交通政策基本法に基づく政策展開

交通政策基本法について

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 交通政策に関する基本理念やその実現に向けた施策、国や自治体等の果たすべき役割などを定める基本法制の制定については、多くの方々がその実現に向けて取り組み、様々な場で検討されて来た結果、平成25(2013)年11月27日に「交通政策基本法」として成立しました。
 同法は同年12月4日に公布・施行され、今後は、その理念を踏まえた施策の推進を図り、我が国の交通体系をより一層充実していくことが求められています。

1.制定に至る経緯

(1)交通基本法案の検討
 
 交通に関する基本理念などを定める基本法制については、平成14(2002)年頃から国会において検討が行われていましたが、国土交通省においては、平成21(2009)年の秋頃から具体的な検討が開始されました。
 同年11月には国土交通省内に「交通基本法検討会」が設置され、交通に係る基本的な法制のあり方等について検討が進められるとともに、有識者、自治体、事業者団体等の関係者の方々からのヒアリングも行われ、平成22(2010)年6月には「交通基本法の制定と関連施策の充実に向けた基本的な考え方」が取りまとめられています。
 同年11月からは、交通政策審議会と社会資本整備審議会に「交通基本法案検討小委員会」を設置して、4回にわたる審議の後、平成23(2011)年2月に「交通基本法案の立案における基本的な論点について」がとりまとめられました。
 こうした検討結果を踏まえて法案作成作業が進められ、同年3月8日には「交通基本法案」として閣議決定し、国会に提出しましたが、その3日後に東日本大震災が発災するなど、閣議決定後の様々な情勢変化を受け、平成24(2012)年8月には衆議院で参考人質疑までは行われたものの、同年11月の衆議院解散により、「交通基本法案」はいったん廃案となりました。
 
(2)交通政策基本法の制定
 
 その後、同年12月に政権交代がなされたものの、交通に関する基本法制の重要性については変わることがないことから、大規模災害への対応や、施設の老朽化への配慮などといった規定の追加、国際競争力の強化や地域の活性化といった内容の充実その他の修正を加えた上で、「交通政策基本法案」として平成25(2013)年11月1日に閣議決定し、改めて国会に提出することとなりました。
 国会においては、同月12日と13日に、衆議院国土交通委員会において質疑・採決が行われ、同月15日には衆議院本会議で可決されて参議院に送付されました。また参議院では、同月26日に参議院国土交通委員会で質疑・採決が行われ、27日に参議院本会議で可決されて、「交通政策基本法」が成立する運びとなりました。同年12月4日の官報で公布され、即日施行しています。

2.交通政策基本法の趣旨及び概要

(1)交通政策を取り巻く現状
 
 我が国の国土を取り巻く状況は大きく変化しており、例えば、本格的な人口減少時代が到来し、2050年には総人口が1億人を下回ることが予想されているほか、都市間競争などのグローバリゼーションも更に進展すると見込まれます。こうした中で、日本の国土をどうするべきか、経済の発展をどのように維持するべきか、そして日本の再建をどう実現していくのか、といった観点から、交通政策に関しても長期の視点に立って推進していくことが必要となっています。
 まず、人口減少社会にあっても活力を維持していくためには、地域においては諸機能が集約した拠点とこれを結ぶネットワークが整備されたコンパクトシティを形成することが必要です。また、大都市圏においては成長のエンジンとしての役割を果たせるよう国際競争力を強化するため、ゲートウェイ機能を強化するとともに、情報通信技術を活用したスマートシティ、高齢化社会にも対応したスマートウェルネスシティを実現することが重要です。
 さらに、巨大災害にも対処するため、交通施設の耐震性の強化や交通ネットワークの代替性の確保などの防災・減災対策により、災害に強い国土づくりを進めていく必要があります。
 
(2)交通政策基本法の必要性
 
 平成25(2013)年度以前は、国土政策では「国土形成計画法」と同法に基づく「国土形成計画」が、交通インフラ整備では「社会資本整備重点計画法」と同法に基づく「社会資本整備重点計画」があり、それぞれ総合的・計画的に施策が進められていました。
 一方、従来交通政策に関する基本的な法律・計画は存在しておらず、個別法に基づき個々に施策を推進していたことから、交通政策の推進に当たっての基本理念を打ち立て、関係者の連携と役割分担の下に、政策を総合的に推進する体制を構築していくことが必要な状況でありました。
 「交通政策基本法」は、こうした交通に対する時代の要請に的確に応え、関係者の一体的な協力のもとに、施策を策定・実行していく体制を構築するものです。今後は、交通政策に関して、政府が一丸となって様々な課題に取り組むとともに、地域の関係者間の役割分担と合意の下で望ましい地域公共交通ネットワークを形成する新たな枠組みの構築について検討を進めるなど、政策の充実を図っていくこととしています。

(3)交通政策基本法の概要

 「交通政策基本法」では、まず、国民等の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという認識の下に、「豊かな国民生活の実現」、「国際競争力の強化」、「地域の活力の向上」、「大規模災害への対応」など、政府が推進する交通に関する施策についての基本理念を定めています。そして、これらの基本理念を実現するために実施することが必要な交通に関する基本的な施策として、以下のような内容を定めております。
  ・まちづくりと一体となった公共交通ネットワークの維持・発展を通じた地域の活性化
  ・国際的な人流・物流・観光の拡大を通じた我が国の国際競争力の強化
  ・交通に関する防災・減災対策や多重性・代替性の向上による巨大災害への備え
  ・少子高齢化の進展を踏まえたバリアフリー化をはじめとする交通の利便性向上
  ・以上の取り組みを効果的に推進するための情報通信技術(ICT)の活用
 さらに、交通に関する基本的な施策の策定と実施について、国及び地方公共団体の責務を定めるとともに、以上のような交通施策に関する基本的な計画(交通政策基本計画)を策定して閣議決定し、その推進を図ることとしています。




[English Version]

お問い合わせ先

国土交通省総合政策局公共交通政策部
電話 :03-5253-8111(内線54-903、54-904)
直通 :03-5253-8274

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