3.循環型社会と美しい日本の形成を目指した環境問題への対応
         事業費9,925億円(1.14倍)、国費4,780億円(1.17倍)

 大気汚染・水質汚濁や騒音などの生活環境問題への対応、循環型経済社会の構築、美しい環境の保全・創出という諸課題に取り組む。また、国土交通省横断的に環境政策の方向性、目標、推進方策等を明らかにする環境政策大綱を取りまとめ、環境面での総合的な施策展開を図るとともに、緑の保全・創出・活用に係る国土交通省所管諸施策の基本方向、目標等を緑の政策大綱として取りまとめ、総合的な緑化を推進する。

 

(1)NOx、PM(粒子状物質)、CO2を低減するための総合的対策[連携]

@円滑な交通流の確保

 沿道環境の改善と地球温暖化防止を図るため、環状道路等道路ネットワークの拡充、首都圏等の特に沿道環境の悪い交差点等の緊急改善ポイントにおける対策の集中実施等を推進する。

 

A環境への負荷の少ない自動車交通や道路利用の推進

 道路利用を環境負荷の少ないものへと転換するため、有料道路の料金格差により湾岸部等へ大型車等の交通流を転換する環境ロードプライシングの試行的実施や、TDM(交通需要マネジメント)を推進する。

 また、最新排ガス規制車への代替促進や自動車単体の排ガス規制の強化等ディーゼル車対策の充実を図るとともに、自動車燃料の低硫黄化の施策を推進する。

 さらに、低公害車、低燃費車をはじめとする環境自動車の開発・普及、環境自動車の導入等により環境負荷低減に資する社会実験の実施、高速道路のSA等における低公害車のための燃料供給施設の設置スペースの確保を推進する。

 

B新技術の活用による大気の浄化

 沿道環境の改善を図るため、道路トンネルの換気所における電気集塵機の設置や、土壌・光触媒等による大気浄化技術について、フィールド実験を行う。

2005年度までに、特に沿道環境が悪い交差点(緊急改善ポイント)約50箇所について、交差点立体化等の緊急対策を実施。

 

(2)美しい環境の保全・創出

@快適に憩える美しい東京湾の形成[連携]

 東京湾を美しく、国民が快適に憩える空間に再生するため、河川、下水道、公園、港湾行政等の連携により、効率的な水環境の改善を図るとともに、良好な水辺空間と一体となったレクリエーションや自然との触れ合いの場を再生、創造する。

 *東京湾環境創造総合事業(仮称)の創設

 

Aきれいな水、豊かな水を目指した水循環系の健全化[連携]

 河川、下水道、港湾、水資源行政等の連携により、家庭やオフィス等における排水や雨水の循環利用を含めた安定的な水利用の確保、迅速かつ効率的な水質の改善に加え、水量の確保に取り組むとともに、多様な生物の生息環境の連続性の確保等河川、海域等の良好な自然環境の保全・創造を図り、水循環系の健全化を図る。

緊急に水環境改善が必要な河川について、個別に設定した目標水質を平成22年度までに達成。
また、2010年までに一級河川直轄管理区間の河岸の約80%について自然性の高い河岸を確保。

 

Bプレジャーボート利用の新秩序の形成[連携]

 所有者特定等のための小型船舶登録制度などの創設等、適正な保管場所の整備、港湾管理者と河川管理者等の連携による規制措置の実施、沈廃船の処理等総合的な放置艇(不法係留船)対策を推進するとともに、廃船処理費用の低減等により不法投棄を減少させ、資源の有効活用を図るため、平成17年度までにFRP廃船のリサイクルシステムを構築する。

 

C世界規模の水危機への対応[連携]

 水需給の逼迫や水質悪化等の世界規模の水危機に対応するため、世界水フォーラムなどの世界規模の動きを視野に入れて、各国政府、関係機関、有識者等とのネットワークを構築し、水の有効利用方策などの知見を相互交換するとともに、世界の水資源に関するデータベースを構築する。また、地球温暖化に伴う海面上昇等の気象・海象変化の把握や国土保全への影響の評価等を行う。

 

(3)循環型経済社会の構築

@公共事業におけるゼロエミッション推進[連携]

 循環型社会の構築を図るため、国土交通省所管の公共事業において、建設副産物のリサイクルを全省的に強力に推進する。特に、コンクリート、アスファルト、木材については、5年以内に直轄工事における廃棄物(※)をゼロとすることを目指し、公共団体や民間の建設副産物のリサイクルの推進を先導する。このため、リサイクル施設に関する情報提供システムの運用を開始するとともに、建設副産物のリサイクル技術の開発等を推進する。

 また、他の産業の廃棄物についてもリサイクル技術の開発を推進し、利用可能な事業においてそのリサイクル材の活用を図る。

  ここでいう「廃棄物」とは、最終処分する廃棄物のことを指す。

 * 建設廃棄物は、産業廃棄物全体の排出量の約2割、最終処分量の約4割、不法投棄量の約9割を占める。

 

A環境と調和した住宅等の整備と快適な室内環境の実現

 住宅・建築分野の環境負荷を低減するため、省エネルギー住宅・建築物の普及、建設廃棄物のリサイクル、緑化公開空地の整備、透水性舗装、屋上緑化等を促進するとともに、官公庁施設の環境対策を効率的に推進する。また、シックハウス問題に対応するため、室内環境に配慮した住宅の建設のための支援及び技術の開発・普及を行う。

 

B使用済み自動車及び自動車中古部品のリサイクル[連携]

 使用済み自動車のリサイクルを促進するとともに、不法投棄を防止するため、自動車登録制度の見直しによる使用済み自動車の適正処理の推進、リサイクルしやすい新型自動車の使用の推進、リサイクル部品の利用を促す環境整備、不法投棄の抑制と迅速処理の仕組みの検討等の総合的な対策を進める。

 *使用済み自動車台数 約500万台/年

 

C地球温暖化防止のための次世代技術の開発・導入

 次世代内航船(スーパーエコシップ)など次世代技術の活用による海上輸送の新生、国際的な協調の下での地球環境観測体制の強化、リニアモーターカーの開発等鉄道分野の基礎的・先導的な技術開発、燃料電池自動車・ジメチルエーテル自動車の開発、エネルギーや資源をできるだけ外部に依存しない自立・循環型住宅システムの開発など次世代技術の開発・導入を行う。

 

D北海道における資源循環型プロジェクトの推進

 北海道の良好な自然環境を21世紀に引き継ぐため、酪農等畜産業から発生する家畜排泄物の処理及び有効利用、自然河川の復元に向けた新しい川づくりの推進など各種資源循環型プロジェクトを推進する。

 

E廃棄物海面処分場(フロンティアランド)の整備

 深刻化する内陸の廃棄物最終処分場の確保問題に対処するため、廃棄物の減量化、再利用の促進を前提に、地域の枠を越えた広域処理を含め、廃棄物海面処理場の整備を推進する。また、無害化された産業廃棄物の海面での受入を積極的に推進する。