開会 2時00分 ○司会 定刻になりましたので、始めさせていただきます。 本日は国土交通省PFIセミナーにご参加いただきまして、まことにありがとうございます。 ここで、 本日のプログラムを簡単にご紹介いたします。開会のごあいさつに続きまして、名古屋大学副総長、奥野信宏先生にコーディネーターをお願いしまして、パネルディスカッション形式でセミナーを進めてまいりたいと思います。最後に、パネルディスカッションの内容やそのほかPFIに関することについて質疑応答のお時間を設けております。セミナー受け付け時にお配りしました質問票にご記入いただき、休憩時間開始時に係の者が回収いたしますので、係の者が参りましたら、お渡しください。また、休憩時間中にご記入いただいた方は受付にお持ちいただくか、会場内の係の者にお渡しください。セミナーの終了時間は4時30分を予定しております。皆様、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。 それでは、セミナー開催にあたりまして、国土交通省中部地方整備局企画部長、柳川城二様よりごあいさつをいただきます。 柳川様、よろしくお願いいたします。 ○柳川企画部長 ただいまご紹介いただきました中部地方整備局企画部長の柳川でございます。 開会に当たりまして、一言ごあいさつをさせていただきます。 本日はこのように多数の皆様方にご出席をいただきまして、大変ありがとうございます。 この後パネルディスカッションということでございますが、コーディネーターを引き受けていただきました名古屋大学副総長の奥野先生、それからファイナンスの面からアドバイスをいただきます日本政策投資銀行東海支店の塩野谷さんにおかれましては、大変ご多忙の中ご出席を賜りましたことを、この場をかりまして御礼申し上げます。 さて、現在本格的な少子・高齢化社会の到来を前にいたしまして一段と厳しい財政運営が求められております。そのような状況の中で私どもが行う社会資本整備におきましてもコスト縮減の取り組みなど、より一層の効率化が強く求められている状況がございます。こうした中、民間の資金力や高い技術力、経営能力を活用し、公共施設の建設、維持管理、運営等を行うこのPFIは、事業コストの削減やより質の高い公共サービスの提供につながるのみならず、新たな事業機会の創出につながるものということで期待をされております。 我が国におきましては、平成11年9月のPFI法施行以来、事業実施の基本方針が策定され、さらに昨年には事業実施プロセス、リスク分担及びバリュー・フォー・マネーに関して3つのガイドラインを公表するなど、公共事業等へのPFIの導入促進に努めてきているところでございます。国土交通省といたしましても、中央官庁施設のPFIによる整備に取り組むとともに、PFI事業に対する国の補助金、無利子貸し付け等の支援制度を設けるなど、その実現に向けて積極的に取り組んでいるところでございます。当中部地方においても、三重県桑名市、愛知県田原町を初め各地でPFIの取り組みが現在進められております。皆様方の高い関心から今後本格的にPFIの導入が進んでいくものと期待しているところでございます。 本日のセミナーにつきましては、より具体的な課題に対する公開検討会ということで、現在各地で検討を進めている、あるいはこれから進めようとしている地方公共団体や民間企業の方々のノウハウの共有や課題解決の一助となればということで考えておりますが、実際の事業の導入に当たりましては、さまざまなノウハウを持つ民間事業者や中部地方において実際の事業の実施主体となる地方公共団体の方々からのご意見をいただきながら進めていくことが重要であると考えております。本日ご参加いただいております皆様方から忌憚のないご意見をいただければ幸いでございます。 本日のセミナーが今後のPFIの推進に向けて有意義なものとなることを祈念いたしまして、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○司会 柳川様、ありがとうございました。 それでは、パネルディスカッションに入らせていただきます。 奥野先生初め各パネリストの方々は、壇上にお願いいたします。 最初に、各パネリストのご紹介をいたします。 まず、本日このパネルディスカッションのコーディネーターをお願いしております、名古屋大学副総長、奥野信宏先生です。(拍手) 続いて、日本政策投資銀行東海支店企画調査課、塩野谷課長。(拍手) 続いて、国土交通省総合政策局政策課、内藤課長補佐。(拍手) 続いて、財団法人国土技術研究センター調査第二部、猪熊部長です。(拍手) それでは、奥野先生、よろしくお願いいたします。 ○奥野副総長 皆さん、こんにちは。どうも年度末の大変お忙しいところをご苦労さまです。 本日は、国土交通省のPFIのセミナーということでございますけれども、PFIは今第2ラウンドに入ったと思います。第1ラウンドは、いわば先ほどご紹介ございました平成11年夏に法律ができまして最初の2年間でございます。この間、政府の方では内閣官房のPFIの推進委員会で、私も委員をいたしておりますけれども、まず基本方針を作成いたしました。これが半年かかりましたけれども、平成12年3月に基本方針が発表されたわけであります。その後、推進委員会においては直ちにガイドラインの作成に入りまして、ゼネコンでありますとか金融機関でありますとか、PFI的な手法で既に先進事例を持っていらっしゃいます自治体の皆さんからいろいろヒアリングをしながら日本のPFIの定着に向けたガイドラインを作成したわけでございまして、それにつきましては既に手続、バリュー・フォー・マネー、それからリスク分担、3つについて発表されているところでございます。 その間、PFIに関する法律、それから制度的な整備がなされましたですね。法律的なところでは、これは皆さんご案内のように、行政財産の上にSPCが、PFIの民間事業者が施設等をつくって事業を行うということが可能になりましたし、そのPFIの事業に収益施設を上乗せしていく、行政財産の上にですよ、そういった事業も可能になってきた。これは昨年の秋でございまして、随分PFIを行える環境が整ってきたと思うわけでございます。 平成12年3月に基本方針の制度を発表しましてから、自治体のPFIで実施方針が策定、公表されたものが約40件、今多分プラスアルファいっているのだと思います。これを多いと見ると少ないと見るかでありますけれども、今第2ラウンドに入りましたというのは、皆さんの自治体もそうだと思いますけども、現在大変たくさんの計画をお持ちでございますお持ちだけれども、まだ実施方針の公表までには至っていないというものが随分たくさんあるのではなかろうかと思うわけでありますけれども、平成14年度の概算要求を見ますと、ここでも政府の各省庁はPFIあるいはPFI的な事業に対する調査費等々が随分ついてきております。 私は大学におりまして、文部科学省の末端下にいるわけでございますけれども、国立大学の建物関係のPFIの調査費だけでも平成14年度概算要求で16件、予算にして約2億 5,000万円ついておりまして、これは文部科学省だけではなくて、防衛庁であるとか外務省であるとか、ほとんどすべての省庁で14年度概算では予算がついてきているわけであります。こういったものが進んでまいりますと、地方自治体の現在計画中のPFI事業も随分はずみがついて表に出てくるのではないか、実施に移されるのではないかと思うわけでありまして、そういう意味で現在第2ラウンドの次の2年ですね、最初の2年ですから次の2年が始まったと思っているわけでございます。 今度名古屋地区でも都市再生プロジェクト、今小泉内閣の都市再生プロジェクトというのが話題になっておりますけれども、これは国や地方自治体が民間が行われるPFI等の事業を支援することによって都市の魅力を高めていくということでございまして、名古屋等々でもいろんな計画が現在進められているところであります。 きょうはパネリストお三方おいでいただいておりますけども、一番向こうの内藤さんは国土交通省でまさにPFI事業に取り組んでいらっしゃるわけであります。 それから、一番手前、塩野谷さんは政策投資銀行でお勤めでございますけれども、政策投資銀行は日本で恐らくPFI事業に最も先駆的に取り組まれ、勉強され、導入普及に努められ、現在コンサルティングでも先頭を切っていらっしゃるわけでありますけども、きょうはファイナンスの話を中心にお話を伺うことになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。 それから、猪熊さんは国土技術研究センター、これは皆さんご存知のように、国土交通省のシンクタンクでございまして、PFI事業に積極的に啓発等々に取り組んでいらっしゃるわけでありまして、全国各地の事業の様子をお伺いいたしたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。 本日のパネルディスカッションは、いわば第2ラウンドに入ったPFIということで現場の話、そういったことを中心に進めてまいりたいと思います。 進め方でございますけれども、大きく3つのセクションに分けてやろうと思います。 最初は、お三方にそれぞれご専門の分野から15分か20分程度ずつ基調報告をいただきます。そこで10分ばかり休憩に入ります。先ほど司会の方から質問票のことがございましたけども、皆さんのお手元に質問票はいっておりますですね。こういうのがここの中に入っていると思いますけれども、基調報告の間あるいは休憩時間に質問票にご記入いただきまして、係の者にお渡しをいただきたいと思います。基調報告の間にご記入いただきますと、休憩時間のときに係の者が回ると思います。お渡しいただければと思います。それから、休憩時間にお書きになる場合には、やはり休憩時間の終了時に回りますけれども、あるいは受付にお渡ししていただくということです。ぜひとも質問をお寄せいただければと思っております。基調報告が第1セッションであります。 第2セッションは、その基調報告をめぐって意見交換をいたしたいと思っています。 第3番目のセッションでは、東海地方での事業の推進に向けてということで皆さんの質問にお答えする、そういったことを中心に考えております。 なお、もちろん質問票に書いていただくわけでございますけれども、そのほかに第3セッションのときに時間がございましたら、皆さんの方から、会場から直接お手を挙げいただいて意見交換もできればと思っております。よろしくお願い申し上げます。 終了時間は、先ほど司会ございました4時30分を予定しております。長丁場でございますけれども、ご協力のほどをよろしくお願い申し上げます。 最初に、基調報告に入ります。 基調報告は、各パネラーの皆さんに事前にテーマをお願いしてございまして、内藤さんには政府としてのPFIに関する取り組み、法律の改正でありますとか事業の支援措置等々を中心にお話ししていただくようになっております。それから、塩野谷さんにはファイナンスの面から見たPFI導入のポイント、そういったことを中心にお話いただきます。猪熊さんには、いろんな先進事例がございますので、実務上どういう課題が出て、どういう対応をしてきたのか、そういったことを中心にお話をいただくことになっております。 それでは、内藤さん、塩野谷さん、猪熊さんの順でお願いします。 最初に、内藤さん、お願いします。 ○内藤課長補佐国土交通省総合政策局政策課で課長補佐をしています内藤といいます。よろ しくお願いします。 資料は2−1というところからごらんいただきたいと思います。 きょう私からお話ししますのは、PFIを取り巻く国全体の環境がどうかという話、それから最近行われましたPFI法の改正ですとか、国土交通省の取り組みとして支援制度とはどんな形になっているのかという話等々をお話しさせていただこうと思っております。 では、2−2ページ、PFIを取り巻く動きということです。 昨年もPFIのセミナーということでやらせていただいておりますので、その後の動きということでご紹介させていただいております。今先生の方からご紹介ありましたとおり、ガイドラインが昨年のこの時期できてご紹介しておったという状況でありますが、それとは別にPFIを取り巻く環境ということで書いてございますとおり、昨年の6月、そして8月、それ以降も三次、四次の決定が行われております都市再生プロジェクト、これは政府に設置されました都市再生本部においてプロジェクトの決定がなされております。 この中でPFIという視点を非常に重視しておりまして、注目すべきは今まで国土交通省の直接やる事業、国の直轄の事業でなかったんですが、その1号案件として中央合同庁舎の第7号館、これは後ほどちょっと絵を入れておりますが、文部科学省と会計検査院を合同庁舎にしようというものであります。その建てかえを、実はこれは霞が関ビルがあるそういう街区なんですが、そこを一体として開発する中でPFIの第1号案件として取り組むということになっております。同じ時期に財務省が取り組んでおります国の公務員宿舎のPFI事業の取り組みも始まりまして、割と公共団体の取り組みが先行しておったんですが、やっと国も同じような事業段階になってきておりますし、逆に言うと、悩みを共有する立場になってより具体的にご支援できる、そういう環境になってきたということであります。 8月に発表されました二次決定におきましては、若干それ以外幅広くPFI的な手法の事業も含め盛り込まれておりまして、従来から先行的にやっておりました港湾の方ではターミナルや公営住宅、またタビアンですと、国立大学ですとか産廃処理施設等についてもPFIを盛り込む、そういうものに対する支援なり促進の措置が盛り込まれているということで、あくまでもPFIだけということではありませんが、都市再生というのは主要プロジェクトを動かすあたりはPFIの視点なり民活の視点というのは非常に重要になってきている、そういう状況であります。 この1月に経済改革と経済財政の中期展望というのが政府で発表されておりますが、これにおいても社会資本整備へのPFIの一層の活用といううたわれ方をしておりまして、このPFIをいかに導入していくのかというのが非常に重要な視点になっていることをご紹介しておきます。 そのような中で国のといいますか、政府全体の取り組みのトピックとしまして法改正ということになります。2−3ページ、ここで今回法改正がなされまして、2点主な改正点があります。1点目は、PFI事業にかかわるいわゆる底地になる行政財産としての土地なんですが、その貸し付けが認められたという点。そして、もう一点は公共施設等の管理者の範囲の拡大ということで、これは国が直接やる事業においてはかかわりがありますが、主にきょうご参加の皆様のかかわりで言いますと1点目の改正というのは非常に大きなポイントであります。 では、その中身をご紹介いたします。 少し飛んで、ページで言うと2−4の下でございます。 法改正の概要(その2)ということで、まず行政財産の貸し付けが認められたということがあります。