開会 2時00分

○司会 定刻になりましたので、始めさせていただきます。
 本日は国土交通省PFIセミナーにご参加いただきまして、まことにありがとうございます。
 ここで、本日のプログラムを簡単にご紹介いたします。開会のごあいさつに続きまして、政策研究大学院大学教授西野文雄先生にコーディネーターをお願いしまして、パネルディスカッション形式でセミナーを進めてまいりたいと思います。最後に、パネルディスカッション内容やその他PFIに関することについて質疑応答のお時間を設けております。セミナー受け付け時にお配りした質問票にご記入いただき、休憩時間開始時と休憩時間終了時に係の者が回収させていただきます。
 セミナーの終了時間は4時30分を予定しております。皆様、どうぞ最後までよろしくお願い申し上げます。
 それでは、セミナー開催に当たりまして、国土交通省近畿地方整備局復興事業調整官、市川晴雄様よりごあいさついただきます。
 市川様、よろしくお願いいたします。

○市川調整官 本日は皆様ご多忙の中、セミナーにご参加いただきまして、まことにありがとうございます。
 また、本セミナーは全国9都市で行っておりますセミナーの一環でございます。本日はお忙しい中、コーディネーターをお引き受けいただきました政策研究大学院西野先生、またパネリストとして日本政策投資銀行大串様には心から御礼を申し上げます。
 さて今日、我が国におきます住宅社会資本整備の状況は、欧米にまだまだ追いついておりません。また、少子・高齢が進む中、財政運営はさらに厳しくなることが予想されます。そのような状況下で、住宅社会資本整備の推進と、経済や都市の再生を図るための取り組みが強く求められております。
 こうした中、民間の資金力や高い技術力、経営能力を活用し、公共施設の建設、維持管理、運営などを行うPFIが、事業のコスト面や質の高いサービスを提供できる可能性があり、新たな事業の創設にもつながるものと期待されております。法律の施行やガイドラインの策定、公表など、PFI導入促進について政府としても努めている状況であります。国土交通省につきましては、中央官庁施設における制度の活用とともに、補助や融資等の支援制度を設けるなど、積極的に取り組んでいるところであります。
 関西において、PFIの取り組みの状況は実際にどうか。どうしても首都圏と比較することになりますが、残念ながら大きくおくれていると言わざるを得ません。政府の都市再生プロジェクトにおきましても、首都圏は幾つかのプロジェクトがまさに動こうとしている、そういう状況であります。
 制度上の課題も一つ一つまだ解決途上ということも象徴していますが、本日 300人の方のご参加をいただいております。民間の方が約 200名ということで、3分の2を占めると。本日の熱意が関西でも新しいPFI事業の動きに結びつくよう期待しています。
 先ほどもご案内がございましたように、非常に限られた時間ではございますが、本日はご参加の方々のご質問にお答えをするということになっております。積極的にこの機会をご利用いただきたいと思っております。
 最後になりましたが、本セミナーが有意義なものとなることを祈念いたしまして、私のあいさつといたします。
 以上でございます。ありがとうございました。

○司会 市川様、ありがとうございました。
 それでは、パネルディスカッションに入らせていただきます。西野先生初め各パネラーの方々は、壇上にお願いいたします。
 最初に、各パネラーのご紹介をいたします。
 まず、本日、このパネルディスカッションのコーディネーターをお願いしております、政策研究大学院大学教授、西野文雄先生です。(拍手)
 続いて、日本政策投資銀行関西支店、大串次長。(拍手)
 続いて、国土交通省総合政策局政策課、寺前政策企画官。(拍手)
 続いて、財団法人国土技術研究センター調査第二部、猪熊部長です。(拍手)
 それでは、西野先生、よろしくお願いいたします。

○西野教授 どうもありがとうございました。
 ただいまご紹介いただきました西野でございます。政策研究大学院大学という、余り知られていないのではないかと思います国立の大学院大学の教授です。あるいは大田弘子という著名な先生がいるものですから、ご存じの方がおられるかもしれません。
 PFI法という法律ができまして、その法律の中に法律に基づく委員会ができております。9人からなります。そこで委員長代理をしているので、毎日というわけでもありませんが、PFIのことを考えざるを得ないという立場におります。
 きょうは、パネルディスカッションと書いてあるのですが、時間を考えますと恐らく会場の方からたくさん質問が出るだろうと想像しております。時間が余ればパネルディスカッションに移りますが、まず各参加している人に簡単に話題提供をして頂き、その後で質問にお答えいただくというふうにしたいと思います。話題提供は私が一番最後に回りまして、まず、国土交通省の寺前さんからお願いします。次いで、日本政策投資銀行の大串さん、国土技術研究センターの猪熊さんという順番でやっていただきます。
 その間、終わりましてからこれだけの方がおられますとなかなか質問を個々にお受けするのは難しいので、お渡ししてあると思いますが紙に質問を書いていただいて、集めさせていただこうと思います。話題提供が終わったところでまず集めさせていただいて、それをコピーにとっていただいて4人に回してもらって、4人が見ながら各自適当にお答えしていきたいと思います。
 それから、10分ぐらい休憩をとっておりますから、休憩が終わったところで私が一番最後に話題提供いたしますので、私に対する質問というのはその時間の間に書いていただいて、出していただきますというふうにしたいと思います。
 あるいは、その間、紙はたくさんあると思いますので、一人の話題提供が終わったところで手を挙げていただければ、どなたかが質問用紙を取りに行く手配もしております。
 それでは、早速でございますが、国土交通省の寺前さんから発表をお願いいたします。

○寺前企画官 国土交通省の総合政策局政策課、寺前でございます。この場所で、このまま私の方からまずやらせていただきます。
 私の話は、資料の2の1をごらんいただければと思います。前の画面にも出てまいります。
 この国土交通省のPFIセミナー、ことしで3年目、3回目になりますけれども、法律が施行されました平成11年からやっておりまして、ことしはメンバーに日本政策投資銀行の方々に入っていただいて、PFI事業、金融の面からのいろいろな評価なり支援、非常に重要だということで、入っていただくことになりました。
 それから、これから私の中で話をいたしますけれども、今年度はPFI事業についていろいろな動きがございました。法改正もありましたし、西野先生が部会長をやられておりますPFI推進委員会で3つのガイドラインが決定されたというようなこと。それから、国におきましてもPFI事業、いよいよ着手したというような、大きな動きがございましたので、その辺を含めまして話をしたいと思います。
 資料の2の2をごらんいただきますと、PFIを取り巻く動きということで、この1年間分の経緯が書いてございます。1月と7月に先ほど申しましたように3つのガイドラインが、PFI推進委員会から決定されております。それから、6月に都市再生プロジェクトというふうに書いてありますけれども、昨年4月6日に旧森内閣の時代でございましたが、緊急経済対策というのを決定いたしまして、その中に中央官庁のPFI、それから、国家公務員宿舎のPFIというのが位置づけられまして、それを受けまして5月、小泉内閣になりましてから都市再生本部が設けられまして、6月に都市再生本部の第一次決定ということで中央官庁施設、霞が関の現在の文部科学省と会計検査院の建物の建てかえをPFIでやろうということでスタートいたしております。
 それから、8月には二次決定ということで港湾、それから、中央官庁施設は九段の第三合同庁舎という国の東京をエリアにする地方部局がここに入るという予定になっております。それ以外の「等」につきましては、国立大学とか、公営住宅についてPFI手法を導入すると、そういう決定がなされております。
 それから、12月にPFI法の一部改正法が公布、施行されております。当初のPFI法も議員立法でございましたけれども、今回も議員立法ということで、正式には国土交通委員長の提案という、委員会提案で審議されまして成立いたしております。
 それから、下の政府全体の取り組みのところにございますけれども、その一番下、PFI事業の支援ということで、調査費の補助金の制度が13年度一次補正の予算から内閣府に設けられております。実施方針とかあるいはバリュー・フォー・マネーのための調査のための費用だということで、2分の1補助を内閣府がするということになっておりまして、13年度補正は県、市町村全部対象だったのですが、14年度の当初予算は市町村のみということになったそうでして、県は補助対象にならないそうです。
 それから、2の3ページからは、PFI法の改正の概要が書いてございます。
 大きく2点ございまして、行政財産の貸し付けの取り扱いについてということで、法律の条文でいくと11条の2ということになります。資料の後ろの方の18ページ以降に改正法が載っております。
 それから2つ目、公共施設等の管理者の範囲拡大ということで2条の第3項、この2つを改正いたしております。
 まず、行政財産の貸し付けの取り扱いについてでございますが、次のページのその2のところからご説明いたします。2の4の下の図でございますが、イメージ図をごらんいただければと思います。
 旧法のときは、PFI事業者に対して行政財産である土地を貸し付けができなかった。ここにありますように、用途または目的を妨げない限度において使用許可ということで、原則1年以内という一時的な使用を、公法上の許可をして認める、そういうやり方でしかできませんでした。旧自治省の通達によりますと、行政財産の場合はこういうことだけれども、用途廃止をして行政財産を普通財産に変えれば貸し付けはできると。そういうことで、どちらかでやっておったわけでございますが、今回の改正によりまして、国有財産法と地方自治法の特例を今回PFI事業に限って認めるということで、右側にありますように行政財産としての土地を、PFI事業者に対して貸し付けができると。賃借権等の設定ができるということになりまして、右上の四角の中にありますように、このことによって位置づけの明確化や長期間にわたる安定的な事業の継続に資することとなる、そういう効果が期待されます。
 それから、その1に今度は戻っていただいて、その行政財産の貸し付けにつきましては、もう一つの貸し付けの仕方があるということでございまして、イメージ図をごらんいただきますと、建物の一部がPFI事業、それから容積に余裕があるような場合にPFI事業以外の事業をPFI事業者が建物を建てると。区分して建物を建設するというような場合、こういう場合も行政財産の貸し付けができるという特例が設けられております。これは1棟の建物に合築する場合だけですので、2棟に別々になる場合は法律上できないということになります。
 このことによりまして、次のページにありますが、行政財産の有効活用さらに効用の拡大、収益性が向上すると。先ほどありましたように収益施設を設けることができれば、PFI事業とそれ以外の事業を含めてPFI事業者の収益性が向上するという効果が生まれます。
 それから、改正のその3でございますが、公共施設の管理者の範囲拡大ということで、従来は各省、各庁の大臣が管理者であったわけですが、さらに加えまして衆参の議長、最高裁の長官、会計検査院院長をつけ加えるということで、このことによりまして現在これらの部局で例えば衆議院、参議院の議員会館、それから衆議院の議員宿舎とか、あるいは先ほど申しました文科省と検査院の7号館の建てかえも、これで可能になる。7号館の建物は、私どもの国土交通省の営繕部が建設はいたしますが、管理は入居する官庁が管理者になることになりますので、検査院が完成後は維持管理をするということで、PFI事業の施行者になれるというふうに改正をしたわけでございます。
 それから次のページ、2の6からは国土交通省の取り組みについて書いてございます。
 2の7の上の図をごらんいただきますと、左上が港湾の関係で、中枢、中核国際港湾の公共コンテナターミナル、下の表にありますが、1と2の港湾の施設についてもう既に実施中でございます。それから右上が先ほど言いました文科省検査院のPFI事業。ここ、ご存じの方もあろうかと思いますが、霞が関ビルを含むこの街区全体を再開発しようということで、霞が関ビルはそのまま置いといて、それ以外の建物が全部で5棟ありますけれども、それらを市街地再開発事業によって権利変換で土地を移転して、その中でこの2つの役所の合同庁舎をPFIで建てると、そういうことになります。
 それから下の図が、これは東京の南青山1丁目にございます都営住宅の建てかえの完成予想図でございます。都営住宅を建てかえまして都営住宅以外に福祉施設、保育所とか高齢者向けの施設、あるいは図書館とかコンビニとか、それからテレワーク支援施設というようなものも予定しているようでして、それから民間住宅は分譲も賃貸も可能だということで、いろいろ検討されておるようでございます。
 そういう計画もございまして、下の表がこれまでの実績でございまして、PFI事業は全体ではきょう現在で41あるのですけれども、このうち国土交通省の関係のPFI事業が10個ございます。港湾が2つ、駐車場が4つ、公園が2つ、下水道、再開発がそれぞれ1ということになっております。
 それから、次の2の8でございますが、助成制度が書いてございます。
 まず、財政支援でございますけれども、この表の上から4つ目以降、補助事業でございます。公園、先ほど前のページにありましたが、神奈川県の湘南海岸公園に14年度補助が出る予定になっております。それから下水道事業、これも前のページにありましたが、東京の大田区の森ケ崎の処理場の発電設備について、14年度に補助をすると。
 それから市街地再開発事業、これも先ほどのページに西国分寺の駅前を公団施行で再開発を現在事業認可の手続に入っておりますけれども、そこで特定建築者として国分寺市が市民文化会館を建設するわけですが、その特定施設建築物の建築事業をPFI事業に出す
という計画でございまして、これも14年度から補助をする予定になっております。
 それから、公営住宅でございますが、これは平成8年の法改正によりまして、借り上げ、買い取りの制度ができましたので、このときから民間に対しまして補助ができるように制度上なっております。
 それからその下、道路事業、これは平成14年度の新規の補助制度でございまして、これも先ほどのページの奈良県の橿原市で地下駐車場をやりますけれども、道路整備特別措置法に基づきます有料の地下駐車場を、この交通安全施設等整備事業の補助、BTOの事業に対して補助をするという予定でございます。
 それからその下、無利子貸し付け、財投の融資制度も用意がされております。
 それから、税制につきましては、14年度の税制で港湾の関係で固定資産税、都市計画税が2分の1の課税標準ということで、イコールフィッティングにならないわけですけれども、一応財務省から認められまして、14年度の税制改正になっております。こういう国土交通省の助成制度の取り組みでございます。
 それから、2の9の下の表でございますけれども、国土交通省でPFIの相談窓口というのを設置いたしておりまして、PFI全般につきましては私、それからそれ以外の個別事業の相談につきまして、16の分野にわたりまして担当者を決めまして相談を受けるという形をとっております。
 以上、私の方から国土交通省の、あるいは国全体の取り組みにつきましてご説明をいたしました。以上でございます。

