(開会) ○司会 定刻になりましたので、始めさせていただきます。 本日は、国土交通省PFIセミナーにご参加いただきましてまことにありがとうございます。 ここで、本日のプログラムをご紹介いたします。 開会のご挨拶に続きまして、政策研究大学院大学教授西野文雄先生にコーディネーターをお願いしまして、パネルディスカッション形式でセミナーを進めてまいりたいと思います。 最後に、パネルディスカッションの内容や、そのほかPFIに関することについて質疑応答のお時間を設けております。セミナー受付時にお配りしました質問票にご記入いただき、休憩時間開始時に回収いたしますので、係の者が参りましたらお渡しください。また、休憩時間中にご記入いただいた方は、受付にお持ちいただくか、会場内におります係の者にお渡しください。 セミナーの終了時間は4時30分を予定しております。皆様、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。 ○司会 それでは、セミナー開催に当たりまして、国土交通省大臣官房審議官、中山啓一様よりご挨拶をいただきます。 中山様、よろしくお願いいたします。 ○中山審議官 ただいまご紹介ありました中山でございます。 本日は、国土交通省PFIセミナーを開催いたしましたところ、大変お忙しいところにもかかわらずご多数の皆様にご参加いただきまして、本当にありがとうございます。 また、パネルディスカッションのコーディネーターをお引き受けいただきました西野先生、そのほかパネリストの皆様方にも感謝申し上げる次第であります。 さて、現在の日本でございますが、豊かで活力ある21世紀を向かえるために、良質な住宅社会資本の整備、これが重要な課題である。そのためには、どういうふうにして整備を一層進めていくかということが課題であります。しかしながら、政府におきましては、厳しい財政運営が迫られている中、これを打開するためにいろいろな知恵を出そうということでございます。 こういうふうな中で、民間の資金力や高い技術力、経営能力、こういうものを活用して、公共施設の建設、維持管理、運営などを行っていこうということで「PFI」、これが出てきたわけでございます。 言うまでもありませんが、PFIにより事業コストの削減やより質の高い公共サービスの提供のみなならず、新しい事業機会の創出などが期待されるものであります。 我が国におきましては、平成11年にPFI法ということで法律で制度化されまして、それ以降事業実施の基本方針が策定され、さらに昨年には、事業実施プロセスを初めとした3つのガイドラインが公表されるなど、公共事業へのPFI導入の促進が図られてきているところでございます。現在までに、全国で41の事業につきまして実施方針が公表されているというところでございます。これを担当いたします国土交通省といたしましては、中央官庁施設のPFIによる整備に取り組むとともに、PFI事業に対する補助金、無利子貸付金等の支援制度を設けるなど、その実現に向けて積極的に取り組んでいるところでございます。 本日のセミナーでは、PFIに関します最近の話題、それからファイナンス面からのポイント、先進事例などの紹介等を中心に、現在各地で検討を進めている、またこれから進めようとしている自治体の皆様や民間企業の皆様にPFIに関するノウハウの共有や課題解決に役に立っていただきたいというふうなことを目指して開催しているものでございます。 また、実際の事業の導入に当たりましては、いろいろな方からのご提案やご意見をいただきながら進めていくことが重要である。特にPFIのような概念の新しいシステムについては、それが必要であると考えております。 本日、ご参加いただきました皆様からもご忌憚のないご意見等を後ほどいただきたいというふうに考えております。ご質問表等に回答していただければ幸いでございます。 国土交通省としても、政府全体の取り組みを踏まえながら、幅広い分野で民間活力を活用していきたいというふうに考えているものでございます。 最後になりましたけれども、本日のセミナーがPFIの推進に向けて有意義なものになることを祈念申し上げまして、開会に当たりまして、主催者からのご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○司会 中山様、ありがとうございました。 それでは、パネルディスカッションに入らせていただきます。 西野先生初め各パネリストの方々は壇上にお願いいたします。 最初に、パネリストのご紹介をいたします。 まず、本日、このパネルディスカッションのコーディネーターをお願いしております、政策研究大学院大学教授、西野文雄先生です。(拍手) 続いて、神奈川県総務部財産管理課、伊藤主幹。(拍手) 続いて、日本政策投資銀行本店プロジェクトファイナンス部、高橋部長。(拍手) 続いて、国土交通省総合政策局政策課、寺前政策企画官。(拍手) 続いて、財団法人国土技術研究センター調査第二部、猪熊部長です。(拍手) それでは西野先生、よろしくお願いいたします。 ○西野教授 それでは、早速始めたいと思います。 ただいまパネルディスカッションというふうにご紹介されましたし、そのように書いてありますが、過去の経験で、時間がなかなかうまく使えないものですから、それぞれの方に15分超くらいで話題になりそうなことをご紹介をいただきます。ご紹介が終わるとおそらく休憩の時間になるのではないかなという気がいたします。そこで、それぞれの方がお話しになった内容をもとに、あるいはそれ以外でも結構でございますが、質問票に質問を書いていただいて、その質問にお答えをする形にしたいと思います。その後にさらに時間があればパネルで議論もいたしますし、あるいはさらに質問を受けつけたいと思います。よろしくお願いいたします。 順番は、まず国土交通省の寺前さんにお話しをいただいて、その次に、政策投資銀行の高橋さんから金融関係の話をしていただき、実務について、神奈川県の伊藤さんからお話を聞き、国土技術センターの猪熊さんからお話をしていただこうと思います。時間が余りましたら、私も少しつけ加えたいと思っております。 そういうことで、早速ですが、寺前さんの方からよろしくお願いいたします。 ○寺前政策企画官 国土交通省総合政策局政策課寺前でございます。 恐縮でございますが、この場で座って話をさせていただきます。 本日は、年度末のお忙しい中、国土交通省のPFIセミナー参加いただきましてありがとうございました。 このセミナーはPFI法が施行になりました平成11年度からやっておりまして、今年で3年目になります。今年は、PFI事業に金融面からの評価、あるいは支援が非常に重要だということで、メンバーに日本政策都市銀行の方、それから、東京会場と九州会場だけですが、実施事例が大分出てまいりましたので、地方公共団体の神奈川県と北九州市の方にも入っていただいてセミナーを開催するという次第になったわけであります。 それでは、本題に入らせていただきまして、お手元の資料の2−1ページから2−10までですが、それに従って説明をさせていただきます。 2−2のページをごらんください。 この1年間のPFIを取り巻く動きが書いてあります。 本年度PFIについていろいろな動きがありまして、ポイントとしては3つあります。 まず第1に、本日コーディネーターをお願いしております西野先生が部会長をやられておられますPFI推進委員会で、3つのガイドラインが1月と7月に出ております。 第2としまして、都市再生本部が都市再生プロジェクトの決定を6月と8月にやっております。それに基づいて国のプロジェクトがいよいよ動き出したということであります。 第3に、12月にPFI法の改正が行われております。 以上、3つのポイントであります。 まず、ガイドラインにつきましては、お手元の資料編の36ページからプロセス、リスク分担、バリュー・フォー・マネー、それぞれについて、全文を掲載しておりますので、ごらんいただきたいと思います。 第2の都市再生プロジェクトについてでありますが、昨年4月6日森内閣の時代に、緊急経済対策が決定されまして、それを受けまして、5月になりまして、小泉内閣で都市再生本部が設置されまして、その後、6月と8月にそれぞれ都市再生プロジェクトとして決定がなされました。 一次決定としては、ここに書いてありますように、中央官庁施設として中央合同庁舎7号館、文部科学省と会計検査院の建てかえであります。 8月の二次決定としては、港湾のコンテナターミナル、九段の第3合同庁舎、それから「等」というのがありますが、「等」は具体的には国立大学や公営住宅などが決定されております。 第3の動きとして、PFI法の改正が13年12月12日に公布、施行されております。当初のPFI法も議員立法でしたが、今回の改正につきましても議員立法、正確には衆議院の国土交通委員会の提案という形で審議されまして成立しております。詳細は後でご説明をいたします。 それから、2−2の下の政府全体の取り組みのところですが、一番下が調査費の補助金として、13年度の一次補正予算で内閣府に制度化されておりまして、実施方針やバリュー・フォー・マネーの調査費用が2分の1出るということで設けられております。13年度の補正は都道府県、市町村全部でしたが、14年度は市町村のみということだそうであります。 次の2−3ページをごらんください。PFI法の改正の概要が書いてあります。 改正点が2点ありまして、行政財産の貸し付けの取り扱いと公共施設等の管理者の範囲の拡大であります。 まず、行政財産の貸し付けの取り扱いにつきましては、条文では11条の2になっておりまして、これも資料編の19ページに条文が載っております。次ページの2−4ページの下の図をごらん下さい。概要がイメージ図で書いてありまして、従来のところをごらんいただきますと、従来は国有財産法や地方自治法で行政財産につきましては、私権の設定が制限されておりましたが、このためPFI事業者に対する土地の貸し付けができないということで、どうしていたかというと、行政財産の用途または目的を妨げない限度において、使用許可という形で原則1年以内の一時的な使用を工法上の許可ということで認めていたということ。あるいは、旧自治省の通達に別の方法が書いてありまして、地方公共団体は行政財産の土地を貸し付けたい場合には、その行政財産の用途を廃止して、普通財産に変更して、長期にわたる貸し付けをすることができると、そういう方法もとっておりました。 しかしながら、こういうやり方でやるよりもPFI事業を実施するためには、例えば行政財産の土地において民間の施設が建設される、BOTのイメージ図が書いてありますが、そういうような場合に行政財産として土地を貸し付けた方がむしろ合理的だと、こういうことが改正の理由であります。 この改正によりまして、2−5の上にありますが、行政財産を行政財産のままPFI事業の用に供する範囲内において貸し付けができるという国有財産法と地方自治法の特例がPFIに限って認められることになりました。 このことによりまして、PFI事業者との間で賃貸借契約による貸し付けを行うことが可能になりまして、土地、建物の利用に関しPFI事業の法的な地位の安定化や長期にわたる安定的な事業の継続に資することとなります。 次に、前に戻っていただいて2−3ページのその1のところであります。 従来は、PFI事業者がPFI事業のための施設と、PFI事業以外の民間収益施設などを合築の形で建設することはできませんでしたが、今回の改正によりまして、このような合築の場合であっても一定の条件のもとに貸し付けができるようになったという改正であります。 具体的には、例えばということで、イメージ図がありますが、容積率に余裕のあるような公共建築物をPFI事業で実施する際に、PFI事業以外の民間収益施設の建物も一棟の建物として同時に実施することができることになります。このことによりまして、次のページにありますように、行政財産の有効活用やPFI事業の収益性を向上させることができるようになりました。 以上が、PFI事業に対する行政財産の貸し付けの取り扱いについてであります。 次の2−5の下のその3のところであります。 公共施設等の管理者の範囲の拡大でありますが、条文では2条の第3項、これも後ろの資料編の18ページにありますが、この点につきましては、従来の公共施設等の管理者の範囲が各省、各庁、あるいは地方公共団体の長等でありましたが、今回の改正によりまして、衆議院、参議院の議長、最高裁の長官、会計検査院の院長を加えることになりました。 今回のこの改正の背景としましては、衆議院、参議院の議員会館、議員宿舎、それから中央官庁の施設、先ほど申しました会計検査院の建物の建てかえにつきましては、国土交通省の官庁営繕部がPFI事業で実施をいたしますが、管理につきましては、入居する官庁が行うことになっておりますので、7号館についても会計検査院を管理者として加えるということで、今回のPFI事業が導入可能ということになったわけであります。 続きまして、2−7ページをごらん下さい。PFI推進に向けた国土交通省の取り組みであります。 初めに、右上の図は、先ほど申しました7号館のPFI事業の範囲が書いてありまして、霞が関ビルを除く5つの建物について市街地再開発事業による権利変換手法で土地の所有関係を移転いたしまして、文部科学省と会計検査院の建物の合同庁舎をPFI事業によって整備するという方向で現在進んでおります。 左上の中枢・中核国際港湾の公共コンテナターミナルにつきましても、下の表1番、2番にありますように、既に実施方針が決められまして、PFI事業として実施中のものであります。 下の絵は、東京の南青山1丁目の都営住宅の建てかえの完成予想図でありますが、公営住宅の建てかえに当たりまして、公営住宅以外の施設として福祉施設、保育所、高齢者施設、図書館、コンビニ、テレワーク支援施設などのようなもの、それから、民間住宅についても、分譲、賃貸の両面から検討がされているというふうに聞いております。 以上、代表的な事例でありますが、2−7の下の表で、10の国土交通省関係の事業が現在実施方針を定めて事業に入っております。 次に、2−8ページ、助成制度、支援制度でございます。 まず財政支援等でありますが、上の3つは調査費で、4つ目以降が補助制度であります。 