これは従来どのように法の中で規定されていたかと言いますと、行政財産を使用することができるという形でありましたので、使用という表現をした場合、決してその貸し付けは否定されておりませんが、極めてかたく管理するという立場からすると、それは一時使用ということで取り上げてございまして、図の左側にございますとおり、「一時的な使用:原則1年」という使用許可の運用でやっておりました。 当然その事業権契約等におきましては事業期間、例えばPFIが20年でそやるものであれば20年間の事業権契約を結ぶんですが、実は貸し付けについては毎年の更新で行うということで、底地に関する事業者の権限が非常に不安定な状況でありました。施設を整備後すぐトランスファーするBTOであればまだしもそうなんですが、例えばBOT方式で施設を民間業者が持ったままやる場合、底地に対する権限のある意味あいまいな部分が事業を進める上で大してプラスにならないということと、逆にそれをきちっと規定することでその間の利用勝手について同じような発想でいろいろなノウハウを導入いただけるということで、こういう方法に踏み切ったということであります。 そういう状況の中で、さらに合築ということであります。一つ、PFI事業そのものの後に特定事業の範囲に当たる施設はそうなんですが、一般にバリュー・フォー・マネーをうまく出していく。バリュー・フォー・マネー自体はPFIの特定事業の範囲で出すんですが、さらにそれをうまく活用する場合、その隣接するいろんな施設との連携というのは非常に重要でありまして、従来、例えば平面的に行政財産の中で一時使用でPFI事業をやった。その隣接地に何か別の施設を設けるですとか、別の公共事業を入れてその運用を円滑にするという形はとれたのですが、都市内部において土地利用を高度化したいですとか、少ない公共の土地をうまく使うとなると、上下に重ねる形、これがあると、より効率的に活用することができるということで、先ほどありましたように、行政財産のPFIの施設ができる上にその施設と一体となっている施設の一部、PFI事業者が行うPFI事業以外の収益施設を合築することができる、そういう形に改定をしているというものであります。 これは可能性という意味でのご紹介なのです。例えば、先ほどご紹介いたしました中央合同庁舎の形でも、虎ノ門地区というのは東京でも官庁街と民間のオフィス街の接点のような場所ですので、そういうところで民間利用ですね。オフィス街の方々も利用するし、官庁のサイドも利用する。そんな合築のような形も模索し得るということでありますので、場合によると、国の中央案件にもこれはうまく活用されるかもしれません。特に総務行政をやっている公共団体がやる箱物整備による公共サービスの場合には、多分そういう高度な利用ですとか効率的な利用というのを考え得るということですので、これはどちらかと言うと、実態の事業の進め方を見て中身を変えられた、そういう改正という内容になっております。 「(その3)」というところに進みますが、もう一点でありますが、これは完全に国の関係だけでございます。従来大臣だけが公共施設等の管理者ということで規定されておりましたのが、衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長を加えたということでありまして、先ほどご紹介する合同庁舎第7号館以外に衆議院の議員会館や議員宿舎の建てかえをPFIでやろうということで動いておりますので、それに対して措置が円滑になるようにという形の改正であります。 以上、2点が今回の法改正の内容でありました。 こういう形でPFI法自体は手続としてのスキームは非常にきっちりしておるのですが、従来からある一般法としての会計法令ですとか財産管理に関する法令等と相互の関係が不明確な部分がございます。そういうところを例えばPFIの中で解決していく、そういう形で取り組む方法もあるということで、こういう形になっているものであります。法改正の状況はどうかというご質問が多かったので、ちょっと補足させていただきました。 引き続きまして、国土交通省の取り組みはどうなっているかというのを少しご紹介したいと思います。 2−7ページになります。 右上に出ておりますが、手元の資料でも見にくい、先程来ご紹介している合同庁舎第7号館を含む虎ノ門地区の上空からの写真であります。これ以外に、資料で言うと下の欄ですね。国土交通省関連の事業が、今はまだ公共団体の事業だけですが、どう進んでいるかというのをご紹介しております。 先行しておりましたのは港湾の事業でありまして、港湾の事業は、基盤は公共がつくるのですが、利用は民間の利用ですね。コンテナターミナルとしての利用は民間の事業者との関係が非常に深いということがありまして、従来から融資、貸し付け等の制度を活用した事業運営というのをしておったのですが、そういう形でPFIにおいても第1号案件ということで動いておる。最初の1番目、2番目がそういう事業であります。 これ以外に、3番目以下にございますような駐車場ですね。3番目と5番目と6番目、そして9番目、これが駐車場の事業ということで、地方整備に対するPFI事業。それから、4番目、最後10番目もそうですが、公園の事業として動いてきているところです。 それ以外に、7番目にございます下水処理場の発電施設ですね。これは通常非常に安定性の高い電力を供給してもらって、さらに非常時の自家発電施設を持つような形を内部で常用で発電してしまおうという事業で、水道事業では先行して事例がございましたが、下水道においても同様の事例が出てきたということであります。 また、ここにはちょっとございませんが、国土交通省全体のかかわりでは北海道において土木関係としては1号になりますが、一般廃棄物の処理施設を3庁が事業化した、そんな事業が動いているところであります。 では、次のページをお願いします。ページ2−8になります。 支援の制度はどうなっているのかというところでございますが、従来からPFIでも可能な事業の範囲というのはお示ししておりまして、例えばことし、最初の表の下から3段目に「道路事業(PFI事業による駐車場整備事業に対する支援制度)」ということで新しく制度導入を図られましたが、それ以外の事業については予算枠としては通常の公共費による場合と同様のものについて予算措置し得る、そういう枠は設けておったということになります。実は、先ほどご紹介した10事業の中で下水道と公園について事業年度第1号の国の補助金を受ける事業が動く、そういう状況になっているということであります。 あと、貸付制度融資、次のページになりますが、これについてはほぼ同様の形です。 あと、税制について、これもイコールフィッティングという要請が非常に強いのですが、従来からありました港湾の事業についてその内容の拡充が一部なされたということで、積極的な支援を図る中で徐々にですが動いてきているという状況であります。 国土交通省はもともと公共事業に関係するという意味で非常に幅広い事業をやっておりまして、次のページにいっていただきますと、関係部局が非常に多岐にわたっております。きょうこの後ご質問等にお答えさせていただきたいと思っておりますが、なかなか一般論ではわかりづらいことがございまして、そういう場合はぜひこの窓口を活用いただきたいというのでございます。当然その窓口にかかわらない一般論と質問であれば、一番上にございます総合政策局政策課でお話をさせていただいておりますので、こちらもうまくご利用いただければということであります。 また、次のページにホームページのアドレスをお示ししておりますが、昨年に6つほどの事業について実は実施方針のひな型の参考ということで公開しております。そういうものを改めてご掲載するとか、このセミナーの結果の報告等も含め、このホームページ等も通じて今後情報提供していきたいと思っておりますので、3月の後半以降ご活用いただければと思っております。 私からの報告は以上です。 ○奥野副総長 どうもありがとうございました。 それでは、続きまして塩野谷さん、お願いします。 ○塩野谷課長 政策投資銀行の塩野谷でございます。よろしくお願いいたします。 お手元の資料の方は今の続きでございまして、3−1以降ということでございますのでごらんいただきながらと思います。 私からは、「ファイナンス面から見たPFI導入のポイント」といたしまして、PFI事業を構成する一つの大きな要素でございます金融調達、この辺につきまして円滑にどうやって進めるか、そのために最低限留意しておくことは何が必要かということについてまず説明させていただきます。 PFI事業は、既にご案内のとおり、民間のノウハウと資金を活用して公共サービスを提供していこうという仕組みでございまして、最終的に民間資金の導入、金融調達、これができて初めて完成する仕組みでございます。金融はそれぞれの金融機関が経済合理性という物差しでそのプロジェクトでございますとか実施する事業体、担い手ですね、これを評価してリスクとリターンを算定して資金を出すかどうか最終的に判断するというものでございます。PFI事業が金融調達を円滑に進め得る経済合理性というのをどうやって兼ね備えていくのか、そのために必要な事業主体の心構えあるいは具体的なプロセスはどういうものかということを順を追って説明させていただきたいと思います。 個別のPFIのそれぞれの事業ですね。これが経済合理性を完備していくためには官と民、双方それぞれがそれぞれにきちんとした責任を果たすという必要があると思います。私どものような銀行などの金融の出し手は、民間事業者の事業構築ないしは遂行計画、収益計画、これだけを見て融資や投資の判断をするというわけではございませんで、公共側の責任分担の度合いでございますとか、そもそもの事業構築のプロセスなど、もっと広い観点から事業を評価しているというのが実情でございます。 公共側が最初の段階で認識して最も重要な点はPFIにふさわしい事業、これを選定するということだと思っております。では、そのPFIにふさわしい事業とは何か。これはある意味では金融側からの見方とご理解いただければと思いますけれども、それは公共として普遍的に求められるサービスないしは施設ではないかと思っています。本来余り必要でない事業があるために資金面で繰り延べしなければいけない、あるいは時々見られるのですけども、政治的なパフォーマンスなどが優先して地域住民等との合意形成が十分でないという事業は、将来ちょっとした環境の変化、例えば議会の勢力バランスの変化といったものでストップしてしまうというリスクは避けられない。このような将来中断の可能性がある事業について長期間の金融がつくというのは経済合理性の観点から見て非常に難しいというのがこの考え方です。 もう一つは、民間の創意工夫、運用面での効率化余地が高い事業案件ですね。これを選択するということも重要だと思います。民間のノウハウというのはサービス提供、すなわちソフト面でより発揮される余地が大きいものですし、PFIに期待されているのはまさにこの公共事業のソフト面での民間ノウハウの導入ということだと思います。残念ながら現在進められているPFI事業はその多くがいわゆる箱物系でございまして、ソフト面の割合はまだ少ない状況です。ハード面のコストダウンというのは今までの公共事業の手法でもやれるわけでございまして、今後いかにソフト面、ある意味では行政サービスのコア部分にあるわけですけども、そこにどれだけ踏み込んでいくかというところが課題ではないかと思います。 民間の創意工夫の余地が大きな事業、これは公共側の負担も軽減できまして、先ほどからも話題になっていますバリュー・フォー・マネーを大きくするということが可能であります。民間側にとっても、事業収益の配分を将来は期待できるという意味で民間事業者の事業実施意欲を高めるということになるわけです。また、金融機関側にとりましても、不測の事態に際してコストダウンですとか、さまざまなノウハウを導入することによって事業を修復し得るという余地が大きいという意味で大きなメリットがございます。 では、民間の創意工夫の余地を大きくしましてバリュー・フォー・マネーを最大化する、極大化するというために必要なものは何か。ここでは5つのバリュー・フォー・マネーの源泉を挙げておりまして、主として公共側にぜひ認識しておいていただきたい点をピックアップしております。 1つは、@のところにございますけども、性能発注・一括発注という手法を導入するということでございます。性能発注というのは、施設使用を事細かに指定するのではなくて、必要なサービスとその水準を決めて、その提供法、例えば箱物でしたら施設の構造ですとか維持管理のシステム、こういったものは事業者に任せるという方法でございまして、これにより事業者の工夫の余地が大きくなるということです。 もちろん最低限必要な規制ですとか、便益を供給する上で必要と思われる、重要と思われる仕様については公共側で指定しておくという必要はございます。また、余り性能発注に傾斜し過ぎて一方でリスクを民間に転嫁し過ぎると、結果として事業遂行リスクが高くなってしまう、応札時のリスクプレミアムが上がってしまいバリュー・フォー・マネーが下がってしまうということがないわけでもないので、この辺は兼ね合いが難しいというところだと思います。 第2点は、競争原理の導入ということで、これは入札といった手続で実現されるわけですが、私はここで最も重要な点はこの競争原理を活用し得る手続、あるいは事業者選定の面での透明性ですとか明確性が兼ね備えられているかどうかということだと考えています。すなわち、民間側の創意工夫を発揮すべき範囲はどこなのかとか、それからその実施によって生じるリスクをだれがどのように負担するのかとか、選定はどういうプロセスで行われるのか、あるいはその基準は何かといったことについて事前に入札事業者がよく理解しておくということが不可欠だと思っています。これによりまして明確な事業費算定も可能となりますし、事業自体での効果、必要な公共サービスが十分実現するということになります。 第3点は、適切なリスク分担です。私はあえて申し上げますと、PFIのリスク分担について、特に公共側ですけれども、今なお非常に大きな誤解があるんではないかと常々思っております。すなわち、PFIというのは民間が実施する仕組みであって、事業遂行によって生じるリスクは最大限民間がとるべきだというものです。私はこの考え方が相当程度縮小するないしは消えない限り日本になかなかPFIが定着しないと思っていますし、よいプロジェクトもあらわれないと思っています。 私は、PFIというのはそもそも公共が民間から必要なサービスを購入して、公共が公共の責任で地域住民の方々、国の場合国民になりますが、にサービスを提供する、すなわちサービス提供の責任の主体は公共であるというコアの部分は厳然として存在していると考えています。したがいまして、本来公共サービスの責任者として負うべき責任までもちろん民間に押しつけるということはあってはならないと考えていますし、あるいは民間がとり切れないリスク、あるいは公共だからのみ込めるリスクというのも存在していると思います。 