
国土交通白書 2024
第2節 未来につながる変革と持続可能で豊かな社会を目指して
コラム 子どもにやさしいコーポラティブハウス(英国・ケンブリッジ市)
英国のケンブリッジ市には、子どもにやさしいコーポラティブハウス注1(42世帯)が建設されている。このコーポラティブハウスは、子ども時代に経験した外遊びを自分たちの子どもにも経験させたいと考えていた入居者たちが設計段階から関わっており、子どもの外遊びに配慮した設計となっている。
コーポラティブハウスの駐車場は、敷地内の1か所に集約され、敷地内を貫く小道は、自動車の通行を禁止することで、子どもの安全な遊び場として利用されるだけでなく、住民同士の交流ができる共有スペースとしての役割も果たしている。敷地内には塀やフェンス等がなく、自由に歩き回ることができるため、幼い子どもの自立を促す設計となっている。
また、住民たちは、子どもの成長や興味の変化に応じた屋外の空間づくりが重要であると考えており、子どもたちは、敷地内にガーデニング専用エリアや多目的スペースを新たに設けるなど、自ら共有スペースを形作っている。2021年時点で、このコーポラティブハウスには約30人の子どもが住んでいる。
ほかの地方公共団体やデベロッパーは、多世代向け住宅や高齢者向け住宅の開発に取り組む一方で、子どもにも配慮したアプローチを検討している。
<敷地内の遊び場・憩いの場>


資料)David Butler
- 注1 コーポラティブとは、協同の、組合の、という意味で、コーポラティブハウスは、住宅の購入を希望する人たちが建設組合を結成して共同で自由な設計で住宅を建てる方式を指す(出典:国土交通省「高齢社会における持続可能な地域づくりに関する調査」(平成18年3月))。