海洋

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法令(条文)

1.成立経緯

 昭和41年、政府の重点施策の一つとして公害対策が取り上げられて「公害対策基本法」が制定され、その子法として、船舶からの油の排出を規制する「船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律」(海水油濁防止法)が昭和42年に成立しました。それ以前の我が国の海洋汚染防止対策としては、陸上の工場や事業場からの排水が海に流れ込むことを規制していただけで、船舶からの油排出規制に関しては、一部の海域における規制があった程度で、本格的な規制はなされていなかったのです。
 この海水油濁防止法の規制対象・範囲を拡大し、同法を廃して昭和45年に成立したのが「海洋汚染防止法」であり、昭和48年に排出油の防除措置の実効性確保を行い、昭和51年に東京湾で発生した第拾雄洋丸の衝突・炎上事故を契機として海上災害の防止に関する規定が整備され、題名も「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」に改められました。その後も、海洋汚染に関する国際条約の制定・改正に合わせて改正が重ねられ、油だけでなく有害液体物質や廃棄物による海洋汚染の防止や、船舶からの排ガスによる大気汚染の防止なども盛り込まれ、平成16年に、現行の「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」となりました。
 同法は、現在でも、国内の海洋汚染等の状況や国際的な海洋汚染防止対策の動きに合わせ、改正が行われています。最近では、平成19年5月に、海底下への油、有害液体物質および廃棄物の廃棄を規制するとともに、特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄を許可制とする改正がなされました。

2.関係政省令等

 我が国の海洋汚染防止対策の基本法となるのが海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律ですが、排出基準等のより詳細な規制内容が規定されているのが、「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令」と「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則」です。
 また、油や有害液体物質、廃棄物の海洋への排出規制を担保するために船舶に設置を義務づけている設備等の技術的基準などを定めている「海洋汚染防止設備等、海洋汚染防止緊急措置手引書等及び大気汚染防止検査対象設備に関する技術上の基準等に関する省令」や、そのような設備等が技術的基準に適合しているかを検査するための基準などを定めている「海洋汚染防止設備等、海洋汚染防止緊急措置手引書等及び大気汚染防止検査対象設備の検査等に関する規則」、その他様々な省令や告示等によって、我が国の海洋汚染等防止体制は成り立っています。
 これらの政省令等も、法律と同じ様に、状況に応じて見直しが行われ、必要があれば新たに制定されています。

3.関係省庁等

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法令には、国土交通省と環境省が、それぞれの立場から関わっています。その他の省庁とも、運用や法令改正などを行う際は常に連絡を取り合っています。
 国土交通省内でも、主管部局である総合政策局に加え、船舶検査等の船舶の設備に関する分野を所管する海事局や廃油処理事業等に関する分野を所管する港湾局、排出油の防除や法令の執行等に関する分野を所管する海上保安庁など、様々な部局が協力して海洋汚染の防止を担っています。

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