リスクの負担には当然コストがかかるというのは経済合理性の原則でございまして、リスクを事業者に移せば移すほど、いわゆるリスクプレミアムという言葉で言われますが、これが加算されて要は事業費が高くなるという可能性が高まる。その結果何が起こるかと言うと、バリュー・フォー・マネーが小さくなってしまうということになるわけです。リスクを適切に分担していくということが、リスクの話はまた後ほど申し上げようと思いますけれども、バリュー・フォー・マネーを極大化していく、大きくしていくという重要なポイントだと思っております。 第4点は、モニタリングによる業績連動の支払いというのを導入するということです。公共から事業者へ支払いというのは毎年通常固定されて考えられるケースが多いのですが、例えば施設の利用者がふえると当然コストがふえるので、このやり方だとなかなかこれに対応できないという問題があります。事業者は、そうなりますと、利用者の増加策に消極的になったり、サービスを充実させるといった継続的な活性化策をとりにくいという状況になってしまいます。事業開始後のモニタリングというのは、皆さん大体おっしゃるのは事業破綻に備えるアラームとしての役割を大きく重視されているんですけども、その役割ももちろんそれは重要なんですが、サービス提供の前向きの改善、これはバリュー・フォー・マネーの向上になるわけですけれども、これにもっと活用されてもいいのではないかと思います。 最後は、やや手前みそになりますけれども、金融機能の活用という問題です。PFIは公共事業の担い手として民間事業者を事業パートナーとする、これが最大の特徴なのですが、これをベースに民間の資金も入ってくるわけですね。事業の構築のところでリスクの見落としでございますとか不適切なリスク分担が残ったままの事業スキームを入札にかけるということになりますと、民間事業者はこれに見合ったリスクプレミアムに乗せてくる。その結果、先ほど申し上げましたが、入札価格が上昇し、バリュー・フォー・マネーは低下してしまう。 実は、日本のPFIの事例では、まだ立ち上がりということもあるのでしょうが、必ずしもそのあたりの考え方が十分に反映されずに立ち上げてしまった例もあると私は思っています。事業者側がその辺の計算を余りしないまま一方で入札してしまうというということで、結果的にややディスカウントされた価格での落札というのが結果としてあると思っています。その結果何が起こるかと言うと、金融機関側はさらにそこでリスクプレミアムを勘案した融資条件を設定しますから、金融がつかないというケースも最悪あり得るという状況になるわけです。 今ちょっと公共サイドの話をしていますが、公共側として必要なことというのはこのようなことにならないように早い時期から最後の金融をつけるところまで、ここまでわかる適切なアドバイザーの意見を取り入れて、さらにそれだけでは通常不十分でありますから、手続のあらゆる段階で民間事業者ですとか金融機関といったところと十分に意見交換をする必要があると思います。 ここから先は実際にPFIの手続を進めていくために必要な留意点を示しています。 ポイントの第1点は、明確性ですね。透明性・明確性の確保というところです。これは、実施方針の策定とか事業の開始時点から求められる非常に重要な要素だと思っています。サービスの購入者である公共側は何を必要としているのか、リスクをどういうふうに負担してあるいは民間に移転するのか、対価として何を払うのかということが明確になっていないと、民間事業者というのは幾らでそれを実施したらいいのかというのがよくわからないということとなります。 また、PFI事業の独立性の確保という問題があります。先ほどの法改正のところでもありましたけども、収益事業、これを一体としてやっていくということがだんだん可能になってきた。これは非常に喜ばしいことだと思うのですが、実際にこの取り扱いはどうするかということは事前にあるいは途中経過で慎重に検討していかなければいけないと思っています。PFIは公共サービスの提供というところが重要なポイントでございますから、まずコアとなる公共サービスが良質にかつ継続的に提供されるという仕組みをつくっていかないといけないと思っています。付帯事業である収益事業のところが万が一立ちいかなくなってしまうということで本体事業、本来の重要なサービスのところが傷ついてしまうということが間違ってもないようなことに、そうのは本末転倒だと思いますんで、そういうことがないように考えていかなければいけないと思っています。 明確性・透明性ということを申し上げましたが、これはPFIのいろんな段階で求められると思います。入札における選定基準ですとかプロセス、リスク分担、それから事業権契約、こういったものは早期に公開されるべきだと思います。また、これらの事業スキームの構築ですとか、いろんなプロセスのさまざまな段階で官民の対話、これがあって初めてスムーズかつバリュー・フォー・マネーの極大化を伴ったPFI事業になるのではないかと思います。 選定のプロセスでは第三者による審査委員会を組織しまして、公平かつ合理的な選定が実施されているかどうかのチェックを受ける。これも私は重要なことだと思っております。これは時間がかかるんですね。手間もかかります。ただ、これをやっていかないと、きちんとした事業ができませんし、最終的に金融調達がなかなかうまくいかないということにもなりかねないと思っております。 透明性とか明確性の確保と並んで重要なのは、もう一つはリスク分担の問題です。これがある意味ではバリュー・フォー・マネーの極大化、さらには良質な民間資金、実際には金利は下がるというのですけれども、これにつながっていく。これは一体どういうことかということなんですが、まず一言で言うと、リスクを最もコントロールできる人がそれをとっていく。どういうことかと言いますと、予想されるトラブルに最も迅速かつ完璧に対処でき、それを解決できる能力がある人がリスクをとるということです。逆に言いますと、リスクが顕在化する、要するに事業がトラブルに巻き込まれそうだといったときに、それを解決できる人が関与していないスキームというのはリスクが大き過ぎて金融としては怖くてサポートできないということになってしまいます。 ただ、もう一つ、あえてつけ加えさせていただきますと、リスクをコントロールできる、つまりトラブルが顕在化しないようにできるような事業ノウハウを有する民間事業者が、万が一リスクが顕在化したときに、これを金銭面で負担できるかと言うと、これは必ずしもそうはならないケースもあるということも認識しておかないといけないと思っています。端的に言いますと、トラブルを金銭面で補てんできるだけの体力がないと、契約に金銭面で補償しなさいと言っても、それは絵にかいたもちになってしまう。その際は、事前にそういったことも加味して公共側ないしはほかの事業参加者がリスクを踏み込んでとっていくという工夫も事前にしておく必要があると思います。 公共側に立って言えば、そもそもPFIによって公共サービスが継続的に提供される、あるいは地域住民に提供していくということが一番重要でありまして、トラブルがあって事業が破綻してしまって、それを金銭面で補てんしてもらえばいいかと言うと、住民サービスという観点から言うと、それは必ずしも地域住民の方々から納得は得られないではないか。したがいまして、官民双方で想定されるトラブルを乗り越えて事業を継続させていくという仕組みをつくっていかなければいけないかと思っています。万一事業が立ちいかなくなったときには、これを再び立ち直らせる、治癒期間といいますけれども、再建期間を確保するというのが必要だと思います。 事業のトラブルというのは必ずしも民間事業者に、事業の実施主体であれば民間事業者が多いんですけども、これの責任によるばかりではないですね。公共側が何らかの障害でサービス料、対価を支払わなくなるというケースもないわけではない。トラブルがあった場合、どういう条件で事業を終わらせるのか、その際に施設をどういう形で買い取る、ないしは引き渡すというようなこと。これらは事業の継続性と債務の弁済が中断するというリスクでありまして、妥当なスキームが事前に、事業発足時に構築されていないと、これは非常にリスクが大きい事業になってしまうということです。 PFIについては、通常ほとんどのケースはそうだと思いますが、公共事業として独立した信用力、すなわちできる限りほかの要素が事業継続に与える影響を排除するという観点から、プロジェクトファイナンスという手法を用いることが多いんですね。金融機関はPFI事業そのものからキャッシュフローの安定、それから事業自体の継続性、これから審査を2つの観点からやっていくということです。 事業計画上安定的な収益が確保されるというのは当然必要なんですけれども、万が一の場合、事業継続を可能とするさまざまな仕組みが講じられているということがむしろ重要であると思います。その代表的な仕組みが、ここにございます「Step-in Right 」という仕組み、「介入権」と日本語で訳されていますが、これです。金融機関は融資の返済原資はPFIの事業から生み出せるキャッシュだけに限定されているので、仮にその事業者が返済不能となっても、それをもってもうおしまいということよりも、ほかに有能な事業者を連れてくるといったことによって事業を継続した方が合理的だと考えるわけです。 したがって、PFIの本質というのはいろいろな観点があると思いますけれども、金融機関側からすると、そういった事業修復権を確保しておきたいということが根本にあります。また、公共側にとっても、そもそも金銭面の云々というよりも良質な公共サービスを民間事業者から購入するというのが公共側にとってもメリットでありますから、やはり事業継続するいろんな措置を講じる権利を事業ノウハウを最も有するであろう民間側に残しておくというのが合理的ではないかと私は思っております。 こういった金融機関側が求める項目を、単なる民間側だけではなくて公共側との間で定めるというのがダイレクト・アグリーメントというものです。 金融調達をにらんだ事業のつくり込みというのは、例えば金利水準の定め方、あるいは具体的にはサービス対価の算定の規則の金利水準の基準日、こういったものにも重要な影響を与えます。PFIの事業ないしは資金調達については、契約手続等物すごく膨大な時間を要するというのが実情です。この辺の解決というのは課題だと思っていますが、現実にはそういう状態になります。最終的に資金が出るときの金利水準で公共から民間への支払い金が設定されないと事業自体がそもそも不安定要因を抱えたまま出発するということになってしまうんで、これは避けなければいけないということです。 もう一つは、再三申し上げていますけれども、官民の適切な合理的な責任分担でございます。また、良質な公共サービスを継続的に提供するということも重要でして、これを可能にするというのが事業が始まった後の協議プロセス、それから事業の再建ですとか治癒期間、こういったものを十分にとるということが重要であるということです。 民間サイドはPFIに参加するいろんなメリットがあるわけですけども、どこに最終的な価値を見出すのかということ、一番大きいのはやはり株主あるいは投資家としてのメリットということではないかと思います。PFIはその事業をつかさどって、与えられた収入の中でいかに内部留保を蓄積するか。その結果、事業完了時点での会社の価値をどれだけ上げられるか。事業者としてのメリットはここにどれぐらいの価値を見出すかというところ、ここで享受できるということになります。 したがいまして、最終的に残余財産を得る形で利益を得る民間事業者、これは同時に事業の下振れリスク、トラブルの対処についても責任を負う必要が出てくる。この手段はいろいろあるのですが、1つ金銭的な話をしますと、劣後債権(メザニンローン)と言われる返済を劣後にする資金供給というものでございまして、これを当初からあるいは必要に応じて事業に投入していくということを約束することで事業の安定性を金融機関にアピールするということができるわけです。 PFIの事業構築というのは、事業の立ち上げ時点でのリスクの適正な分担、すなわちリスクに最も対応能力を有する者がこれを負担する。リスクを負担した者が適正なリターンを得られるということを基本としなければいけない。これは経済合理性の基本だと思います。公共側の最大のリターンは何かと言うと、私は良質な公共サービスの提供を継続的に、かつできれば安く受けるということにあると思っています。したがいまして、公共側というのは大きなリターンを得るということになるわけですから、大きなリターンを得るためにはやはり相応のリスクの負担とか必要な対価というものを支払っていかなければいけないと私は思っています。 報告は以上ですけれども、今経済的には日本全国元気がないですけども、東海地方は比較的いい状態にあるんのではないかと思います。ただ、これから外部から資金とかノウハウを入れていく必要は高まっていくと思います。自前主義だけではなかなかいい地域づくりはできないのではないかと思いますし、それを可能にするのはPFI、魔法のつえではありませんけれども、これは一つの重要な手段だと思っています。どんどんこれを活用して定着させていくのが必要だと思うんですが、今申し上げましたようなリスク分担の考え方など、いろいろな手続面での認識が深まっていかないと事業自体がうまく定着していかないんではないかなと私はあえて問題提起をさせていただきたい。私自身もこれからもいろいろ努力を重ねて、こういったものがうまく進んでいくようにお手伝いさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。 以上でございます。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 続きまして、猪熊さん、お願いいたします。 ○猪熊部長 国土センターの猪熊と申します。 15分ほどお時間いただいて、国土センターの方が今までPFIに携わった経験と、本セミナー向けて二、三自治体へのヒアリングを行っておりますので、それに基づいて実務的な課題とその対応策をセンターなりに考えてみたというものについて発表させていただきます。 大きく3つに分かれていまして、時系列的に導入スキーム構築上の課題ということを第1章で、第2章でPFI制度上の課題、第3章でPFIを導入するに当たって特に自治体の方が議会などとの関係での地元対応上の課題ということを分けてご説明したいと思います。 すべてクエスチョン・アンド・アンサー式の形になっておりますので、質問番号に沿って進めさせていただきたいと思いますが、時間の関係で途中若干省略をするところもあるかと思いますので、ご了解いただきたいと思います。 Q1ですけれども、「個別法は管理者についてどのような規定をしており、PFI導入に際しては、どのような見解が示されているか」。 この質問の意味は、例えば公物管理法というのがございますが、例えば道路法のようなのがそういうものに当たります。