まず、4つ目の都市公園事業につきまして、前のページの4番に、神奈川県立湘南海岸公園がありましたが、これに向けまして14年度から補助が予定されております。 5番目の下水道事業も前のページの7番に、東京都大田区にあります水処理センターの常用発電設備について14年度から補助が予定されております。 その次、市街地再開発事業につきましても、前ページの8番の、西国分寺駅前で再開発事業をやっておりまして、都市基盤整備公団施行の市街地再開発事業の中で、国分寺市が特定建築者となりまして市民文化会館を建設する予定になっておりますが、その特定施設建築物の建築についてPFI事業を導入するという予定であります。これも14年度から補助が予定されております。 公営住宅につきましては、平成8年の改正で、民間からの買い取り、借り上げの制度ができまして、民間に対する補助ができるようになっております。 次の道路事業につきましては、14年度新規に補助制度を設けることになりました。前ページの5番の、奈良県で予定されております地下駐車場の整備について、BTOの事業について補助を14年度から行う予定であります。 2−8の下の表の無利子貸付、財政投融資もこういう制度が用意されております。 税制につきましては、固定資産税、都市計画税について、港湾のコンテナターミナルについて、新規、拡充、延長の措置がとられる予定になっております。 以上が、国土交通省の助成制度のあらましでありますが、助成制度につきましては、具体のPFI事業が出てまいりますれば、順次新設、あるいは拡充等の要望をすることといたしておりますので、早目に、次にありますような担当局にご相談をいただければと思います。 2−9の下の表は国土交通省でPFIの相談窓口を設置しておりまして、具体の事業についてのご質問、要望については、個別の16の分野、それから、全般についてのご質問、問い合わせにつきましては、私ども政策課で受けつけておりますので、ご遠慮なくお問い合わせをいただくようにお願いいたします。 以上、簡単でございますけれども、国土交通省の取り組みのご報告をいたしました。 ○西野教授 どうもありがとうございました。 それでは、引き続きまして、寺前さんの後は、日本政策投資銀行の高橋さんにお願いをいたします。 ○高橋部長 ご紹介いただきました、日本政策投資銀行のプロジェクトファイナンス部長をしております高橋でございます。 少し字が小さいので、恐縮でございますが、会場をもう少し明るくしていただいて、お手元のテキストの3の方もあわせてごらんいただけると幸いでございます。 それでは、15分ほど時間をいただきまして、私ども金融機関の立場で、PFIの導入についてどういうふうについて考えておるのかということについてご説明をさせていただきます。 まず、現状認識でございますけれども、平成11年9月にPFI推進法が議員立法でできまして、既にもう3年たっております。 そういう状況の中で、我が国におけるPFI事業もようやく本格化しつつあるのかなというふうに思っておりまして、先ほど審議官からのお話もございましたけれども、現時点では計画案件ベースで大体200件を少し越えたあたり、実際に実施方針が決定済みの案件で、先ほど41件というご紹介があったかと思います。この辺につきましては、私ども準備しました資料の3−17から19に個別、具体的なたまを挙げてございますので、後ほどちょっと時間があるときにお目を通していただければと思います。 そういう状況の中で、私ども、国の金融機関でございますけれども、民間の銀行さんと一緒に、平成12年、平成13年とこの2年間で、今までに6件の融資契約を実施しております。まだ6件ではないかというおしかりをいただくような感じがしますけれども、むしろこれからどんどんと、先ほど寺前さんのお話にもありましたけれども、中央省庁等の国のPFI、それから地方案件も、これからいよいよ本格化してまいりますので、むしろ14年度というこの年は、我が国におけるPFIの方向性がまさに決まる重要な年ではないかというふうに考えております。 そういった中で、本日のセミナーにおいでいただきました皆様方、それから我々も、PFI実現のためにあらゆる努力をしなければいけないのかなというふうに考えておりますが、本日は、我々金融機関の立場でPFIについて幾つかコメントをさせていただきます。 それでは、恐縮でございますが、1枚進めていただいて、お手元の資料の方の3−2の下の方のペーパーをごらんいただきたいのですけれども、PFI事業の基本というのは、バリュー・フォー・マネーと言われております。いわゆる従来型の公共事業でやった場合と比較して、PFIでやった場合にどれだけのコストが削減できるかという、そこが最大の眼目でございますけれども、そうしたときに、PFIの関係者というのは、事業を発注する公共側、それから、その事業を受ける民間事業者、スポンサーというケースが多うございます。それから金融機関と、大きく言ってこの三者が協力をして役割分担をして行うのがPFIですけれども、そうした場合に、バリュー・フォー・マネーを最大化するというのがPFIの成功のための秘訣でございますけれども、それは、特定の三者のうち、例えば公共だけ、あるいは金融機関だけがもうかるというのはそもそもあり得ないわけで、全員のベクトルの方向が一致していないといけない、これが基本でございます。 そういった中で、私どもなりにPFIを考えていくときに、バリュー・フォー・マネーが成立するための5つの源泉と書いております。平たく言えばキーワードでございます。キーワード、これはこれから本日の議論を進めていく上において皆様方の頭の隅に置いていただきたいキーワードでございまして、5つありまして、1つは、PFIというのは性能発注である。それから、設計から建設、運営まで一括してやるのが基本であるということでございまして、この2つによって事業の効率性がもたらされるというふうに考えております。 それから、2つ目は、これは教科書にどこにも書いてありますけれども、競争原理、これの最大化を図るということでございます。 それから、3つ目は、適切なリスクの分担をやる。 今まで、私どもの銀行も第三セクターというのをいろいろやってまいりまして、いろいろご批判をいただいておりますけれども、第三セクターの問題というのは、会社も金融機関も自治体も、三セクができてしまったら、あとほとんどの責任を三セクに負わせてしまっているのではないかというふうに批判されることがございます。それは、一面正しい部分もあろうと思うのですけれども、PFIの場合には関係者が役割分担をして適切なリスク分担を図るということでございます。 それから、4番目は、モニタリングによる業績連動支払いと書いていますが、これ一体何のことかというと、20年、30年という事業の中での収支、あるいは、キャッシュフローに応じた仕組みを考えるということでございまして、例えば、公共がSPC、事業者に対して料金を払う、委託手数料を払う、あるいは金融機関に対して会社が金利を払う、あるいは地主に対して地代を払うという場合に、キャッシュフローの状況に応じて、20年、30年という事業の期間を見きわめながら支払の優先ルールを決めていくということでございまして、会社ができたら、設備ができたら、それで終わりということではなくて、その都度の収支を見ながら関係者で決めていくということが大事でございます。 それから、4番目に、プロジェクトファイナンスという、ご存じの方も多いと思うのですけれども、PFIの場合には、多くはこのプロジェクトファイナンスという金融の手法を適用するのでございますので、ここは後ほど中身をご説明させていただきます。 続きまして、3−3ページをごらんいただきたいと思います。 簡単にご説明しますが、やはり事業がスタートするためには、どういう公共サービスを、どういう形でやるかということが公共側も頭の中できちんと整理されていて、かつそれに対して応募していく民間事業者の方も中身がよくわかっているということが当然でございますが、これが意外に難しくて、公共側の求めている部分がわからなかったり、あるいは民間側で過剰に考えたりという部分が起こってしまいますと、問題でございます。まず行政としてどうしても必要な公共サービスというのはどういうものかということを明確にしていただいて、その中でそれに対して、民間として、どういうサービスがどういうコストで提供できるかということを示していただくということでございます。PFI事業の範囲の明確化というのもある意味で同じことでございます。 ただ、公共事業+収益事業を一体化するケースもございますので、そうした場合には、そこの附帯事業との明確な区分というのもする必要があろうと思います。 次に、下のPFIのフロー図をごらんいただきたいと思いますが、ここは皆様いろいろなところであきるぐらいごらんになっていると思うのですけれども、ここで申し上げたいのは、PFIのステップというのは非常に時間がかかるということでございます。 この下の表をまずごらんいただきますと、PFIの計画が始まって、実施方針、それから特定事業選定、ここがどういうPFIをどういうやり方でやるかということを決める、いわば方針決定のプロセスでございます。ここを仮に第1フェーズとします。 その次に、どういうものをやるかというのが決まったら、次は、PFI特有の仕組みとして、入札がありまして、ちょっと公共事業といろいろ違っているものも出てまいります。入札の公告をして、それに対して、これやりたいという民間の事業者さんが、単独で、あるいは企業を組んで入札をして、審査をして、事業者が選定される。これは事業者決定プロセスでございまして、ここが第2フェーズでございます。 それから、事業者が決まりましたら、事業者は県とどういう形で公共サービスを民間事業者として行うのか、いわゆる事業権契約を決める。それから、そのためにスポンサーとして実際にその事業を進める会社をつくる。多くは別会社、SPCであります。それから金融機関と相談をして、ファイナンスのスキーム、リスクの分担のスキームを決めて、いよいよ契約、工事をスタートということで、工事ができまして、これで終わりではございませんで、基本的なパターンでは20年、25年といった長期にわたってSPCが運営をするという非常に大きな流れでございますが、やはり余裕のあるスケジュール設定というのが望ましい。それからできてしまってから、予想外の事態が起こって、それで慌てて後であれやこれや相談するというのは困りますので、第1ステージで、自治体、行政としてはある程度の行政目的の明確化をしていただくとともに、次の第2ステージで、行政側と民間側のやりとりの中で、入札ではございますけれども、そこで双方のご誤解のないような手続と決定手続における公明性というのを確保していく必要があろうと思います。 それから、我々金融機関としては、事業者が決まって、その段階で初めて、そのプロジェクトに入っていくわけでございます。 私ども、政策投資銀行の場合には、個々の自治体の方から事前に第1ステージ、第2ステージでご相談をいただくケースもございますけれども、一般的に金融機関として関与していくのは第3ステージ、事業者選定以降のファイナンス・アレンジメントでございます。ここでは、行政、事業者、金融機関、三者による適正なリスク分散と安定的な公共サービスが確保されるような仕組みを、考えられるリスクをすべて想定してスキームをつくっていく、ここが大事でございます。 次に、4ページをごらんいただきたいと思います。3−4の上の表でございます。 我々がPFIを進めるに当たって、予測されるリスクにどういうものがあるのか、書かせていただきましたが、予測されるさまざまなリスクの分担を事前に、官、事業主体、金融機関等で十分に議論をして、リスクシェアの仕組みをきちんと決めるということが大事でございます。 具体的に言いますと、例えば左の一番上、民間に移転するリスクとございますが、例えば設計建設リスク、これはプロジェクトによっては新しい技術を使ったり、いろいろすることがあるので、実際に工事をやってみたらコストオーバーランとか、あるいは廃棄物処理などで目標にしている水準を達成できないというリスクもございます。こういうリスクは、当然建設会社なり、プラントメーカーが負うのが、ある意味で当然かと思います。ただ、設備ができた後の運営リスクでございますが、ここはPFIを実施するスポンサー企業がSPCを介して行うというのが適当だと思っております。それから、下の資金調達リスク、これは当然に金融団が負うべきものでございます。 それから、公共のリスクとして幾つかございますが、例えば法律とか制度が途中で変わるということになりますと、これは民間事業者ではなかなか対応ができませんので、こういった部分は公共がリスクを負う。 それから、公共の下に不可抗力とありますが、これちょっとやや誤解を招く場所に書いてあるのですが、例えばこれが火災保険でカバーできる場合というのはむしろ公共というよりも、あらかじめ保険会社と想定できるリスクを想定してお金をかけて、SPCの費用でお金をかけて保険を負って、万が一に備えるといった形がありますが、ここで申し上げたいところは、要するにそれぞれのリスクを最もリスクについてどうすればいいのか、どういうことが起こり得るのかという情報を持っている関係者がリスクを背負うというのがリスクプレミアムを最小にする根本ではないかというふうに考えております。 次に、3−5ページの上をごらんいただきたいのですが、PFIの場合に公共事業なので、やはり民間に少しでもコストを安くしてもらってぎりぎりのところでやってもらえばいいというふうにお考えのところがあると思います。これは、方向としては正しいと思うのですが、PFIに参加してくる民間事業の方は、その事業によって一定の収益を確保する。できれば、それ以上にうまくいったときには当初想定以上のリターンを得たいというのが、ある意味で当然でございます。ですから、行政サイドの方は、必要な公共サービスが安定的に得られること、これを最優先にしていただくというのは全く当然でございますけれども、民間の事業者というのは、もし、当初想定した以上の収益が得られた場合には、当然そこは配当等のインセンティブを与えるというのは、これは極めて重要なことでございます。