表紙 移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン(改訂版) 令和8年4月 国土交通省 総合政策局 共生社会政策課 目次 【はじめに】 Ⅰ 移動等円滑化促進方針及びバリアフリー基本構想作成に関する内容 第1章 移動等円滑化促進方針(マスタープラン)及びバリアフリー基本構想とは 1 1-1  マスタープランの概要 1 1-2  マスタープランの目的と必要性 2 1-3  基本構想の概要 4 1-4  基本構想の目的と必要性 6 1-5  住民等の参加 9 1-6  マスタープランと基本構想の作成イメージ 10 第2章 ガイドラインの概要 18 2-1  ガイドラインの目的と位置づけ 18 2-2  ガイドラインの活用方法 19 第3章 移動等円滑化促進方針(マスタープラン)及びバリアフリー基本構想 作成にあたって 20 3-1  マスタープラン及び基本構想の作成手順 20 3-2  庁内体制の構築 23 3-3  協議会の設置・運営 27 3-4  住民参加と意見の反映 32 3-5  民間事業者との調整 38 3-6  都道府県による市町村に対する支援について 40 3-7  マスタープラン・基本構想作成に係る助成制度 44 Ⅱ 移動等円滑化促進方針の作成 第4章 移動等円滑化促進方針(マスタープラン)の作成 49 4-1  マスタープラン作成における全体的な留意点 49 4-2  マスタープランに明示すべき事項 53 4-3  移動等円滑化促進地区の設定 57 4-4  生活関連施設・生活関連経路の設定 61 4-5  心のバリアフリー 66 4-6  届出制度について 74 4-7  施設設置管理者からの情報提供について 79 4-8  情報アクセス・コミュニケーション 84 4-9  地域特性等に応じた施策 88 4-10 移動等円滑化の促進に関するその他の取組 94 第5章 移動等円滑化促進方針(マスタープラン)の評価・見直し 95 5-1  マスタープランの事後評価 95 5-2  マスタープランの見直し 98 Ⅲ バリアフリー基本構想の作成 第6章 バリアフリー基本構想の作成 103 6-1  基本構想作成における全体的な留意点 103 6-2  基本構想に明示すべき事項 107 6-3  重点整備地区の設定 111 6-4  生活関連施設・生活関連経路の設定 119 6-5  特定事業の実施 121 6-6  移動等円滑化のためのその他の事業 126 6-7  市街地再開発事業に関する移動等円滑化、駐車施設の整備に関する事項 127 6-8  心のバリアフリー 128 6-9  施設設置管理者間の連携 129 6-10 施設設置管理者からの情報提供について 130 6-11 情報アクセス・コミュニケーション 131 6-12 地域特性等に応じた施策 131 6-13 移動等円滑化に関するその他の取組 131 第7章 バリアフリー基本構想の評価・見直し 132 7-1  基本構想の進行管理と事後評価 132 7-2  基本構想の見直し 141 第8章 特定事業計画の作成 146 8-1  特定事業計画の作成体制と作成手順 146 マスタープラン及び基本構想の提出について 参考資料編は、以下のウェブサイトに掲載しています。 URL:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000012.html 事例目次 ※赤字は新たに追加した事例 NO. 事例の内容 事業主体 頁 1 マスタープランを作成し段階的に基本構想を作成している事例 福島県福島市 13 2 マスタープランを作成した後に基本構想を作成した事例 北海道長万部町 14 3 マスタープランと基本構想を一体的に作成した事例 大分県大分市 15 4 マスタープランと基本構想を一体的に作成した事例 兵庫県明石市 16 5 他の行政計画とマスタープラン・基本構想を一体的に作成した事例 福島県郡山市 17 6 都市部における庁内検討体制の構築例 東京都台東区 25 7 自治体内における教育訓練(人材育成) 兵庫県神戸市 26 8 福祉のまちづくり推進協議会を活用して基本構想を作成した事例 東京都町田市 31 9 住民組織の提案による簡素な基本構想(素案)の例 茨城県土浦市 35 10 住民組織の提案による基本構想(素案)の例 山梨県上野原市 35 11 住民組織の提案による基本構想作成の年次経過の例 奈良県上牧町 36 12 住民提案に対する市町村の充実した支援の例 神奈川県横浜市 37 13 都道府県による市町村への支援の事例(管内市町村の作成状況の提供) 奈良県、東京都 41 14 都道府県による市町村への支援の事例(財政的支援) 東京都、大阪府 42 15 都道府県による市町村への支援の事例(セミナーの開催) 奈良県 43 16 都道府県による市町村への支援の事例(ガイドラインの策定) 東京都 43 17 移動等円滑化促進地区の設定事例 富山県射水市 59 18 移動等円滑化促進地区の設定事例 福岡県飯塚市 59 19 移動等円滑化促進地区の設定事例 大阪府池田市 60 20 生活関連経路の設定事例 兵庫県明石市 64 21 「心のバリアフリー」に関する記載事例 岩手県遠野市 68 22 「心のバリアフリー」に関する記載事例 奈良県奈良市 69 23 「心のバリアフリー」に関する取組の記載事例 山口県宇部市 69 24 啓発・広報活動の事例 - 70 25 教育活動の事例 秋田県秋田市 71 26 ヘルプカードの事例 東京都 71 27 啓発・教育活動の事例 兵庫県明石市 72 28 障害者差別解消法における合理的配慮の記載例 東京都杉並区 73 29 マスタープランにおける届出制度の記載事例 三重県伊勢市 76 30 施設間連携(駅・公園・バスターミナルの連携)の事例 東京都江戸川区 76 31 施設間連携(駅・タクシー乗り場・バス停の連携)の事例 東京都江戸川区 77 32 施設間連携(鉄道駅における乗り継ぎの連携)の事例 京都府京都市 78 33 情報提供の事例(毎年の施設設置管理者からの情報提供の仕組み) 山口県宇部市 79 34 バリアフリーマップの事例 大阪府高槻市 81 35 マスタープラン作成過程でのまち歩き点検・バリアフリーマップ作成の事例 岩手県遠野市 81 36 施設情報等をデジタル化している事例 兵庫県神戸市 82 37 マスタープランにデジタル技術の活用を位置付けている事例 大阪府豊中市 82 38 コミュニケーション支援ボードの事例 東京都荒川区、交通エコロジー・モビリティ財団 85 39 ソフト施策と一体化した取組事例(遠隔手話サービスの公共交通機関への導入) 鳥取県・JR西日本 85 40 ソフト施策と一体化した取組事例 香川県難聴児(者)親の会 86 41 情報保障の事例 東京都荒川区、文京区、中野区 87 42 ハードと一体化した取組事例 - 87 43 観光地の事例 奈良県奈良市 89 44 積雪・寒冷地の事例 北海道滝川市 89 45 地方部の事例 岐阜県多治見市 90 46 都市部の連携事例 東京都荒川区 東京都台東区 90 47 商店街を対象とした事例 北海道札幌市 91 48 商店街を対象とした事例 東京都世田谷区 91 49 AIを活用したデマンド交通の実証事例 東京都杉並区 92 50 重点整備地区に鉄道駅を含まない事例 大阪府高槻市 92 51 村で初めて基本構想を作成した事例 福島県泉崎村 93 52 マスタープランの事後評価の事例 山口県宇部市 96 53 マスタープランの事後評価の事例 大阪府豊中市 97 54 マスタープランの見直しにより地区を追加した事例 東京都大田区 99 55 特定事業に関する公的支援措置を活用した事例 大阪府高槻市 105 56 重点整備地区の設定例 東京都小金井市 112 57 重点整備地区の設定例 大阪府吹田市・豊中市 113 58 重点整備地区の再設定例 京都府京都市 114 59 市町村の境界を越えて生活関連施設と経路を設定している事例 東京都足立区 115 60 重点整備地区の選定例 東京都荒川区 116 61 地域の実情に合わせて重点整備地区を選定している事例 和歌山県那智勝浦町 117 62 小規模な重点整備地区の事例 富山県黒部市 118 63 小規模な重点整備地区の事例 岡山県里庄町 118 64 生活関連施設及び生活関連経路の設定例 北海道滝川市 120 65 生活関連施設及び生活関連経路の設定例 北海道札幌市 120 66 特定事業に関する施設設置管理者との調整方法 東京都町田市 122 67 施設整備に向けて当事者参画を図っている事例 大阪府豊中市 125 68 駐車施設の設置に関する記載事項例 兵庫県神戸市 127 69 車椅子使用者用駐車施設の適正な利用の推進事例 埼玉県川口市 128 70 バリアフリー教室の開催事例 奈良県香芝市 128 71 進行管理体制の事例 千葉県市原市 133 72 基本構想作成時の協議会体制を管理段階に継続している事例 東京都北区 134 73 事業の進行管理の事例 大阪府高槻市 135 74 事後評価の事例 埼玉県さいたま市 136 75 施設見学会による事後評価を施設のバリアフリー化へ反映した事例 東京都北区 137 76 特定事業の定量的評価の事例 埼玉県さいたま市 138 77 特定事業等の進捗状況を分かりやすく公表している事例 東京都目黒区 139 78 基本構想の事後評価の事例 東京都町田市 140 79 市街化進展や施設の立地状況変化から重点整備地区を見直した事例 神奈川県川崎市 143 80 自治体の全体構想と地区別構想を見直した事例 東京都北区 144 81 進捗状況を把握して基本構想における記載内容の見直しを実施 兵庫県神戸市 145 82 特定事業計画書・特定事業計画完了報告書の記載例 静岡県静岡市 147 83 教育啓発特定事業計画書の記載例 - 148 【はじめに】 バリアフリー法※1において、市町村は、国が定める基本方針に基づき、単独で又は共同して、当該市町村の区域内の旅客施設を中心とする地区や、高齢者、障害者等が利用する施設が集まった地区について、移動等円滑化の促進に関する方針(移動等円滑化促進方針)及び移動等円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本的な構想(基本構想)を作成するよう努めるものとされています。 まちなかにおける移動等の円滑化を図るためには、個々の施設のバリアフリー化だけではなく、建築物や道路等の連続性を確保した「面的・一体的なバリアフリー化」が必要不可欠です。この「面的・一体的なバリアフリー化」を図るため、移動等円滑化促進方針及び基本構想の活用が有効であり、各自治体において、これらの制度を活用した取組がより進展することが期待されています。 本ガイドラインは、移動等円滑化促進方針及び基本構想を新たに作成しようとする場合や、既に作成されている方針や構想を見直す際に活用していただくことを目的としたものです。この度、令和7年6月にとりまとめられた「主要課題の対応方針及びバリアフリー法に基づく基本方針における第4次目標について 最終とりまとめ」において示された、地域特性を踏まえたバリアフリーまちづくりを推進するための対応方針等を踏まえ、主に以下の観点で内容の見直し及び拡充を図り、令和8年4月にガイドラインを改訂しました。 ・地域特性を踏まえた移動等円滑化促進方針及び基本構想の作成に関する記載の追加 ・他の行政計画等と連携した効果的・効率的な移動等円滑化促進方針及び基本構想の作成に関する記載の追加 ・移動等円滑化促進方針におけるスパイラルアップの記載の追加 ・上記の記載の追加に対応する事例の充実 また、令和6年4月に施行された改正障害者差別解消法※2に基づいて、事業者による障害のある人への「合理的配慮※3の提供」が義務化されるなど、引き続き共生社会の実現に向けてハード・ソフトの両面での幅広い取組が求められております。 これらを踏まえつつ、移動等円滑化促進方針及び基本構想を活用した各自治体の取組が進展するため、本ガイドラインが一助となることを願います。 ※1 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成18年法律第91号) ※2 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号) ※3 「合理的配慮」とは、障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに負担が重すぎない範囲で対応することが求められるもの。 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)の概要 ※令和2年法改正の内容について、赤字は令和2年6月19日施行 青字は令和3年4月1日施行 1.国が定める基本方針 ○移動等円滑化の意義及び目標 ○移動等円滑化促進方針(マスタープラン)の指針 ○移動等円滑化基本構想の指針 ○情報提供に関する事項 ○施設設置管理者が講ずべき措置 ○国民の理解の増進及び協力の確保に関する事項 ○その他移動等の円滑化の促進に関する事項 2.国、地方公共団体、施設設置管理者、国民の責務 3.公共交通施設や建築物等のバリアフリー化の推進 ハード面の移動等円滑化基準の適合については、新設等は義務、既存は努力義務 新設等・既存にかかわらず、基本方針において各施設の整備目標を設定し、整備推進 各施設設置管理者に対し、情報提供、優先席・車椅子用駐車施設等の適正利用推進のための広報・啓発活動の努力義務 公共交通事業者に対し、以下の事項を義務・努力義務化 ・旅客施設等を使用した役務の提供の方法に関するソフト基準の遵守 (新設等は義務、既存は努力義務) ・他の公共交通事業者等からの協議への応諾義務 ・旅客支援、職員に対する教育訓練の努力義務 ・ハード・ソフト取組計画の作成・取組状況の報告・公表義務(一定規模以上の公共交通事業者等) 4.地域における重点的・一体的なバリアフリー化の推進 ・マスタープランや基本構想に基づき、地域における重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進 ・基本構想には、ハード整備に関する特定事業と「心のバリアフリー」に関する教育啓発特定事業を位置づけ、関係者による取組を促進(マスタープランには具体的な事業の位置づけは不要) ・定期的な評価・見直しの努力義務 5.当事者による評価 ○ 高齢者、障害者等の関係者で構成する会議を設置し、定期的に、移動等円滑化の進展の状況を把握・評価(移動等円滑化評価会議) Ⅰ 移動等円滑化促進方針及びバリアフリー基本構想作成に関する内容 1ページ 第1章 移動等円滑化促進方針(マスタープラン)及びバリアフリー基本構想とは 1-1 マスタープランの概要 バリアフリー法では、高齢者、障害者等の移動や施設利用の利便性・安全性向上を促進するために、公共交通機関、建築物、公共施設のバリアフリー化を推進することとされています。 同法による移動等円滑化促進方針(以下「マスタープラン」という。)は、旅客施設を中心とした地区や、高齢者、障害者等が利用する施設が集まった地区(「移動等円滑化促進地区」)において、面的・一体的なバリアフリー化の方針を市町村が示すもので、広くバリアフリーについて考え方を共有し、具体の事業計画であるバリアフリー基本構想(以下「基本構想」という。)の作成に繋げていくことをねらいとしたものです。 なお、マスタープランにおいては、市域全体のバリアフリーに関する方針についても明確にした上で、当該方針を踏まえた移動等円滑化促進地区を設定することが望ましいです。 <マスタープラン・基本構想のイメージ図> 2ページ 1-2 マスタープランの目的と必要性 地域における高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保するためには、高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する旅客施設、建築物等の生活関連施設及びこれらの間の経路を構成する道路、駅前広場、通路その他の施設について、一体的に移動等円滑化が図られていることが重要です。 このため、バリアフリー法に基づく基本構想制度により面的・一体的なバリアフリー化を推進してきたところです。 基本構想の作成にあたっての課題として、具体の事業に関する調整が難航すること等が挙げられていることから、平成30年のバリアフリー法の改正において、具体的な事業化の動きがない状況でも基本構想の前段として、生活関連施設が集積し、その間の移動が通常徒歩で行われる地区(移動等円滑化促進地区)において、バリアフリー化の方針を示すマスタープラン制度が創設されました。 マスタープラン制度を活用してバリアフリー化の方針を示すことにより、広くバリアフリーの考え方が共有されるとともに、次に示す効果が期待され、誰もが暮らしやすいまちづくりに繋がります。また、外出機会の増大により、まちの活性化も期待されます。 さらに、マスタープランを作成した後も、関係者とバリアフリー化の状況等について継続的に確認し、必要に応じてマスタープランの見直しや具体的な事業の調整が可能になった時点で、出来るだけ速やかに基本構想の作成に移行していくことが重要です。 なお、「高齢者、障害者等」には、高齢者、障害者(身体障害者・知的障害者・精神障害者・発達障害者を含む全ての障害者)のみならず、妊産婦やけが人等が含まれます。 マスタープラン作成の効果 マスタープランの作成により、基本構想を作成していない市町村や基本構想を作成していない地区等で、道路や駅等の旅客施設、建築物等の具体的な施設のバリアフリー化事業の調整が難しい段階においてもバリアフリー化の重要性を打ち出すことが可能です。また、基本構想作成済みの市町村においても、複数の重点整備地区を包括したエリアや、市域全体のバリアフリー化の方針を打ち出すことが重要です。 さらに、マスタープランを積極的に作成していくことにより、関係者間の機運が醸成され、基本構想作成へのステップアップに繋げることも可能です。 特に、市町村の基本計画や都市計画マスタープラン、地域福祉計画など、市町村が目指す方向性や戦略に合わせてマスタープランの作成を検討することで、多様な住民への福祉の増進に寄与するものとなったり、住民だけでなく多様な来訪者が訪れやすくなり、まちの活性化にも繋がります。 例えば、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした共生社会の実現に向けて、バリアフリーの整備を推進したり、「心のバリアフリー」を推進してきた「共生社会ホストタウン」と呼ばれる自治体や、SDGs(Sustainable Development 3ページ Goals)未来都市を目指して、住み続けられるまちづくりの一環としてマスタープランを作成している市町村もあり、それぞれの市町村が抱える様々な課題や戦略を、マスタープランの作成により実現していくことが可能となります。 なお、基本構想作成済みの地区においても、新たな事業の設定に至らない場合には、更なるバリアフリー化の促進に向けてマスタープラン制度を活用し、バリアフリー化の方針を再設定することもできます。 当事者のまちづくりへの参加 ・マスタープラン又は基本構想を作成する場合には、地域住民である高齢者、障害者等の意見を反映するための措置を講ずることが必要とされているため、当事者の参加によって誰もが暮らしやすいまちづくりが可能となる。 事業に関する調整の容易化 ・市町村が目指す一定のバリアフリー化の方向性を示すことで、複数の関係者間で認識が共有され、事業者が事業化に向けた準備期間を設けることができる。 ・後述の届出制度を通じて事業者との調整が可能となるなど、段階的な施設のバリアフリー整備が可能となる。 届出制度による交通結節点における施設間連携の推進 ・旅客施設と道路の境界等のバリアフリー化が連続して確保されていないために、結果として高齢者、障害者等が利用できない状態となっている場合があるため、旅客施設と道路の境界等において改修等を行う場合に事前に市町村に届け出てもらうことで、改修内容を変更する等の要請を行うことができるなど、施設間の連携を図ることができる。 バリアフリーマップの作成等の円滑化 ・マスタープラン又は基本構想にバリアフリーマップの作成等について明記した場合、各施設管理者等は、バリアフリーの状況について、市町村の求めに応じて旅客施設及び道路については情報提供しなければならない旨、建築物、路外駐車場、公園については情報提供に努めなければならない旨を規定しており、円滑な情報収集が可能となる。 道路や公園等のバリアフリー化に関する交付金の重点配分 ・防災・安全交付金における道路事業について、鉄道との結節点における自由通路等の歩行空間のユニバーサルデザイン化を図る場合、マスタープラン又は基本構想に位置づけられた地区は重点配分の対象となる。 ・社会資本整備総合交付金等における市街地整備事業や都市公園・緑地等事業等において、歩行空間の整備や公園施設のユニバーサルデザイン化を図る場合、マスタープラン又は基本構想に位置づけられた地区は重点配分の対象となる。(令和2年度以降) 4ページ 1-3 基本構想の概要 バリアフリー法における基本構想は、旅客施設を中心とした地区や、高齢者、障害者等が利用する施設が集まった地区(「重点整備地区」)において、公共交通機関、建築物、道路、路外駐車場、都市公園、信号機等のバリアフリー化を重点的かつ一体的に推進するために市町村が作成するもので、重点整備地区における移動の連続性の観点から「面的・一体的なバリアフリー化」を図ることをねらいとしたものです。 基本構想のイメージ図 5ページ 基本構想のイメージ図 6ページ 1-4 基本構想の目的と必要性 新設・新築を行う一定の施設等には、移動等円滑化基準への適合義務が課せられており、バリアフリー化が図られます。一方、基準への適合義務が課されない既存の施設等は、基本構想に特定事業として定めることで、特定事業を実施する者に特定事業計画の作成とこれに基づく事業の実施義務が課せられ、バリアフリー化を図ることができます。また、施設の境界等でバリアフリー整備が不連続にならないよう、協議会等により施設管理者相互の連携・調整を行い、面的・一体的なバリアフリー化を図ることができます。 このように、基本構想は既存の施設等のバリアフリー化と、相当数の高齢者、障害者等が利用する旅客施設、官公庁施設等多様な施設(生活関連施設)を結ぶ経路の面的・一体的なバリアフリー化を図ることを目的とするものです。 面的なバリアフリー化を図ることにより、高齢者や障害者等が移動する際、施設を利用する際の利便性や安全性の向上が図られ、誰もが暮らしやすいまちづくりに繋がります。また、外出機会の増大により、まちの活性化も期待されます。 なお、基本構想を作成し、特定事業が完了した後であっても(場合によっては、特定事業の実施途中であっても)、作成当時には想定していなかった課題(新しい福祉施設が重点整備地区内に移転してきた、バリアフリールートの2ルート目の確保が必要になった等)が発見された場合は基本構想を見直し、継続的に改善を図っていくことが重要です。 基本構想作成の効果 基本構想もマスタープランと同様に市町村が目指す方向性や戦略に合わせて作成を検討することで、市町村が抱える様々な課題を解決し、戦略を実現していくことが可能です。 なお、基本構想の作成により、具体の事業化を進めていくことができ、それに合わせて地方債特例や補助金等の優遇措置を受けることができます。 当事者のまちづくりへの参加 ・マスタープラン又は基本構想を作成する場合には、地域住民である高齢者、障害者等の意見を反映するための措置を講ずることが必要とされているため、当事者の参画によって誰もが暮らしやすいまちづくりが可能となる。 既存施設も含めたバリアフリー整備の推進 ・特定事業を設定することにより、既存施設についてもバリアフリー整備の義務化の対象となり、バリアフリー化を推進することが可能となる。 バリアフリーマップ作成等の円滑化 ・マスタープランと同様の情報提供制度を規定しており、円滑な情報収集が可能となる(P.3「バリアフリーマップの作成等の円滑化」参照)。 7ページ 公共交通特定事業計画に係る地方債の特例 ・旅客施設におけるバリアフリー整備について、基本構想に即して実施する公共交通特定事業で国庫補助金の交付対象となるもの(地方財政法第5条第5号に規定する公共施設等の建設事業に限る。)に関する助成を行う場合に、当該助成に要する経費が地方財政法第5条に該当しない場合(公共的団体等に該当しない団体に対する助成)であっても、地方債の対象経費とすることができる。 公共施設等適正管理推進事業債(ユニバーサルデザイン化事業)の活用 ・基本構想に基づく公共施設等のバリアフリー改修事業等については、一定の要件のもと、公共施設等適正管理推進事業債におけるユニバーサルデザイン化事業の対象となる。 (充当率:90%、交付税措置率:30%(財政力に応じて最大50%まで引上げ)) 対象事業 ○ バリアフリー法に基づく公共施設等のバリアフリー改修事業や、その他の公共施設等のユニバーサルデザイン化のための改修事業 バリアフリー改修の例・・・バリアフリートイレ等の整備、出入口の段差解消、エレベーターの整備、視覚障害者誘導用ブロックの整備 等 その他のユニバーサルデザイン改修の例・・・授乳室や託児室の整備、多言語による案内を行うための施設整備、観光施設等における洋式トイレの整備 等 【事業イメージ】 デジタルサイネージの整備 事業費:数十万円から数百万円(1台) バリアフリートイレの整備 事業費:400万円程度 出入口の段差解消 事業費:30万円程度 道路、公園等及び鉄道駅のバリアフリー化に関する交付金・補助金の重点配分 ・防災・安全交付金における道路事業について、鉄道との結節点における自由通路等の歩行空間のユニバーサルデザイン化を図る場合、マスタープラン又は基本構想に位置づけられた地区は、重点配分の対象となる。 ・社会資本整備総合交付金等における市街地整備事業や都市公園・緑地等事業等において、歩行空間の整備や公園施設のユニバーサルデザイン化を図る場合、マスタープラン又は基本構想に位置づけられた地区は、重点配分の対象となる。(令和2年度以降) ・鉄道駅のバリアフリー化の整備に関する補助制度について、基本構想に位置づけられた鉄道駅の事業は、補助金の重点配分の対象となる。 8ページ 駅前広場の整備 歩道の高さまで路面を持ち上げたり、乗降場所から歩道までスロープでつないだりすることによって、車いす使用者や高齢者等がバスやタクシー等を利用する際に乗降しやすい環境を整備します。 駅前広場の整備により、連続性のある快適な移動空間を提供することができます。 エレベーターの整備 エレベーターの設置により、車いす使用者や高齢者等の上下移動が確保されます。 駅舎等の移動の際の家族や介助者の負担軽減をはじめ、自由な外出機会の創出につながります。 歩道の整備 視覚障害者誘導用ブロックの敷設や幅広に舗装された歩道等は、視覚障害者や車いす使用者等の安心・安全な歩行環境を提供できます。 障害者等への歩行環境の整備効果だけでなく、歩道から店舗への出入が容易になり、地域の商店等の活性化にも期待できます。 バス停の整備 単にバス停を設置するのではなく、視覚障害者等でも快適に利用できるように、視覚障害者誘導用ブロックの敷設やベンチ、屋根といった関連設備も同時に整備することにより、障害者等の外出への心理的負担の軽減、外出機会の増加につながります。 「地域公共交通計画」や「福祉のまちづくり条例」等のみであっても、法の移動等円滑化基準(移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準を定める省令等)に基づいて、バリアフリー化は進みますが、重点整備地区を定め、既存の施設を含めて面的・一体的なバリアフリー化を図る観点からも、基本構想制度の活用が求められます。 9ページ 1-5 住民等の参加 まちのバリアフリー整備にあたっては、高齢者や障害者等の住民参加を図り、住民等の意向を反映することが重要です。まちの課題や問題の所在については、既に住民等が把握している可能性もあるため、自治体は住民等が把握している情報を確認したり、住民参加のもとでまち歩き点検等を実施したりするなど、まずは地域のバリアフリー状況を知ることから始めます。その結果、面的・一体的なバリアフリー化がされていない場合は、着実に整備を進める上でマスタープランや基本構想を作成することは非常に効果的です。 マスタープランや基本構想の素案は多くの場合、自治体が作成していますが、住民提案制度※を活用した住民発意によるマスタープラン及び基本構想の作成も可能です。住民等はまち歩き点検や、バリアフリーについての話し合いの結果から、マスタープランにおける移動等円滑化の促進のために必要な事項の提案や、基本構想において設定することとなるバリアフリー化すべき特定施設や特定経路について、どこに課題があるかを整理し、自治体に対してマスタープランや基本構想の作成を提案することができます。 ※バリアフリー法第24条の5及び第27条に基づき市町村に対してマスタープラン及び基本構想の作成や変更をすることを提案することができる。  住民参加のイメージ図 10ページ 1-6 マスタープランと基本構想の作成イメージ 基本構想の作成に向けた関係事業者間との調整が困難な段階においては、マスタープランの作成から着手することが考えられます。マスタープランの作成にあたっては、移動等円滑化促進地区における方針に併せて、市全体の方針を示すことが重要です。また、マスタープランの作成により、移動等円滑化促進地区において駅等の改修をする場合に事業者等から届出を受ける制度の活用等を通じて、事業者間の調整を行うきっかけとなります。 こうした事業者とのやりとりを通じて、具体の事業に関する調整の目途が立った段階においては、基本構想の作成へ移行して具体の事業を推進しましょう。 このように、マスタープランの作成を契機として、事業化に向けた施設設置管理者との調整を継続的に実施することが重要であり、特定事業として具体の事業を推進することが可能な基本構想の作成へ積極的に繋げていくことが重要です。 