第14回 新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会 議 事 要 旨 日 時:令和7年5月7日(水)16:30~18:30 場 所:中央合同庁舎第3号館8階特別会議室(※ウェブ会議併用) 【開会挨拶(岸谷技術審議官)】 ・ 本日の議題は、まず1点目として前回同様に、この検討会の主目的である、ホームドアが整備されるまでの間、視覚障害者の方々が駅を安全に利用いただけるような新技術の導入事例を報告させていただく。 ・ 前回ご紹介した大阪メトロの、改札カメラを用いて白杖を検知してサポートするシステムに加え、今回紹介する、南海電鉄、JR東日本、阪急電鉄の、駅係員による介助の事前申し込みシステムについては、もう既に実証試験段階を経て、数十以上の駅で本格的に導入されている。 ・ 我々国土交通省としても、先進的な事例として、ガイドラインへの掲載など、普及に向けた後押しを進めたい。 ・2点目として、歩行訓練士会の堀内委員のご指導により、とりまとめられた『歩行訓練プログラム(案)』についても、前回に引き続きご審議いただく。特に、本年1月小田急電鉄のご協力により、唐木田駅でこのプログラムに則った歩行訓練を行っている。 ・一刻も早くプログラムを成案としたうえで、全国の鉄道事業者等に展開し、このプログラムに基づき、視覚障害者団体、歩行訓練士会、鉄道事業者など関係者が協力して、全国各駅で歩行訓練が始まることを大いに期待するところである。 ・本日も忌憚のない意見交換をよろしくお願いする。 【議事(1)新技術を活用した駅ホーム転落防止対策等について】 ・資料1に基づき説明。 (日本弱視者ネットワーク 宇野委員) ・「改札においてカメラで検知」について3点意見する。 ①管区内に無人駅があるかどうか。もし無人駅がある場合は、このシステムは人   がいなければ見守りや声かけにつながらないと思うので、その無人駅を将来的に有人駅にしていく予定なのか。 ②検知した後に確認をして追いかけるということだが、駅に2名はいないと機能しないのではないか。始発から終電まで2名体制が可能か。 ③阿佐ヶ谷の事故は、降車の後、階段に向かっている時に転落している。降車時にこの機能がカバーできる仕組みになっているか。 ・「事前申し込み」について2点意見する。 ①視覚障害者に特化して言うと、アプリやインターネットよりも従来通りの電話                    の方がやりやすい。ホームページやアプリは、ボイスオーバー等、音声スクリーンリーダーに対応して、視覚障害者が使いやすいアクセシビリティーを検証したか。 ②コールセンターの立ち上げの認知が広がっていないような気がする。せっかく立ち上げたのであれば、どの鉄道事業者の情報も一気に見られるサイトを設けて、私たちにその番号がわかるようにしていただくのがよいのではないか。 (大阪メトロ) ・現在も今後も無人駅の計画は現時点ではない。常時駅係員がどの駅にもいることから、基本的にはその係員が確認をして必要であればサポートを提供する。 ・1名で運営している駅もあるが、今年度中に可動柵を設置するべく工事を進めている。見守りシステムを導入している38 駅についてもホーム柵が導入済みであり、案内が間に合わず、軌道へ転落する危険性はないと考えている。 (相模鉄道) ・無人駅はない。改札における無人コーナーは存在しているが、遠隔でカメラ巡視     をしている。遠隔センターの係員が防犯カメラの映像を見てそのようなお客さまがいた場合には、連絡をしてすぐに係員を派遣する。 ・ホームドアは、27駅中 26 駅に設置済み。残りの1駅については、改良工事中である。今、ホームドアを設置してない駅は、常時係員が窓口に配置されている駅であり、見落としはないと考える。 ・他駅から利用されるお客さまについては、乗車駅から降車駅に連絡をして、係員対応する形になっている。 (南海電鉄) ・音声読み上げ機能については、サイト上にその機能はなく、お客様さま側の使用ツールに依存している。 ・白杖を利用のお客さまがこのサービスをご利用いただいたケースがあり、そういった方々の意見を注視していきたい。 ・コールセンターを2年ほど前に開設したばかりである。お客さまに広く周知するという観点では、検討する余地がある。 (JR東日本) ・サイト上に読み上げ機能はないが、コールセンターを立ち上げた。