道路法の13条には例えば国道の指定区間というのは国土交通大臣が管理する、こういうふうに書いてあるわけですけれども、一方でPFI推進法はPFIの対象として道路を指定しているわけですけれども、そこの考え方は道路の管理はSPCという民間事業者が行うというようなことで規定されておりまして、そこの違いをどういうふうにして埋めるかということです。 A2の方で、国土交通省にお伺いしますと所管する都市公園とか道路等につきまして公物管理法との関係においてPFI事業者、民間事業者の方が管理者、公共側との間で協定を定めて、その協定等に規定することによってさまざまな管理業務を行うことが可能でありという見解が示されておりますので、こうした見解に沿って民間事業者が公物の管理を行っていくすべてではないと思いますが、PFIに必要な管理を行っていくということになろうかと思います。 その次のQ2ですけれども、どのような事業に対してPFI導入の検討していくか、どういった事業がPFIに向くかということで、ただいまもご説明ありましたけれども、いろいろ書いてありますが、1つは民間事業者の創意工夫の余地が大きいこと。創意工夫の余地というのは、どちらかと言いますと、維持管理とか運営なんかのウエートが高いものがいろいろ創意工夫ができるかということを考えております。 それから、PFIはプロポーザルなんかをやる関係で、それに関するコストがかかりますので、そのコストを補って余りあるためにはPFI事業の事業規模そのものがある程度以上、今までの例ですと数十億円という例が多いかと思いますが、10億円以上 100億円程度、そういった事業規模がある程度要求されるんではないかと思います。あと、期間的な問題もございます。 それで、PFIでバリュー・フォー・マネーが出て進もうというときに、スキームとしてBOTとBTOの2つのうちどちらかを選ぶということになります。BOTはビルト・オペレート・トランスファーで、これはビルトして運営して所有権を最後に、オペレートの後に民間から公共の方へ渡すという所有権の移管ですけれども、BTOは逆にビルトしてすぐ所有権を公共側に渡します。そのどちらかを選ぶというときに、1つは行政指導等も含めまして、それからその次のページにあります補助金等の絡みで行政の方からどちらかにしてください、そういう指示がある場合には、例えば補助金をとろうとすると、それに従うということになります。 そういう規制がない場合には、純粋にBOTとBTOの特色を見て事業はどちらに向くかというのを選ぶわけですが、基本的にBOTの方は所有権が管理運営するときに民間側にありますので、民間のいろいろ細々とした創意工夫が所有権があるがゆえに行いやすいという特色があります。 それから、Q5ですけれども、コスト的な要因としては逆にオペレートする間に民間側は所有権を持つわけですので、民間側が固定資産税を負担する必要があります。ですから、その面ではBOTの方が民間側から見たらキャッシュはより多く出て行くということになります。 税務申告においては、BOTは所有権を持っていますので施設の減価償却ができますが、一方BTOの方はサービス購入型の場合割賦原価費を計上できるということがあります。 それから、リスクについて、Q6ですけれども、BOTは民間側にとってみれば所有権を持つために細々とした、施設が多少傷んだとかという場合に、直接的に修理をするリスクを負うことになります。それは通常の維持管理の状況ですけれども、破綻時においてはBOTの方は民間事業者からとってみれば、その施設なりの所有権を民間事業者が持っているわけですので、破綻のときはやっぱり物権を持っているという安心感があるんではないかと思います。このあたりについてはもう少し検討が必要かと思います。 それからQ7で、PFIの費用をだれが負担するかというので、サービス購入型と独立採算型の2つのスキームのどちらか、もしくはその両方のジョイント型というのを選ぶ必要があります。サービス購入型の場合は自治体がサービスを購入してその費用を税金で払うということですから納税者が費用を払うわけですけれども、独立採算の場合は、日本の有料道路のように、道路を利用した人が払うということです。 自治体から見れば、独立採算は税金を使う必要がありませんので財政が逼迫している自治体にとっては魅力的なんですけれども、独立採算型を選ぶには民間事業者が採算がとれるというのが前提になります。採算がとれる見込みがないときに無理に独立採算を導入しても、そういう場合には手を挙げる民間事業者がいないという状況になろうかと思います。 Q8の事業期間については、ちょっと省略をさせていただきまして、Q9ですけれども、先ほどもございました公共側がPFIを導入する動機というのはバリュー・フォー・マネーが出るということで、PFI事業にした方が安いというのが大きい動機です。そのPFIに参入する民間事業者の動機としては何かと言うと、先ほどお話あった利益率、その次のページに具体的な数字、これはあるPFIの教科書のようなものから取り出しているものですが、利益率は具体的にどのぐらいだったらいいのかというので@にありますようなプロジェクトのIRR(インターナル・レイト・オブ・リターン)で、プロジェクトの利益率、これが少なくとも平均調達金利を上回る必要はあるだろうと言われております。 一方、民間の銀行屋さんが参入する動機は貸したお金が必ず利息を伴って返ってくるということになりますので、A、BでDSCRが 1.1以上ということ。これはデット・サービス・カバーレッジ・レーションといいまして、元利返済に対してその事業で入ってくるキャッシュフロー、現金が何倍かというところが銀行が注目する指数でして、1年ごとの値で一番小さい年でも 1.1程度は必要だ。期間全体を見た場合に、ライフ・ローン・カバーレッジ・レイシオ(LLCR)ですが、1.35程度は必要だろうということです。これはサービス購入型、民間事業者にとってはかなりリスクが低い場合のお話ですので、独立採算の場合にはこれよりも厳しい値をクリアする必要があります。 それから、Q10は大規模修繕の話ですが、大規模修繕の問題点として修繕の費用が、大規模修繕は何年かに1回必要なんですが、その積み立てが損金上、税法上認められていないという課題があるということと、Q10−2で大規模修繕の支払いをサービス購入型で行う場合、毎年支払う場合とか修繕を行う年に支払う場合、いろんな方法があるということを書いております。 Q11と12は省略をさせていただきます。 第2章でQ13ですが、入札の方式の考え方で、これは事業主体を選ぶときにQ13のA、大きく総合評価一般競争入札と公募型プロポーザルということがある。基本方針では一般競争入札というのが原則になっておりますが、実態的には今でも公募型プロポーザルの方が半数を超えております。この違いは一言で申しますと、公募型プロポーザルというのは最終的には随意契約に至るわけですが、公共側と民間側がかなり密な交渉ができるというのが公募型プロポーザルで、手間暇はかかりますけれども、その分手づくりのいろいろ細かいところの工夫をするスキームができます。一般競争入札の方は特に入札後そういう交渉というのは基本的になかなか難しいところもありますので、淡々と事業が進んでいくけれども、手づくりのよさというのが少し弱いという特徴がございます。ただ、自治体さんなんかにヒアリングしますと、一般競争入札の方が淡々と進むからかえって労力が少ない、負担が軽いという感想を漏らす自治体さんもございました。 それから、税法上のポイントとして一つ問題になっておりますのはQ14で、減価償却ができる年数と、PFIの事業期間が違った場合、特に耐用年数が長い場合にBOTで減価償却を税務申告するのに少ない額しか税務申告ができないので税金を多く取られるというご不満があって、いろいろのご意見をいただいていますが、これは今のところこのとおりになっています。 あと省略をさせていただきまして、第3章の地元対応のQ19ですが、これを少し述べさせていただいておしまいにしたいと思います。 先行事例でPFI事業を進めるに当たって議会などからどういう議論になりましたかという質問をしましたところ、一番多かったのは民間事業者が破綻したときに公共サービスがどうなるんだ、あるいは非合理な支払いをする事態に公共体がならないか、そういう懸念が寄せられたというのが多いということでした。 いろいろ説明をされているようですが、1つは民間事業者が有する債務を公共が負うのではなく資産の処分等によりというお答えをする。これがいいかどうかというのはいろいろ議論のあるところではあるかと思いますが、そういう状況であります。 もう一つは、次のページですが、地元の中小企業対策ということで、一括発注になりますので地元の中小企業の参画が少ないのではないかという心配が寄せられたというお話もありまして、これについてはSPCの下に幾つかのグループ会社で引き受けるものですから、そういう中で地元企業に参入してもらう。あるいは、実際にどういう企業が入っているかというのをペーパーとして出してもらう、そういったことでお答えする。あるいはPFIというのは地元の中小企業対策というのをメーンに考える趣旨の政策ではない、そういう正面突破のお答えをした自治体もございました。大体そういうところが私どもの経験と自治体さんが進められているPFIの状況ということでございます。 以上です。 ○奥野副総長 どうもありがとうございました。 ここで休憩に入りたいと思いますけれども、最初申し上げましたように、質問票をもう既にお書きの方は係の者が回りますのでお渡しください。休憩時間にお書きになる方は、休憩時間終了ごろに係の者が回りますし、また途中受付の方にお渡しいただければと思います。 それでは、10分間休憩します。15分に再開いたします。 ( 休 憩 ) ○奥野副総長 それでは、パネルディスカッションを続けさせていただきます。 最初のセッションでお三方からそれぞれのお立場から基調的な意味での報告をいただいたわけでございますけれども、第2セッションではそれぞれの国、自治体、民間の観点から考えてPFIがなぜ必要なのか、そういった点、それからそれぞれのご報告をお聞きになられまして別な意味での課題をどういうふうにお考えになるか、そういった点を中心にお話をいただければと思います。大体お1人七、八分ぐらいでよろしゅうございますでしょうか。それから、意見交換をさせていただきますので。 それでは、先ほどは内藤さんからでしたね。では今度、今のを1つずらして塩野谷、猪熊、内藤の順番でいいですか。 では、塩野谷さんから。 ○塩野谷課長 まず、先生ご下問の今なぜPFIかということですが、いろんな観点があると思います。例えば今構造改革とか都市再生とか、いろいろなキャッチフレーズあるいは政策命題が出ていますけれども、その背景にはやはり今までの官は官、民は民、あるいは非常に日本的なあいまいもことした関係の中で物事を進めていくというのがもはや限界に来つつある、いろんなところできしみが出ているということ。それから、仮にいろいろとお金を集めるにしろノウハウを集めるにしろ、そこを対外的に、例えば自治体であれば住民の人たちに、民間企業であれば株主とか取引先に対して客観的に説明、いわゆる説明責任なんていう言葉で言われますけれども、そういったことが必要になってくるという中でPFIのように事前にきちっとした契約関係で官と民がパートナーシップを組んで物事を進めていくということが必要になってきたんだと思います。 先ほども東海地域の例を申し上げましたけれども、そこの地域だけ、あるいは県や市町村だけの固有の閉鎖されたノウハウとか資金、人材だけでまちをつくったり地域をつくったり社会資本を整備していくというのはもはや限界が来て、そこを打開するためには日本全体で総力を挙げてまちづくりなり地域づくりに取り組んでいかなければならない、その一つの手法としてPFIを活用していく必要があるのではないかと私は思っております。 では、その課題ということになるかと思いますが、先ほどお二方ご説明いただいた中でもございました法制面、PFI法の改正が進んだり、税制面での優遇が進んだりということでいろいろな意味で改善は進んでおると思いますが、やはり私は法律面、税制面でのPFIへの対応というのはまだまだ足りないのではないかと思います。PFIというのは、先ほど申し上げましたように、基本的には公共事業でございますので、これに税金がかかるというのはいかがなものかなと私は思っています。おとといですか、新聞報道を見ますと、さらに自民党のデフレ対策の推進会、ここの特命委員会でもっといろんな優遇措置をということで、議論を進めていかれるようですけれども、より抜本的な改革というのが必要ではないかと思います。 私ども金融機関の立場から言いますと、法制面の問題というのはもっと切実と言いますか、直接的な命題としてのしかかってきています。PFIの事業者が決まって、実際に契約手続に入るわけですね。金融契約その他の締結手続き、ここに入りますと、官、民、それから金融機関の間でさまざまな権利調整の詰めが進められるわけです。これを一つ一つ契約に落としていくんですが、常に問題であるのが各種法令との整合性ということになります。 特に、先ほどお話ございましたけれども、官側については、これは皆さんご案内のとおりで、種々の権利義務を遂行していくに当たっていろんな、例えば地方自治法とか、そういうところで制約がありまして、さらにPFIという新しい事業手法を想定していないという背景もあって、1つのことを決めるのに明確な根拠がなかなか見出せられないんですね。私ども金融の立場でそこをどうしていくかということになると、正直言うと、いろんな手だては講じるのですが、こわごわと契約をつくっていくという部分というのは残っているのが実情です。 この辺というのはなかなか我々の力だけではどうしようもない部分であると思っていまして、先ほど冒頭のところでも奥野先生の方からございましたけども、国の事業がいろいろと今上がっています。国土交通省さんの方でも既にいろいろと動かれているようですが、これを実際に動かしてもっと加速していくという中で具体的に問題を解決していただくということを進めていかざるを得ないのかなと思っております。 そうしていく中で、実際それをPFIでやるかどうかというのはいろんなところで障害が出たり、バリュー・フォー・マネーの問題とかでやはり公共事業でやろうかということが出てくるかもしれませんが、その過程で出てくる法制面ないしは税制面のいろんな問題、課題ですね、これを一つ一つ具体的に処理していくことで次の新しいPFIの事業というのがうまくいく潤滑油になる。したがいまして、その辺のコスト、これをどういうふうにしていくかという問題、そういった調査の関係にも大胆に例えば国費を入れていくとか、そういったことが必要なのではないかなと私は思っております。 以上でございます。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 それでは、猪熊さん、お願いします。 ○猪熊部長 それでは、私の方から2つ、1つは今なぜPFIをという話と、もう一つ、破綻時の手続について少しお話をさせていただきたいと思います。 まず、PFIをやる、参入といいますか、発端の動機なんですけれども、いろいろ自治体さんからお話を伺ったことをご紹介させていただきたいと思うのですが、何でPFIを始めたのですかということで質問をすることが多いのですが、例えば1つの例として北海道の留辺蘂町というところでPFIを始めたのですけれども、今もう事業者が決まっておりますけれども、そこの担当の課長さんとのお話では、一にも二にも留辺蘂町の財政が厳しいからPFIを始めたのだとおっしゃるのですね。それがPFIは民間の創意工夫で安くできるというところがどうも理由だったようであります。そのことは多分ほかの国、地方公共団体初め財政が逼迫してきた場合にはより強い動機になるのではないかと思います。 もう1つ、その留辺蘂町の例でおもしろいといいますか、特徴的なのは、PFIを町長さんの方が先頭切って主張されたというよりも、行政の担当の課長さんの方から発案して、これは安くていいものだから、こういうことで進められたということですね。ただ、一般的には、首長さんの意向も結構反映される場合が多いというようなことで聞いております。 もう一つ、留辺蘂町の例にちょっと偏るんですけれども、おもしろいと思ったのは、その担当課長さんがPFIを知ったのはこういうPFIの講演会で、始める1年半とか2年ぐらい前にPFIを初めて知った、そういう状況なんですね。いろいろ勉強して、途中でアドバイザリーとしていいコンサルタントとめぐり会ったのが大きい、こういうお話ではありましたけれども、検討期間が5年も10年もという場合もございますけれども、比較的短くてもいろんな条件に恵まれれば進んでいくのだなという感想を持ちました。そういうところでPFIというのは進んでいくのではないかなと思います。 もう一つ、2番目のテーマということで全然違うんですけど、先ほど私の方で発表しました中で、今まで何回かセミナーをやったのですが、一番PFIの専門家から疑問点をいただきましたのは破綻時の処理のお話です。先ほど例えば破綻時にBTOとかBOT、どちらにしても所有権を持っていた方が有利だとか、破綻したときにその施設を処分して債務を処理するんだ、こういうお話をしたんですが、それに対して、例えば公共サービスを提供するわけですので、PFIでやれないから施設を処分して公共サービスをそこでストップさせてしまうんではおかしいのではないかという討議といいますか、ご意見もいただきました。そのご意見はまことにもっともだろうと思います。 ですから、資産を処分するという自治体が即悪いかと言うと、それはそうでもなくて、といいますのは、ここからは私の個人的な考えですが、今の社会というのはいろんな意味で物とかサービスが公共サービスも含めてかなり蓄積のある社会ですので、たとえ公共サービスといえども絶対的なものではなくて相対的なものだろうと思うんですね。公共サービスだから絶対必要だということではないと思うんです。プライオリティーもありますでしょうし、そもそも公共サービスを例えば住民の方が納税して税金で負担するなり利用者が負担するという意思がなければ、その公共サービスというのは多分拒否されるだろうと思うんですね。 ですから、そういう点を踏まえて、PFIでもだめ、税金でもだめということになれば公共サービスそのものをやめてしまうということは考えられるだろうと思います。実際、自治体さんの中で非常に財務が逼迫した場合には、公共サービスがどんどん落ちている自治体もあるわけですね。それはそれで財政上、経営上は健全な姿だということかなと考えます。ですから、結論としては、先ほどのような施設を処分してPFIの事業をある程度終止符を打つとかということも可能性としてはあり得るだろうと思います、最後の手段であろうと思いますけども。 もう1つ議論をいただいたのは、破綻時と言うのだけれども、特にサービス購入型の場合、税金で納税者が費用を負担するわけですから、公共団体が民間企業に毎年毎年十数年お金を払うわけですから、結局リスクは少ないのではないか、破綻はほとんどないのではないか、こういうご意見をいただきました。 それもおっしゃるとおりで、自治体がデフォルト、破綻を起こさない限りはそういうことですけれども、ただ日本ではまだ始まったばかりで破綻例というのはないのですが、イギリスで、これは聞いたお話ですけれども、破綻例というのが最近生まれまして、それはサービス購入で破綻したという例であります。 それはどうしてサービス購入で破綻したのかと言えば、費用の見積もりをどうも間違って見積もり以上の費用がどんどん発生した。いずれにしろ見通しを誤ればサービス購入型でも破綻するということにはなり得るわけです。 問題は、そうしたときの手続がまだ今のところはっきりしないところがあるということです。今の新聞紙上をにぎわしている不良債権なんかを見ましても、最終的に最悪のリスクはどの程度までかというのは考えておかないといけない。おおむねそういう状況というのはSPCがダウンをして残るのは公共と金融機関ということですから、公共と金融機関で話をつける直接契約、ダイレクト・アグリーメントというのが非常に重要な要素なんですが、これは一般には余り公表されていないんですけれど、このあたりの公開性が今後どうなるかというのはちょっと、公開していただきたいなという要望ではあります。 ちょっと取りとめなくなりましたが、最後、結論的には、いろいろ考えますに、公共側も民間側も金融機関も、最終的なリスクをどうするかという際に競争的な環境下でつばぜり合いをしながら落ちつくところに落ちつくという形になるんではないかと思います。公共側が最終リスクを例えばそういう形でSPCが破綻したときに不良債権、デットを全部金融機関に投げようとしたときには、そういうスキームの事業に手を挙げる金融機関というのはなくなるわけですね。逆に、金融機関が公共事業を投げようとすると、公共側は参入しませんので、お互い他の競争相手と比較してどのあたりまで譲れるかというところを真剣に競争的な雰囲気の中で議論して決まっていくものかなということをちょっと感じている次第であります。 以上です。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 それでは、内藤さん、お願いします。 ○内藤課長補佐 では、私の方から、先ほど資料の中身の説明に終始した関係がありますので、その辺背景のところを少しフォローしたいと思います。 なぜPFIかというところでありまして、そもそも今の政府が最近いろいろな経済対策に取り上げている、やや財政面に特化した着目をしているのは事実なんですが、それもありますが、PFIそのものはむしろコストとサービスをどこでバランスさせるかという手法として最も制度的に整理された手法であろうかと思っております。ですから、国土交通省の立場でも社会資本整備なり、いろいろな公共施設の整備をするという立場で効率的、効果的な手法の一つとしてPFIはぜひ推進していくという立場で臨んでおります。 ただ、先ほど先生の方からございました、第2ラウンドに入ってきた中でいろいろな状況の変化が出てきているのは、1つ、PFIで動くものは徐々に動きつつありますし、いろんな支援をしていくということなのですが、PFIの趣旨を踏まえながら必ずしも法のそのまま沿っていない、PFI的な手法による事業の運営というのも出てきております。これは、PFIの特徴でありますバリュー・フォー・マネーをきちっと最初に算定して、ライフサイクルコストといいますか、その事業期間のコストがきちっと出て、公共がどういうサービスのためにどこまでコストを費やすかというのがオープンに示される。これは非常にPFIのいいところですが、これが示されるということ。 また、公共と民間のリスク分担が従来よりかなり柔軟にとり得るということで、法規制の話があるんで、すべて民がやるということではなくて、最も双方がコストをとりやすい、コストが最小化されるところでリスクをとるという視点で改めて公共事業なり社会資本整備・運営管理なども考えられる。 そういうことに非常に意味があって、現在場合によっては住宅局がやっている公営住宅の事業などでは公営住宅の最後、入居者ともかかわる直接の部分は公共主体がきちっと責任を持ってやる。例えば、場合によっては訴訟の対応をするとか、そういう部分は公共主体の役目ということで、そういう意味でPFIそのものではないんですが、今PFI的手法によって実質的な建設監理、そしてその建設する場所で民間主益的施設を一緒に入れてサービス水準の高い公営住宅を提供する。そういう事業をし、展開しようとしていたりします。 また、例えば河川の事業などでも、河川の事業というのは危機管理という性格でリスクの非常に高い分野でありますので、ただ平常時その河川空間をうまく使うという意味で隣接する土地区画整理組合が整備する河岸について秩序の利用勝手の部分を土地区画整理組合がやる事業と一体となってやるということで、その土地区画整理事業自体がPFIで動けば全体PFIになるんですが、ここでも民活的手法によって事業を動かしていく。そんな動きもありまして、必ずしも突然PFIに乗るということであれば一番望ましいと思いますが、それを含めたPFIを含む民活的手法をうまく活用していく。そんなことで議論が進んでいるところであります。 従来から悪い例としては批判が多い三セクのような話もありますが、そういうところは例えばPFI手法をとることによってそのリスク分担を最初にきちっと決める。やはり三セクの問題というのは公共主体が計画リスクを最初から負うという前提で、逆にそこは当初の段階に相当ぎりぎりした詰めをしないというところに課題があったのではないかなというところがありますが、例えばそういうところはバリュー・フォー・マネーとか極めてディスクローズされた形で事業を進める。これは1つPFIの利点であろうかと思っております。 あと、公共団体においてPFIを進めるときにご留意いただきたいというのが、これは国が進める場合も同じなのですが、PFIありきではだめだと。今までのこの2年間というのは先行して進められた自治体の成果というのは非常に重要だと思うのですが、これからは先行事例がたまたまPFIがあったからうちもこれならPFIでということではなくて、あくまでも公共的なサービスの必要性、例えば公共施設であればその整備の必要性は従来の公共事業でやる場合と全く変わりませんので、そこは余りPFIありきで動くというのは今後は十分注意をいただいた方がいいと思っております。ですから、先ほど言ったバリュー・フォー・マネーをきちっと見る形で通常型であったり、従来の三セク方式でやったり、いろんな方式の比較というのをきちっとしておかないといけないというのは今後出てこようかと思っておるところです。 先ほど少し国の支援のあり方みたいな話、政策投資銀行の方からも少しお話があったのですが、できるだけその中身として解説できるものはしたいと思うのですが、PFIの性格上そのひな型とかガイドラインみたいなものがまさに政府推進委員会でつくられたものの次、より細かくというところがなかなか難しくて、そこはどこまでお示しするのかというのは今後のいろんな意見をよく聞かせていただきながらつくっていきたいと思っております。 例えば14年度、新たに都市整備関係の事業がいろいろあるということで、都市整備局において、これは直轄の事業費なんですが、PFIに関する実施主体の設立に向けたケーススタディーを通じた勉強をしようと思っておりまして、例えばその中でPFI契約書の原型の作成とか、官民共同による財政資金の効率的な活用の方法の整理をしていこうと思っております。場合によっては、どこかの公共団体の事例を活用させていただいて勉強させていただこうと思っておるんですが、これの取り扱いも今までのように共通仕様書的に使っていただければいいというものではなくて、あくまでもチェックリスト的に使っていただく。そういうのが必要になってこようかと思っております。例えば、そういう支援はしていきたいと思っています。 また、PFI導入に当たりまして最初の行政コストはやはりばかにならないというのもありますので、それについては内閣府が13年度補正で創設しました民間資金等活用等事業調査費補助というのがありまして、これは14年度当初費につきましても総額で1億 5,000万円の国費が用意されていて、これは県、政令市を除く市町村に対する2分の1の補助という形ですが、調査費の補助をつけております。完全な部分は無理ですが、一部一番苦労するバリュー・フォー・マネーの検討のところに資する、そういう調査費を創設し、14年度運用していこうということになっております。これは多分3月の前半ぐらい募集ということでありまして、大体きょうご参加の方はご案内かもしれませんが、もしそういう段階にある事業があれば、ぜひ活用いただきたいと思いますし、そういう形での支援も図っていくという状況です。 さらに、補助金等の話、税制の話、イコールフィッティングというのは非常に重要だと思っております。と言いながらなかなか解決しない部分もございますが、これは先ほどPFI法の改正が実際に動いている事業を見据えながら改正されたことも同様なんですが、事業として動いている、要するに要望があるものについては適切に対応が早く進むということがございますので、事業の計画段階でもいいですので、こういうものが動くとか、こういうものを動かしたいときどうかという情報をぜひお寄せいただきたいと思います。それがあると、実際その補助要項ですね、国の補助金の交付要項で適否がどうなのかという議論もより具体的に進みますし、促進も図られるということで、そういう形でイコールフィッティングを国としても図っていきたい。そんな動きを今しているところであります。 当然、国の事業としての営繕が最初に取り組んでいる事業などもまさに内部的にも非常に重要な案件でありますので、この14年度実施方針の構想がされると思っております。そういう中で情報提供させていただきながら、また逆に情報を共有して仕事を進めていく。PFI事業に関するそんな仕事の進め方が想定されているところです。 そういう意味では、当然PFIに関する自分たちの仕事をやったり支援のあり方というのは重要だと思っておりますが、やはり最後は公共主体としてPFIをどういうふうに取り組むのか。私が先ほど言いました事業の要件、ここをどう決めていくのかというところが十分議論した上で事業に取り組みたいという感じがしております。なおかつ、公共事業というのはできるだけ早くサービスを提供したいということで事業期間に関する制約もあるのですが、1つは例えばその事業期間に対してもトータルで今、議論を尽くしはするんですが、非常に短い時間で判断するのがよいのか、20年とかの事業期間がかかる事業であれば、トータルのリスクを分担することに関する議論の期間としてどのくらいとるのがいいのかということをちょっと留意いただいた方がいいと思っております。 