バリアフリー

第3回国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰について

第3回の受賞者は、34の候補案件の中から選考委員会(※)の審査を経て、次の6件を表彰いたしました。
 
 特定非営利活動法人 手と手/新日本海フェリー株式会社 小樽本店
 株式会社楽天野球団
 東京地下鉄株式会社
 高野町/南海電気鉄道株式会社
 広島市
 高知県・高知市・四国旅客鉄道株式会社
 
(※)平成21年度表彰においては、選考委員会の委員は、次のとおりでした。
   秋山 哲男 首都大学東京都市環境科学研究科 教授
   高橋 儀平 東洋大学ライフデザイン学部人間環境デザイン学科 教授
   三星 昭宏 近畿大学理工学部社会環境工学科 教授
 
選考委員による講評はこちら
 
以下、各受賞者の講評と概要になります。
 
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特定非営利活動法人 手と手/新日本海フェリー株式会社 小樽本店 ~北海道におけるバリアフリー・ツーリズムの普及~

雪まつりでの介助ボランティア活動(車いす用防寒具「ヌクヌク」着用)

バリアフリー教室の様子(1)

バリアフリー教室の様子(2)

【講 評】
 受賞者の「特定非営利活動法人 手と手」は、障害者等にとって参加の困難度の高い「さっぽろ雪まつり」において、雪道という条件克服のため車いすに工夫を加えながら、長年に渡って多数の市民ボランティアと協力して、障害者等の雪まつり見学の介助ボランティアを実施している。
 また、受賞者の「新日本海フェリー 小樽本店」は、バリアフリー化に関する国民の理解を深める「バリアフリー教室」において、講師を派遣する「手と手」と連携して、実際のフェリーやターミナルを活用し実践的な講習を行うとともに、障害者自身に対しても船旅の楽しさを体験してもらうことにより障害者を含むツアーの実施に結びつけるなど、効果的な啓発活動を継続的に実施している。
 両者がこれらの取組みを通じて、北海道におけるバリアフリー・ツーリズムの普及に貢献していることを高く評価し、表彰することとした。

【受賞者の取組み】
◆さっぽろ雪まつりでの福祉ボランティア活動
長年に渡る継続した活動
 「手と手」では、北海道を代表する冬のイベントである「さっぽろ雪まつり」会場において、平成3年から「福祉ボランティアハウス」を設立し、20年近くに渡り、障害者・高齢者等介助を必要とされる人に対する雪まつり見学の介助ボランティアを実施している。全国各地の多くの人から利用されるとともに大きな評価を得ており、雪まつりの運営に欠かせない存在となっている。
 また、「手と手」以外の市民ボランティアを募り、毎年たくさんの市民が参加して障害者・高齢者等と交流しながら介助ボランティアを実施しており、このような取組みが地域の心のバリアフリーの促進につながっている。
 
雪道における移動・防寒に対する様々な工夫
 これまで障害者・高齢者等にとっての冬場のイベント見学は困難であると言われていたが、雪道でも動かしやすい「スキーキャスター付き車いす」などの雪道用車いすや、「手と手」が考案した車いす用防寒具「ヌクヌク」の貸し出しを行うなど様々な工夫を凝らしている。
 
高齢者や障害者の旅行・外出機会の促進
 「手と手」では、こうした雪まつりでの福祉ボランティア活動以外にも、年間を通し道内各地の観光地で障害者・高齢者等の旅行・外出支援を行っている。

◆フェリーやターミナルを利用したバリアフリー旅行の啓発
連携・継続したバリアフリー教室への協力
 心のバリアフリーの推進を目的として国民の理解を深めるバリアフリー教室では、「新日本海フェリー株式会社」がバリアフリー新法の移動等円滑化基準に適合したフェリーやバリアフリー化されたターミナルを提供し、乗組員をはじめ多くの社員が教室開催に協力するなど会社をあげて対応し、継続的なバリアフリー施策の取組みを行っている。
 バリアフリー教室の実施に当たっては、「手と手」の講師が実践的な講習を行うなど両者が連携して取り組むことにより、バリアフリーの効果的な普及を図っている。
 
障害者・高齢者等への「バリアフリー旅行」の機会の増進
  さらに、これまでの小中学生を対象とした教室に加え、新たに障害者・高齢者等とその家族を対象に「バリアフリー旅行」をテーマにしたバリアフリー教室の開催に協力し、バリアフリー化されたフェリーの施設等を体験してもらい、フェリーによる旅行の素晴らしさや楽しさを知ってもらうことにより、障害者・高齢者等の旅行・外出機会の増進に大きく寄与した。

