鉄道においては、新型コロナウイルスの感染リスクを低減し、利用者のみなさまの安心安全につなげるため、「新しい生活様式」の実践に向け、鉄道事業者や各事業者団体で構成する「鉄道連絡会」において、専門家の知見も踏まえ「鉄軌道事業における新型コロナウイルス感染症対策に関するガイドライン」を作成し、感染症対策の取組を進めています。
各鉄道事業者の感染症対策の取組状況については、それぞれのホームページ等においてお知らせしています。リンク集も掲載していますのでご参照下さい。
・「新しい生活様式」の実践に向け、鉄道連絡会で作成したガイドライン※等に基づいて対策を実施
※鉄軌道事業における新型コロナウイルス感染症対策に関するガイドライン(令和5年3月7日改訂)。JR7社、日本民営鉄道協会、日本モ
ノレール協会、日本地下鉄協会、公営交通事業協会、鉄道貨物協会及び第三セクター鉄道等協議会からなる会議体で作成。作成に際して
は、感染症対策等に係る有識者の助言を得た。
・鉄道事業者において、感染症対策の実施状況についてホームページ等で公表
窓開けの実施状況
・空調装置等による換気が可能な場合には、当該装置により換気を実施
(装置の換気能力も踏まえ、必要に応じ窓開けも実施)
・これ以外の列車においては、窓開けの状況確認や、折り返し運転時の窓開けなどにより適切に窓開けを実施
・利用者に対して、換気の実施状況等を周知するとともに窓開けの協力を呼び掛け
時間帯別混雑状況の開示例出所:京急電鉄WEBサイト
・都市鉄道では、鉄道事業者は混雑状況の情報提供に努める
首都圏及び関西圏の主なターミナル駅の利用状況の推移を掲載し、テレワークや時差通勤等により、ピーク時間帯の混雑がどれだけ減少しているかを参考にしていただいております。
鉄道路線ごとの詳細な混雑状況は、各鉄道事業者のホームページ等にてお知らせしております。
〇 新幹線車両や特急車両などについては、換気装置により換気が行われています。また通勤型車両については、窓開け、換気装置、駅でのドア開放により換気が行われています。
(1)車両換気については、窓を閉めた状態でも強制換気できるような車両改良や車内換気の定量的な効果についての研究機関による調査研究が行われています。
(2)車内のウイルス抑制のため、空気清浄※や消毒・抗菌※等が行われています。
※ 鉄道車両等の空間における新型コロナウイルスの抑制効果については、現時点では確認できていない。
【鉄道総合技術研究所による研究概要】(令和2年10月現在)
〇窓開けのみによる換気であっても、標準的な通勤型車両(速度約70km/h)において、窓を10cm程度開けて走行した場合、
・空車(乗車率0%)では、車内の空気は概ね5~6分程度で入れ替わる(令和2年6月公表)
・混雑度(乗車率)が高くなった場合であっても、換気量はほぼ変わらない
と試算されています。
〇窓開けに加えて、車内の空調装置(強制換気あり)を併用した場合においては、換気がさらに促進され、車内の空気は概ね2~3分程度で入れ替わる(空車時)と試算されています。
※今後、列車の加減速を考慮した換気効果などについて検討する予定。
令和2年6月の公表資料はこちら
【産業技術総合研究所における研究概要】(令和3年12月現在)
〇地下鉄の実車両を用いて混雑時の運転状況を模してCO2を車両内に吐出させ、車内CO2濃度変化を実測。
〇混雑時の運転状況を模 して窓閉状態で約9分間走行(試験対象路線における最大限保守的な条件)すると、車内のCO2濃度は3,200ppm程度まで上昇した。
〇10 cm×2カ所の窓開状態で車内のCO2濃度は約15%減少し、窓開けによる換気は一定の効果があることが改めて確認された。
〇窓閉 および 窓開 (10cm×2カ所)状態における走行時の1時間あたりの換気回数は、それぞれ約6.3回および約9.4回と推計された。
令和3年12月の公表資料はこちら
※鉄道車両内における二酸化炭素濃度と新型コロナウイルス感染症との関係等に係る情報について
〔ポイント〕
〇二酸化炭素濃度は室内空間における換気に対する指標の1つであり、二酸化炭素濃度と新型コロナウイルスへの感染リスクとの関係については、国際的にも未だ十分な知見は蓄積されていない。
〇感染リスクを低減するためには、一般的には飛沫の防止が重要であり、また換気の頻度(回数)も重要な観点であるが、鉄道車両内では、これまでの研究成果により、概ね数分に1回程度の頻度で車内の空気が入れ替わっていることが確認されている。
〇新型コロナウイルス感染症対策専門家会議によれば、集団感染が確認された場所で共通するのは、(1)換気の悪い密閉空間、(2)多くの人が密集していた、(3)近距離での会話や発声が行われた、という3つの条件が同時に重なった時とされているが、鉄道車両内においては、マスクが着用され、会話を控える等の行動がとられており、これまでクラスターが発生したとの情報はない。また、国立感染症研究所の研究報告によれば、電車通勤か否かで感染率に大きな差はなかったとの報告もある。
〇なお、空気環境としての二酸化炭素濃度については、建物内の快適な環境を目的としたものや労働安全衛生面から許容される数値など様々観点で指標が規定されており、鉄道に関しては今のところ欧州インターオペラビリティ指令において、5,000ppmを超えてはならないとの規定があることを確認している。
(参考)鉄道車両内における二酸化炭素濃度と新型コロナウィルス感染症との関係性に係る情報について