また、関係する事業者間の調整が可能である場合には、従前どおりマスタープランの作成によらず基本構想へ着手することもできますが、あらかじめ移動等円滑化促進地区が示されていることにより、当該地区を円滑に重点整備地区として設定することが可能になるため、マスタープランを先行して作成しておくことが有効です。なお、基本構想の作成にあたっては、移動等円滑化促進方針を残したまま、そこに重ねて重点整備地区を設定することや、移動等円滑化促進地区の一部のみを重点整備地区とすることが可能であるため、地域の実情に合わせた設定をしましょう。 バリアフリー化の全体的な方針を示すマスタープランと具体的な事業を位置付ける基本構想の違いを踏まえ、既に基本構想を作成している自治体においても、市域全体のバリアフリー化を推進するため、積極的にマスタープランの作成を検討することが重要です。 また、計画作成に係る事務負担を軽減するため、他の行政計画(地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく地域公共交通計画等)の作成・見直しにあわせて基本構想等を一体的に作成・見直すことも考えられます。その他、マスタープランと基本構想を一体的に作成することや、作成済みの基本構想の見直しとあわせたマスタープランの作成など、市町村の計画作成の状況に応じて柔軟に対応することが考えられます。 次頁より、「基本構想未作成の市町村」と「基本構想作成済の市町村」の各場合において想定されるマスタープラン及び基本構想の作成方針について例示します。 <マスタープランと基本構想の違い> ● マスタープランの内容 ~施策別の方針を記載~ 事業の方針 (道路) ・歩道の設置、無電柱化等により安全に移動できる道路を目指す (公共交通) ・駅では、高齢者や障害者等の利用状況を踏まえ、施設や設備等のバリアフリー化を推進する (建築物) ・道路から敷地、施設内まで連続的なバリアフリー経路を確保する 具体化 ● 基本構想の内容 ~具体的な事業を記載~ 事業の具体化 (道路) 歩行空間の改善 ・電線共同溝による歩行空間の拡幅  ・視覚障害者誘導用ブロックの設置    (公共交通) 駅舎のバリアフリー整備 ・エレベーターの設置 ・バリアフリートイレの整備 ・プラットホーム等のバリアフリー化 (建築物) 施設のバリアフリー整備 ・段差解消のため、スロープ等の設置 ・視覚障害者誘導用ブロックの敷設 11ページ <基本構想未作成の市町村の場合> イメージ図 12ページ <基本構想未作成の市町村の場合> イメージ図 13ページ 事例 マスタープランを作成し段階的に基本構想を作成している事例 <福島県福島市> 福島市では、令和3年6月に作成したマスタープランで6地区の移動等円滑化促進地区を設定し、人口や各施設の集積度合い、観光客入込数等の状況より優先順位を決め、基本構想の作成を順次進めています。(令和8年3月時点では3地区作成。) 先にマスタープランを作成し、地区の大枠を決定して方針を示したことで、基本構想を作成する際に地区の選定から始めなくてよいため、計画作成の効率化に繋がっています。 図 移動等円滑化促進地区の位置 事例 説明終わり 14ページ 事例 マスタープランを作成した後に基本構想を作成した事例 <北海道長万部町>  長万部町では、今後開業が予定されている北海道新幹線の新駅が設置されることを契機に、都市計画マスタープランや立地適正化計画等で示すまちづくりの方向性と整合を図りながら、令和3年3月にマスタープランを策定しました。 マスタープランでバリアフリー化の方針を定めて準備期間を設けつつ、令和6年12月に作成した基本構想では、移動等円滑化促進地区のうち、長万部駅を中心として、公共施設の集積が高く、また、新幹線開業に向け、東西駅前広場やアクセス道路整備など様々な事業が連動して実施される予定の地区を重点整備地区に設定しました。 図 移動等円滑化促進地区の位置・区域 図 重点整備地区の位置・区域 事例 説明終わり 15ページ 事例 マスタープランと基本構想を一体的に作成した事例 <大分県大分市> 大分市では、平成16年3月及び平成26年3月にバリアフリー基本構想を作成し、1地区を重点整備地区に設定していました。その後、バリアフリー法が改正されたことや共生社会ホストタウンとして認定を受けたこと等を踏まえ、旧基本構想をもとに令和2年4月にマスタープランと基本構想を同時作成し、5年後の令和7年4月に改定を行っています。 マスタープランでは4地区を移動等円滑化促進地区とし、駅の利用者数や地区整備の優位性、緊急性、有効性等を考慮して、そのうち2地区を重点整備地区に設定しています。 協議会の継続的な開催により、障害当事者をはじめとした住民等の意見の反映を促進しながら、マスタープランや基本構想に基づく取組の進捗確認や整備事業の検証・評価を行い、スパイラルアップを図っています。 図 重点整備地区の位置・区域> 図 検討体制のイメージ> 事例 説明終わり 16ページ 事例 マスタープランと基本構想を一体的に作成した事例 <兵庫県明石市> 明石市では、既存の基本構想の見直しに際して、市域全体の面的・一体的なバリアフリー化の可能性を確認し、新たにマスタープランを策定しました。マスタープランでは、策定済みの基本構想で重点整備地区等として位置づけていた地区に加え、地域発案があった地区等を追加し計12地区の移動等円滑化促進地区を設定しています。移動等円滑化促進地区毎のまちづくりの進捗状況や核となる駅等のハード整備事業の実施見込みを踏まえ、見込みが立った地区から順次基本構想の作成に着手しており、一体的な計画とする予定です。 図 計画の構成(関係法令・計画等との関係) 図 移動等円滑化促進地区の位置・区域 図 地区ごとの基本構想策定スケジュール 事例 説明終わり 17ページ 事例 他の行政計画とマスタープラン・基本構想を一体的に作成した事例<福島県郡山市> 郡山市では、これまで別々に作成していた「総合都市交通戦略」「地域公共交通網形成計画」「バリアフリー基本構想」について、検討事項や検討体制が類似していたことから、検討の合理化のため双方の計画相互間の連携を行うとともに、検討体制を一本化し、統合した「郡山市総合交通計画マスタープラン」を策定しました。 庁内の関係部局、庁外の関係団体、外部組織と調整に要する協議会等を1つの協議会にまとめることができたため、作業の効率化が図られたほか、各種計画の統合により、一体的に進行管理が行えるため運用の効率化に繋がっています。 図 計画の位置づけ> 図 郡山市総合交通計画マスタープランの構成> 第1章 現状と課題 第2章 本市の都市づくりの方向性 第3章 総合交通計画マスタープランの基本的な方針及び目標等 第4章 目標実現に向けた交通施策及び施策別のプロジェクト 第5章 バリアフリー化の推進に関して 5ー2 移動等円滑化促進方針(バリアフリーマスタープラン) 5ー3 移動等円滑化基本構想(バリアフリー基本構想) 第6章 計画の評価方法と進行管理 事例 説明終わり 18ページ 第2章 ガイドラインの概要 2-1 ガイドラインの目的と位置づけ ガイドラインの目的 全国でマスタープラン・基本構想を作成していない市町村はまだまだ多く、今後も積極的にマスタープラン及び基本構想の作成を推進していく必要があります。 また、作成済みの基本構想のうち、旧交通バリアフリー法に基づく基本構想を含めて、作成されてから見直しが行われていないものも多く、現在の実態に合わせた基本構想の見直しや、その前段としてマスタープランを作成することが求められます。 さらに、作成済みの基本構想において、マスタープラン制度に類似するバリアフリー方針の作成や促進地区の設定等に市町村が独自に取り組んだ事例も多くあり、令和2年5月改正のバリアフリー法に規定されたマスタープラン制度として位置づけることによって、届出制度等の新たな制度の活用が可能となります。 本ガイドラインは、自治体における基本構想の有無に応じて、以下の場面における活用を目的としています。 ガイドラインの位置づけ 本ガイドラインは、市町村が作成するマスタープラン及び基本構想について、関係事業者との調整や住民参加による検討を含む各種作業を円滑に進めるための体制、マスタープラン及び基本構想で明確に記述すべき事項、その他留意点等を示したものです。 なお、本ガイドラインは、マスタープラン及び基本構想の作成・見直しにあたり活用することを想定しているものであり、旅客施設、車両、道路、路外駐車場、都市公園、建築物等の移動等円滑化基準の技術的な基準に係る具体的な解説は行っていません。移動等円滑化基準の解説に関しては、各基準及びガイドラインを参照してください。 19ページ 2-2 ガイドラインの活用方法 活用方法1:マスタープラン・基本構想作成に際して マスタープラン及び基本構想を作成する上で必要となる、住民参加や関係者調整のための協議会運営、基本構想における特定事業計画の作成方法等の各種作業のノウハウや、既存の基本構想の事例を紹介し、これからマスタープランや基本構想を作成する際の手引きとして活用できます。 活用方法2:マスタープラン・基本構想の見直しに際して マスタープラン及び基本構想について、バリアフリー法において概ね5年ごとにバリアフリー化の状況について評価を行い、必要があると認めるときは見直し等を行う旨を規定しています。本ガイドラインには、バリアフリーに関する市町村の基本方針や、協議会の運営、生活関連施設及び生活関連経路の設定、スパイラルアップの検討等、マスタープランや基本構想を作成する為の各種事例を掲載しているため、マスタープラン及び基本構想の新規作成だけでなく、これらの見直しの際にも活用できます。 活用方法3:基本構想作成後の事業実施段階に際して 基本構想における特定事業計画の進行確認や事後評価を実施する際の留意事項、先進的な取組事例を掲載しており、実務担当者が基本構想を作成・運用する際に活用できます。 活用方法4:自治体担当者の引継ぎに際して 参考資料編では、障害等特性や関連法等について掲載しており、自治体担当者の理解向上の一助として活用できます。 活用方法5:関係者間の認識共有・機運醸成に際して マスタープラン及び基本構想を策定する自治体の担当者だけでなく、マスタープラン及び基本構想の作成に関わる関係者にも役立ち、共通の方向性を持ってマスタープラン及び基本構想を作成することができます。 20ページ 第3章 移動等円滑化促進方針(マスタープラン)及び 基本構想作成にあたって 3-1 マスタープラン及び基本構想の作成手順 マスタープラン及び基本構想の作成体制としては、作成担当部局のほか、庁内検討組織、協議会が想定されます。また、マスタープラン作成の際の庁内検討組織や協議会は、その後の基本構想の作成の際に活用することもできます。 マスタープラン及び基本構想を作成する上で、「まちのバリアフリー化に対して庁内全体で作成体制を築くこと」、「協議会を設置して多様な参加者と議論すること」が最も大切です。 バリアフリー整備を円滑に実施するためには、庁内の意思疎通や行政、住民等(高齢者、障害者等)、施設管理者等が協力しあってバリアフリーの計画を検討していく必要があります。 作成の手順 マスタープランや基本構想を作成する手順としては、「着手段階」、「作成段階」、「管理段階」の3段階があります(次頁参照)。 次頁の図は、マスタープランや基本構想の評価・見直し等、段階的・継続的な移動等円滑化の取組を推進するための「管理段階」も含めて、マスタープランから基本構想への移行、管理段階から見直しに至る手順を概念的に示したものであり、この手順を念頭にマスタープランや基本構想の作成・見直しを実施することが重要です。 図 庁内検討組織と協議会の役割 庁内検討組織の役割は、マスタープランや基本構想の素案・原案、協議会の議事・進め方等、作成担当部局が検討した内容について、庁内で調整・意思決定をすることです。また、協議会は事業者をはじめ高齢者・障害者、学識経験者等の多様な方の参画を得て、議論の透明性を確保するためにも極めて重要な役割を担うことになります。 マスタープラン及び基本構想の作成は、これらの体制を十分に活用することが重要です。(P.22参照) 21ページ 図 マスタープラン・基本構想の関係性について 22ページ 図 マスタープラン及び基本構想作成の各段階における調整の流れ 23ページ 3-2 庁内体制の構築 マスタープラン及び基本構想の作成には、まちづくりやバリアフリーの理解を深め、高齢者・障害者等、関係部局との調整を図りながら進めていく必要があるため、庁内の実情を踏まえて担当部局を決定することが重要です。 市町村がマスタープラン及び基本構想に基づき、バリアフリー化を図るべき箇所は多岐にわたります。そのため、多数の関係部局との協議・調整が必要になります。 連携する部局において、バリアフリーに対する理解を深めることが重要です。 マスタープラン及び基本構想に関する庁内会議等を定期的に開催し、各部局の理解と連携を深めることが重要です。 担当部局の選定 マスタープラン及び基本構想作成を担当する部局には、都市計画、交通計画、道路、公園、路外駐車場、建築物等の都市基盤施設のバリアフリー化に関する関心の高い人や、具体的なアイディアを出せる人材が必要です。 近年の各自治体の担当部局をみると、基本構想等は都市計画等と密接に関わるものであることから、福祉部局等のみでの対応が難しい場面もあり、都市・交通計画を担当する部署が最も多くなっています。 担当する部局は、数年に渡り継続してマスタープラン及び基本構想に携わることが重要となるため、マスタープラン及び基本構想の作成途中や、特定事業の実施中に担当部局が変更になることがないよう、慎重に選定する必要があります。 図 自治体の担当部局の円グラフ 都市・交通計画部局 62.1% 総務・企画部局 16.0% 建設・土木関連部局 12.0% 福祉部局 8.0% その他 1.9% 「移動等円滑化促進方針・基本構想作成予定等調査(令和7年10月末時点)」(国土交通省) 庁内検討組織の構築 市町村は、自らが所有する各施設について、率先してバリアフリー化を図ることが重要です。 市町村がマスタープラン及び基本構想に基づきバリアフリー化を図るべき施設は多岐にわたります。 また、マスタープラン及び基本構想の作成にはノウハウや人材のみならず、バリアフリーやユニバーサルデザインの概念、高齢者や障害者等の特性についての理解、住民参加への理解も求められることから、多数の関係部局との協議・調整が必要となりますが、組織が肥大化して 24ページ 議論が発散しないように留意することも必要です。 庁内検討組織に参加する部署としては、以下が考えられます。 市町村が所有する各施設の整備・管理を担当する各部署(営繕関連) 都市計画、交通計画、道路事業、建築確認等を所管する部署(まちづくり・建設関連) 高齢者福祉、障害者福祉等を推進する部署(福祉関連) ソフト施策や心のバリアフリーを推進する部署(地域活動・教育関連) 等 図 庁内検討組織の構成例(主な組織例) 総務関連部局 総務課、企画調整課、男女共同参画課、ダイバーシティ推進課 等 福祉関連部局 福祉課、障害者福祉課、高齢福祉課、共生社会推進課 等 子育て関連部局 青少年育成課、子育て支援課、こども家庭課、保育対策課 等 保健・衛生関連部局 健康推進課、長寿社会推進課、生活衛生課 等 産業関連部局 産業振興課、商工物産交流課 等 建設・土木関連部局 道路建設課、道路交通課、交通安全課、公園課 等 教育関連部局 教育施設課、学校教育課、児童保育課 等 観光・文化関連部局 観光振興課、文化振興課 等 都市計画関連部局 都市計画課、交通政策課、市街地整備課 等 その他 (必要に応じて)空港課、港湾課 等 なお、庁内検討組織には現場の実態を把握している職員を参加させると同時に、できるだけ多くの関係者を参集することが望ましいといえます。 【担当者引き継ぎ時の留意点】 担当者の引き継ぎに際しては、関連書類を引き継ぐだけではなく、障害者団体を含む関係団体等との意思疎通や連携方法に関する留意事項等も含めて引き継ぐことが大切です。引き継ぎの際は、新しい担当者に本ガイドラインを参考に、マスタープラン及び基本構想やバリアフリーに対する理解を深めてもらうようにすることが重要です。 【組織内の人材育成】 移動等円滑化を推進する取組の中で、施設のバリアフリー化等のハード整備においては、障害に応じて対応が異なることを理解し、国のガイドラインに沿ったより有効な整備が求められています。また、移動等円滑化の全てをハード整備のみで実現するのは困難であり、高齢者や障害当事者との接し方や支援の方法について理解し実施することも重要です。障害の理解については「参考資料編第1章 障害等種別とその特性」を参照してください。  国土交通省ホームページ:移動等円滑化促進方針・基本構想(URL) 25ページ 事例 都市部における庁内検討体制の構築例 <東京都台東区> 図 台東区馬齢アフリー協議会庁内検討会 委員名簿(平成23年度) 東京都台東区では、庁内検討会には各部局の係長クラスが出席しています。この庁内検討会議は、基本構想や特定事業計画を作成する際の行政側における方向性を検討する組織であり、区有施設の事業内容(特定事業)作成に関わる様々な調整を行うための組織です。 事例 説明終わり 26ページ 事例 自治体内における教育訓練(人材育成) <兵庫県神戸市> 兵庫県神戸市では、バリアフリー基本構想の作成担当部局以外の行財政局が主体となり、職員ハンドブックに、様々な配慮が必要な方への応対の心構えを記載し、市職員の応対力の向上を推進している。また職員向けの研修等を実施し、障害者特性等の理解向上に努めている。 その他、平成28年度より、来庁者への積極的な案内を実施するために、区役所案内係(コンシェルジュ)の各区への設置、職員の主体的な取組である「ふれあいの市民サービス向上運動」により、市民の目線からの窓口サービス改善や職員のホスピタリティの醸成を進め、市民サービス向上に向けた取組の推進を図る方針を立てている。 【職員向けの研修】 上記の取組に加えて、バリアフリー基本構想の作成担当部局では、心のバリアフリーとは何かを理解することと、心のバリアフリーの大切さに気づくことを目的として、多くの職員が、気軽に参加できるよう研修を企画している。 《平成29年度》 ■視覚障害のある落語家講師の創作落語と視覚障害者体験 視覚障害のある落語家による創作落語や視覚障害等とその支援をテーマにした講演、アイマスクと白杖を用いた視覚障害者体験を実施。市職員や公共交通事業者職員、外郭団体職員ら約70人が参加した。 《平成30年度》 ■発達障害の双子とママの奮闘記 マンガやエッセーで発達障害の双子の子育ての体験を発信するクリエーターによる、発達障害とその支援をテーマとした講演会を実施。市職員、公共交通事業者職員、外郭団体職員、市民など112人が参加した。 事例 説明終わり 27ページ 3-3 協議会の設置・運営 バリアフリー法第24条の4及び第26条に規定される協議会は、市町村、関係事業者及び利用者間の協議・調整や合意形成の円滑化・効率化が期待できるため、基本的には設置することが望まれます。 また、マスタープラン作成後の移動等円滑化に関する措置の実施の評価や基本構想作成後の特定事業の実施または進行管理のためにも、協議会の存続が有用です。 協議会の住民構成員は、年齢、性別、障害種別等に偏りがないよう選出することが重要です。 障害当事者団体や地域の実情をよく知る当事者を選出することも重要です。 バリアフリー法に規定される構成員を満たしていれば、他の法令等に基づいて設置されている協議会制度を活用し、法定協議会として位置づけることも可能です。 協議会の構成員 マスタープラン推進協議会又は基本構想推進協議会の構成員としては、以下が挙げられます。 マスタープラン又は基本構想を作成しようとする市町村 庁内検討組織に出席している各部局担当者 施設設置管理者、公安委員会、特定事業等の実施主体等 公共交通事業者(鉄道、バス、タクシー等)、道路・公園管理者(国、都道府県等)、路外駐車場管理者等、建築主等の施設設置管理者、公安委員会等※ ※市町村から協議会への参加を求める通知をもらい受けた場合は、正当な理由がある場合を除き、協議会に参加しなければなりません(法第24条の4及び第26条) 高齢者・障害者等(利用者代表) 高齢者、障害者等については、可能な限り幅広く協議会への参加を求めることが重要です 具体的には、肢体不自由者、視覚障害者、聴覚・言語障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、内部障害者、妊産婦等(妊産婦、乳幼児連れ、ベビーカー利用者)、性的マイノリティ、外国人に参加を求めることが考えられます 障害当事者の中には、バリアフリーに関する専門的な知見を有する方だけでなく、他の障害についても一定の知見を有する方もいるので、どのような方に参加を求めるかは、当事者団体や有識者と相談することが考えられます 有識者 バリアフリーに関する専門的な知見を有する大学の教授等学識経験者に参加を求めることが考えられます 28ページ 住民提案者 住民提案を受けた際は、提案者を協議会の構成員とすることが望ましいです 自治会・商店街代表 地元の理解を深め、協力を得るといった観点から、地元町内会、自治会、商店街等の代表者の参加を求めることも考えられます 図 マスタープラン作成協議会又は基本構想作成協議会の構成員例 有識者 大学・研究機関の学識経験者 等 利用者代表 各障害者団体(肢体障害者団体、視覚障害者団体、聴覚障害者団体、知的障害者団体、発達障害者団体、精神障害者団体、障害児団体)、高齢者団体、婦人団体、NPO団体、PTA、子育て関係団体、性的マイノリティ関係団体、外国人支援団体、公募市民 等 公共交通事業者 鉄道事業者、バス事業者、タクシー事業者 等 商業施設・自治会 地元商店街、地元商工会、地元自治会 等 行政関係者 国土交通省地方整備局・地方運輸局、都道府県庁担当部署、警察関係者、庁内検討組織メンバー(P.22参照) 等 施設設置管理者 道路管理者、公園管理者、路外駐車場管理者、建築主 等 その他 (必要に応じて)観光協会、国際交流協会 等 協議会構成員に求められる役割 マスタープラン又は基本構想を作成しようとする市町村 当該自治体の基礎データの提供や協議会運営のための準備等 施設設置管理者や公安委員会、特定事業等の実施主体等 施設管理者等の視点での、高齢者や障害者等の利用実態や必要な対策に関する情報提供 高齢者、障害者等 当事者の視点での課題(バリア箇所等)や必要な対策に関する発言、情報提供 有識者 第三者的な立場で協議事項への助言や総括 その他(住民代表等) 客観的なデータのみでは分からない、地元の実態に関する情報の提供 【協議会を設置しましょう】 協議会は法律上の設置が義務付けられているものではありませんが、多様な関係者の参画のもとで協議の透明性を高めながら、より効率的に協議・調整を進めるためにも、特段の事情がない限りは、協議会を設置することが望ましいです。 29ページ 協議会の運営に関する留意点 協議会の運営にあたっては、以下のような点に留意する必要があります。特に、協議会運営の様々な段階において、多様な当事者の特性に配慮した対応を心がけましょう。 協議会全般 事前に十分な情報提供が必要 バリアフリーの概念や市町村におけるマスタープラン又は基本構想作成の意義、具体的な効果 等 検討の初期段階からの継続的な議論が必要 協議会は計画のとりまとめ段階のみではなく着手・検討の初期段階から継続的に開催 施設設置管理者相互の連携・調整 施設設置管理者が異なる部分でのシームレス(継ぎ目のない)なバリアフリー化を図るため、協議会の場を通して施設設置管理者相互の連携・調整が図られるように配慮 特定事業等の進行管理や事後評価に活用 マスタープラン又は基本構想の作成後も、マスタープラン作成後の移動等円滑化に関する措置の実施状況の評価や、基本構想に位置づけられた特定事業等の円滑かつ効果的な実施、段階的・継続的な発展(スパイラルアップ)のため協議会を継続的に活用 バリアフリーの取組の評価の実施 マスタープランや基本構想の作成や事後評価に限らず、これらの協議会を活用することにより、市町村全体のバリアフリーの進展状況の定期的な評価を行うよう努めることが必要 他の協議会等との連携 地域公共交通網は地域のバリアフリー化と密接に関係しているため、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づく法定協議会や「道路運送法」に基づく地域公共交通会議などとの連携が大切 【多様な意見の反映を図りましょう】 移動する際や施設を利用する際に、どこにバリアを感じているかについては、高齢者、障害者等の当事者でなければ気づかないところも多いため、当事者の方の参画を図ることが重要です。また、住民に限らず市町村に来訪する高齢者や障害当事者からの意見も貴重な情報が得られると考えられるため、広く様々な方から意見を聴取しましょう。 その他、男女それぞれの立場からの意見の反映を図ることや、高齢者のみならず、こども・若者の意見の反映を図ること等に留意する必要があります。国土交通省では、女性やこどもが暮らしやすい地域づくりは、すべての住民にとっての暮らしやすさにつながるとの観点から、国土交通分野におけるジェンダー主流化の取組を推進しています。 国土交通省ホームページ(ジェンダー主流化に向けた取組)(URL) 30ページ 協議会開催前 参加者の身体的特徴を把握 身体特性や必要なコミュニケーション方法、手話通訳や介助等を事前に確認 資料の準備 大きい文字の使用、色だけに頼らない工夫、分かりやすい文章での資料作成 参加者の求めに応じた拡大文字版、点字版、音声読み上げ対応版等の資料作成 障害特性によっては資料の確認に時間を要するため、事前配布が必要  会場の選定・設営 最寄り駅等からのアクセス、車いす使用者等の動線を考慮した会場の選定 車椅子使用者用駐車施設等の確保 手話通訳、要約筆記等、参加者の求めに応じた情報保障手段の確保 車椅子使用者の同伴者や聴覚障害者への手話通訳同伴者等に対する席順の考慮 会議開催時の留意点については、公益財団法人共用品推進機構が発行する「みんなの会議」(平成24年)が参考になります。 分科会・ワーキンググループ(WG)の設置 関係者が多岐にわたる協議会においては、専門性のある議論を長時間行うことは困難になります。また、幅広い関係者に参加を求めた結果、協議会自体が肥大化し、建設的な議論が行えなくなることもあります。その場合、専門的な研究や議論を行うための下部組織として、「分科会」や「ワーキンググループ(WG)」を設置することも必要となります。 分科会やワーキンググループで出された意見は協議会に反映させ、マスタープランや基本構想の内容を充実させていくことが重要です。 図 協議会と分科会・WGの関係 31ページ ■他の法令等に基づいて設置されている協議会の活用 直ちに協議会の設置が難しい場合などには、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づく協議会や「道路運送法」に基づく地域公共交通協議会、福祉のまちづくり推進協議会などの他の協議会等を活用し、マスタープラン又は基本構想の作成に向けた議論を行うことも考えられます。 この場合、他の法令等に基づいて設置されている協議会の下に、マスタープラン又は基本構想の作成のための専門委員会や専門部会等を立ち上げることや、必要に応じて、高齢者、障害者等の当事者団体や地域の実情をよく知る当事者などを構成員として追加することなどを通じて、充実した議論が行われるように工夫することが重要です。 事例 福祉のまちづくり推進協議会を活用して基本構想を策定した事例 <東京都町田市> 町田市では、地域一体での連続的・面的なバリアフリー化を推進するため作成した「町田市内全域の移動等円滑化の全体方針」に基づき、平成23~25年度にかけて市内10地区においてバリアフリー基本構想を作成しました。 基本構想の作成・見直しや各計画における特定事業の進捗状況の評価等については、町田市福祉のまちづくり推進協議会におけるバリアフリー部会(学識経験者、障害者団体、交通事業者、関係行政機関、関係団体の代表、地域住民等)で行われています。 図 基本構想の見直し等を行うための検討体制 事例 説明終わり 32ページ 3-4 住民参加と意見の反映 マスタープラン及び基本構想の作成にあたっては、協議会の構成員以外の住民や利用者(以下、住民等)の意見についても反映することが重要です。そのため、様々な手法を活用して住民参加の機会を設けることが求められます。 障害当事者や住民等がワークショップ等により、バリアフリーの問題点や課題点の共通認識を持ち、議論が活性化するようにしましょう。 住民等から意見を募ったり、住民参加のワークショップを開催したりする際は、広報活動を徹底することが重要です。 住民参加 バリアフリー法(法第24条の2第6項、第25条第6項)では、協議会に参加しない利害関係者からも広く意見を聴くための措置を講ずることとされており、住民の意見を反映することが重要です。 マスタープラン及び基本構想の作成にあたっては、協議会への参加以外にも、マスタープラン及び基本構想の作成プロセスに応じて住民参加の機会を確保することが必要になります。 住民意見の反映方法 住民意見の反映方法として最も多く実施されているものは「まち歩き(現地点検)」です。「ワークショップ」や「関係団体へのヒアリング」は、参加者が様々な障害特性を知ったり、まちのバリアを把握したりすることができる良い手法といえます。自治体の職員、地元住民、障害当事者、事業者、地元選出の議員等、幅広い方に参加してもらうことで、課題点・問題点の共通認識を持つことができ、バリアフリー化の取組が進展することが期待されます。 なお、パブリックコメントは総括的に住民の意見を取り入れるものであり、それだけを実施するのではなく、他の反映方法と組み合わせて実施することが必要です。 図 パブリックコメント 66.8%  アンケート 51.5% 関係団体へのヒアリング 55.5% まち歩き(現地点検) 84.9% ワークショップ(参加体験型のグループ討議) 45.6% 説明会 3.3% その他 4.7% 33ページ 住民の意見反映にあたっての留意点 各種手法を組み合わせる 住民参加の導入にあたっては、各手法の特性を踏まえ、複数の手法を組み合わせることにより相互に補完し、実施効果を高めることが重要です。