新技術等を活用した駅ホームにおける 視覚障害者の安全対策検討会 (第12回) 令和5年6月20日(火)16:00~18:00  中央合同庁舎3号館6階 鉄道局大会議室 (※ウェブ会議) 議 事 次 第 1.開 会 2.議 事 (1) 転落原因調査のための相談窓口設置等について (2) 転落防止対策について (3) 鉄道における歩行訓練の実施について 3.閉 会 新技術等を活用した駅ホームにおける 視覚障害者の安全対策検討会(第12回) 【障害者団体・支援団体】  日本視覚障害者団体連合 組織部長         三宅  隆 日本弱視者ネットワーク 幹事(筑波大学附属視覚特別支援学校 教諭) 宇野 和博 東京都盲人福祉協会 副会長             高橋 博行 埼玉県網膜色素変性症協会 相談役         田村彰之助 日本歩行訓練士会 事務局長/日本ライトハウス 養成部 部長代理 堀内 恭子  日本盲導犬協会 顧問               吉川  明 【学識経験者】 成蹊大学 名誉教授/大原記念労働科学研究所 特別研究員 大倉 元宏 慶應義塾大学 経済学部 教授            中野 泰志  鉄道総合技術研究所 人間科学研究部 主任研究員   大野 央人 【鉄道事業者】  JR東日本 執行役員 安全企画部長         大森 健史 (代理出席:鉄道事業本部 安全企画部門 ユニットリーダー 佐々木政人) JR西日本 鉄道本部 駅業務部長          水田 雅博 東京メトロ 経営企画本部 企業価値創造部長     青木 洋二※1) 小田急電鉄 取締役常務執行役員 交通サービス事業本部長   立山 昭憲 (代理出席:交通サービス事業本部 安全・技術部 課長 吉久 治朗) 近畿日本鉄道 執行役員 鉄道本部 企画統括部 副統括部長 深井 滋雄 阪神電気鉄道 都市交通事業本部 都市交通計画部(安全担当) 部長 増味 康彰 【国土交通省】  大臣官房 技術審議官(鉄道)            奥田  薫  総合政策局 バリアフリー政策課長          田中 賢二※1) (代理出席:総合政策局 バリアフリー政策課 交通バリアフリー政策室長 浜田 義和) 鉄道局 鉄道サービス政策室長           土田 宏道※1) 鉄道局 都市鉄道政策課長              角野 浩之※1) (代理出席:都市鉄道政策課 駅機能高度化推進室長 二瓶 朋史) 鉄道局 技術企画課長                箕作 幸治※1) 鉄道局 安全監理官                 黒川 和浩※1) 【厚生労働省(オブザーバー)】  社会・援護局 障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室長 川部 勝一 (代理出席:障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室長補佐 照井 直樹 障害保健福祉部 障害福祉課 障害福祉専門官 周藤 方史) (事務局 鉄道局技術企画課) ※1)新任委員 ※2)委員以外のJR・大手民鉄・公営地下鉄等事業者の傍聴を認めております。 資料1 P1 視覚障害者 転落事故及び転落事案に関する相談窓口 ・視覚障害者の駅ホームからの転落原因の調査及び究明に資することを目的とし、相談窓口を設置し、情報を収集し、整理する。 ・視覚障害者の駅ホームからの転落が直近の10年間(平成25年度~令和4年度)で年間61.9件発生し、また、接触事故は年間2.1件発生した。 【相談窓口の概要】  ○相談対象   転落事故、転落事案  ○開設時間   平日10:00~16:00  ○相談対象者   転落当事者、関係者、目撃者など  ○対応方法   電話、メール、問合せフォーム、面談  ○1件あたりの相談時間   30分程度  ○相談の流れ   ・まずは相談者の話を伺う   ・最後に転落事故・事案の調査を紹介する 【調査協力が得られた場合】  鉄道局、日視連にてヒアリング調査を実施 ※各団体や協会等を通じて、ヒアリングを実施する予定を周知する(例:毎週火・木曜日 など) P2 JR九州 日豊線 津久見駅における鉄道人身障害事故の概要報告 1.事 業 者 九州旅客鉄道株式会社  2.事故等種類 鉄道人身障害事故 3.発 生 日 時 令和4年12月15日(木) 17時49分頃 天候:曇 4.