【今後の取組みへの期待】
 今後も連携して地域に根ざした取組みを継続的に実施していくことはもとより、障害者・高齢者等の旅行・外出機会の増加のための新しい取組みを行うことにより、北海道におけるバリアフリー・ツーリズムが一層促進され、さらには全国への普及にもつながることを期待したい。
 
【連絡先】
(特定非営利活動法人 手と手)
 TEL:011-818-0801
 北海道札幌市豊平区豊平7条8丁目1-15
(新日本海フェリー株式会社 小樽本店)
 TEL:06-6345-2921/0134-22-6191
 大阪府大阪市梅田2丁目5番25号/北海道小樽市築港7番2号
 
【Web】
(特定非営利活動法人 手と手)
 http://www9.ocn.ne.jp/~tetote/
(新日本海フェリー株式会社 小樽本店)
 http://www.snf.co.jp/
 
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株式会社楽天野球団 ~既存野球場の改修におけるバリアフリー化~

球場全景

車いす席(内野席)

車いす席(外野席)

【講 評】
 受賞者は、野球場整備(改修)において、地域の障害者団体等との意見交換の中でのアドバイスを的確に設計に反映し、5つのエリアに車いす席を整備、多機能トイレを15箇所新設、エレベーターを4箇所設置したほか、授乳室の整備や託児サービスの実施、総合案内に手話ができるスタッフを配置するなど、制約の多い既存施設の改修でありながら、しっかりとしたバリアフリー化に取り組み、障害者をはじめ幅広い層へのスポーツ観戦への参加機会の拡大に積極的に取り組んでいる点を高く評価し、表彰することとした。
 
【受賞者の取組み】
◆取組みの概要
 障害者等をはじめ、だれもが利用しやすい球場となるよう、平成16年の球団創設以来、既存の球場を改修するという制約された条件の中で、障害者団体等からの意見を可能な限り反映した改修を行い、また、ソフト面では球団スタッフ等へ障害者・高齢者等の対応を含む接遇教育を実施するなど、ハード・ソフト両面により、障害者・高齢者等へ配慮した球場運営を行っている。また、平成16年の改修以後も障害者団体等との意見交換等を継続的に行い、意見交換等の中でのアドバイスを反映した改修を行っており、ハード・ソフト両面のバリアフリー化における取組みを継続している。
 
車いす席の設置
 改修前に車いす席は設けられていなかったが、改修により内外野5つのエリアに合計45席を設置した。外野席は外野出口から直接スロープが設けられている。また、障害者等の要望を踏まえ、車いす席利用の方が観戦の際に使用できるようドリンクホルダー付きテーブルを手作りで作成しており、創意工夫が見られる。
 
多機能トイレの設置
 改修前は2箇所のみだったが、改修により15箇所を新たに整備した。オストメイトトイレは4箇所新設している。
 
エレベーターの設置
 バックネット裏及び内野席裏に計4基設置している。なお、エレベーター利用者に対しては球場スタッフが座席案内を実施している。
 
授乳室の設置
 授乳室は3箇所に設置されており、オムツ交換シートは全てのトイレで設置している。また、土日祝日の試合開催日は球場内に設置した託児所にて託児サービスを実施している。
 
ソフト面のサービス
 球団スタッフ、委託警備会社社員への障害者・高齢者等を含めた接遇教育を実施し、総合案内には手話ができるスタッフを配置し、聴覚障害者への筆談にも対応し、だれもが安心して利用できる球場運営を実施している。
 
【今後の取組みへの期待】
 今後も障害者団体等との意見交換等を引き続き実施し、バリアフリーへの取組みを継続的に実施することはもとより、特にソフト面での充実を図るための新しい取組みを検討・実施し、障害者をはじめ幅広い層へのスポーツ観戦への参加機会の拡大への取組みについて、全国への普及につながることを期待したい。
 
【連絡先】
 TEL:022-298-5300(代表)
 宮城県仙台市宮城野区宮城野2-11-6
 
【Web】
 http://www.rakuteneagles.jp/
 
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東京地下鉄株式会社 ~既存及び新規の鉄道施設における先導的なバリアフリー化~

