「経済構造の変革と創造のための行動計画」の第2回フォローアップについて
1.基本的考え方
- (1) 現下の我が国経済は、戦後初めて2年連続マイナス成長を経験し、失業率に
ついても過去最悪の水準となるなど極めて厳しい状況。特に、高齢者、若年層
ばかりか、一家を支える世帯主層の失業率も上昇している。こうした状況から
脱却し、我が国経済を一両年のうちに回復軌道に乗せることが喫緊の課題とな
っている。
- (2) このため、平成9年5月に策定した標記行動計画を推進する必要があり、平
成9年12月の第1回フォローアップに引き続き、新たな施策の追加などを内
容とする第2回のフォローアップを行うものである。
2.行動計画の構成
- 序.第2回フォローアップに当たって
- T.新規産業の創出
- 1.新規産業創出環境整備プログラムの推進
- 2.横断的環境整備
- [1]資金(リスクマネーの供給)
- [2]人材(人材移動の円滑化等、人材育成)
- [3]技術(新たな研究開発環境整備、適切な知的財産権の保護の強化等)
- [4]情報通信の高度化
- U.国際的に魅力ある事業環境の創出
- 1.高コスト構造の是正
- [1]抜本的な規制緩和等
- [2]商品先物市場の整備
- [3]商慣行の改善
- [4]基準・認証制度等の見直し、標準化制度の改革等
- 2.企業関連諸制度の改革
- [1]企業組織制度
- [2]企業税制
- [3]企業年金制度
- [4]企業情報の開示等に対する多様なニーズへの対応
- 3.労働・雇用制度の改革
- 4.経済構造改革に資する社会資本の整備及び利用効率の向上
- 5.ものづくりを支える地域の作業や技能の集積等の維持・発展
- 6.中心市街地の活性化
- V.経済活力の維持・向上の観点からの公的負担の抑制
(参考)
「経済構造の変革と創造のための行動計画」に追加された主要な項目等 (建設省関連部分抜粋)
T.新規産業の創出
- 今後成長が期待される15分野について、「新規産業創出環境整備プログラム」に則って、関係省庁の密接な連携の下に各種政策を集中的・有機的、かつ、可及的速やかに推進する。
1.新規産業創出環境整備プログラムの推進
- 15分野については、各分野毎に定められた「新規産業創出環境整備プログラム」に示された内容に従って、既に設置された「関係省庁連携会議」を中心に関係省庁が連携し、総合的な施策を集中的に実施する。
2.横断的環境整備
[4]情報通信の高度化
- C.公共分野の情報化等
- <道路・交通・車両分野の情報化の推進>
- ・関係5省庁(警察庁、通商産業省、運輸省、郵政省、建設省)はITS(高度道路交通システム)の全体構想の下に連携してITSの本格的な導入を推進する。また、VICS、ETC、AHS、ASV等のITS技術の研究開発等を行うとともに、それらを統合し、2003年を目途に、モデル道路で世界初のスマートウェイ(知能道路)、スマートカー(知能自動車)の走行実験に取り組む。
U.国際的に魅力ある事業環境の創出
1.高コスト構造の是正
[1]抜本的な規制緩和等
- ト.公有地の拡大の推進に関する法律における届出対象の緩和
- ・同法における届出対象の緩和については、平成10年9月に改正国土利用計画法の施行に合わせて一定面積以上の土地取引の届出の面積要件を緩和して、土地取引に係る届出義務を合理化し、届出件数の大幅な削減を図ったところである。今後は、規制緩和措置後の運用実態・規制緩和の効果を引き続き注視していくとともに、その状況を踏まえつつ、手続きの簡素化・迅速化を図ることを検討する。
- チ.都市再開発法におけるマンション等区分所有者の組合員算定基準の周知徹底
- 土地の買収・収用を行わず、権利変換方式により権利の一括処理を行う再開発手法である第1種市街地再開発事業を施行するため市街地再開発組合を結成する際は、5人以上が共同する必要があるが、その際には宅地又は借地権が数人の共有に属する場合における共有者も各々が1人の宅地所有者又は借地権者と扱われるとする組合員算定基準に係る見解の周知徹底を図る。
[4]基準認証制度等の見直し、標準化制度の改革等
- ○鋼構造建築物の耐火性能試験の試験方法、耐火ペンキに関する基準について、国際標準化機能(ISO)の検討結果が得られ次第、直ちに国際的整合化を図る。
- ○建設省告示に基づく合わせガラス及び複層ガラスのガラス板厚基準について、欧米における基準を参考にしつつ、建築基準法の基準の性能規定化と併せて検討を行う。
- ○ホームエレベーターの昇降スピードについて、建築基準法の基準の性能規定化と併せて検討を行う。
4.経済構造改革に資する社会資本の整備及び利用効率の向上
A.人流・物流関係
- ○国際化にも対応した活力ある地域経済の発展基盤を整備すべく、国際港湾・空港の整備に対応した、高規格幹線道路、地域高規格道路、アクセス道路等の道路ネットワーク、広域物流拠点、情報通信インフラ等の人流・物流インフラの重点的整備を推進する。また、バイパス・環状道路の整備などの交通容量拡大施策、ITS(高度道路交通システム)の整備、交通安全施設等の整備、道路防災・震災対策などの施策、マルチモーダル施策、交通需要マネジメント施策など、安全で円滑な交通の確保に向けた総合的な交通施策を関係省庁間で協力して推進する。
C.都市活動関係
- ○不動産特定共同事業について、第三者への持分の譲渡を可能とするとともに、最低出資単位を引き下げるなどの規制緩和を平成10年度中に行う。
- ○「都市構造再編プログラム」の策定の推進等
E.PFI関係
- ○第142回通常国会に提出された「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案(以下「PFI推進法案」)」の早期成立が重要であるとの認識の下、PFIに係る所要の推進体制を整備する。
- ○「PFI推進法案」の成立後速やかに、PFI事業の実施のための「基本方針」を策定する。また、関係省庁は、可能な限り多くの公共施設等について具体的事業実施のための指針を策定する。
- ○PFI構想をより具体化するため、公共施設等の整備及び管理に関して、民間事業者に行わせることが適切なものについては、できる限りその実施を民間事業者にゆだねるとの基本理念の下、民間事業者の意向も踏まえ、各々の事業に適した官民の役割分担・責任分担の在り方、公共施設等の設置・管理に関する法律その他関係法について、個別具体的に検討を行う。
- ○PFI事業の早期実現を図るため、PFI事業者に対し、必要な財政上及び金融上の支援措置を講ずる。
- ○PFI事業における行政財産の使用許可について、許可期限等をPFI事業に適合したものとするための措置を講ずる。
- ○PFI事業に対する補助金については、現行の補助対象事業における国と地方の負担割合も踏まえつつ、財政資金の効率的試用や各々の事業の公共性・公益性の観点から、適切な財政措置を講ずる。
- 問い合わせ先 大臣官房政策課 課長補佐 中村 純
3580-4311(内2285) 夜間直通 5251-1810