リサイクル:建設リサイクル推進計画 - 国土交通省

リサイクル

再資源化施設・最終処分場の適正な立地に関する研究会

再資源化施設・最終処分場の適正な立地に関する研究会最終報告[概要]

 
1.検討の背景

 建設廃棄物の排出量については、社会資本の更新、住宅等の建替需要の増加に伴い、着実に増加していく見通しである。
 これに対しては、まず発生抑制、リサイクルを強化に推進していくことが必要であるが、そのためには建設廃棄物の排出量に見合った再資源化施設が確保されている必要がある。
 また、リサイクルを推進しても当面は最終処分される量が相当規模あると見込まれ、最終処分場の確保が必要である。
 しかし、近年、環境意識の高まりや不法投棄の多発等により、産業廃棄物や産業廃棄物処理施設に対する国民の不信感が高く、施設設置にめぐる地域紛争が多発し、最終処分場の立地が困難になっている。
 この様な状況を避けるため、地域ごとの実状に応じた再資源化施設・最終処分場の計画的な立地が必要である。
 以上の背景から再資源化施設及び最終処分場の適正な立地を促進する方策について検討するため、建設省により平成9年12月に「最終処分場等の適正な立地に関する研究会」が設置された。本研究会は平成10年4月に最終処分場の適正な立地の促進に関する検討を中心とした中間報告を公表し、その後有識者へのインタビュー等を通じて検討を深め、また再資源化施設に関する検討結果も加えて、今回最終的な報告をとりまとめられた。
  (研究会名称も平成10年12月より「再資源化施設・最終処分場の適正な立地に関する研究会」に改めた。)

2.検討の内容

 報告では、再資源化施設及び最終処分場ともに、現在あるいは将来的に施設量の不足が予測されるための方策について検討している。
 具体的には、立地が円滑に進んでいない現状について、その原因、課題等を洗い出すとともに、官と民の役割分担のあり方を検討した。
 また、適正な官民分担による再資源化施設及び最終処分場の計画的な整備を進めていく場合に必要な施策について提案している。

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3.再資源化施設・最終処分場の現状と課題

 再資源化施設に関する課題として、
  1. 施設の不足
  2. リサイクル材の需要の低迷
  3. 施設・処理業者への住民の不信感
  4. 立地規制誘導上の課題
  5. 産業廃棄物処理計画実効面での課題
 が挙げられる。また、リサイクル産業についても、収益性が高いとはいえない状況である。
最終処分場に関する課題としては、
  1. 最終処分場の不足
  2. 産業廃棄物処理計画の実効面での課題
  3. 立地選定の不透明性、広域処分、処理業者、施設への住民の不信感
  4. 水質汚染等の環境影響での問題点が挙げられる。
4.再資源化施設・最終処分場の適正な立地及び計画的な施設量の確保に関する公共の役割

 再資源化施設・最終処分場は、資源循環型社会の形成及び適正な廃棄物管理に向けて、必要不可欠な施設である。今後も、排出者責任の原則を堅持していくことが重要であるが、施設不足の現状を踏まえれば、官民が適切に役割分担しながら、整備を進めていくことが必要である。そこで、以下の点から、公共の役割を整理した。
  1. 再資源化施設・最終処分場の枯渇資源性
  2. 国土マネジメントの観点
  3. 環境リスク管理の観点
  4. リサイクル市場の形成及び維持
  5. 再資源化施設の位置づけの明確化
  6. 公共事業発注者の立場
  7. 建設業所管の立場

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5.建設廃棄物の再資源化及び最終処分における立地誘導の主体と地域単位の考え方

(1)立地誘導主体の考え方

 建設廃棄物は、以下の特性を持つ。
  1. 地域住民の日常生活に不可欠な住宅やインフラの整備・更新に伴い排出される。
  2. 重量、体積ともに大きく、遠距離での処分は、極めて不経済になる。
  3. 現状において概ね県内処理が行われている。
 このことから、立地誘導を行う公的主体としては、建設廃棄物の物理的特性及び体制面等から考えて、都道府県が主導的な役割を果たしつつ、市町村と一体となって進めることが適切と考えられる。

(2)地域単位の考え方

 最終処分場を対象にしたシミュレーションを行った結果、経済性からみて、都道府県を概ね地方生活圏に分割した地域単位とすることが適切であることがわかった。
しかし、再資源化施設については、リサイクル材の需要に応じて、最終処分場については、土地利用や廃棄物発生状況に応じて、都道府県を越える地域まで視野に入れ、検討することも重要である。

6.再資源化施設・最終処分場の適正な立地に関する公共が実施すべき具体的内容

 再資源化施設・最終処分場は、都道府県が主体となって、立地誘導を行っていくことが合理的である。このためには、建設廃棄物の排出、リサイクル・最終処分までを捉えたマスタープランの策定する必要があり、総合的な方針・目標に加え、最終処分場及び最終処分場の整備の基本的な計画(地域区分、必要施設量、施設候補地、最終処分場の跡地利用方針等)を盛り込む必要がある。
  このマスタープランの策定においては、十分な情報のもとでの市町村及び住民との対話を通じた合意形成のプロセスが不可欠である。以下に公共が実施すべき具体的内容を示す。

(1)再資源化施設
  1. 透明性の高い合意形成
  2. 整備に対する経済的支援
  3. 建設廃棄物の総合的再資源化施設の整備促進
  4. リサイクル材の公共事業での利用
  5. リサイクル資材のストックヤードの整備
  6. リサイクル材の品質基準の整備
  7. リサイクル材・再資源化施設の情報交換システムの構築
  8. リサイクル促進のための技術開発
  9. リサイクル産業育成
  10. 再資源化施設に関する制度の見直し
(2)最終処分場
  1. 構想段階など早い段階からの透明性の高い合意形成
  2. 立地選定の指標の明確化
  3. 整備に対する経済的支援
  4. 管理データの公開など施設の管理・運営に対する支援・指導
  5. 最終処分場の跡地利用

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7.提案の実現に向けて −6つの連携−

 この報告書の提案を次の6つの連携を通じて、建設副産物への対応体制のネットワーク化を総合的に図ることが必要と考える。
  1. 住民・地域との連携
  2. 計画・建設部局と環境部局との連携
  3. 地方公共団体間の連携
  4. 地方公共団体と国との連携
  5. 学との連携
  6. 多様な産業との連携
【研究会のメンバー】;座長 [五十音順]
石田 東生  筑波大学社会工学系教授
大即 信明  東京工業大学工学部教授
岸井 隆幸  日本大学理工学部教授
北村 喜宣  横浜国立大学経済学部助教授
細田 衛士  慶応義塾大学経済学部教授
山本 幸司  名古屋工業大学工学部教授

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