ホームドア

可動式ホーム柵

多機能トイレ

【講 評】
 受賞者は、南北線において我が国の地下鉄で初めてホームドアを設置したことに始まり、既存施設である丸ノ内線などにおいて、限られた空間内で、営業しながら可動式ホーム柵やエレベーターを設置するなど、新規、既存の鉄道施設における先導的なバリアフリー化を実現するとともに、副都心線においては、ホームドアは言うに及ばず、ストレッチャー対応エレベーターの設置や複数の多機能トイレの設置など、高次のバリアフリー化を実施したことを高く評価し、また鉄道事業者のトップランナーとして、今後のさらなる取組みにも期待し、表彰することとした。
 
【受賞者の取組み】
◆バリアフリー設備の整備
 昭和2年の上野駅~浅草駅間の開業後、現在9路線179駅で旅客輸送を行っている。その間、様々な利用者のニーズを反映した設備の整備を行っている。
 
ホームドア及び可動式ホーム柵の設置
 視覚障害者がホームから転落しないようにするため、南北線(赤羽岩淵駅~駒込駅間)の開業に合わせて地下鉄では日本初となるホームドアを設置した。その後、既営業線の丸ノ内線などにおいては限られた空間で、かつ、営業しながら可動式ホーム柵を設置するとともに、平成20年度に開業した副都心線にも可動式ホーム柵を設置した。今後、有楽町線(和光市駅~新木場駅間)への可動式ホーム柵の設置を検討している。
 
段差の解消
 段差の解消については、バリアフリー新法に基づく移動等円滑化基準に適合したスロープやエレベーターを設置するとともに、副都心線では救急活動にも対応するためのストレッチャー対応大型エレベーターを設置した。
 
利用しやすいトイレの設置
 既存のトイレを改修して車いす使用者や子供連れの利用者が利用しやすい、広いスペースやベビーシートなどを備えた快適な多機能トイレの整備を進めている。特に副都心線(雑司が谷駅~明治神宮前駅)においては、これらの機能を備えたトイレを男女別に設置するなど、1駅に複数個所の多機能トイレを設置した。
 
◆安心して利用できる環境の整備
社員によるソフト面での対応
  全現業社員を対象に「バリアフリー基礎研修」、「職場内バリアフリー教育」を実施するとともに、特に駅員のサービス介助士の資格取得を積極的に推進している。また、平成16年度から主要駅に案内係として「サービスマネージャー」を配置し、高齢者や地下鉄に不慣れな利用者を案内するなど、利用者が利用しやすい駅を目指している。
 
バリアフリー便利帳の作成・配布
 各駅のバリアフリー設備の設置状況を利用者に案内するため、平成14年度から「バリアフリー便利帳」を作成し、各駅で配布している。
 
【今後の取組みへの期待】
 利用者のニーズを反映した可動式ホーム柵やエレベーター等のバリアフリー施設の整備を着実に行うとともに、サービスマネージャーの配置駅の拡大にも努め、利用者が安心して利用できる鉄道を目指していただきたい。
 
【連絡先】
 TEL:03-3837-7324
 東京都台東区東上野三丁目19番6号
 
【Web】
 http://www.tokyometro.jp
 
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高野町/南海電気鉄道株式会社 ~世界遺産を抱える観光地における戦略的なバリアフリー化~

来訪者による現地調査

エレベーター塔

極楽橋駅ホーム

【講 評】
 受賞者は、山間地という地形的困難性を有しながらも、互いが協力して、バリアフリー新法下において先駆的にバリアフリー基本構想を作成し、地域内のほか地域外からの利用者の意見もふまえつつ、ケーブルカー特有の困難性に対応した階段状の乗降場のバリアフリー化や、景観に配慮した新たなエレベーター塔やトイレの設置、ハイブリッドノンステップバスの配備を行うなど、規模の小さい町であっても、世界遺産を抱える観光地として戦略的にバリアフリー化に取り組んでいることを高く評価し、表彰することとした。
 
【受賞者の取組み】
◆取組みの概要
 高野町にある世界遺産「高野山」は、年間130万人の参拝客・観光客が訪れており、今後も増加が予測されることから、住民だけでなく、訪れる人も含めたすべての人にやさしいまちづくりを目指している。
 
高野町交通バリアフリー基本構想
 高野町は、地域に暮らす住民のほか、町外から訪れる人たちの意見を積極的に取り入れ、バリアフリー新法に基づく基本構想を策定した。この基本構想に基づき、南海電鉄ケーブルカー駅のバリアフリー化、ノンステップバスの導入、公衆トイレや歩道のバリアフリー化、案内標識のユニバーサルデザイン化など、町全域のバリアフリー化に取り組んでいる。
 また、バリアフリー化された公衆トイレ等の建物のデザインは、町並みの連続性を壊さないよう景観に配慮したものとしている

