域を定めるに当たっては、次に掲げる要件に照らし、市町村がそれぞれの地域の実情に応じて行うことが必要である。    @ 「生活関連施設の所在地を含み、かつ、生活関連施設相互間の移動が通常徒歩で行われる地区であること。」(法第二条第二十三号イ)     生活関連施設に該当する施設としては、相当数の高齢者、障害者等が利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設、病院、文化施設、商業施設、学校等多岐にわたる施設が想定されるが、具体的にどの施設を含めるかは施設の利用の状況等地域の実情を勘案して選定することが必要である。     また、生活関連施設相互間の移動が通常徒歩で行われる地区とは、生活関連施設が徒歩圏内に集積している地区をいい、原則として、生活関連施設がおおむね三以上所在し、かつ、当該施設を利用する相当数の高齢者、障害者等により、当該施設相互間の移動が徒歩で行われる地区であると見込まれることが必要である。    A 「生活関連施設及び生活関連経路を構成する一般交通用施設(道路、駅前広場、通路その他の一般交通の用に供する施設をいう。以下同じ。)について移動等円滑化を促進することが特に必要であると認められる地区であること。」(法第二条第二十三号ロ)     移動等円滑化促進地区は、移動等円滑化を促進する必要がある地区であることが必要である。     このため、高齢者、障害者等の徒歩若しくは車椅子による移動又は施設の利用、土地利用及び諸機能の集積の状況及び将来の方向性その他の事情を総合的に勘案して、当該地区において移動等円滑化を促進することが特に必要であると認められることが必要である。    B 「当該地区において移動等円滑化を促進することが、総合的な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切であると認められる地区であること。」(法第二条第二十三号ハ)     高齢者、障害者等に交流と社会参加の機会を提供する機能、消費生活の場を提供する機能、勤労の場を提供する機能など都市が有する様々な機能の増進を図る上で、移動等円滑化を促進することが、有効かつ適切であると認められることが必要である。   (2) 留意事項    市町村は、移動等円滑化促進地区を定めるに当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。    @ 移動等円滑化促進地区の数     市町村内に旅客施設が複数ある場合等、生活関連施設の集積の在り方によっては、複数の移動等円滑化促進地区を設定することも可能であるが、当該生活関連施設相互間の距離、移動の状況等地域の実情から適当と判断される場合には、一つの移動等円滑化促進地区として設定することも可能である。    A 複数の市町村及び都道府県の協力     生活関連施設の利用者が複数の市町村にまたがって移動しており、移動等円滑化促進地区の範囲が複数の市町村にまたがる場合など、当該市町村が利用者の移動の実態に鑑み適当であると認めるときは、共同して移動等円滑化促進方針を作成し、一体的に推進していくことが重要である。     また、これらの施設が大規模であり、利用者が広域にわたり、かつ、関係者間の調整が複雑となるような場合には、協議会への参加を求めるなどにより都道府県の適切な助言及び協力を求めることが重要である。    B 移動等円滑化促進地区の境界     移動等円滑化促進地区の境界は、可能な限り市町村の区域内の町境・字境、道路、河川、鉄道等の施設、都市計画道路等によって、明確に表示して定めることが必要である。  3 生活関連施設及び生活関連経路並びにこれらにおける移動等円滑化の促進に関する事項   移動等円滑化促進地区において長期的に実現されるべき移動等円滑化の姿を明らかとする観点から、生活関連施設、生活関連経路等については次に掲げるとおり記載することが望ましい。   (1) 生活関連施設    生活関連施設を選定するに当たっては、2?に留意するほか、既に移動等円滑化されている施設については、当該施設内の経路について、生活関連経路として移動等円滑化を図る場合等、一体的な移動等円滑化を図る上で対象と位置付けることが必要な施設につき記載するものとする。また、移動等円滑化のための事業の実施の有無にかかわらず、当該施設相互間の経路について、生活関連経路として移動等円滑化を図る場合等、一体的な移動等円滑化を図る上で対象と位置付けることが必要な施設につき、生活関連施設として、長期的展望を示す上で必要な範囲で記載することにも配慮する。   (2) 生活関連経路    生活関連経路についても?同様、既に移動等円滑化されている経路については、一体的な移動等円滑化を図る上で対象として位置付けることが必要な経路につき記載するものとする。その際、地域の実情に応じて、二以上の特定旅客施設等を相互に接続する道路で高齢者、障害者等の移動が通常徒歩で行われるものについて、一以上の経路を指定し、また、利用者ニーズに応じた経路選択ができるよう、幹線道路周辺の生活道路についても指定することが望ましい。また、移動等円滑化のための事業実施の有無にかかわらず、長期的展望を示す上で必要な範囲で記載することにも配慮する。   (3) 移動等円滑化の促進に関する事項    移動等円滑化促進方針の対象となる施設及び車両等においてどのような方針で移動等円滑化を図るのかについて記載するものとする。  4 移動等円滑化の促進に関する住民その他の関係者の理解の増進及び移動等円滑化の実施に関するこれらの者の協力の確保に関する基本的な事項   移動等円滑化促進地区の面的なバリアフリー化を図る上では、ハード面の整備のみならず、五に詳述する「心のバリアフリー」などのソフト対策が不可欠であることから、次に掲げる事項について記載するものとする。   (1) 移動等円滑化促進地区における移動等円滑化に住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保が果たす役割    移動等円滑化促進地区における移動等円滑化に住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保が果たす役割について、次に掲げる内容を記載することが望ましい。    @ 移動等円滑化促進地区の面的なバリアフリー化を実現し、高齢者、障害者等が安心して日常生活や社会生活を送ることができる環境を整えるためには、ハード面の整備のみならず、住民や生活関連施設の職員等の関係者が、困っている高齢者、障害者等を手助けすることや、車両の優先席、車椅子使用者用駐車施設等の移動等円滑化が図られた施設を高齢者、障害者等が円滑に利用できるよう配慮すること等の住民その他の関係者の理解及び協力が必要であること    A 住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保を図るためには、市町村や移動等円滑化促進地区内の施設設置管理者等が、児童、生徒等への教育活動や、住民、職員等に対する啓発活動等を行うことが重要であること   (2) 住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保に関する関係者の取組    住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保に関する取組について、次に掲げるとおり、市町村や生活関連施設の施設設置管理者、住民等の関係者ごとに、可能な限り具体的に記載することが望ましい。なお、移動等円滑化促進地区の移動等円滑化に資する取組であれば、移動等円滑化促進地区外で行うものや、生活関連施設の職員や通勤者等移動等円滑化促進地区の住民以外の者を対象としたものを記載することが可能である。    @ 児童、生徒等に対するバリアフリー教室や住民向けのバリアフリーに関するセミナーの開催等、住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保に関する市町村の取組の内容    A 施設や車両等の利用者に対する優先席、車椅子使用者用駐車施設等の利用に係る適正な配慮についての啓発活動の実施等、住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保に関する施設設置管理者の取組の内容    B バリアフリー教室への参加等、住民、施設及び車両等の利用者等の取組の内容  5 1から4までに掲げるもののほか、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進のために必要な事項   (1) 記載事項    @ 地域特性等の尊重及び創意工夫     移動等円滑化に関する措置の実施に当たっては、効果を高めるため、地域特性等を尊重して、様々な創意工夫に努めることが重要である。    A 積雪及び凍結に対する配慮     積雪及び凍結により移動の利便性及び安全性が損なわれる可能性がある場合は、積雪時及び路面凍結時の安全かつ円滑な移動のための除雪その他の措置を講ずるよう努めることが必要である。    B 高齢者、障害者等への適切な情報提供     施設設置管理者及び都道府県公安委員会は、高齢者、障害者等に対して、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化のために必要な情報を適切に提供するよう努めることが重要である。   (2) その他移動等円滑化促進方針の作成に当たっての留意事項    移動等円滑化促進方針は、市町村の発意及び主体性に基づき自由な発想で作成されるものであるので、この基本方針の三に定めのない事項についても移動等円滑化促進方針に記載することが望ましい。 四 基本構想の指針となるべき事項  市町村は、基本構想を作成する場合には、次に掲げる事項に基づいて作成する必要があり、施設設置管理者、都道府県公安委員会等の関係者は、これらの事項に留意する必要がある。  1 重点整備地区における移動等円滑化の意義に関する事項   (1) 重点整備地区における移動等円滑化の意義    地域における高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保するためには、高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する旅客施設、建築物等の生活関連施設及びこれらの間の経路を構成する道路、駅前広場、通路その他の施設について、一体的に移動等円滑化が図られていることが重要である。そのため、基本構想において、生活関連施設が集積し、その間の移動が通常徒歩で行われる地区を重点整備地区として定め、生活関連施設及び生活関連経路の移動等円滑化に係る各種事業を重点的かつ一体的に推進することが必要であり、出来る限り多くの市町村が基本構想の作成に取り組むことが重要である。   (2) 基本構想に即した各種事業の重点的かつ一体的な推進のための基本的視点    基本構想に即した各種事業の推進については、次に掲げる基本的視点が重要である。    @ 市町村の基本構想作成による事業の効果的な推進     重点整備地区における移動等円滑化に対する取組は、当該地区に最も身近な行政主体でありその地区における特性を十分に把握している市町村が、施設設置管理者、都道府県公安委員会等事業を実施すべき主体はもとより、高齢者、障害者等の関係者と協議等を行いながら基本構想を作成することにより、これらの事業の効果的な推進が図られることが重要である。    A 基本構想作成への関係者の積極的な協力による事業の一体的な推進     移動等円滑化に係る事業の実施主体となる施設設置管理者、都道府県公安委員会等及び高齢者、障害者等の関係者は基本構想の作成に積極的に協力し、各種事業を一体的に推進していくことが必要である。    B 地域住民等の理解及び協力     重点整備地区における移動等円滑化を図るに当たり、基本構想に位置付けられた各種事業が円滑に実施されるためには、地域住民等の理解及び協力が重要である。   (3) 基本構想作成に当たっての留意事項    市町村は、効果的に移動等円滑化を推進するため、次に掲げる事項に留意して基本構想を作成する必要がある。    @ 目標の明確化     各種事業の実施に当たっては、当該重点整備地区における移動等円滑化について、市町村を始め、施設設置管理者、都道府県公安委員会等の関係者の施策を総合的に講ずる必要があることから、各者間で共通認識が醸成されることが重要である。