「第2章 国民から見た公共事業の現状」を踏まえ、公共事業の実施を国民から託された建設省が、説明責任(アカウンタビリティ)を向上させていくための考え方を、以下のように整理した。
国民から見て、「知りたい情報が提供されていない」という印象が、公共事業への不信感につながっている。「行政は国民に対するサービスの提供である」ことを踏まえ、公共事業に関する情報についても、量と質を向上させ、積極的にオープンにし、国民と共有していく姿勢への改革を図る。
さらに、情報を一方向的に提供するのではなく、双方向のやりとりのなかで国民の意見を反映し、コミュニケーションを推進することによって、信頼関係が構築されるという意識を徹底していく。
公共事業は、国民の安全・便益・福祉等の向上を目的として、国民のお金(税金等)で社会資本を整備・維持管理していくものであり、公共事業実施者は国民の代理者として事業を行うものであることから、国民の意見を十分反映し、協力も得ながら、推進していくべきものと考えられる。
このためには、社会資本について、今後の整備の基本的考え方、実施上の課題、隘路の打開策等を明確に示し、意見交換を行いながら、共に考え、創り、育てていく姿勢で、取り組むことが必要である。
また、公共事業には長期間を要するものも多いことから、社会条件の変化等に迅速かつ的確に対応していくことが必要である。
公共事業について、無駄である等の指摘をうける背景には、その評価について、国民に十分明確に提示できていなかったことが一因と考えられる。これに対応するため、政策企画時、事業採択時、事業実施中、事業完成後等各段階における評価を充実させ、広く情報提供していくことが、必要である。
公共工事に関する不祥事等に起因して、公共調達について、国民の間に根強い不信感が醸成されている。公共事業は、税金等を財源とすると同時に投資規模が非常に大きいことから、調達においては、限られたお金を最大限有効に活用する努力を行うとともに、そのプロセスについて透明性を向上し公正さを確保することが、公共事業実施者の責務と考えられる。
このためには、入札・契約制度改革、公共工事コスト縮減等の取り組みを踏まえ、公共調達の透明性、効率性等の確保・向上に資する諸改革を、さらに継続的に推進していくとともに、不良不適格業者を排除し良質な企業を選定する等、公共工事の発注者責任を果たして行くことが重要である。
以上の4項目を踏まえた対応を図ることにより、公共事業を改革していくことが、建設省の説明責任(アカウンタビリティ)と考えられる。
図−3.1 行動指針の実施による公共事業の改革
建設省では、第2
国民から見た公共事業の現状
で把握された内容および1.説明責任向上の考え方
を踏まえ、公共事業の現状について政策企画から維持管理に至る全実施過程を総点検した(総点検の流れについては図−3.2参照)。
なお、具体的改善策の検討にあたっては、下記の姿勢で進めた。
@現状を是とせず、国民からの指摘を真摯かつ謙虚に受け止め、積極的に実施方法等を見直し、新しい取り組みの導入を図る。
A省内各部局や公団等において先進的な取り組みを行い、成果をあげているものについて、適用範囲の拡大を検討する。
以下総点検の結果得られた具体的改善方策を、1.に示した4つの考え方にそって、取りまとめる。
図−3.2 公共事業執行過程の総点検作業フロー
公共事業に関する幅広い情報を積極的にオープンにし、共有していく姿勢に改革を図り、双方向のやりとりのなかでコミュニケーションを推進することを目的に、以下の施策を実施する。
行政サービスの一環として、建設省から国民への情報提供を積極的に推進していくこととする。そのため、国民の知りたい情報を供給することを念頭に置き、内容・提供対象・タイミング等についての改善、各種伝達媒体の活用、国民からのアクセス窓口の整備等を行う。
提供情報の作成にあたっては、専門用語を避け、図表等を活用するのをはじめ、さらに様々な工夫を加えて分かりやすいものとする。
提供方法としては、パンフレット、地方公共団体広報、インターネット、見学会等多様な手段を広範囲に活用することとする。
特にインターネットについては、海外の事例を見ても活用の充実が必要と考えられ、今後、提供情報の充実、更新期間の短縮、公開討論の場の設定等を図る。
また、道路事業における情報の双方向性を確保するため、「道の相談室」を設置することとし、他の事業についても問い合わせ窓口が明確になるような体制整備を図る。
<施策事例>
十分な情報提供を行うためには、情報の整理収集が前提となることから、基盤となるデータベースの整備を図る。
<施策事例>