○西野教授 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、ファイナンス面から見たPFI導入のポイントということで、日本政策投資銀行の大串さんからお話をしていただきます。よろしくお願いします。

○大串次長 日本政策投資銀行の大串でございます。座らせてやらせていただきます。
 私に与えられましたテーマは、「ファイナンス面から見たPFIの導入のポイント」ということでございまして、お手元に3の1からの資料が用意してございます。比較的大部になっています。そのうちの9ページ以降はプロジェクトファイナンスそのもの、PFIに関する参考資料という位置づけでお考えいただきたいと思います。
 それから、きょうはファイナンス面から見たということなのですが、ご出席の民間の方々の中に金融機関の方もいらっしゃるのかもしれません。そういう方にとってはやや私のお話はプリミティブというか、もの足りないなというところがあるかもしれませんけれども、その辺はちょっとご容赦をいただきたいと思います。
 それで、まず資料の前に、私どもとPFIの関係、どうして日本政策投資銀行が熱心にPFIに取り組んでいるのかということを簡単に3つほどの観点から申し上げさせていただきます。今、小泉内閣でいろいろな改革が進んでいます。その中で公共的なサービスを新しい手法でやることが一つの課題になっています。そこから政府系金融機関であります私どもが積極的にPFIに取り組んでいるという点が一つ。
 それからもう一つは、いわゆる社会資本整備の観点からいきますと、それを民活的あるいは民間事業の形でやろうとする場合には、事業期間も非常に長くなるということで、事業性の観点から長期の資金を要することになります。私どもは長期の融資、資金供給をやってきたということから、昔からこの分野に比較的近いという点であります。
 それから3番目に、私どもは政府金融機関ということで、民間事業者さんと自治体さんを初めとする公共サイドの間に立って、中立的な立場で意志疎通を円滑にさせていただくことができて、その観点からPFI事業を効率的に進めていくことが出来るのではないか。ある意味では勝手な思い込みかもしれませんけれども、そういった点から取組んでいるということでございます。
 それではお手元の資料をご覧ください。(これから申し上げますページは、資料の方では枠で囲ってあるスライド番号の方、資料の右下に書いてあるところで申し上げますので、よろしくお願いいたします。)
 まず、ここで公共サービスをPFIで活用して実施するということの意味の再確認ということです。PFIは公共サービス分野へ民間セクターの関与を従来以上に深めていく、それによって事業効率性を高める官民パートナーシップの一手法だと思います。そうした観点からいきますと、官と民の相互の役割を対等に認め合って緊張関係を持っていくことが必要であります。
 さらに、民間の経営技法でありますとか、技術革新手法、そういったものが公共サービスに効果的に導入されるということが必要であります。
 また、そのためにリターンを得るという民間のインセンティブを高めていくということを念頭に置いて、ファイナンス面から事業を組み立てていくということが必要だと思います。
 以上を踏まえて、本題のファイナンス面から見たPFI事業構築上のポイントということでございますけれども、公共サイドと民間サイド、それぞれ一応分けて考えてみたいと思います。
 スライド番号4のところをご参照いただきたいと思います。PFI事業構築上の個別留意点ということでございます。、解説するまでもないと思いますけれども、PFIの最大のポイントは適切な事業権契約の構築です。これは、サービスや事業が継続されることと、ファイナンスの観点からは適切なスキームが成立する事業権契約を結ぶことが大きなポイントだろうと思います。
 というのは、事業権契約の中には事業期間でありますとか、事業破綻時の対応でありますとか、あるいは契約終了時の規定というものがありますが、それは当然ファイナンススキームの構築と一体となるということであります。その中で、バリュー・フォー・マネー(VFM)の最大化、極大化というのが最大のキーワードでありまして、これを実現することによって官民相互の利益に寄与する訳であります。
 そのVFMの源泉というのを5つほど挙げてございます。ここで特に5番目でプロジェクトファイナンスによる金融機能の活用というのをあえて入れてあるのは、金融の意義を強調したいということからであります。
 その源泉のまず第1番目でございます。性能発注、一括発注ということです。従来の仕様発注という観点、従来の公共サイドの予算制度からいきますと、例えば廃棄物処理など見ていますと設備の運転時の費用が非常に高くつくということで、それは予算である程度見込まれるということになりますと、それをにらんで受注をするということになります。PFIではむしろ具体的な性能とかそういったものを提示することによって、民間の工夫を引き出していくというのがまず第1点でございます。
 それからもう一つ、競争原理の最大限の活用ということでございますけれども、これはスライド番号の6のところを参照していただきたい。何を論点にしているかと申しますと、PFIのプロセスの中で入札公告を出すまでの間に、十分な形で民間と対話をしていく必要があるのではないか。その対話という意味は不透明な形でということではなくて、例えば入札時点でファイナンスアレンジメントをすることのいろいろな契約上の問題を、公共サイドでも認識した上で入札公告を出していく。余りに短い期間ですとそこで民間の創意工夫というのがなかなか進みにくいということです。最近は必ずしもそうでもないようですけれども、十分な時間が必要であるという点でございます。
 それから、第3番目でございますけれども、適切なリスク分担というのを先ほどあけておりました。これについては7ページを参照していただきたいと思います。このリスク分担というのが、ファイナンス上極めて重要でありまして、官民双方に関連するポイントであるというふうに思っております。PFIをやる際に、主要な金融手法としてプロジェクトファイナンスの手法を使うことが多い訳ですが、リスク分担の考え方がそのコア部分でして、この点の関係者の方々の十分な認識が不可欠と思います。
 スライドにお示ししましたように、プロジェクトには個々に分解しますといろんなリスクがあるわけですけれども、リスクを最小化するという努力をすることがVFMの極大化に通じるという観点に立っているわけです。それにはどうすればいいかということを頭で考えますと、プロジェクトの持っているリスクを細かく分解していって、それぞれについて最も適切にコントロールできる人がコントロールリスクを負うべきだ。そうすることによって、いわゆるリスクプレミアム、つまりリスクを負担する対価としてのリスク負担料、それを最少化することができるということであります。民間が相対的にコントロールしやすいリスクを民間に移転することによってリスクプレミアムを獲得するという動機が働いて、競争原理によってコストが下がる。こういうふうに考えるわけです。
 したがって、民間でコントロールできないリスクを民間の方に負わせると、かえってリスクプレミアが高くなることになって、全体としてバリュー・フォー・マネーが下がることになります。より多くの民間へのリスクの移転ということではなくて、より合理的なリスクの分担がPFIの本質です。必要以上に民間にリスクが移動すると、リスクプレミアムが高くなってVMFが下がるという考え方を図示したのが、8ページのスライドです。つまり、一番最適なところより更に民間にリスクを負わせますと、そのことによって民間が要求するリスクプレミアムが高くなりますから、全体としてバリュー・フォー・マネーが下がる、こういう考え方であります。
 次に、先ほど冒頭に申し上げました5つの源泉のうち4番目でありますけれども、モニタリングによる業績連動支払いということが書いてございます。
 事業権契約を統括して事業を行い、その後公共サイドあるいは民間、金融団等々がその事業をモニタリングしていくのがPFIの特徴です。この点は非常に重要なことで、これによって民間の工夫や動機づけを事業の中に組み込んでいくことができる。
 ここで表の9ページでございますけれども、適切なインセンティブ、ペナルティーを設定しておくことによって運営努力や工夫を引き出していく訳です。ですから、一方では公共サービスの提供が当初予定されたより上質になる、つまり、アップサイドにいった場合には、その部分の利潤は民間に還元する仕組みをつくるとか、あるいは施設のある一部分を自由に使わせて、そこから収益を上げさせるインセンティブを与えるというような面が必要です。
 他方で、逆にペナルティーの部分ですけれども、公共サイドとしては、当然必要な行政サービスや公共サービスを求めるわけですが、それが達成されなかったときはペナルティーを課す。問題はそれが合理的に設定される必要があるということであります。特にこれは契約解除の場合に非常に大きな問題になってきて、ちょっとしたことがあっても過大なペナルティーを課すとか、あるいは解除してしまうことになるとなかなか動機づけが働かないですし、特に契約解除の場合は、今まで提供してきた行政サービスを次にだれがやるのかという問題が出てきます。民間の側に責めに帰すべき理由によって事業権契約を解除する場合に、例えば施設そのものには瑕疵がない場合には公共サイドがそれを買い上げて、その行政サービスを続けていく、そういうことも事前に考える必要がある訳です。
 これらが事前に決められている、あるいは契約解除事由があったときにも適切な事業の治癒期間をつくっておくことによって、PFIプロジェクトに融資する金融団としてもそこのリスクがある程度提示され、リスクプレミアムが少し下がることにもなります。
 5番目にプロジェクトファイナンスによる金融機能の活用ということが、VFMの源泉の中で入れてありました。先ほど分割したリスクのアロケーションということを申し上げましたけれども、この考え方は金融の世界ではプロジェクトファイナンスとともに発展してきておりまして、私の理解としては、プロジェクトファイナンスにおけるリスクアロケーションの考え方を公共投資に持ち込んだのがPFIだと見ております。
 いわゆるプロジェクトファイナンスにの概説についてはいろいろなところに述べられておりますし、参考資料にもつけてありますので、普通の基本的なことは特に申し上げません。簡単に言えば、その事業から生ずるキャッシュ・フローだけを返済の当てにする金融の手法だということであります。PFIの中で、すべてがプロジェクトファイナンスという手法を使うことが求められるかどうかは、必ずしもそうではないとも思いますけれども、それが基本になる。その背景は3つほどあるのではないかなと思っております。
 1つはリスクのアロケーションという概念を取り入れることによって、適切な役割分担ができ、それを契約にする必要があることから、プロジェクトファイナンスの手法が使われる。
 第2に公共サイドにとっては、事業をスポンサーの倒産から隔離して、スポンサーが倒産してもそのプロジェクトは続行できるようにする。そのための特別目的会社が事業を継続できるようにする。そのための手法として、プロジェクトファイナンスの手法が使われる訳です。
 それから3番目に、いわゆるサービス購入型のPFIではある程度キャッシュ・フロー、手元に残るお金が確実に読めるということで、PFIとプロジェクトファイナンスが割と親和的に結びついているということだと思います。
 プロジェクトファイナンスでは、金融機関はプロジェクトのキャッシュ・フローのみを返済の引立てとしていますので、2つの相互に関連するポイントがあります。1つは、キャッシュ・フローの確実性を高める努力、今一つはキャッシュ・フローが全融資期間にわたって安定的に入ってくる努力が必要だということと、そのために事業契約継続のための仕組みというのが重要になってきます。
 ここで事業継続するために、金融機関がリスクアレンジメント機能を持つということになる点がポイントであります。金融機関が総合的なアレンジメント機能を果す機能といたしまして、事業内容の修復や、事業継続をしていくための介入権が問題になってくるわけです。それについては10ページに載っています。
 事業継続をするために公共サイド、それから金融機関サイドもいろんな形で、事業がうまくいかなくなったときに積極的に介入をして、事業の軌道修正を図り、瑕疵を治癒していくことが必要になります。
 従来型の公共事業でありますと事業のリスクはすべて公共が負っているので、事業者の交代という概念はなかった訳です。PFIは民間から良質な公共サービスを購入するという、公共部門のサービス購入戦略だと考えれば、事業の途中で何か問題があったときに、それをすぐ終わらせてまたもとの公共的な手法でやるのではなくて、ある程度治癒期間を設けて次の事業者に入れかわらせてやらせる、やってもらうことが、重要なポイントになります。それを担保し、実効あるようにするためのものが、金融機関と公共サイドとの直接契約、ダイレクト・アグリーメントと言われるものであります。これについて11ページをごらんいただきたいと思います。
 PFI契約の解約事由が発生したとか、あるいは端的に事業者が債務不履行になってしまったとか、良質なサービスを提供しないものだから契約を解除したいというようなときに、すぐ債務不履行として契約解除や担保を売り払う、あるいは公共サイドの方ですぐそれを買い戻すということではなく、金融機関に事前に通知をし、金融機関が持っている事業者の地位を譲り受ける権利を利用して、適切な事業者を新たに参加させることを可能にする。突発的な事項が発生したときに金融機関と公共サイドで事業計画のためのいろいろな協議をすることを決めておくことが重要になってくるということであります。
 以上が、主として公共サイドの話でございますけれども、次に、民間サイドから見た点です。まず先ほど7ページでありましたように、適切なリスク分担は、民間でも同じでございます。例えば保険でカバーするべきような事由というのは事業者が負担するのではなくて、保険会社が負担する、保険会社をかませる。民民間での適切なリスク分担も必要だということであります。
 次に、13ページをごらんいただきたいと思います。民間サイドでの留意点で一番重要なのは、実際にPFI事業者として20年とか30年とか、長期の事業をいかに安定的、継続的に実施できるようにするか、それにファイナンス面でいかに対応するかであります。
 先ほども申し上げましたように、プロジェクトファイナンスで実施するとすれば、事業から得られるキャッシュ・フローがポイントです。それを事業期間の間ずっと安定的に確保していくということが重要で、これが不安定でありますとリスクが高くなるということですから、貸し手の方のリスクプレミアムが高くなる、つまり資金コストが高くなって、場合によってはファイナンスが組めなくなることになります。
また、キャッシュ・フローが不安定ですと、例えば独立採算事業で行う部分とか、サービス水準が要求水準を下回ったのでペナルティーが課せられるとなると、やはり貸し付けも問題が残るということでありますので、そこをどうやってやっていくかが一つの大きな問題です。ここで、いわゆる借り入れと株式、デッドとエクイティーの差を認識して、デッドとエクイティーをうまく組み合わせていくことが重要な発想になってくるわけです。つまり貸付金というのは、事業の成功度合いに関係なくて一定のコスト、つまり利息しかもらえない。事業がどんなにうまくいっても貸し付けの利益というのは利息しかないわけです。
 一方でエクイティー、株式の方はいわゆる超過利潤があったときはそれを全部もらえる、つまりエクイティーというのは配当という形でリターンを期待するということです。したがって、キャッシュ・フローが安定的と認められる部分については借り入れで対応して、その後にそれ以外の不安定な部分を出資者の株式、エクイティーでカバーする形で組み合わせていくことが重要であります。そうすることによってエクイティーの部分は事業がアップサイドに振れたときに、その利益を享受できることになります。したがって借り入れ、デッドがあることによってエクイティーが高いリターンを享受できることになり、そのことによって事業の全体の仕組みをつくっていくということが出来るわけです。
 以上はものの考え方でありますけれども、現状SPCはどちらかというと応募企業グループが中心になってエクイティーを引き受けています。今後PFI事業が進んで、一般投資家が参入していくというようなことになりますと、さらにこうした視点をうまく組み合わせていくことが必要です。
 次に14ページです。最後の論点でございますけれども、リスクのうち、事業リスクに対する対応という点です。サービス購入型PFIは収入が比較的安定しているということが言えるわけですけれども、そうでないものについては、キャッシュ・フローが減少する場合があります。
 その場合に、借り入れと出資をどのように振り分けていくのかというのが重要です。資金を回収できるか回収できないかは一かゼロかではなくて、ほとんど確実と思われるような部分と、どうかなという真ん中の部分と、不確実で、ただし利益が上がれば享受できる部分とに分かれるとしますと、確実な部分はいわゆる借り入れ、デットでやる。それから不確実な部分は株式でやる。その中間のところ、中2階、メザニンというふうに言うわけですけれども、その部分は株式でもない、普通の借り入れでもない、劣後的な資金を入れて、借り入れるより劣後的な資金を入れて組む。例えば株に対しては優先株とか、そういったようなものを入れていく。プロジェクトからの期待収入を分類して、それにふさわしいような資金調達のソースを組み合わせていくのが、事業リスクに対する一つの対応手法ということになるわけであります。
 以上で論点のところを終わりましたけれども、最後に15ページ、16ページです。冒頭にPFIの事業構築のポイントとしてVMFの最大化ということを申し上げました。そのためには適切な役割分担でありますとか、適切なリスク分担が必要です。これらが新しい形で組めることがどんどん進んでいきますと、金融機関を含めたPFI市場が拡大していく期待もあるということであります。
以上で私のコメントを終わらせていただきます。

