白杖体験を補助するボランティア
さいたま新都心をまち案内するボランティア
ボランティア自主活動の1つ「歌声ひろば」
専門員による調査活動
指導により完成したUDルーム
伊勢神宮での介助ボランティア
〔講評〕
受賞者は、伊勢志摩において、障害者を含む地域住民が中心となり、日本初のバリアフリー観光の案内システム(施設の調査、アドバイス、案内、情報提供など)を行う「バリアフリーツアーセンター」を平成14年に開設し、運営しております。
その活動が、開設以来しっかりとした組織体制のもと着実に取り組まれ、障害者、高齢者等の誘致を劇的に伸ばすとともに、観光・交通・福祉・教育などの各分野に横断的に発展し、また、積極的な情報発信などにより他地域にまで発展していることを高く評価し、表彰することといたしました。
〔受賞事例の概要〕
◆活動の概要
日本初で唯一のバリアフリー観光の相談斡旋システムを地元の障害者を含む市民で立ち上げ、伊勢志摩をバリアフリー観光の先進地域として急速に発展させており、また、障害者や高齢者の集客を劇的に伸ばしています。 特に、障害者起点で観光を捉えた「パーソナルバリアフリー基準」という考え方が、旅行者や来訪者及び旅行事業者にも評価が高く評価されています。
すでに6年目となる活動は、伊勢志摩に至る交通、伊勢志摩地域のバリアフリー化や情報発信、さらに旅館へのヘルパー派遣や、学校での福祉教育にまで及んでいます。
また、本センターの存在は、伊勢志摩地域において、観光、交通、福祉、教育、広域行政などを横断的に推進する市民活動として認められています。
全国各地からの導入の要望も多く、すでに佐賀県をはじめとして、各地への指導に当たっています。
◆活動にいたった動機
低迷する伊勢志摩地域の観光再生の切り札として、バリアフリーを新たなマーケットとして開発しようという発想と、地元障害者のためのまちづくり活動がコラボレーションしたものです。
新時代の観光事業を先取りしつつ、人にやさしい社会づくりを推進することを目指して、本センターを設立したものです。
◆パーソナルバリアフリー基準
本NPOでは、バリアの数は障害者の数だけある(障害者の障害の度合いは、一人ひとりが違う)という認識により、障害者(消費者)起点による「パーソナルバリアフリー基準」を開発したことが成功の鍵となっています。
パーソナルバリアフリー基準とは、バリアフリーの評価基準を設けるのではなく、観光客それぞれの状態や欲求に合わせてバリアフリー観光を提供する精神とそれを可能とする様々な手法の総称です。この基準により、どのような障害者にも対応でき、ハード整備の整っていない施設でも受け入れが可能になりました。
さらに、パーソナルバリアフリー基準は、「障害者旅行者は、バリアフリーを求めに来るのではなく、観光を楽しみに来る」という考え方に基づいて相談に乗り、観光の楽しみを優先したバリアフリー旅行を実現しています。これは、今までの観光事業において忘れられていた非常に大切なポイントであり、当センターを利用する障害者も、受入対応をする観光事業者も増加した大きな要因となっています。
本NPOは、将来的に、「パーソナルバリアフリー基準」の精神にのっとったバリアフリーツアーセンターを全国に増やし、どの観光地にも同じ安心感をもって障害者や高齢者が旅行にでかけられる社会とすることを目指しています。
◆場所
三重県鳥羽市鳥羽1丁目2383-13 鳥羽一番街1階
◆web-URL
http://www.barifuri.com/
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券売機のチェックの様子
〔講評〕
受賞者は、平成13年から18年の間に、市内13駅のすべて(いずれも1日あたりの平均利用者数5,000人以上)について、旧交通バリアフリー法に基づく基本構想を策定し、駅と周辺地区のバリアフリー化に取り組んでいます。
さらに、「バリアフリー推進協議会」の設置により、バリアフリー新法の制定に先立って「スパイラルアップ」を実現するための体制を構築するとともに、「バリアフリーチェックシステム」の制度化により事業実施段階における障害当事者参画を実現していることを高く評価し、表彰することといたしました。
〔受賞事例の概要〕
◆バリアフリー推進協議会の概要
本市では、「構想を作成すれば終わりというのではなく、事業実施時においても、可能な限り意見を聴いてほしい。」という市民の声を受け、「バリアフリー推進協議会」を設置し、基本構想作成後のバリアフリー事業の進行管理を行っています。
