○議事次第 新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会(第14回) 令和7年5月7日(水)16:30~18:30 中央合同庁舎3号館8階 特別会議室 (※ウェブ会議併用) 議 事 次 第 1.開 会 2.議 事 (1) 新技術を活用した駅ホーム転落防止対策等について (2) 鉄道における歩行訓練プログラム(案)について (3) その他 3.閉 会 ○名簿 新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会(第14回) 【障害者団体・支援団体】 日本視覚障害者団体連合 常務理事・組織部長 三宅 隆 日本弱視者ネットワーク 幹事(筑波大学附属視覚特別支援学校 教諭) 宇野 和博 東京都盲人福祉協会 常任理事 市原 寛一 埼玉県網膜色素変性症協会 相談役 田村彰之助 日本歩行訓練士会 事務局長/日本ライトハウス 養成部 部長 堀内 恭子 日本盲導犬協会 顧問 吉川 明 【学識経験者】 成蹊大学 名誉教授/大原記念労働科学研究所 特別研究員 大倉 元宏 慶應義塾大学 経済学部 教授 中野 泰志 鉄道総合技術研究所 人間科学研究部 人間工学研究室 主任研究員 鈴木 綾子 【鉄道事業者】 JR東日本 執行役員 安全企画部長 丸山 正樹 JR西日本 鉄道本部 駅業務部 企画課(設備) 担当課長 児島 武史 東京メトロ 経営企画本部 企業価値創造部長 青木 洋二 小田急電鉄 交通サービス事業本部 安全・技術部長 久保田 勤 近畿日本鉄道 取締役常務執行役員 鉄道本部 企画統括部長 深井 滋雄 阪神電気鉄道 都市交通事業本部 都市交通計画部(安全担当)部長 増味 康彰 【国土交通省】 大臣官房 技術審議官(鉄道) 岸谷 克己 総合政策局 共生社会政策課長 小幡 章博 (代理出席:総合政策局 共生社会政策課 交通バリアフリー政策室長 内田 謙一) 鉄道局 鉄道サービス政策室長 三島 梨加 (代理出席:鉄道サービス政策室 専門官 梅内 綾子) 鉄道局 都市鉄道政策課長 小林 基樹 (代理出席:都市鉄道政策課 駅機能高度化推進室長 渡部 正一) 鉄道局 技術企画課長 中野 智行 鉄道局 安全監理官 竹島 晃 【厚生労働省(オブザーバー)】 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室長補佐 佐藤 敏彦 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課障害福祉専門官 原 雄亮 (事務局 鉄道局技術企画課) ○資料1 新技術を活用した駅ホーム転落防止対策等について P1 改札口のカメラを利用した白杖や車椅子の検知システム Osaka Metro 「AI見守りシステム(白杖や車椅子の検知システム)」 白杖または車椅子の利用者が改札を通過した際に、既存の防犯カメラ映像から検知し、駅係員に通知するシステム。 Osaka Metro※では本システムを導入することで、白杖または車椅子の利用者に早期に気づき、必要なサポートや見守りに役立てている。 2024年9月から順次導入を開始し、全134駅のうち38駅で導入した。(2025年5月7日時点) ※共同開発:株式会社PKSHA Technology(パークシャテクノロジー) 【特徴】 ・既存のカメラに接続するのみ ・PC1つで運用開始可能 ・検知率は90%以上の精度 白杖または車椅子の利用者を検知した際に、事務室等に設置したモニタへの検知結果の表示と通知音で駅係員に知らせ、 係員不在の改札口においても利用者に早期に気づき、サポートが可能となる。 相模鉄道「 AI画像解析技術を活用したお客さまサポート」 セントラル警備保障㈱(以下、「CSP」という。)が提供するVACS システムにより、お身体の不自由な利用者(検知対象:白杖・車イスをご利用の利用者、盲導犬をお連れの利用者)を検知し、この検 知情報をCSP 監視員の目で確認したのち、CSP監視員が検知情報を通知(業務用スマートフォン)し、駅係員がサポートする。 2021年5月から全27駅のうち天王町駅等4駅に導入した。 近畿日本鉄道「改札口見守りシステム」 改札口から入場される白杖をお持ちの利用者や車椅子の利用者を、防犯カメラを通してAIが自動的に認識し、駅係員に連携するシステム。 2020年6月から大和西大寺駅に導入して運用している。 P2 駅係員による介助の事前申し込みシステム 南海電鉄「南海サポートほっとネット(介助予約システム)」 視覚障害者や車椅子利用者を始めとする介助を必要とする駅利用者が、事前に駅係員による介助をWEB上で申し込めるシステム※。 南海電気鉄道(株)は本システムを導入することで、駅係員間の連携をデジタル化し、スマートデバイスでリアルタイムに共有することで、 駅係員による対応の効率化を実現している。 2024年7月からサービスを開始し、利用範囲は南海電気鉄道の全駅(係員無配置駅を含む)となっている。 ※(株)日立製作所の「移動制約者ご案内業務支援サービス」を導入。 → これまで視覚障害者を始めとする方々が利用している。 ・南海のHPもしくはアプリから利用可能 ・利用範囲内であれば乗り換えにも対応 ・「手動車椅子(歩行器等を含む)」「電動車いす」「ハンドル型車いす」「白杖」「盲導犬」の利用者に対応 ・申込受付は利用日の1ヶ月前から前日の18時まで JR東日本「JREおでかけサポート」 列車に乗降する際の介助を事前にWEBで申し込める「JREおでかけサポート」のサービスを2024年2月より一部の線区で開始。 来駅せずに介助申込申請が可能※となった。 2025年2月よりサービスの提供線区を一部の駅を除いた全線区へ拡大。 また、画面での申込が難しい視覚障害者をはじめとする方々に対しては、 「JREおでかけサポートデスク」という本システム専用のコールセンターを設けており、電話による代理申込が可能となっている。 ※出発の2日前午前12時までに申込必須 阪急電鉄「PAパッセンジャー(介助予約システム)」 利用者自身で時間・場所の制約なく事前にWEBでサポートを予約できるサービスを 2025年4月より阪急電鉄線内の87駅(天神橋筋六丁目駅を除く、花隈駅を含む)での乗降時を対象として開始している。 駅係員の介助業務を管理するアプリと自動的に連携することで、駅係員の派遣やサポートの準備等を円滑に行えることから、利用者により安心してご乗車いただける。 ※英国発のスタートアップ企業Transreport Limitedのシステムを導入 ○資料2 歩行訓練 P1 駅ホームにおける視覚障害者の基本的な歩行訓練プログラム(案) 1.