先進事例では事業の実施方針公表からわずか1年以内ですべての作業が終わっているようになっている事業もございますが、実はああいう事業であってもそれ前の段階に多分2年ぐらいの勉強の期間を持っていたり、いろんなそういう取り組みをしておりますので、例えばそんな視点での情報等々も当方で把握しているものもございますので、いろいろお問い合せいただければ対応できると考えています。 国土交通省としても非常に広い分野で抱えておりますので、PFIも推進しますし、それを活用したPFI的な事業もぜひ推進していきたい、そんな状況であるということであります。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 今内藤さんからお話がございましたけども、PFI以外にももちろん民間の資金、活力を利用した公共サービスの提供、動向というのはいろいろあるわけであります。ただ、今まで三セクとかいろんなケースがあるわけでありますが、PFIの場合には国の法律、それから制度の上で今整備をされているということ、それからPFIに乗れば国の援助とか補助等々、これがきちんと受けやすいということ、そういったメリットはありますよね。今そういう整備が進められておるということでありまして、こういったものを一つのきっかけにして定着させて、さらに新たな展開があればと私も思っております。 それで、少しお聞きしたいんですが、今恐らく皆さんの自治体もいろんな計画をお持ちなのだと思いますよ、各自治体。ところが、なかなかそれが事業として出てこないということがあると思うんですけど、その辺の理由について少し幾つかの点でお聞きしたいのですが、猪熊さん、自治体の皆さんはこのPFI、何か三文字英語をやたらいっぱいあるのですね。PSCとかSPC、PFIだとか、そういったことに不慣れだということ。 それから、PSCを計算する場合でも例えば間接費を計算しろとか、つまり役人のコストがその事業にどれぐらいかかっているのか計算する。こんなことは考えたこともないわけ、多分ですね。私も国家公務員なんでありますけれども、そんなことは私ども名古屋大学でも考えたことがないことでありまして、それを計算しろと言われる戸惑いですね。 それから、例えばPSCを計算するときに、発生主義でやるか官庁会計でやるか、つまり減価償却等々考えるかどうか。これは、実は、私の話が長くなってはいけませんが、政府推進委員会がガイドラインをつくるときにバリュー・フォー・マネーのガイドラインだけ随分おくれたんですね。これは去年の7月にやっと出た。ほかのプロセス、手続、それからリスク分担の話はその前の1月に出ているんでありますけども、これは随分おくれたのでありますが、これは今の官庁会計でやるか企業会計原則でPSCを計算するかというところでもめたのです。 平成12年8月には実は推進委員会のバリュー・フォー・マネーの計算のガイドラインはもうできていたんですね。基本的にはどういうのかと言うと、官庁関係は別にするんだ、企業会計原則といったってまだ自治体はそんなものは余り入っているわけではありませんし、いきなり発生主義でコスト計算しろと言ったって戸惑うだけだし、かえって導入の邪魔になるから、ここは官庁会計でやって、企業会計原則が官庁関係にある程度導入されたら発生主義でもいいんではないかということでまとめたのですが、自民党の方はそれはけしからん、発生主義でやるべきであるという大変な強いご意見が出てまいりまして、その間の調整をずっとやっていたんですね。 私なんか折り合いがつかないんだったらガイドライン出さなくてもいいではないか、バリュー・フォー・マネーの分はね。なぜ折り合いがつかないかということをきちっと発表すればそれはよほどいいガイドラインになるということを申し上げたんでありますが、役所の方はそうもいかないものだから、最終的には両方ミックスみたいな形で出まして、前書きには何と書いてありますかと言うと、官庁にも企業会計原則等が後で導入された段階で発生主義のコスト計算を考えてみましょうということが前書きに書いてある。中身は何が書いてあるかと言うと、発生主義で初めから計算しろと書いてある。後ろの表を見ると発生主義と官庁会計と両表が載っておるという非常にややこしいようになっているのですが、そういうふなれな仕事を自治体の皆さんがおやりにならなければいけないとか、そういったことが導入の抵抗になっているということはございませんか。 ○猪熊部長 私がいろいろお話をお伺いする自治体さんというのはそれなりにPFIを進めている場合が多いものですから、多分その陰にはPFIをやろうとして途中でこんなに大変だったらやめたというところも随分あるのだろうと思います。そういう点で大変なのは、理解もそうですし、あといろんな調整ですね。人との調整が大変だというお話も伺っています。 それで、うまく進んでいるところの例というのでそのあたりをどう解決したかということなんですけれども、それもやはりいろんなケースがありまして、本当の先進的事例ですね。PFI法が、法律が成立するかしないかというころからもう既に始まっているような自治体さんでは、その自治体の行政職員の方が非常によく勉強されています。勉強会を自分たちでつくって、いろんな部署から人を集めて、特に財務の人は入ってもらわないといけませんので、そういう横断的な組織をつくってよく勉強をされています。エキスパートのような方がおいでです。 一方で、先ほど留辺蘂町さんの例を述べましたけれども、強烈な動機としては何だかんだ言ってもその場合行政サービスが絶対つくらないと、廃棄物の最終処分場ですから絶対必要だということが1つあったのと、町にお金がない、こういうところを解決しろと言われていろいろ探していたところPFIがあった。進められたのは、その方が言うのでは、コンサルタントでいいところを見つけたとおっしゃっていましたですね。もちろんその方自身も随分勉強はされたんですけれども、お話をお伺いしても、コンサルタントに恵まれなければ、そううまくは進まなかっただろうなという感じはいたします。 ですから、そういういろんなケースがあるということで、結果的には非常に安いものを入手できたわけですから、そういうメリットを念頭に置かれて、初心貫徹。あと、できれば首長さんの応援があった方がいいだろうと思いますが、行政の担当の方から発案して進んでいる例もあるということです。 あと、中央官庁の方に望みたいのは標準化ですね。契約とかいろんな意味での標準化をしていただくと、多分もっと楽にできるんではないかな、そんなことを感じています。 ○奥野副総長 ありがとうございます。 塩野谷さん、さっきコンサルタントの話が出てきましたが、私も感じていて、自治体の皆さんは随分勉強を始められたところも多いと思うんですね。これは勉強して1カ月ぐらいで何とかなるというものでもないし、いろんな経験、いろんな事例にも当たらなければいけませんし、2年、3年、4年と勉強されているわけですよ。1つ手がけた、手がけた途中で人事異動でみんなかわっていってしまったとか、これでは蓄積が庁内ではしないわけでありまして、だからコンサルが大事だという話になんのかもしれないけれども、日本のPFIについてのコンサルタントの状況ですね。日本でもだんだんコンサルタントの方での蓄積が進んできていると思いますけど、その辺の状況等々をちょっとお話いただけませんか。 ○塩野谷課長 私どもの銀行もシンクタンクを持っていて、日本経済研究所というところがPFIのコンサルタント業務をやっています。それで、ほかの銀行系、当地でも幾つか地元の方も含めてPFIを手がけられているコンサルタントがいらっしゃいますが、全国でももう二百数十が今多分構想段階から言うとPFIの事業が動いていますし、それからもっと言いますと、公共事業ではありませんが、海外を中心にプロジェクトファイナンスという金融サイドから入る考え方、そういう契約の積み上げで事業をつくっていこうという動きはもう大分前から世界的には動いている。そういったことがかなりノウハウとしては日本にも入ってきていますし、それを公共事業に応用していく、あるいは公共の入札手続と整合性をとっていくということについては結構いろんな方が既にやっておられる状況ですね。 そういう意味で、私もいろんな民間のコンサルタントの方とPFI関係でお話ししますが、ノウハウ自体は十分お持ちだと思います。従いまして、先ほどございましたように、自治体の方がなかなかわからない、あるいは人事異動で動いてしまって切れてしまうというものをきちっとサポートしながら、そういった事業を組み立てていくというのは十分できると思います。 ただ、2つ申し上げたいのは、1つは、コンサルタントというのは一つの物差しで、ある意味では公共側の代弁者として事業を組み立てていくということにどうしてもなりがちで、技術的なアドバイスしかできないという部分があるんですね。これは、本来そうあるべきではないと言われるとそうかもしれませんが、実態としてはどうしてもそうなってしまう。ところが、先ほど私が前段の部分で申し上げましたけれども、最後実際の事業者がそれに組み上げた事業に価値を見出して応募してくる、それからそれに金融がつくかどうかということになると、さらに外の目を、あるいは外の考え方との整合性をとっていかないといけないということでございますので、そういう意味でいかに優秀なコンサルタントでも独力でPFIを組み上げていくというのは難しい。 したがって、早い段階でそういったコンサルタントを介してでもちろんいいと思いますけれども、実際に応募してくるかもしれない事業者とか金融機関、そういったところと事業の整合性というのを常にチェックし合っていくということで、コンサルタントの外にも常に、先ほど申し上げた情報の透明性とか明確性、それを早い段階からつくっていくというのが一つ重要だと思います。 もう一つは、やや下世話な話になるんですが、自治体の方はもちろんPFIをやっていくと非常に大変だということに気づかれると思うんですね。これは実はコンサルタントもやはり同じでして、人、マンパワーが相当かかる仕事になります。一般のコンサルタントは民間企業ですから、それに見合うきちっとした対価というのでかなりできが変わってくるという部分が正直なところあるんではないでしょうか。 要は、先ほど奥野先生もおっしゃったように、3年、4年という長い間こういう個別のスペシャリストを張りつけるという状態になりますんで、それに見合った対価を払うところにはきちっとしたアドバイスが出てくるというのが私は実情だと思いますんで、その辺の相場形成を通じていいコンサルティング業務が育っていく。コンサルタントのノウハウではなくて、コンサルティングが業務として育っていくベースをつくっていくことを考えなければいけないのではないかなと思っております。 以上です。 ○奥野副総長 要するに、コンサルタントというのは高いんだぞということですね。 ○塩野谷課長 そうですね。高いと。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 内藤さん、先ほど来、政府の理解とか、政府が何をやってくださるかということが自治体が進める上で大事なんだという話がございましたですね。先ほど内藤さんの話の中でも、文部科学省と会計検査院のところ一帯をPFI事業で建てかえる。これは非常にシンボル的に見られると思うんですよね。これがPFIか。目立ちますし、あそこは都市の中心だし。 もう一つは、私は政府の無理解というのはあったと思うんですよ。最近は大分理解されたと思うのですが、ある省庁に行ってこれこれやりたいのだと言うと、PFIというのは何だ、そんないかがわしいものに補助金出せるかみたいな話があったと思うんですね。その辺の政府の理解というか、後押しというか、先ほど来標準化とかひな型とかということが出ていますが、その辺の動向についてちょっとご説明いただけませんか。 ○内藤課長補佐 そういう意味では、第2ラウンドにという話の第1ラウンドの部分は当然公共団体が進められるのと同じスピードで省の中の事業部分もそれぞれPFIのあり方というものを勉強し始めたということでしたので、必ずしもご相談を受けても、具体的に受ければ多分お答えできたと思うのですが、一般的な事業、これでやるときはという一般論でご質問いただいたときには明確なお答えができなかったのではないかなと思っています。そういう意味では、逆にPFIが施行されて以下この2年間というのは、残念ながら中央省庁においてもそういう状況であったかなと思っております。 ただ、さすがにそろそろ、別にPFIのできる範囲というのはないわけなのですが、PFIはやりやすい事業というのはあった方がいいという形もありますので、どういう事業でPFIに取り組んだらいいのかというものについて昨年公表させていただいて、その実施方針のひな型のような形はとりあえず公表させていただきましたし、また今後も、さっきの都計局の取り組みのように、これであれば絶対大丈夫というものはなかなかできないのですが、つくるときに最初から考えるよりはたたき台があった方がいいということで、そういうものになるようなものは順次つくっていきたいと考えていまして、分野によってはバリュー・フォー・マネーの検討のした事例集に近いようなケース分けをしたものであったり、先ほどのように契約書のひな型みたいな形のものの原型みたいなものをつくっていく、そういう取り組みを進めていこうとは思っております。 ただ、実は今回質問に出るかどうかはわからないのですが、例えば公募型プロポーザルでいくのか、総合評価一般競争入札でいくのかという話についても、例えば総合評価一般競争入札をやるとなった場合は財務省承認を得ないと総合評価の形というのは決まらないとか、そういうのも実は何かひな型をつくればいいのではなくて、まさに目の前にある営繕の事例なり、財務省がみずからやっている宿舎のものをもとにまずつくってみる。これに意味があって、多分それができ上がると他の事業分野でどう応用していくのかというのは逆にそれを見ればかなりの部分わかってくるのかなと思っておりまして、その辺できるだけ現実的に検討していくようなアプローチをしようと思っております。 それから、本来いろんな分野すべてを網羅できるようなものはできているといいのですが、やはりそこは事業事例の多くなるであろうものを中心にそういう具体化の作業を進めていくということですので、大体こちらとしてもできるだけ事業部局ごとにどんなPFIで今後やろうとしている事業が動いているか把握しようとしていますが、そこの情報交換を密にやられていないと潜在的なそういう事業体をよくつかめない部分がありますので、ぜひそこは個別にでもいいですし、我々の方に情報提供いただけると非常にありがたいと思っております。 今まで事業部門も従来型事業を執行しながら、ある意味その傍らPFIに取り組む、PFIのやり方をどうするかに取り組んできたというのがありますが、かなりPFIだけに限らず民間手法という話を広範にやる、取り組むようになってきていますので、その辺ぜひ忌憚のないご相談をいただければありがたいな、そんな状況であります。