※ 事業費、国費は公共事業関係費のみ(以下同じ)

1.都市生活を抜本的に改善する都市基盤の整備
     事業費7兆8,580億円(1.13倍)、国費3兆9,070億円(1.17倍)

 大都市のリノベーションに資する快適で活力ある都市の新生を目指し、交通問題の解決や快適で美しい都市空間の形成など都市基盤の整備を総合的に展開する。

 

(1)連携施策の展開による都市の交通問題の抜本的解決[連携]

@都市新生の拠点となる鉄道駅とその周辺の総合的改善[連携]

・大都市拠点駅とその周辺の総合的改善[連携]

 都市新生の核を形成するため、歩行空間ネットワ−ク・交通広場・地下空間の整備、まちづくりと連携した駅の総合的な機能改善等を総合的に実施するとともに、周辺での都市開発を誘導する。

早期に大都市拠点駅約30駅とその周辺を対象に大改造を実施
横浜駅、広島市紙屋町地区、新宿駅等

 

・地方都市、大都市郊外部の駅とその周辺の総合的改善[連携]

 利用者の利便性を大幅に高めるため、連続立体交差化や鉄道駅、鉄道・バス等との乗換通路、歩行空間ネットワーク、交通広場、駐車場、駐輪場等を総合的に整備する。

早期に、駅における乗継負担の軽減を図るため、約200駅を総合的に改善

 

・駅とその周辺、公共交通機関等のバリアフリ−化の推進[連携](後掲)

 

A環状道路の整備、ボトルネック対策、TDM(交通需要マネジメント)による都市部の交通混雑の解消[連携]

 渋滞の著しい都市圏の安全かつ円滑な交通を確保するため、従来の都市圏交通円滑化総合計画を充実し、都市構造の再編を促進する環状道路の整備、立体交差化等によるボトルネック踏切の解消等を推進するとともに、パークアンドライド、新交通システムやLRT等公共交通の整備及び利便性向上、 都市内物流の効率化等によるTDMを社会実験も活用しつつ推進する。

・首都圏3環状道路の整備により今後10年内に圏央道内側の渋滞ポイント約600箇所の約6割を
 解消(年間約9億時間(1人当たり約7時間)節約)。
・都市部のボトルネック踏切約1,000箇所のうち約半数を今後10年間で立体交差化等により改良。

 

B大都市居住者の通勤時間短縮と快適化[連携]

 住宅宅地政策、交通政策、大都市圏政策が連携して、共通の目標の設定などにより、集中的に施策展開を行い、通勤時間の短縮と快適化を図る。

 *首都圏の都心・副都心6区への通勤・通学者349万人中、90分以上の長時間通勤・通学者は87万人(約25%)

 *東京圏で混雑率200%を超える区間は16区間、最高で237%(平成10年度)

1.大都市法の供給基本方針に基づき今後5年間に東京都心部で約25万戸の住宅供給を図るなど
  により、通勤時間を短縮。
2.東京圏については、2015年までにすべての区間のそれぞれの混雑率を180%(体に触れ合う
  が新聞は読める)以内にする。

 

C空港、港湾、鉄道、道路の連携の強化による物流の高度化と交流の円滑化[連携]

 我が国産業の国際競争力の強化を図るとともに、利用者が求めるドア・ツー・ドアのサービスを、環境に優しく、適切なコストで提供するため、空港、港湾、駅等の拠点や高規格幹線道路及びこれらを接続する道路等の重点的な整備と機能向上(フル積載海上コンテナ及び背高海上コンテナ対応、ITS活用等)により、スピードアップと乗り継ぎ・積み替えの円滑化を図る。

 *マルチモーダル交通体系連携整備事業(仮称)の創設

1.自動車専用道路等のICから10分以内にアクセス可能となる空港・港湾の割合
   H9年度末 29%  → H14年度末 44% → 21世紀初頭 約9割
2.車両の大型化に対応した道路ネットワークの整備
   H9年度末約3万km → H14年度末6万km → 21世紀初頭 約20万km

 

(2)都市の社会経済活動を支える交通基盤の強化

 都市構造を再編する環状道路、ボトルネックの解消に資する路線や空港・港湾へのアクセス道路に重点を置いて、高規格幹線道路及び地域高規格道路等の幹線道路ネットワークの整備を推進する。また、整備新幹線の整備、踏切道の改良等と連携した在来幹線鉄道の高速化、都市鉄道、大都市圏拠点空港等や空港アクセス鉄道、中枢・中核国際港湾等、国際幹線航路体系(開発保全航路)の整備を推進する。さらに、海のITSや高能率な港湾整備等のソフト・ハードの施策を組み合わせることにより、海上輸送の安全性及び定時性を確保する「海上ハイウェイネットワーク」を構築する。

 

(3)快適で美しい都市空間の実現

@快適な臨海部空間への新生[連携]

 みなとづくり・まちづくり等に関する諸行政が連携して、大規模工場跡地などの低未利用地を有効に活用するための調査等を実施しつつ、水際線の市民への開放、商業・業務施設及び住宅の展開、物流の効率化、新産業の立地等、臨海部空間の新生を総合的に推進する。

