【表紙】 駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドライン 令和4年7月 国土交通省 【目次】 1. 駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドラインの活用にあたって 1  1-1. ガイドライン策定の経緯 1  1-2. ガイドラインの位置づけ 1  1-3. 対象となる無人駅 2  1-4. ガイドラインの活用・展開 2 2. 駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会における意見 3  2-1. 障害当事者の指摘と鉄道事業者の対応状況 3  2-2. 障害特性に応じた障害当事者への適切な情報提供 3   2-2-1. 駅利用にかかる適切な情報提供の実施 3   2-2-2. 輸送障害発生時等の緊急時における適切な情報提供の実施 5   2-2-3. 障害当事者の問い合わせを受ける窓口等の整備 6  2-3. 駅の利用に関する事前連絡のあり方 6  2-4. 乗務員による携帯スロープを活用した乗降介助の実施 7 3. 駅の無人化にあたって・無人化した駅の運用にあたっての望ましい姿 9  3-1. 駅を無人化するにあたって検討すべきことがら 9   3-1-1. 駅を利用しやすい環境づくり 9   3-1-2. 地域等との連携 9  3-2. すでに無人化した駅の運用にあたって検討すべきことがら 10 4. 本ガイドラインが描く望ましい無人駅のイメージ 11 5. 無人駅の機能向上に資する各種事例 16  5-1. 障害特性に応じた障害当事者への適切な情報提供 17   5-1-1. 通常時の駅利用にかかる適切な情報提供 17   5-1-2. 異常時における適切な情報提供 33   5-1-3. 介助の申込み等にかかる事前連絡 37  5-2. 無人駅における利用者利便の向上 39   5-2-1. 乗務員による乗降介助の実施 39   5-2-2. ハード整備による対応 41   5-2-3. 声かけ・見守りの環境整備 43  5-3. 地域等との連携 45  5-4. 駅等を活用した体験会の実施 47 【0ページ】 ●本ガイドラインの構成  第1章において、ガイドラインの策定経緯、位置付けを述べた上で、ガイドライン活用に当たっての考え方を述べている。  第2章においては、意見交換会において障害当事者団体及び鉄道事業者等から出された意見等を記載している。  第3章においては、障害当事者を含む全ての駅利用者(以下「障害当事者等」という。)が無人駅を利用する際の利用しやすい環境づくりに配慮すべきこと等を踏まえた無人化にあたっての望ましい姿を述べている。  第4章においては、利用しやすい環境づくりに配慮した無人駅のイメージを、利用者の多い都市部の駅と利用者の少ない地方部の駅に分けてイラスト化している。このイラストは、特定の駅や鉄道事業者の取組をベースにしたものではなく、意見交換会での議論や各鉄道事業者における取組を集約し、安全・安心な駅利用という観点で理想的な駅のあり方を示した一つの例示である。  第5章においては、第4章で図示した多くの取組を実装している鉄道事業者の駅運営の代表的な例をいくつか取り上げ、項目ごとにまとめたものである。  各鉄道事業者には、こうした理想を共有するとともに、先行事例も参照しつつ、今後の駅運営をどのように行うべきかを検討することが求められる。 【1ページ】 1.駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドラインの活用にあたって 1-1.ガイドライン策定の経緯  鉄道は公共性の高い交通機関であり、障害当事者等が安全、円滑に駅を利用できるようにすることは極めて重要な課題である。これまで、各鉄道事業者においても、駅の利用者が安全、円滑に駅を利用できるよう必要な設備や体制の整備等に努めてきたところである。  他方、我が国の少子高齢化の進展や生産年齢人口の減少等による鉄道利用の減少、輸送サービスの担い手不足に対応するため、鉄道事業者はこれまで経営の合理化、経営体質の改善に向けた努力を続けてきたところであり、駅係員の常駐しない駅が存在する。  しかしながら、障害当事者等がこのような無人駅(終日無人駅、一部時間帯無人駅(無人となる鉄道事業者管理に係る改札口 【注釈1】がある場合を含む。)。以下同様。)を利用する際、@車椅子使用者が駅の利用において、長時間待たされる場合がある、A視覚障害者(全盲、弱視(ロービジョン)、色覚多様性など。以下同様。)にとって券売機等の駅務機器や車両の停止位置がわかりにくい、B聴覚障害者に必要な文字情報の提供が十分なされていないなど、無人駅の安全、円滑な利用に係る問題点や要望が障害当事者等より寄せられた。こうした流れを受け、令和2年の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という。)」の一部改正の法案審議において、衆議院、参議院の議決時に、無人駅の利用にかかるガイドライン化を求める附帯決議【注釈2】がなされた。  このような状況を踏まえ、令和2年11月、無人駅における障害当事者等の安全、円滑な利用に資する取組等について検討することを目的として、障害当事者団体・鉄道事業者及び国土交通省の三者からなる意見交換会(以下「意見交換会」という。)を設置し、所要の議論(後述)を経て、本ガイドラインの策定に至ったものである。 【注釈1】鉄道事業者管理に係る改札口:商業施設等に直結する改札口を除く改札口をいう。 【注釈2】令和2年4月3日衆議院国土交通委員会附帯決議第7項、令和2年5月12日参議院国土交通委員会附帯決議第9項 1-2.ガイドラインの位置づけ  鉄道事業者が駅を無人化(有人駅を無人駅にすること。以下同様。)することは、鉄道事業者が社会変化に柔軟に対応するために、その経営判断において適切に行うべきものであるが、鉄道事業者の一方的な判断のみによって利用者利便が損なわれないようにする必要がある。  そこで各鉄道事業者が無人化を検討する段階におけるひとつの拠り所として、予め考慮すべき事項、参考にし得る先例をまとめ、障害当事者等の安全性・利便性の確保のために実施することが望ましい事項について具体的な目安を示すべく、本ガイドラインを作成したものである。  上記1-1で触れたような経営環境の変化等から、鉄道事業者の経営判断により、やむを得ず駅係員の配置の見直しを行う際には、本ガイドラインの内容を最大限尊重することが望まれる。 【2ページ】 1-3.対象となる無人駅  前記のとおり、本ガイドラインは、基本的にはこれから無人化しようとする駅の扱いについての考え方を整理したものであるが、すでに無人化を実施している駅についても、利用実態や地域の要望の有無、障害当事者等の利用に対する安全確保の状況等を勘案し、本ガイドラインの内容に沿った対応をすることが望ましい。 1-4.ガイドラインの活用・展開  本意見交換会を立ち上げた令和2年秋から本ガイドライン策定までの約1年半の間に、我が国の真の共生社会に向けた政策や各種バリアフリー法制には、いくつかの大きな進展が見られた。主なものとしては、令和3年5月に改正障害者差別解消法 が可決・成立した。現行法では、行政機関等と事業者は、事務・事業を行うに当たり、障害当事者から何らかの配慮を求められた場合には、過重な負担がない範囲で、社会的障壁(障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの)を取り除くために必要かつ合理的な配慮(合理的配慮)を行うことを求められており、このうち事業者については努力義務であったところ、改正法においては、国や地方のみならず民間の事業者にとっても、これが法律上の義務になった。また、令和4年5月に成立・施行された障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法 においては、障害者の情報アクセシビリティーやコミュニケーションに焦点を当て、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資するため、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにしている。  