人流データは、人がいつどこに何人いるのか把握できるデータであり、それらのデータを活用することで、土地・不動産やまちづくり、観光、交通、防災等の様々な分野における地域課題の解決が期待されています。現在では、カメラやセンサーの性能が向上したこと並びに携帯電話の基地局情報やGPS情報などから人流データを取得しやすい環境になりつつあります。しかし、人流データは取得方法により個人情報を含む場合があり取扱いに注意が必要なこと、さらにデータに統一的なフォーマットがないことから流通が進まないなど、データの利活用や流通が十分に進んでいるとはいえない状況です。
そのため、国土交通省では、多様な地域政策と人流データを融合することで、EBPMに基づいた効果的・効率的な地域課題の解決、「新しい生活様式」を支える新たなサービス等の創出につなげるとともに、自治体をはじめとして、多様な主体が積極的に人流データを活用できるよう、地域課題解決への適用方法を検討するほか、モデル的な活用事例の構築を支援するなど、普及に向けた環境整備・利活用拡大に向けた支援を行っています。
令和3年度実施の取組みについてご紹介します。
地方公共団体と民間事業者等が連携して、人流データの取得・分析・活用を通して地域の諸課題(例:災害時の避難経路の確保、まちなかの交通利便性の向上、観光地の混雑緩和)の解決に取り組むモデル事業を公募し、6件の事業が採択されました。
採択事業は以下の通りであり、令和4年3月10日に取組みについて成果報告会を開催しました(チラシ)。
事業名 | 実施主体名 | 対象地域 | 成果報告会資料 |
---|---|---|---|
会津広域及びまちなかにおける人流データを活用した公共交通サービスの最適化 | 会津SamuraiMaaSプロジェクト協議会 | 福島県会津若松市および会津地域 | |
人流データ及び消費データによる中心市街地活性化に向けたデータ分析・施策立案事業 | くまもとデータ利活用検討会共同提案体 | 熊本県熊本市 | |
情報提供を活用したIntelligent Mobility Service (IMS)実証 | 湘南IMS共同事業体 | 神奈川県鎌倉市、藤沢市 | |
佐久市避難施設の混雑状況可視化による避難誘導検証 | 佐久市人流データ活用事業共同提案体 | 長野県佐久市 | |
静岡中心市街地の持続可能な活性化に向けた人流データの取得・分析の社会実装事業 | 静岡市人流データを活用したまちづくりコンソーシアム | 静岡県静岡市 | |
人流データ駆動型“歩いて楽しめる快適・安全なまちづくり” | 岡崎市人流データ地域課題解決モデル事業共同提案体 | 愛知県岡崎市 |
GPSデータなどから人流データを取得し、2019年1月から2021年12月までの期間における全国の人流データを分析しています。
分析のために取得した人流データや分析した結果は、G空間情報センター※にて公開しています。
国土交通省HP:全国の人流データ(1kmメッシュ、市町村単位発地別) を公開します
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_fr17_000001_00006.html
G空間情報センター:全国の人流オープンデータ(1kmメッシュ、市町村単位発地別)
https://www.geospatial.jp/ckan/dataset/mlit-1km-fromto
また、事業の一環として横浜市を舞台に観光課題をテーマとして、公開している人流データなどを学生が分析・活用しビジネスモデルを提案する人流データ活用イベントを令和4年2月17日にオンラインにて開催しました(チラシ)。当日の様子は、G空間情報センターのショーケースにて公開しています。
G空間情報センター ショーケース:
https://www.geospatial.jp/gp_front/personflow-event
※G空間情報センター:官民問わず様々な主体により整備・提供される多様な地理空間情報を集約し、利用者がワンストップで検索・ダウンロードし利用できる、産学官の地理空間情報を扱うプラットフォーム。
https://www.geospatial.jp/gp_front/
~令和3年度実施 人流データ活用による行動変容分析の概要について~
本業務は、主に新型コロナ渦の人流の変動状況を把握するとともに、人の動きから見た地域経済状況を分析、解析し、各種地域活性化の取り組みに資する情報を提供することを目的として実施いたしました。
具体的には主に以下の項目について実施し分析を行いました。
1.全国の市町村単位での広域にわたる人流データの把握・解析(2019年1月~2021年12月)