したがって、基本構想には、地域の実情に応じ、可能な限り具体的かつ明確な目標を設定する。    A 都市計画との調和     基本構想の作成に当たっては、都市計画及び市町村マスタープランとの調和が保たれている必要がある。    B 地域公共交通計画との調和     基本構想の作成に当たっては、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律第五条第一項に規定する地域公共交通計画との調和が保たれている必要がある。    C 地方公共団体の移動等円滑化に関する条例、計画、構想等との調和     地方公共団体において、移動等円滑化に関する条例、計画、構想等を有している場合は、基本構想はこれらとの調和が保たれている必要がある。特に、障害者基本法第十一条第三項に規定する市町村障害者計画、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第八十八条第一項に規定する市町村障害福祉計画、老人福祉法第二十条の八第一項に規定する市町村老人福祉計画等の市町村が定める高齢者、障害者等の福祉に関する計画及び中心市街地の活性化に関する法律第九条に規定する基本計画等都市機能の増進に関する計画との調和が保たれていることに留意する必要がある。    D 各種事業の連携と集中実施     移動等円滑化に係る各種の事業が相互に連携して相乗効果を生み、連続的な移動経路の確保が行われるように、施設設置管理者、都道府県公安委員会等の関係者間で必要に応じて十分な調整を図って整合性を確保するとともに、事業の集中的かつ効果的な実施を確保する。     また、複数の事業者間又は鉄道及びバス等複数の交通機関間を乗り継ぐ際の旅客施設内の移動等円滑化並びに当該市町村においてタクシー事業者、自家用有償旅客運送者等が行っているスペシャル・トランスポート・サービス(要介護者等であって単独では公共交通機関を利用することが困難な移動制約者を対象に、必要な介護などと連続して、又は一体として行われる個別的な輸送サービスをいう。)の在り方にも十分配慮する。     さらに、特定事業に係る費用の負担については、当該事業の性格を踏まえた適切な役割分担に応じた関係者間の負担の在り方について十分な調整を図って関係者間の共通認識を確保する。    E 高齢者、障害者等の意見の反映及び基本構想の作成等の提案     生活関連施設を利用する高齢者、障害者等を始め関係者の参画により、関係者の意見が基本構想に十分に反映されるよう努める。このため、基本構想の作成に当たっては、法第二十六条に規定する協議会(以下「基本構想協議会」という。)を積極的に活用し、高齢者、障害者等の参画を得ることが求められる。この際、既に同条第二項各号に掲げる構成員からなる協議体制度を運用している場合又は他の法令に基づいて同項各号に掲げる構成員からなる協議体制度を運用しようとする場合は、当該協議体制度を基本構想協議会と位置付けることも可能である。なお、意見を求めるべき障害者には、視覚障害、聴覚障害、内部障害等の身体障害者のみならず、知的障害者、精神障害者及び発達障害者も含まれることに留意する必要がある。     また、法第二十七条に規定する基本構想の作成等に係る提案制度が積極的に活用されるよう環境の整備に努めるとともに、当該提案を受けた際には、基本構想の作成等の必要性を判断する機会と捉え、基本構想の作成等について積極的な検討を行うことが求められる。なお、提案を受け検討した結果、基本構想の作成等を行わない場合でも、地域のニーズに対して必要な説明責任を果たすため、同条第二項に基づきその理由を公表する必要がある。    F 都道府県による市町村に対する援助     都道府県は、市町村による基本構想の作成を促進するため、市町村の境界を越えた面的バリアフリー化の調整の仲介等や、他の市町村の作成事例等の提供を行うなど、広域的な見地から支援することが重要である。    G 段階的かつ継続的な発展(スパイラルアップ)     移動等円滑化の内容については、基本構想作成に係る事前の検討段階から事後の評価の段階に至るまで、高齢者、障害者等の利用者及び住民が積極的に参加し、この参加プロセスを経て得られた知見を共有化し、スパイラルアップを図ることが重要である。     そのため、市町村は、基本構想が作成された後も、おおむね五年ごとに、施設を利用する高齢者、障害者等の利用の状況、重点整備地区における移動等円滑化のための施設及び車両等の整備状況等を把握するとともに、基本構想協議会の積極的な活用等により基本構想に基づき実施された事業の成果について評価を行い、それに基づき、必要があると認めるときは、基本構想の見直し及び新たな基本構想の作成を行うことが重要である。     また、法附則第二条第二号の規定による廃止前の高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律第六条第一項の規定により作成された基本構想についても、同様に見直しを行うことが重要であることに留意する必要がある。    H バリアフリーマップ等の作成     移動等円滑化を図るためには、高齢者、障害者等が利用可能な施設や経路を選択できるよう、これらの施設や経路が所在する場所を示したバリアフリーマップ等を作成することが効果的である。このため、市町村は積極的に施設等のバリアフリー情報を収集の上、バリアフリーマップ等を作成し、一元的に提供することが重要である。     また、公共交通事業者等及び道路管理者は、市町村の求めに応じて必要な情報を当該市町村に提供しなければならないこととされており、路外駐車場管理者等、公園管理者等及び建築主等は、市町村の求めに応じて必要な情報を当該市町村に提供するよう努めなければならないとされているところである。なお、市町村は、施設設置管理者に求める情報提供の内容を定めるに当たっては、基本構想協議会を活用するなどにより障害者、高齢者等及び施設設置管理者等の意見を十分に反映するよう努めるとともに、施設設置管理者に過度な負担が生じないよう配慮しつつ、高齢者、障害者等にとって必要な情報が得られるよう留意することが必要である。    