第13回 新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会 議 事 要 旨 日時:令和6年10月7日(月)16:00~18:00 場所:中央合同庁舎第3号館6階鉄道局大会議室(※ウェブ会議併用) 【開会挨拶(岸谷技術審議官)】 ・本日はお忙しいところ第13回「新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会」にご参加いただきありがとうございます。本来は7月頃の開催予定であったところ、こちらの事情で開催が遅れてしまったことお詫び申し上げます。 ・本日は、この検討会の主目的である「新技術を活用した安全対策」についてJR西日本様、大阪メトロ様よりご説明いただきます。どちらも既に導入が決まった先進的な事例でありますので、私共も導入、普及に向けた後押しをしていきたいと思います。 ・二点目として、「鉄道における歩行訓練プログラム」の案ができましたのでご紹介させていただきます。このプログラムにより駅ホーム、車両を使った歩行訓練が始まることを大いに期待しております。さらにホームの中央ブロックについての意見交換もさせていただきます。 ・様々なご意見があるところですが、委員の皆様と忌憚のない意見交換をさせていただき、議論を深めて参りたいと思います。 【議事(1)新技術を活用した駅ホーム転落防止対策等について】 (国土交通省) ・資料1-1に基づき説明。 (JR西日本) ・資料1-2に基づき説明。 (大阪メトロ) ・資料1-3に基づき説明。 (日本弱視者ネットワーク 宇野氏) ・AI見守りシステムについて、ホームドアのある駅で導入とのことだが、ホームドアがない駅では導入しないのか。転落防止のためというよりは、転落の危険性がない駅で利便性の向上を目指しているということか。 ・お困りの方を検知したら係員が向かうとのことだが、いつ困るかは分からないのではないか。ホーム上で困ったらそこまで駆けつけることができるのか。 (大阪メトロ) ・弊社では2025年度中に全駅にホーム柵を設置する予定であり、その計画と併せて最終的には全駅での導入を目指している。導入の目的としてはおっしゃる通りである。 ・このシステムは、改札口が無人の時間帯などに切符の購入や自動改札機の扱いに困られているような状況を駅係員がモニターで確認した場合に駆けつけてお手伝いさせていただくものである。改札口においてインターホン等で申し出ていただければ改札内でも駅係員がサポートさせていただく。 (慶應義塾大学 中野教授) ・AI見守りシステムについて、画像認識技術で白杖を検知するとのことだが、白杖を操作していない場合でも検知されるのか。ロービジョンの人の中には白杖を操作せず携行して自分が視覚障害者であることを周囲の人に知ってもらうという歩き方をしている人もいる。 ・若い方が白杖をデコレーションしているケースや、手助けが必要な際に白杖を高く掲げて支援を依頼するケースなどもあるが、このようにすると検知されやすいといったことはあるか。 ・検知されなかった5%はどのようなケースなのか。このような場合は検知されにくいというものがあれば教えていただきたい。 ・現状は白杖だけだが、将来的には盲導犬のハーネスなども検知できるのではないかと思う。ぜひ今後の開発で検討していただきたい。 (大阪メトロ) ・白杖の動きを捉えるのではなく白杖という物体そのものを認識する仕組みであり、操作しているかどうかは関係なく検知可能である。 ・カメラが物体として捉えるのでカメラに対してよく見えるようにしていただくのが一番であるが、こうしたことで検知されやすくなった、という実証は行っていない。 ・ケースとしては分類できていないが、白い杖なので、白い服を着ている方は背景と重なって検知されにくくなることが想定される。 (成蹊大学 大倉名誉教授) ・ホーム安全スクリーンについて、二次元センサーをもう少し内側に向けてホーム端に人が接近していることを検知するような応用は考えられないか。 (JR西日本) ・隙間転落などの検知に使えないか技術的に試しているが、なかなか難しく実証には至っていない。 (日本弱視者ネットワーク 宇野氏) ・ホーム安全スクリーンについて、検知したら即電車が止まる仕組みとした方が接触率は下がるのではないか。駅執務室に連絡がいってから非常ボタンを押すというのは、誤検知ではないことを確認してから電車を止めるということか。 (JR西日本) ・現在の仕組みとしては、検知すると自動的に非常報知灯という赤い光が乗務員に見えるようになっており、駅係員が誤検知かどうか等を確認せずとも乗務員がブレーキをかけられるようになっている。 (日本弱視者ネットワーク 宇野氏) ・資料にはないが、QRコードを使ったshikAIについて、ホームドアがない駅には導入されていない、予定もないということでよいか。 ・議事(4)のホーム中央ブロックが整備され、そこにQRコードが埋め込まれればホーム端を歩かずに済み、利用価値がでてくるのではないか。また、QRコードにも色々な種類が出てきているが、感度にも違いがある。どこかで検証して統一化する必要がある。 (国土交通省) ・現在導入されているのはホームドアがある駅であるが、ホームドアがある駅でしか使えない技術というわけではない。新技術を活用した駅ホームにおける安全対策として広い視点で見ていただきたい。  (国土交通省)  ・ホーム安全スクリーンの質問に関して、JR西日本のご説明では自動的に停止信号が出て乗務員が停止するという仕組みということであったが、資料1-1のP.4では、カメラで転落を検知した後に駅員が列車停止ボタンを操作するという図になっており、誤解を与えるような資料となっていた。 ・以前から転落検知マットを整備してきたと思うが、今後の整備の方向性としてはこのホーム安全スクリーンにかじを切っていくのか、転落検知マットとのすみ分けがあれば教えていただきたい。 (JR西日本) ・転落検知マットとホーム安全スクリーンはホームに転落した方を検知するということで似たような機能であるが、今後はホーム安全スクリーンがメインになると考えている。転落検知マットは小動物なども検知してしまうが、ホームと車両の隙間が広い部分に対して転落の検知などには有効である。それぞれの機能の適材適所を考えていきたい。 (国土交通省) ・ホーム安全スクリーンについて、トータルで83駅、約240番線に整備予定であるが、この中に無人駅は含まれるか。また、無人駅において、運転士からまだホームが見えないときにブレーキ信号が出た場合は、ホームの安全確認はどのように行うのか。 (JR西日本) ・今回の説明資料では省略しているが、2Dセンサーとカメラが連動するシステムになっている。在来線であれば20メートル間隔でセンサーを設置するが、検知したエリアの検知した時間の状況を映像で残しており、遠隔でも見られるようにしている。また、駅係員がいない場合は乗務員でも復旧できるようなルールにしている。 ・83駅の中には無人駅も含まれている。 ・今後の計画では、鉄道駅バリアフリー料金配備の対象だがホーム柵の設置が10年先となるような駅についても安全スクリーンの設置対象としている。 (日本歩行訓練士会 堀内事務局長) ・資料1-1のP.3のホーム端を歩行する視覚障害者を検知する技術について、非常に有効であると思うが、今後実証実験を進めるなどの動きはあるか。 (国土交通省)  ・こちらについては今のところ動きがないが、資料1-3でご説明いただいた通り、白杖検知の技術が上がってきているので、引き続き動きを見守りたい。 (日本視覚障害者団体連合 三宅部長) ・白杖検知システムについて、大阪メトロの駅も無人化が進んでいると思うが、今後はインターホンがつながっているオペレーターセンターのような所との連動などは考えられるか。 (大阪メトロ) ・大阪メトロでは現在無人駅は検討しておらず、駅には必ず係員がいる状況である。インターホンは遠隔案内センターとつながっているが、こちらに通知することは検討しておらず、現地ですぐ対応できる駅長室に通知し、駅係員の判断でサポートさせていただいている。 (慶應義塾大学 中野教授) ・ホーム安全スクリーンについて、非常に素晴らしいシステムであると思うが、検知実績が95%ということで、検知できなかった5%はどのようなケースだったのか。実際には転落したが検知できなかったという意味か。 (JR西日本) ・最初のシステム設計の中でこれまでの落ち方を分析しセンサーの設定を行ったが、センサーの光軸ラインを飛び越えて落ちるケース、センサーにかからずに落ちるケースなど、落ち方がこれまでの分析に当てはまらずシステムで検知できなかった事例があった。 ・酔客が勢いよく落ちてしまうなど検知が難しいケースもあるが、対策ができるものはシステムを微調整しつつ運用している。想定していない落ち方でない限り比較的検知できていると考えている。 (東京都盲人福祉協会 市原常任理事) ・AI見守りシステムについて、改札口で検知するという理解でよいか。その場合、乗車時はよいが、下車の場合はどのように考えているのか。 (大阪メトロ) ・改札口の防犯カメラを活用して検知している。 ・ホーム上での検知は現在行っておらず、乗車する駅の改札口で申し出ていただければ降車駅に連絡して必要なサポートをさせていただく。 (東京都盲人福祉協会 市原常任理事) ・つまり改札口で援助依頼をするかしないかを確実にするという理解でよいか。改札口を通ったあとは当事者の自己判断ということか。 (大阪メトロ) ・不案内な駅に行かれるのであれば、事前に申告いただければサポートを手配する。 ・基本的には改札口で申し出ていただくか事前にご自身でご判断いただきたい。 【議事(2)鉄道における歩行訓練プログラム(案)の作成について】 (国土交通省)  ・資料2-1に基づき説明。 (日本歩行訓練士会 堀内事務局長) ・資料2-2に基づき説明。 (日本弱視者ネットワーク 宇野氏) ・中間報告の事故例では長軸方向に歩いているときに転落するケースが63.5%であるが、このプログラムで習得できることと長軸方向の事故を減らすということはあまりリンクしないのではないか。このプログラムはどのような効果があるのか。 (日本歩行訓練士会 堀内事務局長) ・本来の訓練では実際の駅の環境を見た上でできるだけ長軸方向を移動しないルートを検討し練習するが、このプログラムは限られた時間の中で、訓練の一部であるホーム上を歩く技術と乗降時の技術を取り上げたものである。 (日本弱視者ネットワーク 宇野氏) ・乗降時の訓練は重要であると思うが、歩行訓練全体からすると単発的で一部を切り取っているように思う。やはり歩行環境を整えて利用者の最寄り駅で目的地までの移動全体を訓練する必要がある。やって悪いことではないがこれだけで全てが解決するとは思えない。 (日本歩行訓練士会 堀内事務局長) ・限られた時間の中で限られた技術しか伝えられないのは重々承知の上で、イベント的ではあるが、鉄道事業者や当事者にまずは歩行訓練を知っていただき、事業者の理解促進と、当事者に対し本来の歩行訓練につなげていただくよう伝えるためのものである。 (日本弱視者ネットワーク 宇野氏) ・開催場所は47都道府県を回るのか。 (国土交通省)  ・現状そのような計画はないが、まずは昨年度作成した歩行訓練プログラム(案)の確認を1月に小田急で実施し、プログラムが実証され歩行訓練士と事業者が扱えるものとなった後で、どのように普及させていくか検討が必要であると考えている。 (日本盲導犬協会 吉川顧問) ・歩行訓練の有効性はもちろん盲導犬についても重々承知しているが、イベント的にでも実施する場合は費用がかかるので、そこを担保しないと普及は難しいのではないか。 ・現在歩行指導員は非常に少なく、お金が出ないものには人を出せないし、鉄道事業者も費用が曖昧なままでは年間計画に組み込むのも難しいのではないか。 (東京都盲人福祉協会 市原常任理事) ・盲学校では必ず歩行訓練を行うので、厚生労働省や文部科学省の方がノウハウがあるのではないか。費用の問題はそのあたりを巻き込む必要があるのではないか。 ・電車の形状は地域によって異なるので、基本的にはひとつのプログラムで行いつつも、個々には地域性を加味する必要があるのではないか。 (慶應義塾大学 中野教授) ・予算を付けていただくのも重要であるが、今回の資料で「鉄道事業者様へのお願い」という文章が入ることが非常に意味のあることで、今後、盲学校から鉄道事業者への依頼がしやすくなると思われる。 ・単発のイベントで終わるのは確かによくないが、道路の安全教室が定期的に行われているように、ホーム移動の安全教室のような取り組みがあってもよいのではないか。例えば年に一度でも取り組みが行われていけば、周囲の乗客にも周知が進み、声掛け運動の推進にもつながる。 ・文部科学省や厚生労働省とはぜひ組んでいただきたい。例えば盲学校の校長会にこのプログラムの情報を流していただければ、校長会から地元の駅に働きかけをし、すべての盲学校でこのプログラムを実施しましょうというようなキャンペーンができるかと思う。 ・三宅委員にお伺いしたいが、日視連も全国に関連団体をお持ちなので、日視連に音頭を取っていただき、歩行訓練士会の協力も得ながら全国に展開していくことは可能か。 (日本視覚障害者団体連合 三宅部長) ・加盟団体が全国にあるので協力要請は可能である。日視連と交通事業者だけではなく、厚生労働省や文部科学省、国土交通省にもご協力いただくことで有効に働くと思う。 (国土交通省)  ・プログラムのP.8で、視覚障害当事者、視覚障害者、という表現が混在しているので、特に意図がないのであれば統一した方がわかりやすい。 ・先ほどの中野先生のご意見について、鉄道事業者がどのように受け止めたか伺いたい。 (小田急電鉄) ・事前の準備があれば歩行訓練を受け入れるつもりである。営業線を使っての訓練となるため使用できるものが限られるが、専用の車両を用意し、ホーム上が混雑しない時間帯で計画を立てることが可能である。現在は1月の歩行訓練に向けて準備を行っているところである。 (JR東日本) ・これまでにも視覚障害者の方にホームの高さを体験してもらうなどの体験を行っている。全て希望通りにはできないかもしれないが、早めにご依頼いただき、列車の運行状況、時間帯、場所などを勘案し、現場の実情に合わせた取り組みを引き続き行っていきたい。 (日本盲導犬協会 吉川顧問) ・盲導犬を認定する際も必ずホーム上での訓練を行っている。青山一丁目の事故の後は鉄道事業者の協力も得られやすくなったものの、乗降客が多い駅等では何かあった場合を考えてまだ抵抗がある事業者もいるようである。そのあたりをより解消していただければと思う。 (東京都盲人福祉協会 市原常任理事) ・JR中央線に今年の10月からグリーン車がつくが、車両の形状が異なるということで、事前に車両の内覧会を開催していただいた。 (国土交通省) ・厚生労働省や文部科学省に対しては国土交通省で責任をもってお伝えする。 【議事(3)駅ホームから転落した視覚障害者からの情報取得について】 (鉄道局安全監理官付 赤間事故対策官) ・資料3に基づき説明。 (成蹊大学 大倉名誉教授) ・このような取り組みを鉄道局でやっていただけるのは非常に画期的である。継続していけるよう、当事者とつながりのある団体の方はぜひ広く周知していただき情報をお寄せいただきたい。私も関連するところで広めていきたいので、後ほどURL等を教えてほしい。 ・電話対応時間が平日の10時~18時となっているが、鉄道利用者は仕事を持たれている方が多いので、できれば電子メールでやりとりして電話の時間を決めるといった方法も可能にした方が情報が集まりやすいと思う。 ・周知にあたって、当事者の方が参加する会議等がある場合、リモートで国土交通省にも参加してもらい、その場でこの取り組みについてご説明していだたくことは可能か。 (国土交通省)  ・ホームページができたら皆様にご連絡させていただく。 ・電話、メール両方で連絡できるようにする。 ・時間次第であるが、リモートで説明することは可能である。 【議事(4)長軸方向の安全な歩行経路を示す方法について】 (成蹊大学 大倉名誉教授) ・資料4-2に基づき説明。 (日本弱視者ネットワーク 宇野氏) ・資料4-3に基づき説明。 (鉄道総合技術研究所 大野主任研究員) ・資料4-4に基づき説明。 (日本歩行訓練士会 堀内事務局長) ・資料4-5に基づき説明。 (日本弱視者ネットワーク 宇野氏) ・資料4-5のご説明で、中央ブロックはなかったということでよいか。 (日本歩行訓練士会 堀内事務局長) ・このホームでは一番近いドア位置まで、ホームの中央に線状ブロックが敷かれている。宇野委員はホーム中央ブロックの定義はホームの端から端まで敷かれた場合と理解されていて、このホームの状況はその定義とは違うかもしれないが、ホーム両側に縁端ブロックがあり、その中央に線状ブロックが敷設され、それが縁端ブロックと誤認されたという事故である。 (日本弱視者ネットワーク 宇野氏) ・これはガイドライン通りの敷設がされているということか。その場合ガイドラインが問題ということか。 (日本歩行訓練士会 堀内事務局長) ・視覚障害者用誘導ブロックがホーム上に3本あることで起こった事故であり、これが長くなればなるほど誤認の確立が高くなるのではないか。 ・このケースでは、電車が止まっていない位置には例えば固定柵を設置するような対策も必要である。 (国土交通省) ・補足だが、線状ブロックは基本的に電車の乗降口まで最短経路で敷くこととなっている。今回の事故の場合は、中央に敷くというよりは、乗降口ではないところで落ちてしまったということで、固定柵を設ける等の対策が必要になると思われる。 (日本弱視者ネットワーク 宇野氏) ・資料4-4のケース1だが、中央ブロックを外れたら、という仮定に違和感がある。中央ブロックがない場合はホームの中央からしょっちゅう外れるわけで、中間報告でも3割強がホーム中央から外れて転落している。これは中央ブロックを置いたときに明らかに外れるリスクが下がると思う。ホームの床面なら白杖をスライドで振っていれば誘導ブロックがあることはわかるので、ホーム中央にブロックがあればそれることはほぼない。 ・実例1はケース1に合致しているのか。実例1は警告ブロックに沿って歩いてきて車両のドアに誘導するラインに移って混乱されたというケースで、まさにガイドライン通りの引き方をしていて、それに対して問題だと言っているように聞こえた。このケースで中央ブロックがあれば、電車を降りた時に警告ブロックの目の前にある中央ブロックを検知して、そして右を向いてまっすぐ歩き、もう1回曲がって、後はまっすぐ行けばいいわけで、中央ブロックがあれば防げた実例である。 ・実例2は中間報告のケース1と6に該当すると思うが、警告ブロックを外れた段階でどうしても方向定位を誤ってしまう。これもまさに中央ブロックがあれば防げた事例で、中央ブロックをたどってまっすぐいけば階段のところに行きつけたはずである。 ・ケース2と3は類似で違いがよくわからないが、先ほど言ったとおり既に混在はしている。また、乗車時、降車時で混在することは少ない。非常にレアなケースを想定されている。今一番重要なのは、長軸方向に歩くときのセオリーがないということ。まずはこのセオリーをつくり、それに対して歩行訓練を実施して安全に歩いてもらう。これよりも先に起こる事故は何らかの要因があるはずなのでそれは別途検討が必要になる。 ・あとは追加の資料を読んでいただきたいが、ざっくりというと、資料4-4で出されている実例はむしろ中央ブロックがあったほうがメリットのある事例であるということ。 (東京都盲人福祉協会 市原常任理事) ・この検討会は新技術についてがテーマであり、最初に説明いただいた事例を具体的に落とし込めるかといった話をしてほしい。話が脱線しているような気がする。 (鉄道総合技術研究所 大野主任研究員) ・追加でいただいた資料に全部お答えすることは難しいが、先ほどの資料に示したのは実際の事例であり、抽象的に考えているものではない。また、セオリーがないという状況はわかるが、ホームの面積が限られていてホーム上の設置物もたくさんある中、新たに中央ブロックというものを付加してしまうと、それによるヒューマンエラーのリスクを高めてしまうということを申し上げたい。 ・大倉委員に質問であるが、発表の中で、全員が肯定的な意見を示したというお話があった。