バリアフリー

第2回国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰について

第2回の受賞者は、37の候補案件の中から選考委員会(※)の審査を経て、次の4件を表彰いたしました。
 
○箱根ロープウェイ株式会社
○高山市~観光都市の継続的かつ総合的なバリアフリー化~
○障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議
○オキナワ マリオット リゾート&スパ
 
(※)平成20年度表彰においては、選考委員会の委員は、次のとおりでした。
   秋山 哲男 首都大学東京都市環境科学研究科 教授
   高橋 儀平 東洋大学ライフデザイン学部人間環境デザイン学科 教授
   三星 昭宏 近畿大学理工学部社会環境工学科 教授
 
選考委員による講評はこちら
  
以下、各受賞者の講評と概要になります。
 
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箱根ロープウェイ株式会社

折りたためるゴンドラ内の椅子、段差を解消した乗車口

車いすでそのまま乗り込めるゴンドラ

各駅に設置している赤ちゃん休憩室

[講 評]
 受賞者は、早雲山駅~大涌谷駅~姥子駅~桃源台駅のロープウェイ全線にわたる更新工事により、エレベーターやエスカレーターの設置、ゴンドラとホームの段差・隙間の解消、乗車時の一旦停止により、車いすに乗車したままでの乗降を可能にするとともに、各駅には授乳やおしめ交換等ができる「赤ちゃん休憩室」を設置しています。また、車いすの無料貸出しを行うほか、駅係員の「サービス介助士2級」の資格取得を推進しています。
 このように、厳しい地形のなかでも、ユニバーサルな視点でハード・ソフト両面から施設整備等に取り組んだことを高く評価し、表彰することといたしました。
 
受賞事例の概要]
◆ 更新工事にあたって目指したもの
 1959年に早雲山駅~大涌谷駅間、翌年に大涌谷駅~桃源台駅間の運転を開始し、運転開始以来40年以上経過し施設の老朽化、輸送能力の限界等があり、架け替え計画に踏み切りました。計画にあたり、高齢者や移動制約者を含むすべての方々が安全で快適にご利用できることを主眼におき設計をすすめ、安心して乗降ができるよう、乗車時の一旦停止、ゴンドラを大型にしてゆとりのある空間の確保、ゴンドラとホームの間隔を最小限に押さえ、車いすに乗車したままの乗降、エレベーター等の設置等バリアフリー化を目指した整備に取り組みました。
 
◆ 進歩・安全・快適
 首都圏に近く各種の交通網の恵まれた立地条件にある当社は、小田急電鉄(株)、箱根登山鉄道(株)、箱根観光船(株)、箱根登山バス(株)の小田急箱根グループ各社と連携し箱根を回遊できるコースの一翼を担っており、おかげさまで多くのお客様にご利用いただいています。
 このような環境の中、当社は進歩・安全・快適を社是として「安全第一」、お客様の「快適性」向上を求め日々取組んでおります。
 創業時には、当時最新であった複式3線自動循環式を取り入れ、架け替え工事にあたっては、お客様の安全、快適を求めて、日本ではじめての複式単線自動循環式(フニテル)を採用し整備工事を行い、駅の設備としてエレベーターやエスカレーター、「赤ちゃん休憩室」や多目的トイレを設置いたしました。
 従業員教育として「AED」装置の取扱いを含め救命救急の講習も箱根町消防署の協力により実施し、お客様へのサービス向上施策に取組んでいます。
 
◆ 今後の取組み
 現在、現業部門の約70%の社員が「サービス介助士2級」の資格を取得しており、これをさらに全社員が取得するよう目指すとともに、消防署等の「救命救急講習」、「AED」装置の取扱訓練等を継続して、お客様への「安全」、「快適」の更なる向上を図るとともにサービスに当たる従業員への「安全」「快適」のより良い向上を目指し、会社として取組めるものを着実に行ってまいります。
 
◆連絡先
 TEL:0465-32-2201
 神奈川県小田原市城山1-15-1
 
◆web-URL
 http://www.hakoneropeway.co.jp
 
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高山市~観光都市の継続的かつ総合的なバリアフリー化~

モニターツアー

歩者道の段差改善・グレーチング改修

多言語標記看板

講 評]
 受賞者は、平成8年よりバリアフリーに関するモニターツアーを実施し、障がいを持つ方や外国人の方から聴取した意見を道路、公衆トイレのバリアフリー化や各種施策につなげています。また、バリアフリー新法の基準よりも厳しい規定を設けた条例の制定、同条例に基づく民間事業者に対する独自の認定制度などの取組みも行っています。
 その取組みは観光客の増加という形で成果が現れており、このような継続的で総合的なまちのバリアフリー化促進の取組みを高く評価し、表彰することといたしました。
 