○西野教授 どうもありがとうございました。
 それでは、その次にPFI実務上の課題と対応ということで、猪熊さんにお願いいたします。

○猪熊部長 国土センターの猪熊でございます。
 15分ほどお時間いただきまして、実務上の課題ということでご説明を申し上げたいと思います。
 内容的には、私どものセンターと協力会社との今までの経験と、先進的な自治体さんにヒアリングを行っておりまして、実際PFIを進めるに当たってどういうところが課題だったかというようなことをお伺いしまして、それに対する対応を私どもなりに考えたというような位置づけの資料でございます。
 中身的には3本立てになっておりまして、1番がスキーム構築上の課題ということで、時系列的にその手続を進めていきますと、どういう課題が出て、どういう対応が考えられるかというのをご説明いたします。2番目が、制度上の課題ということで、これはPFIの現在の制度でどういった課題があるかということです。それから3番目が、特に自治体さんなんかをお話していますと、導入するに当たって地元での協議がどういう課題があったかという点を二、三ご紹介したいと思います。時間の方を優先しまして、時間が来ればその時点でやめたいと思いますので、よろしくお願いいたします。全体をクエスチョン・アンド・アンサー形式でまとめております
ので、番号に沿ってお話をいたしたいと思います。
 1番目のQ1ですけれども、これはPFIの一番根幹のところでありますけれども、個別法は管理者についてどういう規定をしており、PFI導入に際してはどのような見解を示されているかという意味ですけれども、個別法というのは、例えば道路法ですと道路法の13条に、国道の指定区間というのは管理は国土交通大臣が行うということに定められておりますが、一方でPFIは管理を民間事業者がやると、こういうふうな定めになっておるわけです。
 その間の整合性をどうとるかという問題なのすけれども、アンサーの1のAですけれども、国土交通省の所管の公共施設等については、公共施設と民間事業者、管理者と民間事業者が協定を結びまして、協定等において規定することによりさまざまな公物管理業務を民間事業者が行うことが可能であるというような見解が示されておりますので、回答の一つということで、この問題が解決されるというふうに考えられます。
 Q2ですけれども、PFI導入の可能性ということで、PFIに向く事業と向かない事業というのが一般に考えられるわけですが、いろいろ書いておりますが一番大きいのはやっぱり民間の方が創意工夫の余地があるかどうか、これが1点と。創意工夫をする余地があるというのは、比較的維持管理を含めればそういう余地が出てくるということ。それから、PFIというのは非常に公募、プロポーザル、提案というな手間暇かかるものですから、事業規模がある程度大きくないと導入するのが難しかろうと考えられます。こういったこととあとスケジュール的なことを考えて、一番最初PFIにしようかどうかというのを考えるということです。
 その次に、BOTとBTO、ビルト・オペレート・トランスファーとビルト・トランスファー・オペレートで、これは所有権を当初民間が建設するわけですが、いつの時点で公共側に渡すかという違いをあらわしたもので、BOTは運営をした後トランスファーするということで公共側に渡す。BTOはビルトしてすぐ公共側に所有権を渡して、その後民間がそれを借り入れる。借りるという形でオペレートします。その選定はまず法制上、この法制というのは非常に広い意味で、行政指導とか通達も含んでですが、先ほどの公物管理の話を絡めるとか、その次にありますのは補助金がつくかどうかというときの条件にされる場合もございます。
 そういった場合に、例えば補助金が欲しいということになると、必然的にどちらかに決まってまいります。そういう条件がない場合には、純粋にBOTとBTOの特性を考えて選択するということになります。その段階に進みますと、一般的な特徴としてクエスチョン4ですが、BOTというのは民間事業者が所有権を持ちますので、いろいろ細かい細工、工夫、創意がしやすいという特徴がございます。
 それから、コスト上の要因ですが、これは主に税務の話ですけれども、BOTというのは民間事業者が所有権を持ちますので、民間事業者は所有権を持つことによる固定資産税を負担する必要があります。ですから、その分お金を余計に払わないといけなくなって、利益が少し減ってくると。キャッシュ・アウト・フローがBOTの方が大きくなるというようなことになります。
 それから、あと税務で法人税の申告の話ですけれども、BOTは所有権が民間事業者にありますので、民間事業者は税務申告に当たって減価償却を費用に乗せることができます。BTOはそれはできませんけれども、ただBTOの場合でサービス購入型、サービス購入型と後で出てきます独立採算型という言葉が出てきますが、サービス購入型の場合には割賦原価を費用に計上することができます。
 ちょっとここでサービス購入型と独立採算のお話をしますと、サービス購入型と言いますのはPFIの事業費なり運営費、費用をだれが負担するかという観点から分けられたもので、サービス購入型というのは公共自治体がそのサービスを購入して、税金でペイ、支払うということです。だから、納税者がPFI事業の費用を負担する。独立採算型と言われますのは、料金を徴収して、その費用を利用者が負担するというものです。サービス購入型の場合は、税金で支払われた割賦、支払いがありますので、それの原価を計上することができるというようなことが書かれてあります。
 それから、リスクについてですけれども、BOTというのは民間が所有しますので、所有しているに当たって細かいいろんな修繕とか出てくると、理論上はその契約によって公共と民がきちんと分ければいいのですけれども、非常に細かい場合になかなか実務的にはそういかない傾向もあるということで、その部分がBOTの場合、民間事業の負担になることがあろうかと思うんです。
 一方、事業が何らかの原因で破綻した折に、BOTとBTOですが、民間事業者から見た場合にはBOTというのは所有権を持っていますから、破綻時にはやっぱり民間事業者にとっては強いわけですね。逆に公共の方はリスクが大きいということになります。BTOの場合には、その逆のリスクの状況になります。
 それからクエスチョン7で、先ほど申しました費用をだれが負担するかというので、サービス購入型と独立採算型というのがありますが、これにつきましては独立採算というのは比較的数が少ないのですけれども、導入するに当たっては民間が採算がとれること。民間事業者が独立採算の場合は利用者の料金を徴収して、利用者負担で事業を継続するということになりますので、料金をその費用をカバーするに見合うだけ、つまり採算がとれるだけ見込めなければ独立採算にしたいというふうに、要するに税金を使いたくないと公共側が思っても、それはなかなか難しい面があるということです。
 それから、クエスチョン8の事業期間の設定に関しましては公共側と民間側で少しどういうふうに考慮するかというのは分かれますけれども、公共側の場合にはサービスの継続性というのがありますし、民間側の方はファイナンスが可能かとか、それから事業期間によってIRR、インターナル・レート・オブ・リターン、利益率ですね。これが変わる場合がございます。こういったことを考える。
 それから、PFIを参入する動機ですけれども、民間事業者から見た場合にどういう事業であればPFIに参入することになるかというのを答えたのがクエスチョン・アンド・アンサーの9ということですが、民間事業者で主体者の場合には当然利益率、利益を上げるということがPFI参入の動機になります。どのぐらいの利益かということで、英国での例でこの場合サービス購入型が多いものですから、リスクは比較的小さいという場合には、資金調達金利よりも上回っていればいいだろうと。少なくとも上回ってないと、事業としては成り立たないということになります。平均調達金利以上の利益率、プロジェクトIRRを確保する必要がある。
 一方、金融機関がどういう根拠でPFIに参入するかということですけれども、A番、B番でDSCR、デッド・サービス・カバレッジ・レイシオといいますが、これは元利返済の何倍のキャッシュ・フロー、現金が入ってくるかという、各年ごとにですね。一番厳しいところでも 1.1、元利返済の1割増しから2割増しぐらいのキャッシュ・フロー、現金の入りがないと金融機関は貸さないでしょうというようなこと。それから期間全体で平均して見た場合でも3割5分増しから5割増し程度は必要だというのが、金融機関の動機づけになります。
 あと大規模修繕のところはちょっと時間の関係で飛ばさせていただきまして、税制上積み立てができないというのは一つの問題だということでございます。
 第2章の方のPFIの課題というところを少しご説明したいと思いますが、ここでは制度面でのポイントの一つがクエスチョン13番で、これはプロセスとも関係しますが、入札の方式の考え方はどうなっているのかで、今のところ基本方針等で総合評価の一般競争入札ということが原則ということでうたわれておりますが、実態上は公募型プロポーザル、これは法律的には随意契約になりますけれども、それも結構行われているということです。
 スキームをつくっていくにはどちらかを選択する必要がありますけれども、その特徴を述べたのがAのところですけれども。一言で申し上げますと、公募型プロポーザルの方は公共側と民間事業者の候補者がネゴシエーション、交渉がかなり自由にできるもんですから、それなりの手づくりのPFIスキームを確立することができます。ただし、そのために双方に、特に公共側にそういう交渉をする知識と知恵と能力が必要ですし、非常に手間暇がかかるということなのですね。逆に総合評価の方は、少なくとも事業の入札行為後の交渉というのは原則できませんので、淡々とスケジュールに沿って進むということになります。ですから、手づくりという面が欠けますけれども、手間暇という面からは楽ですねという感想をお聞きしております。そういう特徴がございます。
 それからあと、ちょっと最後に第3章の地元対応の課題を少しご説明したいと思います。クエスチョン19ですけれども、先行事例でPFIでやろうとしたときに、特に自治体の方が議会の方からどういう注文がつくかというようなことをお伺いしたんですけれども、1番が事業が破綻したときに、債務を公共団体が負うのじゃないかというようなご懸念が議会の方からあったということです。これについてはいろんな対応があるわけですけれども、ある自治体ではPFIの資産を処分することによって、地方公共団体が不合理な債務負担というのですか、リスクを負わないようにするというような説明をしたところもございました。
 あと、地元の中小企業が入れないのじゃないかというような心配をされる方もおりまして、ジョイントベンチャーといいますか、SPC、スペシャル・パーパス・カンパニー、特定目的会社とか、手を挙げる場合には何社かでジョイントして手を挙げる場合が非常に多いわけですので、そうした中で地元の企業も入れるんじゃないかというようなことを説明して、PFIを進めたというような自治体もございましたので。
 以上で、話を終わらさせていただきます。