逆に、一定のサービスが得られない場合、その場合にはだれがどういう形でそこの穴埋めをするのか、ペナルティーを払うのか。これも重要な問題でございまして、余り最悪のケースは予想したくないのですが、最悪の場合には、事業者の交代も含めてある種の仕組みを事前につくっておくということもあろうかというふうに考えております。 次に、3−5の下で、金融機関によるStep-in Rightの確保という、聞きなれない言葉を使わせていただいておりますが、これは何かというと、金融機関というのは、スキームをつくる上において一定の役割を果たします。うるさいことを言う金融機関が多いというふうにお考えのところも多いと思うのですが、金融による関係者間のリスクアレンジメント機能、事業修復機能の発揮というところ、ここをちょっとコメントさせていただきます。PFIの場合には、長いもので20年を超えます。30年という契約のケースもありますので、金融機関サイドからすると、このプロジェクトにファイナンスをしていくのは相当のリスクがございます。 他方で、金融機関というのはどうしても最悪のケースといいますか、悪いケース、こうなったらどうしようというような、ある意味で心配性の人間がそろっております。そういう人間がプロジェクトファイナンスという、比較的新しいスキームを使って、あれでもない、これでもないと、いろいろ議論をしますので、当初想定以外のケースになった場合、あるいは堅目に見たときにこのプロジェクトはどういうふうに評価すべきだというように検討を進めた結果、金融機関が入ることによってスキームのリスク分散、それからある種のストラクチャーそのものがしまるということはあるのではないかというふうに思っております。そうすることによって、結果的には、公共サイドとして一番大事な必要な公共サービスが契約期間中安定的に維持されるということにつながります。当然金利が高いとか、リーガルコストがかかるとか、いろいろな議論はありますけれども、相応のよさというのはあろうかと思っております。 それから、Step-in Rightとありますけれども、通常は自治体と事業者との間で事業定期契約を結んで、それに基づいて一定の公共サービスがあって、それに対して対価が支払われるというのは基本ですけれども、SPCにファイナンスをする金融機関と、自治体との間で契約を結んで直接自治体と金融機関が話し合うという方式も幾つかのプロジェクトで実施されております。 次の3−8でまとめをさせていただきたいと思います。 3−8に単純化したPFIのスキームを書かせていただいております。真ん中にありますSPC、これがPFIを実施するためにスポンサーである民間企業等がつくる実施主体でございまして、ここのSPCは公共サービスの実施を行います。公共側とSPCとの間で事業権契約を結ぶ。例えば20年とか、25年とか、かなり長めのものが多うございまして、神奈川県さんの場合には30年というのもございます。 このSPCは、公共と事業権契約を結ぶわけですけれども、SPCの右下にスポンサーとございます。これがいわゆる入札をしてこの事業を勝ち取った民間の事業者でございまして、エクイティという形でこのSPCに資本を入れて、これがいわゆる事業のベースをつくる。人を出すケースももちろんございます。ただし、スポンサーがすべてをやるわけではなくて、例えばプラントであれば、そのプラントを運用する一番ふさわしい業者がいるわけですから、設備の運営のためにオペレーターを別に契約をする。さらに、EPCコントラクター、これは設備をつくる人でございますが、例えば建設会社さんとか、プライトメーカーでございます。この際に、下の3つとSPCとの間で事業の適切な役割分担をあらかじめ決める。かつ利益が出たときには、どういう利益をリターンするのかというのをきちんと決めるわけでございます。そういう状況の中で、設備を取得するためのファイナンスを右上の方の銀行がローンという形で融資をするわけでございます。 幾つか今後の問題がございまして、まだPFIはスタートしたばかりでございますけれども、要するに適正利潤を確保するというふうに書いてありますけれども、やはりこれからPFIで成功例が出てきて、一定の利益が得られるという事例が非常に待たれるわけでございまして、適正利潤が確保して、それに参加した民間事業者も一定の利益が得られる、公共としても安定的な利益が得られるという形になったときには、多分2つの変化が起こると思っております。 その1つは、左の方から矢印で新規事業者参入・事業機会拡大とございますが、要はPFIのマーケットも広がることによって、今まで想定されていたような以外のいろいろな業界の方、事業者の方が入ることによって、PFIマーケットが広がってくる、その結果としてさらに利潤を確保するチャンスが広がるということでございます。 それから、もう一つは、右上の方で、これは私どもも反省しなければいけないのですが、金融機関としてPFIにまだ積極的に参加できている金融機関が残念ながら日本のマーケットでは比較的限られておりまして、そういう中で長期の事業をやるためには、都市銀行に頑張っていただいております。4大グループを初めとして証券会社、あるいは外資系の金融機関、それから商社も出てきておられますけれども、むしろ、これから機関投資家、機関投資家のお金を扱っておるファンド、こういったものをこのマーケットに引っ張ってくるための仕組みというのが大事だと思っておりまして、これは今後の課題だと思っております。 次に、我々がPFIに使うプロジェクトファイナンスというものの仕組みでございますが、今までのような、いわゆるコーポレートファイナンス、企業の信用をバックにしたファイナンスではない。例えば新日鉄が行う場合でも、新日鉄のコーポレートの信用ではなくて、別会社SPCをつくって、そのSPCが公共側から得られる収入、これでもって借り入れをしても20年なら20年で、その事業のバリューでもってお金が返していける。ここが一番大事なことでございます。ちなみに、こういうプロジェクトファイナンス、企業全体ではなくて、当該事業のリターンだけで事業を仕切っていくというのは海外では既に1970年ぐらいから石油資源開発ですとか、あるいは発展途上国のインフラファイナンスといった形で出てきておりますけれども、日本ではここ数年ようやく本格化してきた。そういう新しいスキームを使ってPFIという、まさに日本全体の大きな課題をこれからどうやってやっていくかということでございます。 最後に、3−20ページから21ページにかけて、4つほど私どもがこれまで関与させていただきましたプロジェクトの実例を挙げさせていただいております。それぞれについて一言だけコメントをさせていただきますと、まず、かずさクリーンシステムという、これは千葉県のプロジェクトでございまして、木更津市、君津市、富津市、袖ヶ浦市、この4市の広域連携によるごみ処理事業でございまして、この事業を請負ましたのが、かずさクリーンシステムという新日鉄が中心になってつくりました会社、SPCでございまして、この4市とSPCかずさクリーンシステムの間で20年間の一般廃棄物の処理契約を結ぶ、これが収入源でございまして、これに設備を実際に動かすプラントメーカー、それから専用の処理会社が加わりまして、この会社をつくっておりまして、これに対して私ども、それから東京三菱銀行がファイナンスをさせていただいております。 これは、PFIとして実は第1号案件、実は、法律ができる前にスタートしておりましたので、先行案件でございますけれども、実質的な第1号案件でございまして、広域的な行政のニーズにこたえるという点においても画期的でございまして、今後のモデルケースになる1つというふうに考えております。 ちなみに、プロジェクトファイナンスとしても評価が高くて、ロンドンのプロジェクトファイナンス誌という世界的な雑誌がありまして、2000年のアジアにおけるプロジェクトファイナンスのリードオブザイヤー、一番優秀なスキームという表彰を受けた案件でございます。 それから、次の、金町浄水場、これは東京都のPFIのモデルケースと言われているものでございまして、金町の浄水場において、ここで電力・蒸気を発生する高ジェネレーションシステムをつくっておりまして、これをPFIで水道局ではなくて、別に会社をつくりましてやっておりまして、エネルギーは東京ガスからもらって、そこで電力・蒸気を発生させて、それを水道局が使うと、そういう仕組みでございまして、スポンサーとしては、石播、清水建設、電源開発が入っております。これは金融機関もここの3行が中心に入っています。おもしろいのは、東京都がこのプロジェクト自体、東京都の信用がなくても安定的なキャッシュフローが得られるのでということで、格付け機関にプロジェクトの格付けを依頼しまして、トリプルBという、比較的いい格付けをもらったということでございます。 これ自体は20年の安定的な契約なのですけれども、1つの今後の方向を示唆していまして、例えばここの金融機関がこの債権を流動化したい、20年この債権を持っているのはとても耐えられないというようなことがもし出てきたときに、格付けを得ておりますと、機関投資家から見るとトリプルBの格付けをもらっているので安心だというようなことで、格付けをプロジェクトにとっておくと資金調達の面でも流動性が確保できる。これはある種の応用問題ではないかというふうに思っております。 それから、3番目の神奈川県の近代美術館、これは、きょうは神奈川県の伊藤主幹がお見えになっておりますので、私はここでは省略をさせていただきます。 それから、最後の千葉の消費生活センター・計量検査場というのがございますが、ここは千葉市が千葉駅の近くの遊休地を使って、箱物を整備するというプロジェクトでございますが、消費生活センター、それから、はかりの検査所という、公的な施設をつくるわけですけれども、容積率に空きがあるので、スペースを利用しまして、民間企業向けの賃貸施設をつくりまして、そこをマツモトキヨシ、フレックといった民間の企業にテナントとして貸与するということで、民間の収益施設と公的部分の合築を行ったということでございます。 ちょっと長くなりましたが、以上で終わります。 ○西野教授 どうもありがとうございました。少し時間が予定より延びておりますが、引き続きまして、神奈川県から伊藤さんにお願いいたします。 ○伊藤主幹 神奈川県財産管理課の伊藤でございます。座らせていただきまして説明させていただきます。 本日は、資料4の神奈川県におけるPFIの取り組みについて説明させていただきます。 まず、本県でPFIを導入したということの経緯でございます。 この資料にありますように、県を取り巻く環境上の要請、これは新しい県民ニーズへの対応であるとか、県の厳しい財政状況がございます。 これは平成9年に施設整備をするための県債の発行を抑制するという方針を出しておりまして、それにこたえるためには、民間の資金、ノウハウの活用を図り、起債による施設整備を見直すということで、次のページに参りますけれども、リース神奈川方式というものを平成10年に検討したという経過がございます。 実際にリース方式の累計の1つにPFIを位置づけており、このリース方式を活用するということで決定しておりました施設、本県の4年制大学、衛生研究所、近代美術館と、この3本の施設については、実際に事業に着手するといった段階でPFI法が成立したことから、リース方式をPFIに切りかえたといった経緯がございます。 本県では、リース方式として、賃貸借方式と割賦方式という両方式を考えておりまして、それとPFI。また、実際に私どもの資料をお持ちの方もおられるかと思いますが、このほかに性格は違いますが、リースバックというようなものまでも含めてリース神奈川方式という形で取りまとめております。 このリース方式を使いますと、実際に一時的な支出の抑制であるとか、支出額の平準化、コスト、工期の縮減、施設のライフサイクルコストの低減といった効果が得られるということから、内容的にはPFIと同様という考え方を持っておりまして、PFIと同様の理念に基づくというように私どもは申し上げております。 この両方式、リースとPFI、現実に現在2つとも使っておりまして、この違いは何かという点においては、私どもの考えておりますのは、法の手続を踏んでいるものと踏んでないもの、その違いにおいて、実際の事業にどちらの方式がやりやすいのかといった観点から使い分けていくということで、中身としては、法の手続ということを違いとして挙げております。これは本日自治体の方もお見えだと思いますが、いろいろと考えられる中で、どちらがいいのか、どうすればいいかといったような中で1つのやり方につながるのではないかと考えております。 PFIですが、本県では一番最初に4年制大学、県立保健医療福祉大学の事業でこれを導入したわけでございますけれども、導入していく中でいろいろと言われておる部分もございます。平成12年9月に、神奈川県におけるPFIの活用指針を定めたわけですけれども、活用についての考え方としては、その中に含めて取り決めたものというのが結構ございまして、実際には、対応としては、全庁が共通して対応していくという必要があるために活用指針を定めているということでございます。 次に、PFIとして事業を実施するかどうか、これの決定ではないのですが、方向づけという形で、内部の会議であります県有地・県有施設利用調整会議で、その方向性を定めていくという部分。そして、PFIとして活用するための施設整備にかかる費用についての限度額、これを県としては、実際に3年ぐらいたってきておりますが、おおむね 1,000から 1,500億円といった形で枠を設定している、そういったところが神奈川の考え方となっております。 次に、活用指針の中でも、今、県有地・県有施設利用調整会議において方向性を定めるということで申し上げましたが、そういうときにどういったもので判断すればいいのかということで、こちらにございます9つの判断基準といったものを一応定めております。これ中身は何かと言えば、プロジェクトの領域が明確だとか、運営収入が見込めるといったことで、神奈川県自身で全部考えたわけではございませんで、日本経済研究所さんが、自治省の調査において出してきた考え方を参考にさせていただいておるわけです。 