新世紀の豊かな国土・地域・暮らしの創造
― 農山漁村地域新生への提言(骨子) ―
次世紀の地域づくりのあり方検討委員会
T目 次
1.提言の背景と目的 | ||
2.農山漁村地域の長所と問題点 | ||
3.農山漁村地域新生に向けて踏まえるべき事項 | ||
(1)踏まえるべき状況の変化 | ||
(2)踏まえるべき計画・方針等 | ||
1)位置づけ | ||
2)社会資本整備上考慮すべき事項 | ||
4.農山漁村地域新生の着目点と将来像 | ||
(1)着目点 | ||
1)地域の人々が住み続けられること | ||
2)都市地域の人々が農山漁村地域で多様なライフスタイルを実現できること | ||
3)安全で魅力ある国土づくりを担うこと | ||
(2)将来像 | ||
1)農山漁村地域の人々が真に豊かさを感じられる地域 | ||
2)都市地域の人々が農山漁村地域の人々と連携・交流できる地域 | ||
3)個性豊かな多様性のある美しい地域 | ||
5.将来像実現の方策 | ||
(1)方策 | ||
(2)行政の支援方策 |
U 全体フロー
V 提 言
1.提言の背景と目的
農山漁村地域には次のような長所がある。
一方、問題点として次のようなことが挙げられる。
3.農山漁村地域新生に向けて踏まえるべき事項
(1)踏まえるべき状況の変化
今日、農山漁村地域をめぐって次のような状況の変化があらわれている。
(2)踏まえるべき計画・方針等1)位置づけ
近年における国の主要な計画・方針である「21世紀の国土のグランドデザイン」及び「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」では、今後の国土づくり・地域づくりについて次のように位置づけており、農山漁村地域においてはこれらを踏まえた地域づくりが必要である。 |
@ | 21世紀の国土のグランドデザイン | ||
・ | 国土のフロンティアとして位置づけ。 | ||
・ | 自立的な圏域として「多自然居住地域」を創造 |
A | 経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針 | ||
・ | 自主性、多様性の尊重により効率的で生産性の高い国土構造に転換。 |
2)社会資本整備上考慮すべき事項
@ | ・ | 公共投資基本計画では、農山漁村地域について、都市と比較して相対的に劣っている生活環境の向上に向けて、生活基盤の整備を促進。 |
・ | 2000年版建設白書では、ストック重視の社会を目指すことにより生活の「質」の向上を目指すとしている。 | |
・ | これまでにストックされた社会資本を有効に活用していくための方策の充実。 |
4.農山漁村地域新生の着目点と将来像
(1)着目点
農山漁村地域の問題点及び踏まえるべき事項に基づき、農山漁村地域新生にあたって次の事項に着目する。
1)地域の人々が住み続けられること
2)都市地域の人々が農山漁村地域で多様なライフスタイルを実現できること
3)安全で魅力ある国土づくりを担うこと(環境の保全・管理の再構築などにも配慮)
(2)将来像
農山漁村地域新生の着目点を踏まえ、これからのあるべき農山漁村地域の将来像を次のように提案する。
1)農山漁村地域の人々が真に豊かさを感じられる地域
@ | 安全で快適な生活を享受できる暮らし | ||
・ | 豊かな自然を享受できる暮らし | ||
・ | 都市では得られない広々とした居住環境での暮らし | ||
・ | 生活基盤、情報通信基盤が整備された暮らし | ||
・ | 安全が確保された暮らし | ||
・ | 都市的サービスを享受できる利便性の高い暮らし |
A | 安定した生計を営む暮らし | ||
・ | 農林漁業が活性化された暮らし | ||
・ | 地域資源と新技術を活用し、地域に立脚した産業が活性化され、就業機会が確保された暮らし | ||
・ | 情報技術(IT)を活用して距離的ハンディキャップを乗り越えて仕事ができる暮らし | ||
・ | 都市への通勤が可能な暮らし |
B | 健康で安心できる生活を享受できる暮らし | ||
・ | 医療・保健・福祉機能の充実した暮らし |
C | 心の豊かさや地域への誇りを育む暮らし | ||
・ | 相互扶助精神等の地域の豊かな生活文化に根ざした暮らし | ||
