事業者名 |
樽見鉄道株式会社 |
事例名称 |
地元NPO団体による支援 |
概要 |
NPO法人「樽見鉄道を守る会」による存続に向けての世論喚起及びコスト削減、増収策等による樽見鉄道の経営支援 |
取組の様子 |

樽見鉄道 |
協力者・関係者 |
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樽見鉄道を守る会(NPO法人)(平成15年2月 守る会発足、会員約600人 |
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平成15年11月 NPO法人として岐阜県から認証) |
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協力者:岐阜NPOセンター、岐阜経済大学、岐阜高専 |
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背景 |
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樽見鉄道は、国鉄の分割民営化に伴い第三セクター鉄道として誕生したものであり地元住民の長年の願いにより路線の延長も行われた。当初はセメント輸送が好調で黒字を計上していた。 |
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しかしながら、バブル崩壊後のセメント輸送量の著しい減少、少子高齢化等の要因による旅客輸送の低迷などにより平成14年度には大幅な経常赤字となり、債務超過に陥る可能性がでてきている。 |
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このため、地元自治体で構成される「樽見鉄道連絡協議会」において存廃問題が議論されている。 |
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内容 |
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存続署名活動(平成15年6月〜9月):約5万2千名の署名を集め、沿線自治体の首長に存続を要望 |
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車両のシート、カーテン交換(平成15年9月〜11月):募金(100万円)によりシート等の材料を購入。張替えは、地元住民、高校生等のボランティアにより4回に分けて実施。延べ100人のボランティアが参加。シート交換5両、カーテン交換6両 |
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枕木交換(枕木オーナー募集)(平成15年12月):NPO法人化記念事業として実施。本巣駅構内の古い枕木を市民の募金により交換(募金により枕木のオーナーとなり、
枕木に名前等が入ったプレートが張られる。個人3,500円、団体10,000円)145本(134万円)の応募があった。枕木交換作業には1,000円(昼食代込み)で54人が参加。 |
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守る会の年次総会を臨時列車において実施(平成16年1月):会員50人が出席。車両貸切代、根尾駅〜大垣駅往復で約10万円。 |
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駅の待合所改修・修繕(平成16年2月):老朽化した北方真桑駅ホーム上の屋根付ベンチを改修。募金(30万円)により材料を購入。地元の大工さんなどがボランティアで参加 |
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鉄道事業者、沿線自治体の概要 |
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事業形態 :第一種鉄道事業者 |
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営業キロ :34.5km |
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輸送人員(平成14年度):717千人 |
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主な沿線自治体及び人口(平成15年3月末):大垣市
148,460人、瑞穂市 45,921人、根尾村 2,268人 |
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効果 |
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中日新聞、岐阜新聞等の地元紙、朝日、読売等の全国紙に取り上げられるともに、枕木交換作業などが地元TVで放映されたこと。 |
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こうした活動が紹介されることにより、地元住民の関心が高まり、沿線の高校生、地元住民が活動に参加しはじめ、樽見鉄道に対するマイレール意識が高まったこと。 |
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一部沿線自治体では廃止論が強かったが、住民の幅広い活動がマスコミに取り上げられた結果、地元自治体・議会にも認知され、存続論も強まり、慎重に存廃の検討を行うこととなったこと。 |
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成功(失敗)理由 |
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「樽見鉄道を守る会」の高橋代表の樽見鉄道に対する思いの大きさが一つ一つの活動を成功に導いていること。 |
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NPO、鉄道事業者、行政の協力関係を構築できたこと。(NPOの活動の成否は、キーパーソンがいかに情熱をもってあたるかが重要。) |
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岐阜県が、地元NPO等を交えた協議会により将来計画を策定した第三セクター鉄道に対し、修繕費・維持費等を補助する助成制度を新設したこと。 |
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今後の課題 |
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現時点での活動は高橋代表によるところが大きいため、いかに活動できる人を増やし、守る会の活動を地元にひろげていくかが課題である。 |
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また、岐阜県の新制度ができたものの、地元市町村や鉄道事業者には、NPOとの連携に躊躇する面もあり、意識改革が必要である。 |
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こうした活動を国が支援し、また他の地方鉄道に広げていくことも重要であり、予算のみならず支援のノウハウを蓄積していく必要がある。 |
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お問い合わせ先 |
中部運輸局 |