I 移動等円滑化に関する住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保     移動等円滑化を図るためには、単に施設や経路のハード整備のみならず、五に詳述する「心のバリアフリー」などのソフト対策についても一体的に実施することが効果的であることから、基本構想を定める上では、教育啓発特定事業の活用を含めた移動等円滑化に関する住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保を図ることが重要である。  2 重点整備地区の位置及び区域に関する基本的な事項   (1) 重点整備地区の要件    法では、市町村は、法第二条第二十四号イからハまでに掲げる要件に該当するものを、移動等円滑化に係る事業を重点的かつ一体的に推進すべき重点整備地区として設定するよう努めることとされている。また、重点整備地区の区域を定めるに当たっては、次に掲げる要件に照らし、市町村がそれぞれの地域の実情に応じて行うことが必要である。    @ 「生活関連施設の所在地を含み、かつ、生活関連施設相互間の移動が通常徒歩で行われる地区であること。」(法第二条第二十四号イ)     生活関連施設に該当する施設としては、相当数の高齢者、障害者等が利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設、病院、文化施設、商業施設、学校等多岐にわたる施設が想定されるが、具体的にどの施設を含めるかは施設の利用の状況等地域の実情を勘案して選定することが必要である。     また、生活関連施設相互間の移動が通常徒歩で行われる地区とは、生活関連施設が徒歩圏内に集積している地区をいい、原則として、生活関連施設がおおむね三以上所在し、かつ、当該施設を利用する相当数の高齢者、障害者等により、当該施設相互間の移動が徒歩で行われる地区であると見込まれることが必要である。     なお、重点整備地区を設定する際の要件として、特定旅客施設が所在することは必ずしも必須とはならないが、連続的な移動に係る移動等円滑化の確保の重要性に鑑み、特定旅客施設を含む重点整備地区を設定することが引き続き特に求められること、及び特定旅客施設の所在地を含む重点整備地区を設定する場合には、法第二十五条第三項の規定に基づき当該特定旅客施設を生活関連施設として定めなければならないとされていることに留意する必要がある。    A 「生活関連施設及び生活関連経路を構成する一般交通用施設について移動等円滑化のための事業が実施されることが特に必要であると認められる地区であること。」(法第二条第二十四号ロ)     重点整備地区は、重点的かつ一体的に移動等円滑化のための事業を実施する必要がある地区であることが必要である。     このため、高齢者、障害者等の徒歩若しくは車椅子による移動又は施設の利用の状況、土地利用及び諸機能の集積の実態並びに将来の方向性、想定される事業の実施範囲、実現可能性等の観点から総合的に判断して、当該地区における移動等円滑化のための事業に一体性があり、当該事業の実施が特に必要であると認められることが必要である。    B 「当該地区において移動等円滑化のための事業を重点的かつ一体的に実施することが、総合的な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切であると認められる地区であること。」(法第二条第二十四号ハ)     高齢者、障害者等に交流と社会参加の機会を提供する機能、消費生活の場を提供する機能、勤労の場を提供する機能など都市が有する様々な機能の増進を図る上で、移動等円滑化のための事業が重点的に、かつ、各事業の整合性を確保して実施されることについて、実現可能性及び集中的かつ効果的な事業実施の可能性等の観点から判断して、有効かつ適切であると認められることが必要である。   (2) 留意事項    市町村は、重点整備地区を定めるに当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。    @ 重点整備地区の数     市町村内に特定旅客施設が複数ある場合等、生活関連施設の集積の在り方によっては、複数の重点整備地区を設定することも可能であるが、当該生活関連施設相互間の距離、移動の状況等地域の実情から適当と判断される場合には、一つの重点整備地区として設定することも可能である。    A 複数の市町村及び都道府県の協力     生活関連施設の利用者が複数の市町村にまたがって移動しており、重点整備地区の範囲が複数の市町村にまたがる場合など、当該市町村が利用者の移動の実態に鑑み適当であると認めるときは、共同して基本構想を作成し、一体的に推進していくことが重要である。     また、これらの施設が大規模であり、利用者が広域にわたり、かつ、関係者間の調整が複雑となるような場合には、協議会への参加を求める等により都道府県の適切な助言及び協力を求めることが重要である。    B 重点整備地区の境界     重点整備地区の境界は、可能な限り市町村の区域内の町境・字境、道路、河川、鉄道等の施設、都市計画道路等によって、明確に表示して定めることが必要である。  3 生活関連施設及び生活関連経路並びにこれらにおける移動等円滑化に関する事項   重点整備地区において長期的に実現されるべき移動等円滑化の姿を明らかとする観点から、生活関連施設、生活関連経路等については次に掲げるとおり記載することが望ましい。   (1) 生活関連施設    生活関連施設を選定するに当たっては、2?に留意するほか、既に移動等円滑化されている施設については、当該施設内の経路について、生活関連経路として移動等円滑化を図る場合等、一体的な移動等円滑化を図る上で対象と位置付けることが必要な施設につき記載するものとする。また、当面移動等円滑化のための事業を実施する見込みがない施設については、当該施設相互間の経路について、生活関連経路として移動等円滑化を図る場合等、一体的な移動等円滑化を図る上で対象と位置付けることが必要な施設につき、生活関連施設として、長期的展望を示す上で必要な範囲で記載することにも配慮する。   (2) 生活関連経路    生活関連経路についても?同様、既に移動等円滑化されている経路については、一体的な移動等円滑化を図る上で対象として位置付けることが必要な経路につき記載するものとする。