情報の公開については「公開が基本」の考え方に立ち、プライバシーの問題その他の支障が無いものについては、国民の求めに応じて、情報を公開していく。このため、文書の開示請求に的確に対応するための体制整備、文書管理システムの整備・改善、情報システムの整備等、必要な措置を行う。その際、国会審議中の「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(案)の施行等に伴う、政府全体の文書管理の動向との整合を図る。
<施策事例>
「わかりやすい資料作り」の徹底
インターネット・ホームページを活用したアカウンタビリティ向上活動の推進
1)「道の相談室」の内容
高速道路、国道、都道府県道等の各道路管理者が連携して関係する全ての道路に関する意見や相談等を総合的に受け付けて一元的に対応する窓口として「道の相談室」を設置する。
2)「道の相談室」の目的
□「道の相談室」の対応フロー(イメージ図)
※東京23区(平成10年10月設置)と高知県(平成11年1月設置)で試行中。
フリーダイヤルはともに、0120−106−497(ドーロヨクナレ)。
国民の意見を聞き、意見交換し、行政に反映していく仕組みを、さらに導入していくことが必要である。
国民の行政への参加を推進する手法(PI手法注1)等)は、道路整備五箇年計画の策定、河川整備計画の決定等で一部導入しているが、情報を提供し、意見を聴取する有効な手法であることから、公共事業の各実施段階において、導入を検討する。ただしこの場合、行政の果たすべき責務を十分果たしつつ、実施することが必要である。
さらに国民とのコミニュケーション推進を図るため、人材育成等の体制整備、NPO注2)・地域有識者等との連携強化等を推進する。
注1)Public Involvement 手法の略で、様々な情報交換を通じて国民の意見を聴取し行政に反映していくための手法
の総称。実施形態としてはいろいろなものがある。
注2)Non-Profit Organization の略で、民間非営利組織、民間公益団体と訳され、寄付金、会費等を財源とし、ボラン
ティアを含む組織成員が利潤追求を目的とすることなく、社会にサービスを提供する組織。
<施策事例>
PI(パブリック・インボルブンメント)の適用拡大
国民への大きな情報供給ルートとなっているマスコミへの対応について、より充実を図る必要があるとの認識のもと、広報資料の改善、継続的な情報提供、勉強会等の開催、各部局の広報担当の充実等により、より緊密な情報交換を推進する。
<施策事例>
公共事業の計画説明について、説明内容の充実、説明対象の広範囲化、説明時期の早期化、説明方法のビジュアル化等改善を図る。
<施策事例>
道路事業におけるPI(試行)の例
〜一般国道3号植木バイパス(九州地方建設局)〜
◆経緯
建設省九州地方建設局において、バイパス計画に幅広い意見を反映させるため、検討委員会(住民代表、学識経験者、行政関係者で構成)を設置して意見交換を行いました(平成9年12月〜10年11月まで6回開催)。
検討会では、バイパスのルートや基本構造について建設省より複数の案を提示し、さらに各案の特徴・損失を説明しました。そして、議論を重ねた上、委員会としての意見を示して頂きました。これを尊重しつつ建設省の責任において整備計画を策定し、現在都市計画の手続きが進められているところです。
また、市町の広報等を通じて意見募集のちらしを配布し、より多くの方々の意見を委員会の議論に反映させる工夫も併せ行いました。
◆路線位置の検討
一般国道3号、208号が合流する植木町中心部での交通渋滞が特に著しいため、バイパスの起・終点については、起点を九州縦貫道の植木I.C.付近、終点を現在事業中の熊本北バイパスに接続することで検討を進め、3つの比較ルート案を提案し(下図参照)、意見交換を行いました。
◆道路構造の検討
道路の構造、交差道路とのアクセス等の考え方について、現道の渋滞解消、沿道開発、地域の利便性等を考慮して、次の3つの比較案を提案し、意見交換を行いました。
【A案(自動車専用道路タイプ)】
【B案(一般道路タイプ「交差道路制限無し」】
【C案(一般道路タイプ「交差道路制限有り」】
社会資本について、今後の整備の基本的考え方、実施上の課題、隘路の打開策等を明確に示し、共に考え、創り、育てていく姿勢で、取り組むとともに、社会条件の変化等に迅速かつ的確に対応していく。
我が国の脆弱な国土条件や間近に控えた本格的少子・高齢社会の到来を踏まえ、現在の社会資本整備の状況について、国民に情報を提供し、認識の共有を進める。
<施策事例>
重要政策課題に対する建設行政の基本的考え方を行動指針等にまとめ、内外に対して明確化し発信する。