作成趣旨 視覚障害者の駅ホームからの転落事故は、白杖による点状ブロックや車両の確認が適切に行われていないことが背景の一つであり、 歩行訓練により、白杖の使い方、点状ブロック・線状ブロック・内方線付き点状ブロックの役割を学ぶ機会を設ける必要がある。 しかしながら、現状では駅ホームでの歩行訓練の認知度は高いとは言えず、訓練場所の提供等、鉄道事業者の協力体制の構築も課題となっている。 これを受け、令和6年10月、「鉄道施設における歩行訓練の基本的な訓練プログラム(案)」を作成し、鉄道事業者と歩行訓練士会が連携のうえ、 駅ホームや車両を活用した視覚障害者の歩行訓練実施を促す。 2.歩行訓練プログラムのタイムスケジュール例 事前  30分 挨拶及び訓練説明 基本訓練  10分 スライド法※ 10分 短軸方向でホーム端に接近 10分 白杖部分に足を踏み出す 乗降訓練 20分 車両への乗降 事後 30分 アンケート及び意見交換 ※スライド法:歩行時に白杖の先端を床面に常時触れながら左右に振って歩行する方法 3.本プログラム(案)を用いた歩行訓練の実施 小田急電鉄の協力により、2025年1月16日、多摩線唐木田駅において、本プログラム(案)を実際に用いて歩行訓練を実施。 ⇒今後、関係者と協力のうえ、本プログラムを用いた駅ホームでの歩行訓練の実施を期待 P2 鉄道施設における視覚障害者の歩行訓練実施の協力について 事務連絡(令和7年1月15日) 視覚障害者の駅ホームからの転落事故については、鉄道局が事務局を務める「新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会」において、 白杖による点状ブロックや車両の確認が適切に行われていないことが事故発生の背景の一つであり、 白杖を正しく用いていれば事故を防ぐことができるとの意見が多くあるところ、鉄道施設における視覚障害者の歩行訓練の普及が重要とされています。 視覚障害者や歩行訓練実施者に対し、鉄道施設における歩行訓練の実施を促すため、「鉄道施設における基本的な視覚障害者の歩行訓練プログラム(案)」を 作成したところ、各鉄道事業者におかれては、歩行訓練の普及に向けて以下2点の協力をお願いします。 1 視覚障害者に対する接遇や誘導方法等を学ぶ場を設けることは視覚障害当事者、鉄道事業者双方の理解促進に寄与するため、 社内研修の一環としての歩行訓練の組込を是非ご検討いただくようお願いしたい。 2 福祉団体や盲学校等から歩行訓練イベント開催の申し出があった場合は、鉄道施設の提供について、積極的にご検討いただくようお願いしたい。 P3 2025年1月16日歩行訓練の様子(場所:小田急電鉄 多摩線唐木田駅) 概要 日 時:令和7年1月16日(木)10:30~13:00 場 所:小田急電鉄株式会社多摩線唐木田駅2番線 参加者:体験者(視覚障害当事者)7名、歩行訓練士7名等 内 容:下記表の通り 10:20 改札口で受付 10:30 10:33 0:03 2番線ホーム(訓練専用車両) に移動 10:33 10:38 0:05 集合・開会挨拶 10:38 10:41 0:03 訓練専用車両内に移動 10:41 10:45 0:04 訓練概要説明(2番線訓練専用車両内) 10:45 11:15 0:30 基本訓練実施 11:15 11:25 0:10 インターバル(トイレ休憩) 11:25 11:55 0:30 乗降訓練 11:55 12:05 0:10 車内非常通話装置操作ならびに乗務員との通話体験 12:05 12:15 0:10 駅係員呼び出し インターホンの体験 12:15 12:30 0:15 インターバル(トイレ休憩・アンケート記入) 12:30 13:00 0:30 意見交換 訓練終了・解散 P4 歩行訓練紹介動画 P5 駅ホームや車両を活用した視覚障害者の歩行訓練に関する事業者アンケート① 【調査対象】・全事業者(各運輸局経由で調査依頼) 【主な調査項目】 ○歩行訓練の実施状況(実施している事業者に追加調査) ・歩行訓練の概要(主催者、実施場所の選定理由、実施経緯等) ○歩行訓練プログラム(案)について ・本プログラム案の参考度合い、所感 ・「社内研修の一環として歩行訓練の組込」の取組可能性 ・「歩行訓練イベント開催の申し出があった場合の鉄道施設の提供」の取組可能性 【調査上の注意】 視覚障害当事者が実際の駅ホームや車両※を活用して白杖を用いた歩行方法や乗降方法を訓練するものを想定。 ※実際の駅ホームや車両を想定して整備されている研修施設等の設備も含む 【調査結果】 有効回答96件(JR・公営15社、民鉄50社、三セク31社) ○歩行訓練の実施状況 ・歩行訓練実施経験17社直近3年間の歩行訓練実施数37件 (37件の内訳)※重複あり ・主催者(事業者8件、行政機関9件、視覚障害者団体5件、支援団体22件) ※主催者例:障害福祉課(都道府県)、日本歩行訓練士会、盲学校 ※実施場所例:駅、研修施設、車庫 ・実施場所の選定理由(利用者・支援団体の要望19件、視覚障害者の利用施設(特別支援学校等)が近くにある14件、運用の都合12件) ・実施経緯(事業者の自発2件、国・市町村からの要請14件、視覚障害者団体等からの要請24件) 【歩行訓練実施例1】 ・下りホーム近くに集合、上り旅客列車到着時刻のため、下りホーム側から車両の特徴や停車位置の確認 ・接近放送の上下線による声の違い、乗車口までの白杖の扱い方、点字ブロックの確認、手すりの扱い方 ・上下ホームを移動しての歩行訓練(柵の確認、点字ブロックの内方線の向きの確認、ワンマン乗車口の目印である旧乗車券投入ボックスの位置確 認、待合室手前の跨線橋階段の位置確認) ・下り旅客列車到着時刻のため、列車接近音や到着音、ワンマン乗車口を確認、歩行訓練終了(実施時間35分程度) 【実施例2】 ・乗降口の構造が異なる車両を2両用意し,乗車から降車までの一連の流れと運賃の支払い方法等の確認を1両各5分程度行った P6 駅ホームや車両を活用した視覚障害者の歩行訓練に関する事業者アンケート② ○歩行訓練プログラム(案)について ・プログラム案は駅ホームや車両を活用した歩行訓練を実施する上でどの程度参考になるでしょうか。 →96社中86社が「大いに参考になる」、「参考になる」と回答 【参考になった点】 ・車体が途切れた部分が「扉部分」であるか「連結部分」であるかの判断 ・基本動作の確認・把握ができ、現場において実際の案内・誘導などに活用できる ・事業者社員で訓練を完結せず福祉団体や盲学校等の方々からご参加いただき、鉄道施設を活用した歩行訓練イベントを開催すること ・視覚障がい者の乗降訓練に際しては複数パターンに分けた訓練を要するため、鉄道事業者側の協力が事故防止に直接繋がる ・色々な乗降パターンが写真付きで明示されており、従業員教育資料としても有効 ・事務連絡において、「社内研修の一環として歩行訓練の組込」をお願いしております。