ホーム中央ブロック実証実験の実施に向けた意見交換会 議事要旨 日時:令和7年4月28日(月)15:30~17:00 場所:中央合同庁舎第3号館6階鉄道局大会議室(※WEB会議併用) ○「ホーム中央ブロックが仮にガイドラインに記載された場合、どのように活用するか?」 (鉄道事業者の意見) ・ガイドラインに記載されたら従う。 ・ガイドラインの整備事項を踏まえ、駅の特性などを考慮して整備すべきものかの判断行う。 ・整備に多くの時間と費用を費やすために、ホームドア設置との優先度について整理をしていく。 ・ガイドラインの設定には、慎重に行わなければいけない。多くの慎重な意見があり、関係者の意見が一致していない。 ・実証実験が難しい。何を実験するのか、実験で有意な結果が出るのか懸念。 ・設置に関しては、検討が必要なホーム、狭隘なホームが多く、ガイドラインの内容を検討いただきたい。 ○島式ホームの場合に、新たに中央付近にブロックを敷設するとなった場合、事業者として懸念材料はないのか。 (鉄道事業者の意見) ・狭隘ホームは制限がある。視覚障害者の方に誤解なく識別してもらうことが懸念材料。 ・点状ブロックを曲げることはリスクがある。 ・車椅子やベビーカーのお客様、高齢者のお客様、足の不自由なお客様を考えると、転倒のリスク、つまずきのリスクがあることは考えておかないといけない。 ・中小事業者の立場として、外注企業と協力してやっていく中での労働力の確保、資金力の確保は非常に大きな課題。認識できるかに大きな懸念を感じている。 ※このほか、第1回の意見交換会で議論となった、「中央ブロックの整備がホームドアの整備に影響があってはならない」という意見に対しては、鉄道事業者各社より、影響が避けられない旨の発言あり。 ○鉄道事業者の意見に関する視覚障害者のコメント (日本弱視者ネットワーク) ・内方線付き点状ブロックのある駅ホームでの転落数を教えていただきたい。 ・国交省は2011年の目白駅での死亡事故以来、内方線敷設を推奨してきた。しかし、今の報告によると2社では転落のあったホームすべてにおいて内方線があったということである。そうなると、内方線付き点状ブロックは、安全対策として機能してきたのか疑問符をつけざるを得ない。 ・2011年以降、内方線付き点状ブロックを敷設してきたことにより、ホームドアの設置ペースが落ちてきたのか。 ・ホームドアと内方線を2012年から並行して整備してきたと思うが、同じ駅で同時に整備することがなかったから設置ペースに影響しなかったということか。 ・中央ブロックとホームドアを同じ駅ホームで同時に設置することはないと思うし、その必要もない。検討会は、あくまでもホームドアの整備計画のない駅や無人駅の安全対策を検討してきたはずである。 ・新技術や歩行訓練も費用がかかるわけだが、これらもホームドアの設置ペースを落とすのではないかという論理そのものがおかしいと思う。 ・全国には約20,000番線あって、そのうち約2,600番線あまりにホームドアが設置された。近年毎年約170番線にホームドアが設置されている。しかし、ホームドア未整備の番線がまだ約17,000あまりあり、全て整備するのに100年以上かかることになる。その整備が遅れるが故に約17,000番線あまりの安全対策をやめるというのは、論理が違う。私たちが考えるべきなのは、ホームドアがある駅でもない駅でもすべての駅において、「輸送の安全」を確保しなければならないということである。 ・鉄道事業者は、ホームドアがない駅で、どのように安全対策を進めるつもりなのか。 ・ホームドアのない駅での安全対策として、私は一人で安全に歩ける動線を確保することが自助にもなり、必要なことだと思う。労働力不足によりホーム中央ブロックを敷設できないということならば、代わりにどうやって安全対策をとるのか。 ・いくらAIカメラで転落を検知したとしても、落ちた直後に電車が来たら事故は起きてしまう。東西線や東武東上線での事故がそうであった。いかに転落しないようにするかが重要だが、その策はあるのか。 ・ホーム中央ブロックを売店等があるところで曲げるという誤解があるが、曲げる必要はない。売店があったら、点字ブロックの代わりにその売店の壁を頼りに歩くことができる。 ・狭隘部は、これまでの検討会でも阪神阪急電鉄の例をあげているが、誰にとっても危ないので、優先的にホームドアをつけるべきである。 ・中央ブロックとホーム端の警告ブロックの接近については、検討会で大倉先生も研究結果を発表されていたが、その間隔が80cm以下になったらそこでホーム中央ブロックを止めるのがよい。 ・労働力不足については、ホームドアと中央ブロックを整備する委託先が異なるので、影響は少ないのではないか。 ・内方線と誘導ブロックを間違えるのであれば、内方線の意味はなかったということになる。そこまで覆すことを国交省は容認するのか。 (東京都盲人福祉協会) ・内方線付き点状ブロック施工前後の転落実績をもとに議論すべき。 ○以下議論 (東京都盲人福祉協会) ・ホーム中央の歩行の仕方を教えてほしい。乗車と下車がイメージ出来ない。 (日本弱視者ネットワーク) ・例えば、階段から2両分移動すると仮定する。現状は、まず階段降りて誘導ブロックに沿ってホーム端の警告ブロックに接近する。そして警告ブロックを頼りに2両分歩く。この時、内方線の内側を歩く人や警告ブロックの上を歩く人、人や柱を避けるために線路側を歩く人がいる。ここで転落をしているケースが多い。 ・中央ブロックがある場合は、ホーム中央を誘導ブロックに沿ってまっすぐ2両分歩く。そこで右か左を向いて、警告ブロックを確認して乗車していくということである。 ・降車時は、電車から降りた後、80cm先の警告ブロックをまたぎ、その先にある中央ブロックを検知する。それが線状ブロックであることを確認し、右か左を向き、鳥のさえずりが鳴っている階段方向に向かうということである。 ・売店の話があったが、利用客10万人以上のような大規模駅を除き、実際には売店もそば屋もかなり少なくなっていると思う。鉄道事業者にその実情をうかがいたい。 (東京都盲人福祉協会) ・現状、乗車に関しては最短の距離でホームにドアの位置に持っていくという考え方で引かれている。下車してから最寄りのところに、最寄りの階段なり施設なりに行こうという発想でひかれている。ホーム中央にブロックが引かれれば、乗車の際にホーム中央部からホーム端に電車に向かって歩くこととなる。直進性の担保がきちんとできるか、それと踏み越しの問題についてはどう考えるのか。 (日本弱視者ネットワーク) ・ホーム中央を歩いてしまうではなく、むしろホーム中央を歩いた方がよいと思う。 ・「乗車時は最寄りのドアから乗ってください。降車時にホームを歩いてください。」と言ったところで、人は縛れない。電車が来るまでに時間があれば、乗りたい車両ドアまで長軸方向に移動するものである。実際に乗車時も降車時も長軸方向に歩いているのが実態である。 ・ホーム中央ブロックから電車に乗るまでについては、電車が入線し、電車が止まってから移動するのが安全である。その時に白杖をスライドさせながら警告ブロックを検知し、80cm先の電車のドアを確認して乗車するということである。 (東京都盲人福祉協会) ・そのホーム中央部から端部に電車が入ってくる前に移動するとかえって転落の可能性がある。ホーム中央よりもいいアイデアが必要。電車が止まってからドアを探すということになると、難しいのではないか。 (日本弱視者ネットワーク) ・現在視覚障害者が長軸方向を移動する動線は定義されていない。内方線付き点状ブロックは沿って歩くものではない。多くの人が点状ブロックを歩いて落ちている、または中央を斜めに歩いて落ちている。 転落の63.5%が長軸方向に歩いている時に落ちているという結果が出ている。さらに約10パーセントが降車後に階段を目指して歩いている時に斜めに歩いてしまって落ちている。合計すると、約 75%近くが長軸方向の移動時に落ちている。現状のブロックのままで、どうすれば私たちは安全に歩けるのか、教えていただきたい。 (東京都盲人福祉協会) ・ホームの構造上、当たり前のように長軸方向が歩く距離も長い。長軸方向が危ないというのは数字のトリック。実際問題どうやったら落ちないかっていう話をするべき。中央ブロックがあったら 100% 落ちないわけではなく、ホーム可動柵を優先してほしい。 ・ローカル線とか言うが、圧倒的にこのバリアフリー運賃の範囲に住んでいる方、鉄道を利用している方が多い。地方を切り捨てるのかではなく、まずある程度の人数が住んでるところを優先して、徹底的に可動式ホーム柵をやっていく。 (日本弱視者ネットワーク) ・数字のトリックではなく、中間報告に記載されているエビデンスに基づいて話している。 ・ホームドアが整備されていない約17,000番線に対してどういう手を打つのか。ぜひ案があったら出していただきたい。