このような基本的考え方の一つとして、維持管理費を含むライフサイクルコストの視点をさらに導入し、事後の評価も実施して検証を行い、結果を公表する。
また、地球環境の保全を図るため建設省環境政策大綱の理念を実践に移す諸施策を実施していく。
さらに、建設リサイクル推進計画'97の行動計画の実践とフォローアップを行う。
<施策事例>
洪水ハザードマップ
(社会資本整備方針の明確化事例)
建設リサイクルの推進
産業廃棄物に占める建設廃棄物の割合
排出量は約2割、最終処分量は約4割、不法投棄量は約9割
全産業 建設産業 割合 資源利用量 24億t 11億t 46% 廃棄物量 排出量 4億t 0.82億t 21% リサイクル量 3.1億t 0.45億t 15% 最終処分量 0.84億t 0.37億t 44% 不法投棄 39万t 34万t 87% 注)不法投棄量は、H5〜H7の平均値 出典:建設省、環境庁、厚生省
建設廃棄物の搬出と再利用の状況(平成7年度)
五箇年計画等長期計画に関する情報共有を進め、策定作業へ国民の意見を反映できるシステムを推進する。
<施策事例>
平成11年6月からの環境影響評価法施行に基づき、スコーピング手続きの導入、意見の提出機会の増加等、国民の意見をさらに反映する方向で、実施方法を改善する。
<施策事例>
計画説明段階で、国民から見て十分な説明を行いつつ、論点を明確化し、合理的な合意形成を図り、結果として早期に事業を完了しサービスを提供することを目指した検討を行う。
<施策事例>
新道路整備五箇年計画策定までの流れ
関係住民の意見を反映した「河川整備計画」の策定
「河川整備計画」とは、当面行う予定の河川工事等について、その目的、場所、施設の概要等を定めるものである。
河川管理者は、河川整備計画の案を作成しようとする場合において必要と認めるときは、関係住民の意見を反映するために必要な措置を講じなければならない制度となっており、今後積極的に住民の意見を聞き、河川整備計画に反映させていくこととしている。
○河川整備計画策定の流れ
新たな合意形成・調整手法のイメージ
省庁間、建設省内各事業間の連携・調整を強化し、地域の総合的整備の視点に立った公共事業を推進するため、既存の省庁連絡調整会議、省内調整会議を活用する他、地方建設局が中心となって、横断的調整機能を充実する。
また、建設省、地方公共団体、地元経済界、NPO等が、現地の状況を踏まえつつ地域ブロックのビジョンをつくり、その実現方策を検討していくための場を設置する。
<施策事例>
地域住民の意見や提案を反映するとともに、維持管理活動への国民参加を推進するため、各種取り組みを行う。
<施策事例>
(維持管理における連携推進)
ラブリバー
−地域とともに魅力ある水辺空間をつくる−
「ラブリバー制度」とは、堤防の草刈り等のボランティア活動等を行っていただいている方々に対して、河川敷を整備のうえ植栽や花壇としての利用に解放するなど、地域住民の方々からなる河川愛護団体と、地元市町村、そして河川管理者たる建設省や都道府県の三者がそれぞれの役割を分担・連携して、住民とともに河川の良好な維持と潤いのある水辺空間の形成を図るための制度です。
河川愛護団体は…ボランティア活動として、河川における清掃や地域の河川愛護思想の啓発を行うためのイベントの開催を行うなど、ラブリバー活動の主役として活動を進めていきます。
地元市町村は…河川愛護団体の行う活動を側面から支援するためにも各種清掃用具の提供やイベント費用の援助、また、公園施設の整備等を行います。
河川管理者は…ラブリバー活動が行えるよう地域の要望を踏まえ、河川敷の整備を行い、河川愛護団体の活動を支援していきます。また、河川敷などを植栽と花壇づくりに解放し、併せて水辺の自然に親しむ空間として利用してもらうようにします。
佐鳴湖(静岡県浜松市)
市民参加により国営公園のイベントの企画、運営を行う「夢プラン」の実施
1.「夢プラン」とは
「夢プラン」は、国営公園において、市民よりイベント企画を公募し、選定された企画について応募者自身が実行するというものです。市民のアイデアを国営公園の管理運営に取り入れ、また国営公園の利用推進を図る取り組みとして、平成8年度より実施しています。
2.内容
(1) 夢プランの実施フロー
@ プランの募集
国営公園をフィールドにして実施するイベントの企画、運営のプランを、ポスターの掲示、リーフレットの配布をはじめ、新聞や雑誌等への掲載といった広報活動を通じて広く市民より募集します。
A 審査
集まったプランは各公園ごとに学識経験者、マスコミ関係や地元著名人等による審査委員会で審査を行い、各公園で行うのにふさわしい内容のものを選定します。
B 調整
