「経済構造の変革と創造のための行動計画」のフォローアップについて

平成9年12月22日閣議決定

1.基本的考え方

(1) 産業と雇用の空洞化、本格的な高齢社会への対応等の観点から、経済と公的負担のバランスのとれた活力ある豊かな経済を実現することが大変重要。政府としても、行政改革、金融システム改革、社会保障構造改革、財政構造改革及び教育改革とともに、総合的かつ強力な経済構造改革の断行が喫緊の課題となっている。
(2) このため、本年5月に策定した標記行動計画を強力に推進する必要があることから、規制の撤廃と緩和に力を入れ、可能な限りの計画の前倒しと新たな施策の追加を内容とするフォローアップを行うものである。

2 行動計画の構成

[序 フォローアップに当たって]
[序 経済構造の変革と創造に向けた基本的考え方]

T.新規産業の創出

1.新規産業創出環境整備プログラム(15分野)の推進
2.横断的環境整備
[1] 資金(リスクマネーの供給)
[2] 人材(人材移動の円滑化等、人材育成)
[3] 技術(新たな研究開発環境整備、適切な知的財産権の保護の強化等)
[4] 情報通信の高度化

U.国際的に魅力ある事業環境の創出

1.高コスト構造の是正
[1] 抜本的な規制緩和等
[2] 商品先物市場の整備
[3] 商慣行の改善
[4] 標準化制度の改革
2.企業関連諸制度の改革
[1] 企業組織制度
[2] 企業税制
[3] 企業年金制度
[4] 企業情報の開示等に対する多様なニーズへの対応
3.労働・雇用制度の改革
4.経済構造改革に資する社会資本の整備及び利用効率の向上
5.ものづくりを支える地域の産業や技能の集積等の維持・発展
6.中心市街地の活性化

V.経済活力の維持・向上の観点からの公的負担の抑制

(参考)
「経済構造の変革と創造のための行動計画」に追加された主要な項目等 (建設省関係部分抜粋)

T.新規産業の創出

環境、科学技術、情報通信を中心とする経済構造改革に資する分野などに重点を置きながら、歳出構造を見直すとともに、経済構造改革の推進に当たり、「環境・科学技術・情報通信等経済構造改革特別調整措置」等を活用する。

1.新規産業創出環境整備プログラムの推進

15分野毎に設置された「関係省庁連携会議」を中心に、総合的な施策を集中的に実施。

2.横断的環境整備
[4]情報通信の高度化

A.ネットワークインフラの整備
・平成10年度より新たに河川管理用光ファイバー収容管路等を民間事業者に開放
・現行の財政投融資制度を適切に活用し、電線共同溝及び共同溝に係る民間事業者の建設負担金・関連施設整備について支援
C.公共分野の情報化等(公共アプリケーションの開発・普及等)
<行政の情報化の推進>
・公共事業の入札契約手続において、必要となる各種情報のやり取りの電子化を推進

U.国際的に魅力ある事業環境の創出
1.高コスト構造の是正
[1]抜本的な規制緩和等
【物流・運輸】

・ISO規格の40ft及び20ftコンテナをフル積載した状態でのセミトレーラの通行を可能とするため、物流上重要な路線について橋梁の補強等を進める。さらに、一定の路線について、必要な改造を行った現有車両等が通行可能になるよう、平成10年度から一定の期間、特例として軸重規制の経過措置を実施

【土地】

・港湾機能の沖合展開等により臨港地区としての性格が低減・消失した地域の土地の有効利用を図るため、臨港地区の見直しを迅速に推進

[4]基準・認証制度等の見直し、標準化制度の改革等

A.基準・認証制度等の見直し
・基準・認証制度等について、国民の生命・身体・財産の保護等に支障が生じないことを前提として、以下の基本的方向性に沿って見直しを進め、できるだけ速やかに所要の措置を実施