[受賞事例の概要]
◆ 取組みの経緯
 「住みよいまちは、行きよいまち」を基本的理念として、平成8年の「障がい者モニターツアー」の開始を契機に、本格的なバリアフリーのまちづくりへの取組みを始め、道路や公衆トイレのバリアフリー化のほか、民間事業者のバリアフリー改修等の整備支援、情報バリアの解消などを実施しています。
 また、平成17年に「高山市誰にもやさしいまちづくり条例」を制定し、バリアフリー新法の基準より厳しい規制やバリアフリーに取り組む事業者の認定を実施するなど、市、市民、事業者が一体となって、誰にもやさしいまちづくりに関する施策を総合的に推進しています。
 
◆ 活動内容
○モニターツアー
 障がいのある方や外国人の方に高山へお越しいただき、観光していただくなどの実体験を通じて出された意見を反映するため、バリアがどこにあるのか、また何がバリアとなっているのかを率直に指摘していただいています。
○道路のバリアフリー化
 歩道と車道の段差を2㎝以下に抑えるとともに、細目のノンスリップタイプのグレーチングを使用し、車いすやベビーカーが支障なく通行できるような整備を行っています。
○公衆トイレの整備
 誰もが快適に使用できる多目的トイレ(車いす対応、オストメイト対応、ベビーシートなど)の整備を実施しています。
(公衆トイレ約80箇所、民間施設50箇所)
○民間事業者認定制度
 ユニバーサルデザインに配慮した施設整備(ハード部門)や、サービス提供(ソフト部門)に取り組む事業者を認定し、バリアフリーに対する意識の高揚を図っています。
○民間事業者へのバリアフリー化整備支援
 民間施設のバリアフリー化やタクシーのサポートシート導入等に対する経費の補助金・融資制度を実施しています。
○情報バリアの解消
 音声や文字、手話で案内する「観光情報端末」を車いすの方にも利用しやすいように低い位置に設置しています。また、市ホームページ(12言語)や観光パンフレット(7言語)、案内看板(4言語)などの多言語化にも取り組んでいます。
 
◆ 今後の展望
・モニターツアーの継続実施により、引き続き「ユニバーサルデザイン」の考え方に基づいたバリアフリーのまちづくりに取り組みます。
・民間事業者認定制度の更なる周知と普及により、まちの中に認定マークを増やしていきます。
・融雪効果のある誘導ブロックや、音声で横断歩行者に注意を促す歩行者案内システムなど、新たなシステムの設置に取り組みます。
・文化的価値を損なわず、伝統的な町並みと調和したバリアフリーのまちづくりの取組みと、日本一広い市域全体での取組み方を研究していきます。
 
◆連絡先
 TEL:0577-32-3333(代表)内線2339
 岐阜県高山市花岡町2丁目18番地
           (基盤整備部都市整備課)
 
◆web-URL
 http://www.city.takayama.lg.jp/
 
 
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障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議

バリアフリー・アドバイザー養成講座(講義の様子)

バリアフリー・アドバイザー養成講座(現地調査の様子)

基本構想の策定にあたっての取組み(タウンウォッチングの様子)

[講 評]
 受賞者は、幅広い関係団体等の核として昭和55年より熱心な活動を継続しています。独自の取組みとして「バリアフリー・アドバイザー養成講座」を開講し、座学のみではなく、実際に現地に足を運んで課題を発見し、課題解決のための議論を行うなどの講習を実施し、延べ274名が受講・修了しています。また、基本構想に関する委員会への参加、タウンウォッチングへの参画、バリアフリーマップの作成、バリアフリーに関する講座への講師派遣なども行っています。
 このように、バリアフリー化推進のための人材育成に大いに貢献していることを高く評価し、表彰することといたしました。
  
[受賞事例の概要]
◆ 障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議の概要
 「障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議」は、国際障害者年を期に、大阪府内の身体、知的、精神の3障害の当事者や支援者、家族を横断した組織で、1980年に結成されました。(現在の加盟団体は89)
 障害者自身の立ち上がりを基礎に、全ての障害者の自立と完全参加を目指した活動を進めています。具体的な活動は、各課題に応じた部会(介護、施設・地域移行、グループホーム、自立支援・日中活動、労働、教育、交通)を運営し、学習会やセミナーの開催など、情報提供や研修等に取り組んでいます。
 