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 コンサルタントの方も、恐らく日本のPFIの状況は随分経験を積まれてきても、事例をたくさん扱っていらっしゃるところでも、また別の案件をやると全くそこでは新しい問題が次々出てくるという状況で、なかなかまだ日本のPFIの蓄積はひな型どおりにはいかないという状況だと思いますけれども、だんだんそういう知識が積み重なっていって、今内藤さんご指摘のように、情報が共有化されていくと、そういったカバーレッジも広くなっていくんではないかと期待しておりますが、今まだ新しい案件があると、そこにまた経験したことのない問題が出てくるという段階ですね。 あと2点ほどこのセッションで追加しておきたいんですが、内閣府の今推進委員会は何やっているかということなんですが、これは第2ラウンドに入って各自治体、それからSPCに関係された企業等々からのヒアリングを精力的にやっておるという状況でありまして、ガイドラインというのはあの時点でのガイドラインでありまして、また新たに蓄積が出てきますと、それをベースに改定するということでありまして、今その作業をしておるというところであります。 それから、PFIをだれか思いついても庁内でなかなか取り上げてもらえないということがあるんだろうと思いますけれども、これは東京都を初め幾つかの自治体では庁内でそういうシステムをつくっていらっしゃるところがありますね。東京のケースはどうでしたかね。経理部長さんをトップにして関係の部長さん数名で何かそういう委員会を立ち上げていらっしゃる。各部局でPFIについての提案があれば、そこに提案する。そうすると、そこが審査をされて、事業として次のステップに乗せるかどうかの適否を判断される。適であるということになれば、それぞれ事業部との交渉がルートで行われていくというシステムを東京は今度つくられましたな。ほかの自治体でもそういうのができているところがあるわけでありますけれども、そういったシステムがあれば、いろんな部局で提案されることを取り上げていきやすい、全庁的な問題、テーマになっていきやすいということはあるんだろうと思いますね。 それでは、このセッションはこれくらいにしまして、東海地域でのPFI事業をどう推進していくかという問題に入っていきたいと思いますが、皆さんから質問票をたくさんいただいておりますので、これを見ながらお三方に少しお答えをいただきたいと思います。 まず、かなり具体的なんですが、PFIの対象事業として例えば道の駅なんかはどうなのだろうかというご質問が来ておりますが、これは内藤さん、お答えいただきますかね。 ○内藤課長補佐 道路の事業で今先行しているのは、そもそもイギリスのPFIが道路の事業で始まった関係もあって非常に関心が高いと聞いております。ただ、実際動いているのは駐車場のような事業が動いているということで、ネットワークの一部を構成するような道路でPFIというのは、できないわけではないんですが、案件としてなかなか出てきていない状況です。そうう中で取り組むものとしては、駐車場と同じように、面的な利活用も含めて効率的にできるであろう道の駅はどうかという話があったと聞いております。 道の駅については、従来から基盤を道路管理者が整備して、上の利用勝手の部分については公共団体が三セクで整備するという形でしたので、これにPFIを導入するということは可能です。そこで従来の三セクとの比較の上で、これはPFIでやる方がバリュー・フォー・マネーも出る。特にこの場合、多分コストというよりはノウハウの生かし方みたいなバリュー・フォー・マネーがうまく出れば、ぜひ道路の道の駅でのPFIというのは有効なのではないかなと考えておるところです。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 それから、今ちょっと話が出ましたが、三セクとの関係で質問が来ておりますが、三セクがいろいろ破綻した事業もあり、PFI事業では民間事業者の事業の履行保証をどういうふうに担保されているのか、あるいは三セクと同じような負の遺産で苦しめられるというようなことはPFI事業ではないのだろうかというご質問でありますが、これは塩野谷さんと猪熊さん、それぞれいただきましょうか。 最初、塩野谷さんから。 ○塩野谷課長 第三セクターの今の問題というのは非常に難しい問題でありまして、私ども銀行も日本各地で三セクの問題については正直難しい対応を迫られている部分もあるわけです。今奥野先生介していただいた質問で、PFIが三セクのようなことになるのかということなんですが、ここは2つに分けて考える必要があると思います。 何故今三セクの問題がクローズアップされているか、非常に問題視されているかというと、1つはまさに事業自体が破綻してとまってしまった、例えばリゾートなんかでもそうですけど、つぶれてしまって廃墟になってしまって、これもなくなってしまった、事業自体の公共サービスがとまってしまったという問題。2つ目は、その裏として気づいたときには突如自治体に巨額の負債といいますか、負担が、金額であったりいろんな意味があると思うのですが、降ってきた。その2つがあると思うんですね。 PFIについては、もちろんそのことだけではありませんが、第三セクター事業によって生じたいろんな問題点というのを踏まえて、そういうことがないようにしようという意味合いから出発した部分もあるわけです。要は、三セクであろうが、PFIであろうが、どういう運用をしていくかというところが非常に問題というか、重要なところでありまして、PFIの場合はどうしていくかということですけれども、先ほど冒頭のところで申し上げました説明のところでもありましたけれども、まず事前に事業が破綻しない仕組みを知恵の限りを尽くしてつくっていく。もしその事業に何らかのリスク、事業が途中で中断するようなリスクがありそうだということがわかっていれば、常にそれをカバーし得るプロの事業者を組み込んでいく。事後的にもモニタリングシステムをつくって、これを有効に常に監督できるようにしていくということですね。 第三セクターはずるずるいってだめになったということで問題化しているケースが多いわけなんで、仮に第三セクター方式であっても同じようにプロの集団がそれぞれに責任を持ってきちっと事業を維持できる、あるいは何らかの問題点があったらすぐにそれを修復できるようなシステムがあれば、そこは問題はなかったということだと思います。 それから、破綻した後の経済的ないろいろな問題点、それはPFIでも実は破綻が想定されていないわけではありません。先ほど猪熊さんからもありましたけれども、実際破綻するということはあり得るわけです。ここは誤解のないようにということなのですけれども、PFIというのは、あるいはその裏についております金融システムでありますプロジェクトファイナンスというのは何も魔法のつえではありませんので、無から有が生み出されるものではないわけです。 ただ、事前にすべての想定され得ることはそこに定めておくというところが重要なわけです。まず、破綻をふせぐための手続き、どういう手だてを尽くすのかということを公開するわけですね。定めるわけです。仮にもう万策尽きて最終的に破綻してしまったときに、あるいは破綻をいつどういう形で定めるか、破綻したときにだれがどういう負担をするのかということも事前に決めておくというところが重要なポイントなのです。 したがって、例えばそれは当初の約束であれば、地方自治体あるいは国に一定の負担がかかってくるというケースも当然契約行為の中ではあり得るわけでありまして、そこの辺の契約というのは事前にすべて決めておくということを通じて、市町村入札の事業権契約の場合は議会承認をとったりするということ、あるいはその事前の募集手続、入札手続、あるいはその前の事業可能性調査などで常に公共がどういう負担をするか、最終的にどういうケースでどういう負担があり得るのかということを常に外に公開して、いかなる場合でも事後的に不満が出ないようにきちっと地域住民の方も含めて理解を得ておく。そこにPFIの本質があるわけでありまして、ですからそこのところ、地域住民にもし負担が残るようなスキームになっているのであれば、そこをきちっと説明しておく。そこの透明性が確保されていないと、PFIといえども同じような問題になってしまう。そうならないように仕組みとしてつくられているのが理想的なPFIだということだと思います。 ○奥野副総長 猪熊さんはいかがでしょうか。 ○猪熊部長 私も同じようなことになるかもわかりませんが、三セクとPFIの大きい違いというのは、三セクというのはその名のとおり官と民を合体したというものですが、PFIの場合は基本的に特定目的会社をやろうとするのは民間事業者、そういう趣旨なわけですね。三セクと違って例えばPFI法ですと道路の管理を民間事業者がやるということが法律に明記されていまして、そこが大きい違いだろうと思います。 それは具体的にどういうところがあらわれてくるかと言いますと、今塩野谷さんがおっしゃったような、民間事業者というのは確率的に破綻するというのがあるわけですね。公共団体の場合とか国とかの場合は破綻するという概念は非常に小さいと思います。つぶれることがあり得るとなれば、人間はそれに備えようとしますし、いろんなことの方策を立てるなり、よりつぶれないような効率的に働くとか、そういうことをやるわけですので、民間事業者に任せること、その意味はつぶれる可能性があるということ。そこのところが大きい違いではないかと思います。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 これは塩野谷さんがいいと思いますが、民間収益施設と公共施設を合築した場合、行政財産の上にそういうことをするということが今度可能になったのですけれども、民間収益施設のライフサイクルコストがバリュー・フォー・マネーの計算に組み込まれるのかどうなのか。ガイドラインでは附帯施設は別扱いだということになっているんですけれども、どうしても影響したいんではないか。民間収益施設が収益悪化したら公共サービス等々に。先ほど塩野谷さんの方から収益事業によってPFI事業は傷つかないことというご説明があったんだけれども、こういうことは実際に可能なのだろうか、そんなに峻別できるものなのだろうかというご質問なのですが、お願いします。 ○塩野谷課長 収益事業の問題というのは非常に大きな問題でありまして、先ほど申し上げましたように、慎重に考えるべきものだと思います。ここでありますように、収益事業のリスクというのは、もしPFI事業に組み込む、ないしは附帯させるという場合には、きちっとそのリスクというものについて計算しておくべきだと思いますし、リスクをどうやって小さくするかという手段を相当慎重に考えておかないければいけないと思います。 収益事業によってPFI事業が傷つかない手段というのは何があるかと言うと、事業の下振れリスクの回避ですね。要は、例えばショッピングセンターを公共施設、公民館か何かに併設した場合にショッピングセンターの売り上げが当初予定よりも少なかった場合、ショッピングセンターが赤字になりまして、全体事業も赤字になって、PFI事業全体がだめになってしまうというケースがあり得るわけですが、そうならないようにしておく手だてを最初に考えておくということですね。 具体的には、いろんな手だてが考えられるわけですけれども、非常に簡単に言えば、需要が下振れした場合、つまり売り上げが当初予定よりも減ってしまった場合、最大限どこまで減るかという計算を、特に金融調達のときにはシビアにやりますが、やっていくわけです。そこまで落ちたときに、事業が倒れないように、例えば先ほどメザニンローンという言い方をしましたが、スポンサーシップを持っている事業者があらかじめ基金を積んでおくというようなこと、あるいは本当にその収益事業が地域住民のために必要なものであるというコンセンサスがあれば場合によっては入札前の事業スキーム構築の段階で公共サイドが必要な資金を投入する準備をしておく、あるいはサービス料対価として最初から一部投入しておくというような工夫を講じておくことが必要ではないか。 例えば、今後段のところは非常に極端な例ですね。収益施設が独立採算ではなくて、公共の下支えをしておくというようなことを申し上げましたけれども、本当にそんなことでいいのかということですが、PFIの重要なところは、先ほど申し上げましたけれども、そういった収益事業というのがもしうまくいかなかったときに、これは本当に地域にとって必要な施設なんだから公的な資金を投入していくんだというコンセンサスを事前に地域住民ないしは議会と約束しておくというところが重要なところでありまして、そういった合意がとれないものであれば収益事業というのはやるべきではない、あるいは別の手段を考えておかなければいけないのではないかと私は思います。 したがって、このような合意形成が不可能かどうかというのは、まさに収益事業の必要性が地域の人たちにどう理解されているか、あるいはスポンサーであるSPCの出資会社、落札社、それがどの程度重要と考えているかということによって決まるわけでして、そのような理解がなければ全く不可能だということだと思います。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 次、これは猪熊さんがいいですかね。資金調達するとき、民間の調達金利よりも公共の方の調達金利が低い。そうすると、そのときに本当にバリュー・フォー・マネーが出るのか、イニシャルが同じでというご質問なんですが、つまりそういう金利の差を埋め合わせるほどに運営、それから建設のところでのバリュー・フォー・マネー、財政節約が可能なのかどうなのか。その辺のところをちょっと実態も含めてお願いします。 ○猪熊部長 SPC、民間事業者の方が不利になるのはこの点だけではなくて、もちろん金利もそうですけれども、あと税金の関係でも一方で公共でやれば固定資産税を払わなくていいのに、民間事業でやれば固定資産税を払わないといけないとか、もっと極端な話、公共でやれば法人税を払わなくていいのに民間でやれば法人税を払わないといけない。それはキャッシュアウトフローになって出て行きますので、それをカバーすることができるかどうかというお話なんですが、実態的には、政投銀さんの方の資料にもありますとおり、バリュー・フォー・マネーですね。従来公共側でやるのとPFIでやるのと比較した今までの実態例がありますが、数十%低くなっている例が多いということで、実態的にはそういうことができるということが言えようかと思います。 では、どこからそういうのを出してくるのだ、バリュー・フォー・マネーを確保するのだという点については、いろんなところからとしかお答えができないのですけど、例えば建設と管理を一括することによって多少初期投資をしても管理が安くなる設計を工夫するということもありましょうし、現在、PFIがかなり最初の段階でいろいろ落札しているということで企業さん側も努力をして低い落札額に抑えている、そういうことも考えられようかと思います。