場    所 日豊線 津久見駅(大分県津久見市) 5.列   車 大分駅発 宮崎空港駅行 下り特急列車 第5013M列車         にちりん13号(4両編成、ワンマン) 6.死 傷 者 死亡1名(公衆82才女性) 7.原   因 警察が現在調査中 8.概   要   当該列車は津久見駅を通過中、線路上にいた公衆に気付き制動操作を行ったが間に合わずに衝突した。 9.付   記  ・当該公衆はホーム端のフェンスの端から奥に移動し何らかの原因により線路に転落し、列車と衝突したと考えられる。  ・当該公衆は障害者手帳あり  ・障害の種類:加齢黄斑変性症による視覚障害(1級)  ・当該公衆は同日に、宮崎駅から鉄道を利用し、17時26分頃に当該駅に到着したものと思われる  ・ホームドア、ホーム柵なし  ・点字ブロックあり(内方線付き点字ブロックは1・2番線とも乗降口の40mに敷設)  ・当該公衆は白杖を所持していない  ・当該駅は7:30~11:10/11:50~15:00の間のみ駅員がいる 10. 当該公衆の移動経路は以下の通り ①16時58分頃、津久見駅に降車 ②17時07分頃、切符を切符集札箱に入れ改札を出場 ③17時17分頃、再入場 ④ホーム端のフェンスの端から奥に移動し何らかの原因により線路に転落 ⑤17時49分頃、列車と衝突 資料2 議事2.転落防止対策について P1  転落防止対策の全体像の再整理 検討会の目的(第1回資料抜粋) ○転落事故を防ぐためにはホームドアの整備が有効であるが、整備に多くの時間や費用を要することや、構造等の要因で整備が困難なホームもあることから、ホームドアに依らない転落防止対策が喫緊の課題となっている。 ○このため、ホームドアの設置を引き続き推進するとともに、ホームドアが整備されていない駅ホームにおいて、ITやセンシング技術等を積極的に活用し、駅係員のみならず鉄道利用者による協力も視野に入れて、視覚障害者の方々に駅ホームを安全に利用いただくための対策についての検討を行う。 ホームドア整備目標(令和7年度まで) 1日当たりの平均利用者数が10万人以上の駅で800番線、鉄軌道駅全体で3,000番線の整備を目標。  (※令和3年度末時点で、1日当たりの平均利用者数が10万人以上の駅で406/911番線、鉄軌道駅全体で2,337/19,842番線整備完了) 中間とりまとめにおける継続検討課題 ○短軸方向歩行時における転落防止策 ○以下、3点の新技術の実証実験の継続や関係者への情報共有   ・駅係員等による円滑な介助を行う対策(改札付近AIカメラ、スマホアプリ)   ・ホーム端に接近している視覚障害者を検知して注意 喚起する方法   ・万が一、転落しても接触事故に至らせない対策 ○長軸方向の安全な歩行経路を示す適切な方法 以上、技術的対策 ○実際のホームや車両を用いた歩行訓練の実施に向けた具体的な仕組みづくり ○車両内のモニター表示や駅のポスター掲示等の具体的な方法や内容 ○転落原因究明のための具体的な調査実施体制 等 P2 転落防止対策の全体像の再整理 観点 ホームからの転落を防止する 線路転落を物理的に防止 対策 ホームドアの整備(鉄道事業者の取組み等) これまでの検討概要等 目標:令和7年度までに3000番線を整備(令和3年度末時点整備率2,337番線) 観点 ホームからの転落を防止する ホーム端への接近を注意喚起 対策 ホーム端接近時に注意喚起(本検討会で議論している技術的対策) これまでの検討概要等 ホームAIカメラの実証試験について情報共有 対策 内方線付き点状ブロック(JIS適合)(鉄道事業者の取組み等) これまでの検討概要等 目標:令和7年度末までに原則100%整備(令和3年度末時点整備率81.2%) 対策 ホーム縁端の視認性向上(鉄道事業者の取組み等) これまでの検討概要等 駅ホーム縁端部における視認性向上策導入検討の手引き (平成30年6月作成) 観点 ホームからの転落を防止する 視覚障害者の案内・誘導・訓練 対策 駅員等による案内・支援(本検討会で議論している技術的対策) これまでの検討概要等 改札付近AIカメラ、スマホアプリによる介助支援技術について情報共有 対策 歩行訓練の実施(本検討会で議論している技術以外の対策) これまでの検討概要等 イベント的な歩行訓練の実施 歩行訓練の実施体制について検討 対策 