次に、PFI事業の一般的スケジュール、これも神奈川の考えていく中では、大体こうなるのであろうということで定めているといいますか、考えておるものです。実際には、本日、この資料にはありませんが、活用指針の中で、県としてどういうふうに考えるか、その手順を定めておりますので、もしよろしければ、後日インターネットで、県のホームページから見ていただきたいと思います。 ここに一般的スケジュールとして、1年目、2年目、3年目とございます。これはPFI手続の中でのスケジュールということで、実際には1年目の前から作業的には始まりますよということを私どもは考えております。 次の事業の流れ、こちらも皆さん何度か見られているものかなというふうに思います。ただ、ここで先ほど私申し上げました予算措置という下のところに県有地・県有施設利用調整会議、ここを通った上で県の予算措置をしていくということが神奈川では定められている。この辺が、一般の本等に書いてある部分の流れとは違うものかなというふうに考えております。 次に、庁内の推進体制というところでございます。 実際には、平成11年6月に、全国でも、片仮名、アルファベットの入っている課長は珍しいと言われておりますけれども、神奈川に、「リース・PFI担当課長」という形の職を設置しまして、実際の動きに合わせてきたわけでございます。私の今おりますのが、リース・PFI担当ということで、平成12年4月にできた組織でございます。 庁内の推進体制として大事なのは、その次の体制図のところにございます。いわばPFIを実際に進めていくに当たっては、建築設備等の技術職が事務と一緒になって、一つのプロジェクトチームみたいな形で最初から取り組んで行かなければ難しい。それをあらわしているのが体制図でございまして、私どもの財産管理課と建築工事課、建築設備課、この3課ともに総務部というところで同一部にございます。そして、それらが事業所管課、実際の事業を担当するセクション、そこと契約しておりますアドバイザー、この四者が一体となって事業を進めていく、こういう形を私ども推進体制と呼んでおりまして、実際に、こういうものがあるがゆえにうまく事業としては進んでいるのではないかなということで、全国どこへでも紹介しているところでございます。 いよいよ、県の実際の取り組みという中で、時間もありますので、大分省略して説明させていただきますが、まず、県立保健医療福祉大学、これは本県の第1号案件になります。現実には、国のホームページ等では、国の基本方針が出る前に実施方針、特定事業の選定をしておる関係からPFI的事業というようなことで、PFI事業とは一部認められていない部分がございますけれども、これは開学時期としてございます平成15年4月、これに間に合わすためには、いつの時点かということがございまして、どうしても基本方針が出るのを待てなかったという状況がございます。 ここにあります建築概要のところに、延べ床面積4万平方メートル以下、これ実際現在の計画上の中ではこれを超えておりますが、よく私ども申し上げておりますPFIとしての性能発注という中では、大学の施設の床面としては4万平方メートル以下のものが必要なのですよ、個別の部屋数等はお考えになってくださいと。ただ、求める施設の中身、それらについて参考資料として当初からお配りはしておりますけれども、そこも応募される事業者サイドのノウハウを入れて考えてくださいという形で募集している事業です。 次に、この事業の範囲等でございます。設計業務、建設業務、30年間の割賦販売業務、これは、県立大学ということで施設を県が所有しなければならないということからBTOをとっている、そのために割賦販売業務というのが入っております。それと維持管理業務という形になっております。 事業者の選定手法としては公募型のプロポーザルということで、大林組のグループを選定し、そこの設立したSPCと契約を結んでおります。 次に、募集選定のスケジュール等ございますが、この辺は参考までに後ほどごらんいただければと思います。 次に、衛生研究所の事業です。 これは、本県の2番目の事業という形だけでなくて、また、本県としては、この事業から総合評価の一般競争入札方式を取り入れてございます。 これは茅ヶ崎市内の県有地に、現在横浜にございます衛生研究所を移転する。そこで、機能強化等を図っていくという事業でございます。 この事業においては、全部新築ではございませんで、既設の工場棟を生かすという部分もありまして、そのために既存棟の一部を改修することも事業範囲に含めております。 総合評価の一般競争入札をしているということで先ほど申し上げましたけれども、ただ、本件は実施設計まで県が行っております。そのためにバリューエンジニアリング提案を求めて維持管理費の低減や機能向上をねらったという形をとっております。 このPFI事業の範囲としては、建設維持管理と、それと研究支援業務といったものが内容になっており、衛生研究所としての本体の研究業務、これは県が実施する形をとっております。 飛ばしまして、4−10ページのところの近代美術館についてお話ししたいと思います。 これは先ほどスキームの部分は、高橋部長さん飛ばしていかれたのですけれども、実際にはこの事業は先ほどのスキーム図を思い浮かべていただければ、この事業の中身は一番よくわかるかなと考えております。 概略で申し上げますと、現在、神奈川県近代美術館というものを鎌倉に所有してございます。ただこれ大変老朽化しておりまして、そこの施設だけの展示でも済まないといった状況が出てまいりました。そのため新たに葉山町の御用邸のわきの方なんですが、そちら側に新館をつくるという形の事業でございます。この事業において、神奈川では独立採算部分の取り組みと従来の鎌倉の美術館本館、こちらの維持管理もPFI事業の中に含めている。その辺が、先の2事業と違ってきている点でございます。これも、総合評価の一般競争入札方式をとっておりまして、もう一点、この事業から本県全庁的にPFI事業を行うに当たっては、全庁一律の審査会を設けるということを平成12年に決定しておりまして、その審査会を使ったのもこの事業が初めてということになっております。 また、飛ばさせていただきます。11ページの下の方ですが、海洋総合文化ゾーン、これ先ほど国土交通省さんの方から話がございました。公園の補助金の活用ということで、平成14年度からというふうにお話を伺って、私、大変安堵したところなのですけれども。 これは県の湘南海岸公園、江ノ島のわきにございます。その公園の再整備に当たりまして水族館を整備するというのがこの事業でございます。この事業において、これもまた特徴的なのは、事業の本体はBOOの水族館をつくっていく。要は県としては取得しませんというものでございます。公園内の整備に民間施設を民間事業者によってつくってもらって、民間事業者が運営していただくというスタイルの事業でございます。それにあわせて、体験学習施設という県が所有することになる建物をつく事業でございます。 この事業、もう1点変わった部分がございまして、この公園の中にマリンランドと海の動物園という現在の水族館が営業している施設がございまして、それらはPFI事業者が買い取っていただくという形の事業になっております。 その辺についても、次の12ページの上段のところには記載がございますので、後ほど見ていただければと思います。この事業については、現在、県の議会が開かれておりまして、契約の議案を提出しております。県の議会で議決された暁には、本契約を締結するという段取りになってございます。 少し神奈川が実際に実施してきた上で考えている課題として、23ページをちょっとごらんいただきたいと思います。 23ページの下の図になりますが、PFIの導入に当たっての課題等として、私ども4つの事業を進めている中でこういったことを考えております。まず、事業実施に当たっての課題としての発注方式、一括発注、性能発注の確立の問題であるとか、入札方式としての総合評価、一般競争入札方式の確立。これは、入札手続きの確立という部分だけではございませんで、手続もございますが、総合評価するための審査基準をどのように考えていくのかといった部分を考えていかなければならないということを含めた意味合いでございます。 規制緩和、これは事業者の方にどこまで任せられるのかといった点に含んでくるものでございます。この中には税の問題、会計システムの問題等が入ってきます。 もう1点大事なこととして、その次の24ページの上段の方にございますけれども、これPFIということでやりますとどうしても地域制限ができない。要はWTO協定との絡みで、地元の業者がなかなか優先的に活用できないといった問題がございます。私どもとしては、地元中小企業の参加、それをどのように検証していくか。また、どのように参加できるようにしていくのかといった点を課題であるというように考えております。どういう形で事業を進めていくことになるのかということで、神奈川の場合、3段階に分けて事業者の協力会社の名簿をもらうことにしております。こういったものを考えていて行っていますということで、きょう、お越しの民間事業者の方には、ご了解をいただきたいなというふうに思いまして、最後に紹介させていただきました。 大分時間を超過してしまいましたけれども、これで私の話を終わらさせていただきます。 ○西野教授 どうもありがとうございました。 それでは、時間がかなりオーバーしているんですが、国土技術センターの猪熊さんにお願いします。 ○猪熊部長 それでは、私の方から先進事例を踏まえたPFI実施上の課題と対応ということでご説明いたします。 本資料は、当センターと協力会社さんと一緒になって、このセミナー用に自治体さんなんかにヒアリングをさせていただいた結果と、当センターが今までPFIで行いましたいろいろな検討に基づくものであるというものです。 大きく3章に分かれておりますが、最初の1章、2章はPFIのスキーム構築上の課題とか制度に関するものでして、3番目に地元対応ということで、自治体さんなんかの意見をご紹介したいと思います。 全体として、質問と答えのクエスチョンアンドアンサー形式になっておりますので、その番号を追いましてご説明をしたいと思いますけれども、ちょっと時間の都合で一部省略をさせていただく部分がありますので、よろしくお願いいたします。 最初の、クエスチョン1ですが、個別法は管理者についてどのような規定をしておりという点ですけれども、これは、公物といわれる道路などがそうですが、私権を制限するようなものについて、PFI法ではこの管理とか運営を民間事業者に任すということになっておるわけですけれども、一方で、道路法では、例えば国道の指定区間内は国土交通大臣が管理するというふうにあるわけでして、その間の法律上の整合性をどういうふうに解釈するかという問題であります。 国土交通省さんの方にヒアリングをしましたところ、クエスチョンAのAの方ですけれども、道路とかの国交省所管の施設につきまして、公物の管理者、これは国であったり、県であったり、市町村であったりするわけですけれども、そこと民間事業者、PFI事業者が協定を結んで、そこに規定することにより、さまざまな公物管理業務を行うことが可能であるというような見解をいただいたおります。ですから、事業権契約の中で規定をすることによって、管理業務のPFIにかかる部分を民間事業者に任すようにするという考え方であります。 クエスチョン2の方ですが、PFI導入可能性で、どういう事業がいいかという点ですけれども、いろいろ書いてありますが、基本的には民間事業者さんの創意工夫の余地があるものということと、これは維持管理とか運営のウエイトが高いものが比較的良いのではないかと思われますが、もう一つは、PFIにおいては、手続上プロポーザルをやるとか、公共が審査をやるとかしまして、手間、暇、コストがかかりますので、それをリカバーするだけの事業規模がある必要があるのではないかと考えております。 それから、クエスチョン3ですが、PFIを進めるときに、大きい事業のスキームとして、BOTかBTOか、ビルト・オペレート・トランスファー、ビルト・トランスファー・オペレートということで、所有権を民間側から公共にいつの時点で移すかという問題ですけれども、それを選ぶ必要があります。 その選び方の判定の基準ですけれども、アンサーの3のAにありますような、補助金の交付などを含めまして、法的に、広い意味の法的ですが、行政指導があるとか、そういったのも含めて、例えばBTOにしてくださいというような規定がある場合には、それに従うことになります。もしくは補助金をあきらめて別のスキームを選ぶとか、そういう形になります。 そういう法的な規制がない場合には、純粋にBTOとBOTの特色を考えてどちらか決めるわけですけれども、その特色を順に述べていきますと、クエスチョン4で、民間の創意工夫に関しては、BOTの方がオペレートの期間中、民間事業者が所有権を持っておりますので、創意工夫はBOTの方がやりやすいのではないかと思われます。 コスト上の話ですけれども、クエスチョン5ですが、通常の場合ですと、BOTは所有権を民間事業者が持っておりますので、固定資産税を負担する必要がありますので、この分、民間事業者にとっては不利になります。キャッシュフロー上、出ていく方が多くなります。 それから、税務申告の関係では、アンサー5のAですが、サービス購入型では、BOTでは、施設を持っておりますので、民間事業者さんは、減価償却を費用に計上することができます。一方、BTOの場合は、通常割賦原価ということで計上できますので、この面の有利性ではケース・バイ・ケースということになります。 それから、リスクについてですが、クエスチョン6番で、通常の場合ですと、BOTはオペレートの期間中所有権を民間事業者が持ちますので、民間事業者は、その施設が多少故障したとか、壊れたり、ペンキを塗るとかという場合に、一次的には民間事業者がそれを行う必要がありますので、そういった面での負担が多くなる、リスクは大きくなります。 一方、破綻時ですけれども、もし不幸にして事業が破綻したときには、民間事業者は、BTOの方ですね、すぐ所有権を公共側にトランスファーする場合には、オペレートの期間中、所有権がないわけですので、その期間間に破綻をすると、その施設の所有権がないということで、請求権はもちろん公共に対して主張できる場合は当然ありますけれども、まさかのときに物権を持っていないというのが少し不安かなということになろうかと思います。 