(2) 3つの基本施策
発生の抑制
- 住宅等の一斉更新期を迎え、建て替えには発生抑制を第一とした施策の推進が必要
- 計画、設計段階の取り組みが特に重要、工事発注者の自立した取り組みを促進
- 発生抑制の数値目標を設定しガイドラインを策定
- 建築物の長寿命化等に対する支援等を検討
- 建材業界との連携による建築資材・製品のモジュールの統一化等を推進
再利用の促進
- 公共事業等による再生資源の積極的利用拡大
(リサイクルリーディング事業、大規模再生資源活用事業等、リサイクルモデルタウン事業の創設)
- リサイクル目標の設定、再利用基準等の整備、情報交換体制を整備等
- リサイクル施設の立地支援、民間事業におけるリサイクル促進への公的支援等
- 公共工事自らによる再資源化施設整備(ストックヤード、土質改良プラント等)
適正処理の推進
- 排出事業者、工事発注者が自立的な取り組みを強化することでその責任を果たし、不法投棄を生じさせない産業システムの構築に貢献
- 廃棄物処理行政と連携し、優良廃棄物処理業者の選定及び適正な評価、経営的・技術的支援等により廃棄物処理業界の近代化に寄与
(3) 基本施策を支える3つの基盤施策を構築・推進
しくみづくり
- 自立的な取り組みを促すための監視、評価等への公的な関与が必要
- しくみとして自立的な取り組みが可能となるまでの支援措置、あるいはリサイクル施設等の社会基盤の公的整備といった公的な支援の実施
技術開発
- さらなる技術フロンティアを開拓し、ライフサイクルアセスメント(LCA)の確立、既存技術の総合化、情報の高度化、市場形成のコスト分析等を、大学等を加えた幅広い連携の中で推進
理解と参画
- 国民全体が自らの問題として建設リサイクルへの取り組みに参画する意識を醸成するため、広報活動の充実、わかりやすい目標の設定、教育・研修の充実等を推進
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4.具体施策の提言(代表例)
提言においては、3つの基本施策及び3つの基盤施策について具体的な施策を示し、また、個別課題への対応として、建設副産物の品目ごとの取り組みの在り方を示した。
それらの中から、以下に代表的な施策を取り上げる。
(1)発生抑制に対して具体的施策を
- 発生抑制等の数値目標(ガイドライン)設定
事業種別、工事種別ごとのきめ細やかな発生量、再利用量等に関するガイドラインを設定し、計画・設計、施工計画策定等へ反映する。
- ISO14001等による環境管理システムの導入(パイロット事業等)
- 建材業界との連携による建築資材・製品のモジュール化の統一
(2)公共工事におけるリサイクルの徹底
- 建設省直轄工事3R(Reduce,Reuse,Recycle)徹底事業
- リサイクルリーディング事業
技術開発、リサイクル市場形成等の面でのフロンティア開拓事業を創設する。
- 大規模再生資源活用事業の推進
スーパー堤防整備事業、浸食対策事業、公園事業等について特定の事業を指定し、再生資源等の積極的な需要拡大を図る。
- リサイクルモデルタウン事業
先進的取り組みを行う地域をリサイクルモデルタウンとして指定し、地域が策定した計画を建設省及び関係省庁が連携して所管施策により支援するモデル事業を創設する。
(3)適正処理への自己責任の徹底、監督強化、監視システムの導入
- マニフェストの積極的導入、電算化による事務の簡素化
- 公共事業での条件明示、写真管理等による適正処理結果の確認
公共工事における排出責任は工事発注者にあるとの認識で取り組む。
- 建設業者の指導・監督体制の強化
建築物の解体・新築工事における適正処理の指導体制の整備や、解体工事業者に対する指導強化、廃棄物処理に関する委託契約内容の適正化等のしくみを整備する。
- 建設業者自らの不法投棄監視体制の整備、情報公開による監視
廃棄物処理行政サイドの対策強化と連携して自らの監視体制を整備する。
- 廃棄物処理行政と連携し、優良廃棄物処理業者の選定等を通じた廃棄物処理業界の近代化促進
(4)建設リサイクル推進には公的な支援が必要
- 民間建築物の長寿命化、リサイクル施設整備等に対する融資、税制等の支援の拡充
(産業界の自立的取り組みが可能となるまでの措置)
- 土質改良プラント、建設発生土ストックヤード等の公的整備の推進
(5)建設汚泥、建設混合廃棄物のリサイクルに道をひらく
- 建設汚泥の再利用のしくみづくり
一定の性状、プロセス等の条件の下に、建設汚泥の再利用のしくみを整備する。
- 建設混合廃棄物の選別徹底による再利用推進
十分な選別機能を有する中間処理施設の立地促進、当該施設への搬出の義務づけ等により建設混合廃棄物の再利用を推進する。
(6)ライフサイクルアセスメント(LCA)の技術の確立等(技術開発の推進)
- 建設分野からリサイクルを評価する技術としてLCAの技術の確立
- コスト内部化、市場形成等の社会システム分析を踏まえた関連技術開発の推進
- 建設分野の関係者が連携し、関係省庁、大学等の研究機関の参画を得て、建設リサイクルに関して研究開発等を推進するための研究センターの設置
(7)広報活動の多面的な展開・人づくりのネットワーク
- 建設リサイクルの広報機能等の拡充
各地方副産物対策連絡協議会、建設業界団体、関係公益法人からなる建設副産物リサイクル広報推進会議の機能の拡充や新たな表彰制度の創設等を行う。
また、機関誌の発刊、交流センターの設置等人づくりのネットワーク化を進める。
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