例えば、アンケートとヒアリングの両方を実施すると、アンケートの回答を統計的に分析できると同時に、ヒアリングによりアンケートでは把握できない個別的・具体的な意見を把握することができます。 対象者の特性に合わせ、様々な方法を検討する 可能な限り幅広く意見を聴取するためには、対象者の特性を理解し、それに応じた方法を検討する必要があります。例えば、視覚障害者には点字や音声読み上げに対応したテキスト化等によるアンケートを実施したり、コミュニケーションが難しい知的障害者や精神障害者の場合は、家族、支援者・介助者、法定代理人等に補佐してもらいながらヒアリングをする等の方法があります。 対象者の特性が多様であることを考慮すると、一つの手法で幅広く網羅することは困難であり、それぞれの特性に配慮した方法を採用することが必要と考えられます。 高齢者同士や同様の障害のある人同士でも意見が異なる場合がある 高齢者や障害者は健康状態や障害の程度が様々であり、意見が異なる場合もあります。このため、一人の意見を全体の意見であるかのように拡大解釈することには注意が必要です。この点も留意し、できる限り多くの者の意見を聞く機会を設けることが重要です。 相互理解が図られる機会を設けることも重要 高齢者や障害者に関わらず、住民の移動等円滑化に対する要望は、そのライフスタイルやライフステージによっても異なります。そこで、立場や特性の異なる幅広い住民等が一堂に会し、意見交換等を実施することにより、相互の理解が図られる機会を設けることも重要です。 【住民参加手法の一例】 住民アンケート:住民に対してアンケート調査を実施することにより、バリアフリーに対する意識・意向を把握する。 関連団体へのヒアリング:高齢者・障害者団体等に対してヒアリング調査を実施し、問題点やバリアフリーに対する要望等を把握する。 まち歩き(現地点検)とワークショップ:住民参加のもと、現場での点検を行う。ワークショップでは参加者の話合いにより意見を集約する。 基本構想等説明会:基本構想等の骨子案または素案について住民への説明会を行い意見を把握する。 等 34ページ 住民提案 バリアフリー法第24条の5第1項及び第27条第1項より、住民等は、市町村に対してマスタープラン又は基本構想の素案を提示することにより、マスタープラン又は基本構想の作成等を提案することができます。 提案を受けた市町村は、マスタープラン又は基本構想の作成等の必要性を判断する機会と捉え、積極的な検討を行うとともに、当該提案に基づきマスタープラン又は基本構想の作成等をするか否かについて、遅滞なく公表する必要があり、マスタープラン又は基本構想の作成等をしない場合は、その理由を明らかにしなければなりません。各市町村の実情に即して住民等からの提案に対応することとなります。 市町村ごとにまちづくりの考え方が異なるため、バリアフリー法やマスタープラン、基本構想、住民提案等の基本的な情報とともに、提案として求める素案のイメージを、各市町村が住民に対して分かりやすく周知することが求められます。 住民提案制度を活用して、市町村におけるバリアフリー化をより推進するため、事前相談等をはじめ、素案作成の時点から住民提案を受けた後の検討のプロセスまで、市町村が適切な支援・対応を行うことが望まれます。 市町村が取り組むべき体制の整備や検討方法等のポイント 基本構想の素案について ・基本構想等の素案には、基本的に、 ①生活関連施設 ②それをつなぐルート(どのようなルートを使うか) ③どのように改善して欲しいか が記載されていれば、素案として成立します。 上記①~③を踏まえて、どのようなものを素案として住民に求めるかは、各市町村が設定することが望まれます。 ・市町村が作成するような計画の素案を住民だけで作成することは困難です。 素案と言える形式になっていない住民提案でも、市町村が提案の意図を受け止めていくことが重要ですので、どのようなものでも提案を受けとめられる体制が望まれます。 ・提案の際は口頭で要望を伝えるのではなく、必要事項を記載したものを書面で市町村の担当部局に提出します。 住民提案制度の周知について ・住民提案を受ける前から、提案の受理後、計画の検討中、計画作成後まで、住民に対して住民提案制度の継続的な周知が望まれます。そのためには、市町村はあらかじめ事前相談や提案提出を受け付けるための窓口を整備しておくことが望まれます。 (例)ホームページや広報での公表、出前講座等での説明、作成の手引き等の作成・公表、素案作成に係る事前相談の受付等 35ページ 住民提案への市町村の支援について ・住民提案を支援するため、下記①~③などの支援が望まれます。 ①素案作成のための提案者への支援(提案に必要な情報提供、出前講座等での説明、事前の相談、検討のための会議への出席、アドバイザー、コンサルタントなど専門家の派遣、提案に係る活動経費の助成等) ②市民提案を受けた際の手続きの仕組み・プロセス、担当部署、検討体制の明確化 ③市民同士、事業者、行政等の間の相互理解を促す仕組み・工夫(意見交換会やワークショップ(まちあるき点検)等) 専門家派遣制度の1つとして、国土交通省の地方運輸局等において実施するバリアフリープロモーター派遣制度があります。 事例 住民組織の提案による簡易な基本構想(素案)の例<茨城県土浦市> 土浦市では、バリアフリー新法に基づく住民提案制度ができる前から、市民団体がまちのバリアフリー化に向けた取組みを進めていました。電車やバスの乗車点検、シンポジウム、勉強会などを経て作成されたバリアフリー基本構想(素案)が、平成19年7月に市へ提案されました。 ○基本構想の素案について 提案された基本構想(素案)は、以下の3項目が示された簡易なものです。 1基本構想策定は,高齢者・障害者がよく利用し,観光客も多い土浦駅周辺~土浦港,ショッピングモール505~亀城公園までを一体的に整備すること。(⇒①生活関連施設、②それをつなぐルートに対応) 2基本構想策定・推進は,企画から現場の調査,施工,事後評価に至るまで高齢者・障害者等当事者が深く関与できる参画の仕組みをつくること。 3ユーザーエキスパート※や,参加したい人すべてが参加できる公募の仕組みをつくること。 事例 説明終わり 事例 住民組織の提案による基本構想(素案)の例<山梨県上野原市> 平成21年度にバリアフリー化の嘆願書(地元住民7,823人の署名付)が上野原市に提出されました。それを受け、「国における整備水準の改正等をみながら検討」と回答があり、平成23年3月に国における整備水準が改正(乗降客数5,000名→3,000名)されたことを受け、平成23年度に、JR四方津駅周辺整備推進協議会から市へ基本構想(素案)が提案されました。 ○基本構想の素案について 上野原市で提案された基本構想(素案)の内容は以下のとおり。 ・対象地区の概要 ・特定旅客施設と重点整備地区の概況 ・基本目標、事業の概要 ○住民提案への市町村の支援について ・上野原市交通バリアフリー基本構想の策定を検討する庁内検討会議を開催し作成の有無を検討し、市において基本構想を作成する旨を住民に回答。 ・基本構想策定協議会の設立  ・市民参加によるワークショップの開始(まち歩き点検)等 事例 説明終わり 36ページ 事例 住民組織の提案による基本構想作成の年次経過の例<奈良県上牧町> 上牧町では、NPO法人楽しいまちづくりの会が平成27年11月に実施したバリアフリーニーズアンケート調査による地区内の課題やニーズの把握を契機に、住民や障害者等で構成するワーキングチームによる町内点検、ワークショップの開催を経て作成したバリアフリー基本構想(素案)が、平成29年3月に町へ提案されました。上牧町はその提案をうけ、上牧町まちづくり基本条例により町民との協働のまちづくりを推進し、上牧町バリアフリー基本構想が作成されました。 事例 説明終わり 37ページ 事例 住民提案に対する市町村の充実した支援の例<神奈川県横浜市> 横浜国立大学と周辺地域自治会が、以前から「まちづくりワークショップ」を開催し、地域環境について検討を行っていました。令和元年11月の羽沢横浜国大駅の開業に伴い駅周辺のバリアフリー化について検討を行い、その成果として住民提案を行いました。 ○住民提案制度の周知について ・横浜市では、「バリアフリー基本構想作成等の提案の手引き」を平成22年3月に作成してホームページで公開しています。 ・出前講座等で基本構想について説明を行っています。 ○住民提案を受けた後の市町村の検討について ・住民提案を受けた後は、提案の手引きに基づき検討を実施しました。 ・当該区役所と要件の確認後、横浜市バリアフリー検討協議会で意見を聴取し、作成の可否を判断しました。 事例 説明終わり 38ページ 3-5 民間事業者との調整 マスタープラン及び基本構想制度では、旅客施設、建築物等が特定事業の対象とされており、これらの施設のうち多数の高齢者、障害者等が利用する施設については、公共施設、民間施設の別を問わず、生活関連施設として設定することが求められています。 民間事業者により設置・管理される施設も多く含まれることから、民間事業者との円滑な調整が不可欠になります。 生活関連施設として設定される施設の設置・管理者に対して、ワークショップやワーキンググループ(WG)の開催により、基本構想等の趣旨や事業の必要性の理解を深めましょう。 民間事業者との連携体制 マスタープラン及び基本構想制度では、多くの高齢者、障害者等が利用する施設については、公共・民間を問わず生活関連施設として設定することが求められています。特に基本構想制度においては、特定事業の実施も踏まえることが必要です。 生活関連施設として設定される旅客施設や建築物、路外駐車場等の多くは、民間事業者により設置・管理されているため、円滑に事業を進められるようにするためにも、民間事業者の理解を深め、連携体制を築くことが必要です。 部会・ワーキンググループ(協議会下部組織)の設置 一般的に移動等円滑化促進地区及び重点整備地区に関連する交通事業者の多くは民間事業者です(鉄道事業者・バス事業者・タクシー事業者等)。また、移動等円滑化促進地区及び重点整備地区の生活関連施設に、商業施設等の民間の施設が多数含まれる場合、関係する民間事業者数も多くなります。これらの者すべてに協議会への参加を求めることは、協議会の運営上困難な場合もあります。このような場合は、協議会の下部組織として民間事業者や地区住民による「部会(事業者部会・住民部会)」等を設置することも考えられます。 特に基本構想においては、部会には特定事業の実施如何に関わらず、生活関連施設の設置・管理者すべてに参加を求め、継続的な協議を経た上で特定事業の実施について決定することが望ましいと考えられます。部会の代表者や主要メンバーには協議会への参加を求め、協議会との連携・調整を円滑に図ることも重要です。 39ページ 民間事業者と調整を図る上での留意点 現在の基本構想は、旧交通バリアフリー法時代(平成18年以前)とは異なり、交通事業者以外にも多くの民間事業者が設置・管理する施設が生活関連施設として含まれます。民間事業者に対しては、基本構想制度等の趣旨や事業の必要性、計画期間等を丁寧に説明し、基本構想への理解、事業への協力を得られるようにすることが重要です。 また、平成30年5月のバリアフリー法改正で創設された同法第9条の4の規定に基づく公共交通事業者向けハード・ソフト取組計画(ハード・ソフト計画)において、事業者がどのようにバリアフリー化を進めるかを記載するため、あらかじめ、このバリアフリー化の内容を把握することにより、円滑に事業の調整を図ることが可能になると考えられます。 民間事業者との調整を円滑に進めるための工夫 協議会のほか、関係事業者・行政機関等で構成される部会を設置し、関係者とともに検討を実施 委員会やワークショップで、有識者や障害当事者からの意見を直接事業者に聞いてもらう 関係事業者にワークショップに参加してもらい、市民と事業者が協働して基本構想の作成にあたる 委員会以外にワーキンググループを設置し、関係事業者に参加してもらう 基本構想の趣旨やバリアフリーの必要性について繰り返し協議し、理解を得る 40ページ 3-6 都道府県による市町村に対する支援について マスタープラン及び基本構想を作成する市町村は、必要に応じて都道府県から必要な助言その他の援助を求めることができます。 このため、都道府県は、市町村によるマスタープラン及び基本構想の作成を促進するため、市町村の境界を越えた面的バリアフリー化の調整の仲介等や、他の市町村の作成事例等の提供を行うなど、広域的な見地から支援することが重要です。 まずは管内の市町村のマスタープランや基本構想の作成状況を把握することから始め、市町村の担当者と対話しながら必要な支援を行っていきましょう。 都道府県は、管内市町村のマスタープラン及び基本構想の作成状況を把握するとともに、市町村からの相談体制を構築し、市町村の意向を踏まえ、国とも連携しつつ必要な支援を行うことが重要です。 国土交通省では、令和7年に全国の市町村を対象に、市町村が都道府県に期待する役割に関するアンケート調査を実施しました。そこでは、都道府県に期待する役割として、「先進事例等の情報提供」、「基本構想等の作成に対する財政支援」、「基本構想等の円滑な作成のためのサポート」、「基本構想等作成に係る勉強会やセミナーの開催」、「基本構想等の作成に向けた相談体制の構築」等が挙げられています。 特にマスタープラン及び基本構想を作成していない市町村や多様な障害者団体組織が存在しない小規模市町村に対しては、積極的に都道府県が関与したり、都道府県の障害者団体を紹介する等の支援を実施したりすることが望ましいです。 図 市町村が都道府県に期待する支援の内容  先進事例等の情報提供 50.4% 基本構想等作成いに係る勉強会やセミナーの開催 29.4% 基本構想等の円滑な作成のためのサポート 29.6% 基本構想等の作成に対する財政支援 43.2% 協議会における専門的な立場としての意見・助言 16.6% 広域調整 15.5% 県内の関係部局等との調整 20.8% 施設設置管理者、関係部局等としての意見・協力 16.5% 関係事業者、団体等への働きかけ 12.5% その他 3.3% 41ページ 事例 都道府県による市町村への支援の事例(管内市町村の作成状況の提供)<奈良県><東京都> ○都道府県のホームページにおいて管内市町村の基本構想の作成状況を提供している例が複数あり、 基本構想を未作成の市町村等に対して、先進事例を提供する有効な手段となっている 都道府県のホームページにおいて管内市町村の基本構想の作成状況を提供している例 図 奈良県> 図 東京都> 事例 説明終わり 42ページ 事例 都道府県による市町村への支援の事例(財政的支援) <東京都><大阪府> 〇東京都では、高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的として、鉄道駅総合バリアフリー推進事業に要する経費の一部を東京都が補助する支援事業をおこなっている。 〇本事業において、移動等円滑化促進方針及びバリアフリー基本構想の作成を補助対象としている。 東京都鉄道駅総合バリアフリー推進事業費補助金要綱(抜粋) (補助事業) 第 4 条 補助金の交付の対象となる事業(以下「補助事業」という。)は、ホームドア等整備促進事業、鉄道駅エレベーター等整備事業、バリアフリー基本構想等作成事業及び鉄道駅バリアフリートイレ等整備促進事業とする。 (補助対象経費) 第 5 条 5 バリアフリー基本構想等作成事業に係る補助対象経費は、基本構想及び促進方針の作成に必要な経費のうち、知事が認める経費とする。 ■移動等円滑化促進方針 補助対象者:バリアフリー法第24条の2に規定する移動等円滑化促進方針を策定する区市町村 補助対象経費:促進方針の策定に必要な経費 補助率: 国1/2、都1/4、区市町村1/4 上限額:250万円(国費補助を受ける場合は、国費補助額の1/2以内) ■バリアフリー基本構想 補助対象者:バリアフリー法第25条に規定する 基本構想を策定する区市町村 補助対象経費:基本構想の策定に必要な経費 ①補助率:(社会資本整備総合交付金の場合)   国1/3、都1/3、区市町村1/3 ②補助率:地域公共交通確保維持改善事業費補助金の場合   ⇒左記、移動等円滑化促進方針と同様 〇大阪府では、市町村が基本構想を作成することを条件に、鉄道駅へのエレベーター整備費補助をおこなっている。 〇この整備費補助によって基本構想の作成促進に一定の効果が得られている。 大阪府鉄道駅バリアフリー化設備整備費補助要綱(抜粋) (補助対象駅舎) 第 3 条 大阪府域内にある既存の駅舎で、バリアフリー法に基づく基本構想が作成された地区内に存する駅舎とする。 (補助対象経費) 第 6 条 補助対象施設を設置するために要した次の(1)から(3)に掲げる費用とする。 (1) 補助対象施設購入費(エレベーターの購入費等) (2) 補助対象施設工事費 (3) 設計・工事監理費(上記(1)及び(2)にかかる費用に限る) (補助金の額) 第 7 条 補助金の額は、予算の範囲内において、かつ、補助対象経費にかかる市町村の補助する額以内とする他、補助対象事業者毎に次に掲げるとおりとする。ただし、算出した補助金額の千円未満の端数は、これを切り捨てるものとする。 (1) 大阪市高速電気軌道株式会社を除く事業者の場合補助対象経費に 1/6を乗じて得た額以内とする。 (2) 大阪市高速電気軌道株式会社の場合 補助対象経費に 102%を乗じて得た額の 80%に相当する額の 35%に相当する額に 1/2を乗じて得た額以内とする。 事例 説明終わり 43ページ 事例 都道府県による市町村への支援の事例(セミナーの開催) <奈良県> 〇奈良県では、近畿運輸局、近畿地方整備局と「奈良県バリアフリー基本構想作成推進セミナー」を共催し、バリアフリー基本構想の取組を推進している。 〇このセミナーとあわせて各市町村に個別説明等を実施した結果、バリアフリー基本構想の作成が促された市町村があった。 事例 説明終わり 事例 都道府県による市町村への支援の事例(ガイドラインの策定) <東京都> 〇東京都では平成28年に、区市町村・事業者のための心のバリアフリーや情報バリアフリーに向けた取組を促進するためのガイドラインを策定し、バリアフリー基本構想の取組を推進している。 〇東京都では「ガイドラインを活用して、都民をはじめ、区市町村や事業者とともに、すべての人が、安全、安心、快適に暮らし、訪れることができる福祉のまちづくりをより一層推進していきます。セミナーとあわせて各市町村に個別説明等を実施した結果、バリアフリー基本構想の作成が促された市町村があった。」とHP上でアナウンスをしている。 【ガイドラインの掲載概要】 学校や地域における学習や事業者内での社員教育、障害者等の理解促進に向けた普及啓発等の心のバリアフリー、また、音声や文字による情報化のほか、点字、拡大文字、手話、筆記、絵文字・記号、多言語による対応等、様々な手段で情報提供を進める情報バリアフリーに向けた取組の考え方と効果的な事例を掲載 事例 説明終わり 44ページ 3-7 マスタープラン・基本構想作成に係る助成制度 マスタープラン作成経費の支援(移動等円滑化促進方針策定事業) 「地域公共交通バリアフリー化調査事業(移動等円滑化促進方針策定事業)」とは、バリアフリー法第24条の2第1項に規定する移動等円滑化促進方針を策定するために必要な調査の経費に対して支援するものです。 令和2年度予算より、移動等円滑化基本構想策定事業が創設されたことに伴い、名称が変更されています。 (1)補助対象者 補助対象事業者は、バリアフリー法第24条の4第1項に規定する協議会の構成員である市町村とする。 (2)補助対象経費 地域におけるバリアフリー化の促進を図るための移動等円滑化促進方針の策定に必要な調査経費とする。 ・協議会開催等の事務費 ・地域のデータの収集・分析の費用 ・専門家の招聘費用   ・住民・利用者アンケートの実施費用 ・短期間の実証調査のための費用 等 (3)補助率 1/2(上限額500万円) (4)交付要綱・実施要領 下記のURLにて掲載しています。 国土交通省ホームページ(URL) バリアフリー基本構想作成経費の支援(移動等円滑化基本構想策定事業) 「地域公共交通バリアフリー化調査事業(移動等円滑化基本構想策定事業)」とは、バリアフリー法第25条第1項に規定する移動等円滑化基本構想を策定するために必要な調査の経費に対して支援するものです。 令和2年5月のバリアフリー法改正により、新たに創設された教育啓発特定事業を含み、ハード・ソフト一体となった基本構想を作成する場合に、令和2年度予算より、作成経費を支援することとしています。 45ページ (1)補助対象者 補助対象事業者は、バリアフリー法第26条第1項に規定する協議会の構成員である市町村とする。 (2)補助対象経費 地域におけるハード・ソフト一体的なバリアフリー化の促進を図るための移動等円滑化基本構想(「公共交通特定事業」及び「教育啓発特定事業」が位置づけられる予定のものに限る。)の策定に必要な調査経費とする。 ・協議会開催等の事務費 ・地域のデータの収集・分析の費用 ・専門家の招聘費用   ・住民・利用者アンケートの実施費用 ・短期間の実証調査のための費用 等 (3)補助率 1/2(上限額500万円) (4)交付要綱・実施要領 下記のURLにて掲載しています。 国土交通省ホームページ(URL) 46ページ 白紙 47ページ Ⅱ 移動等円滑化促進方針の作成 48ページ 白紙 49ページ 第4章 移動等円滑化促進方針(マスタープラン)の作成 4-1 マスタープラン作成における全体的な留意点 マスタープランの記載事項に関しては、バリアフリー法の基本方針において、いくつかの全般的な留意点が示されています。特に、市町村としてのバリアフリー方針の明確化のほか、マスタープランの内容についての各種計画等との整合、地域特性への配慮、関係者の意見を反映したマスタープランの作成等に留意することが必要です。 基本的な方針や設定する生活関連施設と生活関連経路についてどのように移動等円滑化を図るのか目標を明確に設定し、各関係者間の共通認識をしっかり持ちましょう。 マスタープランを作成する上で、各種計画等と整合を図ることが大切です。各自治体で決められている計画について庁内で情報共有し、マスタープランを作成しましょう。 目標の明確化 移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の方針について、市町村をはじめ、施設設置管理者、都道府県公安委員会等の関係者間で共通認識が醸成されることが重要です。そのため、マスタープランの位置づけ、市町村及び促進地区における現状や課題を踏まえた上で、どのようなバリアフリー化を実現していくのか、可能な限り明確な目標を設定することが求められます。 この際、事業の具体化ができる段階で基本構想へと移行していくことも想定し、施設設置管理者等がどのようなバリアフリー化が求められているか、可能な限り明確にすることが重要です。 各種計画等との整合 バリアフリー法では、都市計画、都市計画法に規定する市町村マスタープラン、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に規定する地域公共交通計画との調和を保つことが求められていますが、これら以外の各種計画等との連携・整合性を図ることも重要です。 都市計画マスタープラン等 市町村マスタープランは、都市計画法(第18条の2)に基づき作成する市町村の都市計画の基本的な方針であり、市町村が土地利用・都市施設・市街地開発事業等の都市計画を決定する際には、市町村マスタープランに即して行わなければなりません。 バリアフリー法に基づくマスタープランは、移動等円滑化促進地区、生活関連施設・経路等の選定において、都市計画区域マスタープラン、地域地区、都市施設等とともに、市町村マスタープランにおける将来都市構造(拠点地区の形成等)、交通網整備方針(幹線道路網の位置づけ等)等との整合に配慮する必要があります。 50ページ 地域のバリアフリーに関する条例等 都道府県等で福祉のまちづくり条例、建築物・まちづくりの移動等円滑化に関する条例等(バリアフリー条例等)が制定されている場合には、マスタープランの作成においても条例等との調和・連携を図ることが重要です。特に、市町村全体でのバリアフリー化の方針(優先順位等)や、中小規模の建築物等の施設のバリアフリー化の促進等の観点から、マスタープラン制度との役割分担を十分に検討することが重要です。 都市整備等に関する計画 都市整備等に関する計画として、具体的には以下の計画があります。これらの計画では、中心市街地等における都市機能の増進に関する施策を打ち出していることが多いことから、マスタープランにおいてもこれらの施策と整合・連携した取組が重要です。 立地適正化計画(都市再生特別措置法第81条第1項) 中心市街地活性化基本計画(中心市街地の活性化に関する法律第9条第1項) マスタープランの移動等円滑化促進地区の設定にあたっては、上記2計画における「都市機能誘導区域」、「中心市街地」等のエリアを含むよう設定することが望ましいです。 地区計画(都市計画法第12条の5第1項) 都市再生整備計画(都市再生特別措置法第46条第1項) 移動等円滑化促進地区における施設等のバリアフリーの方針を定めるにあたっては、地区計画や都市再生整備計画における目標と整合を図ることに配慮することが重要です。 景観計画(景観法第8条第1項) 等 交通に関する計画 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(第5条第1項)に基づく地域公共交通計画との整合に配慮する必要があります。また、地域公共交通計画以外にも、都市レベルの交通計画がある場合は、移動等円滑化促進地区の設定等に関して、当該計画の内容との整合に配慮することが重要です。また、コミュニティ道路、歩車共存道路の整備等、地区レベルにおける交通計画と整合を図ることが考えられます。 このほか、公設民営型のコミュニティバス、UDタクシー、福祉タクシー、福祉有償運送サービス、住民同士の助け合いにより移動手段を確保する等の道路運送法の許可又は登録を要しない運送サービス等、対象エリアにおける様々な交通サービスとの整合を図り、連携していくことも考えられます。なお、今後の先端技術の進展等により、新しいモビリティサービスの展開が現実的になった段階には、新しい移動方法や制度・仕組みに応じて、新たな移動等円滑化の課題に対応していく必要があります。 51ページ 高齢者、障害者等の福祉に関する計画 高齢者、障害者等の福祉に関する計画として、具体的には以下の計画があります。これらの計画では、高齢者、障害者等の安全な外出・移動をめざしてソフト施策や心のバリアフリーの推進に関する施策を打ち出していることが多いことから、マスタープランにおいてもこれらの施策と整合・連携した取組が重要です。 高齢者関連 市町村老人福祉計画(老人福祉法第20条の8第1項) 市町村介護保険事業計画(介護保険法第117条第1項) 障害者関連 市町村障害者計画(障害者基本法第11条第3項) 市町村障害福祉計画(障害者総合支援法第88条第1項) なお、次世代育成支援対策推進法(第8条第1項)に基づいて作成する市町村行動計画との連携や、社会福祉法(第107条第1項)に基づく市町村地域福祉計画との連携も考慮することが望ましいです。 国が示しているバリアフリーに関するガイドライン等の理解 国では、「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン」、「公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドライン」、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」等を策定し、移動等円滑化の基準と高齢者、障害者等の多様な利用者のニーズに応えるための施設整備の考え方を示しています。 また、各都道府県や市町村では、福祉のまちづくり条例等を制定し、バリアフリーに関する取組を推進しています。 マスタープランの作成においては、これらガイドラインや条例等の目的や主旨を理解することが重要です。 国土交通省:公共交通機関の旅客施設・車両等に関するバリアフリー整備ガイドライン(URL) 52ページ 地域特性への配慮 マスタープランの作成にあたっては、地域特性に配慮するとともに、その特性を反映した様々な創意工夫に努めることが重要です。例えば、特有の気候・気象条件、特有の地理的・地形的条件、観光地等で来訪者が多いことや、移動等円滑化促進地区にあっては、中心市街地、交通結節点、景観に優れた地区であること等が地域特性として考えられます。高齢者や若年層など車を運転できない人の日常生活における移動手段の確保・維持が難しい地域では、地域の足となる有償運送による移動サービスの拠点となる場所やバス停及びその周辺経路のバリアフリー化、情報提供においても配慮することが考えられます。 関係者の意見を反映したマスタープランの作成 マスタープラン推進協議会を積極的に活用してマスタープランを作成することは「マスタープラン及び基本構想の作成手順(P.20)」の冒頭でも示しましたが、多様な高齢者、障害者等の意見がマスタープランに十分に反映されるよう努めることが重要です。 特に、地域住民や来訪者における高齢者や障害者等の利用施設、外出機会や移動手段等に対するニーズなどを把握し、道路や公共交通機関、頻繁に利用する施設の利用しやすさや移動しやすさ等、施設のバリアフリー化における現状の問題点を整理することが必要です。 このようなバリアフリー化の現状や施設の利用状況など、マスタープランの作成の基礎となる情報については、各施設の管理者等がバリアフリー化の状況等の必要な情報を提供していくことが重要です。 なお、他の法令に基づく既存の協議会等において、バリアフリー法に基づく協議会の構成員等の要件を満たしていれば、バリアフリー法に基づく協議会として位置づけることが可能ですので、関係する他の計画の議論と併せてマスタープランの議論を行いやすく、円滑な計画作成を進めることが効果的と言えます。 段階的・継続的な発展(スパイラルアップ) バリアフリー化の内容については、マスタープランの作成に関する事前の検討段階から事後の評価の段階まで、高齢者、障害者等の利用者や住民等が積極的に参加し、この参加プロセスを経て得られた知見を共有し、スパイラルアップを図ることが重要です。 