こちらについて対応する可能性はございますでしょうか。 →96社中51社が「取り組む予定がある(既に取り組んでいる)」、「今後取り組む可能性がある」と回答 【「今後取り組む可能性はない」・「未定」と回答】 ・要員不足のため ・常に当社線を利用させる視覚障碍者の方を拝見する機会が皆無に等しい ・ご利用の際は前もってご連絡があり駅係員が誘導する流れとなっているため ・事務連絡において、「福祉団体や盲学校等から歩行訓練イベント開催の申し出があった場合は、鉄道施設の提供について積極的にご検討」を お願いしております。こちらについて対応する可能性はございますでしょうか。 →96社中64社が「取り組む予定がある(既に取り組んでいる)」、「今後取り組む可能性がある」と回答 【「今後取り組む可能性はない」・「未定」と回答】 ・人員・車両の操配を考慮し実施の可否を検討するところではあるが、昨今の人員不足から、対応する要員を捻出することが容易でない ・イベントとして施設の提供をすることは、人を滞留させる恐れがあることから対応が難しいが、個人的に歩行練習をしたいというような問い合わせ があれば、状況に応じて対応は可能 ・歩行訓練イベントの開催に関する申し出を受けたことが無いので、受けた際に検討する ○資料3 歩行訓練プログラム(案)修正方針 歩行訓練プログラム(案)修正方針 1 宇野委員 2スライド)電車の乗降訓練を中心に行えば、転落が減るかのような誤解を生みかねない記述も改めた方がよいかと思います。 また、「歩行訓練により、白杖の使い方、点状ブロック・線状ブロック・内方線付き点状ブロックの役割を学ぶことで、 転落の危険性を減少させることが可能と考えられる。」という記述も根拠が不明確です。 実際に転落した人がそれぞれの点字ブロックの役割を知らなかったというエビデンスはあるのでしょうか。 役割を学ぶというよりは、安全な歩行動線を確実に歩けるようにするということの方が重要に思います。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ「転落の危険性を減少させる可能性がある」に修正しました。 2 鉄道事業者 2スライド)「~の構築が課題」という表現は事業者が協力していないように受け取られる可能性があります。 これまでも多くの事業者において実施していることから、記載のように修正いただければと思います。 『しかしながら、現状では駅ホームでの歩行訓練の認知度は高いとは言えず、訓練場所の提供等、鉄道事業者の協力が必要』 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ修正しました。 3 堀内委員 3スライド)「基本訓練の内容」の「2」と「3」のタイトルが逆転している。 鉄道局修正方針)ご意見の通り修正しました。 4 堀内委員 4スライド)ホーム端に接近するなど白杖が落ち込んだ場合に、すぐに停止できる速度でゆっくり歩行する練習をする。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ注釈を追記しました。 5 堀内委員 4スライド)ゆっくり歩き、ゆっくり白杖を振る訓練を十分に行う必要がある。 その上で時間があれば、ホーム上の障害(時刻表、ベンチ、自動販売機等)を避ける訓練とすることも考えられる。  割愛しないほうが良い。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ削除しました。 6 宇野委員 4スライド)『「スライド法」が既に習得できている場合はこの訓練を割愛し、代わりにホーム上の障害物(時刻表、ベンチ、自動販売機等)を 避ける訓練とすることも考えられる。』という記述も意味が分かりません。 通常「ホーム上の障害物(時刻表、ベンチ、自動販売機等)」は、点字ブロックの延長線上にはありません。 そうなると、どういう白杖の使い方をしていても、そこに必ずたどり着けるということではありません。 また、視覚障害者は避けるというよりは、わざとそれに白杖をぶつけ、自分のいる場所を確認することがあります。 これを「ぶつかりの原理」といいます。 ホーム中央に点字ブロックが敷設されれば売店等の壁面を杖で確認し迂回するのと同じです。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ削除しました。 7 鉄道事業者 4スライド)『2.基本訓練の内容』につきまして、関東ではホームドアの整備が進んでいますが、関西はホームドアの整備に時間を要する、 またはすべての駅にホームドアを設置できない状況にあります。 それらを勘案し、車両がホームに入線していない状態での短軸方向訓練が必要であると考えます。 (最も転落の危険性が高い状態) →『2.基本訓練の内容』に短軸方向でホーム端に接近の項目に「車両がない場合」を追加する 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ「今後の検討課題」のスライドに「本プログラムは、あくまで「基本的」な歩行訓練プログラムであるため、 訓練参加者等の要望に合わせた運用を行うことが望ましい。」旨を記載しました。 8 大倉委員 1.鉄道利用における訓練項目は少なく、時間も短いという誤解。鉄道利用の訓練では、乗車駅舎に入り、改札を通り、ホームに出て、乗車位置まで移動し列車に乗る。 そして、降車駅で列車からホームに降りて改札に移動し、駅舎を出るまでが含まれる。 提案されている内容はこのうちのごく一部にしか対応しておらず、時間も短く、スキルの習得は不可能ではないか。 2.視覚障がい者は全員、白杖を持ち、ホーム上ではスライド(常時接地)操作をしなければならないという誤解。 白杖を携行していないロービジョン者もいるし、白杖を持っていても混雑時にはスライド操作ができない場面もある。 3.スライド操作の練習は車内で行うという誤解。あまりにも現実離れしているので、対応する写真の変更を強く薦める。 これらの誤解を解消するためには、次のような対応策が考えられよう。 ・標題から「プログラム」を削除し、「鉄道施設における視覚障害者の基本的な歩行訓練の一例」とする。 「プログラム」という言葉は、鉄道施設全体での安全な移動を学ぶための体系的な一連の訓練(乗車駅舎に入り、降車駅舎を出るまで)を連想させる。 ・実際の鉄道利用における訓練項目をリストアップし、対象者の特性や混雑状況によって、一様な訓練内容にならないことや相当の時間を要することを説明する。 ・「歩行訓練の一例」では、鉄道利用の場面(あまり混雑していないホーム上の待機位置から短軸方向に進んで車両に乗り、その後、車両からホーム上に降りるまで) と対象者(例えば、全盲の白杖使用者)を特定し、実際の訓練ではなく、まだ訓練を受けていない視覚障がい者や鉄道事業者に向けたデモ的要素の強いことを明記する。 ・鉄道事業者に対して、実際の鉄道利用訓練では項目が多く、時間もかかること、さらに対象者の利用する駅での訓練が効果の高いことを説明し、協力を求める。 ・この資料は、普段の訓練にも影響するので、日本歩行訓練士会の会員にも事前に情報提供し、意見を求めておく。 加えて、作成にかかわったメンバーの氏名や所属を明記し、感謝とともに将来の改訂等に備える。 鉄道局修正方針)「3」につきましては、4スライドの写真を差し替えさせていただきました。 その他のご指摘につきましては、ご意見を踏まえ今後の参考とし、「今後の検討課題」のスライドに 「本プログラムは、あくまで「基本的」な歩行訓練プログラムであるため、訓練参加者等の要望に合わせた運用を行うことが望ましい。」旨、 また「実績を積みながら改善等を加えつつ、恒常的な取組とするための検討が必要である」旨を記載しました。 9 堀内委員 7スライド)左右に振りながらを削除 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ削除しました。 10 堀内委員 7スライド)白杖により、車両の下端(裾部)がなく空間を捉えることで、連結部であることを判断 鉄道局修正方針)ご意見の通り修正しました。 11 堀内委員 7スライド)白杖をホーム端に戻し、白杖を持っている手の側に体を90度回転させ、手を前方に出しながら進む。 車両に手が触れたら、白杖はホーム橋に沿ったまま、車両に手を触れながら伝い歩き 鉄道局修正方針)ご意見の通り修正しました。 12 堀内委員 8スライド)こちらのコメントは必要でしょうか?もちろん安全・安定運行は重要ですが、この一文があることで、 これまで以上にこの内容を理由に歩行訓練の実施自体を中止せざるを得ない状況が、増えてしまうのではないかと危惧します。 歩行訓練の中止を申し出るではなく、十分に協議するや、現場に立ち会うなどの方法を検討いただくわけにはいきませんでしょうか?  折角歩行訓練の啓発をおこなっていただいておりますのに、逆効果にならないか心配です。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ修正しました。 13 鉄道事業者 8スライド)一部、表現や誤字を修正しています。『歩行訓練士や視覚障害当事者等による歩行訓練について、駅施設の使用にご理解いただくようお願いします。』 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ修正しました。 14 鉄道事業者 8スライド)駅施設のご利用については、問題ございません。鉄道事業者との事前打ち合わせを必要としない、小規模な訓練である場合、 それが分かるような記述にしていただきたいです。 (修正案)歩行訓練士や視覚障害当事者等が訓練で駅施設を使用する場合がありますので、ご理解いただくようお願いします。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ修正しました。 15 鉄道事業者 8スライド)現在の文章には「必要な措置」と記載があり、何か事故があった場合、必要な措置を講じなかった鉄道事業者の責任になります。 小規模の歩行訓練であれば訓練実施中であることを駅員が認識していない可能性があるかと思います。 駅員の立場としては、何かを聞かれれば情報提供するが訓練中止の判断をすることは難しいと思われます。 ポツ2に内容が包括されるため、ポツ3を削除し、ポツ2に訓練の責任所存を入れ込むことはいかがでしょうか? (修正案)歩行訓練は、歩行訓練実施者の責任のもと行われるものですが、視覚障害当時者や歩行訓練実施者から問い合わせを受けた際は、 番線・時間帯毎の混雑状況等の情報提供をお願いします。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ修正しました。 16 鉄道事業者 8スライド)弊社では、全社員にサービス介助士の資格を取得するよう働きかけております。 資格を取る中で視覚障害者に限らず、障害者全般の接遇について理解促進に努めております。 また、他の鉄道事業者においては大規模な研修実施が難しい場合があるかと思います。 「社内研修」「歩行訓練」「場を設ける」などの具体的な手法は、事業者それぞれであると思われるため、 視覚障害者に対する理解促進という一般論的な記載にしていただきたいです。 (修正案)視覚障害者に対する接遇や誘導方法等を学ぶことも、視覚障害者当事者、鉄道事業者様双方の理解促進に寄与します。 是非ご検討をお願いします。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ修正しました。 17 市原委員 ・歩行訓練を行う際の鉄道側の受け入れマニュアルや安全性の担保が重要(希望があれば、どの駅でも「危険だから」との理由で妨げないことが重要。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ8スライド目に「視覚障害者に対する接遇や誘導方法等を学ぶ場を設けることは視覚障害当事者、 鉄道事業者双方の理解促進に寄与するため、社内研修の一環としての歩行訓練の組込を是非ご検討いただくようお願いします。」旨を記載しました。 18 宇野委員 現在の案はほぼ電車の乗降時に焦点を当てたものとなっています。本プログラムが日本歩行訓練士会だけの名義ならまだしも、 国土交通省の名で公表するのであれば、総合的な訓練プログラムを示す必要があると思います。 というのは、中間報告によると、視覚障害者の転落は、「ホーム上をどの方向に歩行していた時に転落したかを尋ねたところ、 74人から回答があり、ホーム上を線路と平行の方向(以下「長軸方向」)に歩行している時の転落が47件(63.5%)、 ホーム上を線路と垂直の方向(以下「短軸方向」)に歩行している時が27件(36.5%)」ということです。 これらは電車が入線しているときの転落ではありません。確かに視覚障害者が車両の連結部をドアと勘違いしたり、 車両とホームの間に足を落としてしまうこともなくはないです。しかし、そのような事故は全体の中では少数ですし、 それが原因で死亡したという事故はこれまでに起きておりません。そもそも本検討会の目的は視覚障害者がホームから転落したり、 電車にはねられる事故を減らすことにあります。 そう考えると、階段から乗りたい車両のドアまで歩くことや降車後に安全に安心して階段までたどり着く歩行経路を訓練することの方が優先度が高いように思います。 