平成10年12月8日

ヒアリング調査結果の概要について
(平成10年11月25日作成)


 公共事業のアカウンタビリティの現状と今後のあり方について各層から意見聴取を行い、行動指針作成のための基礎資料とする。

2.ヒアリング対象 

 学者、マスコミ、有識者(オンブズマンを含む)、経済界から御意見を頂いた。 
 ヒアリング対象者の構成は下図のとおりである。











3.ヒアリング結果の概要

3.1 全体の傾向
 99名からのヒアリングにより、405意見を収集させて頂いた。意見は概ね以下のように区分される。
 公共事業全般に関する意見の他、計画調査、政策企画、公共調達、事業化および事業等の評価に関し、多くの意見を頂いた。
全体意見数 405意見
東京 181意見
その他 224意見




3.2 全般に関する意見
(1)概要
 アカウンタビリティ、コミュニケーション、情報提供、情報公開等に多くの意見を頂いた。
全体意見数 121意見
東京 57意見
その他 64意見






(2)アカウンタビリティについて(31意見)
1)基本姿勢(6意見)
・アカウンタビリティは必要であり、中途半端にならないよう、徹底してやって欲しい(2意見)
・みせかけではなく真剣にやって欲しい(3意見)
・専門家の思い上がりを捨て、謙虚に実施して欲しい(1意見)

2)アカウンタビリティとは(4意見)
・官が情報を独占したことを改め、政策目的を国民に明確にすること(2意見)
・きちっとしたサービスを提供し、「いいサービスになった」と言われること(1意見)
・効率的で公平な行政行為の実現手段(1意見)

3)実施上の注意点(8意見)
・国民の目線で、真摯に対応(1意見)
・説明するだけでなく要望を取り入れる姿勢(1意見)
・国民に理解してもらうより、関心を持ってもらう考え方(1意見)
・意識を組織の末端まで浸透させることが必要(1意見)

4)実施すべき意見(9意見)
・上流部分が重要(4意見)
・政策企画と評価(2意見)
・入札契約と業者の選定(1意見)

5)その他(2意見)
・「公共事業」というより「社会資本整備」という用語を使うべき(1意見)

6)否定的意見(2意見)
・あいまいな部分があるからうまくいく、説明の必要なし
・住民の代表である議会に説明すればよい

(3)情報公開について(18意見)
1)情報公開の基本(6意見)
・情報公開がアカウンタビリティの第一歩(3意見)
・いいことをしても、閉じていては不信感が生じる、現状の公開は不十分(2意見)
・日本では「請求して公開してもらえる」がイギリスでは積極的に提供(1意見)

2)情報公開の時期(2意見)
・開示を求められる前に公開を原則
・情報の種類により峻別すべき

3)公開内容(8意見)
・行政が知らせたい情報ではなく、国民が知りたい情報を知らすべき(2意見)
・国民が知りたいのは、各省庁が隠したい情報(1意見)
・結果だけでなくプロセスも公開すべき(2意見)
・意志決定過程の情報も公開すべき(1意見)

4)公開システム(2意見)
・情報公開のシステムを確立すべき

(4)情報提供について(26意見)

1)基本的考え方(7意見)
・情報の受け手からのリアクションがでやすいように、窓口等も整備(4意見)
・周知徹底することが大事であり、周知方法を工夫すべき(2意見)
・公共事業の費用の一部(EX.1%)を情報提供のために割り当てるべき

2)情報の作成(6意見)
・国民の意識レベルを勘案し、わかりやすい資料を作成(4意見)
・問題点を明確にし、国民の身近な指標で説明(2意見)

3)パンフレット(2意見)
・より広範囲に配布する努力が必要

4)広報等(2意見)
・県や市町村の広報を活用すべき

5)インターネットホームページ(7意見)
・ホームページで情報をどんどん流すべき(4意見)
・現在のホームページは専門用語も多くわかりにくく、更新も遅い(3意見)