バリアフリー法においては、マスタープランが作成された後も、概ね5年ごとに施設を利用する高齢者、障害者等の利用の状況や、移動等円滑化促進地区におけるバリアフリー化の整備状況等を把握・評価し、必要に応じてマスタープランを変更することとされており、場合によっては新たなマスタープラン又は基本構想を作成することも考えられます。 移動等円滑化に関する住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保 バリアフリー化を図るためには、単に施設や経路のハード整備のみならず、「心のバリアフリー」などのソフト対策についても、一体的に実施することが効果的です。 令和2年5月のバリアフリー法改正により、令和2年6月19日以降に作成されるマスタープランにおいては、住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保に関する事項を明記することとされていますので、ハード・ソフト両面のバリアフリー化を促進するための取組について記載することが必要です。 53ページ 4-2 マスタープランに明示すべき事項 マスタープランに明示すべき事項については、バリアフリー法(第24条の2等)において、以下のとおり規定されています。 1.移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進に関する基本的な方針 2.移動等円滑化促進地区の位置及び区域 3.生活関連施設及び生活関連経路並びにこれらにおける移動等円滑化の促進に関する事項 4.移動等円滑化の促進に関する住民その他の関係者の理解の増進及び移動等円滑化の実施に関するこれらの者の協力の確保に関する事項 5.行為の届出等に関する事項 6.市町村が行う移動等円滑化に関する情報の収集、整理及び提供に関する事項 7.その他、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進のために必要な事項 8.移動等円滑化促進方針の評価に関する事項(スパイラルアップに向けた継続した取組) ※1、6、8については、任意記載事項 1つのマスタープランで複数の移動等円滑化促進地区を設定することや、1市町村が複数のマスタープランを作成することが可能です。 マスタープランにおいて、移動等円滑化促進地区に限らず、市全体の方針を設定することが望ましいです。 令和2年5月のバリアフリー法改正以降、「心のバリアフリー」に関する事項はマスタープランの必須記載事項となっています。 記載の留意事項 マスタープランに記載すべき事項についての詳細は、次頁に示しますが、令和2年5月のバリアフリー法改正により、新たに法第24条の2第2項第3号に「移動等円滑化に関する住民その他の関係者の理解の増進及び移動等円滑化の実施に関するこれらの者の協力の確保に関する事項(心のバリアフリーに関する事項)」が追加されました。 これにより、マスタープランを作成する場合は、これまで定められていた事項に加えて、移動等円滑化に係る「心のバリアフリー」に関する事項を明記することが求められます。 なお、これまでも、「その他、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進のために必要な事項」として「心のバリアフリー」に関する事項を記載することが可能であったことから、実態として多くのマスタープランに「心のバリアフリー」に関する事項が記載されています。 54ページ 1.移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進に関する基本的な方針 ①マスタープランの位置づけ 都市計画法による都市計画区域マスタープランや市町村マスタープラン、地域公共交通活性化再生法による地域公共交通計画等との整合に留意して記載します。 ②マスタープランの計画期間 マスタープランの計画期間(次の方針の見直しまでの期間)を記載します。 なお、バリアフリー法第24条の3において、市町村は、移動等円滑化促進方針を作成した場合においては、概ね5年ごとに、当該移動等円滑化促進方針において定められた移動等円滑化促進地区における移動等円滑化に関する措置の実施の状況についての調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、移動等円滑化促進方針を変更するものとされています。 ③マスタープランを作成する背景・理由 当該移動等円滑化促進地区の現状や課題を踏まえ、なぜマスタープランを作成するのか、高齢者、障害者等の人口や施設の利用状況等の現状や課題も考慮し、マスタープランを作成する理由を記載します。 ④移動等円滑化促進地区の特性 市町村における地区の位置づけ、交通の状況や施設の集積状況からみた拠点性等、移動等円滑化促進地区が有する特性を記載します。 なお、1つのマスタープランで複数の移動等円滑化促進地区を設定することも可能です。 ⑤地区の特性を踏まえた移動等円滑化の基本的な考え方 どのような方針で整備していくのかについて記載します。 上記、①~③については、市町村全体に共通する方針として総則的に記載することが望ましいです。 55ページ 2.移動等円滑化促進地区の位置及び区域 移動等円滑化促進地区の位置(○○周辺地区等)、地区の範囲と境界設定の考え方、地区の面積について記載します。 移動等円滑化促進地区と基本構想における重点整備地区との関係性は P.11~12のイメージ図参照 3.生活関連施設及び生活関連経路並びにこれらにおける移動等円滑化の促進に関する事項 移動等円滑化促進地区の実情から、生活関連施設に設定する施設及び生活関連経路に設定する経路を選定し記載します。 この場合、高齢者、障害者等の移動や施設利用の状況、土地利用や諸機能の集積の状況や、これらの将来の方向性等を総合的に判断し、実態に即して客観的に選定することが必要です。 また、どのような方針で生活関連施設や生活関連経路の移動等円滑化を図っていくのかを記載します。施設や経路のバリアフリー化の状況に応じて長期的な展望を示すことも重要です。 4.移動等円滑化の促進に関する住民その他の関係者の理解の増進及び移動等円滑化の実施に関するこれらの者の協力の確保に関する事項 地域における移動等円滑化を図るためには、単に施設や経路のハード整備のみならず、「心のバリアフリー」などのソフト対策についても一体的に実施することが効果的であるため、移動等円滑化に関する住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保が果たす役割や重要性、その具体的な取組について記載します。 ①心のバリアフリーの推進 住民その他の関係者が、バリアが人々の意識や物的環境等により生じているという「社会モデル」の考え方を理解し、ハード整備のみならず、住民その他の関係者による理解や協力などにより市民がバリアフリー化の重要性や高齢者、障害者等に対する理解を深めるための取組(心のバリアフリー)について記載することが重要です。 ②マナーの向上 放置自転車対策や安全な歩行空間を阻害する行為等への対策、高齢者、障害者等が利用する車椅子使用者用駐車施設や障害者用トイレの利用などのマナーの向上のための取組について記載することが考えられます。 56ページ 5.行為の届出等に関する事項 公共交通事業者等又は道路管理者は、旅客施設の建設又は道路の新設等であって、移動等円滑化の促進に支障を及ぼす恐れがある場合は、市町村に事前に届け出なければならないとされており、旅客施設や道路について、どの部分について届出をしなければならないかを明確に記載します。 6.市町村が行う移動等円滑化に関する情報の収集、整理及び提供に関する事項 市町村がバリアフリーマップを作成したり、バリアフリー情報をHP等で公表したりする場合、市町村の求めに応じて施設設置管理者が提供する情報について、提供すべき事項等を記載します。 7.その他、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進のために必要な事項 移動等円滑化促進方針は、市町村の発意及び主体性に基づき自由な発想で作成されるものであるので、移動等円滑化の促進に必要な事項はすべてマスタープランに記載することが望ましく、例えば次のものが想定されます。 ①情報提供 市町村による一元的な情報提供に限らず、市民参加の観点から、施設設置管理者による情報提供方策など、広く一般にバリアフリー化の状況を周知する方策等を記載することが考えられます。 ②地域特性に応じた施策 マスタープランの作成にあたっては、地域特性に配慮することが必要であり、その特性を反映した内容にすることが重要です。 8.移動等円滑化促進方針の評価に関する事項 マスタープラン作成後の評価・見直しに向けた方策を明記することが重要です。この場合、協議会の活用方策についても明記し、住民参加や住民意見の反映の方策についても配慮することが重要です。 57ページ 4-3 移動等円滑化促進地区の設定 移動等円滑化促進地区の要件は、バリアフリー法に定められています。各自治体においては、その要件を満たす地区が複数存在することが想定されます。 このような場合には、すべてを移動等円滑化促進地区に指定することが理想ですが、指標やデータ等に基づく分析により優先順位を定め、順に移動等円滑化促進地区を設定していくことも考えられます。 指標やデータ等に基づく分析を行い、移動等円滑化促進地区を定める事が求められます。 移動等円滑化促進地区の要件 移動等円滑化促進地区の要件は、バリアフリー法第2条第23号において次の(1)~(3)のように定められており、基本方針の三の2において、その指針となる考え方が次の(4)も含めて、以下のとおり示されています。 (1)生活関連施設があり、かつ、それらの間の移動が通常徒歩で行われる地区 基本方針では、原則として生活関連施設が概ね3以上あることとしています。また、それらの間の移動が通常徒歩で行われる地区とは、生活関連施設が徒歩圏内に集積している地区としています。なお、旅客施設を含まない移動等円滑化促進地区の設定も可能です。 (2)生活関連施設及び生活関連経路についてバリアフリー化の促進が特に必要な地区 移動等円滑化促進地区は、その趣旨から、バリアフリー化を促進すべき地区であることが求められます。基本方針では、高齢者、障害者等の移動や施設利用の状況、土地利用や諸機能の集積の状況や、これらの将来の方向性の観点から総合的に判断し、一体的なバリアフリー化の促進が特に必要な地区であることを求めています。 (3)バリアフリー化を促進することが、総合的な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切な地区 都市機能としては、高齢者、障害者等に交流と社会参加の機会を提供する機能、消費生活の場を提供する機能、勤労の場を提供する機能等があげられます。各種バリアフリー化の事業の重点的・一体的な実施が、このような様々な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切であると認められる地区であることが求められます。 地区の考え方は、都市部・地方部などの地域の実態によって異なります。各市町村においては、各地域の実態を踏まえて柔軟に検討することが重要です。 58ページ (4)境界の設定等 移動等円滑化促進地区の境界は、町界・字界、道路、河川、鉄道等の施設、都市計画道路等によって明確に表示して定めることが必要です。なお、移動等円滑化促進地区の区域が市町村界を越える場合は、隣接市町村と連携してマスタープランを作成する必要があります。 基本方針において示されている上記のような考え方を参考としつつ、生活関連施設や生活関連経路の設定については、次頁の「4-4 生活関連施設・生活関連経路の設定」で示している考え方や留意点を踏まえて、地域の実情に応じて柔軟に地区の設定を行うことが重要です。 また、旅客施設が行政界をまたぐ場合や、旅客施設の徒歩圏内に存する生活関連施設が行政界をまたいでいる場合などにおいては、周辺自治体と連携してマスタープランを作成することが重要です。 移動等円滑化促進地区の設定 移動等円滑化促進地区の要件を満たす候補地区は、同一自治体内に複数存在することが想定され、これら全てを移動等円滑化促進地区に指定し、併せて市全体の方針を示すことが望ましいです。一方、優先順位の高い地区から順次マスタープランを作成することも考えられます。優先順位の設定にあたっては、下記のような客観的な指標やデータに基づき検証することが望まれます。 候補地区の優先度を検証するための評価指標例 ①生活関連施設の分布状況 (参考データ)- ②人口分布 常住人口、昼間人口(参考データ)町丁目別人口・年齢別人口  人口分布 高齢者人口(参考データ)町丁目別人口・年齢別人口  人口分布 障害者人口(参考データ)障害手帳所持者 ③公共交通の状況 旅客施設利用者数(参考データ)複数の場合には路線別 ③公共交通の状況 バス運行回数(参考データ)複数の場合には路線別 ④地区の位置づけ 地区の位置づけ(参考データ)上位・関連計画による位置づけ ④地区の位置づけ 将来の整備の方向性(参考データ)上位・関連計画による位置づけ ⑤将来プロジェクト 再開発事業、区画整理事業、駅前広場整備事業その他面整備計画の有無 【「徒歩圏内」の考え方】 「徒歩圏内」とは、生活関連施設として位置づけられる施設の種類や立地、集積度合いによって、実際に設定される地区の面積は様々になると考えられます。 特にマスタープランにおいては具体的な面積等に縛られずに、住民等の利用者の移動の状況に応じた柔軟な地区設定が求められます。 59ページ 事例 移動等円滑化促進地区の設定事例<富山県射水市> 既存の基本構想や関連計画に設定されている地区のほか、生活関連施設の立地やアンケート・ヒアリング調査の結果を踏まえた地区を追加して設定。 事例 説明終わり 事例 移動等円滑化促進地区の設定事例<福岡県飯塚市> アンケート調査の結果からGIS等を用いてより多くの人が使用している施設や経路を選定し、生活関連施設及び生活関連経路を設定したうえで、それらをもとに移動等円滑化促進地区を設定。 事例 説明終わり 60ページ 事例 移動等円滑化促進地区の設定事例<大阪府池田市> 池田市では、立地適正化計画における施設や区域の位置付けをベースに、移動等円滑化促進地区や生活関連施設・経路を設定しています。 また、立地適正化計画においてもバリアフリーマスタープランや基本構想との連携を位置付け、バリアフリー化に向けた取組方針や誘導施策を記載するなど、他計画と併せてバリアフリーまちづくりを推進しています。 <移動等円滑化促進地区、生活関連施設、生活関連経路の設定の考え方> ①・平成18年に作成した基本構想における主な施設及び立地適正化計画における誘導施設に加え、アンケート調査で抽出したよく行く施設・諦めている施設などを踏まえ、生活関連施設候補を選定。 ②・平成18年に作成した基本構想における重点整備地区及び立地適正化計画における居住誘導区域をベースに、徒歩圏内に①の生活関連施設候補のうち旅客施設又は特別特定建築物に該当するものがおおむね3以上存在する範囲を抽出 ③・②で設定した範囲を概ね含むエリアを、行政界や道路、河川等を境界として移動等円滑化促進地区を設定 ④・③で設定した移動等円滑化促進地区内に存する施設のうち、一定以上の規模かつ移動等円滑化を促進すべき施設を、生活関連施設として位置づけ、施設の用途により分類 <移動等円滑化促進地区>(バリアフリーマスタープラン) <居住誘導区域>(立地適正化計画) 事例 終わり 61ページ 4-4 生活関連施設・生活関連経路の設定62ページ 生活関連施設には、相当数の高齢者、障害者等が利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設、病院、文化施設、商業施設等多様な施設を位置づけることを想定しています。 生活関連経路は、生活関連施設相互の経路であり、生活関連施設へのアクセス動線や地区の回遊性等に配慮する必要があります。 定し、まちの一体的なバリアフリー化を進めることが重要です。 生活関連経路が接続される施設だけでなく、地域の生活関連施設の集積度合いを示すためにも、移動等円滑化促進地区内の生活関連施設の把握に努めましょう。 生活関連経路は、全ての施設相互間の経路が設定できなくても、優先順位が高いものや位置づけの調整が整ったものから順次位置づけていくことが重要です。 生活関連施設の設定 生活関連施設は、公共・民間を問わず、様々な施設が該当します。そのため、生活関連施設を設定する際は以下のような事項を考慮する必要があります。 常に多数の人が利用する施設を選定する 旅客施設、官公庁、郵便局、病院、文化施設、大規模商業施設や公園等は、高齢者や障害者等だけでなく、妊産婦等(妊産婦・乳幼児連れ・ベビーカー利用者)の多様な来訪者が多いため生活関連施設としての優先度は高くなります。これらについて、施設利用者数や入場者数を考慮し、生活関連施設として設定します。また、国・都道府県・市町村が管理する施設については、率先して生活関連施設に位置づけることにより、民間事業者や住民への啓発を行う等、地域の移動等円滑化をけん引することが重要です。 いくつかの市町村では、事前に利用者アンケート調査やヒアリング等を実施し、利用頻度の高い施設・経路を把握している事例も見られます。 高齢者、障害者等の利用が多い施設を選定する 老人ホーム・障害者支援施設等高齢者・障害者が多く居住する施設、福祉サービス施設・老人福祉センター・(障害者)地域活動支援センター等の高齢者・障害者等の利用が多い施設は、生活関連施設としての優先度が高いと考えられます。 62ページ 図 想定される生活関連施設 ○官公庁等 都道府県庁、市役所・区役所、役場 郵便局、銀行、ATM 警察署(交番を含む)、裁判所 市民・地区センター、コミュニティーセンター等 都道府県税事務所、税務署 ○教育・文化施設等 図書館 市民会館、市民ホール、文化ホール 学校(小学校・中学校・高等学校・大学・特別支援学校等) 公民館 博物館・美術館・音楽館、資料館 ○保健・医療・福祉施設 病院・診療所 総合福祉施設、老人・障害者福祉施設等 ○商業施設 大規模小売店舗等 商店街等(地下街を含む) ○宿泊施設 ビジネスホテル、シティホテル等 公園・運動施設 公園 体育館・武道館その他屋内施設 ○その他の施設 結婚式場、葬祭場等冠婚葬祭に関わる施設 観光施設 路外駐車場 生活関連施設の設定にあたっての留意点 既に移動円滑化されている施設でも、生活関連施設として位置づける 建物や道路といった単体の施設がバリアフリー化されていることに意義があるのではなく、これらの施設が一体的に整備されることに意義があります。このことから、現状で移動等円滑化が図られていると判断される施設についても、そこに至る経路の移動等円滑化が必要である場合には、生活関連施設として位置づけることが望まれます。 また、今後移動等円滑化基準そのものが見直される可能性もあることから、現状の施設が移動等円滑化基準に適合しているか否かにかかわらず、生活関連施設を設定する必要があります。 63ページ 生活関連経路の設定 生活関連経路は、旅客施設からの動線だけでなく、旅客施設以外の施設間の移動のしやすさを高めるように経路を確保する必要があります。そのため、生活関連経路の選定の考え方としては、以下の3点が挙げられます。 より多くの人が利用する経路を選定する 生活関連経路は、生活関連施設に訪れる人等の利用頻度が高い経路や歩行者交通量の多い経路を優先的に選定する必要があります。 生活関連施設相互のネットワークを確保する (上記以外で生活パターンに即したネットワークを選定する) 生活関連施設相互の連絡に配慮し、移動等円滑化促進地区内のネットワークを構成することが重要です。また、一つの生活関連施設に対し複数方向からのアクセス動線が確保されるよう配慮することが望ましいと考えられます。 隣接自治体との連続性を確保する 生活関連施設が隣接する自治体にある場合には、生活関連経路の連続性を担保しておくことが重要です。隣接自治体と密な協議により連続性のある生活関連経路の設定が望ましいと考えられます。 生活関連経路の設定にあたっての留意点 既に移動円滑化されている経路でも、生活関連経路として位置づける たとえ移動等円滑化が図られている経路であっても、生活関連施設との一体的な移動等円滑化を図る観点から必要と考えられる場合には、生活関連経路として位置づけることが望まれます。また、今後、移動等円滑化基準そのものがスパイラルアップにより見直される可能性もあります。したがって、現状の経路が移動等円滑化基準に適合しているか否かにかかわらず、生活関連経路を設定することが必要です。 特定道路への指定について マスタープランにおける移動等円滑化促進地区内の生活関連経路は、地域の実情に応じて柔軟に設定できます。基本構想における重点整備地区内の生活関連経路は原則として全て特定道路として指定されることになりますが、上記の生活関連経路の選定の考え方に基づいて選定される経路の位置づけを積極的に検討することが重要です。 なお、特定道路として指定する道路の要件には、生活関連経路の有無にかかわらず、2以上の特定旅客施設、特定路外駐車場、主な生活関連施設等を相互に連絡する主要な道路で、高齢者、障害者等の移動が通常徒歩で行われるものや、この他、多数の高齢者、障害者等の移動が通常徒歩で行われる道路も含まれ、特に、前者については地方公共団体が国に情報提供を行う必要があります。 64ページ 事例 生活関連経路の設定事例 <兵庫県明石市> 明石市が令和元年度に作成したマスタープランでは、住宅地のなかを通る道路や、必ずしも生活関連施設相互を直接結ぶ経路ではない道路でも、日常的に利用が想定される道路等について、目的地までの複数のルート設定の考慮を含め、地域の実情に合わせた生活関連経路の設定を行っています。 事例 説明終わり 65ページ 移動等円滑化の促進に関する事項 移動等円滑化促進方針の対象となる施設及び車両等においてどのような方針で移動等円滑化を図るのかについて記載する必要があります。 事例 「公立の小中学校等」の位置づけについて 令和2年5月のバリアフリー法改正において、移動等円滑化基準への適合義務が課される特別特定建築物の一つとして、「公立の小中学校等」が追加されました(令和3年4月施行)。 近年、特別支援学校だけではなく、地域の小中学校の通常の学級や特別支援学級へ通う障害のある児童も増加しています。また、多くの学校が災害時の避難所としても指定されていることから、バリアフリー化がますます重要になっています。さらに、通学路や避難所に指定された場合の避難経路のバリアフリー化も重要です。 また、文部科学省が策定した「公立小中学校等施設のバリアフリー化に関する整備目標」(令和7年8月)では、障害等の有無にかかわらず、誰もが支障なく学校生活を送ることができる環境が整備されていることを目指すため、公立小中学校等のバリアフリー化に関する整備目標が定められています。令和12年度までの整備目標は下表の通りであり、同目標の達成に向けて、原則全ての学校設置者におけるバリアフリー化に関する整備計画や方針の策定を推進しています。 同目標の達成を図るためにも、マスタープラン又は基本構想を作成する担当部局は、教育関連部局等と連携の上、マスタープラン及び基本構想における生活関連施設として学校施設を位置付けることや、生活関連経路として通学路や避難所に指定された場合の避難経路を位置付けること等により、まちづくり全体の観点から学校施設のバリアフリー化に取り組むことが重要です。 図 公立小中学校等のバリアフリー化に関する具体的な整備目標 令和7年度(見込み) バリアフリートイレ 校舎 77.2% バリアフリートイレ 屋内運動場 51.3% スロープ等による段差解消 門から建物の前まで 校舎 85.6% スロープ等による段差解消 門から建物の前まで 屋内運動場 81.6% スロープ等による段差解消 昇降口・玄関等から教室等まで 校舎 67.4% スロープ等による段差解消 昇降口・玄関等から教室等まで 屋内運動場 67.4% エレベーター 校舎 32.9% エレベーター 屋内運動場 72.4% 令和12年度末までの目標 バリアフリートイレ 校舎 バリアフリートイレ 屋内運動場 避難所に指定されている全ての学校に整備 ※ 令和6年度調査時点で総学校数の約97%に相当(数値目標) スロープ等による段差解消 門から建物の前まで 校舎 スロープ等による段差解消 門から建物の前まで 屋内運動場  スロープ等による段差解消 昇降口・玄関等から教室等まで 校舎 スロープ等による段差解消 昇降口・玄関等から教室等まで 屋内運動場 全ての学校に整備する※1 エレベーター 校舎 要配慮児童生徒等※3が在籍する全ての学校に整備 ※ 令和6年度調査時点で総学校数の約 43%に相当(数値目標) エレベーター 屋内運動場 要配慮児童生徒等が在籍する全ての学校に整備 ※ 令和6年度調査時点で総学校数の約 78%に相当(数値目標) ※1 小修繕や、段差解消機または既製品のスロープ等による対応を含む。 ※2 エレベーター整備数には、1階建ての校舎、屋内運動場を含む。 ※3 円滑な移動等に配慮が必要な児童生徒及び教職員を指す。 事例 説明終わり 66ページ 4-5 心のバリアフリー 高齢者、障害者等が安心して日常生活や社会生活ができるようにするためには、施設整備(ハード面)だけではなく、高齢者、障害者等の特性を理解し支え合うという「心のバリアフリー」が重要です。 マスタープランでは、移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」の必要性や実施主体、取組内容等を具体的に記載することが必要です。 ・すべての国民が、高齢者や障害者等に対して生活場面に応じた創意工夫、柔軟な対応を講じていくことが大切です。 ・R2.5月の法改正により、必須記載事項にもなったため、「心のバリアフリー」に対する理解を深めるために、その必要性について丁寧に説明するとともに、次のステップとして、実際の行動に移していくための多様な施策を推進しましょう。 「心のバリアフリー」とは 施設のバリアフリー化に代表されるハードの整備が進んでも、高齢者や障害者等に対して、国民ひとりひとりが高齢者、障害者等の特性を理解し、接することができなければ、真の意味でのバリアフリー化は図れません。 「心のバリアフリー」とは、ユニバーサルデザイン2020行動計画(平成29年2月ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議決定)に記載されているとおり、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことを意味しており、当該行動計画においては、次の3点が「心のバリアフリー」を体現するためのポイントとして示されています。 ①障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。 ②障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。 ③自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。 (「ユニバーサルデザイン2020行動計画」抜粋) 67ページ 障害の社会モデル 障害者が日常・社会生活で受ける制限は、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものという考え方を「障害の社会モデル」と言います。 この障害の社会モデルの考え方は、平成18年に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」において提示され、日本では、同年に制定されたバリアフリー法の理念として盛り込まれたほか、条約の締結にあたり平成23年に改正された「障害者基本法」で明確化され、平成25年に制定された「障害者差別解消法」で具体化されているほか、UD2020行動計画でも、その考え方が明確に記されています。 障害者にとって社会にある障壁は、事物、制度、慣行、観念等の様々なものがあり、日常生活や社会生活において相当な制限を受ける状態をつくっており、社会の責務として、この障壁を取り除いていく必要があります。 このような考え方に従い、高齢者、障害者等の利用者の立場に立って、社会的障壁を取り除いていくために何が必要か考えて必要な施策を検討することが重要です。 「心のバリアフリー」の取組の推進に当たっての関係者の基本的な役割 移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」の取組を推進する際には、まず、高齢者、障害者等が社会の中でどのように生活しているかを認識することが大切です。その上で、国、地方公共団体、施設設置管理者、住民のそれぞれが、どのような役割を期待されているのか、担っていくべきなのかを理解することが重要です。関係者の基本的な役割については、基本方針の五の2に記載されています。 なお、令和2年5月のバリアフリー法改正により、国、地方公共団体、施設設置管理者及び国民のそれぞれの責務として、車両の優先席、車椅子使用者用駐車施設等の移動等円滑化が図られた施設について、高齢者、障害者等の円滑な利用を確保するために必要となる適正な配慮についての広報活動及び啓発活動を行ったり、適正な配慮を行ったりすることが求められることとなりました(令和3年4月施行)。 マスタープランにおいて、移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」について記載する際には、関係者の基本的な役割や求められる責務を理解した上で、関係者間で十分認識をすり合わせながら進めることが重要です。 マスタープランに記載する「心のバリアフリー」に関する基本的な内容 面的なバリアフリー化を図る上では、ハード面の整備のみならず、移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」などのソフト対策が不可欠であるため、基本方針の三の4にもあるとおり、次の事項を記載することが重要です。 (1)移動等円滑化促進地区における移動等円滑化に住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保が果たす役割 ①住民や生活関連施設の職員等の関係者が、困っている高齢者、障害者等を手助けするこ 68ページ とや、車両の優先席、車椅子使用者用駐車施設等の移動等円滑化が図られた施設を高齢者、障害者等が円滑に利用できるように配慮することなど、住民その他の関係者の理解及び協力が必要であること。 ②市町村や移動等円滑化促進地区内の施設設置管理者等が、児童、生徒等への教育活動や、住民、職員等に対する啓発活動等を行うことが重要であること。 (2)住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保に関する関係者の取組 次のとおり、市町村や生活関連施設の施設設置管理者、住民等の関係者ごとに、可能な限り具体的に記載することが望ましいです。 ①児童、生徒等に対するバリアフリー教室や住民向けのバリアフリーに関するセミナーの開催等、住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保に関する市町村の取組の内容 ②施設や車両等の利用者に対する優先席、車椅子使用者用駐車施設等、バリアフリートイレ等の利用に係る適正な配慮についての啓発活動の実施等、住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保に関する施設設置管理者の取組の内容 ③バリアフリー教室への参加等、住民、施設及び車両等の利用者等の取組の内容 「心のバリアフリー」に関する記載事例 <岩手県遠野市> 遠野市のマスタープランでは、マスタープランの根幹となる「基本方針」において「ともに支え合う心のバリアフリーの推進」を最初に位置づけて、理解や協力の重要性や取組の方向性を明示しています。 69ページ 事例 「心のバリアフリー」に関する記載事例 <奈良県奈良市> 奈良市のマスタープランでも、移動等円滑化の促進に向けて、奈良市が目指す姿とこれを実現するための3つの指針を掲げており、3つのうちの1つとして、「こころのバリアフリーを実現するひとづくり」を位置づけ、マークの普及啓発やこころのバリアフリー教育、認知症施策などを関係する取組を記載しています。 事例 説明終わり 事例 「心のバリアフリー」に関する取組の記載事例 <山口県宇部市> 宇部市が令和元年度に作成したマスタープランでは、「心のバリアフリー」の取組について、①市民②事業者③行政のそれぞれが取り組みを行うべきスタンスや、具体的な取組内容を主体ごとに明確に書き分けて示しています。 事例 説明終わり 70ページ 「心のバリアフリー」に関する施策 マスタープランに記載する具体的な「心のバリアフリー」に関する施策については、基本方針に定めるほか、以下のような多様な広報・啓発・教育活動を、地域の実情に応じて選定して位置づけていくことが重要です。 なお、移動等円滑化促進地区の移動等円滑化に資する取組であれば、移動等円滑化促進地区外で行うものや、生活関連施設の職員や通勤者等移動等円滑化促進地区の住民以外の者を対象としたものを記載することができますので、施策の検討の際の参考としてください。 (1)実際に行動につなげるための支援となる幅広い教育活動の推進 支援を必要とする方を実際に誰もが手助けできるようにするため、その方法等を解説した住民向けのマニュアルの作成・普及 児童生徒と障害者、高齢者や幼児等との交流の促進や、車椅子、アイマスクを用いた体験活動等小学校・中学校・高等学校における教育活動の推進 実際に公共交通機関等を活用しながら、障害者や高齢者等の移動の困難さを擬似体験するとともに、サポートの方法等について学ぶ「バリアフリー教室」の開催 障害者、高齢者や子ども連れの人の移動や切符購入のサポート等を行うボランティア活動に対する取組の支援 当事者参加型の教育プログラム(ブラインドサッカーやフロアバレー、ボッチャ等)等を通して、障害のない人が当事者と関わりを持つことで障害者の特性を理解できる取組の推進 マニュアルや教育プログラムの普及・啓発等を通じて、行政機関や企業等の職員が様々な人の多様なニーズに対応したきめ細やかな配慮と応対をできるように取組を推進 (2)理解を深めるための啓発・広報活動の推進 バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進に関する功績のあった者に対する表彰等による優れた取組の普及・啓発の促進 障害者が利活用する用具や補助犬に加えて、各種障害を対象としたマーク・高齢運転者標識・マタニティマーク・ベビーカーマーク等の普及を通じた、障害者、高齢者、妊婦や子ども連れの人等の抱える困難やそのニーズの理解の促進 住民の正しい理解を深めるための啓発・広報活動の実施 事例 啓発・広報活動の事例 「心のバリアフリー」に対する理解を深めるための啓発・広報活動の一環として、パンフレットの作成が挙げられます。国土交通省では、『「こころのバリアフリー」ガイドブック』や「コミュニケーションハンドブック」等のパンフレットを作成し、配布を行っています。 事例 説明終わり 71ページ 事例 教育活動の事例 <秋田県秋田市> 平成26年度よりバリアフリーへの理解を深めてもらおうと、秋田市内の小学校を対象にバリアフリー教室を開催しています。車いす体験や高齢者擬似体験と介助体験(視覚障害者への介助)等を通して、高齢者や障害者が感じる大変さを学びます。また、このような学習からバリアフリー化の必要性を理解してもらうことを目的としています。 事例 説明終わり 事例 ヘルプカードの事例 <東京都> ヘルプマークを活用し、緊急連絡先や必要な支援内容等が記載された「ヘルプカード」は、障害のある方等が災害時や日常生活の中で困ったときに、周囲に自己の障害への理解や支援を求めるためのものです。 東京都では、障害のある人が「ヘルプカード」を所持し、都内で統一的に活用できるよう、標準様式を策定しています。 <ヘルプカードの意義>         ・本人にとっての安心           ・家族や支援者によっての安心       ・情報とコミュニケーションを支援     <ヘルプカードの活用場面> ・災害のとき(災害発生時や避難生活の時) ・緊急のとき(道に迷った時、パニックや発作の時) ・日常的に (ちょっとした手助けがほしい時) 事例 説明終わり 72ページ 事例 啓発・教育活動の事例 <兵庫県明石市> 先導的共生社会ホストタウンに認定されていたり、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の理念に基づき「SDGs未来安心都市・明石」を掲げて様々な取組を先進的に進めている明石市では、令和元年度に作成したマスタープランの中に、市民の理解を深めるための啓発活動として、交流イベントの開催、講演会やフォーラム等の開催を行ったり、実際の行動につなげるための気づきの機会を創出するために、バリアフリー教室の開催やユニバーサルマナー検定の受講機会の創出、市職員による出前講座など、多種多様な取組が記載されています。 事例 終わり 73ページ 事例 障害者差別解消法における合理的配慮の記載例 <東京都杉並区>  杉並区では、障害者差別解消法における合理的配慮の提供が法的義務となったことを基本構想に記載し、その取組事例として職員研修の実施の様子をコラムで掲載しています。 事例 説明終わり 地方運輸局等が実施するバリアフリー教室もご活用ください 国土交通省では、地方運輸局等が全国各都市において「バリアフリー教室」を実施しています。国民が高齢者・障害者等に対する介助等の体験を行うことを通じて、バリアフリーについての理解を深めるとともに、ボランティアに関する意識を醸成し、誰もが高齢者・障害者等に対し、自然に快くサポートできる「心のバリアフリー」社会の実現を目指しています。 74ページ 4-6 届出制度について マスタープラン制度では、交通モード(移動手段)間の移動が行われる施設(=交通結節点)である旅客施設及び道路(駅前広場等)に関し、改良等を行う場合について、一定の要件のもとに事前の届出義務を課しています。これは、移動等円滑化促進方針と整合のとれたものにすることで、施設間の移動の連続性を担保することを目的としたものです。 届出制度を活用すること等により、施設設置管理者が異なる施設間であっても、移動の連続性を確保することが重要です。 また、届出制度の対象とならない箇所においても、移動の連続性を確保するために施設間の連携を図っていくことが大切です。 届出制度の概要 公共交通事業者又は道路管理者は、マスタープランの区域において、旅客施設※や道路※の改良等であって、他の施設と接する部分の構造の変更等を行う場合に、当該行為に着手する30日前までに市町村に届け出なければなりません。 市町村は届出に係る行為がバリアフリー化を図る上で、支障があると認めるときは行為の変更等の必要な措置を要請できることとしています。 なお、施設設置管理者に対する過度な要請を防ぐため、下記に留意することが重要です。 マスタープラン作成の際に高齢者・障害者を含む関係者の意見を十分に踏まえたものとすること 要請はあくまでマスタープランの内容との整合を図る観点から行うこと 道路、旅客施設間でどのように接続をすべきかがわかるよう、マスタープランに方針を具体的に記載すること ※旅客施設は生活関連旅客施設に限られる。また、道路は、生活関連経路である道路法による道路に限られる。 図 届出制度の流れ 75ページ 市町村は届出対象について、届出義務者が容易に判断できるよう定めることが必要です。また、届出をした者に対し要請をする場合は、マスタープランに記載されている内容との整合を図る観点から行うことが重要です。 また、具体的な届出を要する対象の範囲は下記のとおりとなります。 ●旅客施設:生活関連施設である旅客施設(以下「生活関連旅客施設」という)のうち、下記の範囲 【政令第25条第1号】 ・他の生活関連旅客施設との間の出入口 ・生活関連経路を構成する道路法による道路又は市町村が指定する一般交通用施設との間の出入口 ・バリアフリールートの出入口 ●道路:生活関連経路である道路のうち、下記の範囲 【政令第25条第2号】 ・生活関連旅客施設の出入口又は市町村が指定する生活関連経路を構成する一般交通用施設 図:届出対象のイメージ 76ページ 事例 マスタープランにおける届出制度の記載事例 <三重県伊勢市> 伊勢市のマスタープランでは、行為の届出が必要となる場所について、該当する旅客施設の名称のほか、左図のような対象範囲の模式図を掲載することにより、届出の対象となりうる範囲が伝わるような記載となっています。 (注)詳細な届出範囲は、事業実施の際に事業者等との管理区分等を踏まえ、協議のうえで、確定するものとしているとのこと。 事例 終わり 事例 施設間連携(駅・公園・バスターミナルの連携)の事例 <東京都江戸川区> 〇江戸川区、東京都、JR東日本の連携により、葛西臨海公園駅前・公園・バスターミナル歩道における勾配が改善し、各施設の移動の円滑化を実現。 〇バスターミナルから駅や公園利用者の動線を確保するため、公園側や車道上に迂回ルートを設けるなど利用者の動線を妨げないように各事業者の実施工事で工程調整が必要になった。 〇東京都が主体となって定期的な会議を実施し、設計段階から工事の段取りを事前に調整することで、駅や公園利用者の動線を妨げることなくスムーズに施工することができた。 図:改修箇所の図面と写真 (駅構内側の路面がバスターミナル・公園側の路面より最大で45cm高く、傾斜のきついスロープとなっている。オリンピック・パラリンピックのアクセシブルルートとして駅~バスロータリー~公園の勾配を5%以内にする必要があり、駅、公園、バスターミナルの接点で20cmのかさ上げを実施) 事例 終わり 77ページ 事例 施設間連携(駅・タクシー乗り場・バス停の連携)の事例 <東京都江戸川区> 〇江戸川区、東京都(交通局・建設局)による連携により、一之江駅の新設出入口周辺の駅・タクシー乗り場・バス停・駅前施設間で連続した視覚障害者誘導用ブロックと音声誘導装置を設置し、移動の連続性を実現。 〇東京都(交通局・建設局)の用地にわたる工事となるが、区が東京都を訪問し、利用者の要望の背景や一体的な整備の必要性について説明したことで、連携した整備が可能となった。 〇駅構内は交通局にて整備し、公道側へ新規に敷設するものと連続するよう調整を行った。建設局管理の歩道部については、維持管理を区が行うという覚書を締結していることから、視覚障害者誘導用ブロックの線形や材質等について協議を行った。 〇確実に利用してもらえるものが手戻りなく敷設できるよう、要望があった利用者と区でフィールドワークを行い、視覚障害者誘導用ブロックの線形や音声誘導装置の案内文を決定した。 <フィールドワークの内容> 〇利用者(視覚障害者団体)の要望から区で視覚障害者誘導用ブロックの線形を考えた後、利用者と現地でフィールドワークを行い、計画している線形について説明しながら一緒にたどってみることで、要望に沿っているか、使いやすいものであるかを確認した。 〇同様のフィールドワークは、線形を確定させる前に再度最終確認として実施している。 〇音声誘導装置については、区が考えた案内文を実際に読み上げ、利用者にとってわかりやすい表現かどうか確認した。 図 改修箇所の図面と写真 事例 説明終わり 78ページ 事例 施設間連携(鉄道駅における乗り継ぎの連携)の事例 <京都府京都市> 阪急電鉄、京福電鉄による連携工事の実施 〇阪急電鉄では、「西院地区バリアフリー移動等円滑化基本構想」に基づき、阪急電鉄西院駅および京福電鉄西院駅の更なる安全性と利便性の向上を図るため、京福電鉄と協力してバリアフリー化工事を進めた。 〇この連携工事は、「鉄道駅総合改善事業補助(連携計画事業)」で、国(1/3)と京都府・京都市(1/3)から補助を受けた「西院駅周辺地域整備協議会」が主体となって、協議会から委託を受けた阪急電鉄と京福電鉄が推進。 〇当該事業では、嵐電西院駅嵐山方面行きホームの四条通北側への移設、京福西院ビルの建替え、阪急電鉄西院駅北改札口(京福西院ビル建替えにより実現)と南改札口の新設を実施した(平成29年3月供用開始)。 〇この事業により、両駅の乗継利便性が向上するほか、エレベーター2基の新設などにより段差が解消され、円滑に移動することが可能となった。 図 改修前後の図 事例 説明終わり 79ページ 4-7 施設設置管理者からの情報提供について 概要 マスタープランにバリアフリーマップの作成等について明記した場合、各施設の管理者等は、市町村の求めに応じて、バリアフリーの状況について、旅客施設及び道路については情報提供しなければならない旨を、建築物、路外駐車場及び公園については情報提供に努めなければならない旨をバリアフリー法において規定しており、円滑な情報収集が可能となります。 ポイント ・情報提供の内容を定めるにあたっては、高齢者、障害者や施設設置管理者等の関係者の意見を踏まえて、施設設置管理者に過度な負担が生じないよう配慮しつつ、高齢者、障害者等にとって必要な情報が得られるようにすることが重要です。 ■市町村による情報の収集、整理及び提供 市町村は、バリアフリーマップ等を作成するため、施設設置管理者に対してマスタープランに基づき、情報の提供を求めることが出来ます。 ・公共交通事業者等及び道路管理者:義務 ・路外駐車場管理者等、公園管理者等及び建築主等:努力義務 情報提供の対象は、バリアフリーの設備の有無及びその設置箇所その他高齢者、障害者等が当該施設を利用するために必要となる情報となります。 また、市町村は、施設設置管理者に求める情報提供の内容を定めるにあたっては、協議会を活用するなどにより障害者、高齢者等及び施設設置管理者等の意見を十分に反映するよう努めるとともに、施設設置管理者に過度な負担が生じないよう配慮しつつ、高齢者、障害者等にとって必要な情報が得られるよう留意することが必要です。 なお、施設設置管理者に情報提供を求める際には、提供すべき事項等を明確にすることが必要です。 事例 情報提供の事例(毎年の施設設置管理者からの情報提供の仕組み)<山口県宇部市> 宇部市のマスタープランでは、市においてバリアフリー情報を一元化し公表することを明記し、各施設におけるバリアフリー設備の有無及び設置個所等の情報を提供するよう、施設設置管理者に求めています。 市は各施設設置管理者あてに年度の末日までに市への情報提供を行うよう協力依頼を行っています。 事例 説明終わり 80ページ バリアフリーマップについて 高齢者、障害者等が利用可能な施設や経路を選択できるようにするためには、これらの施設や経路が所在する場所を示したバリアフリーマップ等を作成することが効果的です。このため、市町村は積極的に施設等のバリアフリー情報を収集の上、バリアフリーマップ等を作成し、住民・利用者に提供することが重要です。 バリアフリーマップ作成マニュアル バリアフリーマップの作成にあたっては、地域の高齢者、障害者団体等の協力を得て、実情や利用者の使い勝手を考慮し、必要な記載事項を整理する必要があります。 マスタープランや基本構想に基づいて、バリアフリーマップを作成しようとする場合には、「“みんなでつくる”バリアフリーマップ作成マニュアル~市町村による一元的なバリアフリー情報提供の手引き~」をご活用ください。 バリアフリー情報のデジタル化 現在、バリアフリーマップは複数の市町村で独自に作成されており、その仕様は様々です。効率的・効果的にバリアフリー情報を収集・公表するためには、積極的にデジタル技術を活用し、定期的に最新情報に更新することが重要です。 下記の内閣府のホームページ上に、都道府県・指定都市等のバリアフリーマップ等を掲載しているウェブサイトのリンクを掲載しています。 内閣府:まち(都道府県・指定都市バリアフリーマップ等ホームページ一覧) 81ページ 事例 バリアフリーマップの事例<大阪府高槻市> 高槻市では、地図において、施設の場所を示すとともに、具体的にどのようなバリアフリー化がとられているかを情報として提供している。 図 高槻市HP 事例 終わり 事例 マスタープラン作成過程でのまち歩き点検・バリアフリーマップ作成の事例<岩手県遠野市> 遠野市では、「遠野市バリアフリーマスタープラン」の策定にあたり、障害のある人と障害のない人が一緒にまち歩き点検を行い、市街地のバリアについて調査を実施したほか、小学生も学校周辺のバリアについて調査しバリアフリーマップを作成している。 図 障害当事者を含む住民によるまち歩き点検の結果 小学生によるまち歩きの様子 事例 終わり 82ページ 事例 施設情報等をデジタル化している事例 <兵庫県神戸市>  神戸市では、市のHPにおいて「こうべバリアフリー情報」を掲載しており、区別または種別の一覧から市の公共施設を選択すると、各施設のバリアフリー情報(エレベーター、トイレの設置状況など)やその他基本情報(所在地、地図へのリンクなど)を見ることができます。 また、神戸市の各担当部署がGoogleマイマップを活用してバリアフリー情報をまとめているため、Googleマップ上で利用したいバリアフリー設備(例:オストメイト対応トイレ、大型ベッド等)から公共施設を探すことができます。その他、公共施設のデータだけでなく、店舗や飲食店の情報もあわせたバリアフリーマップを公開しています。 図 基本構想の記載内容 図 こうべバリアフリー情報 事例 終わり 事例 マスタープランにデジタル技術の活用を位置付けている事例 <大阪府豊中市>  豊中市のマスタープランにおいては、基本理念である「だれもが気軽にでかけられるまちづくり」の実現に向けた取組方針の1つとして、「先端技術やICT を活用したバリアフリー情報の提供」を掲げており、積極的にデジタル技術の活用を推進している。 図 豊中市のマスタープランの取組方針等 事例 終わり 83ページ 歩行空間における移動支援サービスの普及・高度化(歩行空間ナビ・プロジェクト) 国土交通省では、歩行空間における段差などのバリア情報やバリアフリー施設の情報など、歩行空間を利用する人・ロボットの様々なニーズに対応する各種データのオープンデータ化を推進し、段差を避けた経路検索・案内やバリアフリー施設情報提供等の多様なサービスを通して、誰もが自律的に安心して移動できる包摂社会の実現に取り組んでいます。 図 ほこナビプロジェクトのイメージ 84ページ 4-8 情報アクセス・コミュニケーション 視覚障害者、聴覚・言語障害者、発達障害者等に対しては、必要な情報を得ることができるようにするための工夫が必要です。音声案内や電光掲示板での情報提供だけでなく、複合的な取組が重要になってきます。 一方、知的障害者や外国人等に対しては、誤認識が起こりにくく分かりやすい絵文字(ピクトグラム)を使用する等の工夫が必要になります。 ポイント ・障害種別によって、配慮や工夫の方法は異なってきます。可能な限りすべての障害者が公平に情報を取得できるような配慮をすることが大切です。 例:音声情報や電光掲示板、テキスト資料・点字資料の掲載や簡便なイラスト資料の配布 ■情報アクセス・コミュニケーション施策 視覚障害者、聴覚・言語障害者等にとって、日常生活の場面における情報アクセス・コミュニケーションの保障や支援は十分とはいえません。障害者権利条約では、手話や文字表示、触覚等、意思疎通のある形態、手段、様式をコミュニケーションと定義し、自ら選択するコミュニケーションにより、表現及び意志の自由についての権利を行使することを確保する措置を取ると規定されており、より一層の支援の充実が求められています。 情報アクセス・コミュニケーション施策としては、コミュニケーション支援ボードを活用するといった身近な取組から、情報提供装置やICTを活用する等のハード整備と一体化した取組まで、様々な形態が考えられます。 なお、情報アクセス・コミュニケーション施策を示す場合には、次頁以降の事例とともに、「参考資料編第1章 障害等種別とその特性」を参照し、障害者の特性を理解した上で検討することが重要です。 85ページ 事例 コミュニケーション支援ボードの事例 <交通エコロジー・モビリティ財団、東京都荒川区> 知的障害、発達障害、聴覚・言語障害や高齢者、日本語のわからない外国人等の交通機関利用者が様々な場面においてコミュニケーションを円滑に行うためのサポートツールとして作成されたコミュニケーション支援ボード。(交通エコロジー・モビリティ財団) 図 交通エコロジー・モビリティ財団 コミュニケーションを取ることが困難な障害者(発達障害者、知的障害者、聴覚・言語障害者等)が意思を表示できるよう、意思確認や要望の内容を絵カードにし、それを指さすことで災害時等にもボランティア等が意思の確認ができる荒川区コミュニケーション支援ボード(東京都荒川区作成) 図 荒川区のコミュニケーション支援ボード 事例 説明終わり 事例 ソフト施策と一体化した取組事例(遠隔手話サービスの公共交通機関への導入)<鳥取県・JR西日本> 短時間の用事や急に必要に迫られた場面等、手話通訳者の派遣を頼みにくい場面でも手話を利用できるよう、タブレット型端末のテレビ電話機能を通じてろう者と窓口職員がコミュニケーションをとるためのシステムを導入。 (平成27年度国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰受賞) 事例 説明終わり 86ページ 事例 ソフト施策と一体化した取組事例 <香川県 難聴児(者)親の会> 高松市及びバス事業者と協働し、市内を走るバスや高松市役所をはじめとした公共施設に磁気誘導ループ(※)を設置した。磁気誘導ループが設置されているバスには、聴覚障害者の方が当該バスを利用しやすいように「耳マーク」「磁気誘導ループ設置マーク」を車両の入り口に貼っている。また高松市と連携して、磁気誘導ループが設置されている箇所を示した高松市の地図、バスの路線図、時刻表を作成している。地図には市役所をはじめ、市内の9カ所の施設が記載されており、各施設において無料配布を行っている。またバスの路線図、時刻表を掲載することで、磁気誘導ループが設置されているバスの利用促進、磁気誘導ループに対する理解の拡大を図っている。 ※磁気誘導ループ:音声信号を電気信号に変え、ループアンテナ誘導磁界を発生させる磁気誘導無線システムのこと。補聴器等を付けた難聴者が騒音の大きな車内でも音声案内や運転手の声が聞き取りやすくなる。最近の劇場や会議室等にも設置されはじめている。 (平成27年度国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰受賞) 事例 説明終わり 87ページ 事例 情報保障の事例 <東京都荒川区、文京区、中野区> 図 色の変更、音声読み上げ等に対応したホームページ <東京都荒川区> 図 【文京区バリアフリー基本構想】文京区のホームページでは、バリアフリー基本構想に関する情報を、PDF形式、テキスト形式で情報提供している 図 【中野区バリアフリー基本構想】中野区のバリアフリー基本構想は音声コード付きの概要版として配布している 事例 説明終わり 事例 ハードと一体化した取組事例 図:列車の到着時刻と在線位置を知らせる情報提供装置(音声案内対応) 図:エスカレーター乗り場(降り場)を知らせる音声装置 事例 説明終わり 88ページ 4-9 地域特性等に応じた施策 移動等円滑化促進地区での取組内容は、「都市部」、「地方部」、「積雪・寒冷地」、「観光地」等、地域特性により求められる内容が異なります。マスタープランでは、これらの地域特性を十分に考慮した独自の取組や事業の実施が求められます。 「都市部」、「地方部」では実状が異なるように、各地域の抱える課題は異なるため、それぞれの地域特性に応じた対応が必要になります。 地域特性による差異 都市部においてはバリアフリー化が必要な施設が多く、関係する事業者も多岐にわたるため、複数の事業者との調整を工夫する必要があります。 地方部では、公共交通機関の利用者が少ないため、生活関連経路のバリアフリー化への理解を得ることが難しいことも考えられます。バリアフリー事業への理解を促すために、説明会やワークショップの実施を図っている自治体もあります。特に地方部においては、例えば、 鉄道駅のない自治体や、鉄道駅の利用者数が少ない自治体など、自動車が主要な移動手段となっている自治体においては、駅を含まない地区におけるマスタープランを作成すること 生活圏が複数の自治体にまたがる地域では、複数の自治体でマスタープランを共同作成すること デマンド交通が移動手段として活用されている地域等では、当該移動手段を考慮したマスタープランを作成すること 大規模な商業施設等がなく、小規模な店舗等が日常的に利用される地域等においては、その規模に応じて、実施可能な取組をソフト面の取組も含めて計画に盛り込むこと 無人駅のある自治体では、鉄道事業者等によるソフト面の取組を含めたマスタープランを作成すること 等が考えられ、それぞれの地域特性を踏まえた計画とすることが重要です。なお、今後、都市部を含め、さらなる少子高齢化の進展が見込まれることから、都市部においても、これらの考え方を参考に検討を進めることが求められます。 多くの観光客が訪れる施設等を含む地区においては、住民だけでなく国内外の観光客にも配慮して移動等円滑化を進めることが望ましいと考えられます。また、移動等円滑化促進地区内に、都市計画法に基づく景観地区、風致地区等の指定がある場合には、市町村または都道府県が定める規制内容を踏まえて、移動等円滑化における街並みの保全への配慮事項について記載 89ページ することが望ましいと考えられます。文化財保護法によって制度化された「伝統的建造物群保存地区」等が含まれる場合も、市町村が条例により定める保存地区の現状を変更する行為の規制等の措置とバリアフリー化の整合を図ることが重要です。 積雪寒冷地において、歩道上の積雪や歩道の凍結は、歩道空間の確保や安全な通行にしばしば支障を生じさせます。積雪寒冷地において作成するマスタープランでは、生活関連経路等における融雪、除雪等の対策についても併せて記載することが望ましいと考えられます。 ■地域特性等に応じた施策の事例 事例 観光地の事例<奈良県奈良市> 奈良県の東大寺では、車いすで通行可能とするため、参道の石畳の中央部を改修しているほか、大仏殿までのバリアフリールートが確保されています。寺社・仏閣は歴史建造物であることから、原状復旧が行えるよう、取り外し可能なスロープの設置等が行われています。 事例 説明終わり 事例 積雪・寒冷地の事例 <北海道滝川市> 積雪・寒冷地では、冬期の特定経路のバリアフリー確保が求められます。ロードヒーティングを設置できない場合は、特定経路の除雪作業を優先的に実施したり、滑り止めの砂箱を設置したりする等の対策が考えられます。滑り止めの砂の散布をボランティアが実施する等、ソフト面の対策も有効です。 事例 説明終わり 90ページ 事例 地方部の事例<岐阜県多治見市> 多治見市では、施設のバリアフリー基準を独自に定め、基準に達する施設を認定する際に「バリアフリー適合証」を発行しています。様々な人が施設等を安心して利用できるように情報提供するとともに、バリアフリーへの意識高揚を図ることを目的としたものです。地方の都市であっても、創意工夫によりバリアフリーの進展に努めることができます。 事例 説明終わり 事例 終わり事例 都市部の連携事例<東京都荒川区・台東区> <荒川区における今後の台東区との連携の考え方について> ○現状調査における連携 南千住駅や箕輪駅と同様に、両区民が相互に利用している施設については、必要に応じて荒川区と台東区が共同で点検を行います。 ○計画策定における連携 区境において、台東区の生活関連経路に連続する経路を荒若区でも生活関連経路に指定し、整備レベルや実施時期を合わせて連続したバリアフリー化を進めていきます。 ○特定事業の進捗管理における連携 区境を連絡する部分の特定事業について、連携した事業指針を行なうために、相互に進捗状況を共有する仕組みを構築します。 南千住駅周辺地区バリアフリー基本構想策定の際に、台東区・荒川区の区界地区で両区民が連携してワークショップ(まち歩き点検)を実施しました。 