その際、地域の実情に応じて、二以上の特定旅客施設等を相互に接続する道路で高齢者、障害者等の移動が通常徒歩で行われるものについて、一以上の経路を指定し、また、利用者ニーズに応じた経路選択ができるよう、幹線道路周辺の生活道路についても指定することが望ましい。また、当面移動等円滑化のための事業実施の見込みがない経路については、長期的展望を示す上で必要な範囲で記載することにも配慮する。   (3) 移動等円滑化に関する事項    基本構想の対象となる施設及び車両等において実施される移動等円滑化の内容について記載するものとする。当面具体的な事業実施に見込みがないものについては、事業実施の見込みが明らかになった段階で記載内容を追加又は変更する等基本構想を見直し、移動等円滑化の促進を図るものとする。  4 生活関連施設、特定車両及び生活関連経路を構成する一般交通用施設について移動等円滑化のために実施すべき特定事業その他の事業に関する基本的な事項   (1) 特定事業    特定事業としては、公共交通特定事業、道路特定事業、路外駐車場特定事業、都市公園特定事業、建築物特定事業、交通安全特定事業及び教育啓発特定事業があり、各々の事業の特性を踏まえ、必要となる事業について基本構想に記載するものとする。    なお、法第二十五条第二項第三号括弧書に規定されているとおり、旅客施設の所在地を含まない重点整備地区にあっては、当該重点整備地区と同一の市町村の区域内に所在する特定旅客施設との間の円滑な移動を確保するために、当該特定旅客施設の移動等円滑化を図る事業及び当該重点整備地区と当該特定旅客施設を結ぶ特定車両の移動等円滑化を図る事業についても、公共交通特定事業として記載することが可能である。    また、教育啓発特定事業については、重点整備地区の移動等円滑化に資する取組であれば、重点整備地区外で行うものや、生活関連施設の職員や通勤者等重点整備地区の住民以外の者を対象としたものを記載することが可能である。さらに、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第七十七条第一項第一号の規定に基づき市町村が実施する地域生活支援事業(理解促進研修・啓発事業)と連携して行うことが可能である。    一般的には、建築物特定事業の対象となり得る生活関連施設である建築物が多数存在することから、基本構想作成時の協議及び事業実施を確実かつ円滑に行うためには、対象となる生活関連施設の規模及び利用状況等、他の特定事業との関連等について、当該地域の実情に照らして判断し、必要性等の高いものから基本構想に順次位置付けていくことが望ましい。    また、事業の着手予定時期、実施予定期間について可能な限り具体的かつ明確に記載することとし、当面事業の実施の見込みがない場合にあっては、事業の具体化に向けた検討の方向性等について記載し、事業が具体化した段階で、基本構想を適宜変更して事業の内容について記載を追加するものとする。   (2) その他の事業    その他の事業としては、特定旅客施設以外の旅客施設、生活関連経路を構成する駅前広場、通路等(河川施設、港湾施設、下水道施設等が生活関連経路を構成する場合にあっては、これらの施設を含む。)の整備があり、おおむねの事業内容を基本構想に記載するものとする。   (3) 留意事項    市町村は、基本構想を作成しようとするときは、これに定めようとする特定事業その他の事業に関する事項について、関係する施設設置管理者、都道府県公安委員会及び学校(学校については、教育啓発特定事業のうち法第二条第三十二号イに掲げる事業を定めようとする場合に限る。)等と十分に事前に協議することが必要であり、事業の記載に当たっては、高齢者、障害者等の移動又は施設の利用の状況、都市計画及び市町村マスタープランの位置付け、事業を実施することとなる者の意向等を踏まえることが重要である。    また、特定事業を記載するに当たっては、事業を実施することとなる者の意向等を踏まえること並びに関連する特定事業間の連携及び調整を図ることが必要不可欠であることから、協議会制度を有効に活用し、基本構想の作成及び事業実施の円滑化を図ることが求められる。なお、協議会において協議が調った事項については、協議会の構成員はその協議の結果を尊重しなければならないこととされていることに留意する必要がある。    特定事業その他の事業については、合理的かつ効率的な施設及び車両等の整備及び管理を行うことを念頭に、生活関連施設及び生活関連経路の利用者、利用状況及び移動手段並びに生活関連経路周辺の道路交通環境及び居住環境を勘案して記載することが必要である。この際、特定事業その他の事業の実施に当たっては、交通の安全及び円滑の確保並びに生活環境の保全についても配慮する必要があることに留意する必要がある。    また、交通安全特定事業のうち違法駐車行為の防止のための事業に関しては、歩道及び視覚障害者誘導用ブロック上等の自動二輪車等の違法駐車、横断歩道及びバス停留所付近の違法駐車等、移動等円滑化を特に阻害する違法駐車行為の防止に資する事業が重点的に推進されるとの内容が基本構想に反映されるよう留意する必要がある。  5 4に規定する事業と併せて実施する土地区画整理事業、市街地再開発事業その他の市街地開発事業に関し移動等円滑化のために考慮すべき基本的な事項、自転車その他の車両の駐車のための施設の整備に関する事項その他の重点整備地区における移動等円滑化に資する市街地の整備改善に関する基本的な事項その他重点整備地区における移動等円滑化のために必要な事項   (1) 土地区画整理事業、市街地再開発事業その他の市街地開発事業に関する基本的な事項    重点整備地区における重点的かつ一体的な移動等円滑化を図るために実施される4に規定する事業を実施する場合、重点整備地区における市街地の状況並びに生活関連施設及び生活関連経路の配置の状況によっては、これらの事業を単独で行うのではなく、土地区画整理事業、市街地再開発事業その他の市街地開発事業と併せて行うことが効果的な場合がある。    @ 具体的事業の内容     4に規定する事業と併せて行う事業の選択に当たっては、高齢者、障害者等の移動又は施設の利用の状況、都市計画及び市町村マスタープランの位置付け等を踏まえて判断することが重要である。    A 記載事項     基本構想には、事業の種類、おおむねの位置又は区域等をそれぞれ記載するものとする。     