選定されたプランについて、応募者と各公園の担当者との間で実施に向けた調整を行います。
C 実施
応募者が主体となってプランが実施されます。
※ 国営昭和記念公園での夢プランの事例
「〜ノーマライゼーション〜あらゆる人のための公園とガーデニング」
身障者の方でもガーデニングが楽しめるモデルガーデンを制作し、講習会を開催し、園芸活動を体験してもらいました。
2.施策の効果
3.今後の展開
今後は、夢プランを実施する国営公園の対象を拡大するとともに、夢プランで実施されて公園利用者から好評であったプランについては、次年度から国営公園の常設イベントとして開催していく等、夢プランの国営公園管理運営への反映を行っていきます。
政策企画時、事業採択時、事業実施中、事業完成後等各段階における評価を充実させ、広く情報提供していく。
事業や施策等の政策を評価し、結果を公表し、各段階にフィードバックする仕組みの構築について検討する。
<施策事例>
平成10年度より「新規事業採択時評価システム」を導入し、新規事業採択時において費用対効果分析を含んだ新規採択時評価を実施し、結果を公表している。
<施策事例>
平成10年度より「再評価システム」を導入し、学識経験者等から構成される事業評価監視委員会を設け、その意見を最大限に尊重し、建設省所管事業について再評価を実施し、結果を公表している。
<施策事例>
事業完了後の評価を行い、計画調査段階等へフィードバックすること等を目的として、事業評価システム検討委員会において、事後評価システムの早期導入を検討する。
<施策事例>
新規事業採択時の評価の実施フロー図(例)
(直轄又は公団施行事業)
再評価の実施フロー図(例)
(直轄又は公団施行事業)
事業の事業評価のイメージ
公共調達において、限られたお金を最大限有効に活用するとともに、そのプロセスについて透明性を向上させ公正さを確保するため、効率性、透明性等に関する諸改革を、さらに推進していくとともに、不良不適格業者を排除し良質な企業を選定する等、公共工事の発注者責任を果たして行く。
平成6年度に閣議了解された「公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画」に基づき、入札・契約制度の透明性をさらに向上させる。
また「良質なモノを低廉な価格でタイムリーに調達し提供する」という発注者責任を果たすため、発注者に必要な能力を確保させ、最低限守るべきルールを確立することを始め諸施策を実施する。
談合問題には、指名停止措置要領、談合情報マニュアル等により、的確に対応するとともに、談合しにくい環境の整備を図る。
また、施工能力のある業者による適正な競争の確保と、中小建設業者の受注機会確保(官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律)とのバランスに配慮しつつ、行きすぎた中小建設業者の保護にならないよう、技術力・経営力のある業者に対する適切な競争機会を付与する。
入札・契約制度に関する情報提供の事例
<掲示例>
平成○年○月○日
平成○年度発注予定工事
建設省○○地方建設局
1.一般競争入札
[○○工事事務所]
1−1 工事名:○○道路 ○橋上部工事
1)工事種別:鋼橋上部工事
2)工事場所:○○県○○郡○○町
3)工 期:約○ヶ月
4)工事概要:鋼床版箱桁橋 ○○○m
(主要建設資材需要見込み量)
・鋼材 ○百トン
5)入札予定時期:第○四半期
1−2 工事名:○○道路 ○○トンネル工事
1)工事種別:一般土木工事
2)工事場所:○○県○○市
3)工 期:約○ヶ月
4)工事概要:トンネル ○○○m
(主要建設資材需要見込み量)
・生コンクリート ○千m3
・鋼材 ○百トン
5)入札予定時期:第○四半期
1−3 工事名:○○ダム 建設第1期工事
1)工事種別:一般土木工事
2)工事場所:○○県○○郡○○町
3)工 期:約○ヶ月
4)工事概要:基礎掘削工 1式、堤体工 1式、基礎処理工 1式
原石採取工 1式、雑工事 1式
(主要建設資材需要見込み量)
・セメント ○○千トン
5)入札予定時期:第○四半期
※当該地方建設局及び工事担当事務所において掲示。
インターネットホームページにおいても公表。
(入札・契約制度に関する情報提供の事例)
<公正入札調査委員会の設置及び談合情報対応マニュアルについて>
公共工事のコスト縮減については、平成9年4月に関係閣僚会議で決定された「公共工事のコスト縮減対策に関する行動指針」に基づき、全省庁が連携して、引き続き推進する。
公共工事の積算については、より実態を反映したものへの改革を継続する。
<施策事例>
