−記者発表資料−
平成12年12月8日
建 設 省
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1.検討の経緯
建設省では、平成11年10月に「設計・コンサルタント業務等入札契約問題検討委員会」(委員長:中村英夫
武蔵工業大学教授)を設置し、土木関係建設コンサルタント業務、測量、地質調査業務において、今後目指すべき発注のあり方について基本的な考え方を整理するとともに、業務の種類や発注者の体制等に応じた適切な入札契約制度の在り方について検討していただき、平成12年4月に「中間とりまとめ」を行いました。
また、建築関係建設コンサルタント業務についても、公共建築の設計業務に関して発注者と設計者間の意見交換を行うために設置された「公共建築設計懇談会」においてプロポーザル方式に基づく設計者選定のあり方等についての検討を進めてまいりました。
建設省ではこれらの提言等をふまえ、7月に入札・契約手続の改善策として下記事項に取組むこととしたところですが、今般、その具体的な運用について定めました。
(1)業務内容に応じた入札契約方式の選定の試行
(2)プロポーザル方式の活用、改善
(3)競争入札方式における公募型の拡大
(4)評価基準、指名・選定理由の明確化
(5)受注意思確認の徹底
(6)適正な発注ロットの設定等
2.具体的な運用
(1)業務内容に応じた入札契約方式の選定の試行結果の報告
○契約金額が1,000万円以上の業務については、業務完了後に試行結果を本省まで報告することとし、その様式を定めました。
(2)標準的日数の設定
○プロポーザル方式及び競争入札方式に係る手続の標準的日数を定めました。
(3)参加表明書及び技術提案書の標準様式の設定
○手続開始時に発注者から受注希望者に提示する公募型及び簡易公募型プロポーザル方式における説明書、標準プロポーザル方式における技術提案書提出要請書(以下「説明書等」という。)の標準例を定めました。
○公募型及び簡易公募型方式における参加表明書及びプロポーザル方式における技術提案書の標準様式を定めました。
○技術提案書は可能な限り簡素化することとしました。
・総合評価型プロポーザル方式の場合には、具体的な取り組み方法の提示を求めるテーマを明示し、1題につきA4用紙1枚以内で提案を求める。
・技術者評価型プロポーザル方式の場合には、A4用紙1枚以内で業務の取り組み姿勢(業務の着眼点、実施方針等)の提出を求める。
(4)評価基準、指名・選定理由の明確化
○説明書等に、技術提案書の提出者の選定及び技術提案書の特定のための評価基準として、評価項目、評価の着目点、判断基準、評価のウェートを具体的に示すとともに、「公募型方式における建設コンサルタント等の選定の考え方(案)」及び「技術提案書評価要領(案)」を策定しました。
○非選定、非指名及び非特定理由の通知にあたっては、評価基準に照らしてより具体的に行うこととし、その様式を定めました。
(5)受注意思確認の徹底
○受注意思を確認するための様式を定めました。
3.今後の予定
中間とりまとめに示された業務完了時の企業・技術者評価の充実とデータベースの整備、発注者支援体制の確立等のその他の改善策についても、引き続き実施に向けて検討を進めていきたいと考えています。
問い合わせ先 ○建設大臣官房技術調査室 建設大臣官房地方厚生課公共工事契約指導室 建設大臣官房官庁営繕部建築課 |
(参考)建設コンサルタント業務等の入札・契約手続の改善策(平成12年7月)
(1)業務内容に応じた入札契約方式の選定の試行
○設計・コンサルタント業務には、単純な作業により実施可能な業務から技術的に高度な能力を必要とする業務まで、きわめて多岐にわたる業務が含まれるため、個々の業務内容を評価し、業務の内容に応じた入札契約方式を選定する必要があります。
○「設計・コンサルタント業務等入札契約問題検討委員会中間とりまとめ」において、具体的な業務ごとに、個々の業務内容に応じた標準的な入札契約方式が提案されたことから、当面、これに基づいた入札契約方式の選定を試行します。
[総合評価型プロポーザル方式]
技術提案の内容と、企業や技術者の能力を総合的に評価することにより建設コンサルタント等を特定する方式。これに該当する場合には、従来のプロポーザル方式に(2)による改善を加え実施する。
[技術者評価型プロポーザル方式]
企業の技術者の能力に重点を置いて評価することにより建設コンサルタント等を特定する方式。これに該当する場合には、当面は総合評価型プロポーザル方式と同様に実施する。
(2)プロポーザル方式の活用、改善
○標準的な業務の実施手法等が定められていない業務については、原則として、プロポーザル方式を適用します。
○提出書類の簡素化等を図るため、業務内容に応じて具体的な技術提案を求めるテーマを示し、当該テーマに対する提案のみを求めます。
○提出を要求する書類は、必要最小限とします。
○技術提案書の特定に当たっては、原則として配置予定管理技術者又は担当技術者を対象に技術提案書の内容についてヒアリングを実施します。
(3)競争入札方式における公募型の拡大
○1件につき予定価格が5,000万円以上の競争入札方式による業務のうち、「政府調達に関する協定」の適用対象となる業務については、従来より、公募型競争入札方式及び簡易公募型競争入札方式により、参加希望者を公募し、建設コンサルタント等を選定してきたところですが、同協定の適用範囲から除かれる詳細設計等の業務についても、簡易公募型競争入札方式に準じた手続により、参加希望者を公募し、建設コンサルタント等を選定します。
○この場合、参加表明書の受領期限を、入札説明書の交付を開始した日の翌日から起算して5日程度まで短縮する(従来の公募型は10日)、または、現場説明会を実施しない等により、手続に要する期間の短縮を図ることができるものとします。
(4)評価基準、指名・選定理由の明確化
○プロポーザル方式においては、技術提案書の提出者の選定及び技術提案書の特定のための評価基準として、評価項目、評価の着目点、判断基準、評価のウェートを説明書あるいは技術提案書の提出要請書に示します。
○公募による競争入札方式においては、入札参加者の選定のための評価基準として、評価項目、評価の着目点、判断基準、評価のウェートを入札説明書に示します。
○非選定理由、非特定理由及び非指名理由については、評価項目、評価の着目点、判断基準に照らして具体的に通知します。
(5)受注意思確認の徹底
○競争入札方式における入札の辞退に係る取扱いは、「競争契約入札心得について」に規定されており、入札執行の完了に至るまでは入札を辞退することができるとともに、入札辞退を理由として以後の指名等について不利益な取扱いを受けないものとしています。これに加え、従来型の指名競争入札方式においては、指名時において、指名された者に対し、書面により受注意思を確認します。
○プロポーザル方式における参加の辞退に係る取扱いは、従来規定されておりませんでしたが、競争入札方式と同様に、随意契約の相手方として決定されるまでは参加辞退ができるようにするとともに、参加辞退を理由として以後の選定等については不利益な取扱いとしないことを徹底します。また、標準プロポーザル方式(参加希望者を公募しない方式)においては、技術提案書の提出要請時において、技術提案書の提出者として選定された者に対し、書面により受注意思を確認します。
(6)適正な発注ロットの設定等
○同一路線等における同種構造物設計の統合、事業プロセスごとに分割されている業務の統合等、単一の業務として契約することが望ましいものについては、適正なロットの設定に努めます。この場合、多年度にわたる業務については、積極的に国庫債務負担行為の活用を図ります。
○設計業務等における積算等については、適正な運用を図ってきたところですが、改めて徹底します。