6)その他(2意見)
・見学会も実施し、多くの人にPR
・テレビ番組を制作するなど積極的に努力すべき

(5)コミュニケーションについて(28意見)

1)基本的な考え方(3意見)
・日常的にコミュニケーションを継続し、本気で地域とつきあう姿勢が必要(2意見)
・現状では住民の存在を無視した姿勢が一部見られる

2)双方向的取り組み(4意見)
・説明し、意見をフィードバックする双方向的対応が必要

3)体制の整備(8意見)
・職員のコミュニケーション能力を高め、体制を整備し、現場の第一線まで意識を徹底(8意見)

4)コミュニケーションの相手(6意見)
・委員会の先生だけでなく、ちゃんと国民と対話するべき(6意見)

5)コミュニケーション相手の育成(7意見)
・ただ文句を言うのではなく、地域、国を考え、役割分担して実行できる住民を育成することが重要(7意見)

(6)PI等について(7意見)
・PIの機能を果たすために、情報提供、意見聴取方法を改善していくことが必要(5意見)

(7)マスコミ対応について(11意見)

1)基本的考え方(4意見)
・マスコミ対応は重要であるが、公共事業についてはPRが下手(3意見)
・いい報道をしてもらう工夫をするとともに、正当性は堂々と主張すべき

2)発表資料(2意見)
・記者発表をわかりやすく、ポイントを絞ったものにすべき(2意見)

3)発表方法(4意見)
・マスコミに対する見学会、勉強会等の工夫をすべき(2意見)
・主婦等を念頭において家庭欄も重視すべき(1意見)

3.3 政策企画段階に関する意見

(1)概要
 公共事業の必要性、今後の姿勢、建設産業のあり方等について多くの意見を頂いた。
全体意見数 63意見
東京    27意見
その他   36意見




(2)公共事業の必要性について(28意見)

1)無駄な事業の存在(4意見)
・無駄な公共事業が存在する(4意見)

2)必要である(6意見)
・公共事業は必要であり、重要性、必要性を知らせる努力が必要(6意見)

3)必要性の確認(12意見)
・国民の要求とずれていないか等、必要性の確認を再度行うべき(5意見)
・国民に対して必要性の説明をもっと行うべき(4意見)
・景気対策(フロー効果)ばかりが前面に出ている(3意見)

4)道路について(6意見)
・道路財源、高規格幹線道路網等について説明が必要

(3)公共事業のシェアについて(7意見)
・省庁別、事業別のシェアが変わっていない(3意見)
・シェアについて的確な説明がない(2意見)

(4)地域バランスについて(6意見)
・地方部をもっと重視すべき(5意見)
・都市部を重視すべき(1意見)

(5)建設産業について(8意見)
・建設産業は地域経済振興、雇用確保といった意味があり育成すべき(3 意見)
・農業のように残すことが必要なのか、中小企業枠が必要なのか等、見直しが必要(5意見)

(6)今後の姿勢について(14意見)
・国土全体の将来を考えて欲しい(3意見)
・ライフサイクルの視点を計画段階から持つべき(6意見)
・少子高齢化に対応すべき(1意見)
・国際化に対応すべき(2意見)
・環境対応を重視すべき(1意見)

3.4 計画・調査段階に関する意見
(1)概要
 計画説明、省庁連携、合意形成、省内連携等について多くの意見を頂いた。
全体意見数 81意見
東京    37意見
その他   44意見



(2)計画説明について(39意見)

1)説明内容(8意見)
・プラス面のみでなく、マイナス面もあわせて説明すべき
・電力会社のノウハウを導入すべき

2)説明対象(6意見)
・反対者のみに着目してもいけないが、反対者にも公平に対応
・直接の利害関係者のみでなく、幅広く国民に対応

3)説明時期(12意見)
・すべてが決まってから説明するのではなく、早期に説明すべき(10意見)
・説明はプロジェクト実施上、必要なタイミングで実施

4)説明方法(13意見)
・選択肢がある形で説明
・シミュレーション、模型、パース等ビジュアルにわかりやすく説明

(3)合意形成について(11意見)