・可能な限り、製造事業者の自己確認への移行若しくは設置者の能力を十分踏まえた自主保安の導入、又は、公正・中立な第三者による認証の導入を検討 ・基準の国際整合化、技術の進展への対応、設備・施設の整備・管理の効率的な実施等の観点から、現行制度上仕様規定となっているものについて、適切な場合において性能規定化の推進 ・国際的な相互承認の推進 等

4.経済構造改革に資する社会資本の整備及び利用効率の向上

公共事業に係る予算について重点化を図りつつ、経済構造改革に資する社会資本についての整備を推進する。特に、財政構造改革における集中改革期間中の公共事業に係る予算の配分に当たっては、経済構造改革関連の社会資本(高規格幹線道路等、市街地整備等)について、優先的、重点的に整備する。
また、「21世紀を切り開く緊急経済対策」(平成9年11月18日経済対策閣僚会議決定)に基づき、公共施設空間の有効活用や民間の高い技術力、経営力と豊かな資金力の活用による社会資本等の新たな整備方策(PFI・BOT等)について検討を行い、来春を目途に、新たな整備手法等導入が期待される分野、事業成立を可能とするための諸条件等を明らかにしたガイドラインを策定する他、同経済対策に基づき、海外において経済協力等を通じて蓄積してきたBOT等に係る経験・ノウハウを活用し、日本版PFIやBOT等による新たな社会資本整備の在り方や手法等について検討する。 さらに、「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」(平成9年4月4日関係閣僚会議決定)について、定期的にフォローアップし、結果を公表するとともに、事業採択後一定期間経過後で未着工の事業や長期にわたる事業等を対象とする新たな「再評価システム」を公共事業全体に導入する。
A.人流・物流関係
・物流の効率化に資する社会資本を適切に整備する観点から、「物流効率化による経済構造改革特別枠」により、プロジェクト性に着目し、事業間の連携を確保しつつ、高規格幹線道路等(アクセス道路を含む)、中心市街地の整備等を重点的に整備
・高速道路等に関し、既存インターチェンジ等の利用可能地における民間企業による利便施設の設置や、民間企業による既存のサービスエリア・パーキングエリア等を活用したインターチェンジの設置等を可能とするため、次期通常国会における所要の法令改正の実施
・平成8年末の国土開発幹線自動車道建設審議会に係る新たな整備計画区間について、調査が完了し地元の協力体制が整ったところから早急に施行命令を出し、円滑に事業に着手
C.都市活動関係
・「高層住居誘導地区」制度及び一団地の総合的設計制度についての積極的活用の推進
・都市中心市街地の更新を促進するため、優良プロジェクトに係る容積率等の特例制度の活用や容積率指定の見直しなどを地方公共団体に要請
・都心商業地域の円滑な更新を図るため、高度利用地区について新たに空地確保を必須の要件としない容積率割増基準の設定、及び開銀融資等の融資の拡充
・都市計画道路等の整備と連動した容積率のアップとこれによる民間投資の活発化を促進し「都市の再構築」を実現するため、都市基盤整備、高度利用等の具体的目標等を示す「都市構造再編プログラム(仮称)」の策定の推進
・市街化調整区域において、地区計画に沿った開発行為を許可する都市計画法上の特例制度の創設等、所要の都市計画法改正案を次期通常国会に提出

5.ものづくりを支える地域の産業や技能の集積等の維持・発展
通産省の産業政策、建設省の道路整備事業等の公共投資政策の間の密接な連携の下、平成9年8月及び9月に、全国10地域において、特定産業集積の活性化に関する臨時措置法における基盤的技術産業集積活性化計画を承認し、物流コストの低減や移動の効率化等のためのインフラ整備を推進

6.中心市街地の活性化

・中心市街地において、市街地の整備改善及び商業施設の整備を一体的かつ総合的に推進するため、所要の法律案を次期国会に提出
・「まちなか再生」を実現する土地区画整理事業等を推進するとともに、街並みのにぎわいや快適性の向上に資する道路整備、交通安全施設等整備、駐車場整備、電線類の地中化等を推進