両区民が使う施設や経路の点検を共同して行うことにより、課題や認識を共有しました。両区民の円滑な移動空間確保のために、整備時期や整備レベルの調整が図られています。 事例 説明終わり 91ページ 事例 商店街を対象とした事例 <北海道札幌市> 札幌市狸小路商店街の道路バリアフリー整備について 札幌狸小路商店街振興組合と札幌市は、「新・札幌市バリアフリー基本構想」(H21.3策定)に基づく、商店街の道路のバリアフリー化を進めるに当たり、高齢者、障がい者等を含む歩行者が最優先との考えのもと、24時間歩行者専用化、許可を得て通行するに荷捌車等を守る「車両通行ルール」の自主的作成や点字ブロックの道路中央敷設等、障がい者等にやさしい商店街を整備 1.事業の概要 2.整備概要 3.24時間歩行者専用化と車両通行のルールを記載 商店街では、荷捌きの車両と歩行者が混在することもあり、点字ブロックの敷設をはじめとするバリアフリー化はあまり進んでいません。基本構想に商店街を位置づけ、商店街全体のバリアフリー化を図る取組についても、まだあまり進展していないのが実情ですが、このような中、北海道札幌市にある「狸小路商店街」では「新・札幌市バリアフリー基本構想」に基づきバリアフリー化を実現しており、基本構想を活用した商店街のバリアフリー化の好事例といえます。 第7回国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰受賞 事例 説明終わり 事例 商店街を対象とした事例 <東京都世田谷区> 世田谷区では、商店街でこれまで実施されてきた取組みを、「移動等円滑化における世田谷らしさ」捉え、ハード・ソフトの一体的なバリアフリー事例として更に磨きをかけ、区全域に展開していくことで、商店街におけるバリアフリーを促進しています。 世田谷区の松陰神社通りでは、店舗のバリアフリー化を推進することをルールとして定め、多くの店舗で段差が解消されました。また、道路上の看板・商品を自粛することや、駐輪スペースを設けて歩行者の妨げにならないようにすること等を定め、地域住民が安心して買い物ができる空間を作り出しています。 事例 説明終わり 92ページ 事例 重点整備地区に鉄道駅を含まない事例 <大阪府高槻市>  杉並区では、地域公共交通計画において「気軽で自由な外出と回遊性の確保」を目標の1つに位置付けており、公共交通不便地域における、主に高齢者や障害者、子育て世帯など移動をためらう区民を対象として、外出を促すことを目的に、令和7年から区営乗合タクシー(AIオンデマンド交通)の実証運行を実施しています。 車両はユニバーサルデザイン仕様のものを採用しており、一部の停留所を除き、車いすに乗ったまま乗車することが可能となっています。 事例 説明終わり 事例 重点整備地区に鉄道駅を含まない事例 <大阪府高槻市>  高槻市では、バリアフリーマスタープランと基本構想を一体にした計画を作成しており、マスタープランで移動等円滑化促進地区として設定した区域を基本構想における重点整備地区として設定しています。 設定した地区は、鉄道駅周辺の3地区の他に、鉄道駅は立地していませんが、高齢者・障害者等が利用する福祉施設等が集積しており、各施設を結ぶ安全な移動経路の確保が求められる1地区となります。 市域の北西部、JR摂津富田駅からバスで10分ほどのところに位置し、地区周辺には戸建てを中心とした住宅地や田園が広がるエリアです。 旅客施設である鉄道駅は立地していませんが、高齢者、障害者等が利用する福祉施設が集積しています。 図 郡家周辺地域 図 移動等円滑化促進地区および重点整備地区の位置・区域 事例 説明終わり 93ページ 事例 村で初めて基本構想を作成した事例 <福島県泉崎村>  泉崎村では、泉崎駅周辺に主要施設が集中しており、今後東西自由通路や東側交通広場の整備、施設移転等が予定されているなど、まちづくりの機運が高まっているほか、防災・安全交付金の道路事業を念頭として、村単位では初となる基本構想を作成しました。 図 重点整備地区・生活関連施設・生活関連経路 事例 説明終わり 94ページ 4-10 移動等円滑化の促進に関するその他の取組 マスタープランは、市町村の発意や主体性に基づいて自由な発想で作成されるものなので、基本方針に記載のマスタープランの指針となるべき事項に定められていないことについても、記載することが望ましいとされています。 Point ・ここまでに紹介してきたバリアフリー化のための施策や取組以外にも、市町村の自由な発想で、地域におけるハード・ソフト両面の面的なバリアフリー化を推進するための取組を記載することが求められています。 その他のバリアフリー化の促進に関する取組事例 放置自転車対策 自動車の違法駐車の取締りについては、公安委員会が実施する交通安全特定事業の範囲となりますが、放置自転車対策について位置づけることが考えられます。 安全な歩行空間を阻害する行為への対策 歩道上への商品のはみ出し陳列や自動販売機・看板等の設置等、安全な歩行空間確保に支障を及ぼす行為を防止するための指導や活動を位置づけることが考えられます。 工事中のバリアフリー 通路幅員の確保、段差の解消、視覚障害者誘導用ブロックの設置、誘導員の配置等、工事中であっても利用者が安全に安心して歩ける空間の確保、工事情報の提供等が考えられます。 設計・施工者への意識啓発・技術力向上 施設を設計・施工する人たちに対し、バリアフリーの整備に関する意識を高める活動や、技術力を向上させるための支援を行うことが考えられます。 95ページ 5-1 マスタープランの事後評価 マスタープラン作成後は、継続的にバリアフリー化の状況把握を図るとともに、事後評価を行い、必要に応じた見直しを実施する「PDCA」の取組をマスタープランに記載することが必要です。また、その「PDCA」の取組における市民参画のあり方についても記載することが重要です。 マスタープランでは、協議会を活用して継続的な改善を行い、バリアフリー化の状況把握や事後評価の方法について具体的に示すことが必要です。 協議会を活用して、継続的にバリアフリー化の状況把握を図ることが必要です。 PDCAサイクルの実施にあたっては、高齢者、障害当事者等がPDCAの各場面に参加する仕組みを構築することが重要です。 マスタープランの評価の基本的な考え方 マスタープランには、バリアフリー化の状況の把握方法や事後評価の方法についての基本的な考え方を記載することが重要です。具体的には、マスタープランの作成(Plan)後のバリアフリー化の実施(Do)を受けて、その結果を評価(Check)し、必要に応じて見直す(Action)といったPDCAサイクルにより、現状に則した計画となるように継続的に改善を行うという考え方です。 マスタープランの計画期間が終了した後であっても、状況に応じて維持・改善をしていく「段階的・継続的な取組(スパイラルアップ)」が重要であり、必要に応じてマスタープランを見直すといったことが求められます。 このスパイラルアップのサイクルを構築するためには、マスタープランの作成に係る事前の検討段階から事後の評価の段階に至るまで、協議会を活用すること等により、高齢者、障害者等の利用者や施設設置管理者等の関係者が積極的に参加し、この参加プロセスを経て得られた知見を共有化し、スパイラルアップを図ることが重要です。 また、マスタープランの見直しに止まらず、事業化の目処が立った場合には、基本構想の作成へと移行し、具体的なバリアフリー事業を進めていくことが重要です。なお、法の規定にかかわらず評価等の実施は、毎年度行うなど地域の実情を踏まえて積極的に行うことが望ましいです。 96ページ 事後評価の方法 協議会や住民、障害当事者等による点検、アンケート等、様々な手法による評価を行う マスタープランを作成した当初は、事業の具体化が見込めず、基本構想の作成が困難であった箇所について、改めて調整を行う 作成したマスタープランは、時代背景や利用者ニーズ等を考慮して適宜、継続して改善を実施する必要があります。事後評価の結果を踏まえ、基本構想の作成を進めることや移動等円滑化促進区域を見直すこと等の対応を行うことが重要です。 事後評価では、高齢者、障害者等とともにバリアフリー化の整備状況について改めて確認する機会を積極的に設けることが適正な評価につながります。基本構想と異なり、特定事業計画の位置づけ等はありませんが、点検・アンケート等を通じて定量的に評価を行うことが重要です。 また、マスタープランを作成した当初は事業の具体化が見込めず、基本構想の作成が困難であった箇所についても、障害者等の当事者ニーズの高まりや社会情勢の変化等により、基本構想の作成に着手することも考えられます。その他、地域の新たな課題が見つかることも考えられ、こうした内容もマスタープランの見直しに盛り込むことが重要です。 事例 マスタープランの事後評価の事例 <山口県宇部市>  宇部市では、マスタープランの事後評価を地域公共交通計画の策定・実施のために設置している「公共交通協議会」を通じて実施してきました。事後評価は数値化された定量的な指標は用いていませんが、バリアフリートイレの整備状況や出入口の段差解消の有無など、各生活関連施設のバリアフリー化の状況を毎年報告する形で進めてきました。 また、市役所本庁舎棟建設の際は障害当事者の意見を直接聴取するとともに、市民交流棟に関しては意見交換会を実施し、障害当事者などの声を可能な限り反映した設計内容になっています。 図 計画期間におけるバリアフリー化の成果(一部抜粋) 事例 説明終わり 97ページ 事例 マスタープランの事後評価の事例 <大阪府豊中市> 豊中市では、マスタープランに基づく事業の進捗状況について定期的に協議会に報告・共有し、それに対する意見等のフィードバックを受けています。 報告の内容は、市の各部門のバリアフリー化の状況について、工事前・工事後の写真を掲載し事業の成果を視覚的に分かりやすくしたり、進捗状況を定量的に示すことができるものは事業の実施数・割合を示したりしています。 また、市の取組だけでなく、鉄道事業者などの庁外の取組についても協議会で報告しているなど、地域全体の多様な取組の状況が報告されています。 図 工事前後の写真の掲載 図 小中学校のバリアフリー化の進捗状況 事例 説明終わり 98ページ 5-2 マスタープランの見直し 市町村がマスタープランを作成した場合、概ね5年ごとに、移動等円滑化促進地区における施設等の整備状況についての調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、マスタープランの内容の見直しや基本構想を作成するものとされています。 協議会を活用した事後評価の結果を用いて、マスタープランの見直しや基本構想を作成することが必要です。 施設等の整備状況に限らず、心のバリアフリー等のソフト面での取組についても、評価結果に基づき見直しを行うことが重要です。 マスタープラン見直しの必要性 マスタープランに示す面的・一体的なバリアフリー化の方針の実現のためには、具体の事業計画である基本構想の作成等に繋げていくことが必要です。そのためには、マスタープランの目標の達成状況を評価して、見直し・改善を行う必要があります。 特にマスタープランの目的に鑑みて、事業の具体化が可能なものについては、基本構想の作成に繋げていくことが重要です。 一方、国土交通省が実施した市町村へのアンケート調査では、マスタープラン又は基本構想を作成した自治体のうち、当事者参画の下、直近5年以内にスパイラルアップに取り組んでいる自治体(協議会等を活用した事後評価又は見直し等を実施している自治体)の割合は30%(令和6年度末時点)に留まっています。 マスタープラン見直しのポイント 1.基本構想作成の検討 マスタープランを作成した当初は、事業の具体化が見込めず、基本構想の作成が困難であった箇所についても、障害者等の当事者ニーズの高まりや社会情勢変化等により、基本構想の作成が必要となることが考えられます。改めて、事業者との調整を行うなど、事業の具体化に向けた取組を進めることが重要です。 99ページ 2.新規課題への対応 マスタープランを作成した当時には想定していなかった課題への対応を行う必要があります。時代背景や利用者ニーズは日々移り変わります。こうした新たに生じる課題に対応するためマスタープランを適宜更新していく必要があります。 マスタープラン見直しの内容 マスタープランの見直しを実施している自治体における見直しの内容は、「移動等円滑化促進地区の追加・見直し」や「心のバリアフリーの記載の充実」等がみられます。 事例 マスタープランの見直しにより地区を追加した事例 <東京都大田区>  大田区では、令和2年3月に作成したバリアフリーマスタープランにおいて、区全体を「バリアフリーを推進するエリア」と定めた上で、既に重点整備地区として設定済みの3地区に加え、駅の利用者数や地区内の施設数、まちづくりにおける地区の位置付け等の客観的な指標を用いた検討の結果、池上駅周辺地区を加えた4地区を移動等円滑化促進地区に設定しました。 その後、計画策定から5年後に令和7年3月にバリアフリーマスタープランを改定し、都市計画マスタープランの位置付けやまちづくりの動向等を踏まえて新たに地区を追加したことで、合計で19箇所の移動等円滑化促進地区を設定しています。 図 移動等円滑化促進地区および重点整備地区の位置・区域 事例 説明終わり 100ページ 白紙 101ページ Ⅲ バリアフリー基本構想の作成 102ページ 白紙 103ページ 第6章 バリアフリー基本構想の作成 6-1 基本構想作成における全体的な留意点 基本構想の記載事項に関しては、バリアフリー法の基本方針において、いくつかの全般的な留意点が示されています。特に、基本構想や位置づける各種事業についての具体的な目標の明確化のほか、基本構想の内容についての各種計画等との整合、地域特性への配慮、関係者の意見を反映した基本構想の作成等に留意することが必要です。 具体的な事業目標を設定し、各関係者間の共通認識をしっかり持ちましょう 基本構想を作成するうえで、各種計画と整合を図ることが大切です。各自治体で決められている計画について庁内で情報共有し、基本構想を作成しましょう 目標の明確化 市町村をはじめ、施設設置管理者、都道府県公安委員会等の実施する各種事業を総合的、一体的に行うことが基本構想制度の重要な目的です。そのためには、各関係者間での共通認識が重要となるため、基本構想では可能な限り具体的な目標を設定することが求められます。 この場合、基本構想全体の目標や計画期間を明記するとともに、特に特定事業等については着手予定時期、実施予定期間を具体的に記載するようにします。なお、当面事業の実施見込みがない場合でも、検討の方向性等について記載し、事業が具体化した段階で基本構想を適宜変更し、事業の内容を追加していくことが重要です。 各種計画等との整合 バリアフリー法では、都市計画、都市計画法に規定する市町村マスタープラン、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に規定する地域公共交通計画との調和を保つことが求められていますが、これら以外の各種計画等との連携・整合性を図ることも重要です。 各種計画等との連携・整合における具体的な計画の例については、「Ⅱ マスタープランの作成」のp.49~p.51「各種計画等との整合」をご参照ください。 104ページ 国が示しているバリアフリーに関するガイドライン等の反映 国では、「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン」、「公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドライン」、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」等を策定し、移動等円滑化の基準と高齢者、障害者等の多様な利用者のニーズに応えるための施設整備の考え方を示しています。 また、各都道府県や市区町村では、福祉のまちづくり条例等を制定し、移動等円滑化に関する取組を推進しています。基本構想の作成においては、これらガイドラインや条例等の目的や主旨を理解することが重要です。 地域特性への配慮 基本構想の作成にあたっては、地域特性に配慮するとともに、その特性を反映した様々な創意工夫に努めることが重要です。例えば、特有の気候・気象条件、特有の地理的・地形的条件、観光地等で来訪者が多いことや、重点整備地区にあっては、中心市街地、交通結節点、景観に優れた地区であること等が地域特性として考えられます。高齢者や若年層など、車を運転できない層の日常生活における移動手段の確保・維持が難しい地域では、地域の足となる有償運送や助け合いによる移動サービスの拠点となる場所やバス停及びその周辺経路のバリアフリー化、情報提供における工夫が重要です。 特に、位置づける各種事業の効果を高めるため、重点整備地区の特性を勘案して、特定事業の内容を決定するとともに、特定事業以外にも、その特性に応じた様々な事業を位置づけることが重要です。 関係者の意見を反映した基本構想の作成 基本構想協議会を積極的に活用して基本構想を作成することは「マスタープラン及び基本構想の作成手順(P.20)」の冒頭でも示しましたが、多様な高齢者、障害者等の意見が基本構想に十分に反映されるよう努めることが重要です。基本構想独自の特定事業についても、その内容検討及び事業実施等の全ての過程において、意見が反映されるよう努めることが重要です。 特に、地域住民や来訪者における高齢者や障害者等の利用施設、外出機会や移動手段等に対するニーズなどを把握し、道路や公共交通機関、頻繁に利用する施設の利用しやすさや移動しやすさ等施設のバリアフリー化における現状の問題点を整理することが必要です。 このようなバリアフリー化の現状や施設の利用状況等、基本構想作成の基礎情報について各施設の管理者等がバリアフリー化の状況等必要な情報を提供していくことが重要です。 なお、他の法令に基づく既存の協議会等において、バリアフリー法に基づく協議会の構成員等の要件を満たしていれば、バリアフリー法に基づく協議会として位置づけることが可能ですので、関係する他の計画の議論と併せて基本構想を作成することも効果的と言えます。 特定事業に関する公的な支援措置 自治体等が基本構想に即して特定事業を円滑に実施することができるよう、公的な支援措置が多数存在しています。基本方針では留意点として、公的な支援措置が講じられる場合には、その内容を明確にすることが重要であるとしています。 105ページ バリアフリー化のための支援制度に関しまして、詳細は国土交通省総合政策局共生社会政策課ホームページよりご覧ください。 「国土交通省総合政策局共生社会政策課」(URL) 事例 特定事業に関する公的支援措置を活用した事例 <大阪府高槻市> 高槻市バリアフリー基本構想 概要版について掲載 事例 説明終わり 106ページ 公的支援活用のポイント 前頁で例示した高槻市の事例においては、社会資本整備総合交付金を活用してバリアフリー事業を進めました。社会資本整備総合交付金とは、都市基盤施設の効率的・計画的な整備を実施するため、地方公共団体が作成した社会資本総合整備計画に基づき、基幹事業(ハード事業)のほか、関連する整備事業や、基幹事業と一体となって効果を一層高めるための事業(ソフト施策等)を総合的・一体的に支援する制度となっています。 各自治体は具体的に、「鉄道駅におけるバリアフリー施設の整備により、高齢者や障害者等をはじめとしたすべての人が安心して利用できる移動環境の確保を目指す」や「鉄道駅の利便性向上により、都心地区へのアクセス性向上や新たな公共交通利用者の創出を図り、都市活動を支える利用しやすい移動環境の確保を目指す」といった計画目標を掲げることで公的な支援を受けることができます。 段階的・継続的な発展(スパイラルアップ) バリアフリー化の内容については、基本構想作成に関する事前の検討段階から、事後の評価の段階まで、高齢者、障害者等の当事者や住民等が積極的に参画し、この参画プロセスを経て得られた知見を共有し、スパイラルアップを図ることが重要です。 バリアフリー法においては、基本構想が作成された後も、概ね5年ごとに施設を利用する高齢者、障害者等の利用の状況や、重点整備地区におけるバリアフリー化の整備状況等を把握・評価し、必要に応じて基本構想を見直すこととされており、場合によっては新たな基本構想を作成することや、マスタープランが作成されていない場合には、新たにマスタープランを追加作成することも考えられます。 移動等円滑化に関する住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保 バリアフリー化を図るためには、単に施設や経路のハード整備のみならず、「心のバリアフリー」などのソフト対策についても、一体的に実施することが効果的です。 令和2年5月のバリアフリー法改正により、令和2年6月以降に作成される基本構想においては、「教育啓発特定事業」を位置づけることが可能です。当該事業の活用を含めた住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保を図る取組を位置づけることにより、ハード・ソフト両面のバリアフリー化を促進するが重要です。 【基本構想を作成する上での作業の効率化】 基本構想を主として作成する担当部局は、前述した庁内連携を活用し作業の効率化を図ることも必要です。 庁内連携が充実していれば、担当部局が不得手な役割については、庁内から「効果的な助言」や「直接的な作業補助」を受けることができます。(例えば、都市計画の部署が福祉の取組事業を計画する際には、福祉や高齢者の部署の知見を共有することで作業の効率化を図ることができます) また、まち歩き点検等のワークショップを開催する際には、既に地域住民や自治体内の障害当事者が自発的にまちのバリア箇所を検証している場合があり、これらの知見を参考に作業を進めることを推奨します。(自治体内のバリアフリーが必要な箇所等を事前に見当をつけることにより、事業のコストダウンや効率化を図ることができます) 107ページ 6-2 基本構想に明示すべき事項 基本構想に明示すべき事項については、バリアフリー法(第25条等)において以下のとおり規定されています。 1.重点整備地区における移動等円滑化に関する基本的な方針 2.重点整備地区の位置及び区域 3.生活関連施設及び生活関連経路並びにこれらにおける移動等円滑化に関する事項 4.市町村が行う移動等円滑化に関する情報の収集、整理及び提供に関する事項 5.実施すべき特定事業その他の事業に関する事項 6.① 5.と併せて実施する市街地開発事業において移動等円滑化のために考 慮すべき事項 ② 自転車等の駐車施設の整備等移動等円滑化に資する市街地の整備 ③ その他重点整備地区における移動等円滑化のために必要な事項 7.基本構想の評価に関する事項(スパイラルアップに向けた継続した取組) ※1、4、7については、任意記載事項 Point ひとつの基本構想で複数の重点整備地区を設定することや、1自治体が複数の基本構想を作成することが可能です。 記載の留意事項 1.重点整備地区における移動等円滑化に関する基本的な方針 ① 基本構想の位置づけ 都市計画法による都市計画区域マスタープランや、市町村マスタープラン、地域公共交通活性化再生法による地域公共交通計画等との整合に留意して記載します。 ② 基本構想の計画期間 基本構想の計画期間を記載します。 なお、バリアフリー法第25条の2において、市町村は、基本構想を作成した場合においては、概ね5年ごとに、当該基本構想において定められた重点整備地区における特定事業その他の事業の実施の状況についての調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、基本構想を変更するものとされています。 108ページ ③ 基本構想を作成する背景・理由 当該重点整備地区の現状や課題を踏まえ、なぜ基本構想を作成するのか、その背景や理由を記載します。 ④ 重点整備地区の特性 市町村における地区の位置づけ、交通の状況または生活関連施設の集積状況からみた拠点性等、重点整備地区が有する特性を記載します。 ⑤ 地区特性を踏まえた移動等円滑化の基本的な考え方、事業の目標年次 どのような方針で整備していくのか(整備方針)、いつまでに整備するのか(目標年次)を記載します。 なお、重点整備地区を複数設定する場合、③~⑤については、地区の特性を踏まえ、それぞれの地区ごとに記載することが必要です。 2.重点整備地区の位置及び区域 重点整備地区の位置(○○周辺地区等)、地区の範囲と境界設定の考え方、重点整備地区の面積について記載します。 マスタープランの移動等円滑化促進地区と重点整備地区との関係性はP.11~12のイメージ図参照 3.生活関連施設及び生活関連経路並びにこれらにおける移動等円滑化に関する事項 重点整備地区の実情から、生活関連施設に設定する施設及び生活関連経路に設定する経路を選定し記載します。 この場合、高齢者、障害者等の移動や施設利用の状況、土地利用や諸機能の集積の状況や、これらの将来の方向性等を総合的に判断し、実態に即して客観的に選定することが必要です。 特に生活関連施設は、すでにバリアフリー化され、当面は事業実施の必要がない施設でも生活関連施設として設定する等、事業実施の有無にかかわらず、生活関連経路の設定を含めた総合的な判断に基づくことが重要です。 次に、現時点におけるバリアフリー化等の状況や移動等円滑化の課題等を踏まえ、生活関連施設及び生活関連経路の各々について、事業実施の必要性や整備方針等を記載します。 109ページ 4.市町村が行う移動等円滑化に関する情報の収集、整理及び提供に関する事項 市町村がバリアフリーマップを作成したり、バリアフリー情報をHP等で公表したりする場合、市町村の求めに応じて施設設置管理者が提供する情報について、提供すべき事項等を記載します。 5.実施すべき特定事業その他の事業に関する事項 生活関連施設・生活関連経路に位置づけた施設のうち、「特定事業」または「その他事業」を実施する施設について、事業の種類別に概ねの事業内容(対象施設(整備箇所)、事業者、整備内容、事業実施時期等)について記載します。 地域における移動等円滑化を図るためには、単に施設や経路のハード整備のみならず、「心のバリアフリー」などのソフト対策についても一体的に実施することが効果的であるため、令和2年5月のバリアフリー法改正により、移動等円滑化の促進に関する児童、生徒又は学生の理解を深めるために学校と連携して行う教育活動の実施に関する事業や、移動等円滑化に関する住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保のために必要な啓発活動の実施に関する事業を「教育啓発特定事業」として位置づけています。 なお、「その他の事業」としては、生活関連経路を構成する駅前広場、通路等のハード整備事業等が挙げられます。 6.その他、重点整備地区における移動等円滑化のために必要な事項 ① 特定事業と併せて実施する市街地開発事業において移動等円滑化のために考慮すべき事項 重点整備地区内で実施される土地区画整理事業、市街地再開発事業等の市街地開発事業では、特定事業等との連携を図り一体的なバリアフリー空間を創出することが重要です。そのため、市街地開発事業の区域内において実施する移動等円滑化について記載します。 ② 自動車等の駐車施設の整備等移動等円滑化に資する市街地の整備改善に関する事項 車椅子使用者や視覚障害者をはじめとする歩行者等の通行の妨げとなる違法駐輪や違法駐車等を防止するために、駐輪場・駐車場を整備する等、移動等円滑化のために講ずる施設整備を実施する場合に、その内容について記載します。 ③ その他重点整備地区における移動等円滑化のために必要な事項 ソフト施策 「教育啓発特定事業」としてソフト対策を実施することが重要です。「教育啓発特定事業」としてソフト対策を実施しない場合であっても、ハード整備と一体的に実施することが望ましいソフト対策について記載します。 110ページ 心のバリアフリー」の推進 ハード整備のみならず、住民その他関係者による理解や協力等の「心のバリアフリー」の重要性や、事業者や市民がバリアフリー化の重要性や高齢者・障害者等への理解を深めるための取組(心のバリアフリー)について記載することが考えられます。 マナーの向上 放置自転車対策や安全な歩行空間を阻害する行為等への対策、障害者等が利用する車椅子使用者用駐車施設や障害者用トイレの利用などのマナーの向上のための取組について記載することが考えられます。 情報提供 市町村による一元的な情報提供に限らず、市民参加の観点から、基本構想の作成から各種事業の実施段階までの情報提供の方策を記載するとともに、施設設置管理者による情報提供方策など、広く一般にバリアフリー化の状況を周知する方策等を記載することが考えられます。 交通手段の充実 バス路線の充実、コミュニティバス、STS※等の公共交通や移動支援サービスの導入等、高齢者、障害者等の重点整備地区への移動等の利便性・安全性を高める取組等について記載することが考えられます。 ※Special Transport Service:移動制約者を対象に、介護サービス等と連続的・一体的に提供される個別的な輸送サービスで、低床バスやリフト付き車両によるドア・ツー・ドア移動が提供される 7.基本構想の評価に関する事項 ①基本構想作成後の特定事業等の実施状況の把握等 基本構想作成後、特定事業その他の事業が早期に、かつ、基本構想で明記された目標に沿って進展するよう、事業の実施状況の把握や情報提供、さらには事業者との連絡調整の適切な実施が必要であり、その方策を明記することが重要です。 併せて、この場合の協議会の活用方策について明記し、特定事業の内容等に関する住民参加、住民意見の反映の方策についても配慮することが重要です。 ②基本構想作成後のスパイラルアップに向けた継続した取組 基本構想作成後の進行管理・事後評価・見直しに向けた方策を明記することが重要です。この場合、協議会の活用方策についても明記し、住民参加や住民意見の反映の方策についても配慮することが重要です。 111ページ 6-3 重点整備地区の設定 重点整備地区の要件は、バリアフリー法に定められています。