U.生き生きとした暮らしと活力ある経済社会の実現に向けた基盤の形成

 「21世紀の国土のグランドデザイン」を政府一体となって推進し「参加と連携」による国土づくりを進めるなど、生き生きとした暮らしと活力ある経済社会の実現に向けた様々な基盤の形成を図る。

1.安全の確保
       事業費1兆4,104億円(1.03倍)、国費8,127億円(1.05倍)

 

(1)自然災害に対する安全な暮らしの実現

@火山災害対策の推進[連携]

 火山災害の未然防止や災害時の被害の最小化を図るため、関係行政が連携して、火山の監視や情報の共有化をすすめ、活火山のハザードマップの作成・公表や火山に関する情報を効果的に国民に提供するなど危機管理体制を確立する。また、再度災害を防止するため、大規模な火山災害に対する緊急的な砂防施設整備を推進する。

平成13年度末までに28の重要活火山すべてについてハザードマップを作成

 

A水防体制の充実・強化

 都市型水害の防止や被害の最小化を図るため、従来の河川の氾濫に備える水防体制を拡充・強化し、新たに地下空間等における避難体制を確立するとともに、地下空間の利用が進んだ地域や水害に弱い地域での浸水情報の提供や避難誘導等の円滑化対策を実施する。

 

B流域と一体となった治水対策の推進

 洪水に対する安全性を迅速かつ効果的に向上させるため、貯留・浸透施設、調節池の整備や上流ダムの治水容量の再配分により、流域全体として効果的な洪水流出の抑制、低減を図るとともに、土地利用に応じて、従来の連続堤による治水対策に代えて浸水常襲地域における輪中堤の整備や宅地の嵩上げを図る。

21世紀初頭までに、時間雨量50mmの降雨による浸水被害を防止

 

C海岸防災対策の強化[連携]

 高潮等の被害の最小化を図るため、港湾、河川、気象行政等が連携し、防災関連情報を共有・活用しつつ、高潮防災ステーションの整備、高潮予測情報の改善、防災活動の一層の的確化などを図る。

 

D地震等に関連する地殻変動観測・監視体制の強化[連携]

 国土地理院、気象庁、海上保安庁等の連携により、ITを活用した地震等に関連する地殻変動等の観測・監視を高度化し、陸域及び海域を含めた地震活動等を評価するための総合的な地殻変動観測網を整備する。また、各機関のデータの相互利用システムを構築し、一元的な処理・解析、情報提供方策について検討を行う。

 

E安全で安心な生活を支える道路防災対策の推進

 幹線道路等の整備に当たって、医療機関へのアクセス性など生活の安全度・安心度も評価に加え、異常気象時の孤立地域の解消などを図る、生命線となる道路の整備を行う。

 

(2)交通安全の確保

@交通安全対策の充実

 陸上、海上及び航空交通に関して、安全な移動環境の整備、安全監視の充実や情報の利用の推進などの安全対策に積極的に取り組む。特に、道路交通事故に対応するため、幹線道路の事故多発地点(全国約3200箇所)における事故多発削減策の集中実施や住居系地区等において地域住民との連携のもとに歩車の適切な共存を図るコミュニティ・ゾーンの形成等を推進する。また、運行管理の充実等の事業用自動車の安全対策、安全基準の整備やリコール制度の適正化等の車両の安全対策、事故情報の収集、分析及び活用や公共交通機関の利用促進策を一層推進するとともに、自賠責審議会答申を踏まえ、被害者保護の充実等の自賠責保険制度の改革を行う。

2002年度までに約3,200箇所で対策完了

 

A鉄道事故分析体制の強化

 鉄道の安全性確保に対する要請がかつてないほどに高まっている状況にかんがみ、的確な事故原因の究明及び再発防止を図るため、科学的かつ公正に事故調査を実施する常設・専門の調査組織を創設する。

 

(3)海上における安全及び治安の確保

@密輸、密航、海賊事案等への対応能力の強化

 海上警備体制の総合力を強化し、海外から押し寄せる国際的警備業務に適切に対処するため、航空機による洋上監視能力の強化、情報収集・分析能力の強化、巡視船艇の機能向上及び海賊等特殊警備事案対策の強化等を行う。

 

Aマリンレジャーの安全の確保・振興[連携]

