懇談会の詳細

 
嶌 信彦委員
 
●ショートスピーチ 「ハッピーライフ送れますか」
 退職して3年になるアメリカの友人・Kさん(63)は、「毎日が楽しくて仕方がない」という。何がそんなに楽しいのか、具体的にどんな毎日を送っているのか聞いてみた。
 「一番好きなのは庭づくり。日本の庭園の本などを参考にしながら、滝を中心にして周囲に石やどんな植木を並べるか図面を作ったり、水の回転システムなどを工夫している。まあ、一年がかり位の庭づくりだね。」「家庭仕事では、ちょっとした大工仕事、料理教室に通いながら新しいクッキングも楽しみのひとつかな。これは妻も喜ぶし…。」「スポーツではテニス、ゴルフ、ボートと釣り。ボートは手入れもある。近くのチェサピーク湾でクルーズ・フィッシングは月1回位。テニスは妻と週2回。ゴルフは月に2〜3度程度でしょう。」「それとケネディ・センターなどワシントン地区の音楽センターや劇場のシーズン・チケットを年間で20〜25回分は予約買いしてあるので、音楽、演劇、ショーなどを楽しんでいるよ。」「あとはボランティアかな。リトルリーグのコーチ、病院や博物館、劇場のケアや説明、案内など沢山あるけど、私は地区の警備活動ボランティアに月1〜2回登録している。」

嶌 信彦委員
 「このほか教会活動とか、友人たちとのパーティーなどを入れたら、いくら時間があっても足りないほどだ。私はあまり熱心じゃないが、車の旅行とか水泳、カルチャー・センターに通っている人も多いし、ダンスやポーカーなどのクラブに入っている人も沢山いるよ。」まさにハッピー・リタイアメントの生活を満喫している様子だが、肝心の費用はどうなっているのか。
 「劇場、音楽会の券は年間予約しておけば、大体1回が20〜40ドル、テニスクラブは年会費が250ドルで、いつでも好きな時にプレーしても全部無料。ゴルフもせいぜい1回20〜30ドル程度だろう。ボランティアの場合、ほとんど無償だけど、往復の電車や車の燃費などは出してくれるし、税金の控除もある。多分、夫婦2人なら年間4〜5万ドル(日本円で410〜510万円)もあれば、十分じゃないかな。」
 私たち「次世紀の暮らしを語る懇談会」では、21世紀のジャパニーズ・ドリームとして「居心地のよい国ニッポン」について、メンバーと討論し、すでにその内容を同名の本として中央公論新社から出版(2000年3月)しました。
 今回、私たちはこの「居心地のよい国ニッポン」をさらに具体的に、どんな方法で実現したらよいのかについて、もっと多くの人々と意見を交換し、その実現のピッチを早めるために、このホームページを立ちあげました。ぜひ、多くのご意見をお寄せください。そしてその具体化について討論し、政府や自治体、コミュニティーにその案をぶつけるとともに、私たち自身も生活様式、ライフスタイルを変えていくことに工夫をしたいと思います。
 どんな意見でも構いませんが、とっかかりとして、次の8項目について、まずアイデア意見を出して頂けませんか。それは、「豊かさランキング」などでよく指標として使われるもので、「住む」「遊ぶ」「育てる」「働く」「学ぶ」「いやす」「安全・安心」「老後」などです。
 たとえば、老後の介護などについて心配されていますが、公立高校や大学に介護の実習カリキュラムを月5時間程度作る(つまり1ヵ月に1回午後は介護実習に出かける)とか、日本の流通コストを引き下げるとともに、交通混雑の解消と地域おこしに役立てるため、思い切って有料道路を廃止をし、今後は公共事業の見直しなどで余った資金をあてる。つまり一般会計で有料道路建設を行うといった提案です。電信柱の地中下で環境、バリアフリーに役立てるとか、学校を開放しコミュニティで責任もって管理すれば、無料のテニス場やバスケットコートなどもできるでしょう。
 とにかくいろいろなアイデアを出し、その実現方法を考えてみようではありませんか。アメリカ人がハッピー・リタイアで生活を楽しんでいるのに、日本でできないはずはありません。居心地がよく、ゆとりをもって安心して暮らすには、個人の努力はむろんですが、地域の協力、自治体の施策、政府の役割など様々な政策、アイデア、実行が重なって実現できるのです。ぜひ、このホームページを利用して、新しい展開をはかっていこうではありませんか。
 
●ショートスピーチに対する投稿
○英和辞典 50歳代女性(その他)
 確かに、アメリカの文化や生活習慣、活動等には見習うべきところは大きいと思いますが、日本には日本人にあったハッピーライフがあると思います。たとえば、毎日毎日音楽鑑賞やスポーツ、バーベキューなどと遊んで過ごすことが本当にハッピーか、と聞かれたら、みんながみんなそうだと答えることはないのではないでしょうか。ハッピーライフを考えるとき、こうした微妙な文化差を無視することはやっぱりできませんよね。
 
○ 30歳代男性(通信・コンピューター)
  仕事も趣味も、そのときそのときで両者にかけるウエイトを変えていくことでバランス良く楽しめると思う。だから、いろいろな意味で楽しみたいときに楽しめるというような「環境」が整っていることは重要な部分だろう。生活にいかに多様性をもたせるかが私にとってハッピーかどうかを大きく左右するので、勉強したいとかボランティアしたいと思ったときにすぐに行動に移せるような環境を公共側に求めてしまう。ぜいたくだろうか。
 
○ けろりん 30歳代女性(卸・小売)
 結局、ハッピーな暮らしってここに住んでる自分たちが、自分たちで自分たちのまちや暮らしに関わってよいものにしていこうと考えることから始まるのかな、と思いました。たなぼた式に誰かにハッピー与えてもらいたいと思っている時点で、ハッピーの一部を逃してしまっているのかも、と考えさせられました。
 
○ ままちゃり1号 20歳代女性(専業主婦)
 いなか暮らしが気に入っている私ですが、都市生活者がちょっとうらやましくなってしまいました。私は地方在住なのですが、地方だと現実問題として車がないと物理的にだけではなく行動範囲がすごく狭くならざるを得ないのです。電車やバス網があまり整備されていないので、自家用車に頼った交通システムになってるんですよね、、、、。いまは自転車でなんとかなっているけれど、子供が生まれたら、自転車ってわけにもいかないし、、、。地方ののハッピーって、車がない人にはいまひとつ活用しきれないハッピーなのでは?って思っちゃいます。
 
戻る