 

A良質な住宅ストックの形成・維持・流通の促進

 長く利用できる良質な住宅ストックを形成・維持・管理し、市場において循環させることを柱とする第八期住宅建設五箇年計画を策定するとともに、住宅税制の活用、耐久性の高い住宅の整備、リフォームの推進、中古・賃貸住宅市場の活性化を図る。

第八期住宅建設五箇年計画(H13-H17)における住宅建設の目標
 @住宅総建設戸数 640万戸(第7期 730万戸)
 A増改築件数(バリアフリーのための改修工事件数を含む) 430万件
 B公的資金による住宅建設戸数 330万戸(増改築を含む)
 C誘導居住水準 概ね全世帯の2/3[2015年](約46%[1998年])
 Dバリアフリー化 手すり、廊下、段差の全ての改善:全ストックの約2割[2015年](約3%[1998年])
          加えて、リフォームによる改善を約2割[2015年]

 

Bマンション管理の適正化及び建替えの円滑化

 マンション管理組合の業務やマンション管理業の適正化の促進、建替え支援策の拡充等を行う。

 *分譲マンションのストック数

    平成11年末で約370万戸、居住者数は約1000万人。うち築20年以上のもの約80万戸

 

C水・緑豊かで美しい都市環境の形成

 快適で美しい都市空間を形成するため、歩いて暮らせる街づくりの推進、まちづくりと河畔整備の一体的実施や下水道施設・処理水の活用による水辺空間の整備、市民が海や川等の自然に触れ合うことができる魅力あるウォーターフロントの整備や干潟等自然環境の再生、身近な緑の保全・創出による緑豊かな生活環境の形成、公共施設とその周辺の一体的修景、街路樹の充実、電線類の地中化、照明の改善などを推進する。

2003年度までに電線類の地中化延長を約6,400km整備。

 

D土地収用制度の見直し

 必要な都市基盤の整備において、事業認定手続の透明化、明確化が求められている一方で、その後の収用委員会等の手続を迅速に行うことへの要請が強まってきており、これらの観点から、土地収用制度の見直しを図る。

 

(4)災害に強い安全な都市づくりの推進

@広域防災拠点等防災拠点とネットワークの形成[連携]

 様々な災害に対応した国民の安全を確保するため、広域防災拠点、各地域の防災拠点の整備とそのネットワークを構築する。

 首都圏においては、河川、港湾、道路行政等が連携して、防災拠点ネットワークの一環として新たに水上輸送等で結ばれる内陸型の広域防災拠点、臨海部防災拠点を整備するとともに、道路や水上輸送等による拠点間のネットワークを強化する。

 

A都市部の海岸の緊急防災対策の推進[連携]

 多くの人命や財産が集積する都市部の海岸を高潮災害等から防護するため、機能低下が顕著な海岸保全施設について抜本的な改修、耐震強化などの施設の高度化等を緊急的に推進する。

 

B密集市街地の緊急改善

 密集市街地において早期に防災面での基礎的安全性を確保するため、地区整備プログラムの策定支援、密集市街地改善のための各種面整備事業や公園整備事業の拡充を行う。

 

C都市水害対策の推進

 地下空間の浸水等近年頻発している都市型の水害に対する安全を確保するため、特に被害が著しい地域において河川事業と下水道事業が連携し、貯留・浸透施設等による流出抑制、内水排除対策を集中実施する。また、地下空間の管理者、住民等へのITを活用した情報提供などにより、被害の回避、最小化を図る。

 

(5)土地の有効利用の推進

@土地市場の条件整備[連携]

 不動産投資インデックスの整備など不動産投資環境の整備や、都市基盤整備への不動産の証券化の活用方策を検討するとともに、収益性を重視した不動産鑑定評価の充実、土地税制の検討などを行う。

 

A土地の適正利用の推進[連携]

 低未利用地の有効活用のため、実態調査や適正な土地利用転換を図る即地的な計画策定などを推進するとともに、都市の緑地を活用した良好なまちづくりの観点から農住組合制度の改正を図る。また、社会資本整備やまちづくりとの連携を強化して地籍調査を強力に推進する。

 

(6)都市フロンティアの創造

@研究開発機能の強化

 我が国の研究開発の代表的拠点である筑波研究学園都市・関西文化学術研究都市等の機能強化のため、関連施設の整備、研究開発拠点・機関間のネットワーク化、研究開発拠点と地域との連携・交流、研究成果等の情報発信によるベンチャーの起業促進等を行う。

 

A北海道の特性を活かしたまちづくりの推進

 産業経済の新生を図り、四季を通じて快適な生活環境づくりを進める北国のまちづくり事業、IT産業等の誘致・育成などを進める札幌周辺の研究開発機能の集積、千歳・苫東の一体的開発など北海道の特性を活かすプロジェクトを推進する。

 

B大深度地下利用の推進[連携]

 大都市における良質な社会基盤の効率的な整備を図るため、大深度地下使用法の施行にあわせ、「大深度地下利用に関する技術開発ビジョン」をとりまとめ、汎用性の高い技術開発を推進する。