1)合意形成のあり方(9意見)
・合意形成を図ることが必要
・当初に時間がかかってもトータルとして早く整備できる

2)その他
・米国にみられるような合意形成のための第三者機関を設置すべき
・行政が強引に進めると社会コストが高くなる

(4)説明と実行について(5意見)
・説明した結果ミスマッチが生じても、やるべきことは責任をもって実施すべき

(5)省庁間連携(13意見)
・縦割行政の垣根をこえて省庁間の事業調整を進めるべき

(6)省内連携(6意見)
・個々の事業毎の整備ではなく、地域の整備としてとらえるべき
・境界部分が重要であり、地建を活用すべき

(7)長期計画(5意見)
・長期計画についてPRや情報公開が不十分

(8)環境アセスメント(2意見)
・実施を前提としており、代替案がない

3.5 事業化に関する意見
(1)概要
 新規採択時評価、事業採択基準、優先順位について意見を頂いた。
全体意見数 37意見
東京    11意見
その他   26意見





(2)新規採択時評価について(20意見)
・新規採択時の評価は重要であり実施すべき(4意見)
・費用対効果分析については活用すべきであるが、分析できない要素も多い(8意見)
・評価の内容を公表すべき(3意見)
・評価手法については、改善すべき点が多い(5意見)

(3)事業採択の基準について(11意見)
・採択の基準、プロセス等についてもっと説明すべき(7意見)
・政治家が仕事をとってきたという発想を改めるべき(4意見)

(4)優先順位について(6意見)
・事業間をまたがる優先順位を明らかにすべき(5意見)
・地域間の優先順位を明らかにすべき(1意見)

3.6 公共調達に関する意見

(1)概要
 入札契約制度、談合問題、コスト縮減等について意見を頂いた。
全体意見数 56意見
東京    30意見
その他   26意見




(2)コスト縮減について(8意見)
・他省庁に先駆けた取り組みをしているが、最近プライオリティーが低下したのでは(2意見)
・単年度主義等の予算制度が問題(3意見)
・民間の活力を活用すべき(3意見)

(3)積算について(7意見)
・内外価格差、官民価格差がある(2意見)
・積算基準が甘いのではないか(4意見)

(4)入札契約制度について(25意見)
・一般競争を活用すべき (3意見)
・予定価格の事後公表、事前公表が効果あり(6意見)
・入札契約に関する情報をもっと公表すべき(7意見)
・入札者同志で談合しにくい環境を整備すべき(3意見)

(5)談合問題について(11意見)
・談合が発生している(5意見)
・もっと厳しい対応を図るべき(6意見)

(6)中小建設業への配慮について(5意見)
・地域要件等、過度な保護は見直すべき

3.7 施工段階に関する意見(6意見)

(1)平準化について(1意見)
・平準化を推進すべき

(2)工法比較について(1意見)
・工法について説明すべき

(3)監督検査について(3意見)
・不良業者を排除するためにも監督の強化が必要

(4)現場説明会について(1意見)
・透明性だけでなくわかりやすい説明が必要

3.8 事業等の評価に関する意見(31意見)
(1)事業の再評価について(19意見)
・従来、着手すると途中の変更がない傾向があり、再評価システムを是非活用すべき(10意見)
・評価手法について改善すべき点がある(4意見)
・第三者に評価させるべき(3意見)
・市民参加の場を設けるべき(2意見)

(2)事業の事後評価について(12意見)
・事後の評価が重要であり、計画段階等へフィードバックすべき(9意見)
・第三者に評価させるべき(3意見)

3.9 維持管理に関する意見(6意見)
・維持管理についても説明、住民参加、PI等が必要

3.10 その他に関する意見(4意見)
・PFIを活用すべき(2意見)
・公共事業の定義、立場等について教育していくべき(2意見)

 

 

 

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