鉄道利用に関しては、鉄道車両の車椅子スペースは、これまで1列車に2以上とされ、座席に移乗せずに車椅子に乗ったままでは通路にはみ出てしまい、ワゴンなどが通るたびにデッキに出なければならないなどの課題があったが、新幹線車両については、新幹線のバリアフリー対策検討会を経て、令和2年10月に移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準を定める省令(平成18年国土交通省令第111号)を改正し、隣の座席への移乗の有無や介助者等の有無、ストレッチャー式車椅子利用者など様々な障害の状態等に対応し、車椅子利用者がグループで快適に旅行等を楽しめるよう、「車椅子用フリースペース(座席定員に応じて3〜6以上の車椅子スペースで構成)」を一般客室に設置することが義務付けられた。また、在来線特急車両についても、特急車両におけるバリアフリー対策に関する意見交換会を経て、令和4年3月に同省令を改正し、新幹線と同様に車椅子用フリースペースの設置が義務付けられた。  鉄道事業者においては、上記に一例を掲げたような時流や社会からの要請も踏まえ、今後、利用しやすい鉄道駅運営の実現のため、社員研修や駅運営の見直しに係る企画立案段階などをはじめ、幅広い局面で本ガイドラインの積極的活用を試みることが望まれる。 【3ページ】 2.駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会における意見 2-1.障害当事者の指摘と鉄道事業者の対応状況  前述の経緯を受けて設置された意見交換会においては、各障害当事者団体からの無人駅ご利用時のお困りごとや要望(第1回)、鉄道事業者が無人駅において行っている取組等(第2回)、当面の鉄道事業者が改善に向け検討している事項等(第3回)、現状とりまとめ(第4回)について意見交換を行い、さらに第5回・第6回で個別の論点の検討を深化させた。その後、本ガイドラインにつき第7回で議論し、成案を得たものである。  意見交換会においては、様々な障害当事者から様々な無人駅の利用時における課題、要望等が挙げられたが、特に大きな要望として(1)障害当事者への適切な案内・情報提供のあり方、(2)駅の利用に関する事前連絡のあり方、(3)列車運転士等の乗務員による乗降介助の実施の3点がある。以下本章ではこれら各点の議論を概観する。 2-2.障害特性に応じた障害当事者への適切な情報提供 2-2-1.駅利用にかかる適切な情報提供の実施  通常の駅利用時であっても、障害当事者にとって無人駅を利用する際には、適切な情報提供が重要である。鉄道事業者は障害当事者の利用状況を踏まえて、無人駅を安全・円滑に利用できるよう、環境整備を検討するとともに、駅利用者の協力も得て、ソフト対策を実施することも必要である。 (1)視覚障害者 障害当事者団体から、駅によっては、ホームや駅構内における視覚障害者誘導用ブロックや音声による案内等が無いため、インターホンや券売機・改札機の位置、ホームにおける列車の停止位置・車両のドアの位置、ドア開閉ボタンの位置の把握が困難であることや、インターホンや券売機がタッチパネル式のため使用できないことなどについて意見があった。 鉄道事業者からは、視覚障害者誘導用ブロックや音声による案内の実施のほか、機器への点字シールの貼付、触知案内図の設置や、ホームページにおける情報提供等の実施について報告があった。また、鉄道施設を活用した視覚障害者の体験会、研修会の実施や、アプリや新技術を活用した案内の実施事例についても報告があった。 〜具体的な対応例〜 ●障害当事者を駅務機器や列車のドア位置などに適切に誘導する設備の点検 ●「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン」を参考にSNS等による適切な情報発信 ●視覚障害者に対する駅係員等による声かけ・見守りは有効な対策であることから、今後も引き続き「声かけ・サポート」運動の実施、駅係員等に対する声掛けの重要性の教育 ●放送などによる他の利用者への「声かけ・サポート」運動の呼びかけ 【4ページ】 ●駅施設等を活用した障害当事者による体験会の実施 ●ホームページ、SNS等を点検し、障害当事者が無人駅を利用するにあたって移動等円滑化経路、ホームの形状、乗車位置、駅係員が不在となる時間帯等の必要な情報を掲載した情報発信。(経路、ホームの形状(島式か相対式)、番線の数など、駅の情報を文字情報や図式化して提供することが望ましいとの意見があった。) (2)聴覚障害者  障害当事者団体から、無人駅ではホーム上のスピーカーの音声が分からない、また不明瞭で聞き取りにくいことや、聴覚障害は外見では障害の有無が伝わりにくいため、困っている仕草をしているときに駅係員や他の利用者に気づいて声かけをしてもらいたいことなどについて意見があった。  鉄道事業者からは、自社のウェブサイトでの文字情報の提供や二次元コードを駅に貼付するほか、発車標(発車時刻等を表示するもの)や電光掲示板による文字情報の提供等の実施について報告があった。 〜具体的な対応例〜 ●バリアフリー法に基づく発車標、電光掲示板等視覚表示設備等の整備状況及び筆談の可否(筆談具及びコミュニケーションボード等)について点検 ●「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン」を参考にSNS等による適切な情報発信 ●鉄道事業者ホームページにリンクされる二次元コードの駅での掲示 ●カメラ付インターホンの設置 ●画像通信サービスの活用 ●聴覚障害者に対する駅係員等による声かけ・見守りも有効な対策であることから、今後も引き続き「声かけ・サポート」運動の実施、駅係員に対する声掛けの重要性の教育 ●放送などによる他の利用者への「声かけ・サポート」運動の呼びかけ (3)車椅子使用者  障害当事者団体から、介助の申込みの際の連絡窓口のワンストップ化や、障害当事者専用の窓口の設置のほか、各社のホームページにおける連絡先の掲出箇所がわかりにくいことなどについて意見があった。  鉄道事業者からは、介助等の事前連絡の窓口の電話番号をホームページなどに掲出し、事業者によっては障害当事者専用の窓口を設けるなどの対応について報告があった。 なお、連絡窓口の設定においては、無人駅を管轄する駅ごとに連絡先を掲出する事業者や、利用者サポート専用の連絡先のみを掲出し、窓口を一本化している事業者など、各社において対応が分かれている。 【5ページ】 〜具体的な対応例〜 ●連絡窓口のわかりやすさや、所要時間を短縮するために連絡を受けてから実際に介助を実施するまでの連絡体制について点検 ●連絡窓口のワンストップ化など、連絡体制の簡素化 ●問い合わせに係るオンライン化やアプリの活用など、ICT技術の活用 2-2-2.輸送障害発生時等の緊急時における適切な情報提供の実施  通常の駅利用時とは異なり、輸送障害発生時等の緊急時においては、電光掲示板等によって適切に情報収集できるほか、リアルタイムで適切に駅係員等とのコミュニケーションを図ることができる環境の整備の検討が必要である。 (1)視覚障害者  鉄道事業者からは、聞き取りやすい音声等による運行情報等の情報提供等の実施について報告があった。 〜具体的な対応例〜 ●聞き取りやすい音声等による運行情報等の情報提供 ●アプリ等を活用した情報発信 (2)聴覚障害者  障害当事者団体から、緊急時は鉄道事業者からの情報提供が音声情報中心の場合があり、文字による情報提供が少ないことから状況の把握が難しいこと、ホーム上のスピーカーの音声が分からない、また不明瞭で聞き取りにくいことなどについて意見があった。  鉄道事業者からは、発車標や電光掲示板による文字情報の提供等の実施について報告があった。 〜具体的な対応例〜 ●バリアフリー法に基づく発車標、電光掲示板等視覚表示設備等の整備状況及び筆談の可否(筆談具及びコミュニケーションボード等)について点検 ●「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン」を参考にSNS等による適切な情報発信 ●鉄道事業者ホームページにリンクされる二次元コードの駅での掲示 ●カメラ付インターホンの設置 ●画像通信サービスの活用 ●聴覚障害者に対する駅係員等による声かけ・見守りも有効な対策であることから、今後も引き続き「声かけ・サポート」運動の実施、駅係員に対する声掛けの重要性の教育 ●アプリ等を活用した情報発信 ●二次元コード等を活用した情報提供 【6ページ】 2-2-3.障害当事者の問い合わせを受ける窓口等の整備  障害当事者が鉄道を利用する際、事前連絡があれば、鉄道事業者はあらかじめ介助等の手配を行うことができ、利用者が円滑・迅速に鉄道を利用することが可能となることから、障害当事者が容易に問い合わせを行うことができる環境整備の検討が必要である。  