つまり、「鉄道施設における基本的な歩行訓練プログラム」ということであれば、少なくとも乗車時においてはホームに降り立ってから電車に乗るまで、 降車時にはホームに足を踏み出してから階段にたどり着くまでのプログラムを記述する必要があります。 理想的には、改札から改札までの訓練プログラムを示した方がよいのかもしれません。 よって、少なくとも①駅ホーム長軸方向の移動に必要な歩行訓練プログラム、②列車降車時の歩行訓練プログラム、③階段音声装置等を活用した歩行訓練プログラム、 ④駅ホームにおける歩行環境に合わせた歩行同線を考慮した歩行訓練プログラム、⑤視覚障害者のニーズに合わせた歩行訓練プログラムの5点については、 現在提示されている乗降訓練の詳細と同様に、詳細なプログラムを掲載する必要があると考えます。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ「今後の検討課題」のスライドに「本プログラムは、あくまで「基本的」な歩行訓練プログラムであるため、 訓練参加者等の要望に合わせた運用を行うことが望ましい。」旨、また「実績を積みながら改善等を加えつつ、 恒常的な取組とするための検討が必要である」旨を記載しました。 19 大倉委員 この資料が国土交通省名で出されると、各方面に対して、非常に影響力の強い文書になるので、熟慮を要する。 この資料の目的は、訓練未経験の視覚障がい者への啓発、および鉄道事業者に鉄道利用訓練の内容を理解してもらい協力を得ることにあると考える。 提案されている内容であれば、以下のような誤解を招く可能性が高いのではないか。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ「今後の検討課題」のスライドに「本プログラムは、あくまで「基本的」な歩行訓練プログラムであるため、 訓練参加者等の要望に合わせた運用を行うことが望ましい。」旨、また「実績を積みながら改善等を加えつつ、 恒常的な取組とするための検討が必要である」旨を記載しました。 20 宇野委員 「視覚障害者の駅ホームからの転落事故は、白杖による点状ブロックや車両の確認が適切に行われていないことが背景の一つ。」と書かれていますが、 これは「木を見て森を見ず」になっています。安心安全な歩行には、安全な歩行環境と一定の歩行能力が車の両輪として不可欠です。 その証拠に、以前の会議資料にありましたが、転落前の白杖の使い方を尋ねたところ、 もっとも安全とされているスライド式に白杖を使っていたというケースが28%と最も大きな割合を占めていました。 これはいくら安全な白杖の使い方を習得したとしても、ホーム端の警告ブロック沿いを歩いていては転落する危険性があることを意味しています。 やはり現在のガイドラインが視覚障害者の長軸方向の移動を想定していないということも明記した方が視覚障害者にとっても分かりやすくなると思います。 そして、「急がば回れ」で、歩行環境を整え、そして安心安全にホーム上を移動できるようにした上で、歩行訓練プログラムを充実させていくのが合理的な筋道だと思います。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ「今後の検討課題」のスライドに「本プログラムは、あくまで「基本的」な歩行訓練プログラムであるため、 訓練参加者等の要望に合わせた運用を行うことが望ましい。」旨、また「実績を積みながら改善等を加えつつ、 恒常的な取組とするための検討が必要である」旨を記載しました。 21 宇野委員 総合的な歩行訓練プログラムを提示した後、それらをどのように実践していくかも検討し、プログラム化していく必要もあります。 そもそも全国的に歩行訓練士が足りていない中、プログラムだけ作っても、絵に描いた餅に終わってしまいます。 全国約27万3千人の視覚障害者に対し、全国で245名のの歩行訓練士がどのように機会を提供していくか、これも合わせて示す必要があろうかと思います。 現実には、歩行訓練を希望しても2年待たされると報じられています。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ「今後の検討課題」のスライドに「歩行訓練の普及に向けては、イベント的な実施では効果が限定的であるため、 実績を積みながら改善等を加えつつ、恒常的な取組とするための検討が必要である」旨を記載しました。 22 宇野委員   一般的な歩行訓練は、このような単発のイベントではなく、何日もかけて、段階的にすべての行程を習得していきます。 この進め方では、世間的には、「歩行訓練を実施しているので、きっと視覚障害者の駅利用にも有効だろう」と思われがちですが、 実際には電車乗降というのは最終段階を先取りして実施していますので、形ありきになっているような気がします。 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ「今後の検討課題」のスライドに「本プログラムは、あくまで「基本的」な歩行訓練プログラムであるため、訓練参加者等の要望に合わせた運用を行うことが望ましい。」旨、また「実績を積みながら改善等を加えつつ、恒常的な取組とするための検討が必要である」旨を記載しました。 23 市原委員 ・自分の利用する駅で訓練が出来れば良い。 ・イベント的にならず恒常的になれば良い。 ・地方と都会では歩行について違いがあるのではないか。 ・もし東京で行うならば東の両国駅3,4番線、天王台駅くらいしか思い当たらない ・車両も電源が入っていないと音からの情報がなく実際の歩行とは違い、ただのイベントになる 鉄道局修正方針)ご意見を踏まえ「今後の検討課題」のスライドに「本プログラムは、あくまで「基本的」な歩行訓練プログラムであるため、 訓練参加者等の要望に合わせた運用を行うことが望ましい。」旨を記載しました。 24 市原委員 ・安定的に実施、継続的に行うためにも鉄道事業者に対しての予算付けにどう根拠をもたせるか。 歩行訓練自体が福祉であり、厚生労働省の予算ではないか。 鉄道局修正方針)歩行訓練を普及させていく方策については様々な観点から検討してまいります。 25 市原委員 ・歩行訓練は一対一で行っているので集団でやるのはまずいのではないか。 鉄道局修正方針)記載はしておりませんが、歩行訓練士と視覚障害者が一対一で実施するものと認識しております。 26 宇野委員   「訓練に対する要望」だけでなく、訓練のあり方に関する要望も記述した方がよいように思います。 例えば、「普段使っている駅で訓練を実施してほしい。」「鉄道事業者と日本歩行訓練士会が連携し、駅に申し出れば歩行訓練が受けられるような環境を整えてほしい。」 「ちょっとした補助や少しの情報提供で歩けるようになる視覚障害者に対しては、駅係員からサポートを受けるだけで十分なので、 視覚障害者がどういう情報を知りたいかを駅係員にも理解してほしい。」