◆南海電鉄ケーブルカー駅バリアフリー化事業
  高野山の玄関口「高野山駅」とふもとの「極楽橋駅」はケーブルカー駅のためホームが階段状となっている。この構造が車いす使用者や高齢者等のケーブルカー利用に際して大きな負担であったため、エレベーター設置等によりバリアフリー化を行った。
 
高野山駅のバリアフリー化
 駅ホームにエレベーターと連絡通路を設置し、改札口までのバリアフリー経路を確保するとともに、高齢者や大きな荷物を持った旅行者等にも対応できるように複数の経路整備を行っている。
 また、建物については景観に配慮したデザインとし、工事の施工方法等についても、急峻な崖地における工事のため検討を重ね整備が行われた。
 
極楽橋駅のバリアフリー化
  ケーブルカーを吊下げているケーブルの伸縮(最大2.5m)により車両の停車位置が固定されないため、エレベーターによるバリアフリー化が困難であった。そのため、停止位置の調整が可能な階段昇降機により変化する乗降位置への対応を行い、車いす使用者のケーブルカーへの乗降を可能にした。また、高齢者等にはスロープを新設することにより移動の負担軽減を行っている。
 
【今後の取組みへの期待】
 今後も利用者等の意見を把握することに努め、観光施設等の段差の解消や多機能トイレの整備等の観光ルートのさらなるバリアフリー化を進めることにより、外国人旅行者を含めたすべての人にやさしいまちづくりに取り組み、観光バリアフリーのモデルケースとなることを期待したい。
 
【連絡先】
(高野町)
 TEL:0736-56-3000(代表)内線231
 和歌山県伊都郡高野町大字高野山636番地(企画課)
(南海電気鉄道株式会社)
 TEL:06-6644-7161
 大阪府大阪市中央区難波5-1-60
 
【Web】
(南海電気鉄道株式会社)
 http://www.nankai.co.jp/
 
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広島市 ~新設野球場におけるバリアフリー化~

球場全景

コンコース

大型スロープ

【講 評】
 受賞者は、市民球場の新たな整備において、最大300席分の車いす用観戦スペース設置のほか、広島駅に通じる歩道と球場内コンコースを直結する広幅員の歩行者用スロープ、球場を一周する広幅員で平坦なコンコース、緩傾斜の観戦スタンド、1,000席分の難聴者用補聴設備の整備など、高次のバリアフリー化を実現し、障害者をはじめ幅広い層へのスポーツ観戦への参加機会の拡大に積極的に取り組んでいる点を高く評価し、表彰することとした。
 
【受賞者の取組み】
◆取組みの概要
  平成21年4月に開設されたマツダスタジアム(広島市民球場)は、設計の各段階において、障害者団体や市民等の意見の把握に努め、設計に反映させながら球場建設を行った結果、障害者・高齢者・小さな子供連れの来場者などだれもが楽しめるよう配慮された球場となっている。特徴として次のようなものがある。
 
障害者・高齢者の方も周回可能なコンコースの設置
 内外野の1階観客席の最後部に広い幅(内野12m、外野8m)で段差のない平坦なコンコースが球場を1周する形で配置されている。コンコースには多機能トイレや飲食売店も配置され、車いす使用者・高齢者も自由に周回することを可能としている。 
 
難聴者用の補聴設備
 観客席の内野1塁側・3塁側、外野レフト側・ライト側の4箇所約1,000席には、床下に磁気ループアンテナを設置し、難聴者が場内放送をより明瞭に聞き取ることを可能としている。
  
十分な車いすスペースや多様な観戦スペースの設置
 車いす席については、3階コンコース上に常時90席分を設けるとともに、最大で300席分の車いすスペースを確保し、介助者も一緒に観戦を楽しむことができる。また、6階テラスシートや5階パーティーフロアなどの観客席も車いす使用者が段差なしに入ることが可能な設計となっている。
 さらに、移動経路としてエレベーターも整備されているため、車いす使用者も様々なスタイルで観戦することを可能としている。
 
入退場通路の大型スロープ
 広島駅からの歩道と球場内のコンコースを直結させた延長210mの大型スロープを設置している。概ね高さ1mごとに踊場を設けながら通路の傾斜は5%とし、バリアフリー基準より緩やかな設計で、補助手すり等が設置され車いす使用者も安全な入場が可能である。
 
その他の設備
 多機能トイレは球場内に24箇所(うちオストメイト対応用12箇所)を設置。
 小さな子供連れの利用者のためにベビーベッドやオムツ交換シートなどを備えた授乳室を2箇所設置。
 障害者用駐車場は40台分を確保。  
 