誘導ブロックによる適切な案内(本検討会で議論している技術的対策) これまでの検討概要等 ホーム中央誘導ブロック、内方線内側活用案について検討 対策 階段音響案内装置の整備(鉄道事業者の取組み等) これまでの検討概要等 バリアフリーガイドラインの標準的な整備内容として位置付け 対策 声かけサポート運動等の実施(本検討会で議論している技術以外の対策) これまでの検討概要等 車両内のモニター表示や駅のポスター掲示等の具体的な方法や内容の検討 観点 転落を検知し、列車を停止する 対策 転落検知通報システム(本検討会で議論している技術的対策) これまでの検討概要等 新たな転落検知通報システムに関する情報共有 対策 列車非常停止ボタン・転落検知マット(鉄道事業者の取組み等) これまでの検討概要等 列車の運行速度が概ね60km/hを超える線区で、かつ、1時間あたり概ね12本以上の通過又は停止する列車があるプラットホームについて整備済 P3 ホーム中央線状ブロックの実証に関する論点整理 ✔ホーム中央線状ブロックを含む長軸方向の安全な歩行経路を示す方法については、過去の検討会における「利便性は向上するかもしれないが、安全対策にはならない」、「まずは利便性ではなく安全対策について議論をするのが適切」といった意見を踏まえ、「安全性」に着目して、論点を整理した。 ✔以下の1~3に示す、安全性や実証に関する意見を踏まえ、実証の実施の有無や妥当な実証方法についてご議論いただきたい。 1.ホーム中央線状ブロック整備による安全性に関する意見 (1)安全性が向上するとの意見  (「ホーム端部を歩行する方」、「ホーム中央付近を歩行する方」がいる中、)  ・ホーム端部の近くを歩行するよりも、ホーム中央部を歩いた方が接触等による転落防止が可能。  ・ホーム中央を歩行する際、ホーム中央線状ブロックがある方が、定位を失う可能性が減少。   (2)リスクが増加するとの意見  ・長軸方向の歩行経路を整備することにより、長軸歩行の機会が増加する可能性がある。  ・障害物等を迂回する際に、定位を喪失する可能性がある。  ・線状ブロックが増えることで、線状ブロックと点状ブロックを誤認するリスクが増加する可能性がある。(特に線状・点状が近接しているケース)  ・未設置駅と設置駅が混在することにより、内方線付き点状ブロックをホーム中央線状ブロックと誤認する可能性がある。  ・ホーム中央線上ブロックがある場合、乗車するときに短軸移動は避けられず、内方線付き点状ブロックと比べると、短軸方向への歩行距離が長くなってしまうので、焦りや勘違いにつながる可能性がある。  ・ホーム中央部は、一般旅客が多く歩いているため、一般旅客と接触するリスクが増加する可能性がある。 P4 2.実証試験の実施に関する意見  ・早く実証試験をして、多くの視覚障害者の意見を聞くべき。  ・中央線状ブロックと新技術と組み合わせるという案が出され、新技術に関しては時期尚早だという評価があった中、中央線状ブロックだけの実証試験は必要ない。  ・実証試験が実施されることになれば、中央ブロックを辿れば安全であるというメッセージを送ることになるため、問題がないかしっかりと確認することが必要。 3.仮に実証試験を実施する場合の実施方法に関する意見  (1)実証試験における懸念点  ・結果を検証する上で適切なサンプリングが可能か  ・ホーム歩行の回数に対して、ホーム転落の発生率が低い中、どのように実証するか   ・主な転落原因である「疲れや焦り等」などの被験者の状態は再現が難しい  ・整備している駅と整備していない駅が混在してしまう状況をどのように実証するか  ・様々な駅構造、状況がある中で、適切な実験フィールドが模擬できるか   (周囲を歩く人間の数、駅構内の案内放送の有無、列車走行の有無等)  (2)懸念点に対する意見  ・サンプリングについては、普段通勤等で電車を単独利用している人の参加が必須である。参加者の障害程度や鉄道の利用状況等はアンケートで確認しておけばよいのではないか。 ・転落までいく事象は少ないかもしれないがヒヤリハット件数を比較することはできるのではないか。 ・「疲れや焦り等」が強く影響するのは、乗車場面であり、中央線状ブロックとは直接関係しないように思われる。疲れ等による転倒等が発生した場合も中央付近であれば安全ではないか。  ・これまでも点状ブロック、内方線付き点状ブロック等混在しながらも整備を進めてきている。 