などです。 鉄道局修正方針)10スライドの「訓練に対する要望」は削除しました。 また、9スライドに「本プログラムは、あくまで「基本的」な歩行訓練プログラムであるため、訓練参加者等の要望に合わせた運用を行うことが望ましい。」 旨を記載しました。 27 鉄道事業者 「ホームドアが設置されているホーム」「他の旅客がいる状態」「電車までの移動(脳内マップ作製?)」は、臨時ホームでは実施できず、 訓練専用列車をホームに停車させておくことができません。よって、歩行訓練イベントのようなプログラムでの訓練はできないと思われます。 別メニューとしてご検討いただければと思います。 鉄道局修正方針)10スライドの「訓練に対する要望」は削除しました。 ○資料4 鉄道施設における視覚障害者の基本的な歩行訓練プログラム(案) P1 鉄道施設における視覚障害者の基本的な歩行訓練プログラム(案) 令和7年5月7日 国土交通省鉄道局 日本歩行訓練士会 P2 目次 鉄道施設における視覚障害者の基本的な歩行訓練プログラム 1.歩行訓練の全体像 2.基本訓練 3.乗降訓練 4.鉄道施設における歩行訓練の実施 ■参考(報道発表資料) ・鉄道施設における視覚障害者の歩行訓練の試験的実施 (https://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo07_hh_000253.html) ・駅ホームや車両を活用した視覚障害者の歩行訓練を実施します! (https://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo07_hh_000293.html) P3 目的 視覚障害者の駅ホームからの転落事故は、白杖による点状ブロックや車両の確認が適切に行われていないことが背景の一つ。 「新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会※」においても、白杖を正しく用いていれば転落事故を防ぐことができるとの意見も多い。 歩行訓練により、白杖の使い方、視覚障害者誘導用ブロック(点状ブロック・線状ブロック)や内方線付き点状ブロックの役割を学ぶことで、 転落の危険性を減少させる可能性があると考えられる。 しかしながら、現状では鉄道施設における歩行訓練は一部事業者において実績があるものの、視覚障害者、事業者共に認知度が高いとは言えず、 歩行訓練の認知度向上や訓練場所の提供等の鉄道事業者の協力体制が必要である。 これを受け、「鉄道施設における視覚障害者の基本的な歩行訓練プログラム」を作成し、視覚障害者や歩行訓練主催者に対し、 鉄道施設における歩行訓練の実施を促すとともに、鉄道事業者に対し、鉄道施設の活用について理解を求める。 ※「新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会」 国土交通省では、視覚障害者による痛ましいホーム転落事故の防止を目的として、ホームドアが整備されていない駅ホームにおいて、 ITやセンシング技術等を積極的に活用し、駅係員のみならず鉄道利用者による協力も視野に入れて、 視覚障害者の方々に駅ホームを安全にご利用いただくための対策について検討しています。 (https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_fr7_000032.html) P4 1.歩行訓練の全体像 白杖の使い方や視覚障害者誘導用ブロック等の役割を学ぶことで、駅ホームからの転落の危険性を減少させる可能性があると考えられることから、 基本的な歩行訓練プログラムを作成し、鉄道施設での訓練の実施を促す。 基本訓練の内容 0 事前説明(訓練目的、視覚障害者誘導用ブロック等の役割等) 所要時間:約5分 歩行訓練の目的や、視覚障害者誘導用ブロック(点状ブロック・線状ブロック)や内方線付き点状ブロックの役割等を学ぶ 1 スライド法 所要時間:約5分 線路と平行(長軸方向)にスライド法で歩行する練習 2 短軸方向でホーム端に接近 所要時間:約10分 線路に向かってスライド法で接近し、白杖が落ち込んだらすぐに止まる練習 3 白杖部分に足を踏み出す 所要時間:約10分 線路と平行に立ち、電車乗車時に床を確認する方法の練習 乗降訓練の内容 ホーム端に近づいた際の車両位置を4パターン想定して訓練を実施 正面が車体(パターン1) 所要時間:約7分 短軸方向でホーム端に近づいたところ正面に車体があり、伝い歩きの途中で車体が切れた部分が「扉部分」であるパターン 正面が車体(パターン2) 所要時間 :約3分 短軸方向でホーム端に近づいたところ正面に車体があり、伝い歩きの途中で車体が切れた部分が「連結部分」であるパターン 正面がドア(パターン3) 所要時間:約5分 短軸方向でホーム端に近づいたところ、目の前にドアがあるパターン 正面が連結部(パターン4) 所要時間:約5分 短軸方向でホーム端に近づいたところ、目の前が連結部となっているパターン 訓練終了後に関係者(視覚障害者や歩行訓練士、鉄道事業者等)で訓練に関する意見交換の時間を設けることが望ましい P5 2.基本訓練の内容 乗降訓練の実施に先立ち、白杖を使用した基本的な歩行方法を学ぶため、「スライド法」、「短軸方向でホーム端に接近」、 「白杖部分に足を踏み出す」の3パターンの訓練を実施。 0 事前説明(訓練目的、視覚障害者誘導用ブロック等の役割等) 所要時間:約5分 【参考例】公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドラインバリアフリー整備ガイドライン旅客施設編 (https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_mn_000001.html) 【画像出典】同ガイドライン P123 (JIS T9251 高齢者・障害者配慮設計指針-視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列日本規格協会) 1 スライド法 所要時間:約5分 歩行時に白杖の石突き(先端)を床面に常時触れながら左右に振って歩行する訓練 ※ホーム端に接近するなど白杖が落ち込んだときに、すぐに停止できる速度でゆっくり歩行する 2 短軸方向でホーム端に接近 所要時間 :約10分 短軸方向(ホーム中央から線路側)に向かってスライド法で歩行し、ホーム端で白杖が落ちたら止まる訓練 3 白杖部分に足を踏み出す 所要時間 :約10分 電車への乗降時、自分の前方に白杖をついて車両の床、ホームがあることを確認し、その後に白杖部分にかかとを置くようにして足を踏み出す訓練 ※白杖部分であれば確実に床面があるため(白杖より手前だと、隙間から転落の恐れがある) P6 3.