なお、土地区画整理事業の換地計画において定める保留地の特例を活用し、土地区画整理事業と併せて生活関連施設又は一般交通用施設(土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)第二条第五項に規定する公共施設を除く。)であって基本構想において定められた施設を整備しようとする場合には、それぞれの施設の主な用途、おおむねの位置等についても記載する必要がある。   (2) 自転車その他の車両の駐車のための施設の整備に関する事項その他の重点整備地区における移動等円滑化に資する市街地の整備改善に関する基本的な事項    移動等円滑化の妨げとなっている自転車その他の車両の放置及び違法駐車を防止するための抜本的な施策として、駐輪場等自転車その他の車両の駐車のための施設を特定事業その他の事業と一体的に整備することは極めて有効であることから、具体的な位置等これらの整備に関するおおむねの内容を記載するほか、その他の重点整備地区における移動等円滑化に資する市街地の整備改善に関する事項について記載することとする。   (3) その他重点整備地区における移動等円滑化のために必要な事項    @ 推進体制の整備     基本構想に位置付けられた各種の事業を円滑かつ効果的に実施していくためには、基本構想の作成段階又は基本構想に基づく各種の事業の準備段階から、関係者が十分な情報交換を行いつつ連携を図ることが必要であり、協議会を有効に活用することが求められる。    A 事業推進上の留意点     イ 地域特性等の尊重及び創意工夫      各種の事業の実施に当たっては、事業効果を高めるため、地域特性等を尊重して、様々な創意工夫に努めることが重要である。     ロ 積雪及び凍結に対する配慮      積雪及び凍結により移動の利便性及び安全性が損なわれる可能性がある場合は、積雪時及び路面凍結時の安全かつ円滑な移動のための除雪その他の措置を講ずるよう努めることが必要である。     ハ 特定事業に関する公的な支援措置の内容      基本構想に即して特定事業を円滑に実施するため公的な支援措置が講じられる場合には、その内容を明確にすることが重要である。     ニ 基本構想に即した特定事業計画の作成上の留意事項      施設設置管理者及び都道府県公安委員会が基本構想に即して特定事業計画を作成するに当たっては、早期作成の重要性を十分認識するとともに、協議会を活用することによって当事者である高齢者、障害者等を始め関係者の参画を図ること等により、関係者の意見が特定事業計画に十分に反映されるよう努めることが重要である。特に、教育啓発特定事業のうち第二条第三十二号イに掲げる事業に係る特定事業計画を作成する際は、計画作成段階で学校の意見を十分に聴くことが円滑かつ確実な事業の実施のために重要である。     ホ 基本構想作成後の特定事業その他の事業の実施状況の把握等      基本構想作成後、特定事業その他の事業が早期に、かつ、当該基本構想で明記された目標に沿って順調に進展するよう、市町村は、事業の実施状況の把握、これに係る情報提供、協議会の活用等による事業を実施すべき者との連絡調整の適切な実施等事業の進展に努めることが必要である。     ヘ 高齢者、障害者等への適切な情報提供      施設設置管理者及び都道府県公安委員会は、高齢者、障害者等に対して、重点整備地区における移動等円滑化のために必要な情報を適切に提供するよう努めることが重要である。    B その他基本構想の作成及び事業の実施に当たっての留意事項      基本構想は、市町村の発意及び主体性に基づき自由な発想で作成されるものであるので、この基本方針の四に定めのない事項についても基本構想に記載することが望ましい。 五 移動等円滑化の促進に関する国民の理解の増進及び移動等円滑化の実施に関する国民の協力の確保に関する基本的な事項  1 「心のバリアフリー」の定義及び取組に当たっての留意事項   移動等円滑化を実現するためには、施設及び車両等の整備のみならず、国民の高齢者、障害者等の移動等円滑化に関する理解及び協力、いわゆる「心のバリアフリー」が不可欠である。「心のバリアフリー」とは、ユニバーサルデザイン2020行動計画(平成二十九年二月ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議決定)に記載のとおり、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことを意味し、当該行動計画においては次に掲げる三点が「心のバリアフリー」を体現するためのポイントとして示されている。   @ 障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。   A 障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。   B 自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。    移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」の取組についても、これらのポイントを踏まえて推進することが必要である。  2 移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」の取組の推進に当たっての関係者の基本的な役割   (1) 国の役割    「心のバリアフリー」を推進するためには、障害の有無にかかわらず参加者全員がバリアフリーを考える参加型イベントが効果的であることを踏まえ、国は広報活動、啓発活動、教育活動等を通じて、移動等円滑化の促進に関する関係者の連携及び国民の理解を深めるとともに、高齢者、障害者等の移動等円滑化のために必要となる支援、高齢者、障害者等の高齢者障害者等用施設等の円滑な利用を確保する上で必要となる適正な配慮その他の移動等円滑化の実施に関する国民の協力を求めるよう努める。なお、法にいう「高齢者、障害者等」には、高齢者、全ての障害者(身体障害者のみならず知的障害者、精神障害者及び発達障害者を含む。)及び妊産婦等、日常生活又は社会生活において身体の機能上の制限を受ける者は全て含まれることについても、改めて周知を行う。   (2) 地方公共団体の役割    地方公共団体においては、国の取組に準じ、広報活動、啓発活動、教育活動等を通じて住民の「心のバリアフリー」の推進に努める。    とりわけ、市町村においては、基本構想に教育啓発特定事業を位置付けることを通じ、関係者を巻き込みながら「心のバリアフリー」の取組を計画的に進めていくことが望ましい。   (3) 施設設置管理者その他高齢者、障害者等が日常生活及び社会生活において利用する施設を設置又は管理する者の役割    施設設置管理者その他高齢者、障害者等が日常生活及び社会生活において利用する施設を設置又は管理する者は、継続的な教育訓練を通じ、職員等に対し、高齢者、障害者等と適切なコミュニケーションを取りながら積極的に声かけや支援を行うよう促す。さらに、職員等関係者のみならず、施設の一般の利用者が、困っている高齢者、障害者等を手助けすることや、車両の優先席、車椅子使用者用駐車施設等の利用について配慮することが、高齢者、障害者等の移動等円滑化に重要であることに鑑み、一般の利用者の「心のバリアフリー」を推進するための広報活動及び啓発活動等を行うよう努めることが望ましい。   (4) 国民の役割    @ 基本的な役割     国民は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性並びにそのために高齢者、障害者等の円滑な移動及び施設の利用を実現することの必要性について理解を深めるよう努めなければならない。その際、外見上分かりづらい知的障害、精神障害、発達障害、認知症、内部障害、聴覚障害等、障害には多様な特性があることに留意する必要がある。     また、視覚障害者誘導用ブロック上への駐輪、車椅子使用者用駐車施設への駐車等により高齢者、障害者等の施設の利用等を妨げないことのみならず、鉄道駅の利用に当たり、必要に応じ高齢者、障害者等を手助けすること等、高齢者、障害者等の移動等円滑化のために必要となる支援その他のこれらの者の円滑な移動及び施設の利用を確保することに積極的に協力することが求められる。     加えて、「心のバリアフリー」の実践に資するため、積極的に国、地方公共団体等が行う啓発活動等に参加することが望ましい。    A 高齢者障害者等用施設等の適正な利用     @に加え、法第二条第四号に規定する高齢者障害者等用施設等については、次に掲げる適正な利用に係る基本的な考え方に即し、高齢者、障害者等の円滑な利用が確保されるよう適正に配慮することが重要である。なお、法にいう「高齢者、障害者等」には、高齢者、全ての障害者(身体障害者のみならず知的障害者、精神障害者及び発達障害者を含む。)及び妊産婦等、日常生活又は社会生活において身体の機能上の制限を受ける者は全て含まれる。     イ 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行規則(平成十八年国土交通省令第百十号。以下「規則」という。)第一条第一号に規定する便所又は便房が設置された施設又は車両等の利用者(高齢者、障害者等及び乳幼児を同伴する者を除く。)は、近傍の一般の便所又は便房の利用が困難な場合その他のやむを得ない場合を除き、可能な限り同号に規定する便所又は便房の利用を控え、又は高齢者、障害者等に譲る等、適正な配慮をするよう努めなければならない。     ロ 規則第一条第二号に規定する駐車施設又は停車施設が設置された施設の利用者(車椅子使用者その他の障害者等を除く。)は、当該駐車施設又は停車施設の利用について施設設置管理者の承諾を得ている場合を除き、当該駐車施設又は停車施設の利用を控え、又は車椅子使用者その他の障害者に譲る等、適正な配慮をするよう努めなければならない。     ハ 規則第一条第三号に規定するエレベーターが設置された旅客施設又は旅客特定車両停留施設の利用者(高齢者、障害者等及び乳幼児を同伴する者を除く。)は、体調不良その他のやむを得ない場合を除き、高齢者、障害者等に当該エレベーターの利用を譲る等、適正な配慮をするよう努めなければならない。     ニ 規則第一条第四号に規定する車椅子スペースが設置された車両等の利用者(車椅子使用者及びベビーカーを使用する者を除く。)は、車椅子使用者に当 該車椅子スペースの利用を譲る等、適正な配慮をするよう努めなければならない。     ホ 規則第一条第五号に規定する優先席又は基準適合客席が設置された旅客施設、旅客特定車両停留施設又は車両等の利用者(高齢者、障害者等及び乳幼児を同伴する者を除く。)は、体調不良その他のやむを得ない場合を除き、高齢者、障害者等に当該優先席又は基準適合客席の利用を譲る等、適正な配慮をするよう努めなければならない。 六 移動等円滑化に関する情報提供に関する基本的な事項  1 移動等円滑化に関する情報提供の重要性   高齢者、障害者等の移動及び施設の利用に当たって、高齢者、障害者等が自らの障害特性に応じて、移動に係る経路若しくは手段又は利用可能な施設を選択するためには、移動等円滑化に関する情報の取得が不可欠である。また、災害等の緊急時において、公共交通機関や施設等を利用している高齢者、障害者等の安全を確保するためには、避難等に係る必要な情報が迅速かつ確実に提供されるよう、情報提供に関する環境を整備する必要がある。   法は、施設設置管理者に対する情報提供の努力義務や市町村によるバリアフリーマップの作成等、各種の情報提供に関する措置を規定しているが、情報提供に当たっては、このような移動等円滑化に関する情報の重要性を十分に理解した上で、取り組むことが必要である。さらに、国においても、施設設置管理者等による移動等円滑化のための事業の実施状況に関する情報が確実に収集され、利用しやすいよう加工された上で、利用者に提供されるような環境の確保に努めることとする。  2 観光施設に係る移動等円滑化に関する情報提供   生活の本拠の周辺地域以外の場所における移動等円滑化が高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保する上で重要な役割を果たすことに鑑み、高齢者、障害者等が日常生活でなじみのない施設を利用しようとする際に、事前にハード・ソフト両面のバリアフリー情報を適確に把握できる環境を整備する必要がある。   