協議会は、バリアフリー新法に基づく基本方針で求められている事業進捗状況の管理や、継続的改善を円滑に進めるため、策定に関係した高齢者、障害者、住民、事業者及び市等で組織し、バリアフリー施策のスパイラルアップを図っています。
緑地公園駅地区では幹事会、説明会等、内容に応じた形態で協議会活動を実施しており、基本構想策定時には、まとめきれなかった地区内道路の一方通行化による歩道設置についてワークショップと交通社会実験等を行い、整備方針を決定しています。他の地区も含め、平成20年2月末現在、幹事会10回、説明会11回、ワークショップを6回行っています。
これらの継続的な市民参画により、基本構想に基づく事業が着実に実施されると共に、2つ目のバリアフリールートの確保や、大型エレベーターの設置等の施設のレベルアップが図られています。
◆バリアフリーチェックシステムの概要
「障害者用施設の使い勝手が悪いので、整備の際は私たちの意見を聞いてほしい。」という障害者の声を受け、事業者が設計・工事段階で障害者の意見を聴くことができるシステムを導入しています。
バリアフリー整備の実施詳細(例:トイレ内のフックの位置と数など)は、基本構想策定時のタウンウォッチングやワークショップだけでは不明瞭なこともあり、施工段階での使い勝手の確認が必要となりますが、このような取り組みが継続されていることは、全国でも例がありません。
チェックの対象は、基本構想に基づく事業で、細部の仕様を決定する必要がある施設としておりが、強制ではなく、事業者が必要に応じて行うものとしています。事業全体のチェックではなく、設計・工事を進めて行く上で、わからないこと、困ったことがあった時に手軽に利用できるシステムを目指しています。また、チェックは、障害者が理解しやすいよう、現地又は模型で行うことが基本となっています。
平成20年2月末現在、16件のチェックを行っていますが、多機能トイレ、エレベーター、券売機、点字案内板、音声案内装置、誘導経路、視覚障害者誘導用ブロック、手すりの点字等について、きめ細かい仕様の決定に役立っています。
◆今後の展望
基本構想に基づく事業については、協議会やチェックシステムを行いながら進めているため、整備完了後の障害者等からの苦情は大幅に減少しています。チェックシステムを担当している職員のバリアフリーに対する理解度も向上しています。しかし、基本構想以外の事業では障害者に対する理解不足、調整不足により、満足できる施設となっていないこともあり、今後は、このスパイラルアップのシステムを他の事業、他の地区へ広げていくことが重要であると考えられます。
◆web-URL
http://www.city.toyonaka.osaka.jp/
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整備前の平良駅前
一体化されたバス停とホーム
移動しやすくなった電車ホームとバス停
〔講評〕
受賞者は、広島電鉄平良(へら)駅(現在の名称は廿日市市役所前駅)及びその周辺について、交通結節点の機能強化を図りつつ、踏切によって分断されていた鉄道駅とバス停の一体整備などによるバリアフリー化を図りました。
この整備では、段差のない構造でのバス停と鉄道駅の一体化により、異なる交通機関の間のシームレス(継ぎ目のない)な乗継円滑化を図っており、稀な事例であることのほか、シンプルな事例であることにより他への波及効果が期待できることを高く評価し、表彰することといたしました。
〔受賞事例の概要〕
◆街路事業による平良(へら)駅通線の整備
廿日市市では新しい都市の中心として、広域的な交通条件に恵まれた新宮地区において、シビックコア地区の形成を目指したまちづくりを進めており、当地区には市役所、文化センター、総合健康福祉センター、商工保健会館、防災施設を備えた新宮中央公園などの施設があり、国の地方合同庁舎も建設されます。
そしてこの地区を通り、市を東西に連絡する広島電鉄宮島線の「平良」駅(現在の名称:「廿日市市役所前」駅)から市役所までのシンボルロードの一部が平良駅通線であり、平成18年度に完成しました。
◆バス停と電車ホームの一体化
平良駅通線の駅前整備にあたっては、交通広場と既設の電車ホームが離れていることから、歩行者動線や階段などの段差を利用せざるを得ない状況が改善されないなど、交通結節点の機能強化の課題を残すことが懸念されました。
そこで、交通広場を整備する街路事業と並行して、まちづくり総合支援事業による駅周辺の施設整備を行うとともに、幹線鉄道等活性化事業による乗継の円滑化を行いました。
これらの事業を組み合わせることで交通広場がある場所へ電車ホームが移転され、上りと下りのホームを連絡する通路の設置、バス停上屋とホーム上屋の一体化といった施設の整備を行いました。