過去の検討会でも全員が賛意を示したといった書きぶりのものばかりだが、肯定的な意見とは、その具体的な定義はなにか。アンケートを取っているのか。知り合いに大倉委員の実験に参加した方がいて、その方は、最初からこれは危ない、絶対に駄目だと思って先生に何度も申し上げたが、何度言っても先生は中央ブロックの概念を繰り返すばかりで私の意見は全く聞いてくれませんでした、とおっしゃっていた。そのような場合でも肯定的な意見ということになるのか。 (成蹊大学 大倉名誉教授) ・ホームを使った実験はいくつかしており、全員が賛意を示したのは中央ブロックだけで、別の実験では賛否がわかれたものもあった。 ・そのようなご意見については初耳である。意見は全て口頭で聞いており、全員、安全性が増していると肯定的な意見であった。 (日本弱視者ネットワーク 宇野氏) ・今のような意見があるからこそ実証実験をやるべきである。この3年間同じような議論を繰り返しているが、多くの障害者に参加してもらい、本当に有効なのか検証する必要がある。 ・先ほどの大野委員のご意見の中で訂正させていただきたいが、私も大倉委員も売店を迂回するときに誘導ブロックをジグザグにうんぬんというのは一度も言ったことはない。売店については以前も議論していて、売店の表側にお客さんがいた場合は壁を伝って裏側に回ればいいと。ジグザグにといったことは言っていない。 ・狭隘箇所については、大倉委員の発表にあったとおり、80センチより狭くなった箇所については手前で止めて、中央ブロックはストップしてしまえばいいのであって、あまりにも矮小化した議論だと思う。 (慶應義塾大学 中野教授) ・当事者団体での意見は集約されているのか。宇野委員や大倉委員のお話では中央ブロックを支持する意見が多いという話もあったし、資料には他の団体の意見があった。これ以外の団体も同じ意見なのか。また、団体で出された意見はどのように集約されたのか、総会等を開いて多数決など取ったのかどうか知りたい。 ・この検討会はホームドアが設置されるまでの新技術の話であって、もしこの中央ブロックが良いという結果になっても、中央ブロックを敷設することがホームドアの新設を遅らせるようなことになるのであれば適切ではない。これまでに、鉄道事業者からは、同時にはできないのでホームドア設置に影響はでるという意見があったかと思う。 ・また、この中央ブロックがホームドア設置よりも非常に早い時間で実現できるのかどうか。実験で素晴らしいシステムであるという結論が出たとしても、時間がかかるのであれば実現可能性が非常に低いものである。 ・本会議は、新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会であるため、中央ブロックに関する議論に時間を費やさないで欲しい。中央ブロックの導入については、当事者団体の間でも意見が分かれていることが確認できたため、検討するのは時期尚早である。一方、新技術のメリット・デメリットやいくつかの新技術を組み合わせて導入することの意義等、議論すべき内容が多くあるので、今後は、新技術に関する議論に時間を費やして欲しい。 (国土交通省)  ・本日は時間の関係で説明を割愛したが、資料4-1にある通り、複数の団体から要望書等をいただいている。この取りまとめプロセスについては事務局で確認し、あらためて皆様にお知らせする。 ・仮に実証実験を行う場合、フィールドを提供していただくであろう鉄道事業者などのご理解が必ず必要になってくる。こういった関係者の方々のコンセンサスが得られていない状況では、直ちに実証実験を実施する環境にはないと考えている。 ・また、こちらの都合であるが、実証実験には費用がかかるため、関係者のコンセンサスが得られていない状況では財政当局の理解も得られるものではない。コンセンサスを得る努力は必要だと思うので、そのような場を設ける方向で調整したいと思う。 ・本来の会議のテーマと違うのではというご指摘もいただいている。別途コンセンサスを得るための場を設けられるよう努力したいと思うので、関係者の皆様にはご協力賜りたい。 ※)便宜上、発言順を変更している箇所があります。 ―以上―