その次、クエスチョン7ですけれども、もう一つの大きいスキームとして、PFIの費用の負担をだれがするかというスキームの選択がありまして、税金で行う場合はサービス購入型で、利用者が行う場合は独立採算型ですけれども、通常自治体の方は税金を使うのがいやですので、独立採算を選ぶわけです。ところが、実際には独立採算は余りありません、非常に数が少ないのです。これはどうしてかというと、PFI事業として、独立採算を民間側にお願いする場合には、その事業が採算がとれる必要があるというのが絶対条件になると思いますが、実際には採算がとれる事業が余りないということを示しているのではないかと思います。もちろん、この両者を合わせたようなジョイント型というのはありますが、その場合でも、独立採算の部分については、採算をとれるということを考慮する必要があろうかと思います。 ちょっと時間の関係で少し飛ばして、クエスチョンの9番の方に行きたいと思いますが、PFIではいろいろなプレーヤーがいるわけですけれども、そうしたプレーヤーはどうしてPFIに参加するのかというのを論じたのが9番です。公共側がPFIに参加するのは当然、バリュー・フォー・マネーがプラスになるということで、すなわち安いから参入するわけです。しからば、民間事業者はどうしてPFIに入ってくるのかと言えば、アンサー9の参考値の方をお願いしたのですが、プロジェクトの利益率が出るから、プロジェクトのIRR(インターナル・レイト・オブ・リターン、利益率)が少なくとも、調達金利よりはまさっていないと何のために事業をやっているかわからなくなりますので、これもまさっている必要があります。 もう一人の重要なプレーヤーである民間の金融機関ですが、これは貸したお金が利子をつけて返ってくるというのが一番の関心事でして、そのためには、A、Bですね、DSCR、デット・サービス・カバレッジレシオで、これは事業者に入ってくるキャッシュフロー(収入)が元利の返済額の何倍かという、各年度ごとの数字で、一番少ない年でも 1.1倍程度は欲しいというのがAの話です。 それから、ライフ・ローン・カバレッジレイシオは、それを期間全体で見ると、キャッシュフローが元利返済の1.35倍程度は必要ですねということですが、これは、民間事業者のリスクは比較的少ない英国の例です。サービス購入型の場合が主なんですが、独立採算の場合は当然これよりももっと高い利益率なり、カバレッジレイシオを要求されることになろうかと思います。 それから、大規模修繕のところはちょっと飛ばさせていただきまして、第2章のクエスチョン13の方をお願いしたいと思うのですが、制度上、入札方式の考え方はどうなっているのかということで、クエスチョン13のアンサーのAの方をお願いしたいんですが、一般に、事業者をどうやって選ぶかというのは、総合評価一般競争入札と公募型プロポーザル方式、これは、会計法でいう随意契約になりますけれども、その2つがあります。今までのところでは、基本方針では一般競争入札が原則とありますが、現在のところ公募型プロポーザルも結構行われております。 その特質ですけれども、いろいろ書いてありますが、一言で言いますと、公募型プロポーザルは、公共と民間事業者、もしくはその候補者と話し合いができるということです、ネゴシエーションができる。ですから、公募型プロポーザルの方は手間暇がかかりますけれども、手づくりのかなり細かい、よりいいものを非常に時間と手間をかけて追求できるという特色があります。 一般競争入札の場合は、特に入札以降は話し合いとか、条件の変更というのは、基本的にできませんのでもう淡々と進む。かえって自治体の方なんかからしますと、こちらの方が楽だというふうにおっしゃる方もおいででした。 それから、また少し飛ばさせていただきまして、最後のクエスチョン19ですが、地元対応上の課題というのを少しお話をさせていただきたいのですが、自治体の方がPFIを進めるに当たって、特に議会をいろいろな意味で通過する必要があるのですが、そこからどういう意見をいただいたかという質問の中で一番多かったのは、民間事業者がやるのは結構です。けれども破綻したとき困るのではないですかという質問が多かったというふうに聞いております。破綻時というのは、日本にはもちろんありませんし、ただイギリスにおいては1件報告された例があると聞いておりますが、非常に少ないので、具体的にはどうなるかはわからないところがあります。 先ほど、BOTとBTOのところでも少し申しましたけれども、SPCが破綻しますと、残るのは公共か金融機関かということになりますので、そのどちらかがどういうふうに後始末をするか、もしくは事業を続けるかということになります。ある自治体では、不合理な債務を公共が負わないように、例えば資産の処分というようなことを事前にうたっておくとか、そういうようなことをおっしゃる自治体もございました。 もう一つが、先ほどお話にありました地元中小企業の方が入れないのではないかというご質問を議会からもらったという方が多かったわけですけれども、これに対して自治体の方は、コンソーシアムという形ですので、1社だけではありませんので、そうした中に地元企業を組み入れるようなことができますというようなことでご説明されたところもありますし、一方で、PFIというのはそもそも基本的にはそういう考慮よりは、よりいい公共サービスをより安く県民の方なり、市町村の方に提供するのが大きい目的であるので、そもそも論として、そういうのは余り考慮しないのですというふうな、正攻法でお答えになった自治体もございました。 それから、3番目で、長期にわたるサービス対価の支払能力、これは、純粋に公共側の後年度負担の話ということになります。 少し簡単ですが、以上で説明を終わらせていただきます。 ○西野教授 どうもありがとうございました。 最初の予定ですと、20分に休憩をとる予定でおりまして、もう既に10分を過ぎております。どうしょうかと考えていたのですが、私自身はPFIの実務としては選定委員に加わった程度です。普通の公共事業の入札、プレクオリフィケーションから完成に至るまで、海外事業ではかなり大きな事業に関係しております。学者としてみますと、PFIに対する理解に少し混乱をしている点もあるように思われます。今、考え方に。そういうことで、最小限にとどめて一応プレゼンテーションをしようかと思います。私の場合、1−26からパワーポイントの画が出ておりますが、では最初の画を出していただけますか。 一番下に書いてあるのですが、今までのお話のように、繰り延べとか、平準化して支払いますと、将来の財政の硬直化につながります。全公共事業費のどの程度をPFIにするのが適切かわからないのですが、私は例えば10%から20%ぐらいが適切かなと思っています。この割合は先ほど神奈川県の伊藤さんから、1年間に1,000億から1,500億円と言われたのと一致するのかなと思います。100%PFIで公共事業をやりますと、20年、30年動きがとれなくなって、全く新しいことはできないということが起こりますから、PFIで多少値段が下がるにしても、全公共事業に占めるPFIの年間事業量の割合は10%かその辺かということです。 その次お願いします。 対象案件としては、すべての公共案件が対象になりますが、実際には特定の案件でのみVFMが出るのではないかと考えております。 それから、非常に誤解があるのは、一番下に書いたことなのですが、私は公共事業で性能発注以外の発注があるとは考えておりません。一般の公共事業であっても、全ては性能発注です。ただし、手続上、すべてを一つのSPCに発注するのと、設計、施工、維持管理、運営と分かれて発注していく場合に、同じ性能設計であっても出来あがる構造物やサービスに差が出ることはあります。 その次どうぞ。 今は、総合評価、一般競争入札と2段階審査が認められております。先ほど公募型プロポーザル方式というのがありましたが、PFI委員会の見解は、あくまでもこれは随意契約ですから、会計法に示しております随意契約の条件を満たさない限り法的には問題があるという見解をとっています。地方自治体の場合も全く同じでありまして、法律の内容としては会計法と同じ内容になっておりますから、随意契約をできるという確信を持たない限り、公募型プロポーザル方式は採用できないというふうに考えています。 PFIというのは、民間の創意工夫の余地がある案件向きであります。 従来型の工事では、採用困難な特許に守られた工事手法の採用が可能であるというのがその一つです。 次のページをお願いします。これも既に高橋さんからお話があったのですが、金融機関による厳しい案件審査によるむだな事業の実施の可能性が少なくなります。これはいろいろな案件をつくるときに、特に私は海外の案件によく関係しているのですが、必ず金融機関が入っています。しかし、自分が金を貸すかどうかというときと、単にフィージビリティースタディーをするときの金融機関の態度というのは違います。フィージビリティースタディーの場合には、金融機関としての発言をしますが、金融機関がお金を貸して、それの元金と利子の返済を確保するというときでは全く態度が違っています。当然のことかなと思います。そういう意味では金融機関の融資を用いるPFIは非常にすぐれている点があるといえます。 もう一つ、これは非常に大事なことですが、PFIは通常の公共事業方式と比べますと、案件の実施前、つまり入札が終わった段階で、現在価値ではありますが、そのプロジェクトの全期間に必要な出資がおおよそ解ります。したがって、むだな公共事業として物ができ上がってから赤字になったとしても、最初の段階で費用の大部分が決まっており、リスク分担の契約にもよりますが、民間が取るリスクは民間が取ります。代表的な例が、ドーバーチャンネルの下のユーロトンネルです。これは、PFIと言えるかどうかは疑問ですが、プロジェクトファイナンスでやりまして、コストオーバーランのため、大幅な赤字になっています。そのコストオーバーランの費用はすべて銀行がとっています。そういう意味では、事業が始まる前に公共側がその事業に対して幾ら出さなければいけないと言う金額の大略の値がわかっているというのが一番大きな長所かと思います。 次、お願いします。 PFI事業として実施した方が公共事業としての調達費用が安価と想定されるときに、PFI案件としての手続を始めます。結果として、PFIが高価となったとき、通常の公共事業として実施するというのが原則だと思います。高価となる程度によりますが、特に高価になる場合は事業の実施に問題がある可能性が大です。 例えば完全に事業として成り立つために、アクアラインをPFI案件として実施するとして、入札をしますと、恐らくサービス購入料が現在の通行料の3倍になるというような数字が出てくると思うのです。そこの段階でアクアライン事業が適切かどうかということがわかります。仮に、今と同じ通行料金をサービス料として受け取るという入札結果になれば、今赤字になっているものはすべて民間が受け持つということになります。そういう特徴があります。 その次お願いします。 これは、ちょっと妙なことを書いているのですが、PFI事業として実施するかどうかの評価の結果、適切でないという結果になったときに、事業が実施される補償がないというようなことがあります。 実は、私のおります大学そのものが今PFI案件として成り立つ可能性があるかどうかの調査をしていまして、VFMが出るかどうか検討しています。VFMが出ないという結果になって、次年度に一般公共事業として予算要求したときに予算がつくという保証がありません。そうしますと、一番下に書いてありますが、特定事業の選定の結果が適切でない場合にも、意図的に適切にするというモラルハザードが起こるという可能性があります。PFIの調査をするときには、同時にPFIでVFMが出なければ一般の事業でやるという予算措置をしておくべきであろうと私は考えております。 その次お願いします。 ここで今後の課題と書いてあるのですが、一般の公共費方式とPFI方式が税制とか補助金などでイコール・フッティングが大事だと考えています。諸外国では一般競争入札でもネゴシエーションができるというのが世界の大勢であります。入札後であっても価格を含めて、いろいろのネゴシエーションができるよう、会計法の変更が要るのかなと思っています。 それから、下から2番目に、実施方針の公表時に発注者が実施した複数の基本設計あるいは基本調査設計でも良いのですが、それらを参考資料として添付するのは好ましいと考えています。つまり性能設計なのですが、特に箱物については、詳細な性能を書くことは非常に困難です。したがって、図面で書いた方がわかりやすいということで参考図面を出して、SPCはそれをもとに出発をして、さらに改良するというのがいいのかと思っています。 それから、PFI案件の全期間が終了後のことは、PFIが始まったばかりですから、20年後どうするのだろうか、30年後どうするのだという話は出ていないのですが、考える必要があると思っています。PFI終了時には全てが公共側にトランスファーされていますので、一般の公共事業として維持・管理・運営してもよいのですが、全ての運営をサイド民間に任せることも考えられます。多少の修理が必要とすればリハビリテート・アンド・オペレートと言えるかと思います。そうしますと、実は既存の公共事業もその対象に入ってきて、PFI、PFIと言っておりますが、既存の公共サービスに対してもリハビリテート・アンド・オペレートというのがあるのかなと考えております。 私は援助に関係しているものですから、例えば今は無理なのですけれども、ミャンマーのような国では、日本が過去大きく貢献した公共事業があります。それが非常に悪い状況になっているので、ああいうものはリハビリテート・アンド・オペレートの対象になるのかなと思っております。 次お願いします。 私は、ごく少数ですが、PFI案件のアドバイザーリー委員会に入っておりまして、非常に居心地が悪い思いをしています。