各自治体においては、その要件を満たす地区が複数存在することが想定されます。 このような場合には、すべてを重点整備地区に指定することが理想ですが、指標やデータ等に基づく分析により優先順位を定め、順に重点整備地区を設定していくことが現実的と考えられます。 Point 指標やデータ等に基づく分析を行い、重点整備地区の優先順位を定める事が求められます。 重点整備地区の要件 重点整備地区の要件は、バリアフリー法第2条第24号において次の(1)~(3)のように定められており、基本方針の四の2において、その指針となる考え方が次の(4)も含めて、以下のとおり示されています。 (1)生活関連施設があり、かつ、それらの間の移動が通常徒歩で行われる地区 基本方針では、原則として生活関連施設が概ね3以上あることとしています。また、それらの間の移動が通常徒歩で行われる地区とは、生活関連施設が徒歩圏内に集積している地区としています。なお、旧交通バリアフリー法と異なりバリアフリー法では、旅客施設を含まない重点整備地区の設定が可能です。 図 重点整備地区における移動等の円滑化 112ページ 事例 重点整備地区の設定例 <東京都小金井市> の地図を掲載 事例 旅客施設を含む重点整備地区<武蔵小金井駅・東小金井駅・新小金井駅周辺> の地図を掲載 事例 旅客施設を含まない重点整備地区<小金井公園周辺> の地図を掲載 113ページ (2)生活関連施設及び生活関連経路についてバリアフリー化事業が特に必要な地区 重点整備地区は、その趣旨から、バリアフリー化事業が重点的・一体的に実施される地区であることが求められます。基本方針では、高齢者、障害者等の移動や施設利用の状況、土地利用や諸機能の集積の状況や、これらの将来の方向性のほか、想定される事業の実施範囲、実現可能性等の観点から総合的に判断し、一体的なバリアフリー化事業が特に必要な地区であることを求めています。 (3)バリアフリー化の事業を重点的・一体的に行うことが、総合的な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切な地区 基本方針では、ここでの都市機能として、高齢者、障害者等に交流と社会参加の機会を提供する機能、消費生活の場を提供する機能、勤労の場を提供する機能等を掲げています。各種バリアフリー化の事業の重点的・一体的な実施が、このような様々な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切であると認められる地区であることが求められます。 地区の考え方は、都市部・地方部などの地域の実態によって異なります。各市町村においては、各地域の実態を踏まえて柔軟に検討することが重要です。 (4)境界の設定等 重点整備地区の境界は、町界・字界、道路、河川、鉄道等の施設、都市計画道路等によって明確に表示して定めることが必要です。なお、重点整備地区の区域が市町村界を越える場合は、隣接市町村と連携して基本構想を作成する必要があります。 基本方針において示されている上記のような考え方を参考としつつ、生活関連施設や生活関連経路の設定については、次の「6-4 生活関連施設・生活関連経路の設定」で示している考え方や留意点を踏まえて、地域の実情に応じて地区の設定を行うことが重要です。 事例 重点整備地区の設定例 <大阪府吹田市・豊中市> 桃山台駅(北大阪急行)は、吹田市の西端に位置し、豊中市に隣接しています。両市の市民の利用が多く、駅周辺地区を含めて、両市民にとって安全でより使いやすいバリアフリー化を進めるため、吹田市と豊中市が協働して基本構想を作成しています。 の地図を掲載 114ページ 事例 重点整備地区の再設定例 <京都府京都市> ・当初の基本計画作成時点で、重点整備地区内にあった鉄道駅が、利用者数が少ないことで生活関連施設に設定していなかったため、鉄道駅の徒歩圏である生活関連施設となり得る施設(病院)を重点整備地区に取り込んでいなかった。 ・近年、鉄道駅の利用客数は住民や観光客の利用により増加傾向にあることから、改めて駅を生活関連施設に設定し、併せて病院が立地するエリアを重点整備地区に取込み、駅から病院までの経路を生活関連経路とした。 ・生活関連経路については、障害者や高齢者が参加したまち歩き点検を実施し、参加者の意見に対して対応方針を示している。 【鳥羽街道駅周辺における新たな生活関連経路の設定】 地図やまち歩き点検の様子などを掲載 事例 説明終わり 115ページ 【他法令・他計画に基づき既に設定されている区域・地区との連携・調整】 事例 市町村の境界を越えて生活関連施設と経路を設定している事例 <東京都足立区> 足立区では、旅客施設周辺が行政界となっている重点整備地区において、隣接自治体である葛飾区と調整を行い、葛飾区域内にはなるが綾瀬駅からの利用者が多い盲学校、ろう学校等の施設や経路を生活関連施設・経路として位置づけ、連続性のあるネットワーク形成を図っています。 事例 説明終わり 他法令・他計画に基づき既に設定されている区域・地区との連携・調整 重点整備地区は、移動等円滑化促進地区より狭い範囲での設定になることが多く見込まれます。重点整備地区の設定においては、移動等円滑化促進地区と同様に各種計画等との整合をとる必要がありますが、都市再生整備計画に基づく滞在快適性等向上区域(まちなかウォーカブル区域)など、狭い範囲において定められる区域・地区との整合により一層留意して、一体的に施策を推進することが求められます。 重点整備地区の設定 重点整備地区の要件を満たす候補地区は、同一自治体内に複数存在することが想定されますが、優先順位の高い地区から順次基本構想を作成することが現実的です。優先順位の設定にあたっては、客観的な指標やデータに基づき検証することが望まれます。 116ページ 候補地区の優先度を検証するための評価指標例 調査項目 参考データの表を掲載 調査項目①生活関連施設の分布状況 調査項目:②人口分布(常住人口、昼間人口)、(高齢者人口)、(障害者人口) 参考データ:(町丁目別人口・年齢別人口)、(障害手帳所持者) 調査項目:③公共交通の状況(旅客施設利用者数)、(バス運行回数)      参考データ:(複数の場合には路線別)、(複数の場合には路線別) 調査項目:④地区の位置づけ(地区の位置づけ)、(将来の整備の方向性)    参考データ:(上位・関連計画による位置づけ) 調査項目:⑤将来プロジェクト 再開発事業、区画整理事業、駅前広場整備事業その他面整備計画の有無 【「徒歩圏内」の考え方】 「徒歩圏内」とは、生活関連施設として位置づけられる施設の種類や立地、集積度合いによって、実際に設定される地区の面積は様々になると考えられます。 重点整備地区の選定方法の事例 事例 重点整備地区の選定例 <東京都荒川区> 優先順位の評価方法 ●鉄道駅等ごとに、評価項目ごとのスコア(点数)※を計算し、要件ごとの平均スコアを算出し、さらに、各要件の平均スコアの平均を総合スコアとして設定します。 ※スコア(点数) 各指標での最高評価を「1.00」、最低評価を「0.00」として、その間は直線補完により配点したもの ●総合スコアが高い駅等が、バリアフリー化における現状課題等が多いものと判断し、重点整備地区を設定する上で優先順位が高いものとします。 ●各評価項目のスコア計算方法 <データの作成> ・夜間人口、高齢者人口、障がい者人口: 町丁目別にデータを設定する。鉄道駅等から500m圏内に該当する町丁目データを集計し、鉄道駅等のデータとします。(DATAi) ・鉄道駅等の利用者数、平日バス便数、 都市計画道路未整備延長: 鉄道駅等に係る当該データを作成します。(DATAi) ・区民がよく利用する駅、高齢者が良く利用する駅: アンケート調査結果より、「よく利用する駅」(1番、2番)の回答数を駅ごとに集計し、高齢者利用については、そのうちの65歳以上の回答者分のみを集計して、鉄道駅ごとのデータとします。(DATAi) ・高低差、駅前広場未整備: 高低差は地形図上から5mの標高差の有無、駅前広場未整備は地形図上から駅前広場の有無からデータを作成します。 <スコアの算定> 項目ごとに最大値(MAX)・最小値(MIN)を算出します。 各鉄道駅ごとのスコア(SCOREi)は次の算定式で算出します。 SCOREi=(DATAiーMIN)÷(MAXーMIN) 鉄道駅ごとに評価項目ごとのスコアを計算し、要件ごとの平均スコアを算出、さらに各要件の平均スコアの平均を総合スコアとして設定し、優先順位を決定 事例 説明終わり 117ページ 大きな旅客施設のない地区であっても、下記の事例のように、地域の実情に合わせてその他の地区を選定することが可能です。 事例 地域の実情に合わせて重点整備地区を選定している事例 <和歌山県那智勝浦町> JR 西日本 紀伊勝浦駅は1 日の利用者が1,200 人程度ですが、 ・徒歩圏域(駅から500m)において高齢者や障害者がよく利用する施設があること ・町内の他の駅に比べ利用者が多く、また唯一の有人駅であること ・紀伊勝浦駅には町民以外にも観光客が訪れるためバリアフリー整備効果が高いと考えられる 等から重点整備地区として設定されています。 これまで紀伊勝浦駅は、入口~改札口、改札口~ホーム間に垂直移動があるものの、エレベーターが設置されておらず、垂直移動に関する苦情が駅に多く寄せられていましたが、基本構想作成により、駅構内にエレベーターを設置することができ、駅周辺の経路や建築物に対してもバリアフリー化を一体的に進めることができました。 利用者数の少ない駅であっても、地域の重要な拠点である駅を中心として、交通事業者の協力のもとバリアフリー化を進めることができます。 基本構想を作成する際に行われた、紀伊勝浦駅のタウンウォッチング(まち歩き点検)では、障害当事者や地区住民、学識経験者とともに4名の交通事業者が参加し駅周辺のバリアを発見するために現地調査が行われました(全参加者34 名)が、このように公共交通事業者が障害当事者や住民等とともに施設の点検をすることによって、共通の認識を持ってバリアフリー化を進めることができます。 図 タウンウォッチングの際に作成された、紀伊勝浦駅のバリアフリーマップ 事例 説明終わり 118ページ 事例 小規模な重点整備地区の事例 <富山県黒部市> 富山県黒部市では、市内で最も利用者が多い駅の周辺地区について、近隣を通る国道バイパスの開通や道の駅の開業によって駅西側の土地利用が活性化されていることを受けて、駅の利便性の向上やバリアフリー化を図るため基本構想を作成しました。 立地適正化計画における居住誘導区域の設定状況や駅の機能の及ぶ範囲などを考慮しながら、優先的に事業に取り組むべき施設や経路を絞った約5㏊の重点整備地区を設定しています。 今後は協議会において事業の進捗状況等を確認しながら効果検証を進め、必要に応じて基本構想を見直すことしています。 図 重点整備地区・生活関連施設・生活関連経路 事例 説明終わり 事例 小規模な重点整備地区の事例 <岡山県里庄町>  岡山県里庄町は、高齢化が進行することを踏まえて、ハード、ソフト両面のバリアフリー化を推進するために、令和6年度にバリアフリー基本構想を作成しました。都市計画マスタープランで位置づけられている交流拠点であり、バリアフリー化に向けた事業が特に必要である駅周辺地区を重点整備地区に設定しています。 重点的に駅を中心に整備を進めることから、重点整備地区の面積は約9haと非常にコンパクトな範囲となっていますが、丁寧な当事者参画により把握したニーズに基づき、対応が必要な特定事業を多く位置づけています。 図 重点整備地区・生活関連施設・生活関連経路 119ページ 6-4 生活関連施設・生活関連経路の設定 生活関連施設には、相当数の高齢者、障害者等が利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設、病院、文化施設、商業施設等多様な施設を位置づけることを想定しています。 生活関連経路は、生活関連施設相互の経路であり、生活関連施設へのアクセス動線や地区の回遊性等に配慮する必要があります。 生活関連施設は、特定事業等の実施に関わらず高齢者や障害者等が利用する施設を設定し、まちの一体的なバリアフリー化を進めることが重要です。 生活関連経路が接続される施設だけでなく、地域の生活関連施設の集積度合いを示すためにも、重点整備地区内の生活関連施設の把握に努めましょう。 生活関連経路は、全ての施設相互間の経路が設定できなくても、優先順位が高いものや位置づけの調整が整ったものから順次位置づけていくことが重要です。 生活関連施設の設定・生活関連経路の設定については、「Ⅱ移動等円滑化促進方針の作成」の「4-4生活関連施設・生活関連経路の設定」を合わせてご参照ください。 生活関連施設の設定 基本構想における生活関連施設の設定にあたっての留意点 事業の実施可否により生活関連施設設定の判断をしない 生活関連施設は、「相当数の高齢者・障害者等が利用」する施設であり、必ずしも特定事業等の対象とすべき施設と一致するわけではありません。また、生活関連施設を設定しないと、そこにアクセスする生活関連経路の設定もできないため、特定事業等の実施見込みがない場合でも生活関連施設として位置づけ、長期的な展望に立ち段階的な整備を検討する等の取組を記述する等、事業の実施可否にとらわれないことが望まれます。 なお、生活関連施設に設定された施設がすぐに事業実施の対象となる訳ではなく、長期的な展望に立って議論を行い、必要となった時点で事業を実施することとなります。 120ページ 生活関連経路の設定 基本構想における生活関連経路の設定にあたっての留意点 事業の実施可否により生活関連経路設定の判断をしない 生活関連施設と同様、生活関連経路は事業実施の可否により設定するものではありません。 当面道路特定事業の実施見込みがない場合であっても、長期的な展望を示す上で必要な範囲の経路は位置づけることが重要です。逆に、道路の状況等によっては、最も利用者の多い、または最短距離となるようなルートだけではなく、より早期にバリアフリー化できるようなルートも生活関連経路として位置づけるよう検討することも考えられます。 特定道路への指定について 重点整備地区内の生活関連経路は原則として全て特定道路として指定されるため、生活関連経路の指定にあたっては留意しましょう。 なお、特定道路として指定する道路の要件には、生活関連経路の有無にかかわらず、2以上の特定旅客施設、特定路外駐車場、主な生活関連施設等を相互に連絡する主要な道路で、高齢者、障害者等の移動が通常徒歩で行われるものや、この他、多数の高齢者、障害者等の移動が通常徒歩で行われる道路も含まれ、特に、前者については地方公共団体が国に情報提供を行う必要があります。 移動等円滑化に関する事項 基本構想の対象となる施設及び車両等についてどのような移動等円滑化を図るのかについて記載する必要があります。 事例 生活関連施設及び生活関連経路の設定例 <北海道滝川市> 重点整備地区が駅周辺2㎞四方の徒歩圏内と、比較的コンパクトに設定されている事例 事例 説明終わり 事例 生活関連施設及び生活関連経路の設定例 <北海道札幌市> 生活関連施設のひとつとして、避難所を追加した事例 事例 説明終わり 121ページ 6-5 特定事業の設定 特定事業は、基本構想における生活関連施設、生活関連経路、特定車両のバリアフリー化を具体化するためのもので、基本構想制度における要といえるものです。基本構想で特定事業を定めた場合、その特定事業を実施する者には、特定事業計画の作成とこれに基づく事業実施の義務が課せられます。 特定事業は、基準適合義務が課されていない既存の施設等についてバリアフリー化を進めることが出来ます。 特定事業について 特定事業とは、バリアフリー法第2条で定める6つの主としてハード整備に関する事業(公共交通特定事業・道路特定事業・路外駐車場特定事業・都市公園特定事業・建築物特定事業・交通安全特定事業)と、令和2年5月のバリアフリー法改正により創設されたソフト対策に関する事業(教育啓発特定事業)のことを指します。基本構想で特定事業を定めた場合、事業を実施する者には、特定事業計画の作成とこれに基づく事業実施の義務が課せられます。 なお、バリアフリー法においては、新設施設等については移動等円滑化基準への適合義務(基準適合義務)が課せられる仕組みとなっています。また、基準適合義務が課せられない既存の施設等についてのバリアフリー化が求められます。(既存施設の基準適合は努力義務) 基本構想に特定事業を位置づける際の留意点 基本構想に具体的な特定事業を位置づける際には、以下の点に留意する必要があります。 特定事業の関係者に対して十分な協議が必要 基本構想に特定事業を位置づける場合、市町村は、関係する施設設置管理者、都道府県公安委員会等と十分に事前に協議することが必要です。 教育啓発特定事業のうち、「移動等円滑化の促進に関する児童、生徒又は学生の理解を深めるために学校と連携して行う教育活動の実施に関する事業」を位置づけようとする場合は、学校の教育活動との調和や教職員への過大な業務負担の防止を図るため、事業主体のみならず、(教育委員会等の)学校関係者、地域住民、関係団体とも十分に事前に協議を行い、関係者の意向等を踏まえることが重要です。 特定事業計画の作成・事業計画に基づく事業の実施が必要 基本構想に特定事業を位置づけた場合、事業を実施する者には、特定事業計画の作成とこれに基づく事業実施の義務が課せられます。 バリアフリー法における特定事業は、交通安全特定事業を除き、基準適合義務が課さ 122ページ れていませんが、できる限り移動等円滑化基準や関連するガイドライン等の内容を踏まえ、実施されるべきと考えられます。しかし、建築物の一部を改修する場合等、施設全体で移動等円滑化基準にすべて適合できない場合もあります。したがって、移動等円滑化基準にすべて適合しないバリアフリー化等の事業内容であっても、特定事業として積極的に位置づけ、段階的なバリアフリー化を進めていくことも重要です。 教育啓発特定事業については、基本構想に位置づけられた場合、事業を実施する市町村又は施設設置管理者は、あらかじめ、関係する市町村及び施設設置管理者(学校と連携する事業について定める場合には、関係する市町村、施設設置管理者および学校)に意見を聴いた上で教育啓発特定事業計画を作成し、作成した計画を関係者に送付する必要があります。 事業を実施する者は、定められた教育啓発特定事業計画に基づき事業を実施する必要がありますが、特に学校と連携する場合には、計画作成段階で学校の意見を十分に聞くことが円滑かつ確実な事業の実施につながります。 特定事業を実施する対象範囲を検討 原則として、特定事業は重点整備地区内で実施するものを基本構想に位置づけることができます。 教育啓発特定事業については、重点整備地区の移動等円滑化に資する取組であれば、重点整備地区外で行うものや、生活関連施設の職員や通勤者等重点整備地区の住民以外の者を対象としたものを記載することが可能です。 市町村における各種計画・事業等との連携を検討 基本構想の内容は、市町村が定めている地域のバリアフリー化に関する条例、計画、構想等との調和が保たれていることが必要ですが、特定事業についても、市町村が有している上記の計画(例えば、道路や公園の整備計画等)等に基づく事業と連携して実施することが重要です。 なお、教育啓発特定事業の実施に際しては、市町村が開催する障害者の理解を深めるための学習の機会や講演会等に対して厚生労働省が実施している支援スキーム※を活用することが可能です。 ※障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第77条第1項第1号の規定に基づき市町村が実施する地域生活支援事業(理解促進研修・啓発事業) 事例 特定事業に関する施設設置管理者との調整方法 <東京都町田市>  町田市では、まち歩き点検で把握した課題等への対応について、下図に示す考え方に基づき、協議会で基本構想への位置づけを施設設置管理者等とともに検討しています。 図 施設設置管理者との特定事業の調整方法 事例 説明終わり 123ページ 特定事業に関する記載事項 特定事業の内容の詳細は、基本構想作成後に各事業実施者が作成する特定事業計画に委ねられますが、前述のように、基本構想に特定事業を定めた場合、各事業実施者には事業実施の義務が課せられることを勘案すると、事業実施にあたって疑義が生じないよう、次の事項について、できる限り具体的かつ明確に記載することが重要です。 実施する特定事業の種類を記載 実施する特定事業について、公共交通特定事業、道路特定事業、路外駐車場特定事業、都市公園特定事業、建築物特定事業、交通安全特定事業、教育啓発特定事業の別を記載します。 「心のバリアフリー」などのソフト対策に係る事業については、これまで特定事業としてではなく、その他の関係する事業として基本構想に位置づけられるものも存在しますが、新たに特定事業として実施する場合や、見直しにより特定事業として位置づける場合には、当該事業が「教育啓発特定事業」として実施されることを明記しましょう。 特定事業の実施者を記載 特定事業を実施する主体や関係者を記載します。 なお、教育啓発特定事業の実施主体となり得る市町村又は施設設置管理者のうち、施設設置管理者には、公共交通事業者等だけではなく、道路管理者、路外駐車場管理者等、公園管理者等及び建築主等が含まれることから、例えば、重点整備地区内に事務所や施設を有する企業等が実施する取組を教育啓発特定事業として記載することも可能です。 特定事業の内容・実施する対象施設(対象地区)等を記載 特定事業を実施する対象となる特定旅客施設、特定車両、道路、特定路外駐車場、都市公園、特定建築物や、具体的な地区等を記載します。 教育啓発特定事業を実施する地区や場所等については、具体的には特定事業計画に記載されますが、主として重点整備地区内で実施するのか、重点整備地区内外に渡って実施するのか、実施する教育啓発特定事業に求められる効果を勘案してあらかじめ明確にしておくとよいでしょう。 特定事業の実施予定期間を記載 事業の着手予定時期、完了予定期間を記載します。基本構想に記載する事業の実施予定期間としては、基本構想の目標年次の期間中、どの時期に実施するのか、必要に応じて継続して実施していくものなのかを記載しましょう。 なお、当面事業実施の見込みがない場合でも、事業の具体化に向けた検討の方向性等について記載します。 その他特定事業の実施に際し配慮すべき重要事項を記載 教育啓発特定事業を実施する際に配慮が必要な重要事項を記載します。特に、事業実施に当たって、関係者があらかじめ理解しておくべき共通事項を記載しておくことが重要です。 特定事業の内容 バリアフリー法において、特定事業の内容は以下のように定められていますが、具体的に想定される事業は様々です。また、事業の効果を高める観点から、可能な限り、企画及び実施段階において、高齢者・障害者等の当事者参画を得ながら進めていくことが望まれます。 124ページ 公共交通特定事業 特定旅客施設におけるバリアフリー設備(エレベーター、エスカレーター等)の整備、これに伴う特定旅客施設の構造の変更 ※旅客施設を含まない重点整備地区の場合は、当該重点整備地区と当該市町村内の特定旅客施設のバリアフリー化を図るための特定事業(特定旅客施設、特定車両のバリアフリー化等)も対象になります。 道路特定事業 道路におけるバリアフリー化のための施設・工作物(歩道、道路用エレベーター、通行経路の案内標識等)の設置 バリアフリー化のために必要な道路構造の改良(歩道の拡幅、路面構造の改善等) 路外駐車場特定事業 特定路外駐車場におけるバリアフリー化のために必要な施設(車いす使用者が円滑に利用できる駐車施設等)の整備 都市公園特定事業 都市公園におけるバリアフリー化のために必要な特定公園施設の整備 建築物特定事業 特別特定建築物におけるバリアフリー化のために必要な建築物特定施設の整備 全部又は一部が生活関連経路である特定建築物における生活関連経路のバリアフリー化のために必要な建築物特定施設の整備 交通安全特定事業 バリアフリー化のために必要な信号機、道路標識又は道路標示の設置(高齢者、障害者等による道路の横断の安全を確保するための機能を付加した信号機、歩行者用道路であることを表示する道路標識、横断歩道であることを表示する道路標示の設置 等) バリアフリー化のために必要な生活関連経路を構成する道路における違法駐車行為の防止(違法駐車行為に係る車両の取締りの強化、違法駐車行為の防止についての広報活動及び啓発活動 等) 教育啓発特定事業 移動等円滑化の促進に関する児童、生徒又は学生の理解を深めるために学校と連携して行う教育活動の実施に関する事業(学校の場を活用した市町村等によるバリアフリー教室(障害当事者によるセミナーや車椅子サポート体験、高齢者疑似体験等)の開催、旅客施設等におけるバリアフリー教室の開催 等) 移動等円滑化の促進に関する住民その他の関係者の理解の増進又は移動等円滑化の実施に関するこれらの者の協力の確保のために必要な啓発活動の実施に関する事業(上に掲げる事業を除く。)(障害当事者を講師とした住民向けバリアフリー講演会やセミナーの開催、公共交通事業者等の従業員を対象とした接遇研修の実施、優先席や車椅子使用者用駐車施設の適正利用に関するポスターの掲示 等) 【学校と連携して行う教育活動の実施に関する事業の留意点】 教育啓発特定事業のうち①の事業を基本構想に記載するにあたっては、学校の教育活動との調和や、教職員への過大な業務負担の防止を図るため、事業主体のみならず、連携対象である学校と十分に事前に協議することが重要です。 また、事業の実施計画である教育啓発特定事業計画を事業主体が定めようとする場合も、関係する市町村及び施設設置管理者に加え、学校の意見を聴かなければならないことが、法第36条の2第3項において規定されています。 125ページ 事例 建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン 全ての利用者にとって使いやすい建築物を整備するためには、建築プロジェクトの構想、設計、施工、維持管理・運営の各段階において、当事者等の施設利用者が参画して、施設固有の事情や立地に対するユーザビリティを確認しながら、検討・整備を進めることが有効です。 そこで、国土交通省では、当事者参画の重要性の理解増進を図るとともに、建築プロジェクトにおける当事者参画の自発的な実施を促進することを目的として「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」を策定しています。 公共建築物の発注においては、自ら定めた実施方針に基づき、事業者から当事者参画の方法等の具体的な提案がなされるよう、個々の建築プロジェクトの要求水準書に当事者参画の実施を盛り込むことのほか、基本構想に基づく建築物特定事業計画に当事者参画の実施を位置づけること等も考えられます。 事例 説明終わり 事例 施設整備に向けて当事者参画を図っている事例 <大阪府豊中市>  豊中市では、利用者が安全で利用しやすい施設を整備するため、ガイドラインなどに基準がない細部の仕様を検討する必要がある場合に、事業者(依頼者)が障害のある人や乳幼児連れ保護者等のチェックを受け、その意見を参考に整備を実施できる体制を整えています。 今後は大規模建築物の建設時においてこのシステムを発展させた検討会方式を手法として取り入れ、建物や公園等のハード整備の際に各計画段階で当事者の意見を聞きながら進めることを検討しています。 事例 説明終わり 126ページ 6-6 移動等円滑化のためのその他の事業 「その他の事業」は生活関連施設、生活関連経路に関するバリアフリー化事業のうち、特定事業に該当しないものを記載します。 バリアフリー法の基本方針では、該当するものの例として以下を挙げています。 特定旅客施設以外の旅客施設 生活関連経路を構成する駅前広場 通路等(河川施設、港湾施設、下水道施設等が生活関連経路を構成する場合にあっては、これらの施設を含む) サインによる情報提供の充実 Point 「その他の事業」についても、事業の実施者、対象施設等、事業の内容、実施予定期間等について、出来る限り具体的かつ明確に記載することが重要です。 特定事業の対象とならない生活関連施設の整備 公共交通特定事業の対象は特定旅客施設に限られていますので、特定旅客施設以外の旅客施設に関しバリアフリー整備を行う場合は、「その他の事業」として記載します。これ以外にも、特別特定建築物以外の建築物、特定事業の対象とならない生活関連施設であっても、高齢者や障害者等が多数利用する施設を設定(コンビニや飲食店等)し、自主的にバリアフリー化に取り組むことが考えられます。なお、条例に定めた建築物は特別特定建築物として扱われます。 生活関連経路を構成する駅前広場、通路等の整備 道路以外の駅前広場、通路(河川施設、港湾施設、下水道施設等が生活関連経路を構成する場合には、これらの施設を含む)等が生活関連経路を構成しており、これらのバリアフリー整備を行う場合は、「その他の事業」として記載します。 サインによる情報提供の充実 分かりやすいサイン(ひらがな・外国語併記等)の整備、点字・音声案内の充実、移動支援のためのサイン環境づくり等、障害者等の円滑な移動に配慮した整備等も考えられます。 127ページ 6-7 市街地開発事業に関する移動等円滑化、駐車施設の整備に関する事項 重点整備地区内での実施が予定されている区画整理事業、市街地再開発事業等の市街地開発事業では、その区域において整備される施設や経路の移動等円滑化が求められます。特に、区域内に生活関連施設や生活関連経路を位置づける場合には、基本構想に即した整備を進める必要があります。 また、違法駐輪や違法駐車を防止することを目的とした駐車・駐輪施設の整備は、道路の移動等円滑化を進める上で有効であることから、その内容について基本構想に示すことが望まれます。 Point 重点整備地区内で実施される市街地開発事業等の移動等円滑化の取組は、基本構想に即した整備を進めることが重要です。 市街地開発事業に関する記載事項 区画整理事業、市街地再開発事業等の市街地開発事業については、その事業の概要(事業名称、事業主体、位置・区域、整備概要、事業スケジュール等)を示した上で、移動等円滑化を図るために実施する内容について記載します。 