それはケース・バイ・ケースで、たまたまそれに合った材料を近くに持っていたとか、いろんな場合がありますけれども、実態的にはできているというのがお答えになろうかと思います。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 それから、これは内藤さん、PFI法第14条の質問が来ているのですけれど、第14条というのは選定事業になった場合には地方債等々については特別な配慮をするということなのですね。この特別の配慮の中身は何なのだ、具体的にはどういうことなのだろうかということなのですが、もし今の時点でおわかりになることがありましたら、私もこれは何だったかな、議論した記憶はあるんだけれども、思い出そうとして思い出せないのですけどね。そういったものはまた国土技術研究センターの方のホームページ等々に新たに回答として出していただくということなのですが、きょうもしお答えできれば。 ○内藤課長補佐 そういう意味では、ちょっとこれも含めてストレートなお答えにならないかもしれないんですが、多分この地方債についての特別な配慮ですとか補助金のイコールフィッティング、税制のイコールフィッティングについては同様にPFIを導入したときに、通常公共事業でやるのと同条件になるようにというための配慮であります。ですから、具体にこの方法については、地方債なんで所管は当省ではないんですが、まだ明確にされていないと聞いております。 1つポイントとして、ここに書き込んだ意味というのは地方債を確保するということについて担保性を持たせることが必要であるというのが一つあって、それをどうするかのところについてはまだ実例として示されていないのですが、そういう必要性があるということだと思います。また別のご質問にもあるのかもしれませんが、補助金を割賦払いにした場合どうするのかというのも同様な課題がありまして、PFIにしたがために従来であれば担保できた措置が約束されないとか、そういうことがないように対処していくということで、その措置内容について具体にはまだ示されていないと理解しております。 ○奥野副総長 これはPFIに対する政府の姿勢をあらわしている。 ○内藤課長補佐 そうですね。書いてある……。 ○奥野副総長 わかるなということですので、・・・ それから、内藤さん、もう一件、公募型プロポーザル方式について質問が来ているのですけど、選定後の交渉について1社との随意契約で条件を交渉するため相手の言いなりになるということが起きてくるのではないか、上位何社かと交渉できる方法を考えることはできないかということなのですが、いかがでしょうか。 ○内藤課長補佐 そういう意味では、これは多分PFIに限らず、もしこれが問題だとすれば、公募型プロポーザル自体全体の問題になってしまうんですね。それについて少なくとも公共サイドが交渉する基準となるポイントを明確にしていれば、先ほど言ったように、どういうサービスを提供するのをどのポストでやるかというのを標準を持っていれば、言いなりということはまずないのだと思います。ただ、PFIの場合、従来よりかなりきめ細かく民間側の提案を自由にしてもらいますので、その比較をする上で単純に比較がしにくくて、決まった段階で交渉を進めていくと、当初と違うような方向に進むとか、そういう点で交渉が難航して、ある部分は官側からすれば民の言い値をのんだというようなところも出てくる。そういう指摘ではないかと思っています。 それについて基本的には制度として第一の交渉権者との交渉がどうしても問題があれば、それは任意に送るということはできますが、それは多分実際として時間的な制約もあってできにくい。実際、今どういう公募型プロポーザルでPFIをやられる場合にとられているかと言いますと、二段階選抜にして、1回目に選抜する段階でその辺の相手の言っている条件をある程度見きわめて、2回目に交渉する相手を選定するということで、その2回目の選定する段階までにこちらのスペックも詰めるということで対応している例が多いと聞いております。 確かに公募の交渉の前の段階に事細かにすべて文章にして公募を受け付ける形にしてしまうと民側のコストもばかになりませんので、その辺を二段階にすることでできるだけ詳細な情報を出していただくという機会を公平に与えるというのと同時に、公共側がそれに対する答えをどうするのかというのを明確に考える時間をつくっていく。そういう合理的な方法として多分そういうやり方をされているのではないかということですので、方法としてはそういうものも取り得ると思いますが、基本的に公共サイドに最終的などこにどういうサービスを提供するのか、どういうコストで提供するのかというのをきちっと決めておかないと、最後計画リスクの形でそれをみんな引き取らざるを得なくなる、もしくは将来、公共発注の場合はここはそういう意味ではよくできている部分であると思いますが、別途交渉するという形は多分PFIの条件契約までの段階にはなくなってしまうはず、詰められるはずですので、そういうことを前提に公共側が相当詰めていかなければいけない、そういうことだと思います。ですから、逆にそれが詰められていれば、少なくとも公平な意味での言いなりというのはないと思っております。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 ○猪熊部長 済みません、この件でちょっと補足させていただきたいのですけれども、先日イギリスの方の状況にお詳しい先生からお伺いしたのでは、同じような公募型プロポーザル方式でやるのですけれども、イギリスの方で通例やっているのは日本で第一優先交渉権者で1社と交渉する段階において2社と交渉するらしいのですね。2社を最後まで残して、そこで競わせながら最終的に決めるというやり方が一般的だと聞いております。即日本に応用できるかどうかというのは随意契約の法令的なものも調べる必要があるのですけれども、国際的に見れば、そういうやり方もあるということをちょっとご紹介したいと思います。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 それから、これは先ほどの猪熊さんの話にも関係すると思うんですが、事業とか工事施工にサブコンが直接参加できる機会があるかどうか、工事は一括発注となるかどうか。つまり、地元の中小企業事業者等々がどれぐらい参加できるものなのかどうなのか、その辺とも関係すると思うんですが、いかがでしょうか。 ○猪熊部長 制度上のお話からいきますと、工事とかプロポーザルに応札するのに資本金がどうのとか倒産状態でないとか、いろんな条件がつけられます。ですから、その要件をクリアしていさえすれば、サブコンであればだめよというような条件をつけているところはまずなかろうかと思います。 それは建前上のお話ですけれども、ただ実態的にはそのプロポーザルをつくろうとしますと、かなり費用がかかりますので、何社とか組んでやらないといけない。初期投資とそのリスクですね。落札できなければ、それが全くむだになってしまう・・むだと言うか、リターンがないわけですので、そのあたりを考えながらやっていくとなると、規模の大きい会社と組んでやるということが必要、可能性としては大きいのかと思います。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 それから、これは塩野谷さんがいいですかな。プロジェクトファイナンスということになるのでしょうけれども、現実の問題として金融機関はファイナンスをしがたい現状があるのではないか、どんな条件を整えて実現するのかということなんですが。 ○塩野谷課長 実はプロジェクトファイナンスとPFIとの関係というのは非常に微妙な問題がありまして、これはそうなっているからしようがないのですが、PFIの場合、まず公共側がある程度事業のスキームをつくり、リスク分担表に基づいて一般競争入札の場合は事業権契約をつくる。それに基づいて入札手続をして、民間の事業会社、それが応募、落札する。その流れでいくと、その後金融機関が融資をするということもあり得るんですね。最近はさすがに大分皆さん習熟してきましたんで、ここでPFIの事業可能性調査が始まった、民営化調査が始まったということになると、興味のある事業者の方々はこの段階で金融機関を含む有識者と相談するようになってきました。 本当に理想的な形としては、入札が始まる前に情報公開がきちっとされて、それにふさわしい応募のスキーム、これはもちろん金融調達も含めてですが、それが確定して、それをベースに応募する、そこでその必要な金融コストも含めた部分が入っているということであれば、即座に金融調達も始まり、事業が回っていくということになるのですが、残念ながら手続上先ほど申し上げたような流れになっていることとか、それから事業者の方としても通常はメーンバンク以外の金融機関から早い段階でファイナンスのアドバイスを受けて、そこときちっと手を握って、例えば契約をどうするかというところまで詰め切って応募していくというのは技術的にもいろんな難しい問題があってできないのが実情なわけです。 したがって、依然として強弱、程度の問題はありますが、やはり落札者が決まった後、金融調達の交渉をしていく。そこでどういう条件で金融というか、資金を入れていくのかというのが決まっていくのが今なお実情になっています。したがって、ここに今質問をいただいているように、現実の問題としてファイナンス、これではできませんねという回答が金融機関から落札後出てくるというケースも当然第1段階としては、あり得るわけです。 また、先ほどダイレクト・アグリーメントの問題を申し上げましたが、公共側が事業権契約で余り明確になっていない部分なんかを落札後きちっと詰めていくわけですけれども、そこでの条件次第で金融スキーム自体がリスク含みになってしまうということもあり得るわけです。 この辺をどうやって解決していくかという現実の手段なんですが、第一の方法は事後的にスポンサーシップが追加的な資金を投入する、ないしは投入することを約束するということがあります。これを防ぐためには、先ほど収益施設の考え方のところでも若干触れましたが、公共側の負担を考えることも含め、入札前の事業の作りこみが重要になるわけです。 もう少し具体的に言いますと、スポンサーシップ、事業者の株主がどういう形で資金を入れていくかというのは、先ほど申し上げましたように、一つの例としては劣後債という形で金融機関からの借入より返済を劣後する資金をあらかじめあるいは途中で投入していくということで信用力を上げていくということです。 もう一つの方法は、非常に単刀直入、簡単な話でありまして、金融機関が持っている金融ツールによるのですけれども、金利にリスクプレミアムをどんと乗せてしまうということです。要するに高利貸しですね。先ほど言ったメザニンローンというのはある意味でそういう世界でありまして、スポンサーシップを持っている人たちは株主ですから、最後にPFI事業が終わったときに残余財産が残っていれば、その配分にあずかる、キャピタルゲインで利回りを稼ぐというのと同じでありまして、リスクに見合った高いリターンを最初から確保しておくということです。したがいまして、金融機関もどうしてもスキーム上リスクをヘッジできないという状況になれば、そこは金利で調整していくということで、結果的に落札者側、民間側のある意味でバリュー・フォー・マネーですね、資金効率がそこで非常に悪くなってしまうということになります。 したがいまして、先ほど理想型を申し上げましたが、できるだけ早い段階でPFIの募集要項に基づいて募集する場合にはどういう金融スキームでどれだけ金融コストがかかるのかということは早目に整理しておかないと、こういう問題で頓挫してしまうということだと思います。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 時間がきておりますので、質問はこれくらいにさせていただきたいと思いますが、自治体側で議会がサービス購入の支払いを否決した場合どうなるか。これは事業は進められませんね。 それから、PFIを進める際、公務員の削減をどのように考えるか、小さな行政、小さな政府との関係はということでありますが、これは小さな政府の一つの手段でございまして、既にいろいろな施設等々に公務員の形でそこに事業者がいらっしゃる場合、なかなかPFIに移行しがたいということがあるわけでありますが、これは小さな政府のための手段だとお考えいただきたいと思います。 それから、リスクを官から民への移転、ここのところがどうもきちんと定量的に計算されていないのではないか、そこのところをきちんと計算すれば、もうちょっとバリュー・フォー・マネーが出てくるのではないか、これはもっともなご意見でございますけれども、このところが最も難しいところだと申し上げさせていただきたいと思います。 それから、塩野谷さん、もう一点だけ、これは簡単にお答えいただきたいのですが、政策投資銀行の分類では、ひびきコンテナターミナル、北九州ですね、これは独立採算と分類しているんだけども、ジョイントベンチャーではないかという質問が来ていますが、これはどうでしょうか。 ○塩野谷課長 独立採算とジョイントベンチャーというのは明確に実は分けにくいとところがありまして、特に響灘の場合、どんどんスキームが変わっているところもあるものですから、これはご指摘のとおりだと思います。 ○奥野副総長 ありがとうございました。 既に時間が来て、フロアからの挙手の質問は、大変申しわけございません、割愛させていただきます。 きょうのこのセミナーでは、実施に当たっての具体的な問題等々、かなり具体的な話をしていただきました。これは99年にPFI法ができて以来、こういう議論ができるようになったというのはやっぱり日本のPFIもだんだん進んできているということを実感するわけでございますが、いずれにしても5年間は試行期間でありまして経験を積むという期間でございますので、いろんな経験を積んでいくことがまず必要なのだろうと思っております。 PFIは社会資本の効率的な整備、それから財政の節約、よりよい公共サービスの提供、それから民間の事業機会等々、一つの重要な方法だと思いますので、今景気が悪くてなかなか事業できないから、社会資本を整備しないといけないしPFIでやってみるか、というのがあるかもしれませんが、景気が回復して財政収入がある程度豊かになってきても社会資本整備の手法として日本に定着させていくということが必要ではなかろうかと思っております。 きょうは大変長時間でございました。また、延長して申しわけございませんでした。どうもありがとうございました。これで終わらせていただきます。(拍手) ○司会 以上をもちまして、本日のセミナーのプログラムはすべて終了いたしました。 ここで、再度パネルディスカッションでプレゼンいただいた方々へ拍手をお願いいたします。(拍手) 皆様、ご静聴まことにありがとうございました。どうぞお忘れ物のないよう、お気をつけてお帰りくださいませ。本日はまことにありがとうございました。 閉会 4時35分 |