○西野教授 どうもありがとうございました。
 それでは、今15時11分なので、予定ですとあと私には4分ぐらいしか残っていません。お配りしております1の26ページというところに、私がほかの講演会で使った原稿を載せております。これをこのまま話しますと1時間以上かかるというので、主な点の一部だけでもご紹介をしようかと思います。
 時間がない上に、余計なことを話しますと困るのですが、ここにおりまして多少居心地が悪いような気がしております。どのぐらいの方が土木系のエンジニアかなというふうに見ているのですが、私の知った人がほとんどいないものですから、ちょっと自己紹介をさせていただこうかと思います。
 私は1959年に東京大学の土木工学科を卒業しまして、6年後の1965年の30歳のときから、58歳まで東京大学の土木工学科で講師、助教授、教授をしておりました。今は60を超えておりますので東京大学の土木工学科の名誉教授というふうになっております。本来土木屋でございます。最近はいろんなことをやっておりまして、PFIは土木に非常に近いので比較的居心地がいい方ですが、そういう経歴です。
 それでは、その次のスライドを出してください。
 日本版PFIという言葉に最初は非常に抵抗があったのですが、最近はやはり日本版と言わないといけないかなという気がしております。これは諸外国と非常に違っているという意味です。PFIの本質といいますと公共事業支出の繰り延べ、これは先ほど大串さんはちょっと違う言い方をされたのですが、本質的には起債と同じであると考えてよいと思っています。今、民間のお金を使い、将来税金から払いますよということに本質的にはなります。
 そうしますと、一番下に書いてありますが、将来の財政の硬直化を考えますと、全公共事業に占めるPFI事業の規模は10%から20%ぐらいが適切かというふうに考えます。
 国は皆さんご存じのように、一般の公共事業の場合には債務負担行為を5年に限っております。5年に制限しているというのは、将来の財政の硬直化を避けて、新しい事業ができるようになる。起債をするのと同じことになります。起債の額が多くなることに問題があるのと同じことと言えます。このことをほとんどどなたも言っていないので、ちょっと言ってみました。
 次、お願いします。
 それから、ここも一番下の方が大事なのですが、実施方針の公表時に発注者が実施した複数の基本設計を参考資料として添付するのがいいというふうに考えています。それは、数社が入札に応札するにしても、どこまで本当に考えてくれるかというのを非常に心配しています。そのために、官が本気で基本設計あるいは基本構想でもいいのですが、を考えて、箱物の建て方、維持の仕方、運営の仕方を考えた上で提示して、別にそれにとらわれる必要はありませんが、それを参考にして考えてくださいという方が、3社、4社が別々に検討するよりは安くて良い物ができるのかなという気がしています。
 すべての公共事業は性能設計であると言えます。これも先ほどの大串さんの話とちょっと食い違うのですが、一般に公共事業は仕様発注だと言われているのですが、そういうことはありません。例えば第二東名を今つくろうとしておりますが、これは東京と名古屋を結ぶという話であって、構想の初めには、東京のどこを起点にするかは決まってないのです。名古屋のどこに結ぶかも決まっていません。その間、どこを通るかも決まってないです。何車線にするかも決まってないです。スピードを幾らにするかも決まってないです。それをみんなで決めていくだけです。それを官が決めることがあっても、あるいはコンサルタントが決めることがあってもいいのですけれども、そうやって決まっていきます。官が決めるときに発注という言葉は適切ではありませんが、必要な性能を満たすように決めることは同じです。
 例えばこの大阪国際会議場をつくるときに、この設計をどうするかというのは性能発注です。その性能発注で本当にいろいろ考えた結果、図面ができ上がるわけです。そこから後は仕様発注ですけども、これはPFIだって同じで、すべてについて最初は性能発注です。その意味で、公共事業に仕様発注という概念は途中から入ってきますけれども、性能発注の条件を一番最初の設計の段階できちんと考えておけば、性能発注の条件を全て満たすことになるので、工事が設計に基づく仕様発注であっても、本質的には性能発注と同じと言えます。
 次、お願いします。
 先ほどから出ておりますが、PFIでは一般に総合評価一般競争入札が採用されます。ここが難しいのですが、ガイドラインを読んでいただきますと2段階審査が認められております。公募型プロポーザルは随意契約になるので、これは世界的に見ましてもまず無理であります。随意契約で 100億円の入札をするというのは、よっぽど特別の理由がない限り住民訴訟でも起きると負けると思います。したがって、私は個人的には多少中途半端な形ですが、2段階審査をガイドラインの中に入れたというところで、我慢していただく以外にないと考えております。
 一番下に書いてある過渡的な現象であろうと思うのですが、実施設計をしてそれからPFIにかかっている案件があるのです。実施設計の段階でどれだけ工夫がされているかわからないし、逆に箱物について実施設計ができていますと、その後の必要となる維持費とか運営費というのはほとんど変わりません。したがって、バリュー・フォー・マネーが出るはずがないというのが私の考え方です。
 金融機関の役割については大串さんが既にお話しされています。私は非常に大事だと思っております。金融機関による厳しい案件審査によると、むだな事業を実施する可能性が減るというふうに考えています。必要のない案件に金融機関がお金を貸して、事業の進行と共にお金を返してもらうとしますと、サービス購入費が非常に高くなっていきます。とても常識で考えられないサービス購入費になるとその事業は少しどこかに問題があるということが解ります。少なくともそういうことで要らない事業が減るというのと、それから少なくとも案件の実施、つまり入札の段階で現在価値に割り引きはしておりますが、その公共事業に30年間で幾らお金がかかるということがわかっておりますので、その事業が高過ぎるとか、必要性に対して無理があるとかいうふうなことがよくわかります。
 下の方に書いておりますのは、すべての案件についてPFIの実施プロセスを踏んで応札者がいない、あるいは応札者がいてもVFMが大きく乖離する状況をつかまない限り、むだな公共事業の実施をとめるのは困難ということで、私は金融機関の役割というのは非常に重要かなと思っております。
 PFI実施の手続については、公共事業である限り事業化を決める前には通常の事業と同じ手続を踏むのが当然でありまして、具体的には事業化可能性調査を実施して、優先順位の高いときに公共事業の実施を決める必要があります。そして、それをPFIで実施するか、普通の事業で実施するかという段階で、PFIで実施できそうだというのならPFIの手続を始めて、結果としてPFIが高価となったときにはPFIではなく、通常の公共事業として実施するという形になろうかと思います。
 次、お願いします。
 これも下の方に少し色を変えてありますが、PFI事業として実施するかどうかの評価の結果、適切でないとの結果となったときに、事業が実施される保証がないという、ちょっと妙なことを書いてあるのですが、これは私が今いる大学で起こる可能性がありそうな、PFIの調査費がついているのですけれども、仮にVFMがないということになりますと当然PFIでなくて、通常の工事事業方式になるべきです。そのときに、来年度に通常の公共事業方式による案件としての予算をつけてくれるかという保証がないのです。
 そうすると、もしVFMが出ないという結果が出ますと、VFMがないという報告書を書くことになります。新しく予算要求したときに、来年度予算がつかないと大学のキャンパスができないというようなことになりまして、下に書いてありますが特定事業の選定の評価結果が適切でない場合にも、意図的に適切とする結果にするモラルハザードを起こす可能性もあります。予算のつけ方によりましては、そういう心配をしています。
 国土交通省に確かめましたところ、調査費がつけば、VFMが出なければ普通の予算をつけるという返事でした。国土交通省以外の案件や地方自治体の案件では必ずしもそういうふうになるかどうかは非常に怪しいので、心配をしております。
 次、お願いします。
 PFI事業実施上の今後の課題で、透明性、公平性を確保するために、委員会というのを大体つくっておりますが、そこでは私が知っている範囲では点数制を採用している例が多いのです。これは非常に問題かなと思っております。
 例えば、8名の審査員がおりまして、2社が応札をしたという例を書いています。その結果、1つの社については1A、6B、1C、つまり、Aが1人、Bが6人、Cが1人という例をあげています。これを3、2、1で点数にしますと16点になります。同じ入札者に対してそれはほかの人が見るとAが2人、Bが3人、Cが3人という判定をしたときには、ひょっとすると最初の方の判定は余りだれもよくわからなくて、みんなが適当でこのぐらいでいいのではないかという判定をしたかもしれない。2番目の判定は、かなりわかる人が2人おりまして、その人がやっぱりいい点をつけたのに対し、3人ぐらいよくわからない人が適当な点をつけたという可能性があります。反対に3人ぐらいよくわかる人がいて、悪い点をつけたという可能性もあります。やっぱり議論をするべきですね。ところが、単に点数だけ出しますと上の方が16点で、下が15点になってしまって、自動的に上の方が採用されるということで、十分な議論をしない点数制というのはだめだろうと思います。
 結局、最終発注責任は発注者でありまして、委員会というのはあくまでも発注者に対するアドバイザーであって、私は点数をつけないで議論をして、この点がいい、この点が悪いということを出して発注者が決定するべきだと考えています。発注者が自分で決める能力がないときには、決めるためのアドバイザーを別にコンサルタントとして雇うべきだろうと思っております。
 次、お願いします。
 ここからちょっと問題なのですが、時間が余りないので、税のイコール・フィッティングと言っていますが、大きな従来型公共事業では負担しない税や、あるいはPFI事業体の事業収入に対する課税があります。これが日本版PFIの特徴でして、イギリスの場合にはほとんど一般の公共事業とPFI事業の間に課税額に差がありません。公共事業でやってもPFIでやっても、税金にはほとんど差がないと言っていいです。ところが、日本の場合には差があります。
 しかも、一番下に書いてありますが、PFI事業に対する課税として国、都道府県、市町村が課税します。国の事業で国に入ってくる税金は、キャンセルするから問題にならないのですが、国の事業で一般の公共事業方式であれば税金がかからないのに、PFIでやりますと都道府県と市町村にお金を払わないといけない。その分だけ高くつきます。一番下に書いてありますが、3つの税のうち2つの税は余計なコスト、PFIにしたためにかかる余計なコストいうふうになります。
 どうぞ、次お願いします。
 私自身は初め、そこに書いてありますが案件に応じて税を全額免除にするか、全額非免除にするのが良いように考えていました。本来の公共事業といえるPFI事業に対しては全額免除し、あるいは、公共事業といえそうだけども怪しいというふうなものは、一定の割合で課税対象の減免というのを提案したいと考えていたのですが、今はちょっと考え方が変わっていまして、同じ割合で国と都道府県と市町村の3つに税を納めるんですが、国が発注したPFIであれば、都道府県と市町村は自分が受け取った税金を全部国に回す、あるいは、都道府県が発注したPFIであれば、国と市町村が受け取った税金はすべて都道府県に回すといった方が、減税措置として、税法の改正を最少にして実質的には税がかからないという方法かなと思っています。
 次、お願いします。
 一つのケースについて試算してみたのですが、発注公共機関ごとの概略必要な税額を計算してみたんです。これは普通のサービス購入型のPFI事業ですが、国が発注しますとBOTですと全事業費のうちの14%ぐらいが税金になります。したがって、14%以上どこかで節約しない限り、PFIの方が高くつきます。BTOにしますと固定資産税がかからなくなるものですから、税額は7%になります。都道府県が発注しますと、BOTの場合には24%ぐらいかかります。したがって、どっかで24%稼がないとVFMが出ないことになります。BTOにしますと13%に下がります。市町村が発注した場合も24%、16%です。このことについてはもしご関心がありましたら、建設オピニオンの昨年の3月号か4月号のどちらかに日英の税制比較という題名で書いてあります。ほかの人がほかの試算をしておりまして、数字は少し変わっておりますが、いずれにしてもPFI事業として実施しますと、一般の公共事業方式に比べかなりの税金がかかります。
 それでは私の発表は時間がないのでこの辺で終わりにさせていただきまして、早速休憩に入りたいと思いますが、今、私の時計で3時28分で、3時40分にお集まりをいただきたいと思います。
 それから、まず私のは今話したばかりなのできついかもしれませんが、今までにまとまっている質問がありましたらお渡しをいただいて、用紙がなくなれば外でもらって、ま た次始まる前に集めますので、よろしくご協力をお願いしたいと思います。
 それでは、11分ほど休憩したいと思います。