大体の委員会は、法律の専門家、構造物の専門家、体育館のようなものですと体育館の使い方の専門家とか、体育の専門家とか、そういう人が委員になっています。全員スペシャリティが違うのです。したがって、そういうアドバイザリーコミッティがものを決めるというのは非常に居心地が悪くて、体育の専門家としてはこの点がいい、この点が悪いというコメントをつけ、また財政の専門家としては、この点がいい、この点が悪いというコメントをつけ、そして、最終責任者である公共に提出し、その結果を見て公共はどれに決めるかという決め方がいいのかなと思っています。最終責任は発注者に存在というのは下に書いてあります。 次、どうぞ。 PFIでは税金が大きな問題でありまして、PFI事業体に対する課税として、国税、都道府県税、市町村税の3つの税が存在します。3つの税のうち発注者のところに払われる税は問題になりませんが、他の2つの公共機関に支払う税は公共事業で実施すればかからない税になります。 次、お願いします。 一番下に書いてありますが、本来公共事業なので、全額免除ということが可能であればそれが一番いいと思いますが、もし、税制を体系的に変えるというのが困難であれば、一番具体的な方法としては、例えば都道府県が発注した場合に、国に払った税額、市町村に払った税額はわかっていますから、払った税を国なり市町村が都道府県に移算する、という処置ができれば、税金が全くかからないのと同じになります。こういう方法をPFI委員としては模索をしており、特別措置法のような形で処置できるよう提言したいと考えております。 次、どうぞ。 説明する気はなかったのですが、PFI案件にするとどのぐらい税金がかかるかというのを一つ試算してみたのです。この例にはいろいろな仮定が入っていますので一つの目安にしかなりませんし、もっと少ない可能性も当然あります。この試算では国がBOTで実施し、仮に創意工夫は全くなくて、公共事業と同じ費用がかかったとしますと、税抜きの全事業費の14%の税がかかります。BTOにしますと、固定資産税がないので7%ですみます。都道府県が実施しますと、BOTで24%ぐらいの税がかかります。BTOで13%位です。市町村が実施しますと、BOTで24%、BTOで16%位です。実際は、これの値は単なる目安ですけれども、これだけの工夫を案件ごとに実施してかせぐというのは大変で、私は何とか税を同じにしない限りPFIというのは成り立たないのかなという心配をしております。 これで終わります。 今までのプレゼンテーションに対してご質問がありましたらすぐに書いて出していただく、あるいは休憩時間中にさらに追加して次のセッションが始まる前に出していただきたく、お願いします。 次のセッションでは、パネルディスカッションよりはまず質問にお答えをして、その上で時間があれば、パネラーの間で議論をするという形にしたいと思います。 大変長い間ご清聴ありがとうございました。 時間はちょうど今45分なので、恐縮ですが15時55分というふうに10分間でお戻りいただくようにお願いしたいと思います。よろしくどうぞ。 (休 憩) ○西野教授 皆さんの方から出していただいた質問書の写しをとっておりまして、まだ届いておりませんが、前もってホームページに書き込まれたのか、あるいはチャットのページなのか、Eメールなのかわかりませんが、少し質問が出ております。時間になりましたので始めたいと思います。 当初、16時30分まで予定しておりまして、今既に15時55分ですから余り時間がありません。お忙しい方がおられると思いますので、16時30分になりましたら一たんそこで合図をいたしますので、どうぞ次の予定のある方はそこで退席していただいて下さい。この会場そのものは17時まで使えると聞いておりますが、後での整理がありますので、どんなに長くても16時50分には終わりたいと思います。 早速、既に出ております質問から入りたいと思います。 まず1番最初は、最近、日本独自の拡大解釈がなされたPFIが出てきたように思われます。このままでは適切なリスク分担ができず、過去の第三セクターのような問題が起こる可能性さえあるように思われます。今後の日本版PFIへの未来へのビジョンをご明示していただければ幸いです。 こういう質問が来ております。これどなたかいかがでしょうか。 では私、西野から少し口火を切りましょうか。 実は、数日前にあるテレビ局のキャスターをやっておられる方とPFIの話をしたことがあります。その人は、「PFIというのは、公共事業というので、橋とか道路をつくるものだと思っていて、まさか病院の建設、維持、管理をするとは思わなかった」と、こんなことを言われたのですが、この言葉に続いて、公共サービスの提供をするとすれば、PFIでも例えば天下り人事が行われるのではないかとか、第三セクターで起こっている1つの例ですけれども、そういうことを言われました。 それに対して、私は、PFIではすべてについて契約を結び、その契約の中で処理せざるを得ないので、そこには当然のことながら人件費も入っているでしょうし、そもそもSPCが給料を払うかどうかも怪しいとお答えしました。つまり構成メンバーが手弁当で出てくるという可能性がありますから、構成メンバーのところに天下りして、その人が出てくるというような可能性までは否定できませんが、SPCに天下りするというようなことはないのではないでしょうかと、お答えをしました。何かほかのパネラーの方、私の答えに対してさらに追加することがございますでしょうか。 どうぞ。 ○高橋部長 質問が非常に広い質問なので、質問にちゃんとお答えできているかどうか私も自信ないのですが、第三セクターとの比較において、我々実際に幾つかの案件をやっていて思うのは、第三セクターの場合には、結果的には出資者である自治体とか、民間企業、金融機関等々から人が出ますと、そこの第三セクターの中に実際に相当程度の人がいて、その人たちが事業の運営をするというのが基本になっていますので、三セク自体がかなり実態的な、かなり大きい存在になってしまうケースがあるのです。三セクの中で何から何までやらせようとする。PFIの場合には、自治体が出資をされて三セク形式になっているものもないわけではないですけれども、むしろ、考え方としては逆でございまして、例えばゼネコン、設備をつくる建設会社、あるいはプラントをつくる会社、公共サイド、それから我々金融機関もSPCの中に余り人を出すとか、あるいは実態をつくらないで、SPCとその事業に関係する企業との間で契約を結んで、契約に基づいて仕事を割り振りするということになる。ですから、多くのPFIにおけるSPC、事業主体というのは、実態がない。むしろスポンサーとか、関係するところに仕事をアウトソーシングして、それで一番よくわかっている人が事業もやるし、それで、もし失敗したらそこの責任を負うということなので、そこが従来の第三セクターとかなり違ってくるのかなという感じがしております。 それから、もう一つは、PFIはこれからいよいよ本格化すると言っていますけれども、例えば神奈川県さんが既に4つ目をやろうとされている。それから、首都圏でも幾つか出ているのですが、実際には、本格化するのは多分14年度の後半からだと思いまして、まだ箱物、PFIとか、ゴミの関係とか、比較的まだフィールドが限られています。いわゆる行政のコアの部分というところがまだ出てきていないので、そういう中で分野的な広がりを持ってくると、それについて、ここで指摘されているような方向性が正しいのか正しくないのかという議論が出てくると思います。 何を言っているかというと、例えば四国の高知、それから近江八幡で、公立病院のPFIというのが今動きつつありまして、多分14年度中に事業者選定まで行くと思うのですけれども、これは、公立病院という極めて技術的にも、それから労務管理等も含めて難しい、行政でもコアに近い分野で、これをPFIというスキームをつくってやろうとする。当然、対象になっている公立病院というのは、これまで経営的にいろいろ問題があって、赤字の病院なのです。ですから赤字の病院をPFIというスキームを使いつつ再建するという二重に難しい問題なのですけれども、こういった行政サービスの中のコアに近い分野でのPFIがどういう形でスキームができていくのかというあたりで、この質問に対する直接の答えではないのですけれども、議論が深まっていくのではないのかなというふうに思います。 ○西野教授 ありがとうございました。 よろしいですか、それでは2番目に、一番難しいのですが、海面埋め立てによる廃棄物最終処分場をPFI事業により整備する場合、どのような事業スキームが考えられるかご享受願いたい。これはいかがですか。 では猪熊さんよろしく。 ○猪熊部長 海面埋め立てというのは、まだちょっと例がなかろうかと思うのですが、廃棄物の最終処分につきましては、先日、北海道でセミナーをしたときに留辺蘂町さんの方から事例の報告があって、そこで既に行われているといいますか、事業者が決まる段階まで行っております。ですので、特に特殊なスキームというのを考える必要はなかろうかと思いますけれども、留辺蘂町さんの方でも、バリュー・フォー・マネーで数十%、落札結果ですけれども、出たというようなことで、町としては、非常にありがたいというようなお話でした。 以上のようなところなのですけれども。 ○西野教授 非常に難しい問題なので、ちょっとその程度にさせていただきたいと思います。 はいどうぞ。 ○高橋部長 直接的な参考にはならないと思うのですが、福岡市の三セクで、博多港開発という会社がございまして、ここは従来から廃棄物を使って埋め立てをして、そこの用地を民間に分譲をして、事業としてやっていくということで、第三セクターの事業として既に相当長い歴史を持っております。イメージとしては、多分それが一つ参考になると思うのですが、収入としてはSPCをつくって、廃棄物の処理費用と、それでつくった埋立地を売却できればということになろうと思うのですが、今直感的に思うのは、多分廃棄物の処理費用だけで海面を埋め立てて、造成をして、売却できるまでの用地資金ではとてもそれだけのコストは賄い切れない。 それから、10年以上前で、そういった工場用地をどんどんと世の中が求めているような時代であれば、ある程度売却して、その売却費用でもって回収するという考え方はあると思うのですけれども、昨今の経済情勢を考えたときには、非常に安定的な収入を得られる見込みが立ちづらいということでございます。PFIの場合には、これはプロジェクト・ファイナンス全般に共通するのですけれども、やはり収入がある程度安定している、ないしは収入が極めてリスクが高い、ボラティリティーが高い場合には、それ相応の仕組みをつける必要があるのですけれども、廃棄物処理という事業の性格を考えたときには、どこかから補助金を持ってくるとか、無利子貸し付けを持ってくるというやり方もあると思うのですけれども、それだけで事業として成り立つかどうかについては厳しいのかなという感想を持っております。 ○西野教授 よろしゅうございますか。 それでは次に、世界の、あるいは日本のPPPの現状と、今後の展望についてお聞かせいただきたい。これはPPPと書いてあるので、官と民の立場の問題を聞いておられるのかなという気がするのですが、これはどなたか、伊藤さんいかがですか。 ○伊藤主幹 これも感想的になりますけれども、パートナーシップという形の話で、要は、英国等でPFIというものができ上がって、それが現在では、PFIということよりも、それよりもより広い意義のPPP、パブリック・プライベート・パートナーシップという形になっている。 国でも、これは研究会を経済産業省の方でやっております。実際に、これそれぞれの役割分担論の中で言って、PFIが広がれば、それだけ民間にもっと任せてもいいのではないのという点は広がっていくのではないかなという気はします。 神奈川の場合も、民間活力の活用指針といったものを、これは私どもは財産管理課なのですが、行政システム改革推進課というところでやっております。その中で、アウトソーシングをもっと図れないかとか、そういったものも検討するという部分の中で取り組んでいますので、実際には、もう少しPFIという中からPPPという考え方に立って、それぞれの役割分担論に立った形での業務分担が進むのかなという感じはします。 ○西野教授 ちょっと私からコメントしたいと思うのですが、PFIの委員会でヒアリングをやっております。ヒアリングをしておりますと、民間の側から、官が従来と全く同じく非常に強く、官と民が対等でないというコメントをよく聞きます。どの程度ホームページに出ているかわかりませんが。条文といいますか、契約書を私が見まして、こういう契約書では少なくとも私がやってきた海外の仕事では通用しないと思うものもありました。ベクテルの人とPFIの話をした折に、その部分を見せたのですが、彼らはこういう契約ではリスクが多くてとてもできないとの返事をしました。そういう契約が今でもかなり多いのが実態ではないかと思っています。 そのときに、1つ考えられるのは、意図的に官が強くて、官と民が対等でないのか、あるいは契約書をつくるということに慣れていなくて、あるつくり方に従ってつくるので、民にとって非常に不利な契約になっている。それを改善するように申し入れても、従来これでやってきたからというので動いているのか、その辺はわかりませんが、それが私の書いた資料の一番最初に、PFI(PPP)と書いた理由です。もう少し官と民の立場が対等であるべきだと、私は個人的には思っています。 その次に行かせていただきます。この次3つぐらい出ているのですが、一番最初に、市庁舎にPFIを導入する場合どのような点で従来方式の建設、維持、管理よりも、有利になるか。こういう質問が出ています。これいかがでしょうか。 伊藤さんお願いします。 ○伊藤主幹 神奈川、最初に箱物に導入していまして、その中でいろいろと説明している部分がございます。それの一部で申し上げますと、要はエスコ事業という言葉をご存じの方もおられるかと思います。要は省エネになっている部分の利益を折半しようというような部分に近いわけですけれども、省エネを図るとか、その設備の効率化ですとかという面を、PFIという形で民間に長期的な視野に立って任せることによってコストダウンが図れます。その辺だけは言えるのかなと。 