障害当事者団体から、介助の申込みの際、連絡窓口のワンストップ化や、障害当事者専用の窓口の設置のほか、各社のホームページにおける連絡先の掲出箇所がわかりにくいこと等について意見があった。  鉄道事業者においては、介助等の事前連絡の窓口の電話番号をホームページなどで掲出し、事業者によっては障害当事者専用の窓口を設けるなどの対応を行っているとの報告があった。  なお、連絡窓口の整備においては、無人駅を管轄する駅ごとに連絡先を掲出する事業者や、お客様サポート専用の連絡先のみを掲出し、窓口を一本化している事業者など、各社において対応が分かれている。 〜具体的な対応例〜 ●連絡窓口のわかりやすさや、所要時間を短縮するために連絡を受けてから実際に介助を実施するまでの連絡体制について点検 ●連絡窓口のワンストップ化など、連絡体制の簡素化 ●問い合わせに係るオンライン化やアプリの活用など、ICTの活用 2-3.駅の利用に関する事前連絡のあり方  介助等にかかる事前連絡は、各鉄道事業者とも事前連絡がない場合においても、可能な限り待ち時間が短くなるよう努めつつ対応を行うこと、また無人駅であることのみをもって駅の利用を断るような対応を行わないという姿勢が必要である。  障害当事者団体から、車椅子使用者や視覚障害者の鉄道利用にあたっては、例えば事前に連絡がないと鉄道を利用できないなどの運用がなされ、急遽鉄道を利用する必要が生じた際に乗車できない、長時間待たされる、事前連絡していたにもかかわらず鉄道事業者の連絡の行き違い等により希望する列車で乗降介助が受けられない、降車を希望した駅が無人駅であることを理由に有人駅での降車を求められるなどの事例があったことなどについて意見があった。  鉄道事業者からは、障害当事者が鉄道を利用する際、事前連絡がなくても介助等の対応を行うこととしているほか、当該駅が無人駅であることのみをもって、駅の利用を断るような運用は行っておらず、来訪に応じて適宜対応しているとの報告があった。また、管理駅の社員による定期的な巡回、遠隔監視システムの活用や自治体への委託による介助、また、乗務員による乗降介助を実施している鉄道事業者もあるとの報告があった。 【7ページ】 〜具体的な対応例〜 ●事前連絡がないことや無人駅であることのみをもって駅の利用を断るようなことがないよう、社内研修等の場を活用した社内への周知徹底 ●障害当事者の駅利用にかかる情報が正確に伝えられるような対応アプリなど新技術の活用 2-4.乗務員による携帯スロープを活用した乗降介助の実施  車椅子使用者などが単独で列車に乗降できるようにするためには、ホームと車両間の段差・隙間の解消(櫛型ゴムの設置を含む)や、ホームドアの設置によるホーム上の安全性確保が求められるものの、複数の車両形式が乗り入れる駅などでは、これらの対応が非常に難しいことも多い。  車椅子使用者から、事前連絡における待ち時間等に係る課題解決の一つの方策として、運転士や車掌などの乗務員が携帯スロープを活用して乗降介助を行うことについての要望があげられた。  一部の鉄道事業者においては、乗務員による乗降介助を実施しているが、車椅子使用者の安全確保を前提とした乗務員による乗降介助を実施している線区の特徴等を踏まえると、考慮すべき課題として、 @駅のバリアフリーの課題(車両までの駅構内の段差解消の状況) A過密ダイヤ路線や長編成路線など、列車遅延の発生に係る課題 B介助中不在となる運転席の安全の確保 C転動(傾斜等により車両が動き出してしまう事象)の防止 があげられた。 〜具体的な対応例〜 ●以下の条件を満たす路線、線区から試行的に実施 @ ホームから駅出入口間の段差が解消されている駅 A 短編成でかつ比較的ダイヤ設定に余裕のある路線、線区の条件を満たす路線、線区において、 B 乗務員以外の者が乗務員室に侵入することの防止策(乗務員室の施錠又は乗務員室直近の扉において介助を実施等) C 乗務員不在時に車両が動いてしまうことの防止策(転動が発生しないような措置を確実に実施等)等の安全対策を講じられる場合 ●試行に当たっては国や障害当事者団体とも連携し、安全確保や安定輸送の確保のために利用者の理解や社会全体の理解を得るとともに、障害当事者に必要な協力を得ながら実施 ●乗務員による乗降介助を実施する路線、線区を計画的に順次拡大するため、試行的実施の課題などを踏まえながら検討 【8ページ】 [製作者注:このページは空白。注、終わり] 【9ページ】 3.駅の無人化にあたっての望ましい姿 3-1.駅を無人化するにあたって検討すべきことがら 3-1-1.駅を利用しやすい環境づくり  障害当事者等が無人駅を利用する際には、移動や乗降などの際に困難を感じていることがある。このため、障害種別ごとにバリアと感じることも多様であること、障害のない人からは障害のある人が感じているバリアは分かりづらいことがあること、を理解した上で安全・安心に利用できる駅の環境づくりが重要である。  障害当事者をはじめとした多様な利用者ニーズに応えるための整備のあり方の具体的な目安を示した「バリアフリー整備ガイドライン」(令和4年3月国土交通省総合政策局)には、利用者が円滑に移動できる環境づくりのために必要な要素として、以下の記述がある。  バリアフリー整備ガイドラインにおいては、 @バリアのないルートの確保:可能な限り最短距離で、高低差が少なく、見通しがききわかりやすいルートと空間を連続的に確保すること Aわかりやすいルートの確保:空間構成、様々な表示デザイン、音サイン、人的対応などを有効に組み合わせ、誘導を適切に行うこと B安全で使いやすい施設・設備:必要な施設・設備(乗車券類販売所、待合所、案内所、トイレ等)をアクセスしやすく、安全で使いやすく整備すること  鉄道事業者においては、駅を無人化する際の施設整備の検討に際しては、これらを念頭に取り組む必要がある。  特に、鉄道駅(その周辺を含む)のトイレについては、過去、駅を無人化する際に駅のトイレを閉鎖する事例も散見されたところであるが、公共交通機関たる鉄道駅の特性を踏まえ、自治体等へトイレの管理を移管したり、新たに公衆トイレを設置するなど地域の協力を得てトイレを存置することや、当該駅を含む路線にトイレ付きの列車を導入することなどにより、利用者の利便性が極力低下しないようサービスレベルを維持することが望ましい。  また、駅係員がいる駅と同様に、安全・安心に駅を利用できる環境整備のためには、上記のようなハード整備も重要であるが、障害当事者等の利用が一定程度見込まれる時間帯における他駅からの駅係員等による巡回、見守りの実施、他の利用者に対する「声かけ・サポート」運動の協力の呼びかけ等、利用実態を踏まえた対策を講じることが求められる。  以上のように、移動の連続性、容易性を確保した利用しやすい環境づくりのために、障害当事者等のニーズに基づいて、ハード対策・ソフト対策などを一体的に捉えて、利用の実態を踏まえ、駅の環境整備を行うことが重要である。  また、こうした駅の環境整備に加えて、駅等を活用した体験会の実施等による社会全体を通した意識醸成を図っていくことも有効であろう。  近年、利用者の非常に多い都心部の駅においても、一部時間帯を無人化するなどの動きもみられるが、一部時間帯のみとはいえ、無人化する以上は、終日無人化する場合と同様に、前述した駅の環境整備と同様の対応をとることで、利用者の利便性を大きく損なうことのないようにすることが望ましい。 3-1-2.地域等との連携  駅の要員配置の見直しを行う際は、駅周辺の障害当事者等が利用する施設(学校、職場、病院等)等の状況を把握し、利用実態に応じて地方自治体や施設等関係者及び地元障害当事者団体等と十分な意思疎通を図り、当該駅の運用について関係者の理解を得られるよう努めることが重要である。  また、近年、各地で乗車券販売等の駅業務の地元企業への委託、地元企業と協力した駅の有効活用などの地域と連携した駅運営の動きもみられるが、これは、鉄道事業者が、駅の管理を担うべきであるとの発想に立ったハード・ソフトの体制整備ではなく、管理に必要な人的資源の提供主体をアウトソーシングすることで、当該駅のサービスレベルの維持を実現する方向の取組と整理することができる。このように、駅において地方自治体や地域の観光協会の職員等と連携している事例などを参考に、例えば鉄道事業者の社員以外が障害当事者等を乗車まで支援する方策等についても、実際に実施している事例やその課題等を踏まえ、鉄道事業者において検討することが重要である。  本ガイドラインでは、上記のように、鉄道事業者以外の主体との連携による駅のサービスレベルの維持に向けた取組も有効であるとの発想に立って、駅業務の一部を地域や企業に委託する事例についても、その一部を掲載している。