ホームページ   を使うのが難しい方、視覚障害者に限らずホームページよりも電話をしたいというお客さまがいたら、コールセンターに連絡していただく形をとっている。サービス展開により従来通りのやり方を廃止するのではなく、あくまでご案内の選択肢を増やしたという形で取り組んでいる。 (阪急電鉄) ・1点目に関しては南海電鉄と同様にサイト自体に読み上げ機能はついていないが、お客さまの端末のスクリーンリーダーを使うことによって読み上げることが可能検証している。トランスレポート社の方でアクセシビリティー委員会にて、実際に車椅子を利用している方や、視覚障害をお持ちのお客さまをチームメンバーとして、このアプリを使用してフィードバックを得る取組をしている。その中で実際にスクリーンリーダーを使用し、予約ができることを確認している。一部読み上げがうまくいってないとのフィードバックをいただいており、今後は対応できるようにより良いサービスにしていく予定である。 ・お客さまへの PR 方法としては、ホームページや名刺ほどのサイズの PR カードを作り、普段ご利用いただいているお客さまに対して PR を行っているが、各社一元的なものはないので、今後の検討課題としたい。 (日本弱視者ネットワーク 宇野委員) ・ホームページやアプリは、本当に使いやすい状態になっているかチェックが必要である。 ・当日申し込みをすることに関して、最近あまり良くない動きがあるので、話したい。インターホンが増えているが、インターホンの位置を示す音源がインターホンとずれている。その音源に近づいてインターホン探してもないということが起こっている。 ・もう1点、インターホンにたどりついた時にタッチパネルになっており、視覚障害者が駅員を呼び出すことができない。こういうところはぜひ直していただきたい。 (慶應義塾大学 中野委員) ・カメラ検知システムの3社にお伺いしたい。ホームドアもしくはホーム柵の設置というのが非常に進んでいるところだが、ホームドアやホーム柵がすべての駅に整った後も運用される予定なのか。 ・事前予約システムについて、ホームページそのものがアクセスブルであるか。つまり、JIS 8341 に対応しているかどうか。また、専用のアプリを使わざるを得ないのであれば、その専用のアプリというのがボイスオーバーをはじめとした視覚障害のある人たちが利用しているスクリーンリーダー等に対応しているか、という2つの観点で見ていく必要があるかと思う。 ・国土交通省のガイドラインで、ホームページに関してはこの JIS に準拠することが推奨されているので、一定の対応をしていただいていると思うが、宇野委員からの指摘のように、アプリの場合、本当に必要な要素を読み上げてくれるか確認が必要と思う。 ・阪急電鉄が導入されているシステムはイギリスのシステムということであった。イギリスではアクセシビリティー法に基づいているので、おそらくアクセスブルになっていると思うが、それを日本語にカスタマイズする時にアクセシビリティーが必ずしも十分ではないということはあり得ると思う。改善の状況がどうなっているか教えていただきたい。 (大阪メトロ) ・今年度中に全駅に稼働柵が設置されるが、この AI 見守りシステムについては、改   札でお困りの方を早期に発見してサポートに役立てることを目的にしているため、今後、全駅に展開していきたい。 (相模鉄道) ・ホームドアが全駅に整備されたからといって、このシステムをやめてしまうとい   うことはない。省人化も進んでおり、サポート対応をおろそかにしてはいけないため、今後拡大に向けて検討していく。 (南海鉄道) ・専用のアプリについては、このサービスを利用する上では必要なく、弊社のホームページから予約していただくことになる。公式アプリからも予約できるとあるのは、公式アプリからホームページへのリンクがあり、予約するようになっている。公式アプリの中の事前申し込みだけではなくて、公式アプリ全体でアクセシビリティーを考慮しなければと思うので、今後の検討課題とさせていただく。 (JR東日本) ・アプリはなくホームページでの対応である。ホームページはJISに対応している。いただいた意見は大事にしながら今後アプリなどを作っていく場合は、考慮していきたい。 (阪急電鉄) ・アプリではなく、ウェブでの予約となっている。スクリーンリーダーのフィード   バックについてはウェブページでスクリーンリーダーの遷移がわかりにくい場所があるという指摘をいただいており、改善を図っているところである。 (慶應義塾大学 中野委員) ・後半のシステムはいずれもホームページで対応しているということで旧バリアフリー政策課が作っているガイドラインに準拠した上でやっていただいている。 ・今後、専用アプリができるにしても、ホームページをしっかりと JIS に対応させ、必要な情報が提供できるようにしていただけるとありがたい。 ・もう1点、定期的な利用ができるのかについて、教えていただきたい。 (成蹊大学 大倉委員) ・事前申し込みについて、各社様々なシステムを使っているが、タッチパネルやボタンを押す操作系について、将来的に標準化した方がいいと思うがどうか。 (南海電鉄) ・複数日を一括して予約するような機能はない。 ・その都度、事前申し込みをいただく必要がある。機能の一部として、以前登録した内容と同じ内容をコピーして予約できる機能があり、繰り返しご利用いただく方の予約の手間を少し低減している。 ・操作系については、各社の機能について比較したことがないが、利用駅や利用日、利用時間等、入力する事項は一緒と考えており、大きく外れないと思う。 (JR東日本) ・定期利用に関し、南海電鉄と同様機能の一部として、以前登録した内容と同じ内容をコピーして予約できる機能があり、繰り返しご利用いただく方の予約の手間を少し低減している。今後、お客さまからのご意見等をふまえながら適宜見直していきたい。 ・他社との比較では、同じではないと思っている。入力する項目は共通しているところが多いと思うが、標準化については今後の課題であると認識している。 (阪急電鉄) ・1 点目の定期利用については、システム導入以前の駅窓口への申し出や電話での   受付であれば、一括で複数日程予約を受け付けているが、システム上は機能が入っていない。今後の検討課題である。 ・2点目の各社の標準化については、入力事項に大きな変わりはないと思うが、相互直通運転している路線について、現行は対応していない。阪急線内で完結しているもの以外はシステムで予約できなくなっており、今後、検討していきたい。 (日本視覚障害者団体連合 三宅委員) ・まずカメラの方で大阪メトロにお伺いしたい。他社2社は白杖、車椅子に加えて盲導犬も検知できると発表があった。大阪メトロが導入しているシステムについては、盲導犬の検知を課題として考えているか教えて欲しい。 ・事前申し込みについて説明していただいた3社に、予約システムのウェブサイトで申し込みをした際に、どういうふうなフィードバックがあるかを教えて欲しい。 ・関連して、阪急電鉄が言及した、他社への乗り換えも含めた移動をする場合、この予約システムですべて可能かどうか伺いたい。 (日本歩行訓練士会 堀内委員) ・2点、質問がある。冒頭で宇野委員が3点質問されたと思うが、3点目の降車時に対してカバーできるかという質問について、今回のシステムを利用して、駅ホーム上の白杖をお持ちの方を検知して、駅係員による見守りや介助につなげることができるのか、考えを聞かせていただきたい。 ・介助を申し込む場合、南海電鉄も電話での対応は現時点でも可能か。 (大阪メトロ) ・盲導犬の検知は対応しておりず、今後の検討課題である。 ・ホーム上の検知について、この AI 見守りシステムを導入する前提として、同一路線に可動式ホーム柵が設置されていることがある。そのため、今のところホーム上の検知は考えていない。また、今年度中には全駅で可動式ホーム柵が設置されることから、今後についても今のところ検討はしていない。 (相模鉄道) ・ホーム上の検知については、現時点では検討していない。 ・一部改良工事中の駅があるが、そこには必ず人がいて、乗車駅から降車駅に対応を依頼し、必ずホームに係員が手伝いに伺う。今後についても、現時点ではホーム上の検知というところは予定にない。 (南海電鉄) ・まず、申し込みが終わった後のフィードバックについて、事前申し込みする際にメールアドレスを登録いただいており、基本的にはシステム上でメールが飛ぶようになっている。まず申し込みいただいたら、申し込みした旨のメールが送信され、駅係員が確認したら、その結果がまたメールで届く。はじめに申し込んだ時点で予約完了ではない。駅係員が確認した後に予約完了という流れである。 ・2点目の他社への乗り換えについては、現時点では対応しておらず、当日、他社へ乗り換えることを申告いただく。 ・3点目の電話の対応はしている。係員に直接申告いただいても問題ない。 