このため、国は、宿泊施設、飲食店その他の観光施設について、高齢者、障害者等が円滑に利用するために必要な用具の備付け、バリアフリー情報の提供その他の必要な措置を講じている施設を認定する仕組みを整備した。また、認定を受けた施設が掲出する認定マークを策定するとともに、バリアフリー情報が高齢者、障害者等のもとによりわかりやすい形で提供されることを推進する。 七 移動等円滑化の促進のための施策に関する基本的な事項その他移動等円滑化の促進に関する事項  1 国の責務及び講ずべき措置   (1) 国の責務(スパイラルアップ)    国は、高齢者、障害者等、地方公共団体、施設設置管理者その他の者と協力して、基本方針及びこれに基づく施設設置管理者の講ずべき措置の内容その他の移動等円滑化の促進のための施策の内容について、移動等円滑化の進展の状況等を勘案しつつ、関係行政機関及びこれらの者で構成する会議における定期的な評価その他これらの者の意見を反映させるために必要な措置を講じた上で、適時に、かつ、適切な方法により検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう努めることにより、スパイラルアップを図るものとする。    (2) 国の講ずべき措置(地方公共団体に対する助言・指導、設備投資等に対する支援及び研究開発等)    国は、全国の地方公共団体における移動等円滑化に係る取組の知見や、バリアフリー教室の開催等の経験を活用し、移動等円滑化促進方針や基本構想について障害当事者や施設設置管理者等と調整しながら作成を進める手法や、法第五条に基づき国の施策に準じて移動等円滑化を促進するために必要な措置を講ずるためのノウハウ等について、地方公共団体に対して助言・指導を行うなど必要な援助を行う。    また、施設設置管理者等による移動等円滑化のための措置を促進するため、設備投資等に対する必要な支援措置を講ずる。    さらに、国は、移動等円滑化を目的とした施設及び車両等に係る新たな設備等(情報を提供する手法に係るものを含む。以下同じ。)の実用化及び標準化、既存の設備等の利便性及び安全性の向上、新たな設備等の導入に係るコストの低減化等のための調査及び情報通信技術等の研究開発の促進を図るとともに、それらの成果が幅広く活用されるよう、施設設置管理者等に提供するほか、地方公共団体による移動等円滑化のための施設の整備に対する主体的な取組を尊重しつつ、地方公共団体が選択可能な各種支援措置の整備を行う。    なお、道路の移動等円滑化に関しては、国が、二以上の特定旅客施設等を相互に接続する道路で高齢者、障害者等の移動が通常徒歩で行われるものについて、一以上の経路を特定道路に指定するものとする。また、建築物の移動等円滑化に関しては、国は、地方公共団体が、条例を定めることにより、義務付け対象となる用途の追加及び規模の引下げ並びに基準の強化を行っている状況について、地方公共団体に対して情報提供するものとする。  2 地方公共団体の責務及び講ずべき措置   地方公共団体は、地域住民の福祉の増進を図る観点から、国の施策に準じ、1に掲げる責務を果たすとともに、措置を講ずることが必要である。特に、地域の実情に即して、移動等円滑化のための事業に対する支援措置、移動等円滑化に関する地域住民の理解を深めるための広報活動等移動等円滑化を促進するために必要な措置を総合的かつ計画的に講ずるよう努めるとともに、移動等円滑化促進方針協議会を活用すること等により移動等円滑化の進展の状況等の定期的な評価を行うよう努めることが必要である。   なお、建築物の移動等円滑化に関しては、地方公共団体が所要の事項を条例に定めることにより、対象区域を設定して義務付け対象となる用途の追加及び規模の引き下げ並びに基準の強化をすることで地域の実情に応じた建築物の移動等円滑化を図ることが可能な仕組みとなっているので、積極的な活用に努めることが必要である。また、建築物の部分のうち駅等に設けられる一定の要件を満たす通路等については、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第五十二条第十四項第一号の規定による容積率制限の特例を受けることが可能であるので、同法に規定する特定行政庁は、当該規定の適切な運用に努めることが重要である。  3 施設設置管理者以外の高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する施設を設置又は管理する者の責務   高齢者、障害者等の円滑な移動及び施設の利用を実現するために、地下街、自由通路、駅前広場その他の高齢者、障害者等が日常生活及び社会生活において移動手段として利用し得る施設を設置し、又は管理する者においても、移動等円滑化のために必要な措置を講ずるよう努めることが必要である。     附 則 (平成十二年十一月十五日国家公安委員会、運輸省、建設省、自治省、告示第一号) 附 則 (平成十六年十月十四日総務省、国土交通省告示第一号) 附 則 (平成二十三年三月三十一日国家公安委員会、総務省、国土交通省告示第一号) この告示は、公布の日から施行する。 附 則 (平成三十年十月十九日国家公安委員会、総務省、国土交通省告示第一号) この告示は、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行 の日(平成三十年十一月一日)から施行する。 附 則 (平成三十一年二月四日国家公安委員会、総務省、国土交通省告示第一号) この告示は、平成三十一年四月一日から施行する。  附 則 (令和二年六月十八日国家公安委員会、総務省、文部科学省、国土交通省告示第一号)【全】 この告示は、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律(令和二年法律第二十八号)附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日(令和二年六月十九日)から施行する。 附 則 (令和二年十二月二十五日国家公安委員会、総務省、文部科学省、国土交通省告示第二号)  この告示は、令和三年四月一日から施行する。 附 則 (令和七年十二月二十六日国家公安委員会、総務省、文部科学省、国土交通省告示第一号)  この告示は、令和八年四月一日から施行する。