不動産特定共同事業法施行規則の改正案について
建設省
1. 対象不動産の変更又は追加を予定する不動産特定共同事業契約(対象不動産変更追加型契約)を締結 することを解禁します。
2. 対象不動産変更追加型契約は不動産特定共同事業者が事業参加者(投資家)からの委任を受けて自らの判断で投資対象である不動産(対象不動産)の変更又は追加を行うこととなりますので、そのような特性にかんがみ、事業の健全性を確保するとともに、事業参加者の保護を図るため、対象不動産 変更追加型契約は次の条件を満たさなければならないこととします。
(1) 対象不動産を売却した後、新たな不動産を取得するまでの期間
対象不動産を変更する場合は、新たな不動産の取得は対象不動産を売却した後1年以内に行なわなければならないこととし、1年以内に取得できない場合には、対象不動産の売却代金を出資割合に応じて事業参加者に返還しなければならないこととします。
(2) 出資の総額の上限等
事業参加者から出資された財産の総額は、不動産取引に必要な額にその3分の1に相当する金額を足した額を超えてはならないこととします。また、事業の途中でも、不動産特定共同事業の業務に供されていない金銭が供されている金銭 の3分の1以内としなければならないこととします。
(3) 不動産特定共同事業の業務に供されていない金銭の運用
不動産特定共同事業の業務に供されていない金銭の運用は、不動産の小口化・証券化商品による運用、確実な金融商品による運用等に限ることとします。
(4) 事業参加者の保護
@ 対象不動産の変更又は追加を行う旨の明示
対象不動産の変更又は追加を予定する場合には、その旨及び対象不動産の変更又は追加に係る不動産の取得の方針及び手続について、不動産特定共同事業契約に明示しなければならないこととします。
A対象不動産を売却した際の書面の交付
対象不動産を売却した日から30日以内に、不動産特定共同事業者は次の事項を記載した書面を事業参加者に交付しなければならないこととします。
・ 売却した不動産を特定するために必要な表示
・ 売却日、売却価格、譲受人の名称等
・ 売却した日の財産の状況、一口当たりの評価額、その算出根拠
・ 不動産の追加取得の方針、予定時期
B不動産を追加取得した際の書面の交付
不動産を追加取得した日から30日以内に、不動産特定共同事業者は次の事項を記載した書面を事業参加者に交付しなければならないこととします。
・ 追加取得した不動産を特定するために必要な表示
・ 取得日、取得価格、譲渡人の名称等
・ 取得の日における財産の状況、一口当たりの評価額、その算出根拠
・ 当該不動産により営む不動産取引の方法、売却予定の有無、売却予定時期及び手続
・ 当該不動産を管理するために必要な費用の負担に関する定め
C利益相反になる可能性の高い行為を行う場合の書面の交付
ア)不動産特定共同事業者が次の行為をする場合には、事業参加者に対して事前に書面を交付しなけ ればならないこととします。
・ 不動産特定共同事業契約に係る財産を、自己の固有財産又は他の不動産特定共同事業契約に係る財産とする行為
・ 自己の固有財産又は他の不動産特定共同事業契約に係る財産を不動産特定共同事業契約に係る財産とする行為
イ)書面には次の事項を記載することとします。
・ 当該行為に係る財産を特定する表示
・ 予定時期、当該財産の評価額、その算出根拠
・ 当該行為をした後に予定される一口当たりの評価額
D追加募集に関する書面の交付等
ア) 追加募集を予定する場合には、その旨及び追加募集に係る公正な手続について、不動産特定共 同事業契約に明示しなければならないこととします。
イ) 追加募集を開始する前に、事業参加者に対して次の事項を記載した書面を交付しなければなら ないこととします。
・ 追加募集の出資の総額、追加募集口数、追加募集の方法
・ 追加募集の出資により追加取得する不動産を特定するために必要な表示、不動産取引の方法
E 事業参加者の地位の円滑な譲渡
事業参加者は、対象不動産を売却した際の書面、新たな不動産を取得した際の書面、利益相反になる可能性の高い行為を行う場合の書面及び追加出資に関する書面を受領した日から8日 を経過するまでの間であれば、不動産特定共同事業者に書面で通知することによって、契約の解除又は組合からの脱退ができることとし、その場合には、不動産特定共同事業者は、事業参加者の地位を自ら買い取るか、第三者に取得させることとします。
F 広告の規制
不動産特定共同事業者がその業務に関して広告するときに、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない事項として、不動産特定共同事業契約に係る金銭の運用に関する事項を追加します。
G不動産特定共同事業契約の成立前の説明事項の充実
不動産特定共同事業契約の成立前及び成立時の説明事項として、対象不動産の変更又は追加に関する事項を追加するとともに、追加募集のための不動産特定共同事業契約を締結しようとする場合には、不動産特定共同事業契約の成立前の説明事項として、次の事項を追加します。
・ 勧誘時の資産の状況
・ 直前5年間の総資産額及び配当の推移
H不動産投資についての専門的知識及び経験を有する者等が事業参加者となる場合の適用除外
不動産投資についての専門的知識及び経験を有する者等が事業参加者となる場合には、上記の@からGの事項のうち、次の事項を適用除外とします。
【手続等の明示関係】
・ 新たな不動産の取得の方針及び手続についての不動産特定共同事業契約での明示(@の一 部)
・ 追加募集に係る公正な手続についての不動産特定共同事業契約での明示(Dア)の一部)
【書面の交付関係】
・ 対象不動産を売却した際の書面の交付(A)
・ 新たな不動産を取得した際の書面の交付(B)
・ 追加出資に関する書面の交付(Dイ))
【事業参加者の地位の円滑な譲渡関係(E)】
【不動産特定共同事業契約の成立前の説明事項及び成立時の書面の記載事項関係(G)】
(5) 不動産投資顧問業者等の活用
対象不動産の変更又は追加に当たって、不動産投資顧問業者等から助言を受ける投資顧問契約を締 結する場合には、次の事項を不動産特定共同事業契約に明示しなければならないこととします。
・ 不動産投資顧問業者等の名称等
・ 投資顧問契約の内容
(6) 不動産特定共同事業者の要件の追加
対象不動産変更追加型契約に基づき不動産特定共同事業を営む不動産特定共同事業者の要件として、「対象不動産の変更又は追加に係る業務を遂行するに足る十分な知識及び経験を有する者がいること」を追加します。これに関して、許可申請書の記載事項、変更の認可申請書の添付書類及び変更届出書の添付書類に、追加する要件に関する事項を記載又は添付しなければばらないこととします。
(7) 不動産特定共同事業者名簿の登載事項の追加
不動産特定共同事業者名簿の登載事項に対象不動産変更追加型契約に係る不動産特定共同事業契約約款の有無を追加します。