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石井 和紘委員 | ||
●ショートスピーチ 「巨大な町に幸せをつくる」 | ||
最近の日本の都市再開発の事例を見ると、土地は自治体や企業が残した広い跡地の転用や、地上げ買収でまとめたものがほとんどです。土地を空地としてまとめた途端に、そのまちの性格や幾何軸はぼやけ、ところどころに配置された平均的な超高層マンションが、まちとの関係を断ち切ったまま空疎に立ち尽くす…という風景が、あちこちで見受けられます。このことが、人づきあいやコミュニティ形成を知らない大人を作り出している一因であることは、論を待ちません。
都市開発における赤坂方式は、都市と自然の地球的関係を実現するばかりではなく、分化と多様化を引き出す環境を整えることで、自発的なまちづくりをうながし、再び地球の豊かさを取り戻すモデルケースになると考えています。内閣の都市再生本部から、全国350の都市再開発のうちの20に選ばれたことは、私たちの大きな自負につながっています。 |
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●ショートスピーチに対する投稿 | ||
○さぬきうどん 30歳代男性(建設・不動産) | ||
高層ビルの林立する中に、「ふれあい」のある空間を作ることって難しいと思います。都市計画もきちんと行われ、見た目も美しい空間であっても、あまりに整然としすぎていると住んでいる人や訪れる人が本当に満足できるかどうかはわからないですよね。少し前になりますが、取り壊しに賛否両論のあった香港の九龍城のビル群も、(確かに治安上、衛生上問題が有りましたが、)住んでる人たちには「ふれあい」のある心地良い空間だったのではないかなー、と思ったりもします。「都市の一部」としての機能を有し、「見た目」も美しく、そしてなによりも住む人や訪れる人が「ふれあい」を感じられる、赤坂のプロジェクトでそんな空間ができあがると素敵ですね。 | ||
○こるびじぇ命 20歳未満男性(学生) | ||
建築を勉強している学生です。僕は高層ビルが大好きで、大学でもその研究をしている。高いビルはなにしろかっこいいと思う。 街の空間に人のつながりだとか、ふれあいだとかも大切なのかもしれないけど、今の世の中にはそれを求めていない人が多いのも事実。 時代は移りゆく、そして人の考えも移りゆくんだと思う。淘汰されて最後に残るのかホントに「愛」とか「ふれあい」だったらほっとするんだけど、今の世の中をみてると必ずしもそうでないような気もします。 だからこそこれだけどんどん無機質な現代建築物ができていくんじゃないかな、と。 石井先生のプロジェクトが、そんな現代の寂しい一面に対する問題提起になるといいな、と思ってます。 |
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○デザイナー 40歳代男性(建設・不動産) | ||
「都会での生活は孤独と引換に自由を得られる」とよく言われる。確かに現代人がこの「自由」を求めているのは事実。向こう三軒両隣の考え方をいまのマンションに見いだす事など不可能に近い。そんなスタイルになったのは、昔のように周りの力を借りなければ生きていけない社会から、東京のように何でもどこでも手に入る都市の誕生によって、自分だけで生きて行ける社会になってしまったためだろう。その結果人情というかふれあいというか、そんな感情が欠如する人が生まれてしまった。でも本当に人々はふれあいをもとめていない、と言い切れるのだろうか。携帯電話を常に手元に置いておかないと不安で仕方がない高校生を見てると、やはりこの民族には人情だとかふれあいだとかが必要なんだ、と思う。
その感覚を復活させるためには、物理的に、例えば住環境から、変えていくという方法は極めて効果的だと思う。 |
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