◆ バリアフリー・アドバイザー養成講座の概要
 バリアフリー・アドバイザー養成講座では、学識経験者や行政担当者、他都市で活動している活動者などを講師に招き、バリアフリーに関する最新の情報と知識を得るとともに、現地調査(フィールドワーク)を実施することにより、知識だけではなく、実際に現場に行くことで課題を発見し、解決に向けた議論を行うことで生きた情報や知識の習得と人材育成に努めています。
 これらの活動では、障害当事者の視点だけではなく、子どもからお年寄りまで、すべての人が利用しやすいユニバーサルデザインの視点を大切にしており、例えば、車いす利用者でも視覚障害者誘導用ブロックや分かりやすい標示などに注意して調査を行い、それを発表し意見交換することで、参加者同士のコミュニケーションを大切にしながら、分かりやすい報告や他の人の意見を聞く力を養っています。
 そして、この養成講座によって培われた知識や経験を生かして、行政機関等が開催する委員会やバリアフリー基本構想策定委員会などに積極的に参画し、バリアフリー化の推進にあたっての障害当事者の視点に立った意見や提案を行っています。
 また、中学、高校、大学をはじめその他の団体等からの要請に応じ、バリアフリー化整備や心のバリアフリーへの市民の理解を深めるべく、講演会(年間約40回)に講師派遣を行うなど、バリアフリーの周知、啓蒙活動を推進する活動にも積極的に取り組んでいます。
 
◆ 今後の取組み
 まちづくりの当事者参画の重要性が増すなか、自治体や事業者等から障害当事者の視点に立った意見等が求められる機会も増えてきています。基本構想策定後の事業進捗の検証や改善などスパイラルアップへの取組み等、行政機関の取組みとも連携しながら、個々の課題に対応できる人材の育成や知識等の取得に関する取組みを主体的・継続的に実施していきます。
 
 
◆連絡先
 TEL:06-6779-8126
 大阪市天王寺区生玉前町5-33
 大阪府障害者社会参加促進センター内
 
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オキナワ マリオット リゾート&スパ

ユニバーサルルーム

客室のバスルーム(緊急時用ブザー等を設置)

近隣小中学校での日本盲導犬協会の研修

[講 評]
 受賞者は、ホテル全館をバリアフリー新法の誘導基準に適合するようにバリアフリー化し、沖縄県で初めて認定を取得するだけでなく、さらに客室361 室のうち36 室をユニバーサルルームとして整備しています。また、社員を対象にした接遇等の講習会、介助トレーニングの定期的実施、近隣小中学校での盲導犬の子ども向けセミナーなどを行ってきています。
 このように、積極的にバリアフリー整備を行うとともに、「心のバリアフリー」にも取り組んでいることを高く評価し、表彰することといたしました。
 
[受賞事例の概要]
◆ バリアフリー新法の認定
 当ホテルでは2005年の開業時より361室ある客室のうち「バリアフリールーム」を含む「ユニバーサルルーム」36室を設置、その後レストラン、宴会場、パブリックスペースなど全館をバリアフリー設計と致しました。この設計により、「バリアフリー新法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)」の誘導基準を満たすこととなり、沖縄県内で初めて認定を受けることとなりました。
 当社基本理念である「ホテルに求める全てにお応えすべく」このような取組みを積極的に行う考えに基づいています。
 
◆ 館内のバリアフリー設備
 実際の客室は扉幅、トイレ、浴室の構造、エレベーターの広さ、床面等がハンディキャップをお持ちのゲストにも優しい設備が整っています。例えば全ての照明やスイッチが車いすの方にも届きやすい低い位置に設置されており、扉は入り口・バスルーム共に幅の広い引き戸、トイレ内には非常用ベルや引き戸が設置されています。
 また、パブリックスペースにおいても様々な設備が施されており、エレベーターは車いすのお客様も利用し易いように余裕のあるスペースを持ち、音声案内を準備、ホテル各所には視覚障害者誘導用ブロックを設置し、視覚障害者のゲストが安心してご滞在できるつくりとなっています。
 
◆ 日本盲導犬協会による研修
 当ホテル運営グループであるソラーレホテル&リゾーツが社会貢献の一環として、「日本盲導犬協会」への協力で盲導犬の育成をサポートしています。2006年より従業員への研修を行っています。日本盲導犬協会よりユーザーの方と講師の方、盲導犬をお招きしユーザーから実際盲導犬とはどのような役割があって、ユーザーの方とどのような毎日を過ごしているのか、講義を頂きました。研修の中では、実際に視覚障害の方の身になって、お食事の提供の仕方や、館内のご案内の仕方を体験する研修も行いました。
 
◆ 近隣小中学校への盲導犬の研修
 日本盲導犬協会の研修はホテル内のみならず、近隣の小中学校においても行っています。子供たちに盲導犬の大切さと身体が不自由な方へのサポートの必要性について理解を深める研修を行い、地域社会においても社会貢献への取組みを積極的に推進しています。
 
◆ 今後の取組み
 当ホテルが今後目指す点としては、ハードの面でのお客様へのケアに終わらず、ソフト面からも従業員全員が救急救命やサービス介助の資格を取得できるよう、会社として積極的に講習参加を奨励していくつもりです。全てのゲストに平等に当ホテルでの滞在を安心して楽しんで頂けるよう努めていきます。
 
◆連絡先
 TEL:0980-51-1000
 沖縄県名護市喜瀬1490-1
 
◆web-URL
 http://www.okinawa-marriott.com/
 

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