 沿岸の浅海域を詳細に測量し、その情報を提供するシステムを整備する。また、マリンレジャーの安全・快適な航行を支援する「海道の旅(マリンロード)」構想を推進するための調査を行い、マリンレジャーの振興を図る。

 

B海上交通の安全・効率化、海難救助の効率化

 輻輳海域においては、船舶が安全かつ高速で航行できるようにするための調査、海上交通情報機構の整備、航行援助システムのIT化等に取り組む。さらに、海難救助の効率化を図るため、海難等の情報収集及び処理体制を強化する。

 

※この事項以降の事業費・国費には、一部再掲がある。

2.国内外の多様な連携・交流の推進
     事業費2兆8,802億円(1.04倍)、国費1兆4,244億円(1.11倍)

上記計数には、空港、新幹線鉄道等を含まない。

 

(1)幹線交通体系の整備

 全国の主要都市間を連結する高規格幹線道路網とこれを補完する地域高規格道路網を整備する。また、国内拠点空港、新幹線鉄道の整備と在来幹線鉄道の高速化を推進するとともに、フリーゲージトレインの技術開発を推進する。さらに、国際交流拠点として、中枢・中核国際港湾等における機能の充実や国際基幹航路体系(開発保全航路)の構築、国際空港の整備を進める。〔次頁参照〕

 

(2)都市と地域、地域間の連携・交流の推進[連携]

 各地域がその特性を活かして連携・交流しながら発展を目指すため、地域の発案をより重視しつつ、地域づくり活動「出会いの広場」等の情報基盤の整備、UJIターンプロジェクトの推進、地域で一定期間社会貢献活動を行うNPOへの支援を行うとともに、連携・交流を支える道路整備や田園居住などを推進し、ソフト・ハード両面での施策を展開する。また、首都圏と地方空港を結ぶ路線について、空港使用料を引き下げる。

 

(3)地域の特色を生かした観光振興・訪日外国人の倍増促進[連携]

 地域づくりと一体となった観光振興を推進しつつ、国際的に低水準な外国人旅行者数の増加を図るため、W杯サッカー大会開催地域や国際観光テーマ地区を中心に、観光案内施設、休憩施設等の観光関連施設の整備、観光地を周遊する道路ネットワークや歴史・文化等を生かした観光拠点空間の形成、外国人旅行者にも対応した観光・交通・都市情報の提供、訪日促進キャンペーンの実施等、ハ−ド、ソフト両面での施策を展開する。

 *訪日外国人数 約 444万人

  海外出国者数 約1,636万人(1999年:国際観光振興会調べ)

おおむね2007年時点における訪日外国人数800万人を目指す(新ウェルカムプラン21)

 

3.多様性ある地域の形成
         事業費3,016億円(1.00倍)、国費1,846億円(1.03倍)

 

(1)地域主体の地域づくりの推進   

 多様な主体の参加と連携、広域連携事業への支援等により、各地方の開発促進計画に示された重点課題や戦略プロジェクトを推進する。また、地域主体の地域づくりの定着を図るため、3年度目に入った地域戦略プランを政府一体となって効果的かつ着実に推進する。

 

(2)豪雪地帯、離島、奄美・小笠原、半島等の振興

 交通基盤の整備、産業の振興、防災対策等により、豪雪地帯、離島、奄美・小笠原、半島の振興対策を積極的に推進する。特に、豪雪地帯における高齢社会に対応した住環境の形成、離島地域における循環型社会の形成、離島航路・航空路への補助の充実、奄美群島及び小笠原諸島における体験型観光の推進、情報通信技術の活用等による地域の活性化、半島地域における多様なタイプの相互交流・連携ネットワークの構築等に取り組む。

 

4.北海道総合開発の推進
      事業費1兆5,908億円(1.06倍)、国費1兆 257億円(1.07倍)

 

 新たな時代や多様化する国民ニーズに即応して、明日の日本をつくる北海道を実現するため、第6期北海道総合開発計画を推進し、産業の振興とそれを支える基盤整備や安全でゆとりのある地域社会の形成を図る。特に、以下の施策を推進する。

 @有珠山対策の推進及び安全な地域社会の形成

 A物流効率化のための交通基盤の整備とIT社会の構築

 B北海道の良好な自然環境を保全する循環型地域社会の形成

 C高齢者に優しい個性あふれる北国のまちづくり

 D北海道の自主・自律に向けた経済産業の新生

 *平成13年度は第6期北海道総合開発計画の4年目