無人駅をなくすとか、ホームに駅員をはいちするとか、改札で声かけを徹底するのは実現はかなり不可能だと思う。 ・ホームドアは、平均7.1億円かかる。それに比べ、中央ブロックは金額的にも実現可能なラインだと思う。つまり、安全に歩ける動線を定義し、そして歩行訓練をしっかり行うのが実現性も高いと思う。 (日本視覚障害者団体連合) ・私たちの団体は検証を慎重にあるべきと発言している。 ・私たちの団体も賛否ある。中央部にマーカー的なものがある方がいいという意見もある。それに対してマーカーもさることながら、ホーム上にいろんなブロックが置かれると、かえって混乱をきたすという意見もある。ただ、中央のところ一つを取り上げて議論をしたことはない。 ・駅の無人化が進む中で、ホームの安全対策の一つの例として、(ホーム中央ブロックの設置を)挙げられているが、これを取り上げていかにも賛成しているという間違った解釈をされるのは辞めてほしい。駅が無人化されていくことは食い止められないので、それを認識した上で、安全対策を講じて欲しいという陳情活動を行っている。 ・賛成する人も誰かの話を聞いただけで、実際の体験をもとに賛成、反対の意見を言ってる人はなかなかいないのではないか。 ・私たちの団体でもコンセンサスは取る必要はあるし、ほかの団体もコンセンサスをとってもらった上で、この検討の場に持って来て欲しい。 ・団体の中で間違ったことを吹聴されると非常に困る。そういったことないように申し伝えておく。 ・中央部に何がしかを引くことに関する懸念材料は寄せられた声に限り紹介する。 ・点字ブロックをどうやって使うかというのは人それぞれ。内方線との違いを確実にわかるかどうか。 ・降車時に、中央付近を踏み越えた場合に誤認しないか。単軸方向での移動でこういうふうな誤認が起きることは、あってはいけない。 ・障害物を辿る際、人にぶつかる。新たなトラブルの元にならないか。 ○実証実験について (日本弱視者ネットワーク) ・日視連にお願いだが、できるだけ早く統一的な見解をまとめていただきたい。陳情書では去年も今年も要望が出ているが、この会議では中央ブロックは慎重であるべきと発言している。いったいホーム中央ブロックを進めたらいいのか、進めない方がいいのか、わからない。日視連は大きな団体なので、きちんとまとめていただきたい。 ・労働力の話があったが、ホームドアも中央ブロックもそれぞれ業者に委託すると思う。そうであるならば、労働力不足が影響するというのは違うのではないか。 ・内方線付き警告ブロックとホーム中央線状ブロックを間違えるのではということだが、これが識別できないのであれば、内方線を敷設した意味はなかったということになってしまう。 ・本意見交換会の目的は実証実験を目指すことである。労働力などの議論はその先の敷設のことであって、一番に考えるべきなのは、中央ブロックが安全対策として有効なのかどうかを実験することである。もし有効でなければそれで議論は終わりだし、有効ならば、その後にどうやって労働力不足の問題を解決していくかを議論していけばよい。鉄道事業者も国交省も、いくつかの法律にあるように「輸送の安全」を最優先に考えてほしい。国交省には議論を整理し、鉄道事業者からも出ていたが是非イニシアチブを取っていただきたい。 (東京都盲人福祉協会) ・実験はするべきだと思っている。 ・ロビー活動はやるべきではない。 (日本網膜色素変性症協会) ・実証実験はやることで何かがつかめてくると思う。 ・弱視では点字ブロックや内方線付き点字ブロックが認識出来、弱視者と全盲者の場合の対応は異なる。 ・全国に様々な駅があり、実証実験は複数やらないと実態像がつかめないし、数人の人たちが何回かやるだけでは不十分。 (盲導犬協会) ・実証実験は必要だが、有効な実験が出来るか疑問。 ・盲導犬は横軸方向では落ちない。盲導犬はホーム端側で踏ん張ってくれる。 ・ホームでは、乗客は点字ブロックのすぐ内側に立っている。そのため、視覚障害者の人は、点字ブロックの上しか歩けなくなってしまう。内方線付き誘導ブロックの内側に歩くスペースを作ることが重要。 ・中央ブロックは盲導犬が使えないことは強調したい。 (歩行訓練士会) ・点字ブロックを伝って歩けない人がいることが過去の実証実験で明らかになっている。新たな点字ブロックの敷設対策は難しいのではないか。 ・実証実験をやるのであれば、有効な結果となるような実証実験が必要。 ○(今後の予定) ・いただいた意見について事務局で検討し、次回の予定を決定。 以上