【今後の取組みへの期待】
 今後も障害者等からの意見を引き続き把握することに努め、バリアフリー化への取組みを継続的に実施し、そして、障害者をはじめ幅広い層のスポーツ観戦への参加機会の拡大に努めることで、全国的な普及につながることを期待したい。
 
【連絡先】
 TEL:082-504-2424
 広島県広島市中区国泰寺町一丁目6番34号
 (広島市都市活性化局都心再開発部新球場調整担当)
 
【Web】
 http://www.city.hiroshima.jp/icity/browser?ActionCode=genlist&GenreID=1144992543221
 
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高知県・高知市・四国旅客鉄道株式会社 ~駅及び周辺区域における総合的なバリアフリー化~

駅周辺全景

駅前駐車場の障害者用区画

15人乗りエレベーター(駅ホームからの写真)

【講 評】
 受賞者は、互いに協力しながら鉄道の高架化、路面電車の軌道整備と合わせ、大規模な土地区画整理事業を実施して、駅前広場、バスターミナル、駅前駐車場、トイレ等の整備を行い、地域における各種交通モードの結節点である高知駅とその周辺区域において、市街地の抜本的な環境改善に取り組み、総合的なバリアフリー化を実現したこと、また、その整備に当たって、地域の障害者団体等との意見交換を幾度も行い、より有効なバリアフリーのための施設整備に結びつけたことを高く評価し、表彰することとした。
 
【受賞者の取組み】
 ◆取組みの概要
 高知駅周辺地区においては、高知県、高知市、四国旅客鉄道株式会社が一体となって都市整備に取り組み、平成21年5月に南口駅前広場も含め全面供用開始された。障害者団体等との協議を重ねて、鉄道、路面電車、バス、タクシー、マイカーが行き交う交通結節点のバリアフリー化を図るとともに、全面的にリニューアルを行った。
 
駅周辺市街地の抜本的改善によりフラットな交通結節点を実現
 従前の高知駅周辺地区は、鉄道によって南北市街地が分断されており、駅南口周辺の狭いスペースにバス乗り場やタクシー乗り場などが置かれて動線が錯綜し、路面電車の停留場は駅との間に幹線道路を挟んでやや離れた位置にあった。
 これらの状況を改善するために、鉄道の高架化と土地区画整理、路面電車の軌道延伸などにより抜本的な改造を行い、駅の南北にバスターミナルや路面電車停留場、タクシー乗り場、障害者用スペースを含む駐車場、一般車乗降場などを振り分けて配置しつつ、駅構内からこれらの各施設へはコンパクトな歩行者動線で結びつけて、地域の拠点となる交通結節点として、フラットで利用しやすい空間を実現した。
 
大屋根の駅舎と屋根でつながる各施設にも細かな配慮
 県内産のスギを活用したぬくもりのある大屋根は駅舎と南口・北口のタクシー乗り場までを覆い、その大屋根とバス待合室や路面電車停留場、障害者用駐車場などとの間にも屋根が掛けられ、大雨の多い高知における乗り換え移動の便宜が図られている。
 また、北口の市営駐車場には2台の障害者用区画、駅前と駅構内(改札内・外)の3箇所に多機能トイレ、駅とバス待合室には意見収集ボックスが設置されるなど、各施設にも設計上、運用上の配慮がなされている。
 
障害者団体などからのアドバイスを反映
 駅や周辺地区の整備にあたっては、県の「バリアフリー・モニター会議」などの場において、障害者団体等との意見交換を3年間、17回に渡り実施し、現地体験による検証結果もふまえて、施設の計画に反映させている。
 具体的には、駅構内のエレベーターは仕様を変更し、車いす使用者が2人乗れる15人乗りを設置したほか、トイレ前には視覚障害者にその位置を知らせる音響案内を設置、駅前市営駐車場には障害者等の利用に配慮した事前精算機を設置するなど、障害者等の利用者の声を反映した施設整備に結びつけた。
 
【今後の取組みへの期待】
 今後も障害者や高齢者等利用者の声を不断にくみとりながら、それを反映した施設運営の改善を継続していくとともに、他の公共施設や旅客施設の整備・運営に当たっては、本地区の整備の中で得られたバリアフリーに関する知見を発展的に継承していくことを期待したい。
 
【連絡先】
  高知県都市計画課
 TEL:088-823-9863
 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
 
【Web】
 http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/171701/

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