この平良駅通線は都市機能を集約させた地区の骨格道路として整備され、これまで通ることができなかったバスが駅前に乗り入れになるなど、自動車や歩行者の駅へのアクセス性が格段に向上しました。
また、周辺のバリアフリー化を進めたことから、駅前においてはバス停と電車ホームが段差なく一体となり、雨天時でも傘なしで電車とバスを乗り継ぐことができる特色のある施設を整備することができました。
実際に利用者からも好評を得ており、電車の利用者も増加しています。
◆新しい交通拠点の誕生
現在、駅前のバス停へは路線バスと市内循環系コミュニティバスである「さくらバス」が乗り入れており、市内の新しいバスの発着場としての交通拠点となっています。この新しい交通拠点の誕生によりシビックコア地区もますます賑わいを増してきています。
そして、この平良駅通線の整備を手本に、これからも市民がこれまで以上に身近に気軽な交通利用ができるよう、交通結節点のバリアフリー化を進めていくものです。
◆表彰案件の所在地
広島県廿日市市新宮一、二丁目地内
◆web-URL
http://www.city.hatsukaichi.hiroshima.jp/
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福祉のまちづくり条例整備基準適合証
適合証を交付した小規模施設
観光バリアフリーモニターによる調査
〔講評〕
受賞者は、「福祉のまちづくり条例」による事前協議制度について広範な規模・用途の建築物を対象とし、また、基準に適合するものへの適合証の発行を積極的に進めるとともに、改修工事に対する助成を行うなどにより、民間建築物のバリアフリー化を強力に進めております。
さらには、ホームページなどを用いた建築物のバリアフリー状況の積極的な情報提供、「観光バリアフリー」実現のための活動の実施のほか、優れた建築物の顕彰制度を予定するなど、継続的な民間建築物のバリアフリー促進の取組みを高く評価し、表彰することといたしました。
〔受賞事例の概要〕
◆宮崎市福祉のまちづくり条例
宮崎市福祉のまちづくり条例は平成13年4月に施行しました。特長は、事前協議すべき建築物を、工場や共同住宅、事務所を除き、その規模に関わらず全て対象としていることです。
条例において概ね延べ面積300㎡未満の小規模施設の整備基準は、「国際シンボルマーク」を掲示するための最低基準と同様にしています。
◆福祉のまちづくり条例整備基準適合証
平成13年4月から平成19年12月末までに民間の建築物において733件の適合証を交付しています。その内訳は小規模施設が442件(60%)、それ以外の300㎡を超える建築物が291件(40%)です。
小規模施設の内訳は、診療所や物販店舗、飲食店舗などの市民の地域生活に密着した施設です。
適合証を交付した建築物は、宮崎県や宮崎市のホームページに掲載しています。
宮崎県「みやざきバリアフリー情報マップ」
http://m-bfree.pref.miyazaki.lg.jp/
宮崎市「みんなのためのお出かけ案内」
http://www.city.miyazaki.miyazaki.jp/www/genre/0000000000000/1186037460013/index.html
◆福祉のまちづくり施設整備補助事業
既存の民間建築物のバリアフリー化を促進するために、条例に定める整備基準に適合するスロープやトイレなどの改修工事について、改修工事に要した費用の1/2かつ120万円を限度として助成しています。
平成13年度から19年末までに31施設がこの制度を利用しました。
◆宮崎市福祉のまちづくり総合計画
条例に基づいて平成16年3月に「宮崎市福祉のまちづくり総合計画」を策定しました。これは市民、事業者及び市が協働して福祉のまちづくりの施策などを推進するための計画です。
◆観光バリアフリー事業
この計画に基づいて、平成17年2月に市民協働の組織「宮崎市バリアフリー検討委員会」を設立し、地域のバリアフリー化を進めるために、高齢者や障害者の行きたい街なかの調査やその情報を「観光バリアフリーホームページ」で提供することなどをすすめています。
宮崎観光バリアフリーHP
http://www.miyazakikanbari.com/
◆優れたバリアフリーデザインの顕彰
また、この計画に基づいて平成20年度から優れたバリアフリーデザインの民間建築物の顕彰を行う予定です。
◆web-URL
http://www.city.miyazaki.miyazaki.jp/