こうした取組は、「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」においても、地域モビリティを再構築する手段となり得るとの観点から整理されており、本ガイドラインに収録しきれなかった事例も含め、別途公表される同検討会の提言及びその参考資料も併せて参照されたい。  今後、このような発想により、安全かつ効率的な駅運営の可能性を模索する動きが広がることを期待したい。 【10ページ】 3-2.すでに無人化した駅の運用にあたって検討すべきことがら  前記3-1に述べた、利用しやすい環境の構築や沿線地域との対話を通した連携については、その性質に照らし、既に無人化が行われている駅についても同様に当てはまる。  このため、すでに無人化を行っている駅についても、地域との対話を継続することなどを通して利用者の声に耳を傾け、鉄道施設や車両のメンテナンスや技術革新に併せた駅管理体制の見直しなどを、必要に応じて検討することが重要である。具体的には、無人駅の更なる安全性向上のために、すでに無人化を実施している駅の環境の総合的な点検に加え、必要に応じた更なるハード整備や新技術の活用などの対策を講じることも求められる。 【11ページ】 4.本ガイドラインが描く望ましい無人駅のイメージ 図 都市部の駅 [製作者注:図 都市部の駅は原本では11ページから12ページまである。注、終わり] 【内容説明ここから】 中央に都市部の高架式無人駅、島式ホームをイラストで表示。ホーム上にはエスカレータ、エレベータがあり、視覚障害者2名、聴覚障害者1名、車椅子使用者1名、視覚障害者に声かけをしている女子学生が描かれている。 左上図 駅改札口に運行情報ディスプレイが設置された状況を描いたイラスト。運行情報ディスプレイは17ページ、33ページ参照。 中央上図 無人駅を遠隔監視し、カメラ・モニター付きインターホンを介して連絡をしてきた利用者と会話している状況を描いたイラスト。駅遠隔監視は23ページ、25ページ参照。 左下図 ホームドアが設置され、かつホーム端に櫛型ゴムを設置することにより段差・隙間が解消された乗降口から単独で列車に乗ろうとしている車椅子使用者を描いたイラスト。ホームドア、櫛型ゴムの設置は42ページ参照。 中央下図 白杖を持って移動している女性視覚障害者に「何かお手伝いしましょうか」と語りかけている女子学生を描いたイラスト。声かけ・見守り環境は43ページ参照。 右上図 カメラ・モニター付きインターホンを介して連絡をしている利用者を描いたイラスト。中央上図駅遠隔監視と線でつながり、監視・被監視関係を示している。カメラ・モニター付きインターホンは21ページ参照。 右中央図 バリアフリートイレと、そこに入ろうとしている男性の車椅子使用者を描いたイラスト。 右下図 カメラ・モニター付き自動券売機を利用してオペレータと会話している利用者を描いたイラスト。カメラ・モニター付き自動券売機は19ページ参照。 中央下図 発車案内板から流れる音声に耳を傾けている視覚障害者と、補聴器を付けた聴覚障害者を描いたイラスト。運行情報ディスプレイは17ページ、33ページ、音声案内は35ページ参照。 【内容説明ここまで】 本文脚注:※上記は都市部における無人駅イメージの一例であり、本ガイドラインにおける事例等全ての整備を求めるわけではないが、駅の利用者が安全・円滑に駅を利用できるようにするため、1つでもできることから実施するよう求めるものである。注、終わり 【13ページ】 図 地方部の駅 [製作者注:図 地方部の駅は原本では13ページから14ページまである。注、終わり] 【内容説明ここから】 中央に地方部の地表式無人駅、1面1線のホームとそれにつながる駅舎をイラストで表示。ホーム上には視覚障害者1名、車椅子使用者1名、視覚障害者に声かけをしている女子学生が描かれている。また、このホーム中央には車椅子マークが表示された場所があり、その乗車位置には櫛型ゴムが設置されている。 左上図 駅舎内を描いたイラスト。この駅の切符販売は○○市観光協会に委託されており、切符売り場と並んで地元産野菜の直販コーナーが描かれ、地域との協力を示している。地域との協力は45ページ参照。 上中央左図 バリアフリートイレと、そこに入ろうとしている男性の車椅子使用者を描いたイラスト。バリアフリートイレは41ページ参照。 上中央右図 列車運行情報等表示端末と書かれ、路線図、列車走行位置、運行情報を示しているディスプレイと、そこから発せられる音声情報に耳を傾けている視覚障害者と、補聴器を付けた聴覚障害者を描いたイラスト。運行情報ディスプレイは17ページ、33ページ、音声案内は35ページ参照。 右上図 カメラ・モニター付きインターホンを使っている人を描いたイラスト。カメラ・モニター付きインターホンは21ページ参照。 右中図 無人駅を遠隔監視し、カメラ・モニター付きインターホンを介して連絡をしてきた利用者と会話している状況を描いたイラスト。駅遠隔監視は23ページ、25ページ参照。 右下図 乗務員が携帯スロープをホームと車両の間に設置し、車椅子使用者の乗車を介助している状況を描いたイラスト。乗務員による乗降介助は39ページ参照。 下中央左図 白杖を持って移動している女性視覚障害者に「何かお手伝いしましょうか」と語りかけている女子学生を描いたイラスト。声かけ・見守り環境は43ページ参照。 左下図 スマートフォンの画面に列車運行情報が表示された状況を描いたイラスト。運行情報提供は36ページ参照。 左中図 乗務員と聴覚障害者が筆談器を用いて会話している状況を描いたイラスト。筆談器、筆談アプリは29ページ参照。 【内容説明ここまで】 本文脚注:※上記は地方部における無人駅イメージの一例であり、本ガイドラインにおける事例等全ての整備を求めるわけではないが、駅の利用者が安全・円滑に駅を利用できるようにするため、1つでもできることから実施するよう求めるものである。注、終わり 【15ページ】 [製作者注:このページは空白。注、終わり] 【16ページ】 5.無人駅の機能向上に資する各種事例  本ガイドラインには、無人駅の機能向上に資すると考えられる各種事例を掲載している。そのため、実際に無人駅で導入されている事例もあれば、現状においては有人駅でのみ導入されている事例もある。 これらは、鉄道事業者、障害当事者団体、国土交通省それぞれの提供事例を掲載している。 図 事例集の構成説明 【内容説明ここから】 事例集は表形式となっており、欄外に事例名称等を記載し、その右側に、視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者と書かれた長方形が並んでいる。これは、当該事例が視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者のいずれに適応する事例かを表示したもので、この例では「視覚障害者」「聴覚障害者」の長方形の色が濃くなっていることで、「視覚障害者」「聴覚障害者」向け事例であることを示している。なお、視覚は緑色、聴覚は橙色、車椅子は青色で塗られている。 [製作者注:本テキスト版では、事例名称等の後に対象者を示している。注、終わり] 表は、事例の概要や導入経緯等を示した「概要」、事例の実施条件や今後の課題、当事者からの要望等を示した「実施条件・課題等」、当該事例を導入している事業者等を示した「導入事業者等」の3部で構成されている。 なお、導入事業者等については、1 全ての駅・路線で実施しているものではないこと、2 実際の導入例を限定するものではないこと、3 無人駅に限った事例ではないことが注記されている。 表に続き、事業者、当事者提供による事例図表が示される。 【内容説明ここまで】 【17ページ】 5-1.障害特性に応じた障害当事者への適切な情報提供 5-1-1.通常時の駅利用にかかる適切な情報提供 (1)運行情報ディスプレイ(聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・運行情報をディスプレイやLEDスクロール表示により情報提供 ・視覚的にわかりやすいよう、運行状況を列車のイラストで表示 実施条件・課題等 ・必要な情報のタイムリーな提供 ・導入費用の確保 ・弱視(ロービジョン)者に配慮したモニター位置・高さや配色にすることや、音声のないモニター機器の場合は別の音声装置で案内することにより、視覚障害者への情報提供が可能 導入事業者 JR、大手民鉄、地下鉄、中小民鉄 【図 多言語お客様案内システム(JR北海道)(省略)】 [図 終わり] 【図 列車運行方法モニター(北越急行)(省略)】 [図 終わり] 【18ページ】 [コラム1 開始] SoundUDのユニバーサルデザイン化ソリューション 「音と文字で案内できる多言語アナウンスツール」 ・アナウンスを音声だけでなく、利用者のスマートフォンに文字でも案内できる。