
国土交通白書 2024
第2節 循環型社会の形成促進
■3 自動車・船舶のリサイクル
(1)自動車のリサイクル
「使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)」に基づき、使用済自動車が適切にリサイクルされたことを確認する制度を導入している。また、「道路運送車両法」の抹消登録を行う際、自動車重量税還付制度も併せて実施し、使用済自動車の適正処理の促進及び不法投棄の防止を図っている。なお、令和4年度において、自動車リサイクル法に基づき解体が確認され、永久抹消登録及び解体届出がなされた自動車は1,049,773台である。
(2)船舶のリサイクル
船舶の再資源化解体(シップ・リサイクル)注4は、インド、バングラデシュ等の開発途上国を中心に実施されており、労働災害と環境汚染等が問題視されてきた。この問題を国際的に解決するため、我が国は世界有数の海運・造船国として国際海事機関(IMO)における議論及び条約起草作業を主導し、「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約」(シップ・リサイクル条約)が採択された。
我が国は、平成31年3月に同条約を締結するとともに、同条約の早期発効に向けて各国に対して締結を働きかけてきた。令和5年4月には、最大の船舶解撤国であるバングラデシュとの首脳会談において同国の早期条約締結の必要性を確認し、国土交通省と同国工業省の間で協力覚書を締結した。その後、令和5年6月に同国及びリベリアが同条約を締結したことにより、条約の発効要件が充足され、7年6月に同条約が発効することとなった。これを受け、円滑な条約の発効に向けた国際協力を推進するとともに、日本国内においては、同条約の国内法である「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律」(シップ・リサイクル法)の円滑な施行に向けて、執行準備を進めている。
- 注4 寿命に達した船舶は、解体され、その大部分は鋼材として再活用される。