JR 東日本と同様にこのサービスを開始したことによって、選択肢が増えたという考え方である。 (JR東日本) ・南海電鉄と同じである。事前申し込みを受けた段階で、申し込みを受けましたというメールを1回お返しする。その後、乗車駅と降車駅で案内できることを確認できた段階で、ご案内できますというメールをお返しする。 ・他社への乗り換えは、このウェブシステムでは対応できてない。 (阪急電鉄) ・システム利用にメールアドレスの登録が必要である。お客さまがまず予約をリクエストした時点で、予約をリクエストしましたというようなメールを自動で返す。その後、乗車駅、降車駅、乗換駅を含めて、すべての駅で対応できることを確認した後、お客さまに予約確定ですというメールを送るシステムである。 (日本弱視者ネットワーク 宇野委員) ・今回発表いただいた鉄道事業者は、基本的にホームドアの設置率がかなり高い。また、既に設置済みということなので、非常に様々なサービスが手厚い状態である。問題はこれを全国に広げていく時である。ホームドアがないところでの降車、介助の約束がされている場合は、当然降車駅で待っていただけるが、多くの事故というのは、介助依頼をしないで一人で乗降する場合に起きるので、降車をどうするかというのが課題である。 ・無人駅はないという鉄道事業者ばかりであったが、全国に、無人駅がおよそ半分ある。その無人駅に対してAI カメラの検知というものを機能させていくためには、有人駅にできるかどうか、この辺が課題である。 (日本歩行訓練士会 堀内委員) ・色々なシステムを活用し、検知ができ、見守りに結びつくところを推奨いただければありがたいところだが、事務局としてどう考えているか。 (国土交通省) ・前回の検討会で紹介した、ホームで白杖を検知し、注意喚起の案内をすることに ついては、過去の検討の中で、検知から放送までの時間差に課題があり、短軸方向に進もうとしている人を止められないという課題があったと記憶している。 ・令和4年に穴守稲荷という駅で、ディベロッパーが実証実験を行った。堀内委員の言うように結果を刈り取れていないので、可能であれば報告したい。 (東京都盲人福祉協会 市原委員) ・相互直通運転が進んでいるので、他社間の連絡が確実になると、より便利かと思う。 ・ホームページについて、私たち視覚障害者から見ると、会社間のちょっとした違いがちょっとした違いではないので、国土交通省で標準化モデルを作ってくれると非常にやりやすい。 (埼玉県網膜色素変性症協会 田村委員) ・鉄道事業者が技術革新に協力してくださり、ありがたい。今の2つの技術が、全国の大手、中小、地元の鉄道会社にどこまで共有していけるか、見通しで結構なので伺いたい。 (国土交通省) ・市原委員の指摘の通り、各社バラバラでやっていても使いづらいものになるの  で、標準化は尤もだと思う。事前に予約するシステムを3社紹介したが、私の知る限り、この3社ぐらいしかなく、今の段階では標準化まで検討できてないのが実態である。いずれ、基本的なルールについて案を作るのはありだと考えている。 ・(こうした対策は)今、各鉄道事業者に対して、これをしなければならないというまでの強い推奨にはなっていない。試行錯誤段階であるので、より良いものに改善しつつ普及していく。ガイドラインに掲載しても、義務にはならないと思うが、推奨する形の紹介をし、できるだけ鉄道事業者に使われることが大事だと思う。 (国土交通省) ・紹介した技術は、バリアフリーガイドラインへの掲載を検討していきたい。 【議事(2)鉄道における歩行訓練プログラム(案)について】 (国土交通省) ・資料2、3に基づき説明 (日本歩行訓練士会 堀内委員) ・資料4に基づき説明 (日本弱視者ネットワーク 宇野委員) ・歩行訓練プログラムについて3点申し上げる。まず、考えなければ  いけないのは、とにかくホームからの転落をなくするということである。一丁目一番地で考えなければいけないことは電車がいないところでホームに落ちて、そして電車が来てはねれられてしまうというようなこと。 ・このプログラムを見ると、メインが、電車がいる時にその連結部とかドアの位置を確認して乗り込むことであり、それで大怪我をしたり亡くなったりすることは、今までにはほぼ起きてないと思う。やはり一番に考えるべきなのは事故の多くを占めている長軸方向である。 ・一旦プログラムを決めてしまうと、そう簡単には改善できないと思う。最も事故となっているケースに対してプログラムを立てるべきだと思う。 ・2点目。環境整備と訓練というのは、車の両輪だと思う。したがって、現在は歩行導線が示せてない状況のため、どうしても長軸方向の訓練はできない。急がば回れでまずはきちんと歩行導線を確保する。そしてその歩行導線を正しく歩いて安全にホーム上を移動できる。これがやはり順番ではないかと思う。 ・3点目。プログラムが国交省との連盟という形になっている。そもそも歩行訓練士は厚労省管轄ではあるが、様々な報道を見ると歩行訓練士の数は全国 250 名弱。そして場合によって二年待ちになっている。こういった状況も踏まえ、歩行訓練の体制を考えると、やはり国交省だけでできるわけではないし、一旦国の名前で出してしまうと、「これをまず実施すればかなり事故は減るのだ」と思われかねない。 ・国交省のみならず、厚労省とのすり合わせできているのか。また、なぜこれを国交省の名前を連盟にして出すのか。訓練士会だけでも良いと思うがどうか。 (国土交通省) ・先ほどご指摘のあった長軸方向と短軸方向の転落について、57件の転落のうち今 61.4% の35件が長軸方向の転落だが、38.6%である 22 件も短軸方向で起きている。列車があると思い込み、足を踏み出したら列車がなかったという勘違いで転落したのは12件である。これはアンケートの結果によるものである。つまり、短軸方向に歩いて列車がいると勘違いして落ちる方も、それなりにいらっしゃる。 ・そういった方にとっては列車の乗り方についてしっかりと確認するための訓練も大事であると思う。 ・一方で、長軸方向については、ホーム中央ブロックの話を含めて、現時点で議論中であるので、歩行訓練プログラムには、今できることをしっかり打ち出そうというのが、私どもの考えであり、今後改善していくということもプログラムの中に書いてある。 ・(プログラムの作成者に国交省が名を連ねていることについては)鉄道駅でこれだけの転落事故が起こっていることについて、国土交通省としても非常に重要な課題と認識をしているため、歩行訓練士会とともに、我々も作成者に名を連ねさせていただいた。 ・訓練士の方が足りないこともあると思うが、できることをしっかりやるということが基本的な考えになると思う。 (日本弱視者ネットワーク 宇野委員) ・歩行訓練というのは少なくとも、階段からホームに降り立つ、そして乗りたい車両に行くドアに行く、または降車時に階段まで行く。これらを含めて全体像として本来はこういうプログラムが必要であるが、今回は時間の関係で一部に特化して作成し、その他の部分についてはまだ環境整備ができてないので記載がないということを示しさないと、まるでこのプログラムだけをすれば良いような誤解になるのではないか。 (国土交通省) ・長軸方向と短軸方向の数字は、2つある。アンケートの結果で出た数字と、ヒアリングを実施した数字に分かれているため、少数1桁が数パーセントのところで誤差が生じている。 60 数パーセントと 40%パーセント弱というのは基本的に同じと考えている。 ・国交省としては、今この問題に対して、やれることをやるということで、先ほどと同じ回答となるが、今、本プログラムをまとめておくということが大事だと思っている。 (東京都盲人福祉協会 市原委員) ・車両間の転落防止のゴムが出来上がってきているが、これが進めば車両間の転落  はかなり防げると思う。転落防止幌の設置で、車両間に落ちる可能性はかなり少なくなり、歩行訓練でも扱う必要がなくなるかもしれない。設置状況はどれくらいか。 (国土交通省) ・車両間の幌については、確認が必要であるが、バリアフリーガイドラインで設置  が推奨されているので、国交省としても指導していく。 ・設置状況について、データは手元にないが、車両間の転落防止については、ガイドラインを含めてしっかり指導しているものである。 (慶應義塾大学 中野委員) ・令和7年1月15日に発出された事務連絡について、どのように周知されたの  か、また現在ホームページ等でも確認できるような状況になっているかお教えいただきたい。 ・今、議論になっていた一丁目一番地は何かという話に関しては、環境としては、言うまでもなく一丁目一番地はホームドアの設置であろうと思う。 ・もう一つ重要な点は、ヒューマンエラーで起こっていることである。危険性を周知する必要性があると思う。今回の歩行訓練プログラムそのものについては良いと思うが、このプログラムの前提として、やはり危険性があるということをまず伝えた上で、その危険をなるべく回避するためには、どういう行動をとればよいか周知されることが重要だと思う。 