聴覚障害者は駅に設置された専用ボードにスマートフォンをかざすと、アナウンスの内容を文字で確認できる。 ・視覚障害者はアナウンスを聞き逃した場合でも、読み上げ機能により再度聞くことができる。 ・駅係員向けアプリは一般的なタブレット端末で利用でき、既存の音響機器に接続して使用可能。専用ボードは低単価で、電源を必要とせず貼るだけで導入が可能。 【図 聴覚障害者の利用イメージ】 【内容説明ここから】 駅構内では「車両故障のため運転を見合わせておりましたが・・・」とのアナウンスが流れているが、聴覚障害者は聞き取れないため、スマホをアナウンス専用ボードにかざすと、アナウンス内容がスマホ画面に文字表示される。 【内容説明ここまで】 [図 終わり] 【図 アナウンス専用ボード】 【内容説明ここから】 スマホをかざすためのアナウンス専用ボードイメージ図。スマホ内のICチップによりアプリが起動する他、QRコードを読み取ることでもアプリを起動させることができる。 【内容説明ここまで】 [図 終わり] 【図 駅係員向けアプリ】 【内容説明ここから】 駅係員がアナウンス内容を設定するためのタブレット端末用アプリ画面イメージ。トラブル事由、運転再開見込み時分をプルダウンで簡単に設定可能。 【内容説明ここまで】 [コラム1 終わり] [コラム2 開始] エキマトペ ・駅に流れる定型アナウンスや電車の音といった音情報を文字や手話、オノマトペとして視覚的に表現する装置 ・駅社員によるアナウンスをテキスト変換し、文章の内容に適した感情豊かなフォントで表現 障害当事者からの要望として、「ディスプレイだけでなく、スマートウォッチでも見られるようにすること」「プラットホームだけでなく、電車内にも設置すること」「緊急放送などが文字や手話で表示されること」などが挙げられている。 【図 JR東日本巣鴨駅(令和3年9月)、上野駅(令和4年6月〜12月)における実証実験】 【内容説明ここから】 駅アナウンスが文字化された内容「まもなく1番線に上野・東京方面行きが・・」がほぼリアルタイムに表示されている。 【内容説明ここまで】 [図 終わり] [コラム2 終わり] 【19ページ】 (2)自動券売機(カメラ・モニター付き)(視覚障害者、聴覚障害者向け事例) 概要 ・券売機の利用時(操作方法)等で不明点がある際に、オペレーターを呼び出すと、コールセンターのオペレーターが案内を実施 ・筆談が必要な利用者にはカメラとモニターを活用し筆談で対応 ・視覚障害者からの問い合わせには、受話器を活用して対応 実施条件・課題等 ・駅及び監視卓双方に設置スペースの確保が必要 ・運用面(モニターの見やすさ・故障時対応等)や費用面の課題解消が必要 ・障害当事者は、文字だけでなく、手話オペレーター等による表示なども希望 導入事業者 JR、大手民鉄、地下鉄、中小民鉄 【図 話せる券売機(JR北海道)(省略)】 [図 終わり] 【図 みどりの券売機プラス(JR西日本)(省略)】 [図 終わり] 【20ページ】 【図 オペレーターによる音声案内機能付き券売機(JR九州)(省略)】 [図 終わり] 【図 文字案内付券売機(ゆりかもめ)(省略)】 [図 終わり] 【21ページ】 (3)インターホン(カメラ・モニター・書画台付き)(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・利用者がオペレーターを呼び出し、必要な案内のほか、精算やきっぷの購入のサポートを行うとともに、移動のサポートをする係員等の速やかな手配などを実施 ・カメラによる乗車券類の確認機能、ICカード処理機能、筆談や資料案内ができる双方向の画像表示機能等の搭載も可能 ・応答対応は近隣の係員配置駅が行う場合と、サポートセンターで行う場合とがある ・インターホンへの案内放送を常時(終日)実施することにより、利用者がシステムを利用できるように誘導 ・画面の耳マーク等を押下することにより聴覚に障害があることの意思表示が可能 実施条件・課題等 ・運用面(モニターの見やすさ・故障時対応等)や費用面の課題解消が必要 ・音声専用のタブレットタイプの場合、聴覚障害者への対応不可 ・音声や画像などでの一次対応は可能であるが、駅係員を派遣する必要が生じた際は要員を集めることから時間が必要 ・誘導ブロックや音声等により、インターホンへ案内することが望ましい ・障害当事者は、文字だけでなく、手話オペレーター等による表示なども希望 導入事業者 JR、大手民鉄、地下鉄、中小民鉄 【図 お客様サポートシステム導入例(JR東日本)】 改札窓口では、インターホンによるご案内を行います。 券売機コーナーではインターホンによるご案内とオペレーター操作によるきっぷや定期券の購入サポートを行います。 精算機コーナーでは精算機とインターホン、券面読取台により、自動精算できないきっぷや乗車駅証明書も、オペレーター操作による精算が可能です。また、Suicaの入出場処理、精算も行えます。 介助などのサポートについては、インターホンでご用件を伺い次第、事務室で業務を行っている係員などの手配を速やかに行います。[図 終わり] 【図 書画台付インターホン(東武鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【22ページ】 【図 モニター・カメラ付インターホン(阪急電鉄)】 「よびだしボタン」を点滅させることで、聴覚障害者にも、気づきやすくしている [図 終わり] 【図 カメラ付きインターホン改札口(IC処理機能搭載)(京王電鉄)(省略)】 [図 終わり] [囲み記事 耳マーク・手話マークなど(省略)] 聴覚障害者が、自分の耳が不自由であることを表す耳マークの他、窓口等でヒアリングループを設置していることや手話、筆談での対応が可能であることを示すマークがあります。 【図 耳マーク(省略)】 [図 終わり] 【図 ヒアリングループマーク(省略)】 [図 終わり] [出典:耳マーク、ヒアリングループマークは一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会。出典、終わり] 【図 手話マーク(省略)】 [図 終わり] 【図 筆談マーク(省略)】 [図 終わり] [出典:手話マーク、筆談マークは一般財団法人全日本ろうあ連盟。出典、終わり] [囲み記事 終わり] [コラム3 開始] SoundUDのユニバーサルデザイン化ソリューション 「スマホで利用できるインターホンツール」 ・利用者のスマートフォンがインターホンとなり、駅係員と対話が可能。施設に専用ボードを貼っておけば、専用アプリがなくてもスマートフォンをかざすだけで利用できる。 ・対話内容は文字化され、キーボード入力も可能なため聴覚障害者でも利用できる。専用アプリを使えば、案内音声付近でアプリを立ち上げるだけで利用でき、視覚障害者にも配慮。 ・専用ボードを貼るだけで導入が可能。ボードは低単価で専用機や電源を必要とせず、コストを大幅に削減して導入できる。 【図 視覚障害者の利用イメージ】 【内容説明ここから】 ホーム上では「ここはインターホン対応エリアです。ご用の方は・・・」とのアナウンスが流れており、当該エリアに入ると専用アプリが案内音声に反応し、自動でインターホンに接続し、係員が「何かお困りですか?」などと応答する。 【内容説明ここまで】 [図 終わり] 【図 インターホン専用ボード】 【内容説明ここから】 スマホをかざすためのインターホン専用ボードイメージ図。スマホ内のICチップによりアプリが起動する他、QRコードを読み取ることでもアプリを起動させることができる。 【内容説明ここまで】 [図 終わり] 【図 利用者の対話画面】 【内容説明ここから】 画面上には応答している駅係員と、「何かお困りですか?」「切符をなくしてしまいました」などの応答内容が文字化されている。 【内容説明ここまで】 [図 終わり] [コラム3 終わり] 【23ページ】 (4)遠隔監視システム(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・無人駅を有人駅等から遠隔監視するシステム ・遠隔で駅務機器・放送設備・監視カメラ・インターホン等の操作が可能 実施条件・課題等 ・システム導入、保守・点検、更新等に伴う費用の確保 ・現金による精算の場合は、近接のICチャージ機や精算機を使用するため利用者の移動が必要 導入事業者 JR、大手民鉄、地下鉄、中小民鉄 【図 遠隔操作をする改札口(JR九州)(省略)】 [図 終わり] 【図 遠隔監視システム(西日本鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【図 遠隔監視卓(伊豆箱根鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【24ページ】 [製作者注:このページは空白。