新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会 (第11回) 令和4年6月16日(木)15:00~17:30 中央合同庁舎3号館8階特別会議室 (ウェブ会議併用) 議 事 次 第 1. 開 会 2. 議 事 (1) 転落原因究明のための具体的な調査実施体制について (2) 長軸方向の安全な歩行経路を示す方法について (3) ホームや車両を活用した歩行訓練の実施体制について (4) 検討会の今後の進め方について (5) その他 3. 閉 会 新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会(第11回) 【障害者団体・支援団体】 日本視覚障害者団体連合 組織部長 三宅 隆 日本弱視者ネットワーク 本部役員(筑波大学附属視覚特別支援学校 教諭) 宇野 和博 東京都盲人福祉協会 副会長 高橋 博行 (代理出席:副会長 佐々木宗雅) 埼玉県網膜色素変性症協会 相談役 田村彰之助 日本歩行訓練士会 事務局長/日本ライトハウス 養成部 部長代理 堀内 恭子 日本盲導犬協会 顧問 吉川 明 【学識経験者】 成蹊大学 名誉教授/大原記念労働科学研究所 特別研究員 大倉 元宏 慶應義塾大学 経済学部 教授 中野 泰志 鉄道総合技術研究所 人間科学研究部 主任研究員 大野 央人 【鉄道事業者】 JR東日本 執行役員 安全企画部長 大森 健史 JR西日本 鉄道本部 駅業務部長 水田 雅博(欠席) 東京メトロ 経営企画本部 企業価値創造部長 川上 幸一 小田急電鉄 常務取締役 交通サービス事業本部長 立山 昭憲※1) (代理出席:交通サービス事業本部 安全・技術部 課長 吉久 治朗) 近畿日本鉄道 執行役員 鉄道本部 企画統括部 副統括部長 深井 滋雄 阪神電気鉄道 都市交通事業本部 都市交通計画部(安全担当) 部長 増味 康彰※1) 【国土交通省】 大臣官房 技術審議官(鉄道) 奥田 薫※1) 総合政策局 バリアフリー政策課長 真鍋 英樹 (代理出席:総合政策局 バリアフリー政策課 交通バリアフリー政策室長 浜田 義和) 鉄道局 鉄道サービス政策室長 山口 博史 鉄道局 都市鉄道政策課長 金指 和彦 鉄道局 技術企画課長 権藤 宗高 鉄道局 安全監理官 中谷 育夫 【厚生労働省(オブザーバー)】 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室長 奥出 吉規 (代理出席:自立支援振興室 社会参加活動支援推進官/障害福祉専門官 周藤 方史) (事務局 鉄道局技術企画課) ※1)新任委員 ※2)委員以外のJR・大手民鉄・公営地下鉄等事業者の傍聴を認めております。 資料1 P1 視覚障害者の転落原因調査の実施体制概要(案) 視覚障害者の駅ホームからの転落原因を調査するため、視覚障害に関する専門的知見のある有識者から構成される原因調査ワーキングを設置。 原因調査ワーキングは「新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会」(以下「検討会」)の下に設けるものとし、鉄道局が事務局を務める。 調査対象 転落後、列車と接触し死傷した鉄道人身障害事故が発生した場合。 現行では、鉄道事故等報告規則に基づき国交省に速報。 今後は、現行の速報に加えて、速報を受け、より詳細な情報を収集し、原因調査ワーキングにおいて原因調査を実施した後、検討会での審議を経て、調査報告書を公表することを想定。 転落したが、幸いにも列車と接触せず事故に至らなかった事案が発生した場合。 現行では、事案の発生について1週間以内(目安)に国交省へ報告。(R4.2.4措置済み)。 今後は、現行の報告に加えて、国交省に問合せ窓口を設置し、広く周知することを前提に、事案発生時に駅係員から協力依頼チラシを配布し、問合せ窓口を通じて当事者から直接、情報を収集することを想定(関係者調整中)。 参考情報として、ホームから転落し、列車と接触し死傷した鉄道人身障害事故は年間平均発生件数2.1 件。事故に至らなかった事案は年間平均発生件数74.7件。 メンバー(案) メンバー案については別紙参照。 