1~3の意見を踏まえ、実証の実施有無や妥当な実証方法についてご議論いただきたい。 P5 鉄道事業者の取組みに関する調査 鉄道事業者の転落防止対策の取組み(令和3年度末時点)の進捗状況(一部)は以下のとおり。 鉄道事業者の各取組みの進捗状況 ①ホームドア、可動式ホーム柵、点状ブロック、内方線付き点状ブロックのいずれかが整備されており、加えて線路側以外の端部の転落防止柵が整備されている駅  利用者数3千人以上の駅における整備駅数(整備率)3,266駅(99.0%) ②ホームドア、可動式ホーム柵、内方線付き点状ブロック(JIS適合に限る)のいずれかが整備されており、加えて線路側以外の端部の転落防止柵が整備されている駅  利用者数3千人以上の駅における整備駅数(整備率)2,703駅(82.0%) ③ホーム上の階段の位置を示す音響案内装置が整備されている駅  利用者数3千人以上の駅における整備駅数(整備率)2,072駅(62.8%) ※利用者数3千人以上の駅数は3,298駅。 ※利用者数3千人以上並びに一日当たりの平均的な利用者数が2千人以上3千人未満であって重点整備地区内の生活関連施設である駅における整備率は81.2%(=2,718駅/3,348駅) 【各取組みに関する方針】 ①令和2年度末までに、利用者数3千人以上において、原則100%整備。 ②令和7年度末までに、利用者数3千人以上並びに利用者数が2千人以上3千人未満であって重点整備地区内の生活関連施設である駅は、原則100%整備。 ③バリアフリー整備ガイドラインにおいて、社会的な変化や利用者の要請に合わせた整備内容のうち標準的な整備内容で、積極的な整備を行うことが求められるもの。 ⇒各取組みの安全対策としての効果を議論した上で、効果的な対策については、その進捗を調査し必要に応じて今後の方針について検討を行う。 P6 今後の検討の方向性案 (1)新技術について ○今後、各事業者、各メーカーにより開発される新技術が、より有効なものとなるよう、これまでの議論を踏まえ、新技術に求められる要件について整理する。 ○その上で、新技術の開発状況を共有し、関係者との意見交換、実証実験の実施等を進め、安全対策として有効と考えられる新技術の早期導入に取り組む。 (2)長軸方向の安全な歩行経路を示す方法の検証について ○本日の議論を踏まえ、引き続き検討を行う。 (3)鉄道事業者の取組みについて ○各取組みの安全対策としての効果を議論した上で、効果的な対策については、その進捗を調査し必要に応じて今後の方針について検討を行う。 P7 新技術に求められる要件の整理(素案) 1.事業者が導入する場合の要件 ○安全性に関する要件 ・障害の程度等を問わず、全ての視覚障害者に対応可能であることが望ましい。 ・駅ごとに新技術の有無が混在することによって、安全性が低下しないこと。 ・注意喚起等の情報発信が即時的になされること。また、その情報が視覚障害者本人や駅係員へ確実に伝わり、認識されること。 ・駅係員等が操作する場合、ヒューマンエラーを誘発することがないこと。また、フェールセーフの措置がとられていること。 ○その他 ・コスト及び人的リソース等の面で、ホームドアの整備を妨げることがないこと。 ・視覚障害者に対し、新たなルールを周知する必要がないなど、現行と変わらない鉄道利用ができること。 ・駅係員の増員や、過度な追加設備の導入など、鉄道事業者の負担の増加を前提としたものでないこと。 ・視覚障害者は、一概に容姿だけでは判断できないこと、障害の程度も様々であることを考慮していること。 ・無人駅でも対応可能であることが望ましい。 2.当事者が導入する場合の要件 ○安全性に関する要件 ・注意喚起等の情報発信が即時的になされること。また、その情報が視覚障害者本人へ確実に伝わり、認識されること。 ・視覚障害者等が操作する場合、ヒューマンエラーを誘発することがないこと。また、フェールセーフの措置がとられていること。 ・操作が複雑であったり、音声による情報が多すぎること等により、歩行中の視覚障害者の注意が散漫にならないこと(二重課題の防止)。 ○その他 ・視覚障害者に過度な金銭的負担を強いるものでないこと。 ・駅ホームの形状や、階段・エスカレーター・エレベーター、柱や売店等といった構造物の配置によらず対応可能であること。 ・視覚障害者の個人情報保護に対する対策がなされていること。 資料3 議事3.鉄道における歩行訓練の実施について P1 歩行訓練に関する議論の経緯 歩行訓練の必要性 ○白杖による点状ブロックや車両の確認が適切に行われていないことが転落発生の背景の一つ。 ○検討会においても、白杖を正しく用いていれば転落事故を防ぐことができるとの意見も多い。 〇歩行訓練によって、白杖の使い方、点状ブロック・線状ブロック・内方線付き点状ブロックの役割を学ぶことで、転落の危険性を減少させることが可能と考えられる。 歩行訓練に関する現状、課題(主に歩行訓練士会より聞き取り) ○駅ホームでの歩行訓練の受講状況として、アンケート※回答者(303名)の約半数程度で受講経験がない。 ※第4回「ホームからの転落事故に関するアンケート及びヒアリング結果について」 ○「歩行訓練があることを知らなかった」という理由で歩行訓練を受けていない人が多い。 ○歩行訓練は、本人が希望する場合に申込み、歩行訓練士とのマンツーマンにより指導。 〇鉄道駅での訓練については、受講者のニーズに応じて、営業中の列車を実際に利用しながら、ホーム・車両での歩行訓練を実施しているがホーム・車両での歩行訓練においては、時間の制約がある。 前回検討会における議論 ○現行の歩行訓練の課題に対し、「更なるホーム・車両の活用」、「イベント形式の歩行訓練」を提案 ①ホーム・車両での歩行訓練における制約 ⇒ 更なるホーム・車両の活用 「訓練時間をより長く確保できる環境(駅・番線・時間帯)」「留置車両の活用」の情報提供等 ②歩行訓練に対する認識不足 ⇒ イベント形式の歩行訓練 様々な鉄道事業者の協力の下、試行的に、イベント型の歩行訓練を開催。 P2 制度等に関する意見 〇(イベント型の歩行訓練について)年1回のイベントではややパフォーマンス的であり、本当に地に足のついた政策とはいえない。歩行訓練士を増やし、そして中途失明した人にいかに最初から歩行訓練をきちんと受けてもらって、電車の乗降まで持っていくのか、全体像を見渡して対策を検討すべき。 ○盲学校のカリキュラムの中に入れて、生徒に参加してもらう制度や、大人になってから視覚障害者になった人が障害者手帳を受給した際に歩行訓練をするような制度にするなどの方法も考えられる。 〇全国の盲学校では、鉄道事業者と連携して安全教室をやりたいという声が結構ある。しかし、最寄りの駅等の事情によってできているところとできてないところがあるように聞いている。この辺りは是非、国土交通省から、通知や通達を出していただいて、学校や福祉施設に関しては、最寄駅が積極的に安全教室に協力するようにしてほしいと思う。 〇これを機に、バリアフリー教室の視覚障害者対象バージョンを新たに計画して広げていっていただけると良いと思う。 〇同行援護等の移動支援が、通勤通学には基本的には使えないという福祉制度上の問題点がある。通勤・通学のような日常的な場面では、どうしても急ぎたくなり事故につながる可能性がある。その意味では、同行援護等の福祉制度も、柔軟に実施運用できるように省庁横断的に検討していただけるとありがたい。 訓練の内容に関する意見 〇安全要員を配置できない、乗降客が多い時間帯で安全を確保できない等の理由で訓練が許可されないこともある。実際には、通勤時に盲導犬を使うことを考えると、それなりに乗降客が多い時に練習をしておかないと意味がない。実際に訓練中に事故があった時は訓練事業者が責任を負うべきであり、このような条件も踏まえて前向きに考えてほしい、という事を事業者に伝えていただけるとありがたい。 〇情報提供については、非常にありがたく、感謝しているが、様々な事情があるため、情報をいただいた駅以外の駅も使用させていただければありがたいので、その辺りの事情もご理解頂ければと思う。 P3 歩行訓練の全体像と課題 流れ ①歩行訓練を知る 手順 ○眼科にて診療。 ○自治体から障害者手帳を交付。 ○障害者の福祉サービス(同行援護等の介護給付、自立訓練の訓練等給付)の一つとして、歩行訓練を知る。 ○歩行訓練を実施する近隣の福祉施設を知る。 課題 ○歩行訓練について周知するスキームがない。 ○第4回「ホームからの転落事故に関するアンケート及びヒアリング結果について」において、「歩行訓練があることを知らなかった。」と回答した割合が2割強を占めており、歩行訓練に関する認知度が低い。 ⇒課題:歩行訓練の認知度の向上 流れ ②訓練計画を立てる。 