( 休  憩 )

○西野教授 それでは、お約束した時間になりましたので、まず出ております質問にお答えをするようにしていきたいと思います。
 ここに来る前に、既にウェブ上で質問が出ておりまして、一つは「官民双方でメリットを享受し合える制度設計が重要だと考えます。大型プロジェクトにとどまらず、小規模なまちづくりに寄与するプロジェクトにも制度を導入することにより、地域、地場業者にも参入機会がふえ、景気の回復、公共の福利に寄与するのではないでしょうか。」これはいかがですか。寺前さんはどうですか、あるいはどなたか。猪熊さん。

○猪熊部長 私の方から。先ほど、国土センターの方の説明から、PFIの事業の適正、どういう事業がPFIに適当かというのでご説明しました中で、事業規模が大きいということを申し上げたと思うんですけれども、大きい理由はやはりPFIというのは、例えばリスクをどう分担するかとか、その事業の民間が、事業者が行って貫徹できるかとか、いろんな検討がされるわけです。
 今まで公共でやっていた場合には、そういう将来のリスクをきちんと検討するということがありませんでしたものですから。そういうようなことも含めて、非常に手間がかかります。民間サイドにしても、提案書をつくるというのにかなり実際上コストがかかりますので、そういうコストを支払っても一たん受けたとなると、そのコストを補って余りある何かの便益がないと、自然体ではPFIというのは進まないと思うのですね。そうしますと、それをカバーできるとなるとある程度規模が大きいものが必要になるというのが実態ではないかと思います。
 ですから逆に、そのあたりのコストを下げる何らかの工夫をされるとか、試験的にやられるとか、そういうのであれば考えられると思いますが、小さい事業の場合にはそういう難点が出てくると思います。

○西野教授 どうぞ。大串さん。

○大串次長 今の点に関しまして、全くおっしゃるとおりだとは思うのですけれども、一つだけ事例としてご紹介を。こういう例もあるので、当事者は本来のPFIの効果と言われている以外にいろんなことを考えてやるケースもあるのだなというご紹介ということで。
 スライドの33ページに、我が国における主なPFI事業@というのがあると思いますけれども、3の資料の33ページ、スライド番号33です。ページで言いますと3−17です。その中で左から3番目の、金ケ崎高品質堆肥製造施設の例です。岩手県金ケ崎町をご存じの方はこの中でほとんどいらっしゃらないのじゃないかと思いますが、非常に小さいプロジェクトで、二、三億で私どもの融資額も1億に満たない。岩手銀行さんと共同してやりました。町が堆肥の処理施設とリサイクル施設をぜひやりたいと。PFIというか、PFIもどきに近いでしょうけど。
 我々としても非常に小さい案件なので、そういうふうな方式でやるのではなくて、むしろ従来型の、3セクの形でやるのも一つの手法だし、別にすべての3セクによる事業投資が悪くはないので、そういうことも考えたらいかがですかということだったですが、本来の意図はわかりませんがとにかくこういう手法でやりたいということでした。
 岩手県、岩手銀行さんも地域の中でいろんなことができる手法として、こういうものが取り組めればということでやったということです。これも先ほど申し上げたように、本当にコスト的なことを考えると、事務のために必要な人件費とかを考えただけでも、こういう手法でやるのはどうかなと思われる面もあるのですけれども、地域によってはこういう取り組みもあります。小さい自治体でも、場合によってはあり得ないわけではない。ただ、経済合理的にはなかなか難しい部分もあるだろうと思いますが。

○西野教授 私からもコメントさせていただくと、私の1−34というページをあけていただきます。最後のスライド2つは省略したのですが。1−34に税と起債のみを資金とし、PFI法を適用というふうに書いています。その最初を見ますと、法的に可能か疑問の余地がありますが、もし適用できるとしても、適用は地方自治体のPFIのみになります。というのはPFI法14条の解釈の問題です。
 実施できれば税負担なし、民間の創意工夫は期待可能と思います。その14条というのは、その下に書いてあります。昨年の自治フォーラムという雑誌の10月号に論文が出ております。自治フォーラムというのは、自治省の中の自治大学校が編さんしている雑誌ですから、一種の自治省の機関誌と考えていただいていいでしょう。その中でも編集員の間で、これが可能かどうか議論になったようです。が、結論を下さないまま、論文にして出した方がいいというので掲載されたようです。これは起債ですから、一般の公共事業だと思ってください。
 しかし、一般の公共事業を30年なら30年一括して全部発注することになります。債務負担行為を30年に伸ばすことが可能であると、そういうふうにPFI法の14条が読めるかどうかという問題です。
 以上で、特になければこの質問はこれで終わりにしたいと思います。
 2番目に、「今年度省内で調査しているPFI事業分野をお教えください」というのがあるのですが、これは既に寺前さん、先ほどのお話にさらに何か追加はございますか。先ほどでよろしいですか。追加があればどうぞ。

○寺前企画官 先ほどのご説明ではちょっとご説明しませんでしたので、今年度国土交通省でPFIに関して調査しておりますのは9種類ございまして、そのうち1つがきょうのセミナーなんですけれども、ほかに港湾関係で3つ、コンテナターミナルの関係とか、廃棄物処理関係について調査をいたしております。
 それから、公園関係で1つ調査をしておりまして、公園施設のいろいろなケースについてケーススタディーをやっておる。それから、河川については高規格堤防に関係して、周辺の面整備との一体的実施方法について研究中。それから、道路については有料道路のPFI事業方式について、リスク分担に関するケーススタディーを実施しております。
 それから、北海道局で北海道におけるPFI事業の推進について調査をしている。それから、営繕では中央官庁施設のPFI導入、先ほどもご説明申しましたがその関係の調査というのが9つの調査ということであります。
 以上でございます。

○西野教授 どうもありがとうございました。
 今の3つが前もって出ておりまして、その後はきょう皆さんからいただいたものです。いろいろありまして、どこからお答えしていくのがいいのかわからないのですが、まず簡単なもので、「PFIの情報、特に国全体の案件はどうやって入手するといいのか。インターネットで各自治体のホームページをチェックする必要があるのか。内閣府のホームページぐらいか。」こういうことを聞かれておりますが、私自身内閣府のものは見ているのですけど、ほかのものを見ておりませんで、どなたかご存じですかね。これは足で駆け回る以外にないんですかね。

○寺前企画官 自治体の実施状況は内閣府のホームページで全部、実施方針とか特定事業の
選定等は見れますよね。

○西野教授 自治体のホームページで。

○寺前企画官 自治体のPFI事業について、実施方針とか特定事業の選定は内閣府のホームページに……。

○西野教授 ホームページに出ていますか。

○寺前企画官 全部出ています。

○西野教授 ということだそうです。内閣府のホームページを見ていただければ、あれは例えば応札者が間に合う段階で出ていますか。

○寺前企画官 そうですね。それから、あと民間のホームページに、PFIインフォメーションという、大阪の民間の方がやっておられるのもありますね。PFIインフォメーションというホームページがあります。
 それから、国土交通省のホームページの中にPFIコーナーをつくっておりまして、順次充実を今後していく予定でおります。

