−記者発表資料−
平成13年4月25日
国土交通省
 

平成13年度における公共工事等へのISO9000シリーズの適用について

 平成13年度において、ISO9000シリーズの認証取得を(競争)参加資格とするISO9000シリーズ適用工事等の試行対象を拡大するとともに、試行工事において提出書類の簡素化を図ることとしましたので、お知らせします。

 
1.これまでの経緯
 品質管理・品質保証の国際規格であるISO9000シリーズ(以下、「ISO9000s」と表記)は、製品を造り出すプロセスに関する規格で、供給者が購入者の要求事項を満足する製品やサービスを継続的に供給するためのシステムです。

 国土交通省では、公共工事等にISO9000sを適用する場合の効果、課題等について、平成8年度から約50件に及ぶパイロット事業を実施する中で検討してきました。

 その結果、今後、ますます厳しくなることが予想される受発注者の業務執行体制等の中で、公共工事等へのISO9000sの適用は、基本的に公共工事等の品質保証水準を向上させる仕組みとして有効に機能する可能性が高いとの報告を得ています。
 また、平成11年度のパイロット事業等を通じて、課題であった、品質管理に係る受発注者間の役割分担のあり方、工事関係書類の簡素化・標準化について検討を実施しました。
 これらの検討を踏まえ、平成12年度から公共工事等の品質保証水準の一層の向上を目指す観点から、これまでのパイロット事業を一歩進め、一定の範囲の建設工事等においてISO9000sの認証取得を(競争)参加資格とするISO9000s適用工事等を試行しながら、さらに適用の効果を検証することとしました。また、平成11年度に検討した受発注者間の役割分担のあり方、関係書類の簡素化のあり方等についても試行を通じて検証しているところです。
 
2.現状と今後の展開

(1)平成12年度における試行状況
 平成12年度においては、工事35件、業務7件を対象に試行しました。試行結果については今後調査を実施し、必要に応じて試行方法の見直しを実施していく予定です。
 特に、適用工事については大規模なものを対象としているため、現在施工中のものが多く、監督業務の効率化等、受発注者間の役割分担のあり方については、引き続き適用工事における調査結果を踏まえ、検討を進めていきます。

(2)建設産業界に対するアンケート調査
 国土交通省の取り組みについて、建設産業界に対し、アンケート調査を実施した結果、ISO9000sの認証取得の有無に関わらず、認証取得を(競争)参加資格とする適用工事等の対象範囲及び件数の拡大に賛同する意見が過半数を占めています。
 また、提出書類の簡素化を望む意見が挙げられています。

(3)企業の認証取得状況
 国土交通省の有資格業者を対象にISO9000sの認証取得状況を調査した結果、平成11年度に比べ平成12年度においては認証取得率が全体的に増加しています。
 特に、建設工事関係企業においては、下位ランクの企業の伸びが大きくなっています(下図参照)。また、建設コンサルタント関係企業については、工事関係に比べ全体的に認証取得率が低いものの、5%程度から10%程度へ倍増しています。

(4)今後の展開
 上記のような状況を踏まえ、平成13年度においては、ISO9000シリーズの認証取得を(競争)参加資格とするISO9000シリーズ適用工事等の試行対象を拡大し、試行工事においては引き続き、平成12年度と同様に監督業務の効率化を図るとともに、新たに提出書類の簡素化を図ることとします。
 

3.平成13年度における適用方法

 平成13年度における具体的な適用方法は以下のとおりとします。なお、河川・道路・公園・営繕事業を対象とします。

(1)対象範囲及び件数の拡大
 ISO9000sの認証取得を(競争)参加資格とするISO9000s適用工事等の対象範囲及び件数を以下のとおり拡大します。

 1)建設工事

○一般競争入札方式においては、全体発注予定工事の約1割(21件)から4分の1程度(40〜50件)に件数を拡大。
○公募型指名競争入札方式においては、少数(14件)から一般競争入札方式と同数程度(40〜50件)に件数を拡大。
○新たに、工事希望型指名競争入札方式においても少数選定。
 2)建設コンサルタント業務等
○新たに、標準プロポーザル方式、通常指名競争入札方式においても少数選定。
(2)ISO9000sの2000年改正対応
 ISO9000sが昨年12月に改正されました。主な改正点は以下の通りです。従来の1994年版と改正された2000年版が3年間並存することに伴い、両者を(競争)参加資格として認めることとします。
○従来のISO9001とISO9002が統合され、ISO9001のみに一本化。
○「適用除外」の適用
○品質システムの継続的改善
(3)発注者による監督業務の効率化
 平成12年度と同様に、ISO9000sの認証取得を競争参加資格とする工事においては、試行的に監督業務の効率化を図るものとします。
 従来の監督業務のうち、直接施工に関連し、請負者の品質管理活動に関わり、かつ受発注者双方にとって負担が軽減できると考えられる「指定材料の確認」、「工事施工状況の確認(段階確認)」、「工事施工の立会い」については、原則として、請負者の自主的な品質管理活動を活用して実施するものとします。
 ただし、請負者の現場における品質システムが適切に運用されているかどうかを確認・把握するため、適切な時期にサンプリング等により請負者の自主検査記録等を確認・把握するものとします。

(4)関係書類の簡素化
 1)品質計画書と施工(業務)計画書の取り扱い

 ISO9000sの認証取得を(競争)参加資格とする工事(業務)の受注者は、品質システム文書(マニュアル、手順書、品質計画書)のうち、当該工事(業務)品質計画書を所定の期限までに監督(調査)職員に提出する必要があります。
 また、従来どおり、施工(業務)計画書についても所定の期限までに提出する必要があることから、書類の簡素化を図るため、施工(業務)計画書と当該工事(業務)品質計画書の記述内容に重複する部分がある場合には、平成12年度と同様に、試行的に相互に参照、引用する構成で作成してもよいものとします。
 2)検査時の提出書類
 平成13年度より、監督業務のうち、請負者の自主検査記録の確認に置き換えたものに関して、検査時に提出する品質管理及び出来形管理に関する書類については、必要項目が網羅されている場合に限り、発注者が承諾の上、指定様式等によらず請負者の自主検査記録等の様式により提出してもよいものとします。


[参考資料]平成13年度におけるISO9000s適用工事等の具体的な試行方法について(PDF形式)


 
 
問い合わせ先
国土交通省大臣官房技術調査課
国土交通省大臣官房地方課公共工事契約指導室
国土交通省大臣官房官庁営繕部営繕計画課