手順 ○福祉施設に問合せ、見学・相談。 ○行動範囲などより、どの程度歩行能力を身につけるべきかを相談し、計画を立てる。 ○施設内や屋外での歩行訓練を実施。 課題 ○歩行訓練士養成機関を修了した者は全国で960名(歩行訓練士養成機関による調査(令和2年4月))、うち実際に歩行訓練を行っている歩行訓練士は186名である。都道府県別で見ると歩行訓練士が1人もいない県が5 県あるなど、絶対数が不足している状況。 ⇒課題:歩行訓練士の確保 ②の行動範囲に鉄道の利用があった場合>(例:自宅~A駅(最寄り)~B駅~目的地) 流れ ③鉄道における訓練 手順 ○一定程度の歩行能力が身についた後、鉄道駅で鉄道車両の乗り降りなどの訓練を開始する。(複数回訓練を実施) ○駅や鉄道車両の構造や位置等の歩行動線の手がかりについて、メンタルマップ(脳内マップ)を描く。 課題 ○視覚障害者が実際のホームや車両を用いた有効性の高い歩行訓練を実施できる環境が限られている。 ⇒課題:鉄道における訓練環境の整備  対応策(案)訓練場所の提供等、事業者の協力体制の構築   P4 鉄道における歩行訓練の現状 鉄道における歩行訓練の現状 歩行訓練士による歩行訓練(マンツーマンでの実施) ①歩行訓練(従前の歩行訓練) ねらい 正確な歩き方を身につける 利点 ・視覚障害者の最寄り駅などで訓練を行うなど、個人の希望に沿った訓練が可能 問題 ・列車間合い等の時間制限がある ・列車間合い等で実施されるため、安全面において、より配慮が必要 確認・検討結果 (訓練場所の提供)・留置車両を活用できる駅等は限定的であり、当事者、訓練実施者のニーズと必ずしも一致しない。 (責任の所在)・訓練実施者は保険に加入。訓練中の事故については、基本的には訓練実施者の責任。(一方、鉄道事業者においても、施設管理者として訓練内容等について事前に把握し、危険性について訓練実施者へ伝えておくことが必要。) ②イベント型の歩行訓練(現在までに試行した事例) ねらい 歩行訓練の重要性を周知し、歩行訓練の受講に繋げる 利点 ・列車間合い等の時間制限がなく訓練が可能 ・鉄道施設を体験することが可能 問題 ・マンツーマン指導のため、参加人数が少ない。 ・環境整備が困難であり、実施頻度が少ない。 確認・検討結果 (訓練の効果)・訓練を受講できる人数は限定的であるものの、「訓練の重要性を再認識できる」などの効果 (PR効果)・歩行訓練に関する問合せや訓練受講者が増えたといった効果は見られない。 (環境整備)・鉄道事業者が訓練環境(場所や対応者の確保)を整備する際の負担が大きく、多頻度の実施は困難。 大人数による施設体験 ③福祉施設と連携した施設体験(西武鉄道の事例) ねらい 鉄道への理解度、安全意識の向上 利点 ・列車間合い等の時間制限がなく訓練が可能 ・鉄道施設を体験することが可能 ・多くの視覚障害者が受講可能 問題 ・歩行訓練士による歩行訓練ではないため、正確な歩き方は身につかない。 ・環境整備が困難であり、実施頻度が少ない。 確認・検討結果 (体験の効果)・「車両の高さとホームの高さなどを知ることができる」「自分のペースで電車の乗降を練習できる」などの効果 (環境整備)・鉄道事業者が訓練環境(場所や対応者の確保)を整備する際の負担が大きく、多頻度の実施は困難。 ⇒この現状を踏まえ、継続的・効果的に歩行訓練を実施するための体制構築を検討する必要がある。 P5 鉄道における歩行訓練の今後の方向性(案) ①歩行訓練(従前の歩行訓練) ○鉄道事業者に対し、駅での訓練の申し出があった場合においては、積極的に対応するよう通知 ○具体的には、番線・時間帯毎の混雑状況等の情報提供等、可能な範囲での対応を依頼 ②イベント型の歩行訓練 ○鉄道における歩行訓練の重要性を広く周知することを目的とし、まずは象徴的な開催を目指す ○歩行訓練士会、鉄道事業者、国の共催とし、具体的なスキームについて今後検討 ③福祉施設と連携した施設体験 ○施設体験の事例やノウハウを蓄積し、福祉施設や鉄道事業者に広く共有するなど、持続可能な施設体験について今後検討  ○この検討結果を踏まえ、鉄道事業者に対して、福祉施設・盲学校から相談があった場合は積極的に対応するよう通知 ○福祉施設・盲学校に対して、施設体験を通じて訓練の重要性を認識してもらった上で、歩行訓練をカリキュラムに入れるなどの取組を促進。