2.特定地域を対象としてミクロな人流データの把握・解析
3.人流データ利活用イベントの実施
4.人流データのオープンデータ化
※概要のダウンロードは以下のPDFクリックしてください↓
人流データ活用による行動変容分析の概要(PDF)
上記3.人流データのオープンデータ化に関連して、ソフトウェア開発にかかる人々が集まりプログラムやサービスの開発をするアイデアソン・ハッカソンを開催いたしました。レポートは以下のURLをクリックいただくとご覧いただけます。
https://www.geospatial.jp/gp_front/personflow-event
人流データ(人の流れのデータ)の利活用促進を図るため、人流データの選定・取得から利活用・提供に至るまでのポイントや具体的なユースケースなどを手引きとして取りまとめました。
1.背景・課題
人流データは、人がいつどこに何人いるのかを示すデータであり、データから得られる移動方向や人数、性別等の情報を用いて土地・不動産活用やまちづくり、観光、交通、防災など様々な分野での利活用が期待されています。民間での利活用は一部では進んでいるものの、地域課題の解決に取り組んでいる地方公共団体等においては、十分な利活用が進んでおらず、大きく次のような課題がありました。
○データをどのように取得すればよいのか
○データが個人情報を含む場合の取扱方法
○データをどのように利活用できるのか
2.概要
人流データ活用拡大方策検討会を開催し有識者による検討を頂き、人流データの種類や内容、データの取得方法の他、個人情報を含むデータの注意事項などを整理し、さらにユースケースを掲載するなどして、人流データを様々な分野の地域課題に利活用できるよう「人流データ利活用の手引き」を作成しました。
例えば、まちづくりや観光で人流データを活用する場合に、場所や目的に応じたデータの取得方法・内容・表現方法がわかり、また個人情報に関する取扱方針が定まることで、データ取得がしやすくなります。データにより人々の周遊行動を明確にすることによって、動線確保や混雑回避などの施策・取組が円滑に進められることが期待されます。
3.構成
◯基礎編
・人流データとは
・人流データ利活用事業に関する基本的な流れと関わり方
◯利活用編
・ステップ1 目的に応じた人流データの検討
・ステップ2 人流データの取得・作成
・ステップ3 人流データの分析・利活用
・ステップ4 人流データの管理・提供
・人流データの利活用に係るユースケース
・チェックリスト
手引きのダウンロードはこちらから↓
(概要版)地域課題解決のための人流データ利活用の手引き(PDF)
(本編)地域課題解決のための人流データ利活用の手引き(PDF)
過年度に行った取組みについて紹介します。
センサー等を用いて、東京駅周辺にて人流計測を行いました(令和3年1~2月)。計測したデータは、G空間情報センターにて公開しています。
・G空間情報センター:大手町・丸の内・有楽町エリアにおける人流オープンデータ
https://www.geospatial.jp/ckan/dataset/human-flow-marunouchi
・報道発表資料:人流データを取得する実証実験を行います
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo17_hh_000001_00005.html
・国土交通省HP:大手町・丸の内・有楽町エリアにおける人流オープンデータを公開します
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_fr17_000001_00007.html
GPSデータなどから人流データを取得し、2019年1月から2020年12月までの期間における全国域の人流データをG空間情報センターにて公開しています(1kmメッシュ別の滞在人口データ、市町村単位発地別の滞在人口データ)。また、取得した人流データをもとに、「観光」「購買」「地価・不動産」「防災」の各分野で、特徴的な市区町村を対象として分析を行った結果も併せて公開しています。
・G空間情報センター:全国の人流オープンデータ(1kmメッシュ、市町村単位発地別)
https://www.geospatial.jp/ckan/dataset/mlit-1km-fromto
・国土交通省HP:全国の人流データ(1kmメッシュ、市町村単位発地別) を公開します
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_fr17_000001_00006.html