注、終わり] 【25ページ】 (5)遠隔監視システムの高度化(視覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・改札口付近に設置したAIカメラで対象者を検知し、駅係員へ通知 ・現時点では、主に有人駅の無人改札口への整備を想定 実施条件・課題等 ・駅係員によるサポートが必要な利用者が比較的多く、改札口を通過したことを同一駅内の駅係員が常時確認できない駅が対象 ・対象の利用者を検知してから、駅係員へ通知するまでに一定の時間が必要 ・傘を白杖と検知したり等、検知の正確性が不十分 ・導入費用の確保 ・検出後の対応方法、体制の整備 導入事業者 相模鉄道、名古屋鉄道(実証実験)、近畿日本鉄道(実証実験) 他 【図 AIカメラによる対象旅客検知(相模鉄道)】 1 システムが対象のお客様を検知すると、 2 AIが画像を解析し、 3 監視員が確認し、通報すると 4 駅係員に通知される 二俣川駅での試行時の画像を示し、車椅子使用者が検知された状況を示している。 [図 終わり] 【図 令和3年2月16日〜28日 二俣川駅での実証実験時の画像(省略)】 [図 終わり] 【26ページ】 【図 検知システム概要(近畿日本鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【27ページ】 (6)音声読み上げ機能を有する駅構内図(視覚障害者向け事例) 概要 ・音声読み上げ機能を有する駅構内図をホームページに掲出 実施条件・課題等 ・構造が複雑な駅については案内方法の検討が必要 導入事業者 JR九州 他 【図 音声読み上げ機能を有する駅構内図(JR九州)】 [製作者注:ここではJR九州鹿児島本線崇城《そうじょう》大学前駅構内図を示しており、図の下に以下の説明文が記載されている。注、終わり] Adobe Acrobatなど、PDF読み上げに対応したアプリケーションを用いてこのファイルを読み上げると、次のように説明される。 「崇城《そうじょう》大学前駅の構内図です。参考情報としてご活用いただき、詳細な位置やのりばは駅でご確認ください。道路を背に9時の方向に券売機があります。改札口は12時の方向にあります。改札口を入ると、1番のりば 熊本方面です。改札口を入って9時の方向に跨線橋の階段があります。跨線橋を渡ると、2番のりば 大牟田方面です。」 [図 終わり] 【28ページ】 (7)お問い合わせAIチャットボット(聴覚障害者向け事例) 概要 ・利用者からのチャットでの質問に対し、AIが自動応答 ・自動応答できなかった質問にはオペレーターが有人チャットで回答 ※自動応答対象:運賃、列車の運転時刻、駅設備、割引切符等 実施条件・課題等 ・利用実績を向上させるためにはAI学習の深度化が不可欠 導入事業者 JR九州 【図 お問い合わせAIチャットボット(JR九州)】 事業者ホームページの専用ページにアクセスすると、AIが対応する様子が示されている。 [図 終わり] [コラム4 開始] アイコサポート ・(株)プライムアシスタンスが視覚障害者向けに提供しているサービス ・視覚障害者が持つスマートフォンアプリと遠隔のオペレーターを繋ぎ、視覚情報を案内するもの ・現時点では、安全性確保、電波や騒音による案内の継続性の観点などの課題はあるが、実証実験等を通じて、鉄道利用との親和性の確認や課題などが整理されれば、鉄道へのサービス導入が進む可能性 ・導入当初は、有人駅でのサービスが想定されるが、課題整理ができれば将来的には無人駅へのサービス導入が広がる可能性 【図 アイコサポートのイメージ(省略)】 【図 東武鉄道東上線の一部駅において実証実験(令和4年6月〜令和5年1月の間に複数回実施)】 [図 終わり] [コラム4 終わり] 【29ページ】 (8)筆談器・筆談アプリ(聴覚障害者向け事例) 概要 ・電車内運転台に「筆談器」を設置 ・タブレット端末に筆談アプリをインストールし、筆談によるコミュニケーションを実現(駅改札口) 実施条件・課題等 ・ワンマン運行・無人駅が多い路線においては全て運転士が対応しなければならないため、サービスレベルの向上が必要不可欠 導入事業者 京成電鉄、アルピコ交通 他 【図 筆談器を搭載した車両(アルピコ交通)(省略)】 [図 終わり] 【図 筆談アプリをインストールしたタブレット端末(京成電鉄)】 手書きで書いた「成田空港は何番線ですか?」という文字が、お客さまと係員双方から見やすいよう、タブレット上に表示されている。 [図 終わり] 【30ページ】 (9)ホームページへの駅・バリアフリー情報掲出(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・無人駅を含む駅のバリアフリー情報をホームページに掲出 ・駅構内のバリアフリー移動経路、ホームと車両床面の段差・隙間及び車椅子対応トイレ等に関する情報を集約 ・駅係員の介助が必要な利用者に係員不在時間をホームページで告知 ・ホームページに各駅バリアフリー設備一覧、各駅利用にあたっての留意事項を記載 実施条件・課題等 ・ホームと駅出入口との間の段差が解消されているかどうか等、現場の確認 ・ウェブ上での閲覧に限定される ・情報の維持管理及び更新 導入事業者 JR、大手民鉄、地下鉄、中小民鉄 【図 スムーズメトロ(東京メトロ)(省略)】 [図 終わり] 【図 係員不在時間の告知(京阪電鉄)(省略)】 [図 終わり] 【31ページ】 (10)問い合わせ窓口の整備(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・専用サポートダイヤルを設置し電話やメール、FAXでの問い合わせをコールセンターで受付 ・無人駅から乗車する際の電話連絡先を明示するため、案内ステッカーを掲出 ・駅係員の介助が必要な利用者に名刺サイズの連絡先を事前にお渡し 実施条件・課題等 ・専用回線の設置 ・業務知識や経験豊富なオペレーターの育成が必要 ・点字や音声などを使用することで視覚障害者を問い合わせ窓口へ案内することが可能 ・聴覚障害者の問い合わせに対応できるよう、メールアドレスを表示することや二次元コードから問い合わせフォームに接続できるようなシステムを構築することが望ましい 導入事業者 JR、大手民鉄、地下鉄、中小民鉄 【図 無人駅掲出用ステッカー(JR東海)(省略)】 [図 終わり] 【図 連絡先カード(京阪電鉄)(省略)】 [図 終わり] 【32ページ】 [製作者注:このページは空白。注、終わり] 【33ページ】 5-1-2.異常時における適切な情報提供 (1)運行情報ディスプレイ(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・異常時の運行情報をディスプレイやLEDスクロール表示により情報提供 ・視覚的にわかりやすいよう、運行状況を列車のイラストで表示 実施条件・課題等 ・必要な情報のタイムリーな提供 ・導入費用の確保 ・弱視(ロービジョン)者に配慮したモニター位置・高さや配色にすることや、音声のないモニター機器の場合は別の音声装置で案内することにより、視覚障害者への情報提供が可能 導入事業者 JR、大手民鉄、地下鉄、中小民鉄 【図 多言語お客様案内システム(JR北海道)(省略)】 [図 終わり] 【図 情報ディスプレイ(JR西日本)(省略)】 [図 終わり] 【34ページ】 【図 運行情報等表示装置(JR四国)(省略)】 [図 終わり] 【図 情報配信ディスプレイ(近畿日本鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【35ページ】 (2)案内放送(視覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・案内放送装置を設置 ・列車に遅れや運休が発生した場合、駅係員のいる駅等から無人駅等へ案内を放送 実施条件・課題等 ・設置費用の確保 導入事業者 JR東日本、JR九州、京成電鉄 他 【図 案内放送装置(JR九州)(省略)】 [図 