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国土交通白書 2024

令和6年版 国土交通白書 はじめに

 我が国は、少子化の進行が危機的な状況にある。最新の人口動態統計月報年計(概数)の結果(2024年6月厚生労働省発表)によると、2023年の合計特殊出生率(出生率)は全国で1.20となり、過去最低を更新した。東京都は、全国で初めて1を割り込み、0.99となった。出生数も全国で72.7万人と、過去最低を更新した。

 少子化の進行は、将来にわたって、人口(特に生産年齢人口)の減少、高齢化の進展を通じ、経済規模の縮小、産業や社会の担い手不足、地域の衰退等、我が国の経済や社会に深刻な影響を及ぼすことから、少子化に歯止めをかけ、出生率を向上させることが何よりも重要である。

 このような中、こども家庭庁が発足し(2023年4月)、こどもまんなか社会や次元の異なる少子化対策の実現に向け、こども大綱やこども未来戦略が策定された(同年12月閣議決定)。第三次国土形成計画(全国計画)(同年7月閣議決定)においても、人口減少等の加速による地方の危機など直面する課題に対応するため、地域の活性化の将来ビジョンとして「地域生活圏の形成」を打ち出すなど、「新時代に地域力をつなぐ国土」を目指すこととしている。

 国土交通行政は、社会資本、交通をはじめ国民一人ひとりの暮らしと密接に関わっている。人口減少がもたらす影響を最小限に抑え、我が国の経済成長、地域の足の確保や担い手不足への対応、災害の激甚化・頻発化への対応等の大きな課題に、今後も「挑戦」し続けることが肝要である。

 こうした背景等を踏まえ、令和6年版国土交通白書の第Ⅰ部では、「持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦」をテーマとし、本格化する少子高齢化・人口減少の課題に対して国土交通分野で期待される取組みについて分析し、現状を俯瞰するとともに、我が国の将来像を展望する。

 まず、少子高齢化・人口減少の進展が社会経済に及ぼす影響について、課題を整理した上で、新技術の活用等による省人化・省力化の推進、子ども・子育て等にやさしい「こどもまんなかまちづくり」の推進、持続可能で活力ある地域生活圏の形成等の施策を取り上げ、その上で、持続可能で豊かな社会が実現する将来を展望している。

 また、2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震は、広範囲に甚大な被害をもたらした。本白書では、「特集」として、令和6年能登半島地震への対応(2024年5月時点)について報告する。

 さらに、第Ⅱ部では、令和5年度の国土交通行政の各分野の動向を、政策課題ごとに報告する。