駐車施設の設置に関する記載事項 移動等円滑化を図るために駐車・駐輪施設を設置する場合については、「○○周辺における違法駐車の防止」「市道××線における放置自転車の防止」等整備の目的と、事業概要(施設の位置、規模、事業スケジュール等)を記載します。 なお、整備の目的については、移動等円滑化との関連性を具体的に記述することが重要です。 事例 駐車施設の設置に関する記載事例 <兵庫県神戸市> 施設名、整備目標、実施時期などが記載された表を掲載 事例 説明終わり 128ページ 6-8 心のバリアフリー 高齢者、障害者等が安心して日常生活や社会生活ができるようにするためには、施設整備(ハード面)だけではなく、高齢者、障害者等の特性を理解し支え合うという「心のバリアフリー」が重要です。 基本構想では、移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」の必要性や実施主体、取組内容、実施時期を可能な限り具体的に記載することが重要です。 詳しくは、「4-5 心のバリアフリー」をご参照ください。 基本構想に記載する「心のバリアフリー」に関する内容 基本構想に、移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」に関する施策を位置づける際には、より実効性を持たせるため、「教育啓発特定事業」としての位置づけも検討しましょう。 事例 車椅子使用者用駐車施設の適正な利用の推進事例 <埼玉県川口市> 車いす使用者用駐車施設の適正な利用の促進〈川口市おもいやり駐車場制度〉について掲載 川口市の基本構想では、平成22年1月から始まっている「川口市おもいやり駐車場制度」による車椅子使用者用駐車施設の適正な利用を促進する取組を行っており、同制度の普及による意識の向上と協力施設の維持拡大に取り組むこととしています。 事例 説明終わり 事例 バリアフリー教室の開催事例 <奈良県香芝市> 香芝市の基本構想には、平成30年度と令和元年度に開催したバリアフリー教室が記載されており、小学生の参加者にアンケートを実施し、障害に対する理解や気づきが深まったとしています。 車いす体験や視覚障がい疑似体験の様子の写真やアンケート集計結果を掲載 事例 説明終わり 129ページ 6-9 施設設置管理者間の連携 移動に制約がある人々(高齢者、障害者等)に対しては、旅客施設、駅前広場、道路等の個々のバリアフリー化だけではなく、境目がなく連続性が確保された空間整備が重要になります。 施設設置管理者間が個々に移動空間を整備した場合、施設間で段差や不連続の継目等が生じることがあります。施設整備を実施する場合に、隣接する施設と連続性を確保して行うことが重要です。 施設整備等ハード面で対応しきれない場合には、ソフト面での連携も重要です。 施設設置管理者間の連携について 基本構想において特定事業等による具体の事業を設定する場合、個々の施設のバリアフリーのみならず、面的・一体的に移動の連続性が確保されているかどうかについて配慮することが非常に重要です。特に、複数の事業者間又は鉄道及びバス等複数の交通機関間の継ぎ目となる交通結節点における移動等円滑化に十分配慮することが重要であるとともに、施設整備等のハード面だけでは案内誘導等が不十分となる場合も想定し、事業者間で連携して案内等を実施できるソフト面での配慮が重要です。 例えば、鉄道からバスへの乗り継ぎに際した具体的なバス乗り場への案内は、視覚障害者誘導用ブロックの連続的な敷設だけでは不十分な場合があり、事業者間で乗換経路や乗降場所の情報を随時共有し、お互いで案内誘導を補完できる体制が整備されることが考えられます。また、道路(歩道を含む。)と建築物の出入口に関するバリアフリー化も重要です。 具体的な連携事例については、「4-6 届出制度について」をご参照ください。 130ページ 6-10 施設設置管理者からの情報提供について 基本構想にバリアフリーマップの作成等について明記した場合、各施設の管理者等は、市町村の求めに応じて、バリアフリーの状況について、旅客施設及び道路については情報提供しなければならない旨を、建築物、路外駐車場、公園については情報提供に努めなければならない旨をバリアフリー法において規定しており、円滑な情報収集が可能となります。 Point 情報提供の内容を定めるにあたっては、高齢者、障害者や施設設置管理者等の関係者の意見を踏まえて、施設設置管理者に過度な負担が生じないよう配慮しつつ、高齢者、障害者等にとって必要な情報が得られるようにすることが重要です。 市町村による情報の収集、整理及び提供 市町村は、バリアフリーマップ等を作成するため、施設設置管理者に対して基本構想に基づき、情報の提供を求めることができます。 ・公共交通事業者等及び道路管理者:義務 ・路外駐車場管理者等、公園管理者等及び建築主等:努力義務 情報提供の対象は、バリアフリーの設備の有無及びその設置箇所その他高齢者、障害者等が当該施設を利用するために必要となる情報となります。 また、市町村は、施設設置管理者に求める情報提供の内容を定めるにあたっては、協議会を活用するなどにより障害者、高齢者等及び施設設置管理者等の意見を十分に反映するよう努めるとともに、施設設置管理者に過度な負担が生じないよう配慮しつつ、高齢者、障害者等にとって必要な情報が得られるよう留意することが必要です。 なお、施設設置管理者に情報提供を求める際には、提供すべき事項等を明確にすることが必要です。 バリアフリーマップについて 高齢者、障害者等が利用可能な施設や経路を選択できるようにするためには、これらの施設や経路が所在する場所を示したバリアフリーマップ等を作成することが効果的です。このため、市町村は積極的に施設等のバリアフリー情報を収集の上、バリアフリーマップ等を作成し、提供することが重要です。 具体的な参考事例等については、「4-7 施設設置管理者からの情報提供について」をご参照ください。 131ページ 6-11 情報アクセス・コミュニケーション 視覚障害者、聴覚・言語障害者、発達障害者等に対しては、必要な情報を得ることができるようにするための工夫が必要です。音声案内や電光掲示板での情報提供だけでなく、複合的な取組が重要になってきます。 一方、知的障害者や外国人等に対しては、誤認識が起こりにくく分かりやすい絵文字(ピクトグラム)を使用する等の工夫が必要です。 詳しくは、「4-8 情報アクセス・コミュニケーション」をご参照ください。 6-12 地域特性等に応じた施策 重点整備地区での取組内容は、「都市部」、「地方部」、「積雪・寒冷地」、「観光地」等、地域特性により求められる内容が異なります。基本構想では、これらの地域特性を十分に考慮した独自の取組や事業の実施が求められます。 詳しくは、「4-9 地域特性等に応じた施策」をご参照ください。 6-13 移動等円滑化に関するその他の取組 基本構想は、市町村の発意や主体性に基づいて自由な発想で作成されるものなので、基本方針に記載の基本構想の指針となるべき事項に定められていないことについても、記載することが望ましいとされています。 詳しくは、「4-10 移動等円滑化の促進に関するその他の取組」をご参照ください。 132ページ 第7章 バリアフリー基本構想の評価・見直し 7-1 基本構想の進行管理と事後評価 基本構想作成後は、特定事業計画作成や事業実施までの期間にわたる継続的な進行管理と、その進行管理を踏まえながら基本構想を事後評価するとともに、必要に応じた見直しを実施する「PDCA」の取組を基本構想に記載することが必要です。また、その「PDCA」の取組における市民参画のあり方についても記載することが重要です。 基本構想では、協議会を活用して継続的な改善を行い、進行管理の実施方法や事後評価の方法について具体的に示すことが必要です 協議会を活用して、継続的に進行管理を図ることが必要です PDCAサイクルの実施にあたっては、高齢者、障害当事者等がPDCAの各場面に参加する仕組みを構築することが重要です。 基本構想の評価の基本的な考え方 基本構想には、事業等の進行管理と具体的な取組の評価ついて、その基本的な考え方を記載することが重要です。 具体的には、基本構想作成(Plan)後の事業実施(Do)と、実施状況を継続的に把握し、事業実施内容と事業実施の効果を評価(Check)する仕組みを構築して、必要に応じて見直す(Action)といったPDCAサイクルにより、事業スケジュールの適切な管理と事業の質の確保と改善を図るという考え方です。 基本構想での特定事業計画が終了した後であっても、状況に応じて維持・改善していく「段階的・継続的な取組(スパイラルアップ)」が重要であり、必要に応じて基本構想を見直すといったことが求められます。 このスパイラルアップのサイクルを構築するためには、基本構想作成に係る事前の検討段階から事後評価の段階に至るまで、協議会を活用すること等により、高齢者、障害者等の利用者や施設設置管理者等の関係者が積極的に参画し、この参画プロセスを経て得られた知見を共有化し、スパイラルアップを図ることが重要です。 133ページ 進行管理に関する記載事項 基本構想では、特定事業等の進行管理をどのように行い、基本構想に記載した取組(特定事業やその他の事業や施策)をどのように評価していくのか、具体的な実施方策を記載することが重要です。 (1)進行管理体制 基本構想作成後から特定事業計画作成、事業実施・完了、供用開始後の事後評価までの期間にわたり、進行管理を行う体制の構築が必要となります。関係者の役割とともに、その連携方策を含む進行管理の体制について、具体的に記載することが重要です。この場合、基本構想作成時に設置した協議会を、進行管理を担う中心的な組織として位置づけることが効率的であると考えられます。 このような協議会の活用により、高齢者、障害者と施設設置管理者等の関係者が進行管理に参加して課題を共有しながら効果的な見直しにつなげることが重要です。 なお、進行管理においては、単純に事業の進捗状況を把握するだけでなく、特定事業計画(第7章で詳述)などで策定されたスケジュールと実際の進捗状況との乖離状況を把握し、スケジュール変更や、整備促進の依頼などを必要に応じて実施することが重要です。 ソフト施策などの取組の進行管理においては、その施策がどのように拡大・浸透しているかを確認し、その状況に応じて取組をさらに促進することが重要です。 また、自治体担当者の異動等により進行管理の停滞が生じないよう庁内体制を継続させることも重要です。 事例 進行管理体制の事例 <千葉県市原市> 特定事業は各特定事業に関係する庁内組織が窓口となり、進捗状況を把握できる体制を整えている。 ソフト施策を中心とした心のバリアフリーに関する取組は、高齢者・障害者の相談窓口となっている保健福祉部門を中心に推進 バリアフリー推進協議会を活用し、事業の進行管理や市民・事業者・行政が連携して事業の促進を図る 事例 説明終わり 134ページ 事例 基本構想作成時の協議会体制を管理段階に継続している事例 <東京都北区> 東京都北区では、地区別構想、特定事業計画の策定以降も、協議会組織を継続し、特定事業計画の内容やその進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて利用者の意見などに応じたさらなる改善検討を進めるとしている。 事例 説明終わり (2)住民参加等 基本構想作成後に実施される事業についても、住民等の参加を得ながら推進していくことが望ましいため、今後の住民参加の方策を記載することが重要です。 記載事項の例 特定事業(計画作成段階、設計・施行段階)における住民参加の実施 事業完了後の住民参加による事後評価の実施 また、特に住民等への意識啓発や教育、バリアフリーマップ作成等、「心のバリアフリー」の推進や情報提供等に関する取組は、行政だけでなく、住民・事業者等との協働により推進していくことが望ましいと考えられます。このような取組を基本構想で位置づけている場合は、特に住民参加の方策を具体的に記載することが重要です。 事業の進行管理から事後評価 作成した基本構想は、時代背景や利用者ニーズ等を考慮して適宜、継続して改善を実施する必要があります。作成した基本構想で実施した特定事業について、一度実施すればバリアフリー化は充足していると考えている自治体も少なくありません。 基本構想の進行管理及び事後評価のポイントは次のとおりです。 1.進行管理の実施 適宜、各種特定事業の進捗を確認する必要があります。 進行管理を確認する方法として、基本構想作成時の協議会を活用して、各種特定事業の関係者に対して年間の事業進捗の報告を義務づけることが挙げられます。 135ページ 2.事後評価の実施 進行管理では、特定事業の整備状況が分かりますが、その整備の内容を一定の考え方や基準に基づき評価することによって新たな課題が浮かび上がり、課題への対応を検討していくことが重要です。 一つの方法としては、基本構想作成時点に設定した目標の達成状況を把握し、達成状況に応じた課題を明確にしていくことが考えられます。 事例 事業の進行管理の事例 <大阪府高槻市> 事業の進捗を明らかにし、次年度での取組内容を整理しています。 次年度の対応は前年より上位な取組を実施しています。(特に、JR高槻駅南駅前広場の事業内容) 事例 説明終わり 事後評価の方法 ●協議会や住民、障害当事者等による点検、アンケート等、様々な確認・評価方法を提示する ●特定事業やその他の取組を評価するには、基本構想作成時にあらかじめ定量的な目標を設定する等、具体的な目標を確認・評価する方法について提示する 基本構想作成後に、次章で示す特定事業計画を自治体と各事業者が協力して作成する必要があり、事業計画には特定事業の整備内容、整備目標時期を示すことになります。 事後評価では、この事業計画に示す内容等バリアフリー化がどこまで進んだか、目標年次での成果や残された課題を可視化し、協議会で確認・評価することが重要です。 この確認作業は、施設設置管理者からの事業の整備完成報告等の情報提供とともに、進行管理でも記載したように、高齢者、障害者等とともにバリアフリー化の整備状況について確認する機会を積極的に設けることが適正な評価に繋がります。 また、社会情勢変化等により目標の期間までに整備が完了しない場合も考えられ、多くの特定事業を抱えた基本構想では、その事業実施の進捗状況を示す整備率等の定量的な評価指標により、どの施設整備の進捗が遅れているのかを示し、着目すべき見直し事業の抽出とその後の事業実施に反映できます。このような具体的な評価方法を示して評価を実施することで、バリアフリー化を実施する事業者の計画・設計段階からの意識向上にも繋がります。 136ページ さらに、事業の進捗のみならず、移動にあたって距離や時間をどれだけ短縮することができたか等の具体的な利便性に関することを評価することによって、高齢者、障害者等が使いやすいまちが整備されます。 事例 事後評価の事例 <埼玉県さいたま市> 〈浦和地区まちあるき勉強会 実施概要〉について掲載 事例 説明終わり 137ページ 事例 施設見学会による事後評価を施設のバリアフリー化へ反映した事例 <東京都北区> 東京都北区では、スパイラルアップの取組として「構想・計画」、「設計」、「施工」、「完成後」の整備の各段階における点検や意見交換での評価について記述している。 その中で、平成29年度には施工完了間近の小学校等複合施設(地域振興室・ふれいあい館・学童クラブ)において、以下の内容を目的とした施設見学会を実施した。 ・利用者(見学会参加者)の視点から良かった箇所や気になった箇所を確認し、改善可能な範囲で整備への反映を働きかける ・施設見学会の後の意見交換会で得た情報や成果を他の施設整備に反映する 各段階での取組例と期待される効果 整備段階を(企画構想・基本計画)、(基本設計)、(実施設計)、(施工)、(運用・管理)の5段階に分けて、取組例や取組による効果を整理 【施設見学会の実施概要】 日 時:平成30年1月18日、10:30~12:00 出席者:30名(協議会や区民部会委員及びその紹介者、事務局) 施設開設時期:平成30年4月、複合施設(小学校、地域振興室、ふれあい館、学童クラブ) 見学会や意見交換会の様子の写真や施設見学会における主な意見を掲載 事例 説明終わり 138ページ 事例 特定事業の定量的評価の事例 <埼玉県さいたま市> さいたま市では、毎年の特定事業計画の進捗状況の把握とともに、中期事業の初年度となる平成28年度末の段階において、特定事業計画の定量的な評価を行った。 評価結果は、事業者等に情報提供を行うことで、事業期間の中間時期を迎えた時期に改めて事業者にバリアフリー推進の動機づけをしてもらい、残りの中期・長期事業への反映を図ることとしている。 評価は、平成25年度から平成28年度までに実施された特定事業について、整備の進捗状況を『整備率』、『道路特定事業進捗率』、『短期事業進捗率』の3つ指標により、地区別(6地区)・事業種別(9種)において算出。 ●整備率:計画数(※)に占める整備済み(継続事業を含む)の事業数の割合 整備率 = ( 完了事業 + 継続事業 ) ÷ 計画数(※) (※)計画数とは、特定事業計画から「必要に応じて実施する事業」と「実施を見送った事業」を差し引いたもの 事業種別(横軸)地区別(縦軸)にしたH28年度現在整備率を表した表を掲載 ●道路特定事業進捗率:道路特定事業延長に占める整備済み延長の割合 道路特定事業進捗率 = 整備済み延長 ÷ 道路特定事業延長 ●事業進捗率:特定事業計画のうちある実施期間内に位置づけられた事業を対象に、その実施期間の事業計画数に占める各事業数の割合 ①-1短期事業完了率(短期事業計画数(※)に占める完了事業数の割合) 事業完了率 = 完了している事業数 ÷ 短期事業計画数(※) ①-2短・中期事業完了率(短・中期事業計画数(※)に占める完了事業数の割合) 事業完了率 = 完了している事業数 ÷ 短・中期事業計画数(※) ②短・中期事業着手率(短・中期事業計画数(※)に占める着手済み事業数の割合) 事業着手率 = 事業に着手している事業数 ÷ 短・中期事業計画数(※) (※)事業計画数とは、ある実施期間内に位置づけある特定事業計画から「必要に応じて実施する事 事例 説明終わり 139ページ 事例 特定事業等の進捗状況を分かりやすく公表している事例 <東京都目黒区> 目黒区は、マスタープランにおいて13箇所を移動等円滑化促進地区とし、基本構想ではそのうち5箇所を重点整備地区と設定しています。(残りの8箇所は重点整備地区ではないものの、別途取り組みを進めるべきバリアフリー整備地区として独自に位置づけています) 特定事業に位置づけた取組の状況は定期的に障害者団体・地域団体・施設設置管理者等で構成される協議会の場で報告し、様々な関係者等と課題を共有しバリアフリー事業の更なる推進につなげています。また、目黒区HPで重点整備地区ごとに事業の進捗状況が毎年度公開されており、特定事業別に事業内容、実施主体、事業期間、最新の実施状況を一覧で確認することができます。 図 令和6年度目黒駅周辺地区事業進捗状況 事例 説明終わり 140ページ 事例 基本構想の事後評価の事例 <東京都町田市> 町田市では、基本構想策定の考え方を整理した「市内全域の移動等円滑化の全体方針」に基づき、平成23~25年度にかけて市内10地区で基本構想を作成しています。 現在は基本構想を作成した後にまちづくりの進捗等で環境変化があった(予定される)地区について、まちづくりに関する計画等の策定状況や特定事業の進捗状況なども踏まえながら、一部の地区において基本構想の改定を行っています。 特定事業等の進捗状況は、協議会のバリアフリー部会において、市内10地区におけるこの約10年間で実施したバリアフリー整備の内容等について、全体の事業の進捗率や地区ごとの面的な整備状況及び特定事業ごとの整備状況の報告を行いながら、定量的・定性的な意見をそれぞれ構成員から聴取し、今後のバリアフリーまちづくりを進めていくこととしています。 図 鶴川駅周辺地区の面的なバリアフリー整備の進捗状況 図 鶴川駅周辺地区の特定事業別の進捗状況 事例 説明終わり 141ページ 7-2 基本構想の見直し 市町村が基本構想を作成した場合、概ね5年ごとに、重点整備地区における特定事業その他の事業の実施の状況についての調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、基本構想を変更するものとされています。 協議会を活用した進行管理と事後評価の結果を用いて、基本構想の内容を見直すことが必要です。 特定事業だけでなく、基本構想で示した移動等円滑化のためのその他の事業や心のバリアフリー等のソフト面での取組についても、評価結果に基づき見直しを行うことが重要です。 基本構想見直しの必要性 基本構想に位置づける各種事業の実現は、基本構想を作成して終わるものではなく、計画で定めた方針や目標の実現と、特定事業計画等の実施状況を確認して計画の見直しを行い、移動等円滑化を維持・継続・発展させていくことが必要です。そのためには、目標や事業の達成状況を「評価」して「見直し・改善」を行う必要があります。 特に重点整備地区における移動等円滑化のために実施された事業の成果についての評価に基づき、課題が多く残っている場合には、基本構想の見直しを実施することが重要です。 一方、国土交通省が実施した市町村へのアンケート調査では、マスタープラン又は基本構想を作成した自治体のうち、当事者参画の下、直近5年以内にスパイラルアップに取り組んでいる自治体(協議会等を活用した事後評価又は見直し等を実施している自治体)の割合は30%(令和6年度末時点)に留まっています。 基本構想見直しのポイント 1.新規課題への対応 基本構想を作成した当時には想定していなかった課題への対応を行う必要があります。 時代背景や利用者ニーズは日々移り変わります。こうした新たに生じる課題やバリアフリー法令の改正、社会情勢の変化等に対応するため、基本構想を適宜更新していく必要があります。 また、特定事業完了後に事後評価を実施することによって新たに浮かび上がってくる課題に対しても対応していくことが重要です。 142ページ 2.長期課題の検討 基本構想を作成した際に、中長期的に課題を明確にしておくことが大切です。 すぐに対応できる課題ではないものの、関係者間で継続的に議論を実施し、適切な時期を見計らって基本構想を更新し、事業を進めていくことも必要です。 基本構想見直しの内容 基本構想の見直しを実施している自治体における見直しの内容としては、「生活関連経路及び生活関連施設の見直し」、「特定事業の内容の見直し」、「心のバリアフリーに関する事項の追加や見直し」などがみられます。 143ページ 事例 市街化進展や施設の立地状況変化から重点整備地区を見直した事例 <神奈川県川崎市> 川崎市では毎年、施設設置管理者からの情報提供により、事業の進捗状況を把握している。 その中で目標年次以降の特定事業の進捗状況やバリアフリー新法で対象となった施設の追加、生活関連施設の新設、移転等まちづくりの進展に応じて、作成済基本構想における重点整備地区の区域見直しや、生活関連施設、生活関連経路の追加を実施している。 上記内容がわかるH16年度武蔵小杉駅周辺地区基本構想とH29年武蔵小杉駅周辺地区基本構想を対比した図を掲載 武蔵小杉駅の見直しは、横須賀線の駅開業、商業施設等の増加などで、街の状況が大きく変化したため、見直し時にまちあるき点検を行って、参加者からの意見を集約して事業者と事業化できるか判断している。 基本構想の見直しの際は、基本構想策定部局が先ず重点整備地区全体を歩いて課題を把握し、課題地区及びまち歩きを実施すべきエリアを検討して、まち歩きを実施し、その結果を踏まえたワークショップを開催した。 課題を整理する際は、既存のバリアフリーのまちづくり推進ガイドラインの課題整理シートに基づき実施している。 【ワークショップの開催概要】 高齢者、障害者をはじめとする市民の方々、事業者、その他関係者の参加のもと、まち歩き点検により重点整 備地区における具体的な問題点や課題を把握するとともに、点検結果を踏まえ、ワークショップにおいて問題点 に対する対応策やバリアフリー化を行う経路等の検討を行った。 ○第1回(平成29 年10 月18 日):まち歩き点検・ワークショップ、参加者数30 名 ○第2回(平成30 年1 月23 日開催予定)は、雪のため中止。武蔵小杉駅周辺地区バリアフリー基本構想改定(素案)としてとりまとめたものを、点検部会員やオブザーバー、施設管理者へ送付し意見を募集 事例 説明終わり 144ページ 事例 自治体の全体構想と地区別構想を見直した事例 <東京都北区> 東京都北区では、平成14年度の「北区交通バリアフリー全体構想」とともに、「駅周辺における個別の交通バリアフリー基本構想」を順次作成してきた。 その後、バリアフリー法の改正(H18バリアフリー新法)、障害者差別解消法制定や障害者権利条約の批准、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けたユニバーサルデザインの推進等の社会情勢変化を背景に、新たに全体構想を平成27年度に策定し、その後、区全域を3地区に区分し、順次法定の基本構想となる地区別構想を策定してきたところである。 策定にあたって、重点整備地区の範囲については、旅客施設から徒歩圏外のエリアや旅客施設を含まないエリアも設定した。 上記内容がわかる既往重点整備地区とH29年度 北区バリアフリー基本構想(滝野川地区)を対比した図を掲載 基本構想の策定ではさらに、協議会への参加対象者の拡充を実施しており、平成14年度には、官公庁・施設管理者・交通管理者・交通事業者、住民代表として町会・自治会の会長、当事者団体に参加してもらい協議会を開催していたが、平成27年度以降、対象者を拡大し、幅広く声かけをして、住民・当事者団体の他に、子育て団体や認知症関連団体が参加している。また、国・東京都が発信している内容(東京都「福祉のまちづくり推進計画改訂の基本的な考え方」等)を参考に、「人的対応・こころのバリアフリーの推進」に関する事項を新たに追加するなど、当事者の声の収集や区民や施設設置管理者への障害理解の取組を記載している。 視覚障害疑似体験の様子や車いす使用者の記入板の様子がわかる写真を掲載 事例 説明終わり 145ページ 事例 進捗状況を把握して基本構想における記載内容の見直しを実施した事例<兵庫県神戸市> 兵庫県神戸市では毎年、事業者や施設設置管理者、障害者団体等が参加する推進会議を開催し、事業の進捗状況の報告をしている。 整備の進捗状況や施設の新設・移転、まちづくりの進展に応じて、基本構想の前期目標年度である中間年度に整備状況のとりまとめ、取組等の追加・変更等の見直しを実施しており、基本構想に反映した。 【生活関連経路の見直し(ハード整備)】 市街地再開発事業の整備に伴い道路2路線と鈴蘭台駅前広場を準生活関連経路として追加がわかるような図を記載 【整備目標の実現に向けた取組の見直し(ソフト施策)】 目標年までの整備(実施)は、前期(平成27年度まで)、後期(平成32年度まで)、長期(平成33年度以降)の3つの実施時期に分類している。平成27年度に後期の取組として事業実施の見込みが立った取組を、新たに追加する見直しを実施している。 図 (追加の例)「職員の手話の習得」「盲導犬待機スペースの提供」 事例 説明終わり 146ページ 第8章 特定事業計画の作成 8-1 特定事業計画の作成体制と作成手順 基本構想に示した特定事業については、特定事業計画を作成し、これに基づいて事業を実施することがバリアフリー法において義務づけられています。このため、各事業者は基本構想作成後、速やかに特定事業計画を作成する必要があります。 Point 特定事業計画作成にあたっては、自治体と各事業者は相互に調整を図る必要があることから、円滑な調整を図れるよう体制づくりが必要です。 特定事業計画の作成時期 特定事業計画の作成時期については、早期の事業実施に向けて、基本構想作成後可能な限り速やかに(概ね1年以内)作成することが望ましいと考えられます。 特定事業計画の作成に係る調整 基本構想作成と同様、特定事業計画の作成にあたっても、市町村、関係事業者及び利用者間の協議・調整や合意形成を円滑に行う必要があります。このため、市町村のリーダーシップのもと、基本構想作成時の協議会を活用し、協議・調整や合意形成を図ることも有効です。 図 特定事業計画作成主体 (市町村又は施設設置管理者)と作成主体以外の関係者 (市町村・施設設置管理者・学校)のフロー 147ページ 特定事業計画書・特定事業計画完了報告書の記載例  事例 特定事業計画書・特定事業計画完了報告書の記載例 <静岡県静岡市> 静岡市では、特定事業計画書と特定事業計画完了報告書の記載例を市のHP に掲載しています。 事例 説明終わり 148ページ 事例 教育啓発特定事業計画書の記載例 具体的な事業の内容ごとに、実施者や実施場所が異なる場合には、それぞれ特定事業計画を作成することも可能です。 教育啓発特定事業計画(例) 作成年月日 令和●年●月●日作成(令和○年○月○日第1回変更) 基本構想名 ●●市●●地区移動等円滑化基本構想 事業名称  ●●市●●地区教育啓発特定事業 事業実施者 ●●市●●局●●課 主な関係者 ●●地区内の小学校、●●鉄道事業者、●●バス等 その他、特定事業内容、実施場所、事業費(千円)、事業予定機関(着手・完了)、資金調達の方法、事業実施に際して配慮すべき重要事項、事業実施箇所図、写真等を記載 事例 説明終わり 150ページ マスタープラン及び基本構想の提出について 市町村がマスタープラン及び基本構想を作成又は変更した場合には、国土交通大臣には次の方法によって提出くださいますようお願いいたします。なお、このほかに主務大臣として国家公安委員会、総務大臣及び文部科学大臣への提出が必要ですのでご留意ください。 1.提出先 国土交通省総合政策局共生社会政策課 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3 2.提出部数 データ一式(データの送付先については、お問い合わせください。) ※令和7年度までは紙ファイルとデータの提出をお願いしておりましたが、 令和8年度よりデータのみの提出に変更しました。 ※提出手続きの詳細は下記をご確認ください。 国土交通省ウェブサイト:基本構想・移動等円滑化促進方針の提出手続き 以 上