一 |
、整備新幹線の建設費は、国、地方公共団体及びJRが負担する。 |
(一) |
国については、従前の基本スキームの考え方により措置する(約三十五%)。 |
(二) |
JRが鉄道整備基金に支払う既設新幹線譲渡収入全額を国の分とみなし、これに国の公共事業関係費を加えた額を国の負担分、その二分の一を地方公共団体の負担分とする旨、全国新幹線鉄道整備法において所要の措置を講じる。
地方公共団体の負担については、JRの固定資産税承継特例が廃止されること等を勘案し、所要の地方交付税措置を講ずる。 |
(三) |
JRについては、受益の範囲を限度とした貸付料等によるものとする。 |
(四) |
現在着工している三線五区間についても、上記のとおりに取り扱うこととし、財源を新規着工区間と合体させることとする。 |
二 |
、新規着工区間の事業規模は、平成三十年度までの間で、概ね一・二兆円程度(一(三)のJRの貸付料等を除く。平成七年価格)とする。 |
三 |
、今後の整備に当たっては、与党三党の申し入れ(別紙)に基づき、以下により決定することとする。 |
(一) |
政府及び与党からなる検討委員会において、整備区間ごとに、収支採算性の見通し、受益の範囲を限度としたJRの貸付料等の負担、用地確保の見通し、並行在来線の経営分離についての沿線地方公共団体の同意の取付け、JRの同意等基本条件が整えられていることを確認した上で、工事実施計画の認可申請等の手続きの進捗状況等の所要の要件を総合的に勘案して、優先順位を決定し、その順位に従い着工するとともに事業費の配分を行う。 |
(二) |
現在着工している三線五区間については、優先的に整備を進める。 |
四 |
、並行在来線については、以下のとおりとする。 |
(一) |
建設着工する区間の並行在来線については、従来どおり、開業時にJRの経営から分離することとする。 |
(二) |
具体的なJRからの経営分離区間については、当該区間に関する工事実施計画の認可前に、沿線地方公共団体及びJRの同意を得て確定する。 |
(三) |
JRからの経営分離後の並行在来線について安定的な鉄道輸送を確保するため、当該鉄道事業に係る固定資産について税制上の所要の措置を講ずる。 |
五 |
、鉄道貨物輸送については、並行在来線のJRからの経営分離後も適切な輸送経路及び線路使用料を確保することとし、新幹線鉄道上を走行することを含め、関係者間で調整を図る。 |
六 |
、平成九年度の整備新幹線関係予算は、以下のとおりとする。 |
(一) |
整備新幹線建設事業費千七百三十五億円を計上し、現在着工している三線五区間の建設事業費に千六百三十五億円を充てるとともに、新規着工区間の整備のために百億円を別途確保しておくこととする。
ただし、別途確保の必要がない場合には、これを三線五区間の建設事業費に充当することができるものとする。 |
(二) |
従来の建設推進準備事業費三十億円及び駅整備調整事業費十億円に代えて、新たに整備新幹線建設推進高度化等事業費(仮称)四十億円を計上し、新幹線鉄道の高速化効果を他の地域に均てんするための軌間自由可変電車の技術開発等の事業等を推進するとともに、未着工区間における所要の調査を実施する。 |
七 |
、本申合せに係る事項については、国、地方公共団体の財政事情、行財政改革の進捗状況、建設費の変動等の社会経済情勢等に照らし必要になった場合には、逐次見直すこととする。 |
八 |
、本申合せに抵触しない事項であって従来の整備新幹線に係る申合せに規定されている事項は、依然として有効である。 |
|
平成八年十二月二十五日 |
整備新幹線の今後の整備に当たり、本検討委員会において、「整備新幹線の取扱いについて(平成八年十二月二十五日政府与党合意)」の与党三党の申し入れに基づき検討を行った結果は、以下のとおりである。
一 |
.従来の整備計画(北海道新幹線(青森・札幌間)、東北新幹線(盛岡・青森間)、北陸新幹線(高崎・大阪間)、九州新幹線(博多・西鹿児島間)及び九州新幹線(博多・長崎間))は、すべて維持されることが確認されている。この整備計画に基づき、従来から整備が進められてきているところであるが、引き続き、本検討委員会の検討結果に基づき、その整備をさらに着実に進めることとする。 |
二 |
.新規着工区間 |
(一) |
東北新幹線八戸・新青森(石江)間、北陸新幹線長野・上越間及び九州新幹線(鹿児島ルート)船小屋・新八代間については、所要の基本条件が別紙のとおり確認されたので、速やかに所要の認可等の手続きを経て、その建設に着工する。 |
(二) |
本検討委員会において検討対象となった新規着工区間の優先順位については、次のとおりとする。 |
(1) |
東北新幹線 八戸・新青森(石江)間(標準軌新線) |
九州新幹線(鹿児島ルート) 船小屋・新八代間(新幹線鉄道規格新線) |
(2) |
北陸新幹線 長野・上越間(標準軌新線) |
(三) |
新規着工区間の事業費については、(二)の優先順位に従い配分されるものとするが、平成九年度は、建設着工の調整等のため、各区間に十億円ずつを計上する。 |
三 |
.その他の区間 |
(一) |
北海道新幹線新青森(石江)・札幌間及び九州新幹線(長崎ルート)武雄温泉・新大村間については、需要予測や収支採算性の見通し等の基本条件の確認作業を行うに当たって必要となる、駅・ルート公表を速やかに行い、引き続き環境影響評価に着手するとともに、北海道新幹線新函館駅及び九州新幹線(長崎ルート)長崎駅における駅部調査を開始する。 |
(二) |
北陸新幹線富山駅については、街づくりと一体となった緊急駅整備事業の実施に向けて駅周辺の都市計画との調整を図る等の駅整備事業を行うとともに、小松駅及び福井駅については、連続立体交差事業との整合性を図るため駅整備事業に着手する。 |
四 |
.これらの事項は、国、地方公共団体の財政事情、行財政改革の進捗状況、建設費の変動等の社会経済情勢等に照らし必要になった場合には、逐次見直すこととする。 |