GISとはコンピュータ上で様々な地理空間情報を重ね合わせて表示するためのシステムのことを言い、現代の社会生活になくてはならない情報基盤となっています。ここではGISの仕組みと使い方について見てみましょう。
GIS(地理情報システム)とは、地理空間情報活用推進基本法(平成19年法律第63号)第2条において、「地理空間情報の地理的な把握又は分析を可能とするため、電磁的方式により記録された地理空間情報を電子計算機を使用して電子地図上で一体的に処理する情報システム」と定義されています。
すなわちGISとは、位置に関する様々な情報を持ったデータを電子的な地図上で扱う情報システム技術の総称です。位置に関する複数のデータを地図上で重ね合わせ、視覚的に判読しやすい状態で表示できるため、高度な分析や、分析結果の共有・管理もしやすくなります。
地理空間情報、すなわち位置とそれに関する様々な情報のデータとしては、地形図や都市計画図、土地利用図などの基盤となる地図データや、地形をありのままに写しとった空中写真データ、その上に重ねる植生や気象などの人工衛星等による観測データ、道路や河川などの台帳データ、人口や農業などの統計データ、固定資産や顧客リストなどの各種データベース、GPS(全地球測位システム)で観測された車両や携帯電話の位置情報など多様な種類があります。
GISソフトウェアは、こうした位置・空間データを加工・分析・表示することが可能です。様々なデータを電子地図の上に層(レイヤ)ごとに分けて載せ、位置をキーにして多くの情報を結びつけることで、相互の位置関係の把握、データ検索と表示、データ間の関連性の分析などが可能になります。
このことから、GISは非常に幅広い用途に使われています。たとえば、道路、水道、電気、ガスなどの社会インフラの管理にGISが活用されていたり、土地・建物の不動産情報や施工管理、店舗の出店計画や顧客管理などのエリアマーケティング、災害時を想定した防災計画にもGISが使われたりしています。
下の図は災害対策においてGISを利用した例です。上の1枚1枚が特定のデータを持ったレイヤで、防災施設の分布や、災害による自動車通行不能箇所等の複数のレイヤを、位置情報をキーとして重ね合わせていくことで、それぞれの情報の関連性が一目でわかるようになります。この結果から、総合的な災害対策を講じることが可能となります。