終わり] (3)SNSによる情報発信(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・公式Twitterにて、タイムリーに地区別の運行情報を投稿 ・列車の遅れや運転見合わせが見込まれる場合に情報提供 実施条件・課題等 ・実際の運行との間のタイムラグの発生 導入事業者 JR、大手民鉄、地下鉄、中小民鉄 【図 公式Twitterからの情報発信(JR九州)(省略)】 [図 終わり] 【36ページ】 (4)二次元コードによる運行情報への誘導(聴覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・運行情報提供サイトに誘導する二次元コードを駅頭、車両ドア付近等に掲出 実施条件・課題等 ・利用者により入手したい情報が異なるため、網羅的な情報提供が必要 ・スマートフォンの活用が前提 ・色や触覚的なデザイン、音声等を工夫することにより二次元コードへ誘導することで、視覚障害者への情報提供が可能 導入事業者 JR、大手民鉄、地下鉄、中小民鉄 【図 二次元コードの駅頭掲出(京成電鉄)(省略)】 [図 終わり] 【図 二次元コードを記載したポスター(東武鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【図 二次元コードの車内掲出(西武鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【図 二次元コードの車内掲出(西日本鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【37ページ】 5-1-3.介助の申込み等にかかる事前連絡 (1)乗降介助申込用ウェブサイト(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・利用者が事前に駅係員による乗降の介助を申し込みできるウェブ窓口を開設 ・利用者に事前に予約してもらうことで待ち時間を極力少なくすることを目指し実施 実施条件・課題等 ・聴覚障害者の申込みに対応できるよう、メールアドレスを表示することや二次元コードから問い合わせフォームに接続できるようなシステムを構築することが望ましい 導入事業者 JR九州、東急電鉄、伊豆箱根鉄道 他 【図 バリアフリー応対予約サービス案内(東急電鉄)(省略)】 [図 終わり] 【図 介助申込ウェブサイトイメージ(JR九州)(省略)】 [図 終わり] 【38ページ】 (2)専用アプリを活用した利用者情報の共有(視覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・駅係員等が乗車駅で入力した乗車列車や乗車位置をはじめとした案内情報を降車駅に共有・連携できるアプリ ・アプリの導入により利用者の乗車列車や二次元コードを使用した乗車位置等の案内情報を降車駅にリアルタイムで共有・連携することで、時間の短縮及び確実な案内が実現 ・現時点では、主に有人駅で使用 実施条件・課題等 ・無人駅での使用には、乗務員にアプリを携帯させるか、他の駅からの要員手配が必要 導入事業者 小田急電鉄、東急電鉄、東京メトロ 他 【図 駅係員用アプリ(東急電鉄)(省略)】 [図 終わり] 【図 駅係員用アプリ画面(小田急電鉄)(省略)】 [図 終わり] 【39ページ】 5-2.無人駅における利用者利便の向上 5-2-1.乗務員による乗降介助の実施 乗務員による乗降介助(視覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・乗務員による携帯スロープを用いた乗降介助を実施 ・ホームと車両の段差が大きい駅では、専用スロープを使った介助も実施 実施条件・課題等 ・対応可能な駅は事業者や駅によって異なるが、概ねホームと駅出入口との段差が解消されていること、列車遅延の影響が限定的であることなどが条件 ・乗務員による乗降介助にかかる時間は、車両数や駅等の条件によって異なるが数分程度 ・介助に備え、車両に携帯スロープを常備することが必要 ・対応可能な場合はアテンダントが乗務して介助を実施 導入事業者 JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州、東急電鉄、西日本鉄道、弘南鉄道、青い森鉄道、福島交通、伊豆箱根鉄道、湘南モノレール、アルピコ交通、大井川鉄道、えちぜん鉄道、京福電鉄、和歌山電鐵、岡山電気軌道、広島電鉄、伊予鉄道、熊本電鉄 他 【図 乗降介助訓練(JR東日本)(省略)】 [図 終わり] 【図 乗降介助訓練(JR九州)(省略)】 [図 終わり] 【図 乗降介助訓練(湘南モノレール)(省略)】 [図 終わり] 【図 車内備え付け携帯スロープ(弘南鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【図 携帯スロープ設置状況(アルピコ交通)(省略)】 [図 終わり] 【図 乗降介助(えちぜん鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【40ページ】 【図 車載用スロープ(京福電鉄)(省略)】 [図 終わり] 【図 乗務員による乗降介助(熊本電鉄)(省略)】 [図 終わり] 【図 車載用スロープ及び乗降介助(伊予鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【図 乗降介助(広島電鉄)(省略)】 [図 終わり] [コラム5 開始] 利用者家族等による乗降介助(JR北海道の事例) ・利用者の家族等に介助に関する安全教育を行い、併せて無人駅にスロープと収納箱を設置し、家族等だけで乗降介助ができる環境を整備 ・令和3年2月、高校進学にあたり無人駅から車椅子を利用して列車で通学したいと相談を受け、持続的に対応可能な仕組みとすべく、家族とJR北海道でお互いに「できること」のアイデアを出し合いながら話しあいを重ね、実現(令和3年4月より開始、令和4年6月時点も実施中) ・目的地の駅の乗降介助を継続して協力が得られる社外の事業者・団体を探す必要 ・緊急時の連絡体制・対応、積雪時のホーム等の除雪および雪上でのスロープ設置が課題 【図 通学開始前の安全教育・介助訓練】 自宅の最寄り駅(無人)、学校の最寄り駅(有人)それぞれにおいて、通学開始前に介助に関わるご家族等へ、スロープの扱い方の他、万が一の列車停止手配の方法について教育・訓練を実施。 ・介助時の負担を軽減するために 自宅の最寄り駅(無人)のホームと列車の段差が約60pあることから、傾斜緩和のため、通常より長めのスロープを設置。 また、スロープ収納箱(ダイヤル式鍵付)をホーム上に設置することで、介助の負担軽減を図った。 (参考)他の駅でも、過去に大学や社会福祉法人の職員と協力して介助を実施 [図 終わり] [コラム5 終わり] 【41ページ】 5-2-2.ハード整備による対応 (1)バリアフリートイレ、スロープ等の整備(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・ホームドア、バリアフリートイレ、ホームへのスロープ等の整備 ・ホームと車両の段差・隙間解消文字表示及び音声による列車接近表示器をホームに設置 実施条件・課題等 ・スロープ設置には用地確保が必要 ・ホームと車両の段差解消は、障害当事者はドア付近だけではなく、ホーム全体の嵩上げを希望 導入事業者 JR、大手民鉄、地下鉄、中小民鉄 【図 ホームと車両の段差隙間解消(Osaka Metro)(省略)】 [図 終わり] 【図 駅ホームへのスロープ・誘導ブロック設置(京福電鉄)(省略)】 [図 終わり] 【図 無人駅でのバリアフリートイレ整備(伊予鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【図 旅客用構内通路の設置(JR九州)】 駅本屋(えきほんおく)からホームまでの間に構内踏切が設置された駅の全景写真。踏切からホームまでの間はスロープ化されており、車椅子での利用も考慮されている。 [図 終わり] 【図 駅ホームへのスロープ設置(アルピコ交通)(省略)】 [図 終わり] 【42ページ】 5-2-2.ハード整備による対応 (2)ホームドアの整備(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・ホームドアの整備 ・現時点では主に都市部の有人駅を優先的に整備 実施条件・課題等 ・補強工事やかさ上げなどのホーム整備が必要 ・多額の整備費用の確保 導入事業者 JR、大手民鉄、地下鉄、中小民鉄 【図 ホームドア(JR西日本)(省略)】 [図 終わり] 【図 昇降ロープ式ホームドア(近畿日本鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【43ページ】 5-2-3.