平成10年4月24日 建設省 「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」及び 建設省行動計画の平成9年度実績について
1.行動指針・行動計画とは
現下の厳しい財政事情の下、限られた財源を有効に活用し、効率的な公
共事業の執行を通じて、社会資本整備を着実に進め、本格的な高齢化社 会到来に備える。 |
早急に有効な諸施策を実施し、公共工事コストの一層の縮減を推進する
必要。 |
行動指針に基づき、地方、民間の主体的取り組みを含めて、各省庁が一
致協力して、総合的にこの課題に取り組んでいく。 |
2.行動指針策定後の経緯
3.行動指針・行動計画に登録された諸施策の進捗状況
本行動指針に登録された19施策、114項目について、各省庁がそれ ぞれ計画に従い実施した。 |
注)行動指針においては、コスト縮減のための19施策に対応して各省庁が 各年度に取り組むべき具体的施策項目が、付表の形で登録されている。 4.公共工事コスト縮減実績の算定
5.公共工事コスト縮減の平成9年度実績
コスト縮減率向上のイメージ
・計画初年度である平成9年度のコスト縮減実績は、建設省・関係公団合 計で3.3%、政府全体(全省庁・公団)で3.0%となった。 ・直接的施策については、平成9年度で目標数値6%の4割以上を達成し た。 ・間接的施策の効果は、効果発現に時間を要するものも多く、0.6%に とどまっているが、10年度以降効果が拡大することが、期待される。 |
平成9年度縮減率 | 平成9年度縮減額 | 目標値 | |
直接的施策 | 2.7% | 1,161億円 | 6%以上 |
間接的施策 | 0.6% | 250億円 | 4%以上 |
合 計 | 3.3% | 1,411億円 | 10%以上 |
平成9年度縮減率 | 平成9年度縮減額 | 目標値 | |
直接的施策 | 2.4% | 1,609億円 | 6%以上 |
間接的施策 | 0.6% | 386億円 | 4%以上 |
合 計 | 3.0% | 1,995億円 | 10%以上 |
6.今後の取り組み
・平成10年度においても、引き続き行動指針に基づく諸施策を、広範囲
にかつ強力に推進する。 ・また、そのフォローアップ結果について、定期的に公表し、必要な見直 しを実施していく。 ・平成10年度からは、地方公共団体との連携をさらに強化し、一体とな った取り組みを推進することとする。また、10年度以降の取り組みに ついては、地方公共団体の工事費の縮減実績を国、公団等と同様に公表 するよう要請する。 |
(参考)
公共工事コスト縮減の初年度の具体的成果(例示)
(1)コスト意識の徹底・浸透
建設省においては、本省から地方建設局の事務所に至るまで、各職員にコスト意識が浸透し、計画、設計、発注等の各段階で様々な工夫が続出した。 |
例−1:計画段階での工夫
・市町村を越えた下水道施設の共通化、共同化を図ることにより経済的・効率的な下水道整備が図れた。 (縮減率27%)
例−2:技術基準の見直し
・橋梁の径間長に関する基準の緩和を図ることにより、河川の安全性を確保しつつ、経済的な橋梁建設が 可能となった。(縮減率10%)
例−3:設計手法の見直し
・床版の施工に工場製作の板を使用し、橋梁の桁本数を減らすとともに施工の省力化を図った。これによ り、工事費の縮減と同時に、工期短縮と安全性向上も図れた。(縮減率15%)
例−4:技術開発の推進
・シールドトンネルの内壁(覆工)は、従来二重に施工されていたが、施工精度を高め、防水材を改良する ことにより、一重とすることが可能となり、工事費が減少した。(縮減率12%)
(2)関係協力省庁による諸施策実施
全省庁をあげた取り組みとなったことから、直接公共工事を発注しない関係協力省庁においても、様々な施策が実施された。 |
例−1:建設機械部品の互換性の確保(通産、建設)
・通産省および建設省から関係団体に働きかけ、「建設機械アタッチメント標準化」に着手し、当面9年度 は標準化すべき項目を決定した。
例−2:道路上の工事における許可手続きの簡素化(警察、建設)
・道路管理者に係る工事については、発注者である道路管理者が公安委員会に協議すれば、請負業者 は協議しなくてもよい旨を通知により徹底した。
例−3:低騒音建設機械を特定建設作業から除外(環境)
・バックホウ、トラクタショベル及びブルドーザーを使用する作業で低騒音型の建設機械については、種々 の規制のかかる特定建設作業から除外する旨、環境庁の告示により対応した。
例−4:文化財調査についての連絡調整の推進(文部、建設)
・公共工事部局と文化財保護部局との連絡調整の円滑化を図るため、各都道府県において、連絡調整体 制を整備した。
(3)厳しい予算状況のもとで事業進捗に貢献
公共工事コストが、約3%縮減されたことにより、同じ予算の中で約3%工事量が増えたこととなり、厳しい予算状況のもとで、事業の進捗に貢献することができた。 |