例えば電球等よく言いますけれども、1年しかもたない電球が100円だとすれば、5年もつ電球を300円で買っても安上がりだと、そういったことが公共側だけでやっていきますとなかなかできない面がある。これは予算措置上の問題ということもあるわけですけれども、それを、民間事業者の知恵に任せるということで可能にしていくという点があろうかと思います。 ちょっと全般にわたりませんけれども、端的に、質問の回答の一部になるのではないかなと思います。 ○西野教授 少し私が話をし過ぎているのかなと思うのですが、先ほど、性能発注以外の発注はあり得ないと申し上げたのですが、PFIでは設計から建設、維持、管理、運営まで一括して発注しますので、SPCは必ず全体を通して一番安くなるという設計をするのです。それに対して、全く同じ性能発注をしましても、設計だけを発注しますと、既に契約で設計料が決まっているわけです。そうすると官との間で話し合いをしたときに、本来ならば、官の方から30年運営したときに一番安くなるようにということが設計に反映されなければいけないのですが、そこまで考えないで設計される可能性があります。そのためにある意味ではPFIと違った設計ができ上がる。 そういうことで、私は、本来すべて性能発注であり、一般の公共事業方式でも最後まで考えればPFIと同じように性能発注に見合った設けになるのが当然なのですが、ぶつ切って発注していくと、終わりまで考えないためにいいものができない。その意味では、伊藤さんの言われたのは全く同じ考え方をしておりまして、やはりそこまでは今まで考えていないので、発注形態としては、一括発注で20年間といった機関の運営まで含めると、運営費が下がるのではないかと思っております。 それぐらいにしまして、次に、PFIの利点が民間の経営努力と、市の財政面から見ての利点ばかりが強調され過ぎていないか。民間だけでなく、PFIの理念に基づく発注者の経費節減努力はどのような点にあるのか知りたい。 その例として、例えば小さな行政組織にできることで、市民負担の公費が節減でき、市民にとっても有利、市も政策立案や事業コントロール、評価等の専門分野の仕事に特化でき、民間の会社でもできることに時間をとられなくて業務の質と効率を上げられる。 具体的にもう答えが書いてあるような気がするのですが、これは、高橋さんか伊藤さんいかがですか。 ○高橋部長 私は今銀行におりますので、市民と行政の役割分担ということについてはいま一つよくわからないところはあるのですけれども、市役所の職員の方が今までやっている部門の中でも、もう既にかなりアウトソーシングという考え方が出てきております。今まで市役所の職員がやるべきだと思っていたことでも、実は民間でできることもあるのだということがわかってくる。そういう中で、一遍行政として本当に必要なこと、あるいは、行政がやることが一番効率かどうかということが、ある意味ではスクリーニングにかけるということが大事です。特に市庁舎みたいなものというのは、例えば文部科学省と会計検査院のビル、これを合同庁舎ということでPFIにゆだねるわけですけれども、こういうものも、英国ではかなり実績があるのですけれども、民間事業者に設計させて、つくらせて、管理させて、そこから借りるという形でやることによって、今までの行政の守備範囲が見直されるということは十分にあり得るし、その結果として、コスト的にも十分だし、管理的な面でも大丈夫だということが出てくるのではないのかと。そういう意味では、ある種のテスティングによって役割分担を見直すというのは大事だと思っています。 それから、もう一つは、コストの問題ばかり私は言っておりますけれども、それによって新しいマーケットが出てくる。マーケットが出てくることによって、民間のある種の活力をさらに呼び覚まして、マーケットを広げていくというある意味での度量というのが行政側に求められていると思います。 ○寺前政策企画官 ちょっと今のことで。 ○西野教授 はい、寺前さん。 ○寺前政策企画官 PFIの利点で民間の経営努力ばかりということでありますが、私どもどこの役所もそうですけれども、公共事業改革というのをずっとやってきておりまして、その中でPFIというのは手段の一つと考えておりまして、全体的には、コスト縮減対策とか、あるいはB/Cを使いまして政策評価をやっていくとか、あるいはPIといいましてパブリック・インモルブメントで情報公開をやっていくとか、いろいろな手段で公共事業改革をやりまして、コスト縮減、サービスの向上ということを目的にいろいろ考えておりますので、PFIはその一つの手段だというふうに考えております。 以上です。 ○西野教授 それでは、同じ方の3番目の質問でございまして、かつてイギリスでは、小さな政府という理念を掲げ、それを目指して、その達成手段、手法の1つとしてPFIを導入してきたと理解しているが、日本ではPFIに対してどのような理念を掲げているのか知りたい。 これは、寺前さんでよろしゅうございますか。 ○寺前政策企画官 PFIの理念は、固く言いますと、法律の第3条に書いてあります。それから、基本方針が12年3月に出ていまして、その中にいろいろ我が国のPFIに関する理念がかなり長文で資料編にも載っておりますので、ここら辺をちょっと一遍読んでいただいてということではないでしょうか。 ○西野教授 それでは、時間が非常に限られておりますので、そこを読んでいただくということにさせていただきたい。 最初から出ている質問の最後ですが、PFI先進国に例のある橋梁、道路等へPFI手法を我が国で適用する前の障害、問題点、その解決策について知りたい。こうなっています。 私自身は、こういう先進国の状況というのは余り調べておりませんで、自分では物を考えておりますが、どなたか、高橋さんご存じですか。ではちょっとひとつ。 ○高橋部長 私も細かく知っているわけではございませんけれども、イギリスでは、橋梁ですね、有料橋、それから有料の道路で実績が既に幾つかございます。 それから、同じく英連邦下のオーストラリア、それからカナダなど、具体的な名前は今私手元にないのですけれども、有料道路でPFIを実施しております。 日本の場合には、まず有料道路の場合に、公団方式とか、いろいろ仕組みの問題がありまして、今現在は皆さんご承知のように、PFIという形での検討は具体化しておりませんが、将来的にそういった枠組みそのものの問題との兼ね合いの中でPFIということを検討する可能性という、余地はあると思います。 問題は、料金をどういう形で確実にとるか。例えばイギリスの橋であれば、そこを渡れば1回渡ると例えば何ポンド確実にとる。それで、そこの橋の収入で回るというケース。それから、そうはいっても人口が過疎で、橋の収入だけでは、独立採算型ではカバーできない場合には、1つ補填として、これは道路等で実際に行われておりますけれども、シャドウトゥールといって、行政側から道路を整備するに当たって、SPCが整備して、そこを運営するに当たって、行政側から一定の費用を支払う。それと先ほどの利用者の賃料でもって回収をするというやり方があろうかと思います。日本で今後、仮に有料道路的なものをPFIでやるときには、そこの収入をどういう形で確実にしていくのかということが大きなポイントになってくるのではないかというふうに思っています。 ○西野教授 ちょっと私から、私の個人的な意見を申し上げますと、先ほども言いましたように、財政の硬直化を考えますと、公共事業の10%前後をPFIで実施するのがいいところかなという気がするのです。そうしますと、創意工夫の多い案件の方が向いている。あるいは民間が複雑なことを考えて、価格を下げ得るものが適している。そういうふうに考えますと、道路とか橋梁というのは、余りその余地がない。民間がやっても官がやっても同じようなものになるとしますと、PFIにどれだけの割合を割くかによって、こういう分野は出にくいというのが1つです。 今度は反対に、今は大分改良されたと理解していますが、東京の中央線が平面交差をしていてほとんど遮断機が上がらない。その地域の住民は、十分金があって、非常に高い料金であっても、オーバーブリッジをかけてくれればそこを通る。立体交差にするという小さな案件です。信号が開かないのを待つところでは、建設、運営費の全てを払っても良いという人が多く居る場合、PFIというのは非常に楽ですね。 それから、もう一つは、今度は海峡横断橋、紀淡海峡とか、伊勢湾港、東京湾港、ああいう大きな案件になりますと、ご存じのように、日本の道路橋の示方書というのはスパンが200メートルを超えますと適用になりません。逆に言いますと、示方書がないというのが現状であります。本四の基準とか、そういうものはございますが、これは道路橋の基準を延ばしただけであって、それ以外は考えておりません。道路橋の基準は、だれが設計するかわからないという前提で書かれています。だれがファブリケーションをやるかもわからない。そういう前提で書かれています。だれがエレクションをやるかもわからない。施工制度などもわからないという前提で書かれておりますので、超一流の技術者が設計し、超一流の工場がファブリケーションをするというふうにしますと、安全率を落とせるという可能性があります。そのことについて、私、確か2年か3年前の橋梁と基礎の8月号に1ページほどの小文を書いております。もしご関心がおありになれば、長大橋の場合にはそういう可能性があるということでこの質問を終わりにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。 それでは、フロアーから出ました質問がいろいろありますが、順番に事務局が丸をつけたというのは受け取った順ではないかと思いますけれども、順番に行きたいと思います。 まず1番目に、公共側の維持管理費の実績などストックしていないと思うのですが、実際のVFMは出てこないのではないでしょうか。こういう質問ですが、いかがでしょうか。 伊藤さん。 ○伊藤主幹 維持管理費の実績というのは、ストックしていないということであっても、見積もるためには、予算という形で、過去の長期的な、相当長期の古い予算書等があるのです。ですから道中で、実際に維持管理費どのぐらい払っているかという部分は、ある一定値としては存在する。 また、バリューをやるに際して、どういう項目で集めてくるかという点、人件費だとかというのもすべて含んだ形で、現状の中から過去の例を当てはめるという形で算定しています。 真実のというのが、これは想定だけではないかという意味合いであれば、まさにそのとおりなのかもしれませんけれども、想定上に過去同じような規模でやっているもの、神奈川がやるにしても、同じような例がどこかの県にもないのか、そういったことまで見ながらやりますので、ある程度公共側の負担部分、従来型でやった場合の公共の負担というのが計算上は大体は出てくるということは言えるのかなというふうに考えます。 ○西野教授 それでは、時間の関係で、次に同じ方の質問ですが、補助制度があるとのことですが、どこの自治体も再建団体になりそうな状態での2分の1負担は何ら普及方策にはならないのではないでしょうか。 これは寺前さん、いかがですか。 ○寺前政策企画官 この補助制度は恐らく私の説明の中で出しました内閣府の調査費の補助だと推測するのですけれども、どこの自治体もこの調査費の補助で2分の1国費をもらって、実施方針やバリュー・フォー・マネーの調査をやる場合に、それを補助裏の2分の1を負担してでも、あるいはVFMが出てメリットがあるような事業規模のものだとか、あるいは、調査費をもらわなくても自前の職員の努力でそういう基本方針なりVFMをちゃんとやってみるということが調査費の目的でして、最後は事業の段階でそれを上回るメリットが出てくるということではないでしょうかということだと思います。 ○西野教授 今の話で、多分質問はそうではないかと私も思っているのですが、これが補助金の話ですと、今BTOにしか出ないというふうになっておりますが、BOTにも補助金が出せるような方向で変わるようでございます。それだけつけ加えまして。 その次、同じ方から、福祉センターの業者選定ではいろいろ物議を醸しましたが、透明性の確保など現実的には無理なのではないでしょうか、という質問ですが。 これはどなたか、では伊藤さんよろしくお願いします。 ○伊藤主幹 この事業者選定の透明性という点においては、実は、4年制大学のときに一部週刊誌上にもにぎわしたし、外宣車にもおいでいただいたと言いますか、そういう状況がございます。これは、業者選定に際して、そこで透明性という点において、実際に選ぶための選定の基準、それを募集段階で示すと、これは総合評価の入札の場合もそうです。要は、どういうことがクリアできていれば何点だよ、どうなるかという部分も、応募者が自分でも判断できるぐらいの基準を示すということで、その辺の透明性は確保できるのかなと。 また、審査するに当たって、神奈川が言われましたのは、県の人間が大部分を占めているのではないの、県の人間が審査会をリードしているのではないのという話がございます。ただ、今そういったことから、神奈川では、そういった審査会の委員長、副委員長は、県の人間以外の学識者にお願いしています。県の職員は少なくする。ですから委員の過半数は外部の人間にするというようなやり方をとっています。ですから、審査者の選び方ですとか審査基準、そういったものの関係で、透明性ということでは言えるのかなと。 それともう1点、神奈川の場合、審査結果に当たっての、審査結果の講評、これは「公」の公ではなくて「ごんべんの講評」という形で、いついつこうやってどうだったという部分を最後に表に出しています。ですから、どういった形で、どういう経過で選ばれたのかと、そういった点まで、この3本それだけなのかどうかわかりませんが、もっとあるかとは思いますけれども、大体こういった3点ぐらいの中でも外部的には、透明性は確保できるのではないかなというふうに考えます。 ○西野教授 私が既に先ほど申し上げましたが、私自身は海外の事業で、デザインビルト案件を評価するということをやったことがあります。その場合の入札書は、大変な量の書類ですから、コンサルタントが見まして、発注者に上がってくるわけです。この案では、ここがいいとか、ここが悪いとかコメントがついて来るわけです。