良質な社会資本を整備するとともに、不良不適格業者を排除するため、適正な監督・検査を推進する。
<施策事例>
公共工事コスト縮減に関するアカウンタビリティの向上
表ー3.1 主要施策事例
項 目 |
施 策 内 容 |
摘 要 |
|||
(1)情報の共有化とコミュニケーションの推進 | |||||
インターネットの活用 | ・公共事業の整備方針、公共事業の箇所別の整備状況等、公共事業に関する多種多様な情報を提供 | 公共事業について国民が知りたいと思う内容が、インターネットで検索・入手できる体制を構築する。 | |||
アクセス窓口の明確化 | ・道の相談室(道路管理者の違いを問わず、すべての道路に関する問い合わせに対応する窓口)を全国展開 | 他の事業についても問い合わせ窓口が明確になるような体制整備を図る。 | |||
PI手法注1)の導入 | ・実施事例を集めた「PI手法の手引き」を整備 | PI手法等については、道路整備五箇年計画の策定、河川整備計画の決定等において導入しているが、公共事業の各実施段階で導入することを検討する。 | |||
マスコミ対応の心得(仮称)の作成 | ・広報資料の改善、継続的情報提供、勉強会等の開催、各部局の広報担当の充実等によりより緊密な情報交換を推進 | 各部局等がそれぞれ実施している対応について、基本的考え方をまとめた心得作成によりレベルアップを図る。 | |||
事業計画説明方法の改善 | ・PI手法の試行等により、より選択性のある段階での早期計画説明を推進 | 計画策定の段階で国民が参加できる方法を導入していく。 | |||
(2)社会資本に関する論点の明確化と臨機の対応 | |||||
長期計画策定方法の改善 | ・長期計画策定において、PI手法を積極的に活用・「河川整備計画」決定に類する国民参加の手続きを他事業においても検討 | 長期計画策定段階への国民参加の推進を図る。「河川整備基本方針」のように水系のようなブロック単位で策定する長期整備計画を他事業でも検討する。 | |||
環境アセスメントの改善 | ・環境影響評価法に基づき、環境アセスメントを実施 | アセスメントの実施方法の決定段階に国民意見を反映する。 | |||
合意形成手法の検討 | ・多くの国民の納得を得られる合理的な合意形成手法を検討 | 合理的な合意形成を図り、結果として早期にサービスを提供することを目指す。 | |||
事業連携・調整の推進 | ・公共事業関係6省庁連絡会議等を活用・地方建設局を中心に幅広い視点に基づく横断的調整機能を充実 | 地方建設局が中心となって、地域の総合的整備の視点に立った公共事業を、さらに推進する。 | |||
地域整備ブロック戦略会議(仮称)を設置 | ・地方ブロックに地域整備ブロック戦略会議(仮称)を設置 | 建設省、地方公共団体、地元経済界、NPO等が、現地の状況を踏まえつつ地域ブロックのビジョンや戦略について議論していくための場を設置する。 | |||
維持管理での連携推進 | ・各種NPO組織注2)等との連携強化 | 維持管理活動への国民参加を推進する。 | |||
(3)公共事業に関する評価の推進 | |||||
政策の評価システムを検討 | ・事業や施策等の政策評価システムを検討 | 各段階にフィードバックする仕組みの構築について検討する。 | |||
事業採択段階での評価充実 実施中の事業の再評価充実 完了後の事業の事後評価導入 | ・平成10年度より、新規事業採択時評価および再評価を実施中・平成11年度より、事後評価システムを一部事業で試行・評価手法、評価結果についてインターネット等で公表 | 事業の必要性等を確認し、国民に対し明確に提示する。 | |||
(4)公共調達の不断の改革継続 | |||||
公共調達における透明性・競争性の向上 | ・入札・契約制度の改善・運用状況を公表・悪質な談合事案について、ペナルティの強化も含め対応 | 入札・契約の実態を国民に明示するとともに、談合しにくい環境の整備を図る。 | |||
公共工事コスト縮減 | ・平成11年度までの取り組みを踏まえ、新たなコスト縮減行動指針の策定を検討 | 3ケ年の現行指針による取り組みに引き続き、コスト縮減に継続して取り組む。 |
注1)Public Involvement 手法の略で、様々な情報交換を通じて国民の意見を聴取し行政に反映していくための手法
の総称。実施形態として はいろいろなものがある。
注2)Non-Profit Organization の略で、民間非営利組織、民間公益団体と訳され、寄付金、会費等を財源とし、ボラン
ティアを含む組織成員 が利潤追求を目的とすることなく、社会にサービスを提供する組織