声かけ・見守りの環境整備 声かけ・サポート運動(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・平成23年から開始し、配慮が必要な利用者等に対して、社員だけではなく、周囲の利用者にも助け合いの声かけに協力を呼びかける通年の取組みを実施 ・すべての利用者が安全、安心して利用できるよう、キャンペーン等を通じて周知を継続 実施条件・課題等 ・声かけやサポートを必要としていない利用者への声かけに関する意見あり ・新型コロナウイルス感染症の影響により、声かけを躊躇するという状況が発生 実施事業者等 交通事業者83社局、障害者団体を含む7団体(令和3年度) 【図 声かけ・サポート運動キャンペーンポスター等(省略)】 [図 終わり] 【44ページ】 [コラム6 開始] ヘルプマーク ・義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、東京都が平成24年に作成したマーク 【図 ヘルプマーク(省略)】 [図 終わり] 【図 ヘルプマークを知っていますか?ポスター】 ヘルプマークを知っていますか? 援助が必要な方のためのマークです。 外見からは分からなくても援助が必要な方がいます。 このマークを見かけたら、電車内で席をゆずる、困っているようであれば声をかける等、思いやりのある行動をお願いします。 [図 終わり] [出典 以上、ヘルプマーク及びヘルプマークを知っていますか?ポスターの出典は、東京都ホームページ 出典 終わり] [コラム5 終わり] 【45ページ】 5-3.地域等との連携 駅業務の外部委託、外部パートナーとの共創(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 〜代表的な事例〜 郵便局における駅窓口乗車券類販売業務の委託:JR東日本内房線江見駅 ・江見駅において、郵便局における駅窓口業務(乗車券類の販売業務および精算業務など)の一体的な運営を実施 ・江見駅・江見郵便局ともに建物が老朽化しており、移転などを検討していたところ、両者の条件が一致したことから駅及び郵便局の一体運営が決定 ・今後も地域住民等にとって、駅が便利な場所であるために、地域の特性に合わせた連携や活性化を検討 自治体への委託(切符販売・介助対応):JR四国牟岐線由岐駅、JR九州日豊本線門川駅 ・簡易委託契約により自治体が切符販売実施 ・駅舎内に地元物産館等を併設し賑わいを創出(JR四国牟岐線由岐駅) ・自治体と協議を行い、自治体職員に介助に関する教育を行った上で、介助対応を含めて業務委託(JR九州日豊本線門川駅) 改札業務の民間委託:近畿日本鉄道鈴鹿線鈴鹿市駅 ・駅に隣接するコンビニエンスストアに改札業務を委託 実施条件・課題等 郵便局における駅窓口乗車券類販売業務の委託 ・地域と連携して駅の賑わいを創っていく上で、無人駅を活用して、ビジネスやおもてなしなどを担ってくれるパートナー探しに課題 自治体による切符販売 ・地元自治体等の協力 ・併設施設の整備 ・介助対応を行う自治体職員への継続的な教育の実施と有事の際の責任所在 実施事業者 JR、大手民鉄、地下鉄、中小民鉄 【図 郵便局における駅窓口乗車券類販売業務の委託(JR東日本)(省略)】 [図 終わり] 【46ページ】 【図 自治体による切符販売と賑わい施設の併設(JR四国)(省略)】 [図 終わり] 【図 町の複合施設と合築した駅舎(JR北海道:栗山駅) (省略)】 [図 終わり] 【図 図書館を併設した駅(JR東海:佐久間駅)(省略)】 [図 終わり] 【図 店員に駅改札業務の一部を委託した駅(近畿日本鉄道:鈴鹿市駅)(省略)】 [図 終わり] 【図 レストランを併設した駅(明知鉄道:山岡駅)(省略)】 [図 終わり] 【図 介助対応を委託した自治体との勉強会(JR九州:門川駅) (省略)】 [図 終わり] 【47ページ】 [コラム7 開始] 駅の有効活用(JR九州の事例) ・JR九州の駅、路線を活用し、JR九州との協働の賑わい創りをしていただく“にぎわいパートナー”を募集 ・対象は九州内に事業所等がある企業を中心 ・令和3年9月に事務局立ち上げ、令和4年4月公募開始 ・駅舎改修の工事費負担・賃料設定、事業継続性に課題 【図 九州ドリームステーションのロゴ(省略)】 [図 終わり] 既に実施している駅舎活用事例 筑豊本線(若松線)二島駅(福岡県北九州市若松区):株式会社北山商店様 二島グルメ「ぽっぽ亭」 平成30年に実施した「若松線(筑豊本線)二島駅活用者 募集企画」にて最優秀賞を受賞し、スタートした事業。北九州市若松区内の商店と連携した若松ならではの商品販売、若松特産のトマトやキャベツ、お弁当やお惣菜を二島駅構内で販売。 【図 二島駅構内風景(省略)】 [図 終わり] 久大本線 日田駅(大分県日田市):株式会社ENTO様 「STAY+CAFE ENTO」 久大本線日田駅の2階に「まちの交流拠点」として「ゲストハウス」、「カフェ&バー」、 「コワーキングスペース」を整備。 【図 日田駅構内風景(省略)】 [図 終わり] [コラム6 終わり] 【48ページ】 [製作者注:このページは空白。注、終わり] 【49ページ】 5-4.駅等を活用した体験会の実施 (1)障害当事者参加による体験会・訓練会(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・視覚障害者が線路に転落して死亡する事故が相次いだことを受け、実際に線路や車両に触れ、ホームから落ちた場合の対処法を身に付けてもらう体験会を開催 ・障害者団体からの要望や事業者側からの提案により、券売機の操作説明と体験、列車乗降体験、駅設備体験(ベンチ・お手洗い等)、意見交換等を実施 ・模擬ホームなどを活用し、盲学校の生徒等がホーム上やホーム下にある構造物や位置関係を体感し、駅設備の仕組みを学ぶほか、視覚障害者向けの支援ツールを体験 実施条件・課題等 ・安全確保のため、線路見張り員が必要 ・盲学校の生徒を対象とする場合は、触車事故・転落事故に特に注意が必要 ・施設や職員の対応環境 実施事業者 JR北海道、JR東日本、JR西日本、JR九州、東京メトロ、青い森鉄道、熊本電鉄 他 【図 話せる券売機体験会(JR北海道)(省略)】 [図 終わり] 【図 ホーム下の見学(JR東日本)(省略)】 [図 終わり] 【図 鉄道施設に触れた学習(東京メトロ)(省略)】 [図 終わり] 【50ページ】 【図 障害当事者による駅等利用体験(JR西日本)(省略)】 [図 終わり] 【図 障害当事者による駅利用体験(JR九州)(省略)】 [図 終わり] 【51ページ】 (2)障害当事者を講師とする講習会(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・視覚障害者・盲導犬セミナー、研修会を開催 ・視覚障害者の介助訓練を実施 ・聴覚障害者関係の勉強、当事者を招いての手話教室・聴覚障害者の社員による情報展開を実施 ・列車をホームに在線させて、実際に改札口〜列車までの駅務員、列車乗務員の介助訓練を実施 実施条件・課題等 ・参加社員が限定される 実施事業者 JR東日本、京成電鉄、小田急電鉄、えちぜん鉄道 他 【図 盲導犬育成団体による研修会(京成電鉄)(省略)】 [図 終わり] 【図 視覚障害者介助訓練(えちぜん鉄道)(省略)】 [図 終わり] 【図 視覚障害者・盲導犬セミナー(小田急電鉄)(省略)】 [図 終わり] 【図 聴覚障害者を講師とする講習会(京成電鉄)(省略)】 [図 終わり] 【図 オンラインや対面による手話教室(交通エコモ財団)(省略)】 [図 終わり] 【52ページ】 (3)バリアフリー教室(視覚障害者、聴覚障害者、車椅子使用者向け事例) 概要 ・「こころのバリアフリー」を推進するため、車椅子使用者の介助や視覚障害者の誘導、聴覚障害などの見えない障害について、方法や対応を学習 ・学校、地方公共団体、障害者団体、鉄道事業者、国等、多様な主体が連携し、各地で開催 ・令和3年度開催実績(鉄道関係):JR北海道函館駅、JR四国高松駅 等  【図 バリアフリー教室(JR北海道:函館駅、釧路駅)(省略)】 [図 終わり] 【図 バリアフリー教室(JR北海道:オンライン)(省略)】 [図 終わり] 【図 バリアフリー教室(JR四国:高松駅)(省略)】 [図 終わり]