○西野教授 それから、同じ方から「PFIの税制上の問題について解決策は」というのが出ておりますけど、ほかの方からも税制問題が出ております。
 一つは、減価償却費の償却期限が法定の期限とPFIの期限とが合わないこと。それから、もう一つはここでは法人税の扱い。先ほど私が申し上げました固定資産税の扱いもあります。これについては寺前さんの方がいいのでしょうか。あるいは猪熊さん、どうぞ。

○猪熊部長 ちょっと減価償却の関係ですが、BOTで税務申告をする場合には所有権が民間事業者にありますので、その施設の減価償却をやります。このときに耐用年数がPFIの事業期間よりも長いと、費用として計上できる額はですね……。

○西野教授 聞いておられるのは解決策はということで、そういうことはご存じなのです。

○猪熊部長
 そうですね、済みません。
 1つは、そこのところの解決策は今はありませんですけれども、BOTで所有権移転するときに残額、減価償却残で例えば買い上げてもらうとか、そういうふうなこれは固有の契約を結んで、その面をカバーしているという例がございました。
 以上です。

○西野教授 それで、税の対策になっていますか。

○猪熊部長 トータルとしてはなります。

○西野教授 なっていますか。
 私、先ほど申し上げましたように、減価償却、法人税、固定資産税が現在のところはかかります。私の方は先ほど試算をお見せしましたが、どういう方法でイギリスのように一般の公共事業とPFIとが税制上同じにするかというのは大事な問題です。PFI法の中でそれについて、しかるべく措置をするようにとのみ書かれています。措置というのことであって、イコールにしろとは書いてないのです
 それから、PFIに関係している多くの方々の間で、税のイコール・フッティングを何とか実現したいという動きがあります。方法はいろいろあるのですが、先ほど申し上げましたように、どの方法をとったら一番うまくいくかというのはなかなかよくわかりません。私は先ほど触れなかったのですが、私の書いた論文の中にSPC法と私いつも呼んでおりまして、本当の名前を知らないのですが、不動産の証券化とそれの流動化のための法律があります。その法律を適用しますとかなり税金が少なくなります。制約もありますが。そういう方法でいくのか、あるいは留保分に税金をかけないのか等、いろいろ考えられるわけです。
 私自身は今のところ、税金は納めた上で、今3つ、国と都道府県と市町村に分かれて納めるわけですが、本来なら公共事業をやってくれば入ってこない税金ですから、都道府県が実施するときは、国と市町村に入らないものですから、それは入らなかったと思って、そのまま国と市町村に移算するというのが一番いいのかなとも思っています。そうしますと、完全に税金の問題は逃れられます。ただし、償還の問題はまた別の問題として残ります。
 一応、税金関係の問題はそのぐらいで、何かつけ足すことがあれば、もう少し続けてもよいですが。よろしゅうございますか。そういうことでお答えにしたいと思います。
 それから、同じ方から、「最近BTOが多いように見えるが、本来PFIのねらいからはBOTこそ推進するべきと思うが、どう考えるか」と。これについては、ちょっと我々の間で昼雑談をしていたんで、まず猪熊さんからどうですか。

○猪熊部長 ちょっと、先生のお考えと合うかどうかわかりませんが、基本的にはBOTもBTOもツールですので、いいものが安くできればいいという考え方に立つべきだろうと思うんですね。それぞれプレーヤーがいますので、公共側にとってはバリュー・フォー・マネーが出ること。それから、事業者にとってはIRRですね、利益が上がること。それから、金融機関にとってはお金が返ってくること。それから、一般の方はいいものを提供していただくと。そういうのが判断基準になるということかなと、私は思いますけれども。

○西野教授 私の方からちょっと追加をいたしますと、こういう分野に私は発展途上国相手のPFIから入りました。六、七年前から関与していたわけです。発展途上国の場合には、相手の政府は信用できないのです。何をやるかわからないものですから、必ずBOTにしておかないと、リスクが大きいです。
 日本のように信用できる国の場合には、トランスファーするかしないかというのは、普通でいうと余り問題はないと思います。トランスファーを受けましても、修繕をするときには自分でするわけではなくて、必ず見積もりをとって外注するわけですね。つまりアウトソーシングするわけです。そうすれば、それと同じことを契約の中に組み込んでおけば、BTOとBOTはほとんど差がないというふうに考えております。つまり、契約の仕方で解決できることかと考えています。
 ただ違いは、破綻時の契約をどうするかという点では少し難しい問題があります。破綻しなければ、ほとんど同じ契約でいいだろうということで、先ほど申し上げましたように固定資産税だけは助かるので、現在の税制のもとであれば、私はどうしてBTOにしないのかなという疑問を持っております。
 現在、BTOが多い理由は、法律上BTOにせざるを得ない案件が多いためです。例えば学校をつくるとすると、学校は法律上自分の敷地、建物でないといけないと決まっておりまして、やむを得ずBTOにすることが多いのですが、税金対策でBTOにしているということは余り耳にはしておりません。
 何かほかの方で、つけ加えることありますか。よろしいですか。では、この問題はそういうことで。
 次に、一番難しいのが出ています。「ユニバーサル・テスティングは必要でしょうか。イギリスでは廃止したと聞いています。実際日本でも、すべての案件に検討をかけると、かなりのコストになりますが、どうでしょうか。」とこういう話なのですが、これはどなたかいかがですか。

○寺前企画官 公共団体によっては首長さんが熱心で、すべての公共事業はPFIを前提に考えろ。予算要求をするときに、PFIでできるものを出してこい。できないという場合に、通常の公共事業でやると。そのときは、PFIでできない理由をちゃんと述べないと、公共事業はもう実施できない。そういうふうにやっている市もあるようでして、その場合のPFIでできるかどうかの検討というのはお金をかけないで、要するに職員が自分で検討しなきゃいけないと。要するに、調査費を計上したりするということはやらないで、職員がみずから研究して、財政課に要求する際にそういう検討内容をつけて要求をすると、そういうやり方をやっているところもありますので、コストはかからないようにやっていくと。こういうやり方も可能ではないかというふうには思います。

○西野教授 私の方から少しコメントしたいと思います。私はPFIの推進委員会の委員ですが、それとは無関係に一個人として聞いていただく必要があるのですが、私は先ほど言いましたように、土木工学を専門にしております。土木の専門家としては、今は無駄な公共事業が多いということで、非常に非難を受けています。全ての事業をユニバーサル・テスティングにかけますと、恐らく全部無駄な事業は明らかになるのではないかという気がするのです。
 不必要というときに、必要なものは経済的な理由で必要なものと、社会的な理由で必要なものと両方あると思うのです。そうではなくて、どっちから見ても要らないという事業は省けるので、本来ならばユニバーサル・テスティングがあった方がいいのかなという気はするのですが、コストとそういう公共事業案件との兼ね合いになります。不必要な公共事業が行われないという確信を持てば、ユニバーサル・テスティングというのは要らなくて、PFIに向いている案件と、そんなに手間ひまかけなくてもできる案件とは比較的容易に区別できるように思います。
 それと、先ほど言いましたようにPFIが非常にふえてきますと財政の硬直化につながりますから、必ずしもそれだけがいいわけではないので、やはり民間の創意工夫を生かせばこれはいいという案件というのおのずから決まってくるので、気持ちの上ではそういうユニバーサル・テスティングが必要でない社会になってほしいという気持ちでおります。
 パネリストの方、これでよろしいですか。
 その次は、これまた難しい問題が出ております。総合評価、一般競争入札の総合評価に関して、「定性的な判定で応札者が少ない場合や、PR内容がシンプルな場合でないと、説明し切れる判定の基準をつくるのは困難とならないか。」こういう質問が出ております。これはいかがですか。ちょっと私の説明で先ほど触れましたですね。特に皆さんからありませんか。
 私の方から申し上げますと、評価はコンサルタントの質の問題だと考えます。次いで、審査委員会の位置付けの問題ですね。私は審査委員会という名前にしたのが良くなかったのかと反省しています。審査委員会ではなく、官と官から評価の委託を受けたコンサルタント企業に対するアドバイスをする委員会と位置付けを明確にした方が良かったのではないかと考えています。今はいろんな専門家を入れています。一人一人みんな専門が違うのです。それぞれの専門家が専門の分野で官なり、コンサルタントの仕事をアドバイスすることで良いと考えています。どこに重点を置くかというのが、まだ余り皆さんの頭の中にないです。つまり、法律の専門家が入ってくる。法律の問題と総合評価とは本来は無関係で良いのではないかと思うのですね。
 もし審査委員会が総合評価をするのであれば、先ほど言いましたように査定委員がまず自分で総合評価をして、点を出して、A、B、Cぐらいつけてみて、「何でAをつけたのですか」とみんなで議論をして詰めていくと、総合評価がある程度はできるのではないかと思っています。
 私、海外の日本円でいいますと 3,000億ぐらいの案件に関係したことがありますが、そのときは3人で判定をやりましたが、まさに専門家3人、同じ分野の。そのときは非常に議論が伯仲しまして、ちゃんと1、2、3、4ついたですね。というのをつけ足します。
 あるいはどなたか。猪熊さん、何か。

○猪熊部長 そうですね。これだけではなくて後ほど出てくるのですが、選定するときに価格のウエートが高いというご質問もいただいているのですけれども、なかなか難しい問題だと思います。ひとつの感想ですが、総合評価と言いつつ評価が価格にかなりウエートが置かれる結果になるというのは、私の経験だと日本だけではなくて、国際的にもそういう傾向があるというふうなことをちょっと聞いたことがあります。

○西野教授 その次に、「今後の大規模プロジェクトはPFIが成り立つように計画しなければ実現しないか」と、こういうまた難しい問題が出ております。これはいかがですか。この出しておられる方は大型の橋、例えば紀淡海峡とか、伊勢湾港とか、そのような案件を頭に置いておられるのだろうと思います。

○寺前企画官 PFIは一つの手段でありますので、プロジェクトを実現させるか否かは、やっぱりPFIがどうだこうだではなくて、そのプロジェクトが本当に必要なのかどうかという政策評価ですね、B/Cをまずやって、政策評価をしていくという、そういう手続の方が重要であるんで。国家的プロジェクトになるとなかなか政治が動いて、政治的な判断も一部加味されるとは思いますけれども、PFIだから実現する、しないというのは余り正しくない。コストをダウンするための一つの手段であるPFIですので、それ以外にいろいろなプロジェクトが成り立つための手段というのはいろいろあると思いますので、余りこだわることはないと思いますね。