その他 個人情報の取り扱いや委員の守秘義務等については、委員委嘱時に措置する予定。 調査の進め方のイメージ 転落後、列車と接触し死傷した鉄道人身障害事故の場合。 事故発生直後、鉄道事業者から運輸局へ速報。 鉄道事業者・国交省による状況の確認、関係者等への情報収集を実施。 このとき、国交省(鉄道局又は運輸局)が現地に赴き、鉄道事業者から状況を聞き取るとともに、現場やカメラ映像等を確認。可能な範囲で現場検証を行う警察からも情報を収集(詳細な確認すべき事項(案)は別紙の通り)。 また、警察・運輸局間における情報連携体制は構築済。 専門委員、委員への事故概要の報告し、必要に応じて、現場調査を実施。 専門委員による原因の議論委員からの意見を頂く。さらに原因調査ワーキングにて追加調査が必要と判断した場合、追加調査を実施。 追加調査の結果を再びワーキングへ報告し、問題なければ、その内容で報告書案を作成。 検討会にて審議し、検討会での承認が得られれば、国交省ホームページにて報告書の公表するほか、委員にもご協力いただき、結果について広く周知する。 転落したが、幸いにも列車と接触せず事故に至らなかった事案の場合。 現行では、転落事案発生後1週間以内に鉄道事業者から運輸局へ速報し、鉄道事業者・国交省による状況の確認を実施。 今後は、協力依頼チラシを当事者に配布し、原因調査に協力する旨の連絡があった場合、鉄道局による当事者からの聞き取りを実施。 ただし、チラシによる情報収集は、国交省における問合せ窓口設置後、当事者間で一定の認知がなされた時期より開始。 複数の転落事案をまとめて定期的にワーキングへ報告。 P2 転落事故原因調査体制のメンバー案について。 「新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会」の下にぶら下がる形で設置。 事務局は鉄道局安全監理官。 専門委員のメンバー案 成蹊大学・大倉元宏(視覚障害者の安全移動支援)、慶應義塾大学・中野泰志(視覚障害者の行動心理)、鉄道総合技術研究所・大野央人(人間工学・安全工学)、日本歩行訓練士会・堀内恭子(視覚障害者の歩行特性)。転落者が盲導犬利用者の場合、日本盲導犬協会・吉川明(盲導犬利用者の歩行特性)( )は専門分野。 利用者の立場から意見する委員のメンバー案 日本視覚障害者団体連合・三宅隆、東京都盲人福祉協会・高橋博行、日本弱視者ネットワーク・宇野和博、埼玉県網膜色素変性症協会・田村彰之助 原因調査ワーキングは、専門委員・委員の判断により、外部有識者(眼科医、運輸安全委員会等)の助言を求めることができる。 資料2 P1 長軸方向歩行時の安全対策に関する検証方法(案) ■背景と目的 ・これまで検討会では、転落事例の約6割※を占める長軸方向歩行時の転落を防止するための方策について、主に次のような論点で検討を進めてきた。※事務局実施の転落に関するアンケート・ヒアリング結果(中間報告) (1)新技術等を活用して駅係員等による円滑な介助を実施することで、単独歩行の機会を減らす。 =前回検討会資料1における「その他の案」(P10)に該当。中間報告において、「AIカメラを活用して駅係員等による円滑な介助を示す方法」、「スマホアプリを活用して駅係員等による円滑な介助を行う方法」が提示されている。 (2)やむを得ず単独でホーム上を長軸移動する場合に備えて、安全な歩行経路を示す。 =前回検討会資料1における「ホーム中央ブロック敷設案」「内方線内側活用案」(P2)等が具体的な案として提示されている。 ※長軸方向の歩行に関する前提<前回検討会資料抜粋> ○視覚障害者はホームでの長軸方向での移動は極力行わないのが原則であるが、従来より、乗車駅と降車駅で階段等の位置が異なることからホーム上での移動は必要である。そのため、視覚障害者が単独で長軸方向を移動することは避けられず、そのための安全対策が求められる。 ○(長軸方向の移動に限らず)ホームの安全対策として最も有効なものはホームドア整備である。一方で、ホームドア整備には多くの時間や費用を要することから、ホームドアによらない転落防止対策も必要である。この場合、特に有効な対策は、駅係員及び周囲の鉄道事業者等による直接の誘導案内、声かけ、見守り(介助)である。 ・また、鉄道事業者側での環境整備の他、視覚障害者にも参加いただく取組として、次の方策の検討を進めてきた。 (3)視覚障害者に実際のホームや車両を用いた歩行訓練を行ってもらい、歩行能力の向上を図る。 ・(1)(2)について、調査や実証実験等によりその有効性等を検証する。 ※(3)については資料3において検討 ■検証の対象 (1)新技術等を活用して駅係員等による円滑な介助を実施する方法 ・改札口に設置したAIカメラを活用した介助・スマホアプリを活用した介助 →過去の実証実験についてのヒアリング(今回実施) (2)長軸方向の安全な歩行経路を示す方法 ・ホーム中央線状ブロック敷設案・内方線内側活用案 →視覚障害者も参加する実証実験等による検証を想定 P2 (1)新技術等を活用して駅係員等による円滑な介助を実施する方法の検証 検証項目・検証方法 ■検証項目 ・視覚障害者を見失わずに確実に介助することができるか。 ・視覚障害者が必要とする場面で、すぐに介助を開始することができるか。等 ■検証方法 過去の実証実験結果について、鉄道事業者・メーカーに事務局からヒアリングを実施する。 <実証実験一覧(一部本導入あり)> ①改札口に設置したAIカメラを活用した介助 ・近畿日本鉄道(アイテック阪急阪神) 大和西大寺駅 ・OsakaMetro(PKSHA Technology) 長居駅、野田阪神駅、今福鶴見駅、横堤駅 ・相模鉄道(セントラル警備保障) 二俣川駅、天王町駅、鶴ヶ峰駅 ・京阪電気鉄道(アプリズム) 祇園四条駅 ②スマホアプリを活用した介助 ・阪神電気鉄道(アイテック阪急阪神) 大阪梅田駅、尼崎駅、野田駅等 改札口に設置したAIカメラを活用した介助 スマホアプリを活用した介助 図は割愛 P3 (1)新技術等を活用して駅係員等による円滑な介助を実施する方法の検証 検証結果(実証実験についてのヒアリング結果整理) 1.改札口に設置したAIカメラを活用した介助 【実証実験・本運用の状況】 <近畿日本鉄道(アイテック阪急阪神)> 20年6月~現在大和西大寺駅で実証実験 <OsakaMetro(PKSHA Technology)> 21年11月~22年3月 長居駅、野田阪神駅、今福鶴見駅、横堤駅で実証実験 <相模鉄道(セントラル警備保障)> 21年2月二俣川駅で実証実験 21年5月天王町駅で本運用開始 22年2月鶴ヶ峰駅で本運用開始 <京阪電気鉄道(アプリズム)> 21年2月~21年4月祇園四条駅で実証実験 【実証実験の方法(近畿日本鉄道の例)】 ・大和西大寺駅改札口付近に設置した防犯カメラの映像を利用した検知システムを構築。 ・改札口から入場される白杖をお持ちの視覚障害者の方を、カメラ画像を通じてAIが検知し、駅務室にあるPCで駅係員に通知。通知を確認次第、駅係員が介助に向かう。 ・実証実験に先立ち、係員が模擬的に白杖を持ってAIの精度検証を実施。一定の検知精度を確認した上で、実証実験を開始。 写真は割愛 【実証実験の結果(鉄道事業者へのヒアリングより) 】 <導入のメリット> ・駅係員の状況に関わらず、改札を通過する視覚障害者の検知が可能。 <更なる展開における課題> ・多少の誤検知・検知漏れがある(相模鉄道では、モニターの監視員による画像確認を行った上で駅係員に通知することで、誤検知を防いでいる)。 ・改札通過から駅員への通知までのタイムラグの間に視覚障害者が先へ進んでおり、介助が難しい場合がある。 ・導入に係るコストの捻出。 P4 2.スマホアプリを活用した介助 【実証実験の状況】 <阪神電気鉄道(アイテック阪急阪神)> 21年3月大阪梅田駅、尼崎駅等で実証実験 22年3月大阪梅田駅、野田駅で実証実験 【実証実験の方法(22年3月実施の例) 】 ・2日間×3名が実証実験に参加(うち、全盲2名)。 ・大阪梅田駅→野田駅の移動時、野田駅→近隣ビルへの移動時、野田駅→大阪梅田駅の移動時のそれぞれにおいて、スマホアプリを活用した介助要請を実施してもらう。 ・大阪梅田駅の駅務室に受付用のPCを配置し、介助要請を受信次第、駅係員が介助に向かう(野田駅へは電話連絡)。 写真は割愛 【実証実験の結果(鉄道事業者・メーカーへのヒアリングより) 】 <導入のメリット> ・視覚障害者から「日常的に使用しているスマホを活用しており、操作が簡単」「知らない人に声をかけることを躊躇する人も、 気軽に利用できる」との声があがっている。 ・ホーム上にいる時や駅に着く前に介助要請することが可能。 <更なる展開における課題> ・弱視の方も識別しやすいアプリの背景画面の色彩や、登録手順など、視覚障害者がより使いやすいアプリの作り込み。 → 1.改札口に設置したAIカメラを活用した介助2.スマホアプリを活用した介助の実証実験結果を受けて ・円滑な介助を実現するための新技術は、実用化が可能なレベルまで開発が進んでいる。今後は、本運用の拡大や実証実験の実施により、更なる利便性向上・精度向上・コスト低減等を図るとともに、当事者の声を開発に反映することが重要。 ・引き続き、本検討会を使いながら開発等に関する情報共有を行い、事業者に導入を促していく。 P5 (2)長軸方向の安全な歩行経路を示す方法の検証/ホーム中央線状ブロック敷設案 検証項目・検証方法 ■検証項目 ・ホーム中央線状ブロックの安全性・有効性。 ・売店等を迂回する場合、どのようなリスクが生じるか。また、新技術を活用することで、リスクを回避できるか。 ・中央線状ブロックが敷設されている駅とされていない駅が混在する場合、どのようなリスクが生じるか。等 ■検証方法 <検証パターン(案)> ・中央線状ブロック、新技術(懸念されるリスク①②の排除を目的としたもの)の有無を考慮したケース①~④ 【リスク①】 線状ブロックから外れる場面において、定位を喪失し、ホーム端に近づくリスク→「スマホを用いて音声案内による誘導を行う技術」の活用 【リスク②】 ホーム端に気付かない場面において、ホームから転落するリスク→「ホーム端に近づく視覚障害者を検知し、注意喚起する技術」の活用 ケース① ホーム中央線状ブロック× スマホを用いて音声案内による誘導を行う技術× ホーム端に近づく視覚障害者を検知し、注意喚起する技術× ケース② ホーム中央線状ブロック○ スマホを用いて音声案内による誘導を行う技術× ホーム端に近づく視覚障害者を検知し、注意喚起する技術× ケース③ ホーム中央線状ブロック○ スマホを用いて音声案内による誘導を行う技術× ホーム端に近づく視覚障害者を検知し、注意喚起する技術○ ケース④ ホーム中央線状ブロック○ スマホを用いて音声案内による誘導を行う技術○ ホーム端に近づく視覚障害者を検知し、注意喚起する技術○ ケース③④については、適用できるレベルまで新技術の開発が進捗していることが前提となる。 → P6、P7において、昨年度に実施した実証実験の結果を紹介する。 P6 (2)長軸方向の安全な歩行経路を示す方法の検証/ホーム中央線状ブロック敷設案 令和3年度新技術実証実験結果①:スマホを用いて音声案内による誘導を行う実証実験 1.実験概要 (1)日時・場所 日時: 令和4年3月7日~令和4年3月18日 場所: 西武鉄道東長崎駅 (2)主体・協力 【実施主体】西武プロパティーズ(現西武リアルティソリューションズ)、 LiNKX (3)検証項目 視覚障害者22名に、shikAIを操作して音声案内を頼りに東長崎駅とその周辺施設における検証用のルート(複数設定)を歩行してもらうとともに、使用感等に関するアンケートに回答してもらうことで、shikAIの利便性や安全性等を検証。 ※shikAI:視覚障害者がスマホの専用アプリを用いて、点状ブロックに貼り付けたQRコードを読み取り、自らのいる位置を認識した上で、音声案内による誘導を受けるシステム。 ※ホームドアのないホーム上を移動する歩行ルートも設定し、全員が歩行。 2.結果※ホームドアのないホームでのshikAIの使用について 歩行状況の確認及び参加者へのアンケートにより、以下の点を確認。 ○利便性 ・全ての参加者が音声案内により目的地まで移動することができ、アンケートでも参加者の95%が本アプリが有効であると回答。 ・ホームの形状(島式or相対式)、現在位置からプラットホーム端までの距離等の情報があるとなお良いとの意見があった。 ○安全性 ・参加者のうち1名が、shikAIの誤使用により誤った音声案内を受け、線路がある位置を誤認した。 ・ホームドアのないホームでの歩行に集中し、音声案内を聞く余裕がなかったというケースが多くみられた。 ・アンケートでは、参加者の86%がホームドアのないホームにおいてshikAIを誤使用することによる転落危険性を指摘。 → ・スマホを用いて音声案内を受けることは、利便性向上に大きく寄与する。 ・一方、ホームドアのないホーム上での使用については、誤認や聞き逃しによる転落リスクがあり、更なる検討が必要。 P7 (2)長軸方向の安全な歩行経路を示す方法の検証/ホーム中央線状ブロック敷設案 令和3年度実証実験結果②:ホーム端に近づく視覚障害者の白杖をAIカメラで検知する実証実験 1.実験概要 (1)日時・場所 日時: 令和4年3月1日~令和4年3月15日 場所: 小田急電鉄経堂駅 (2)主体・協力 【実施主体】アイテック阪急阪神【実施協力】小田急電鉄 (3)検証項目 ホーム端に設置したAIカメラを用いて、列車の在線と視覚障害者の保持する白杖を検知する方法について、その精度と速度を検証。 ※在線検知:約2千枚、白杖検知:約4千枚の画像データを用いて検証 2.結果 (1)列車在線検知 【検知精度】 上り「走行中」検知率62% 「停止中」検知率90% 下り「走行中」検知率88% 「停止中」検知率87% ・上りの「走行中」の検知精度の低さは、車体側面の画像変動で簡易的に走行/停止判定をしたことにより、画像の変動が少なかったためと考えられ、判定方法の見直しで改善可能。 【検知速度(撮影~検知までの時間)】 上り最小4.0秒最大5.8秒平均4.7秒 下り最小0.8秒最大1.1秒平均1.0秒 ※検知用ノートPCまでの伝送方法 上り:無線、下り:有線 ・上りは無線通信を利用したため検知速度が遅くなった。 ・本システムで転落防止を図る場合は、有線通信やエッジ端末で処理する方式が有効。 (2)白杖検知 【検知精度】 上り検知率69% 下り検知率75% ※検知率=白杖所持者を漏れなく検知する率 ・背景との同化による検知不可や、松葉杖・傘等による誤検知が発生。 ・今回の実証実験環境ではカメラから白杖までの距離が8m以上になると検知精度が著しく低下(検知率の算定は7m以下で実施)。 ・検知率向上や遠方の検知には背景を含めた追加学習、高解像度化が有効。 【検知速度(撮影~検知までの時間)】 上り最小2.4秒最大6.0秒平均4.6秒 下り最小1.8秒最大2.3秒平均2.5秒 ・白杖は列車に比べ特徴量が少ないため多層の解析処理が必要で下り(有線通信)の検知速度が2.5倍程度に増加。 ・高速AIモデルへの入替え等で改善可能。 → ・検知後に音声により注意喚起する機能を実装する場合、検知速度に加えて注意喚起までの時間を要する。 ・ホーム端での注意喚起に活用する場合(特に短軸方向歩行者に対する場合)、検知精度・速度の更なる向上が求められる。 P8 (2)長軸方向の安全な歩行経路を示す方法の検証/ホーム中央線状ブロック敷設案 検証方法の再検討 ■実証実験結果を受けた検証方法の再検討 ケース① ホーム中央線状ブロック× スマホを用いて音声案内による誘導を行う技術× ホーム端に近づく視覚障害者を検知し、注意喚起する技術× ケース② ホーム中央線状ブロック○ スマホを用いて音声案内による誘導を行う技術× ホーム端に近づく視覚障害者を検知し、注意喚起する技術× ケース③ ホーム中央線状ブロック○ スマホを用いて音声案内による誘導を行う技術× ホーム端に近づく視覚障害者を検知し、注意喚起する技術○ ケース④ ホーム中央線状ブロック○ スマホを用いて音声案内による誘導を行う技術○ ホーム端に近づく視覚障害者を検知し、注意喚起する技術○ ケース③、④ →「ホーム端に近づく視覚障害者を検知し、注意喚起する技術」の活用(P6、P7のとおり)各技術は、リスク①②の排除を目的としてホーム上に導入することは現段階では難しく、ホーム中央線状ブロック敷設と新技術の組合せ案(ケース③④)の検証は時期尚早ではないか。 → 引き続き技術開発の動向を注視していく ケース② →現時点で導入できる可能性がある方策は、ケース②(ホーム中央線状ブロックのみで安全な長軸方向の歩行経路を示す方法)である。 →ケース②について、本検討会で実証実験を実施するかどうか、議論が必要 P9 (2)長軸方向の安全な歩行経路を示す方法の検証/ホーム中央線状ブロック敷設案 ケース②の実証実験 ■実証実験の条件整理 過去の実証実験に対する議論(第9回検討会等)も踏まえて、仮に今回実証実験を行う場合に検討すべき主な条件を以下の通り整理。 