・ | 豊かな心や地域への誇りを育む学校教育や生涯学習の充実した暮らし | ||
・ | 地域の人々のコミュニケーションが盛んな暮らし |
2)都市地域の人々が農山漁村地域の人々と連携・交流できる地域
@ | 多様な交流の実現 | ||
・ | 都市地域の人々が農山漁村地域の人々と多様な交流を実現 |
A | 多様な余暇活動の実現 | ||
・ | 多様な資源を利用した観光、余暇活動の実現 |
B | 多様な居住形態の実現 | ||
・ | 保養、レジャー、仕事などを目的とした多様な居住形態の実現 |
C | 多様な就業形態の実現 | ||
・ | 都市地域の人々が農林漁業等への就業を実現 | ||
・ | SOHO等ITを活用した新たな就業を実現 | ||
・ | 農山漁村地域への通勤を実現 |
D | 主体的に社会参加できる地域の実現 | ||
・ | ボランティア等に開かれた地域の実現 |
3)個性豊かな多様性のある美しい地域
@ | 多様な自然と共生する安全な地域 | ||
・ | 様々な機能を有する自然環境が適切に保全・復元された地域 | ||
・ | 多様な自然を大切にする意識に支えられた地域 |
A | 個性豊かな地域の景観・歴史・文化を大切にする地域 | ||
・ | 景観・歴史・文化が保全された地域 | ||
・ | 景観・歴史・文化を大切にする意識に支えられた地域 |
B | 環境と調和して持続的に発展する地域 | ||
・ | 環境にやさしい地域 | ||
・ | 環境保全意識が醸成された地域 |
C | 国内外との連携・交流が盛んな個性的地域 | ||
・ | 外に開かれアイデンティティを有する地域 | ||
・ | 人々の連携・交流意識が醸成された地域 |
5.将来像実現の方策
(1)方策
1)人々の暮らしの満足度の向上
@ | 住民ニーズに応えた地域づくり | |
A | 新しいサービス主体の活用 | |
B | 多様な選択肢の提供 |
2)地域の人々が主体となる自立した地域づくり
@ | 住民主体の地域づくり | |
A | 地域の自立性・自己責任性の明確化 | |
B | パートナーシップの推進と仕組みづくり | |
C | 地域の人々を導くリーダーシップの強化 |
3)総合的・計画的な地域づくり
@ | 地域の総合的プロデュースの実践 | |
A | 地域づくりを支援するコンサルティング機能の強化・育成 | |
B | 各種制度を用いた土地利用の整序 |
4)地域資源や地域の暮らし方の再認識と活用
@ | 地域資源の有する価値の認識 | |
A | 創意工夫を凝らした地域づくり | |
B | 地域の暮らし方や相互扶助システムの見直し・活用 |
5)情報技術や環境技術等の活用
@ | 情報技術の活用 | |
A | 環境技術等の活用 |
6)マーケティングの発想と実践
@ | マーケティングの発想 | |
A | 産業の振興など多様な分野におけるマーケティングの実践 |
7)暮らしや活動を支える社会資本の整備推進
@ | 長持ちする社会資本の整備 | |
A | 自然や人にやさしい社会資本整備の推進 | |
B | 居住環境を支える社会資本整備の推進 | |
C | 連携・交流の活動を支える社会資本整備の推進(幹線道路、交流拠点等) | |
D | 住民との情報の共有化とコミュニケーション推進の基盤となる社会資本の整備 |
8)情報の受発信とネットワークづくり
@ | 情報の受発信 | |
A | ネットワークづくり |
9)人材の育成
@ | 地域の人々の意識の変革 | |
A | 地域を担う人材の育成 |
(2)行政の支援方策
将来像の実現に向けて、行政は次のような支援が必要である。
@ | 地域ニーズを踏まえ、地域の自主性を尊重した支援 | |
A | 自ら考え、主体的に取り組む地域に対する社会資本整備の積極的な支援 | |
B | 農山漁村地域の条件不利を克服するための優先的支援 | |
C | 地域の活性化に大きな効果が期待できる社会資本整備への重点的支援 | |
D | 社会資本を活用したイベント等の計画策定への支援 | |
E | 地域づくりに関する情報の提供と農山漁村地域の人々が利用しやすい相談機能の充実 | |
F | 行政機関間の連携強化 | |
G | 広域的な連携・交流を推進するための情報や社会資本整備などの面での支援 |