乗降訓練の内容 ホーム端に近づいた際の車両位置について4つのパターンを想定し、パターン1では「正面が車体」だった場合の乗降訓練を実施。 正面が車体(パターン1) 短軸方向でホーム端に近づいたところ正面に車体があり、伝い歩きの途中で車体が切れた部分が「扉部分」であるパターン 所要時間:約7分 1 スライド法で歩行し、短軸方向でホーム端に接近 2 ホーム端で白杖が落ちたら一旦止まり、それから白杖を前に出して在線状況(車両の有無)を確認 3 白杖を再度手前に戻した後、白杖を持っていない側の手を前に出し、車両に手が触れることを確認 4 車両に手が触れたら、白杖を持っている手の側に体を90度回転させ、白杖はホーム端に沿ったまま車両に手を触れながら伝い歩き 5 車体が途切れた部分(扉部分)を確認後、ホーム端に沿わせていた白杖を上げ、そこに車体があることを確認(連結部分でないことを確認) 白杖は裾部(車両下端)に接触 連結部分の確認方法は6ページを参照 6 再度白杖をホーム側に戻した後に体の向きを変え、車両に正対 7 白杖で体の正面に車両の床があることを確認後、床についた白杖の部分にかかとを置くようにして乗車 (白杖をついた部分より前に足を置くと、車両とホーム間に転落する可能性があるため) P7 3.乗降訓練の内容 正面が車体(パターン2) 短軸方向でホーム端に近づいたところ正面に車体があり、伝い歩きの途中で車体が切れた部分が「連結部分」であるパターン 所要時間:約3分 伝い歩きの途中、車体が途切れた部分が「扉部分」であるか「連結部分」であるかについては、以下の方法により判断。 車体が切れた部分が「扉部分」の場合 ⚫ 手が触れていた車体が途切れる。 ⚫ ホーム端に沿わせていた白杖を左側に上げる。 ⚫ 車体裾部に接触するため、そこに車体があると判断。 ⚫ パターン1の⑥〜⑦の方法で乗車。 車体が切れた部分が「連結部分」の場合 ⚫ 手が触れていた車体が途切れる。 ⚫ ホーム端に沿わせていた白杖を左側に上げる。 ⚫ 車体に接触しないため、今度は白杖を前方に出す。 ⚫ 車体妻部(連結面)に接触するため、そこが連結部分であると判断。 ⚫ パターン1の④〜⑤の方法で、扉部分まで再度伝い歩き。 ⚫ パターン1の⑥〜⑦の方法で乗車。 P8 3.乗降訓練の内容 同様に、パターン3では「正面がドア」だった場合、パターン4では「正面が連結部」だった場合を想定した乗降訓練を実施。 正面がドア(パターン3) 短軸方向でホーム端に近づいたところ、目の前に車両のドアがあるパターン 所要時間:約5分 1 スライド法で歩行し、短軸方向でホーム端に接近 2 ホーム端で白杖が落ちたら一旦止まり、それから白杖を前に出して在線状況(車両の有無)を確認 在線していれば、白杖は車両下端に接触 3 白杖を再度手前に戻した後、白杖を持っていない側の手を前に出し、手が触れないことを確認 乗車方法はパターン1の⑦と同じ 正面が連結部(パターン4) 短軸方向でホーム端に近づいたところ、目の前が連結部となっているパターン 所要時間:約5分 1 スライド法で歩行し、短軸方向でホーム端に接近 2 ホーム端で白杖が落ちたら一旦止まり、それから白杖を前に出して在線状況(車両の有無)を確認 白杖により、車両の下端がない空間を捉えることで、連結部であることを判断 3 白杖をホーム端に戻し、白杖を持っている手の側に体を90度回転させ、手を前方に出しながら進む。 車両に手が触れたら、白杖はホーム橋に沿ったまま、車両に手を触れながら伝い歩き 乗車方法はパターン1の⑤〜⑦と同じ P9 4.鉄道事業者へのお願い 鉄道施設における歩行訓練の普及に向けたご協力のお願い 1~3で示したような歩行訓練が鉄道駅で行われているところであり、実施に際して、鉄道事業者の皆様に以下お願いします。 ⚫ 歩行訓練士や視覚障害者等による歩行訓練について、駅施設の使用にご理解いただくようお願いします。 ⚫ 必要に応じて、歩行訓練主催者に対し、歩行訓練に関わる番線・時間帯毎の混雑状況等の情報提供をお願いします。 ⚫ 歩行訓練は、歩行訓練主催者の責任のもと行われるものですが、歩行訓練主催者と調整する上で、 安全・安定運行に支障を及ぼすと判断される場合においては、計画の見直しを申し出るなど、必要な措置を講じた上で実施されるようお願いします。 鉄道施設における歩行訓練の実施に際してのお願い 福祉団体や盲学校等と鉄道事業者が連携し、鉄道施設を活用した歩行訓練イベントも開催されております。 歩行訓練は、多くの視覚障害者の方に歩行訓練を体験いただけるだけでなく、駅係員が視覚障害者の方をご案内する際の注意点などの理解促進にも寄与します。 ついては、鉄道事業者の皆様に以下お願いします。 ⚫ 視覚障害者に対する接遇や誘導方法等を学ぶ場を設けることは視覚障害当事者、鉄道事業者双方の理解促進に寄与するため、 社内研修の一環としての歩行訓練の組込を是非ご検討いただくようお願いします。 ⚫ また、福祉団体や盲学校等から歩行訓練イベント開催の申し出があった場合は、鉄道施設の提供について、積極的にご検討いただくようお願いします。 P10 5.本プログラムの留意点及び今後の検討課題 本プログラムを使用する上での留意点 ⚫ 本プログラムは、あくまで「基本的」な歩行訓練プログラムであるため、訓練参加者等の要望に合わせた運用を行うことが望ましい。 【要望例】 〇改札から階段・エレベーターを使用し乗降するまでの一連の動作を確認する訓練を行いたい。 〇スライド法は十二分に習得しているため、最低限の訓練時間に留め、他の訓練に時間を割きたい。 〇プログラムより(長い・短い)時間で訓練を実施したい。 〇車両がない場合の歩行訓練を行いたい。ホームから転落した際の対応についても訓練で学びたい。 ○他の利用者がいる状態で訓練を行いたい。いつも利用している駅で訓練を行いたい。等 ⚫ 歩行訓練は、多数の参加者で実施する大規模なものや、歩行訓練士と視覚障害者がそれぞれ1名ずつの小規模なものまで考えられるが、 どのような規模であっても訓練参加者の安全性の観点から事業者とよく相談することが望ましい。 ⚫ 本プログラムを用いた歩行訓練の実施をもって駅ホームからの転落事故が全て無くなる訳ではない点に留意し、 歩行訓練の参加・実施経験により過度な安心感を持って行動することがないよう参加者・事業者共に注意されたい。 今後の検討課題 ⚫ 歩行訓練の普及に向けては、イベント的な実施では効果が限定的であるため、実績を積みながら改善等を加えつつ、恒常的な取組とするための検討が必要である。 ○資料5 宇野委員提出資料 2025年5月7日 新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会資料 日本弱視者ネットワーク、筑波大学附属視覚特別支援学校 宇野和博 1. 輸送の安全や環境整備、合理的配慮に関する法的根拠 ホーム転落をなくす(輸送の安全)最善の策がホームドアであることはいうまでもないが、現在のホームドア設置番線数は、約2,600である。近年は年間新規に約170番線ずつ設置されており、令和8年度末までに約3,000番線に設置されるそうである。しかし、全国の駅の番線数は約20,000であり、令和8年度末においても17,000番線にはホームドアがないことになる。仮にその後もホームドアが年間170番線ずつ設置されたとしても、すべての駅に設置されるには、100年かかることになる。また、近年の無人駅の増加、人口減、働き手不足、鉄道事業の合理化傾向等を考えると、駅係員によるサポートを徹底するのも困難な状況にある。 本会議のミッションに立ち返り、ホームドアのない駅での安全対策を考える時、日視連が陳情書で求めているとおり、「視覚障害者が列車降車後の鉄道無人駅ホームを安全に移動できるよう、列車乗務員によるサポートやホームの安全対策(階段の音声案内装置や誘導鈴、ホーム中央の誘導ブロックの設置等)を早急に実施すること。」という要望には合理性があると考える。 以下にその法的根拠を列挙する。 【鉄道事業法】 (目的) 第一条 この法律は、鉄道事業等の運営を適正かつ合理的なものとすることにより、輸送の安全を確保し、鉄道等の利用者の利益を保護するとともに、鉄道事業等の健全な発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。 (輸送の安全性の向上) 第十八条の二 鉄道事業者は、輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚し、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならない。 (安全管理規程等) 第十八条の三 鉄道事業者は、安全管理規程を定め、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。 2 安全管理規程は、輸送の安全を確保するために鉄道事業者が遵守すべき次に掲げる事 項(第三種鉄道事業者にあつては、第五号に係るものを除く。)に関し、国土交通省令で定めるところにより、必要な内容を定めたものでなければならない。 一 輸送の安全を確保するための事業の運営の方針に関する事項 二 輸送の安全を確保するための事業の実施及びその管理の体制に関する事項 三 輸送の安全を確保するための事業の実施及びその管理の方法に関する事項 (事業改善の命令) 第二十三条 国土交通大臣は、鉄道事業者の事業について輸送の安全、利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めるときは、鉄道事業者に対し、次に掲げる事項を命ずることができる。 三 鉄道施設に関する工事の実施方法、鉄道施設若しくは車両又は列車の運転に関し改善措置を講ずること。 罰則 第六十九条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、一年以下の懲役若しくは百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 二 第二十三条第一項の規定による命令(輸送の安全に関してされたものに限る。)に違反したとき。 【高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律】 (目的) 第一条 この法律は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性に鑑み、公共交通機関の旅客施設及び車両等、道路、路外駐車場、公園施設並びに建築物の構造及び設備を改善するための措置、一定の地区における旅客施設、建築物等及びこれらの間の経路を構成する道路、駅前広場、通路その他の施設の一体的な整備を推進するための措置、移動等円滑化に関する国民の理解の増進及び協力の確保を図るための措置その他の措置を講ずることにより、高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。 【障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律】 (社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備) 第五条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。 (事業者における障害を理由とする差別の禁止) 第八条 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必 要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 【国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針】 ・障害を理由とする差別の解消のための取組は、法やいわゆるバリアフリー法等不特定多数の障害者を対象とした事前的な措置を規定する法令に基づく環境の整備に係る施策や取組を着実に進め、環境の整備と合理的配慮の提供を両輪として進めることが重要である。 ・なお、多数の障害者が直面し得る社会的障壁をあらかじめ除去するという観点から、他の障害者等への波及効果についても考慮した環境の整備を行うことや、相談・紛争事案を事前に防止する観点からは、合理的配慮の提供に関する相談対応等を契機に、事業者の内部規則やマニュアル等の制度改正等の環境の整備を図ることは有効である。 【日本国憲法】 第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。 2. 外国の例 マレーシアのクアラルンプールやアルゼンチンのブエノスアイレスでは、ホーム中央に点字ブロックが敷設されている(別紙参照) 3. ミスリードしている例と既に誘導ブロックが敷設されている例 誘導ブロックが連結部に誘導されているため、長軸方向に移動せざるを得ないホームがある。(別紙参照) 護国寺駅に限らず、東急線や一部の駅でホーム長軸方向に誘導ブロックが敷設されている例がある。(別紙参照) 4. 今後の議論について ・ 実証実験の位置づけと意見集約について ・ 点字ブロックの専門家の招聘について ・ 首都圏だけでなく、地方の障害者の意見の聴取について ※ 参考新聞記事(2023/12/19 読売新聞オンライン)