○西野教授 では私の方から少し申し上げますと、イギリスで始まった最初は道路から始まっているのですね。当然のことですが、だれかがアイデアを出すわけです。そうすると安くなります。そこは良いのですけど、それがパテントか何かにつながっていない限りは、2回目からは官も含めて誰でも使えるのですね。ですから、私たち専門語でパブリック・セクター・コンパレーターという公共事業でやれば幾らかかる。それに対してPFIでやれば幾ら安くなるとか、高くなるとか、こういうVFMが出る、出ないという議論をしているわけですが、1回目はある工夫が入って、VFMは出るんです。2回目にそれを公共が使えると、もうVFMが出なくなっちゃうんですね。
 ですから、道路のような案件ですと、PFIは案外難しいのかなという気がします。そうすると大規模プロジェクトであっても、むしろ一般の事業方式になるのかなという気がするのです。ところが、たまたま質問をされた方が海峡横断橋みたいなものを考えておられる組織におられるものですから申し上げますと、私、橋梁と基礎の2年ぐらい前の8月号に書いたんですけど、実は橋梁についての日本の技術基準は経間が 200メートル以下の橋にのみ適用されます。200メートルを超えた経間に対しては基準がありません。PFIであれば、自分の責任である程度自由に設計できるはずなんですね。もちろん一般公衆が通るものですから、人命に危険があると監督官庁が判断するとそれはできませんが、人命に影響がないとなると、自分で責任の範囲で自由にできます。
 例えば、つり橋ですとタワーであっても安全率を下げても良いのではないかとか、ケーブルの安全率を少し下げてもいいのではないか。特に補剛桁になりますとね。これは部分的に壊れたって幾らでも修理できるものですから、私は安全率を今 1.7ぐらいとっているのを 1.3ぐらいでもいいのではないかと思います。そういう論文を書いたことがあります。
 そうすると、今、寺前さんが言われたコストパフォーマンスではなしに、コストがうんと下がってきます。安全率 1.7を 1.3ぐらいに下げますと、普通の鋼の部分の耐震設計がうんと楽になります。そういうような特殊案件ではPFIが成り立つのではないかというふうにも言いました。
 それから、現在は基準によりますと影響線載荷をしておりますが、スパンが 2,000メートルというような規模の橋に影響線載荷というふうな荷重体系というのはあり得ないと思っております。
 それから、ご存じのように日本坂トンネルで事故を起こして以来、トンネルの中で事故が起これば入り口を遮断するということが行われています。載荷状況が非常に詰まってきますと、片方の入り口をとめるというソフト的な対応ができるのです。そうすると、荷重が半分以下に減ることもあり得ます。あるいは、もっと減るのではないかという気がしておりますのでPFIであればコストがかなり下がることにもあり得ます。
 それを例えば既存の公団ですと、つい基準をつくるときに責任体制がはっきりしないといいますか、従来の道路橋の基準を本質的にはそのまま延長しているというのが実状です。工夫の余地があるかという気がしております。
 その次は非常に難しいことを書いてありまして、「PFIが公共事業に与える影響についてお聞かせください」という質問です。まず、価格競争の激化、地元業者の衰退、これはいかがですか。これは猪熊さんかな、それとも寺前さんかな。

○寺前企画官 そうですね、先ほども言いましたけれども、財政的にも地方も非常に厳しい状況になってきましたから、今までのように公共事業を経済対策、あるいは雇用対策で使うということばかりいっていられない時代になってきましたので、なるべく安く公共事業をやっていくという方向に今、世の中動いていますので、確かに公共事業の請負産業の方々には厳しい時代であろうかとは思いますけれども。
 全体的に見てその方向、PFIを活用してコストダウンを図っていくという、良質なサービスも提供していくという方向で動いていくわけですので、全部が全部PFI事業になるわけじゃありませんから、先ほど先生もおっしゃったように1割から2割という、最終的にはその辺が目標になろうかとも思いますけれども。地元の業者に発注するというのは残ると思いますので、全体的には厳しいでしょうけれども、すべてそうなるとは限らないのではないかというふうに思います。

○西野教授 私、いつも少し過激なことを言っておりまして、先ほどからもかなり過激なことを言っていると認識をしておりますが、過激なことを言いますと、一種の構造改革じゃないかと思いますね。実は私の専門は橋でございます。長大橋梁みたいなものが専門で、例えば明石海峡大橋程度であっても、諸外国ですと一括入札です。デザイン・ビルドの一括入札もあります。
 日本では、明石海峡が何百社に分割されたのかよくわかりません。これはPFIの問題というよりは、PFIですと一括入札にせざるを得ない。普通のやり方でやると分割をするという方に問題があるのですね。国から言えば、安くしようと思えば一括入札にすれば良いのですね、安くなるのです。ただし、一括入札で受けましてもね、明石の橋を受けるとすれば、恐らく七、八社のJVでないとだめでしょうね。
 それから、実際の仕事は必ず下請に回るのですね。これは私の外国ので経験ですが、外国の経験の場合にはJVだけではなくて下請はどこを使うかといったことまで入札書に書いてあります。仕事の総量が同じ時に分割をして発注する方がいいか、一括発注する方が良いかという問題です。つまり、小さな企業から見たときに元請けになった方がいいのか、下請に甘んじるのは利益が薄く、心配かという問題です。日本に 660兆という財政赤字があり、公共事業が一番今非難の面に立っているときです。本来でいうと安易に利益をむさぼる時代は過ぎて、一般の公共事業であっても一括入札をし、それをJVで受け、さらに下請もきっちりして受けるというように入札の仕組みを変えれば、私はPFIと本質的には同じではないかと思うのです。
 今度は地元業者の衰退という意味では、今の話で大きな事業については中小規模の企業はどうしても下請にならざるを得ないという事態が起こってきます。片方で官公需法というのがありまして、地方自治体の発注する案件については40%をめどに、めどで良いのですかね、40%を地元企業が受注できるように配慮するという閣議決定がなされていると理解しています。

○寺前企画官 国が発注する……

○西野教授 国の事業ですか。

○寺前企画官 官公需法は国が発注するものについてです。40%。

○西野教授 そういう官公需法というのも現に生きておりますのでね。今、私が言ったような過激なことが一気に起こるとは思いません。時間をかけてそういう形に変わっていくのかな、という気もします。
 今、日本で構造改革、財政改革と言われている中で、必然的にある速さで起こっていくことだなという気がしております。これは建設業者、私は一員ではありませんが同じ分野で仕事をしている人間として、非常に厳しい状況に面しているということは認識をしております。
 その次に、「提案評価時に価格的割合が高く、提案内容を充実させても落札できない場合が多いのが実状です」と。「パブリック・セクター・コンパレーター、PSCの割合の30%減までを下限とするなど、制限が必要ではないでしょうか。」というこういう質問ですが、これは猪熊さん、あるいは大串さんにお願いできますか。

○猪熊部長 ちょっと先ほど言ったことのご質問、ちょっと返りたいと思いますが、追加をしますと国際競争入札も価格重視の傾向があると申し上げたんですが、その後ちょっといろいろ世銀の方なんかとも話をしたのですけれども、傾向としては割合シンプルなものですね。単なる道路なんていうのは割合価格の要素が強くて、非常に大きい橋梁とか、トンネルとか、複雑なものは価格だけでは決まらない傾向が強いというようなことも議論しましたので、一律に制限するというよりは物によって変わってくるというような形なのではないかなという気がいたします。

○西野教授 私が関係している幾つかの案件では、案件の内容を見まして総合評価と金額と、どういう割合で割り振ろうかということを先に決めております。したがって、30%というふうなことは明確には打ち出しておりませんが、大体その辺ぐらいで落ち着いているケースが多いですね。特に複雑な案件で工夫の余地があるものについては、総合評価の点数を金額の半分近くにする場合も多いという印象を受けております。
 その次に非常に難しい問題が出ておりまして、本気で考えていただきたいのですが、「我が国の空港の整備や運営において、PFI導入するときの課題と対策はどのようなものが考えられますか」という質問です。

○寺前企画官 空港ですか。

○西野教授 空港です。

○寺前企画官 一応、空港も国土交通省の航空局でPFIを検討すると言っているのですけれども、なかなか検討は進んでいないようです。
 空港、例えば一種空港で言えば国が直轄で建設、管理するわけですけれども、羽田は直轄で整備して空港特会でやりまして、成田は公団方式、関空と中部空港は3セク方式でやるという、かなり民間資金を使うやり方を既にもうやっております。しかも、今後は上下分離方式とかいろいろ、施設の建設と後の運営を分けるというやり方も今検討しているようですので、すぐPFIになるかどうかというのはわからないのですけれども、非常に建設費が膨大な金額になりますから、空港の経営は着陸料とかジェット燃料税、そういう歳入ではすべて賄えませんので、サービス購入型になろうかと思います。
 やはり施設は財政資金で、後の運営をPFIでというのが可能性はあるのではないかということで、今航空局の方では余り進んでいませんが検討されているという状態で。特に課題対策はちょっと私は詳しくありませんので、また航空局の方に伝えまして……。

○西野教授 質問者はわかっておりますので、個別なり、あるいはホームページで出していただくというようなことで、よろしくお願いいたします。
 私がここで何か言いますと、少し問題を起こしそうなので気がとがめているんですが、空港に限らず公共財の場合には外部効果があるんですね。つまり、空港が存在することによって、ほかで利益が出る。一番代表的なのは、市営鉄道が周りの住宅開発をした場合、公共財ですけれども私鉄そのものが利益を上げる必要はなかったんですね。。周りの土地の開発をして、そこで開発利益をとったのですね。
 空港がその代表例だと、私は思っております。具体的に申し上げますと、東南アジアの大部分の国で、外貨獲得の1位、2位、3位に入るのが大体観光業なんです。東南アジアの大部分の国では、観光業が成り立たなければ国が成り立たないですね。
 国際空港がなければ、外貨を稼ぐ観光業が全部だめになっちゃうのですね。そういう国では、国際空港の存在というのは欠かせないです。国際空港の費用の大部分が税金で賄われています。今言われたようにやはり非常に費用のかかる、初期投資が大きいものですから、全体はPFIでやるにしても税金でかなりの下を持たないと成り立たないというのが私の考え方で、そういう意味では検討されている方針と同じではないかと思います。
 空港はオペレーションが24時間になったり、それからそこの効率性が非常に効いてくるものです。名前は挙げませんが世界にやはり非常に効率性のいい空港と、効率性の悪い空港があります。残念ながらそういうものがあるときに、PFIでやれば恐らく効率性の非常ににいい空港になるのではないかという気がしますので、お金をどう負担するかは別として、つまり税金をどれだけ注ぐかは別として、私はPFIが向いているのかなと思っています。特に大型の国際空港についてはそう思っております。
 それでは、その次にちょっと読ませていただきます。「細かい事項もありますが、差し支えない範囲でご回答ください。民間にとって公共事業破綻のリスクはないのか。議会の承認のみでオーケーか。途中の費用負担増のような予算手当の問題も別途ある。」と。まず、ここからいかがでしょうか。これは大串さん、いかがですか。

○大串次長 これがご質問の趣旨を、例えばサービス購入型にしても、財政的に破綻をする事態の場合ということだとすれば、自治体は(財政再建団体になるぐらいの話で)いわゆる破産というのはないことになっています。ただPFI実施の段階で長期債務負担行為をしたとしても、個別の年度ごとの予算は議会で議決しなければいけないということになると、公共サービスの中でも優先順位をつけるということになるでしょう。例えばレジャー的なものとか箱物的な集客施設よりは、廃棄物処理施設なんかの方が優先度は高いと一般的に思われます。そうすると破綻ということにならないまでも財政的に苦しくなったときに、議会と首長との力関係で、劣後的にされるものがある。すなわち議会で予算が議決されないことになるという政治リスクはあると思います。
 それはただ、自治体も民間もコントロールできないですから、両方とも結局そういうリスクがあるという前提で、例えばそれをやるときに相当財政的に厳しい自治体の場合でも、まずそこにこのプロジェクトをやるというんであれば、エクイティーを積み増しておくとかしないとPFIでは難しい。逆に言うとリスクはないのかということに対しては、多分コントロールできないけれども、リスクはあると考えざるを得ないんじゃないかなという気が、私個人はします。

○西野教授 途中の費用負担増のような予算手当の問題も別途あるという、これはいかがですか、今の。お持ちですね、これについて何か。

○大串次長 これはどうでしょう。

○西野教授 私の方からちょっと、時間があれですから。
 私の理解は、自治省通達でPFIは起債と同じに扱うということになっておりますので、自治省が見ていますから一応大丈夫なんじゃないか。あるいは破綻しないということはないのでしょうけど、大丈夫かなというふうに思っています。
 それから、その後の途中の費用負担増についてですが、これは契約の問題で、ここはPFIの非常に特徴的なところで、PFIの場合にはすべて契約にしております。だから、その契約の中で途中に負担増があるというような契約になっておりますと、当然できます。例えば、今DBJさんは10年ぐらいですか、一定の金利というのは。10年ぐらいで見直すというのが一般的ですね。