実験環境 実験フィールド(営業線、模擬駅、駅以外(床面の形状・材料も要検討)) ブロックの仕様(シート型タイル、埋め込み型ブロック) ホーム幅員(ホーム中央線状ブロックと内方線付き点状ブロックとの離隔) 参加者 人数 属性(性別、年齢、歩行訓練の経験等) 募集方法、選定方法 実験方法 場面設定 実験における場面の再現方法 実施主体 専門家(専門的な研究機関やコンサルタント)主体※外部委託※検討会が条件設定等に関与 →上記を踏まえ、まず専門家により実験計画を企画・立案する必要あり ■ケース②の実証実験を実施する場合のスケジュール <令和4年度> 6月(第11回検討会) : 実証実験実施の決定 →実験計画企画・立案の外部委託手続き: 約3か月 →実験計画の決定(検討会での議論を含む) : 約6か月 <令和5年度> 実証実験実施の外部委託手続き→実験実施 P10 (2)長軸方向の安全な歩行経路を示す方法の検証/内方線内側活用案 現状の把握 ■乗車待ち列のセットバックに関する現状調査 <調査内容> ・JR各社、大手民鉄、地下鉄(ホームドア全駅整備済の事業者は除く)計27事業者に調査を実施。 ・以下のいずれかを満たす駅の有無を確認。 ①乗車待ち列を内方線付き点状ブロックから後退させている(目的が通路確保ではなくても該当)。 ②内方線付き点状ブロックの内側(ホーム中央側)を、通路(歩行エリア)として明確に設定している。 <調査結果> <調査結果> ・①は7駅、②は1駅が該当。 ※乗車待ち列の位置によらず、列車の到着時には一旦車両際まで進行し、ドア開扉を待ってから乗車する、といった状況が見受けられる。 ※階段脇等でスペースが不十分な箇所などでは、乗車待ち列の標示を設けないこともある。 ・①について、10万人以上の乗降客数の駅も3駅あり(JR東日本池袋駅・渋谷駅、JR東海名古屋駅)。 ・セットバック実施駅ではこれまでのところ、時間帯や場所によりある程度の混雑が見受けられるものの、通常時において、乗車待ち列をセットバックさせることによるホーム上の旅客の流動への大きな影響はない。 JR東日本 渋谷駅(湘南新宿ラインホーム) JR東海 名古屋駅(在来線複数ホーム) 写真は割愛 上記の調査結果より、「乗車待ち列をセットバックすることで、歩行エリアを確保することが可能か(=乗車待ち列をセットバックしてもホーム流動等への大きな影響はないか)」を改めて実証実験等で検証する必要はないのではないか。 ※ただし、ホームの幅員等によっては、乗車待ち列をセットバックできない場合があることに留意が必要 P11 (2)長軸方向の安全な歩行経路を示す方法の検証/内方線内側活用案 導入についての議論 ■調査結果を踏まえた議論 「乗車待ち列のセットバックは都市部の乗降客数の多い駅でも事例があり、問題なく運用がなされていること」を前提として、以下の論点について議論。 論点 ○乗車待ち列をセットバックして視覚障害者歩行エリアを内方線内側に設定することの是非 ・視覚障害者を線路側に意図的に誘導することを認めるか。 ・全ての駅がホーム全域に一様に導入できるわけではない状況で、一律にエリアを設定すべきか。 (以下、歩行エリアの導入を可能とする場合には議論が必要) ○歩行エリア導入の条件 ・柱等で内方線が一部欠損している駅への導入可否。 ※迂回時に誤って定位喪失することによる転落リスクを防止するため、ホーム端に注意喚起を行う新技術との組合せを条件とする等 ・導入にあたっての駅近隣障害者団体との協議の必要性。 ○歩行エリアの位置づけ ・視覚障害者優先エリアとするか。全ての旅客が歩行できるエリアとするか。 ○当該駅が歩行エリア導入駅であることについての、視覚障害者への周知方法 ・駅構内・車内アナウンスだけで十分か。駅構内・車内アナウンス以外に方法はあるか。 ○他の駅利用者に歩行エリアであることを示す方法 ・ペイントによるエリアの塗りつぶしや「通路」の表示等。そもそも方法を指定すべきか。 ○ホーム中央線状ブロック敷設案との関係性 ・ホーム中央線状ブロック敷設案に関する議論の結果如何に関わらず、本歩行エリアの導入を可能とするか。 → (歩行エリアの導入を可能とする場合) 「バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設編)」等の見直しを検討 資料3 P1 現行の歩行訓練の課題(ホームや車両を活用した歩行訓練の実施体制(案)) ■訓練スキームの例 ①障害者総合支援法に基づく歩行訓練(自立支援(機能訓練)) 訓練生の入所・通所が主、自己負担なしor 一部負担(国・自治体の補助) ②自治体の主催による歩行訓練 歩行訓練士の訪問が主、自己負担なし(自治体負担) ③その他(各種団体や個人の主催によるもの) 歩行訓練士の訪問が主、自己負担が必要な場合もあり → <共通の特徴> ・本人の希望により訓練に申込み ・歩行訓練士によるマンツーマン指導 ・受講者のニーズに応じて、営業中の列車を実際に利用しながら、ホーム・車両での歩行訓練を実施 ■受講状況 ・詳細人数は不明だが、事務局調査※ではアンケート回答者の約半数が訓練受講経験あり。 ■現行の歩行訓練における課題 ①ホーム・車両での歩行訓練における制約 ・ホーム・車両で歩行訓練を実施する際は、営業中の列車を実際に利用しながら訓練を実施しているが、時間的な制約があり十分な訓練を実施できない。 ・車両等を触って構造を理解することは視覚障害者にとって重要だが、営業中では安全上難しい。 →時間的な余裕があり、安全性が担保され、自由度の高い訓練環境が必要 ②歩行訓練に対する認識不足 ・「訓練しなくても歩けると思った」「訓練があることを知らなかった」という理由で訓練を受講していない人が多い。 ・希望制による訓練のため、本人が必要性を感じない限り訓練を受けるタイミングがない。 →歩行訓練の重要性について、視覚障害者等への更なる周知が必要 P2 新たな歩行訓練の実施体制(案)(ホームや車両を活用した歩行訓練の実施体制(案)) ■各課題に対応した新たな訓練の方向性 ①時間的な余裕があり、安全性が担保され、自由度の高い訓練環境が必要 ・営業中であってもより訓練時間を確保できる環境(駅・番線・時間帯)を、各鉄道事業者の情報を集約した上で、歩行訓練士に提示する。 ・鉄道事業者の協力のもと、昼間の留置車両の活用、車両等を触る体験の実施等が可能な体制を構築する。 →(1)更なるホーム・車両の活用 ②歩行訓練の重要性について、視覚障害者等への更なる周知が必要 ・ホーム・車両を活用した歩行訓練をイベント形式で開催するとともに、その様子を視覚障害者とその家族等に各種媒体を活用して周知し、訓練の重要性についての理解促進を図る。 ※昨年度に実施した試行訓練では、「訓練の重要性を再認識した」という参加者が多かったほか、新聞報道がなされ、多くの視覚障害者に対する周知効果があった。 ※鉄道事業者の職員にとっても、視覚障害者の介助方法を学ぶ良い機会となっている。 →(2)イベント形式の歩行訓練 P3 (1)更なるホーム・車両の活用(新たな歩行訓練の実施体制(案))(ホームや車両を活用した歩行訓練の実施体制(案)) [A]訓練時間をより長く確保できる環境(駅・番線・時間帯)の情報提供 ・歩行訓練士に対し、営業中であっても訓練時間をより長く確保できる環境(場所・時間)についての情報を提供する。 (例:昼間時間帯、終端駅での折り返し待ち列車) ・情報を踏まえ、リストアップされた駅に出向いて訓練を行うことで、より質の高い訓練が可能となる。 <情報提供の流れ> ①10分以上折り返し待ち等でホームに停車している列車の情報を鉄道事業者から地方運輸局に提出。 ※ホームドア未整備駅に限る。 ②地方運輸局が情報を集約し、日本歩行訓練士会に情報提供。 ③日本歩行訓練士会より各地の歩行訓練士に展開。 [B]留置車両の活用 ・鉄道事業者の協力のもと、ダイヤ編成上、昼間にホームに留置されている車両を活用し、長時間の訓練機会を創出。 <訓練実施の流れ> ①ドアを閉め、10分以上ホームに留置されている車両のうち、訓練用に開扉可能な車両の情報を、[A]同様のルートで歩行訓練士に提供。※ホームドア未整備駅に限る ②歩行訓練士は事前に鉄道事業者に連絡し、開扉を依頼。 ③開扉を行う係員と待ち合わせ、訓練実施。要望に応じ、可能な範囲で、車両等を触る体験も実施する。 あらかじめ鉄道局から鉄道事業者に対して、以下の内容を周知 ・営業中の列車を活用した歩行訓練が日常的に実施されていること。 ・上記[A][B]の情報提供を運輸局を通じて行うとともに、[B]の要望があった場合には対応すること。 ・歩行訓練実施時は入場券の購入を不要とすること。 P4 (2)イベント形式の歩行訓練(新たな歩行訓練の実施体制(案))(ホームや車両を活用した歩行訓練の実施体制(案)) ■これまで実施した試行訓練で明らかとなった課題 ○試行訓練の概要 ・令和3年3月、10月:阪神大阪梅田駅、11月:南海難波駅、令和4年2月:JR東日本品川駅、阪急嵐山駅で実施 ・視覚障害者・歩行訓練士各3名参加 ・終端駅で発車待ちの回送列車や、訓練用に留置した専用列車を使用 ・車両・ホーム等を触る体験を実施 ○課題 ・訓練環境(ホーム・車両)の準備に要する労力→ 発車待ち回送列車等を活用することで簡略化 ・訓練実施に係る費用→ 持続的に拠出が可能な方法を検討 ・周知効果の最大化→ 積極的な広報の実施 ■イベント形式の歩行訓練の実施体制 ・鉄道事業者各社は、視覚障害者が参加する安全教室や、駅係員が介助方法を学ぶ講習等を独自に実施している。 例えば、社会貢献や駅係員のスキルアップ等を目的に、それらの独自事業に歩行訓練を組み込むことは可能か。 (開催のイメージ) ・鉄道事業者が主催、地方運輸局が開催やPRに協力。 ・日本歩行訓練士会が企画段階から協力(参加者募集にも関与)。 ・各運輸局で年1回(1事業者)程度実施。 資料4 新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会 今後の進め方(案) 【第12回検討会以降】  ・必要に応じて適宜開催 転落防止等に関する新技術の実証実験の継続や関係者への情報共有 (短軸方向歩行時における転落防止策) ホーム端に接近する視覚障害者を検知して注意喚起する方法 (首都圏の駅で調整中) ・小田急経堂駅、関東鉄道取手駅(継続中)で実証実験を実施。 ・実用化に向けては、検知精度・速度について更なる向上が必要であることを確認。 【第11回検討会】  ・小田急経堂の実証実験結果報告 【R4年度末まで】  ・関東鉄道取手の実証実験の継続 【適宜】  ・新たな実証実験に向けた調整 転落した鉄道利用者をAIで認識し速やかに列車を止める方法 (首都圏の駅で調整中) ・首都圏の駅での実施に向けて、調整中。 【R4年度末まで】  ・実証実験に向けた調整、実証実験の実施・検証等 その他の新技術  ・改札口での白杖等検知  ・スマホアプリの活用  など ・阪神大阪梅田駅でスマホアプリの実証実験を実施。 ・前年度からの改良により操作性が向上し、介助要請での活用に有効であることを確認。 【第11回検討会】  ・阪神大阪梅田の実証実験結果報告 【適宜】  ・新たな実証実験に向けた調整 実際のホームや車両を活用した視覚障害者による歩行訓練の実施 試行訓練 ・10月阪神大阪梅田駅、11月南海難波駅、2月JR東日本品川駅・阪急嵐山駅で歩行訓練を実施。 全国的な展開 ・上記訓練を踏まえ、全国展開における課題(各関係者の役割、費用の捻出方法等)を抽出し、関係者と協議。 【第11回検討会】  ・試行訓練の結果を踏まえた、新たなスキーム案の提示 【R4年度中】  ・全国での本格実施 ホーム長軸方向の安全な歩行経路を示す適切な方法 ホーム中央線状ブロック案 内方線内側活用案 ・検討会(第8回~第10回)において、両案の安全性や、実証実験の方法等について議論。 ・各案と新技術の組合せについては、上述した新技術の開発状況に鑑み、現時点で有効性を確認するための実証実験が困難であることを確認。 【第11回検討会】 ・実証実験等による検証方法の提案 車両内のモニター表示や駅のポスターなど効果的な啓発方法 効果的な啓発方法の検討 ・ACジャパンの掲載要件を確認し、財団法人、社団法人等が申請者となることを把握。 【第12回検討会】  ・好事例の整理、効果的な啓発方法の提案 転落原因究明のための具体的な調査実施体制 調査実施体制の構築・運用 ・検討会(第8回・第9回)において、調査実施体制について議論。 【第11回検討会】  ・新たな調査実施体制の提案 【R4年度中】  ・本格運用 注)検討会における議論を踏まえて変更することがある。