この点については、ぜひ歩行訓練士である堀内先生のご意見をいただきたい。 ヒューマンエラーをなくすという意味で、一番にまず伝えるべきはテクニックの前に、実はホーム移動が非常に危険を伴うものであるということと私は理解しておいるが、それ理解で正しいか教えてほしい。 (国土交通省) ・事務連絡の発出について、前回の検討会でプログラム案を取りまとめていただい  たので、岸谷の方から申し上げたように、できるだけ早くこの内容を鉄道事業者に理解していただくため、まだ案の段階であったが、鉄道局技術企画課から各地方運輸局を通じて全国の鉄道事業者に発信した。本日取りまとめがなされれば、改めて修正された事務連絡を発出し、このプログラムを再度周知する。 (慶應義塾大学 中野委員) ・私のところには様々な地域の盲学校からこの訓練を実際にやりたいという声が上がっている。先ほどの報告では盲学校で実際に実施したケースが十分に報告されていなかった。例えば、盲学校長会等を通して、こういう申し出があれば実際に訓練ができますよというようなことを周知していただけていれば、実施するところが増えるのではないかと思う。今後の周知の時にはそういうことも考えているか。 (国土交通省) ・事務連絡を出してから効果が出るまでには少し時間がかかると考えている。改め て案の取れたプログラムを鉄道事業者に事務連絡で周知するとともに、ご指摘いただいた、ホームの危険性についても事務連絡の中に含め、鉄道事業者の理解を求めていきたい。 ・プログラム案の最後のページで「本プログラムを用いた歩行訓練の実施をもって駅ホームからの転落事故が全て無くなる訳ではない点に留意し、歩行訓練の参加・実施経験により過度な安心感を持って行動することがないよう参加者・事業者共に注意されたい。」と記載があり、ホームの危険性やそれを軽減することの重要性についてはこの文に込められている。 ・3ページの基本訓練の内容の事前説明のパートで、ホームの危険性やそれを軽減することの重要性について話すものであると理解している。 (日本歩行訓練士会 堀内委員) ・1回目の歩行訓練で岸谷技審にも同席いただいたが、もっと詳しく記載する必要があるとも考えている。具体的には、短軸・長軸方向の転落事例、スライド法や床の確認の重要性、プログラムは短時間のため一部しかご紹介できないこと、本プログラムのみで駅ホームを安全に歩けるあるいは安全に乗降できると思わないでほしいこと、それぞれの地域にいる歩行訓練しに必ず繋いでほしいことを説明する必要がある。 (国土交通省) ・事務局としてはこのプログラム案について、堀内委員と相談させていただく。また、中野委員からご指摘のあった点については十分でないところがあるため、各委員やオブザーバーの厚労省と協力し、団体等への周知を今後進めていきたいと思う。 (慶應義塾大学 中野委員) ・ぜひお願いだが、このプログラムを作っていただく際に、最後に危険性を書くの  ではなく、最初になぜこういうプログラムを実施するかということを、これまでのデータも示しながら、明確に趣旨として伝え、その上でプログラムの内容に入るように、修正をお願いしたい。 (日本盲導犬協会 吉川委員) ・歩行訓練の全体像の事前説明の箇所で、誘導ブロック、点状ブロック、内方線付  き点状ブロックの役割を学ぶと書かれている。また、2のところで短軸方向でホーム端に接近する、線路に向かってスライド法で接近し、白杖が落ち込んだらすぐに止まる訓練と書いてある。白杖が落ちる前に当然のことながら内方線付き点状ブロックを超えていくわけだが、歩行訓練ではこの内方線付点状ブロックを積極的に活用することはしないのか。 ・盲導犬の場合は、短軸方向は危ないので、非常に小股で歩き、歩幅を小さくして線状ブロック、点状ブロックを踏むとことをかなり確認させる。遠端部の手前にブロックがあるわけなので、これを積極的に探しに行くことはしないのか。 (日本歩行訓練士会 堀内委員) ・現実的には、電車来るまでに遠端部分にスライド法で近づき、内方線あるいは遠端ブロックを捉え、そこで待つ形になるので、電車が入ってから線を確認することは、現実的には少ないかと思う。 ・今回の歩行訓練プログラムの中で実施した基本的な短軸方向というところは、スペースの問題など様 々 あると思うが、線上ブロックの少し後方から接近して乗り越え、白杖が落ち込んだところで止まるところに主眼を置いた。 ・実際、内方線付点状ブロックや警告ブロック、線状ブロックがどう敷設されているかについては、これまでも口頭で説明した程度である。 ・鉄道施設の説明や体験と合わせて実施していただいた事業者については、ブロックや係員呼び出しインターホンを実際に触ることもした。これらは駅施設の体験であり、純粋な歩行訓練の内容からは外れたプラスアルファのものである。最低限、基本のプログラム、つまりスライド法と短軸乗降ができれば良いと考えている。 (JR東日本) ・歩行訓練プログラム案の8ページについて、上段の部分もイベントとして実施するとの理解をしてよいか。 (国土交通省) ・上段については、イベント的なところを主眼に記載している。 (JR東日本) ・それでは上段の部分については、下段のイベント開催の申し込みがあった場合に  続けての記載をした方が分かりやすいと思う。また、計画の見直しというよりも運行状況のお知らせをするといった記載にしてほしい。計画の判断は、主催者の方になると思うので記載についてまた別途相談したい。 (成蹊大学 大倉委員) ・今回のプログラム案では、短軸方向に進んで車両に乗る場面が取り上げられているが、今後、他の場面についても取り上げていくという理解でよいか。 (国土交通省) ・その理解である。 (埼玉県網膜色素変性症協会 田村委員) ・車両の確認は、例えば始発、終点駅ではなく途中駅で実施することは基本的には  難しいということか。例えば、停車時間の数分の間に体験会はできるか。 ・歩行訓練はホームがこれほど高いということを感じてもらえるため無駄なことではないと思っている。また短軸方向の移動の体験も必要である。 ・下高井戸駅はカーブがきつく、ホームと車体の間が 30cm ほど空いている。まっすぐなホームだけでなく、こういった環境での体験も必要と感じる。 (国土交通省) ・環境や、駅の構造等 々 については、主催者側と鉄道事業者との話し合いの中で進  め方を考えていくことである。 ・始発、終点駅でないと体験ができないかということについて鉄道事業者にお答え  いただきたいがすぐには回答できないようである。中間駅については状況次第であろうと考える。 ・堀内委員に指導いただきながら、また、リスクの書き方について中野委員にも確認いただきたい。加えて、 JR 東日本からの問題提起もあったのでJR東日本とも相談した上で案を取り、公表したい。 【議事(3)その他】 (日本弱視者ネットワーク 宇野委員) ・資料5に基づき説明 (国土交通省) ・ホーム中央ブロックの件については、その議論のために意見交換会を設置してい  るので、そこで合意に向けた議論をさせていただく。 ・ホームドアの件については、整備には数億円から十数億円かかるため、1万7千  番線がすぐに整備できるわけではない。バリアフリー料金制度も活用し、整備を加速させているところでもある。より効果がある箇所に優先的にホームドアを整備するということが大前提であると回答したい。 (日本弱視者ネットワーク 宇野委員) ・日視連の陳情書にある通り、無人駅を中心に、鳥のさえずりの音声とホーム中央   ブロック、これで最低限の安全対策は自助でもできると思う。 (鉄道総合技術研究所 鈴木委員) ・宇野委員の歩行動線を示すべきということに関しては賛成であるが、それが長軸方向のブロックなのかということは別の議論であると思う。 ・長軸方向のブロックに関しては、最も意見を聞くべき当事者の方 々 の意見が一致してないということに尽きる。どんなに考慮された実験であっても指摘は出てくる。例えば、被験者数が十分だったか、被験者の偏りがないか、実際の条件をどれだけ模擬できるか、どういった場合でも成り立つ結果と言えるのかなど。一度や二度実験を実施したからといって否定されない実験結果を出すということはできないと考える。そうなると結果を得るまでには何年もかかるということであって、現実的ではないと思う。 ・最も意見を聞くべき当事者の方の意見が一致してないのであれば、また、中央ブロックの敷設を進めることでもし、ホームドアの敷設が遅れるというようなことがあるのならば、本日冒頭で各事業者が新技術による取り組みを紹介したが、例えば画像検知システムの検知範囲を広げること、事前申込システムの各社の連携や標準化、それからアクセシビリティーを充実させていくこと等、中央ブロックの可否以上に効果的かつ建設的で、取り組むべき課題があるように感じた。 以上