○大串次長 原則は融資期間一定なのですけど、場合によっては金利を10年毎にに見直すというケースもありますけど。

○西野教授 私の見ておりますのはね、やはり一般的に金利がヘッジできるのは10年ぐらいだという人が多くて、10年後には金利を見直すとかね、場合によっては5年後には見直すとかそういうのがあります、契約の中に。それがあれば、当然利子分だけがふえたり減ったり、今特に利子が低いもんですから、将来ふえる可能性がある。しかし、それも含めてそれは世の中の変化ですから、公共でやっても利子が上がるものは上がるんですけれども、もっとも払い方が違いますから多少は違いますが、契約の問題かなと思います。
 その次に、「政策投資銀行のプロジェクト・ファイナンスはノンリコース型でオーケーですよ」こういう質問が出ていますが。

○大串次長 オーケーという意味はちょっとわからないのですけれども、プロジェクト・ファイナンスと性格づけられたものはスポンサーに全面的に遡及するということではないスキームだという意味では、ロン・リコースないしはリミッテッド・リコースという形になっています。全面的にでないという意味は、例えばある場合にはこのスポンサーが追加出資をするとか、いわゆるメーンバンクみたいなところがその限度でサポートするとか、そういう限定的な条件をつけてやるというケースがあります。

○西野教授 ちょっと今確認してますが、きょう4時30分というので、あと2分ぐらいなので、少しだけ延長を頂いて、……。できるだけ早いことご協力をいただいて、「第三者、すなわち事業主体への参加会社の協力会社になる場合に、負担するリスクはどこまでか、例えば維持管理の場合。」こういうのが出ておりますが、これはあれで良いのですかね。特別目的会社、SPCとの契約の話ですからそこの問題であって、PFIそのものというよりはSPCそのものが普通の事業の発注体だと考えていただければ良いのですね。民間の普通の契約というふうに考えてよろしいですか。大串さん。

○大串次長 それでよいと思います。

○西野教授 「維持管理会社としての主要なリスクは、費用のコスト・オーバー・ラン以外に何でしょうか。」これはどうですかね。コスト・オーバー・ランぐらいですかね。ちょっと今思いつきませんが、コスト・オーバー・ランと建物の構造物が入った場合に、それの維持費が最初の条件が悪くてという話とか出てくると思います。それはそこでモニタリングしているんで、コスト・オーバー・ランぐらいかなという感じを持っております。
 一応、PFIの場合にはきちっとモニタリングをしていくというのが原則で、それを工事についての手抜きをしますと後にツケが回りますので、その辺は今までのものより少し手間をかけるのじゃないかと想像をしております。契約解除の場合の遡及性というんですか、これはちょっと今私、お答えできないんですが、猪熊さん、何か……。これも契約ですね。これも契約できちっとするというのが原則でね、契約以上には遡及しないはずですから、PFIというのはすべて契約だという認識を持っていただければそこでちゃんと書き、心配であれば弁護士に相談するというのが一般的な手続でございます。
 その次、「BOTとBTOでファイナンスをつけるとき差があるのでしょうか。」という質問ですが、銀行としてはあれは金融機関としてはBTOがいい、BOTがいいと、こういう質問かと思いますが、ファイナンスに差があるかどうか。

○大串次長 何とも言いがたいと思うのですが、純粋に論理的に考えれば、すべての契約上の地位を担保にとってやっていくということでしょうから、一概には言えないと思います。

○西野教授 先ほど私申し上げましたように、私自身はBOTとBTOというのはほとんど内容的に変わらないので、恐らく破綻時の処理ぐらいが違うんじゃないかと思っておりますけれども、一般的にはやはりBOTが自然で、BTOはちょっと変則的であるという認識が、少なくとも私が議論をした相手の大部分です。
 したがって、今のままでは差がつくのかなという気がしないでもありません。これについては今勉強しておりまして、本気でBTOとBOT、日本の環境の中でどう違うかということですけど、何らかの論文を書きたいと思っております。
 それから、その次は何ですかね。「資金調達で、借り入れとエクイティー、大規模なプロジェクトであればエクイティーも考えられるが、中規模の案件となれば関係者からの出資以外考えにくくなるのでしょうか。あるいは第三者からの調達のための方法があるのでしょうか」と。これも、いかがですか。

○大串次長 先ほど申し上げたのはやや教科書的というか、考え方なので、現実には現在のところ大規模であっても関係会社というか、建設される方がメンバーになるというケースもあると思いますけれども。
 したがって、要は今後のPFI市場がどう発展してくるかとに係ってくると思うのです。現実には今そういう状況だとすると、建設利益だけ受けるような形でなくて、出資者の方が出資者として利益を受けるようなスキームにしておくことによって、正常なスキームができるのではないかと思います。

○西野教授 その次に、無利子貸し付けですが、「港湾法では民間事業への適用はできないのでしょうか。北九州港の場合は、北九州市が10%出資しています」と。これいかがですか。

○大串次長 港湾法となるとわかりませんが、我々のPFIに関する無利子融資制度は来年度から一応3セク要件がなくなって、PFI法に基づく事業については対象になり得るということになっています。

○西野教授 政策投資銀行は無利子貸し付けをやっていますよね。やりますね。港湾法とか何かと無関係に……。

○寺前企画官 港湾特会からもPFI事業者に対して無利子貸し付けの制度があります。

○西野教授 そういうことだそうです。

○寺前企画官 ですので、北九は3セクなのですけれども、必ずしも3セクでなくてもPFI事業者であれば、貸し付けできるようになっております。

○西野教授 その次に、「BTOでサービス提供型なら、割賦販売として扱うとのことですが、BTOで独立採算ならどういう処理になるのでしょうか。税務あるいは寄附行為のような、またそのような事例はあるのでしようか」という話なのですが。

○猪熊部長 それは私の方から。BTOの独立採算というのは、非常に検討ケースとしてもまれで、実例としてはないというふうに理解しています、少なくとも日本では。
 今、私どもの方でも検討していまして、一つ考えられるのが営業権の譲渡で、営業権の償却というのが考えられますが、ただ償却期間が5年というふうになっておりますので、そこは問題だなということで、今そこまで検討してとまっています。
 ご指摘のような寄附行為というのもちょっと検討してみたいと思いますが、BTOの独立採算の税務申告は一つの課題になっているというふうな認識をしています。
 以上です。

○西野教授 その次に、資料P53の下段に記載してある国土交通省の見解をいかがですかね。どうすればよいのかという、ちょっとそこのところ読みにくいのですが。「PFI事業として公営住宅が計上されているが、許可事務が多く、公営住宅の管理にPFI等がなじむのか」こういう質問ですかね。

○寺前企画官 上の方の公物関連に関する見解でございますけれども、これは国土交通省がというよりも、旧建設省のときにこういう内容の見解を出しております。実はあとまだ、旧運輸省の分の公物管理についての見解、まだ全部まとまっておりませんので、国土交通省全体としてはまだ正式な見解にはなっておりませんけれども、旧建設分についてはこういう表現で説明しております。
 それから公営住宅ですけれども、確かに公営住宅法、管理の部分が非常に手続がたくさんございまして、現在公営住宅法上借り上げとか、いろいろ民間が事業者になれる仕組みがもともとありますので、正式なPFI事業としてはまだ案件がございません。
 今の入居者の管理事務については、公営住宅が自治法上公の施設になりますので、入居者の選考とか家賃の決定とか、明け渡し請求の手続とかは、PFI事業者には委託できない。これは公共団体がみずからやらなきゃいけないということになっていますので、もしPFIが実現すれば、その部分は従来どおり公共団体側がやるという、そういうPFI事業になります。

○西野教授 そういう契約になるのですね。

○寺前企画官 そういう契約になります。

○西野教授 あと2つありまして、「今までの事例を見ると、PFI事業の中には公共サービスとして提供する必要のないもの(民間ベースで十分、または公設民営ができるもの)が幾つか見られます。自治体側での実績づくりの面もあるのかもしれませんが、本来のPFIの趣旨からすれば、民間にできるものは民間に任せてその上で公共サービスをPFIで実現するべきではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。」
 これは全くおっしゃるとおりだと思います。もしそういう案件があるとすれば、今各自治体、都道府県のみならず市町村も非常に勉強しておりまして、少し実験をしてみたいというのでやっているのかもしれませんが、実験するとすればやはり公共性があるというのが原則であって、民間に任せてできるものには手をつけない方がいいというふうに考えております。
 ただ、この辺も難しい問題がございまして、過疎地対策としてどっかに遊興施設をつくる、ゴルフ場をつくるとか、そういうふうになってきますと民間が本当にやってくれるかどうかという問題があったり、非常に難しい問題がありますが、本当に民間ができるんであれば実験に使うべきではないかと思っております。
 最後だと思いますが、もし抜けていたらお許しいただいて、ご指摘いただければ探しますが、「民間として参画を検討する場合」これ非常に難しい問題なのですが、「公共体が公表するVFMにつき、どう判断すべきか」と。すなわち「VFMが12%と5%との場合、どちらが安全なのでしょうか」と。「それとも、補助金等の絡みもあり、一概には言えないのでしょうか」と書いてあります。
 私からお答えしますと、VFMも私のどっかのページに入っていると思いますが、VFMそのものを今、特に国は別として地方公共団体はそんなに正確に評価できないのですね。ですから、幅を持たせております。具体的には私の何ページかを見ますと、1−30というページの上の方、既存PFI案件の概略というのを見ていただきますと、3つ目の丸のとこにVFM見込みで最低で4%、5%とか、25%台というのもあります。そのほかに、5ないし8%とか、6から14%の間とか、9から14%の間とか、こういうふうに出しておりまして、これは一概に何とも評価できないと思うのですが、何か大串さんご意見ございますでしょうか。

○大串次長 VFMを実際に算定して、比較して、どう議論していくかというのがこれからの課題じゃないでしょうか。

○西野教授 ちょっと私からつけ加えますと、イギリスなんかの場合には、過去の同種のデータをたくさん持っています、データベースを。それをシェアしています。したがって、パブリック・セクター・コンパレーターをつくるときに、データがあるのですね。
 今、日本で話をしておりますと、図面もないのにどうして予算が決められるのかと、こういうことを聞かれましてね。ほかの国じゃデザイン、美術だってちゃんと印刷していますからね。ですから習慣の違いでどうも感覚的には積み上げて積算をすると。特に建物とか構造物ですね。PFIの場合に結構箱物の割合が大きいものですからね、その概念から抜け切れないために、発注者側の勉強不足というのがまず一つ性格で、発注者側の信頼度によって変わるんで、VFMの割合によって信頼度が変わるというのではないのかなと個人的に思っておりますが、そんなことを言いますと自治体の人に怒られそうな気がいたします。
 ある自治体は非常によく勉強しています。ある自治体はそこまでいっていない、いうので、自治体のレベルと相談をして判定する以外ないのかなというのが、私のちょっと過激で、あそこに議事録がとられているので非常に心配しているんですけれども、きょうは大分勝手な発言をしているものですから、そんなところで受け取ったものにはお答えしたと思うんですが、何かお答えしてないものがあれば。あるいは、その間で43分になっておりますが、あと1つか2つが最大だと思いますが、何か聞いているうちにどうしてもこれは聞きたいというのがございましたら、この場で受けつけたいと思いますが。
 よろしいですか。それじゃ、45分近くになって15分オーバーしておりますので、ここでお許しを願いまして、お開きにしたいと思います。
 きょうは大変ご静聴をいただきまして、ありがとうございました。それではどうぞ司会の方に。(拍手)

○司会 以上をもちまして、本日のセミナーのプログラムはすべて終了いたしました。
 皆様、ご静聴まことにありがとうございました。どうぞお忘れ物のないよう、お気をつけてお帰りくださいませ。本日はまことにありがとうございました。

閉会 4時45分