それに対して、発展途上国の発注者が十分に評価できないということで、世界銀行のアドバイザーをしたのですが、コンサルタントから上がってきた評価について、私の意見はこれですというのを書きました。その場合には、世界銀行は私の報告を公表しておりません。日本の場合には、それは公表できると思っておりまして、それで透明性があるかどうかというのは、また話は別ですが、そこまで書けばあとは発注者が決めることであって、少なくとも第三者でそういうものを出せばいいのかなと思います。 何かございますか。よろしいですか。 ダブったような問題が出ているようですから3番に行きます。 PFI事業を検討する上で、導入調査ではVFMの概念が重要と思われる。しかしながら、リスク調整額のコスト換算がネックとなっている。(現状ゼネコン等のヒアリングによらざるを得ない)事業施設の累計が出てきた時点で、建設、維持管理、更新の各段階におけるおおよその目安を公表してもらえないか。こういうことが出ておりますが、これはいかがですか。 ○伊藤主幹 事業を検討する上でというのは導入調査の段階、言い方なのですが、実際にもう実施方針を公表する、もしくはそれの前段あたりでバリューの概算が重要であると思うのです。よく導入可能性調査という中だけでは、まさしく概算だけだと思います。まだ、概算の中でバリューが出るか出ないか、どのように見るかというのは、どこでも固まったものはまだないのではないかなというふうに理解しております。 その段階においては、ここのリスク調整額というのは、多分見ていないのではないかなというふうに考えます。 リスク調整などの累計については、実際の特定事業の選定に当たって出てくる話であって、私どもも、こういった事例は国等で何かひとつデータベース化できないかなというようなことをお願いしているといいますか、要望しているという段階にございます。 リスク調整額、これは実際にやるに当たって、ゼネコン等のヒアリングというものもあるかもしれません。また、実際に営繕関係を内部的に持っている、どこでもそうですが、市町村でも行政体であれば、それらの確立ですとかというものと、あとは2つの機関が建設コストに関しての冊子を出していまして、それらの維持管理コストについての部分からリスク調整の面も、ある施設自体に対するリスクについては出てくる。 また、個別の事業形態については、例えば美術館などで言えば、遅れたということですと、今度は借りてくる美術品に対する手当ての問題が出てくるとかというのは、その辺またその事業特有の部分なのです。そういうものについては事業課の方がよく知っているという面があると思います。ですから、コスト換算という部分までを実際の特定事業の選定に当たってのものという理解であれば、それなりにアドバイザーなりを活用することによって処理できるのではないかなというふうに考えます。余り回答にならないかもしれませんけれども。 累計が出てきた時点でという面、各段階での目安を公表してというのは、これはなかなかもとの計算をつくる上で重要な要素になりますので、余り目安という部分では公表できないだろうというふうに考えます。 ○西野教授 ありがとうございました。 今、16時34分でございます。既にお約束の時間を過ぎております。今ノートを受け取りまして、この会場が17時から使う予定があって、遅くとも45分、できれば40分ぐらいに終了するように言われています。あと七、八分だと思ってください。 もし、答えられなかったときの対応を考えておりますが、場合によっては国土センターにお願いをしまして、我々に回した上でホームページか何かに載せるということは可能ですか。まあそれは後ほど考えることにして、そういうことできれば、質問に何らかの努力をしたいと思いますが、その間できるだけ、お答えを端的にしていただきたいと思います。 補助金の考え方を整理した指針の発表予定はないか。こういうことでございますが、このことについて、私は一般の公共事業と同じなので、できるだけ一般の公共事業と同じに扱うという方向に持っていくべきであろうと思っていますし、推進委員会としてそういう努力をしたいと思っております。 ということで、次に行かせていただきます。 一番最初の方、PFI法の第2条3の3で、公共施設法の管理者として、何とかを行う特殊法人その他の公共法人と記載されています。これらの特殊法人、その他の公共法人は具体的にどのような法人を指しているのか教示願いたい。病院を整備する社団法人も対象になるのか教示いただきたい。 これは、わかりますか。 はいお願いします。 ○寺前政策企画官 公共法人につきましては、法律の2条の第1項で公共施設、公用施設、公益施設、個別に定義がされていますが、それらの公共施設等を整備、管理する主体であるということと、特殊法人というのは、法律に基づいて設立された法人、都市基盤公団などの公団が入ると思います。 それから、病院を整備する社団法人は、内閣府か厚生労働省に聞いていただかないと私の方ではわかりません。 ○西野教授 時間の関係がありますが、どなたかわかりますか。ではどうぞ。 ○高橋部長 先ほどお話しした高知県の例は、高知県と高知市の病院を一体化して開発するということで、病院組合をつくりまして、それでやっておりますので、そういう意味では、対象になり得るということになると思います。 ○西野教授 それでは、2番目に行きたいと思います。 VFM検証において、現在、価値換算の割引率として4%が用いられていることが多々ありますが、これは何か根拠があるのでしょうか。 これはいかがですか。 ○伊藤主幹 4%、自治省が平成11年ですか調査したときに、その当時の過去10年ぐらいの、確か、国債の平均利回り、それがおおよそ4%ぐらいというものがありまして、国のPFI事業についての、自治省が自治体向けの調査結果に4%という数字が使われていました。そもそもその時点での利回りということではないものですから、過去の平均利回りを使いました。 ○西野教授 高橋さん何か。 ○高橋部長 神奈川県を含めて、自治体がバリュー・フォー・マネーを計算されるときには今大体4%の金利を使っていらして、よりどころとしては、中長期的に見た金利の水準ということで国債の10年ものの金利の利回りを使っているということではないかと思っています。ほかには余り極端に5%を上回るとか、そういう高い例というのは今のところ記憶にはございません。 ○西野教授 割引率を変えますとVFMが非常に大きく変わるものですから、ある意味ではマジックナンバーで恣意的に動かすと結果も非常に変わるというデリケートな値で、多分今のようなお返事しかできないのかなと考えております。 その次が、BOOを選択する優位性は何ですか。なぜ事例が少ないのですか。 これは私は余り考えたことないですが、どなたか。 伊藤さんお願いします。 ○伊藤主幹 BOOと言いますと、行政側が施設を所有しないという面が大前提になってきます。ですから、今まで公共事業として箱ものをつくるとかいったときに、それは公のものにする施設、そういうものに該当させている。そのために事例としては少ないというふうに理解できるのかなと。BOOを選択する優位性と言いましても、これは行政側から見れば、何かつくってもらって運営してもらいますと、そこに行政側は純粋に言えば一銭もお金は出さないということでは優位性は出てきます。これはBOOでやってサービス購入ということですと、まさに借りるだけという部分です。そういうこともあり得るかとは思いますが、基本的にBOOで行けば、施設の建設費を行政側がなかなか持ち得ないということがあります。ですから、BOOに全部してしまえば行政側が安く済むということは確かにございますが、それでもやろうとする民間側がなくなるのかなというふうに考えます。ですから、BOOという部分は事例的に少なくなるであろうということは言えるかなと思います。 ○西野教授 ありがとうございました。 その次、6番目の質問なのですが、これ私よくわからないのですけれども、電子政府や電子自治体の動きの中で、ITの運営等、IT・PFIという考え方が出てきているが、これに対する国としての考え方についてご教示願いたい。 私もわからないのですが、私、実は、ITのことはかなりわかっているつもりでおりますが、それでもわからないので、恐縮ですがスキップさせていただくということで悪しからずご了解いただきたいと思います。 7番目に行きます。 VFMの算定の適正化(一般化)に関する方策として、お考えになっていることがありますか。VFM算定の適正化(一般化)に関する方策、いかがでしょうか。 ○伊藤主幹 適正化、一般化というふうにあるのは多分共通して何でもできないか、公式みたいなのできないかという趣旨かなと考えますけれども、これはやはり個別の事業ごとに大分変わるのかなという気がします。ただ、基本部分は大分共通化されてくるであろうと思われます。ですから、今、いろいろと行われていますけれども、それらもそれぞれ情報が行き来してでき上がっているのではないかなと考えます。実際にPFI事業をやるところで、共通するような形で処理がされているのではないかなというふうに考えます。 ○西野教授 今のこのことに関しては、私先ほど4社ぐらいが応札するであろうという前提でして、特に箱物が入っていれば、基本設計に近いものまで出して、その上で考えてもらってはどうでしょうかという提案をいたしました。 その理由は、先ほど性能設計は図面に落とした方が書きやすいということを言ったのですが、同時に基本設計まで落としますと、PSCの算定が楽になりますのでVFMの算定も楽になる。それから、もともとのストップした段階でPSCを算定いたしまして、いい案件が出てくれば当然それと比べるのがよいという意味で申し上げましたので、1つの方法かなと思っております。 次に、8番目のペーパーで、神奈川県で、過去に実施したPFIで、SPCとPSCのライフサイクルコストを比較して、どの程度VFMがあったので、PFIを実施したのでしょうか。また、PFIで計画したが、VFMが出ないため中止した案件もあったのでしょうか。 前の方は、私が簡単に答えますと、10%から大きいものでは50%という例もあります。それから予測した値に比べてはるかにVFMが多いというのがあります。 案件で中止したというのはございますか。 ○伊藤主幹 それはございません。 数字も、きょうの資料に出ていますので。 ○西野教授 時間が限られていますので、資料に出ているそうですから、そこでと思います。 その次に、税制のイコール・フッティングがなされていない状況で、また、従来は官がとっていたリスクを民が負う形となるPFIは、本当に現実に成り立つのでしょうか。成り立つとすれば、従来の官側の発注金額や運営金額の査定がずさんだったのでしょうか。 これも時間の関係から、私から勝手なことを言わせていただきますと、税のイコール・フッティングがない状況では、PFIはかなり厳しいと私は考えております。 それから、従来は官がとっていたリスクを民が負うという、これは官がとっていたので、PSCが非常に高かった。民に移すことによってコストが下がるというのがPFIの考え方です。 そういうことで成り立つとすれば、従来の官側の発注金額の査定がずさんではなかったのですが、リスクを多めに算定していたとも言えます。例えば工事について言いますと、どの企業が請け負っても必ずできる工事期間をとっていたわけです。今度は、PFIになりますと、自分の企業は何日でできますと、工事費の中で、人件費が非常に大きいものですから、工期が短縮すれば安くなります。そういう意味です。 最後になりました、時間ぎりぎりになったのですが、後に宿題が残らないように、できれば終えてしまいたいと思います。国土技術研究センターの猪熊様のお話の最後のA19にあります、地元中小企業対策の中で、自治体側からの回答の1つに、コンソーシアムのなかに地元の企業を入れるというのがありましたが、そういった条件をコンソーシアム選定基準の中に入れることが法的に可能なのでしょうか。例として、家具、備品の購入先は地元の取り扱い業者から購入すること等。 また、2番目に、可能な場合は役所側の理由づけとしては、例えばどのような理由づけが考えられるのでしょうか。 いかがでしょうか。猪熊さん、あるいは伊藤さん。 伊藤さんにまず。 ○伊藤主幹 まず、@の件ですが、これは都道府県、政令市が行う場合、全体金額で、この4月以降22億2,000万円を超える。要はWTO案件においては不可能です。それ以外の場合には、実際には、選定基準の中に入れても法的にというのは、道義的な問題は除きまして、実際には可能性はあり得るかなという気はします。でも、こういう形にするのはちょっとおかしいのかなと考えます。 Aです。これそうではなくても、実際に可能な場合もあります。それは何かといいますと、WTOの関係の解説にありますけれども、特性のあるものといいますか、地域性がある設備だとかということで、そこのものを扱っているのならそこの辺にしかないとかという場合ですね。何々産のヒノキを使うのだとかという形で、そのヒノキのための施設だとかというようなことがあれば、可能だということは言われております。 ○西野教授 主催者側はもうひやひやしておられるのかと思うのですが、これで終わりにしたいと思います。寺前さん、官公需法ですか、国の事業のうち、40%が目標でしょうか、地元業者を使うというのがありますね。あれは根拠になりませんか。 ○寺前政策企画官 中小企業との受注契約を40%目標にするという閣議決定がありますので、国は。そういう根拠になると思います。 ○西野教授 そういうのは根拠になりますね。ということで、大変省略しまして、お答えが十分でなかったかと思うのですが、主催者の方も、私もかなり急いでおりまして、恐縮でございます。 どうも大変長い間我々の話をお聞きいただきましてありがとうございました。これで終わりにしたいと思います。(拍手) ○司会 以上をもちまして、本日のセミナーのプログラムはすべて終了いたしました。 ここで再度パネルディスカッションにプレゼンいただいた方々へ拍手をお願いいたします。(拍手) 皆様、ご静聴まことにありがとうございました。 どうぞお忘れもののないよう、お気をつけてお帰りくださいませ。 本日はまことにありがとうございました。 (閉会) |